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技術 ろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシート

出願人 神鋼アルコア輸送機材株式会社
発明者 瀧川淳植田利樹
出願日 1997年7月29日 (22年11ヶ月経過) 出願番号 1997-203475
公開日 1999年2月23日 (21年4ヶ月経過) 公開番号 1999-047919
状態 拒絶査定
技術分野 はんだ付・ろう付 はんだ付・ろう付材料 溶融はんだ付
主要キーワード 心材層 主構成部材 強制冷却装置 アルミニューム合金 JIS規格 腐食挙動 進展挙動 最適組成
関連する未来課題
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この項目の情報は公開日時点(1999年2月23日)のものです。
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課題

優れた耐食性を有するろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを提供する。特に、非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法が適用されるろう付アルミニウム製熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートの耐食性を向上させる。

解決手段

アルミニウム又はアルミニウム合金からなる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系合金又はAl−Si−Bi系合金又はAl−Si−Mg−Bi系合金をろう材とする皮材複合化してなるろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを用いてろう付け組付けしてなるろう付アルミニウム製熱交換器において、ろう付け後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子長径平均寸法を25μm以下にする。

概要

背景

ろう付アルミニウム熱交換器は軽量化、加工性に優れるため、自動車用熱交換器として多く使用されている。自動車用熱交換器として、エバポレータコンデンサーオイルクーラーラジエーター等がある。これら自動車用熱交換器のろう付は非腐食性フラックスろう付法および真空ろう付法等が用いられてきた。

自動車用アルミニウム合金熱交換器腐食に対する厳しい環境下で用いられるた場合、エバポレータでは外面の結露水によるチューブの早期貫通腐食が問題となり、優れた外面の耐食性の要求される。

腐食を防止する方法として、(イ)心材に対して陽極的に作用する犠牲陽極層により心材を電気化学的に防食する方法が提案されてきた。ろう材中に特定の元素、例えばZn、Sn、Inを添加してろう材層を心材に対して陽極的に作用させる方法である。さらに、ろう材と心材と皮材からなる複合材ブレージングシート)のろう材と皮材にZnを添加して、これらろう材と皮材を犠牲陽極として活用することが提案されている(特開平6−11291号公報参照)。

また、(ロ)熱交換器のフィン等に前記陽極的作用をもたせ、他の熱交換器の隔壁機能を有する主構成部材を防食する方法が提案されている。この方法はフィン用ブレージングシートの心材およびろう材に、Mg、Bi、Sb、Ba、Sr等を添加して、犠牲陽極機能をもたせると共に、さらにろう付性の改善するものである(特開昭54−56961号公報参照)。さらに、(ハ)心材のAl母材に第3元素、例えばCuを添加して、心材をろう材層の対比において陰極的に作用させる方法が提案されている(特開昭57−21793号公報参照)。

概要

優れた耐食性を有するろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを提供する。特に、非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法が適用されるろう付アルミニウム製熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートの耐食性を向上させる。

アルミニウム又はアルミニウム合金からなる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系合金又はAl−Si−Bi系合金又はAl−Si−Mg−Bi系合金をろう材とする皮材を複合化してなるろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを用いてろう付け組付けしてなるろう付アルミニウム製熱交換器において、ろう付け後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子長径平均寸法を25μm以下にする。

目的

そこで本発明は、これらの問題点を解決するために、ろう付後のろう材層自体の耐食性を改善することに注目したものである。すなわち、従来の犠牲陽極機能による防食だけでなく、ろう材層自体の耐食性の改善を図ることにより、初期の腐食の心材への到達を遅らせることにより、さらに優れた耐食性を有するろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを提供することを目的とするものである。特に、非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法が適用されるろう付アルミニウム製熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートの耐食性を向上させることを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
8件
牽制数
5件

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請求項1

アルミニウム又はアルミニウム合金からなる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系合金又はAl−Si−Bi系合金又はAl−Si−Mg−Bi系合金をろう材とする皮材複合化してなるろう付アルミニウム合金ブレージングシートを用いてろう付組付けしてなるろう付用アルミニウム製熱交換器において、ろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子長径平均寸法が25μm以下であることを特徴とする耐食性に優れるろう付アルミニウム熱交換器。

請求項2

前記ろう付用アルミニウム合金ブレージングシートのろう材がSr:0.01〜0.20質量%、Sb:0.10〜0.40質量%およびNa:0.01〜0.10質量%のうち1種又は2種以上を含んでなる請求項12記載の耐食性に優れるろう付アルミニウム熱交換器。

請求項3

非腐食性フラックスろう付法真空ろう付法により製造される請求項1又は2記載の耐食性に優れるろう付アルミニウム熱交換器。

請求項4

アルミニウム又はアルミニウム合金からなる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系合金又はAl−Si−Bi系合金又はAl−Si−Mg−Bi系合金をろう材とする皮材を複合化してなるろう付用アルミニウム合金ブレージングシートにおいて、前記ろう材は、Sr、Sb、Naのうち、1種又は2種以上の合金元素を含有し、その合金組成範囲がSrでは0.01〜0.20質量%、Sb0.10〜0.40質量%、Naでは0.01〜0.10質量%からなることを特徴とする耐食性に優れるろう付用アルミニウム合金ブレージングシート。

請求項5

前記ろう付用アルミニウム合金ブレージングシートのろう材のSi含有量が6.8〜13.0質量%である請求項4記載の耐食性に優れるろう付用アルミニウム合金ブレージングシート。

請求項6

非腐食性フラックスろう付法又は法真空ろう付法に用いられる請求項4又は5記載の耐食性に優れるろう付用アルミニウム合金ブレージングシート。

技術分野

0001

本発明は、耐食性に優れるろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートに関するもので、特に、非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法が適用されるろう付アルミニウム製熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートに関するものである。

背景技術

0002

ろう付アルミニウム熱交換器は軽量化、加工性に優れるため、自動車用熱交換器として多く使用されている。自動車用熱交換器として、エバポレータコンデンサーオイルクーラーラジエーター等がある。これら自動車用熱交換器のろう付は非腐食性フラックスろう付法および真空ろう付法等が用いられてきた。

0003

自動車用アルミニウム合金熱交換器腐食に対する厳しい環境下で用いられるた場合、エバポレータでは外面の結露水によるチューブの早期貫通腐食が問題となり、優れた外面の耐食性の要求される。

0004

腐食を防止する方法として、(イ)心材に対して陽極的に作用する犠牲陽極層により心材を電気化学的に防食する方法が提案されてきた。ろう材中に特定の元素、例えばZn、Sn、Inを添加してろう材層を心材に対して陽極的に作用させる方法である。さらに、ろう材と心材と皮材からなる複合材ブレージングシート)のろう材と皮材にZnを添加して、これらろう材と皮材を犠牲陽極として活用することが提案されている(特開平6−11291号公報参照)。

0005

また、(ロ)熱交換器のフィン等に前記陽極的作用をもたせ、他の熱交換器の隔壁機能を有する主構成部材を防食する方法が提案されている。この方法はフィン用ブレージングシートの心材およびろう材に、Mg、Bi、Sb、Ba、Sr等を添加して、犠牲陽極機能をもたせると共に、さらにろう付性の改善するものである(特開昭54−56961号公報参照)。さらに、(ハ)心材のAl母材に第3元素、例えばCuを添加して、心材をろう材層の対比において陰極的に作用させる方法が提案されている(特開昭57−21793号公報参照)。

発明が解決しようとする課題

0006

前述の防食方法によって、自動車用に用いられるアルミニウム熱交換器の耐食性は向上したが、さらに、優れた耐食性が要求されている。アルミニウム熱交換器の軽量化、薄肉化を、熱交換器の寿命を低下せずに達成する要求が顕著になっており、前述の防食方法でも問題が生じる場合がでてきた。

0007

真空ろう付では、Znはろう付時に蒸発してしまうため、ろう材への犠牲陽極層付与の効果がえられない。さらに、防食効果の低下の問題だけでなく、蒸発、飛散したZnにより炉の汚染を招くという問題もある。

0008

また、熱交換器のフィン等に陽極的作用をもたせる方法では、フィンが存在する部分では、熱交換器の隔壁機能を有する主構成部材を防食に効果があるが、フィンから離れた部分では犠牲陽極効果がなく、防食効果が示されない場合がある。さらに、心材にCuを添加して、心材をろう材層の対比において陰極的に作用させる方法は防食に効果があるが、Cuの添加量にも、加工性、成形性の点から限度がある。

0009

そこで本発明は、これらの問題点を解決するために、ろう付後のろう材層自体の耐食性を改善することに注目したものである。すなわち、従来の犠牲陽極機能による防食だけでなく、ろう材層自体の耐食性の改善を図ることにより、初期の腐食の心材への到達を遅らせることにより、さらに優れた耐食性を有するろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを提供することを目的とするものである。特に、非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法が適用されるろう付アルミニウム製熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシートの耐食性を向上させることを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0010

前述した目的を達成するために、発明者らは、ろう付アルミニウム熱交換器の耐食性を改善するために鋭意検討を行った。その結果、ろう材層の共晶組織を制御してろう材層自体の耐食性を改善を図ることにより、ろう付アルミニウム熱交換器の耐食性を向上できることを見い出し、本発明を完成した、

0011

本発明のうちで請求項1記載の発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系合金又は又はAl−Si−Bi又はAl−Si−Mg−Bi系合金をろう材とする皮材を複合化してなるろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを用いてろう付組付けしてなるろう付用アルミニウム製熱交換器において、ろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子長径平均寸法が25μm以下であることを特徴とするものである。これらろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下にすることによって、ろう材層の共晶組織中の腐食経路分断してろう材層における腐食の進展が大幅に遅くなりその結果、耐食性が向上する。

0012

また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、ろう付用アルミニウム合金ブレージングシートのろう材が質量%で(以下%は、すべて質量%とする。)Sr:0.01〜0.20%、Sb:0.10〜0.40%およびNa:0.01〜0.10%のうち1種又は2種以上を含むものである。Sr、Sb、Naのうち1種又は2種以上を前記成分範囲でろう材に加えることによって、通常のろう付(非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法)工程で適用される冷却速度30℃〜150℃/minの範囲でおいても、ろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下となりその結果、耐食性が向上する。

0013

このときのSrを0.05〜0.20%、Sb量を0.10〜0.20%、Na量を0.02〜0.10%にすることが好ましい。ろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をさらに小さくでき、ろう材層の共晶組織中の腐食経路の分断がより有効に行うことができ、耐食性がさらに向上する。

0014

また請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の耐食性に優れるろう付アルミニウム熱交換器が非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法により製造されるものである。非腐食性フラックスレスろう付法又は真空ろう付法により製造することによって、ろう付後の後処理が不要となりろう付コストが安価になるとともに、ろう付材の表面性状が改善できる。なお、非腐食性フラックスろう付法では、非腐食性フラックスとして、例えば、フッ化物系フラックスを用いる。このとき、ろう材中のMg含有量0.5%以下、好ましくは0.2%以下のろう材、例えば、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系合金又は又はAl−Si−Bi系合金ろう材を用いることが望ましい。Mgが非腐食性フラックスと反応して、フラックス変質させるからである。

0015

また請求項4記載の発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系合金又はAl−Si−Mg−Bi系合金又はAl−Si−Bi系合金をろう材とする皮材を複合化してなるろう付用アルミニウム合金ブレージングシートにおいて、前記ろう材は、Sr、Sb、Naのうち、1種又は2種以上の合金元素を含有し、その合金組成範囲がSrでは0.01〜0.201量%、Sb0.10〜0.40%、Naでは0.01〜0.10%からなることを特徴とするものである。ろう付用アルミニウム合金ブレージングシートのろう材を、Sr、Sb、Naのうち、1種又は2種以上の合金元素を含有し、その合金組成範囲がSrでは0.01〜0.20%、Sb0.10〜0.40%、Naでは0.01〜0.10%にすることによって、通常のろう付(非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法)工程で適用される冷却速度30℃〜150℃/minの範囲でおいても、ろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下にすることができ、アルミニウム熱交換器の耐食性を向上させる。

0016

このときのSrを0.05〜0.20%、Sb量を0.10〜0.20%、Na量を0.02〜0.10%にすることが好ましい。ろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をさらに小さくでき、ろう材層の共晶組織中の腐食経路の分断がより有効に行うことができ、アルミニウム熱交換器の耐食性をさらに向上させる。

0017

また請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成に加えて、ろう付用アルミニウム合金ブレージングシートのろう材のSi含有量が6.8〜13.0%である。ろう材のSi含有量はろう付性の観点から、6.8%以上必要であり、Si含有量が13.0%を越えるとブレージングシートへの加工性が悪化するとともに、Si相粒子の長径の平均寸法を25μm以下にすることが困難になる。

0018

また請求項6記載の発明は、非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法により用いられる請求項4又は5記載の耐食性に優れるろう付用アルミニウム合金ブレージングシートである。本発明のろう付用アルミニウム合金ブレージングシートは、ろう付後の後処理が不要で、ろう材の表面性状が良好な非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法に用いることができる。

発明を実施するための最良の形態

0019

本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。図1は、共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が25μm以下にした場合のろう付後ろ材層の腐食経路を示す模式図であり、図2は、共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が25μmより大きい場合のろう付後ろう材層の腐食経路を示す模式図である。

0020

本発明の実施の形態は、Al合金(Al−0.15%Cu−1.2%Mn)心材にAl−Si合金(Al−10.2%Si)ろう材をクラッドした、ろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを用いた。このろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを窒素雰囲気中で600℃×5分間加熱後、冷却速度を60と200℃/minに変化させて常温まで冷却して供試材を作成した。冷却速度が60℃/minでは、ろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が38μm(25μm以上)となり、冷却速度が200℃/minでは、Si相粒子の長径の平均寸法が18μm(25μm以下)となった。ろう付後の冷却速度は200℃/minは通常のろう付後の冷却速度(30℃〜150℃/min)より、速いものである。このため、ろう付完了後、ろう付炉より、強制的に取り出して窒素雰囲気中で強制冷却して製作したものである。これら供試材について、CASS腐食試験を行ない、ろう付後ろう材組織調査したものである。

0021

ろう付後ろう材組織は、図1、2に示されるように、初晶Al相とAl−Si共晶と、ろう材層の侵入エロージョン)をうけた層、心材残留物アルミニューム合金)からなる。Al−Si共晶組織を詳細に観察すると、Al−Si共晶組織のSi相粒子は細長い針条に伸びた形状でランダム分布している。また、図2に示すように、ろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が38μmの場合はこのSi相粒子が表面と心材間を連結する形態も認められた。なお、このAl−Si共晶組織は本実施の形態のAl−Si系ろう材だけでなく、Al−Si−Mg系ろう材、Al−Si−Bi系やAl−Si−Mg−Bi系ろう材でも同様のろう材組織を示す。

0022

さらに、これら供試材の腐食挙動の調査結果を説明する。腐食は、図1、2に示されるように、ろう材層の上部表面(アルミニウム熱交換器の外面ろう材側に相当)で発生して、さらにろう材層中を腐食が進展する。腐食が心材へ到達した後、心材層でさらに腐食が進むことが判明した。

0023

さらに、ろう材層での腐食発生進展挙動について調査した。ろう材層での腐食は、初晶のAl晶出物や心材の残留物は腐食されておらず、Al−Si共晶組織での腐食が著しいことが明らかになった。このAl−Si共晶組織中のSi相粒子とAl相との界面で優先的な腐食が進行している。図2に示すような、ろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が38μm場合は、Al−Si共晶組織中のSi相粒子とAl相との界面で優先的な腐食が心材へ到達するような腐食経路が生じていることが判明した。特に、前述の表面と心材間を連結するSi相粒子の部分では早期に心材に腐食が到達していることが観察された。

0024

Al−Si共晶組織中のSi相粒子とAl相の界面で腐食が優先的に進展する理由は、Al相中の電位分布が、Si相粒子との界面で最も卑となり、かつ界面以外の部位との電位差が相対的に大きくなり、電気化学的に腐食が進行するものと推定される。

0025

一方、共晶組織中Si相粒子の長径の平均寸法が18μmの場合は、図2に示すように、Si相粒子が小さくなることにより、腐食経路が分断されるていることが確認された。このため、アルミニウム熱交換器のろう材層における腐食の進展が大幅に遅くなり、アルミニウム熱交換器の耐食性が向上するものと考えられる。

0026

表1に示すCASS腐食試験の結果により、共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が25μm以下の場合は、CASS腐食試験での最大孔食深さが80μm以下と優れた耐食性を示していることが明らかとなった。このとき、Al−Si系ろう材だけでなく、Al−Si−Mg系ろう材やAl−Si−Bi系ろう材やAl−Si−Mg−Bi系ろう材でも、CASS腐食試験での最大孔食深さが80μm以下と優れた耐食性を示していることが判明した。Al−Si共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下にすることにより、アルミニウム熱交換器の耐食性を大幅に向上できることが判明した。

0027

ブレージングシートのろう付後ろう材中の共晶組織のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下に制御するための方法について検討した。ろう付時の冷却速度を速くすることにより、共晶組織のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下にすることは可能である。また、ろう材中のSi量は少なくすることにより可能である。

0028

ろう付性の観点から、Si量は6.8%以上必要であり、このSi量が6.8%では、共晶組織のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下にするためには、表1よりろう付時の冷却速度を190℃/min以上にする必要がある。しかしながら、熱交換器のろう付(非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法)工程において、実際に190℃/minの冷却速度を得ることは難しい。190℃/minの冷却速度を得るためは強制冷却装置等を新たに増設する必要があり、設備費の増加、設備のメンテナンスが複雑になる等の問題が生ずることとなる。

0029

このため、通常のろう付工程で適用される冷却速度30℃〜190℃/minの範囲においても、共晶組織のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下する手段について発明者らはさらに鋭意検討を行った。その結果、表1に示すように、ろう材中にSr:0.01%好ましくは0.05%以上、Sb:0.1%以上、Na:0.01%好ましくは0.02%以上を,1種又は2種以上添加することにより、冷却速度30℃〜190℃/minの範囲においても、ろう付後共晶組織中の粒子の長径の平均寸法を25μm以下とできること見い出した。さらに、表1に示すように、それぞれ、Sr:0.20%、Sb:0.40%Na:0.10%を越えると、ブレージングシートの熱間加工時にそれぞれSr、Sb、Naを主体とする化合物を生ずるようになり、これら化合物を起点として割れの発生が生じるため、熱間加工性が悪化することが明らかになった。

0030

凝固組織に及ぼすSb、Sr、Na添加の影響について詳細は明らかでないが、ろう付工程でのろう材層凝固時、特に共晶反応時のSi相粒子の晶出核の個数に影響し、これら添加元素はSi相粒子の晶出を促進する効果を有すると推定される。これら添加元素を最適組成で添加することにより凝固開始時のろう材共晶組織中のSi相粒子の晶出数を増加させ、その結果、凝固終了時の共晶組織中のSi相の晶出サイズを小さくする効果を示すと考えられる。

0031

本発明の実施例を表1により説明する。表1は本発明のろう付アルミニウム熱交換器の製造方法とろう付アルミニウム熱交換器の試験結果を示すものである。ブレージングシートは心材に、Al−0.15%Cu−1.1%Mn−0.2%Mgを用い、ろう材は表1に示す組成のものを用いた。ブレージングシートは板厚0.45mm、両面クラッド材クラッド率は15%(板厚の比)である。供試材No.1、8、12を除き、すべて真空ろう付を行った。真空ろう付法は、真空雰囲気中(真空度:2.5×10-2Pa)で600℃−5分間加熱し、その後、炉冷(60〜70℃/min)した。供試材No.1、8、12は非腐食性フラックスろう付を行った。非腐食性フラックスろう付法はブレージングシートのろう材面に非腐食性フラックスを塗布し、乾燥後、窒素雰囲気中で600℃−5分間加熱し、その後、炉冷(60〜70℃/min)した。なお、供試材No.1はろう付完了後、ろう付炉より強制的に取り出して窒素雰囲気中で強制冷却した。ろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の寸法の測定は、光学顕微鏡により行った。また、腐食試験はJIS規格CASS試験200時間後における最大孔食深さを測定し評価した。

0032

0033

表1の結果より明らかなように、ろう付後ろう材共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が25μm以下の供試材は、すべてCASS腐食試験での最大孔食深さが80μm以下と優れた耐食性を示している。Sb、Sr、Na等の最適組成範囲の下限値以上の添加により、ろう付時の冷却速度が60〜70℃/minにおいて、Si相粒子の長径の平均寸法が25μm以下となった。しかしながら、供試材No.10、11、14のブレージングシートは熱間加工時に割れの発生等によって熱間加工性に問題があった。これらのブレージングシートは、Sb、Sr、Naが最適組成範囲より多くなり、Sb、Sr、Naがそれぞれ主体とする化合物を生じ、これら化合物を起点として割れ等が発生したものと考えられる。

0034

本発明の実施例に限定されることなく、以下に示すような従来の防食方法を併用してもよい。例えば、(イ)のろう材中に特定の元素、Zn、Sn、Inを添加してろう材層を心材に対して陽極的に作用させる犠牲陽極層により心材を電気化学的に防食する方法、(ロ)熱交換器のフィン等に陽極的作用をもたせ、他の熱交換器の隔壁機能を有する主構成部材を防食する方法、(ハ)心材のAl母材に第3元素、例えばCuを添加して、心材をろう材層の対比において陰極的に作用させる方法等である。従来の防食方法を組み合わせることにより、本発明のろう材層の共晶組織の制御による初期の腐食の耐食性の改善より、耐食性がさらに向上でき、さらに軽量化が可能となる。

発明の効果

0035

以上説明したように、本発明は、ろう付後ろう材共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をを25μm以下に制御して、初期の腐食の心材への到達を遅らせることにより、さらに優れた耐食性を有するろう付アルミニウム熱交換器を得ることを可能とするものである。特に、非腐食性フラックスろう付法又はろう付法真空ろう付法が適用されるろう付アルミニウム製熱交換器の耐食性を向上を可能とするものである。このことにより、アルミニウム熱交換器の寿命低下させずに、アルミニウム熱交換器の軽量化、薄肉化を達成することを可能とするものである。さらに、最適組成範囲のSb、Sr、Naを添加したろう材を有するろう付用アルミニウム合金ブレージングシートは非腐食性フラックスろう付法又はろう付法真空ろう付法の冷却速度でう付け後ろう材共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をを25μm以下にすることを可能し、優れた耐食性を有するろう付アルミニウム熱交換器用のアルミニウム合金ブレージングシートに適用される。

図面の簡単な説明

0036

図1共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をを25μm以下にした場合のろう付後ろう材層の腐食経路を示す模式図である。
図2共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をを25μmより大きい場合のろう付後ろう材層の腐食経路を示す模式図である。

--

0037

1 Al初晶
2エロージョンによる心材の残留物(Al合金)
3共晶組織中のSi相粒子
4 共晶組織中のAl相
5腐食経路

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    【課題】はんだ合金の溶融、冷却凝固を複数回行う場合であっても、作動時に相変態に伴う体積変化、及び体積変化に起因した歪や亀裂の発生などを抑制した信頼性の高い接合部を生産性良く形成可能なはんだ接合部の製造... 詳細

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