図面 (/)

技術 非鉄金属溶湯用部材

出願人 若松熱錬株式会社
発明者 松野茂弘高橋昭一丸田賢二
出願日 1997年9月25日 (24年1ヶ月経過) 出願番号 1997-301425
公開日 1999年4月6日 (22年7ヶ月経過) 公開番号 1999-090617
状態 未査定
技術分野 連続鋳造 鋳造用とりべ チル鋳造・ダイキャスト 非鉄合金の製造 金属質材料の表面への固相拡散
主要キーワード 鉄製部材 鋳造工具 複合酸化物被膜 酸化膜被覆 セラミック結合材 珪酸リチウム水溶液 下地素材 非鉄金属製品
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年4月6日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

目的

比較的廉価な鉄系材料基材として用い、非鉄金属溶湯に浸漬又は繰返し接触しても溶損が殆どなく、安全に使用できる溶湯用部材を提供する。

構成

鉄系材料基材の表面に、含湿酸化物又は含湿酸窒化物被膜を形成し、さらにその被膜の表面をセラミック層被覆した、二重被覆構造の非鉄金属溶湯用部材である。セラミック層は扁平状セラミック粉末を含み、溶融ガラスで結合するか、或いは珪酸塩又は燐酸塩が主成分のセラミック結合材で結合して、下地の含湿酸化物被膜又は含湿酸窒化物被膜を被覆する。扁平状セラミック粉末は、炭化珪素、扁平状アルミナ雲母のなかの1種又は2種以上の粉末からなり、セラミック層のなかに20〜70重量%含まれる。

概要

背景

非鉄金属溶湯用部材として、溶湯に浸漬して接触する部材と、浸漬しないで溶湯に繰返し接触する部材とがある。例えば、溶湯に浸漬する部材として熱電対保護管ストーク、溶湯と繰返し接触する部材としてラドル等がある。従来、これらの部品は表面に塗型を施した鋳鉄材料を用いるのが一般的であった。近年は、これに代わってサイアロンセラミツクの適用が拡がりつつある。

また、表面に被覆層を形成した本発明と同一用途の溶湯用部材の例として、特開昭49−54229号公報には、CrとAlを含む鉄系材料の表面に複合酸化物被膜を形成した鋳造工具が記載されている。また、用途を特定していないが、特公平7−5392号公報には、鉄系材料の酸化被膜珪酸塩が反応した結合層を形成した上に、微粒子状金属酸化物又は有機金属結合剤焼固することにより、酸化鉄拡散防止層を形成した、高温腐食性排気ガスに曝される用途等を示唆するセラミック鉄製部材接合体が記載されている。

概要

比較的廉価な鉄系材料を基材として用い、非鉄金属溶湯に浸漬又は繰返し接触しても溶損が殆どなく、安全に使用できる溶湯用部材を提供する。

鉄系材料基材の表面に、含湿酸化物又は含湿酸窒化物被膜を形成し、さらにその被膜の表面をセラミック層被覆した、二重被覆構造の非鉄金属溶湯用部材である。セラミック層は扁平状セラミック粉末を含み、溶融ガラスで結合するか、或いは珪酸塩又は燐酸塩が主成分のセラミック結合材で結合して、下地の含湿酸化物被膜又は含湿酸窒化物被膜を被覆する。扁平状セラミック粉末は、炭化珪素、扁平状アルミナ雲母のなかの1種又は2種以上の粉末からなり、セラミック層のなかに20〜70重量%含まれる。

目的

上記問題点を解決するため、前記特開昭49−54229号公報、特公平7−5392号公報以外にも、鉄系材料の表面に被覆層を形成した種々の耐熱耐食、耐溶損部材が提供されている。本発明においても、上記問題点を解決するため、同様に比較的廉価な鉄系材料を用い、非鉄金属溶湯に浸漬接触或いは繰返し接触しても溶損が殆どなく、安全に使用できる溶湯用部材の提供を目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

鉄系材料からなる基材表面に、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜を形成し、さらに含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜の表面をセラミック層被覆した構造にてなり、セラミック層は扁平状セラミック粉末を含み、溶融ガラスで結合して、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜に融着してなることを特徴とする非鉄金属溶湯用部材。

請求項2

セラミック層のなかの扁平状セラミック粉末は、炭化珪素、扁平状アルミナ雲母のなかの1種又は2種以上の粉末を含んでなることを特徴とする請求項1記載の非鉄金属溶湯用部材。

請求項3

セラミック層は扁平状セラミック粉末を20〜70重量%含んでなることを特徴とする請求項1又は2記載の非鉄金属溶湯用部材。

請求項4

鉄系材料からなる基材表面に、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜を形成し、さらに含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜の表面をセラミック層で被覆した構造にてなり、セラミック層は扁平状セラミック粉末を含み、珪酸塩又は燐酸塩を主成分とするセラミック結合材で結合して、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜に接着してなることを特徴とする非鉄金属溶湯用部材。

請求項5

セラミック層のなかの扁平状セラミック粉末は、炭化珪素、扁平状アルミナ、雲母のなかの1種又は2種以上の粉末を含んでなることを特徴とする請求項4記載の非鉄金属溶湯用部材。

請求項6

セラミック層は扁平状セラミック粉末を20〜70重量%含んでなることを特徴とする請求項4又は5記載の非鉄金属溶湯用部材。

請求項7

非鉄金属溶湯がアルミニウム合金溶湯であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の非鉄金属溶湯用部材。

請求項8

非鉄金属溶湯が亜鉛合金溶湯であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の非鉄金属溶湯用部材。

請求項9

非鉄金属溶湯が銅合金溶湯であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の非鉄金属溶湯用部材。

発明の効果

0001

本発明は、アルミニウム合金亜鉛合金銅合金等の非鉄金属製品を製造する溶解又は鋳造設備耐溶損性溶湯用部材に関する。

背景技術

0001

本発明の非鉄金属溶湯用部材は、特にアルミニウム合金、亜鉛合金、銅合金等の溶湯に長期間用いても健全であり、優れた耐溶損性を有している。また、耐溶損性が良いので基材材質の成分が溶湯中溶け込むことがなく、非鉄金属鋳造製品品質が向上する。さらに基材鉄系材料のため、強靱且つ安価である。これらにより、非鉄金属製品を製造する溶解又は鋳造設備の保守作業能率の向上及び経費節減、並びに非鉄金属製品の品質向上に大きく寄与する。

0002

非鉄金属の溶湯用部材として、溶湯に浸漬して接触する部材と、浸漬しないで溶湯に繰返し接触する部材とがある。例えば、溶湯に浸漬する部材として熱電対保護管ストーク、溶湯と繰返し接触する部材としてラドル等がある。従来、これらの部品は表面に塗型を施した鋳鉄材料を用いるのが一般的であった。近年は、これに代わってサイアロンセラミツクの適用が拡がりつつある。

発明が解決しようとする課題

0003

また、表面に被覆層を形成した本発明と同一用途の溶湯用部材の例として、特開昭49−54229号公報には、CrとAlを含む鉄系材料の表面に複合酸化物被膜を形成した鋳造工具が記載されている。また、用途を特定していないが、特公平7−5392号公報には、鉄系材料の酸化被膜珪酸塩が反応した結合層を形成した上に、微粒子状金属酸化物又は有機金属結合剤焼固することにより、酸化鉄拡散防止層を形成した、高温腐食性排気ガスに曝される用途等を示唆するセラミック鉄製部材接合体が記載されている。

0004

従来の塗型を施した鋳鉄材料を用いた溶湯用部材は、塗型の剥離した部分が溶湯と反応して、少しづつ侵食されて溶損するばかりでなく、主成分であるFeが溶湯中に溶け込み、鋳造製品機械的性質劣化させる等の欠点がある。近年適用が拡がりつつあるサイアロンセラミックは、溶湯と反応しないので、溶湯用部材に適している。そして、従来のセラミックに比べて、ある程度の強靭性を有しているので、用途によっては十分満足した結果が得られている。しかし、本質的にセラミックの域を越えず、金属材料よりも脆弱なため、破損しやすく、取扱が難しいという欠点がある。また、高価なため、安易に適用できるものではない。

課題を解決するための手段

0005

上記問題点を解決するため、前記特開昭49−54229号公報、特公平7−5392号公報以外にも、鉄系材料の表面に被覆層を形成した種々の耐熱耐食、耐溶損部材が提供されている。本発明においても、上記問題点を解決するため、同様に比較的廉価な鉄系材料を用い、非鉄金属溶湯に浸漬接触或いは繰返し接触しても溶損が殆どなく、安全に使用できる溶湯用部材の提供を目的とする。

0006

本発明の第1発明は、図1の模式図にて示すように、鉄系材料基材1の表面に、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜2を形成し、さらに含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜2の表面を、セラミック層3で被覆した構造にてなり、セラミック層3は扁平状セラミック粉末を含み、溶融ガラスで結合して、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜2に融着してなる非鉄金属溶湯用部材である。鉄系材料基材の表面が含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜被覆のみのときでも、軽度の使用であれば溶損の心配はない。しかし使用を重ねると、被膜に発生した亀裂や剥離部から溶湯の侵食が起こり始めると考えられ、最終的には大きな溶損に至る。特に、溶湯との繰返し接触により熱衝撃が加わる用途のときは、溶損が起こり易い。本発明においては、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜の表面を、さらに扁平状セラミック粉末を含むセラミック層で被覆した二重被覆構造とする。扁平状セラミック粉末は、層状に積層して、扁平面方向に広がった形態をしているので、各粒子が自由方向を向いて混在することにより結合性が向上する。そして、熱衝撃が加わる事態遭遇しても、亀裂や剥離が発生し難くなると共に、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜を保護する。これらにより、溶湯の侵入による鉄系材料基材の溶損が起こらず、安全に使用できる溶湯用部材となる。

0007

第2及び第3発明は、第1発明のセラミック層に含まれる扁平状セラミック粉末を、炭化珪素、扁平状アルミナ雲母のなかの1種又は2種以上の粉末により構成し、その扁平状セラミック粉末をセラミック層の20〜70重量%とする。このように、最表面層として被覆するセラミック層のなかの扁平状セラミックを適切な成分と量に規定することで、より一層効果的な溶湯用部材となる。

0008

本発明の第4発明の構造は、図1の模式図にて示す鉄系材料基材1の表面に、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜2を形成し、さらに含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜2の表面を、扁平状セラミック粉末を含むセラミック層3で被覆した、第1発明と同様の構造である。但し、セラミック層は珪酸塩又は燐酸塩を主成分とするセラミック結合材で結合して、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜2に接着してなる非鉄金属溶湯用部材である。そして、扁平状セラミック粉末を含むセラミック層3を溶融ガラスで結合する第1発明と同等の効果を得る。

0009

第5及び第6発明は、第4発明のセラミック層のなかの扁平状セラミック粉末の成分と量を規定する。第2及び第3発明と同様の規定であり、第4発明をより一層効果的にする。

発明を実施するための最良の形態

0010

第7乃至第9発明は、第1乃至第6発明における適用非鉄金属溶湯の材質を規定する。第1乃至第6発明において、非鉄金属溶湯がアルミニウム合金、亜鉛合金、銅合金のとき効果が確認され、特にアルミニウム合金のとき効果大である。

0011

本発明溶湯用部材の基材には、普通炭素鋼合金鋼、普通鋳鉄合金鋳鉄等の鉄系材料全般を用いることができ、その材質は特定しない。これら鉄系材料基材に含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜を形成すると、耐溶損性が得られる。ここで、含湿酸化膜とは、湿分即ち水蒸気を含んだ雰囲気酸化処理した酸化膜である。水蒸気を含んだ雰囲気とは、水蒸気を加えた雰囲気、或いは、雰囲気中に含まれた水素燃焼して水を生成する場合や、石油天然ガスが燃焼する雰囲気の場合のように、雰囲気中の反応によって水蒸気が生成する雰囲気である。

0012

鉄系材料基材を、水蒸気の存在する酸化雰囲気で400〜1200℃の温度に加熱すると、表面に緻密で剥離し難い酸化膜が生成する。この酸化膜は、非鉄金属溶湯に対する耐溶損性があり、非鉄金属の中でもアルミニウム合金、亜鉛合金、銅合金等の溶湯、特にアルミニウム合金の溶湯に対して優れている。酸化膜の厚みは5〜200μmが好ましい。厚みが5μm未満では溶湯に対する耐溶損効果が少なく、200μmを越えると酸化膜が剥離しやすくなる。加熱雰囲気は、大気雰囲気にこだわる必要はなく、水素、二酸化炭素等の混合ガス雰囲気、或いはアンモニア窒素等が存在する窒化雰囲気でも、酸化膜又は酸窒化膜が生成する。酸化膜の組成は、基材に接してFeO等のMO系酸化膜が生成しているようであり、さらにこの上にFe3O4等のM3O4系、或いはさらにこの上にFe2O3等のM2O3系酸化膜が生成する。これらのなかのMO系酸化膜は、耐剥離性耐亀裂性に富んだ被膜である。

0013

しかしそれでも、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜のみでは、熱衝撃その他により微細な亀裂や剥離が発生して、溶湯が侵入し、鉄系材料基材が溶損することが懸念される。本発明においては、含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜の表面に、さらに扁平状セラミック粉末を含むセラミック層を被覆形成する。このように二重被覆構造にすることで、下地の含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜が保護され、溶湯の侵入による鉄系材料基材の溶損が起こらず、安全に使用できる溶湯用部材にする。

0014

扁平状セラミック粉末の作用効果は、前記段落番号0006にて述べたとおり、結合性の良好なセラミック層を形成する。扁平状セラミック粉末としては、炭化珪素、扁平状アルミナ、雲母等の粉末を用いることができる。扁平状セラミック粉末の量はセラミック層のなかに20〜70重量%含むのが好ましく、大きさは長軸が2〜100μm、長軸と厚みとの比が5以上が好ましい。炭化珪素と雲母は粉末自体が本質的に扁平状で、殆どの粉末が上記大きさの範囲内にあり、そのまま使用できる。アルミナは上記大きさの範囲内の粉末に調製する必要がある。

0015

セラミック層のなかの結合材は、高温溶融ガラス形成材、或いは珪酸塩溶液又は燐酸塩溶液を用いる。珪酸塩溶液には珪酸ナトリウム珪酸カリウム珪酸リチウム水溶液の1種又は2種以上の混合溶液が、燐酸塩溶液には燐酸アルミニウム水溶液が使用できる。珪酸塩溶液又は燐酸塩溶液には、硬化剤としてMgO、ZnO等の酸化物を適宜添加してもよい。セラミック層のなかの結合材は10〜80重量%[但し、水分は除く]含むのが好ましい。セラミック層において、扁平状セラミック粉末と結合材との合計量の残部は通常のアルミナ、ジルコニアシリカ等の酸化物、炭化珪素等の炭化物窒化珪素等の窒化物と、不可避的不純物である。

0016

セラミック層を被覆するときは、扁平状セラミック粉末と結合材との混合スラリーを下地の含湿酸化膜又は含湿酸窒化膜に塗布して乾燥する。結合材に高温溶融ガラス形成材を用いるときは、水等の溶媒に混合してスラリー化する。塗布及び乾燥の後は、そのガラス溶融温度まで加熱して、下地に融着させる。結合材に珪酸塩溶液又は燐酸塩溶液を用いるときは、塗布及び乾燥の後、少なくとも結晶水消滅する温度以上、即ち概略500℃以上に加熱して接着させる。このようにして形成したセラミック層の厚みは100〜500μmが好ましい。厚みが100μm未満では溶湯に対する耐溶損効果が少なく、500μmを越えると熱衝撃等により剥離しやすくなる。

0017

実施例1
表1の各種の鉄系材料基材の試験片について、アルミニウム合金溶湯に対する耐溶損性を調べた。先ず、直径20mm、長さ200mmの丸棒試験片素材を、900℃にて1時間、水蒸気で酸化した後、炉冷して、酸化膜を被覆した。別に、粒度10μmの炭化珪素粉末30重量%、粒度80μmの扁平状アルミナ10重量%、溶融ガラス形成材60重量%を混合して、水によりスラリー化したセラミック層形成材を準備した。溶融ガラス形成材の組成はSiO230重量%、B2O325重量%、CaO20重量%、Na2O13重量%、K2O12重量%からなる。このスラリーの中へ酸化膜被覆した丸棒試験片素材を浸漬して、全面にスラリーを被覆した。常温乾燥、さらに110℃乾燥の後、850℃に加熱して溶融ガラス形成材を溶融し、下地の酸化膜へ融着させることにより、セラミック層を被覆形成した。この被覆セラミック層はねずみ色をし、厚みは概略200〜300μmであった。

0018

0019

上記4種類の鉄系基材材料の本発明被覆の試験片、並びに比較のために作製した各基材材料の酸化膜被覆のみの試験片、同じく被覆せずに塗型のみ施した試験片の合計12個を、図2溶損試験装置を用いて試験した。各試験片4は、例示の1個のように、先端から80mmまでの部分がアルミニウム合金溶湯5に浸漬するようにして、円形試験片保持板6の周囲12箇所に取り付けた。750℃に保持したアルミニウム合金[ADC12]溶湯5に10時間浸漬して各試験片の溶損状況を調べた。各試験片の状況を表1に示す。表中の数値は溶損により直径が減少した値である。この結果から、本発明の被覆はアルミニウム合金溶湯に対する耐溶損性が優れていること明らかである。

0020

実施例2
実施例1と同一鉄系材料基材の同一寸法の試験片について、亜鉛合金溶湯に対する耐溶損性を調べた。先ず、各丸棒試験片素材を1000℃にて1時間、水蒸気とアンモニアの混合ガス酸窒化した後、炉冷して酸窒化膜を被覆した。別に、粒度10μmの炭化珪素粉末30重量%、雲母20重量%、濃度30重量%の珪酸ナトリウム水溶液50重量%を混合し、スラリー化したセラミック層形成材を準備した。このスラリーの中へ酸窒化膜被覆した丸棒試験片素材を浸漬して、全面にスラリーを被覆した。常温乾燥、さらに500℃乾燥の後、650℃に加熱して、下地の酸窒化膜へ接着させることにより、セラミック層を被覆形成した。この被覆セラミック層の厚みは概略300μmであった。

0021

0022

上記4種類の鉄系基材材料の本発明被覆の試験片、並びに比較のために作製した各基材材料の酸窒化膜被覆のみの試験片、同じく被覆せずに塗型のみ施した試験片の合計12個を、実施例1と同様に、図2の溶損試験装置に取り付けて試験した。650℃に保持した亜鉛合金[ZDC1]溶湯5に20時間浸漬して各試験片の溶損状況を調べた。各試験片の状況を表2に示す。表中の数値は溶損により直径が減少した値である。この結果から、本発明の被覆は亜鉛合金溶湯に対して耐溶損効果のあることが明らかである。

0023

実施例3
表3のステンレス鋼基材の試験片について、銅合金[黄銅]溶湯に対する耐溶損性を調べた。先ず、直径20mm、長さ200mmの丸棒試験片素材を、1000℃にて1時間、水蒸気酸化した後大気中に放冷して、酸化膜を被覆した。表面にさらに被覆するセラミック層は、実施例1と同一組成で、同一処理により形成した。この被覆セラミック層の厚みは概略300μmであった。

0024

0025

上記作製のステンレス鋼の本発明被覆試験片、並びに比較のために作製した酸化膜被覆のみの試験片、同じく被覆せずに塗型のみ施した試験片について試験した。各試験片は、先端から80mmまでの部分を、1100℃に保持した黄銅[YBsC3]溶湯に2時間浸漬して溶損状況を調べた。その状況を表1に示す。本発明の被覆は銅合金溶湯に対しても耐溶損効果のあることが明らかである。

0026

実施例4
アルミニウム合金ダイカスト設備のラドルに本発明被覆を適用した。容量2kg用の普通鋳鉄[FC200]製のラドル素材を、900℃にて1時間、水蒸気で酸化した後炉冷して、酸化膜を被覆した。別に、粒度10μmの炭化珪素粉末22重量%、粒度80μmの扁平状アルミナ38重量%、溶融ガラス形成材40重量%を混合し、スラリー化したセラミック層形成材を準備した。溶融ガラス形成材の組成はSiO230重量%、B2O325重量%、CaO20重量%、Na2O13重量%、K2O12重量%からなる。このスラリーの中に酸化膜被覆したラドル素材を浸漬して、全面にスラリーを被覆した。常温乾燥、さらに500℃乾燥の後、850℃に加熱して溶融ガラス形成材を溶融し、下地の酸化膜へ融着させることにより、セラミック層を被覆形成した。この被覆セラミック層の厚みは概略300μmであった。

0027

上記作製の本発明被覆のラドルを、概略750℃のアルミニウム合金[ADC12]溶湯の汲み上げ用に、連続して3週間使用した。この使用により、溶湯と延べ7500回繰返し接触して加熱冷却されたが、下地素材に溶損がないことは勿論、溶湯接触面にも亀裂や剥離の発生がなく、健全であった。さらに追加連続して使用しても問題なさそうであった。また、溶湯接触面は比較的滑らかでノロの付着が少なく、付着したノロも容易に取り除くことができた。一方、従来から使用の、被覆処理をしていない塗型のみ施した普通鋳鉄製ラドルは、手入れと塗型を毎日なされていたが、それでも毎日少しづつ溶損があったと思われ、1週間も使用すると、その注湯付近内面は片肉1mm程度の溶損が起こっていた。このことから、本発明被覆のラドルは顕著な耐溶損効果があり、且つ溶損がないのでFe成分の溶湯への溶け込みがなく、アルミニウム合金ダイカスト製品の品質を向上させること明らかである。

0028

実施例5
アルミニウム合金低圧鋳造設備のストークに本発明被覆を適用した。外径135mm、内径100mm、長さ800mmの普通鋳鉄[FC200]製のストーク素材を、830℃にて1時間、水蒸気で酸化した後炉冷して、酸化膜を被覆した。別に、粒度10μmの炭化珪素粉末30重量%、粒度80μmの扁平状アルミナ20重量%、濃度30重量%の珪酸ナトリウム水溶液50重量%を混合し、スラリー化したセラミック層形成材を準備した。このスラリーの中に酸化膜被覆したストーク素材を浸漬して、全面にスラリーを被覆した。常温乾燥、さらに500℃乾燥の後、750℃に加熱して、下地の酸化膜へ接着させることにより、セラミック層を被覆形成した。この被覆セラミック層の厚みは概略400μmであった。

図面の簡単な説明

0029

上記作製の本発明被覆のストークを、低圧鋳造設備の溶湯保持炉の概略750℃のアルミニウム合金[AC4B]溶湯中に、4週間連続浸漬して使用した。ストークを取外して点検の結果、下地素材に溶損がないことは勿論、溶湯接触面にも亀裂や剥離の発生がなく、健全であった。一方、従来から使用の被覆処理をしていない塗型のみ施した普通鋳鉄製ストークは、手入れと塗型を毎日なされていたが、2週間も使用すると、その外面と内面は片肉1mm程度の溶損が起こっていた。このことから、本発明被覆のストークは顕著な耐溶損効果があり、且つ溶損がないのでFe成分の溶湯への溶け込みがなく、アルミニウム合金低圧鋳造製品の品質を向上させる。

--

0030

図1本発明溶湯用部材の表層部の模式断面図である。
図2本発明実施例の溶損試験装置の正面説明図である。

0031

1;鉄系材料基材2;酸化膜又は酸窒化膜3;セラミック層
4;試験片5;非鉄金属溶湯6;試験片保持板
6a;支持軸7;溶湯浴槽

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ