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課題
解決手段
概要
背景
従来、コンクリート躯体からなる建築物の陸屋根等において、防水シートを用いる防水施工法としては、防水シートを下地面全面に接着するいわゆる密着工法と、防水シートを浮し張りして敷設するいわゆる機械固定工法とが広く知られ、多く採用されている。そして上記支柱や異形膨隆部等の突出物の周辺部では、各防水施工法に応じた防水シートの固定方法と固定用部材が適用されている。
すなわち、密着工法による場合では、図6に示すように、突出物(S)が設けられた下地面(31)に、突出物(S)に相当する部分が切除された防水シート(32)を、突出物(S)に近接して配置したのち接着剤(x)を介して接着固定し、ついで前記突出物(S)とその周辺部の防水シート(32)の端部(32a)との境界部に、不定形シール材(34)を塗布して水密処理を施す防水工法である。
また、機械固定工法による場合では、図7に示すように、突出物(S)が設けられた下地面(41)に、突出物(S)の周囲の形状に沿うように加工を施した、例えば塩化ビニル鋼板製の接合部材(43)を固着し、ついで防水シート(42)をその端縁部(42a)が前記接合部材(43)に重なるように配置するとともに、接着剤(x)等により接合する。そして、前記突出物(S)と防水シート(42)の端縁部(42a)との境界部に不定形シール材(44)を塗布して水密処理を施す防水工法である。
しかしながら、上記従来の密着工法による場合、突出物(S)周辺部で防水シート(32)に押さえを施さないので、端部(32a)から剥がれを生じ、漏水の原因となりやすい。また、上記の機械固定工法のよる場合、突出物(S)の周囲の形状に合わせて、前記接合部材(43)を加工しなければならず、これを現場で加工すると非常に手間がかかるだけでなく作業者の熟練を要し、また前記接合部材(43)を予め作製しこれを随時使用することにすると、在庫問題やコスト高を招くという問題を生ずる。
さらに、上記従来工法のいずれの場合においても、突出物と防水シートの端縁部とが近接しているから、防水シートの固定状態を確認しにくく、接着不良等の固定の欠点部分を見過ごすという危険性がある。
概要
防水シートを、陸屋根等の下地面に設けられた突出物の形状の変化にかかわらず突出物に近接した位置で容易にかつ強固に押圧固定し水密処理を施すことができる陸屋根等の突出部における防水シートの固定方法及びその固定用部材を提供する。
突出物が設けられ下地面に防水シートを配置し、突出物の周辺部に近接する防水シートの少なくとも端縁部を下地面に接着固定すると共に、複数の短冊状細片が連結ピンでチェーン状に連結された押え具本体とこの押え具本体を貫通しこれを下地面に固定するための固定具よりなる固定用部材によって不定形シール材を介して押圧固定し、ついで突出物と固定用部材との境界部に不定形シール材を固定用部材の上面を覆う状態で水密状態に充填する。
目的
この発明は、上記のような従来の問題を解決し、防水シートを敷設する陸屋根等の下地面に設けられた突出物の形状の変化にかかわらず、防水シートを、突出物に近接した位置で容易にかつ簡単に押圧固定し、水密処理を施すことができて、強固に防水施工をおこない得る陸屋根等の突出物周辺部の防水シートの固定方法及びその固定用部材を提供することを目的とする。
効果
実績
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この技術が所属する分野
請求項1
防水シートを敷設する陸屋根等の下地面に設けられた突出物周辺部の防水シートの固定方法であって、前記下地面に防水シートを配置し、前記突出物に近接する前記防水シートの端縁部を下地面に接着固定すると共に、同端縁部を、複数の短冊状細片が連結ピンでチェーン状に連結された押え具本体と該押え具本体を貫通しこれを下地面に固定するための固定具よりなる固定用部材によって不定形シール材を介して押圧固定し、さらに前記突出物と前記固定用部材との境界部に不定形シール材を、前記固定用部材の上面が覆われる状態に充填することにより水密処理を施してなる防水シートの固定方法。
請求項2
防水シートを敷設する陸屋根等の下地面に設けられた突出物周辺部の防水シートの固定方法に用いられる固定用部材であって、複数の短冊状細片が各両端部で上下交互に重ね合わされるとともに、該重ね合わせ部分で連結ピンにより水平方向には回動自在とされてチェーン状に連結された押え具本体と該押え具本体を貫通しこれを下地面に固着するための固定具よりなる防水シートの固定用部材。
請求項3
上側に位置する短冊状細片に固定具挿通孔が設けられてなる請求項2に記載の防水シートの固定用部材。
請求項4
技術分野
0001
この発明は、防水シートを敷設する陸屋根等における防水シートの固定方法及びその固定用部材に関する。さらに詳しくは、防水シートを敷設する陸屋根等の下地面に設けられた照明灯、アンテナ、フェンス、物干し等の支柱や、その他下地面上に設けられた異形膨隆部等の突出物周辺部の防水シートの固定方法及びその固定用部材に関する。
背景技術
0002
従来、コンクリート躯体からなる建築物の陸屋根等において、防水シートを用いる防水施工法としては、防水シートを下地面全面に接着するいわゆる密着工法と、防水シートを浮し張りして敷設するいわゆる機械固定工法とが広く知られ、多く採用されている。そして上記支柱や異形膨隆部等の突出物の周辺部では、各防水施工法に応じた防水シートの固定方法と固定用部材が適用されている。
0003
すなわち、密着工法による場合では、図6に示すように、突出物(S)が設けられた下地面(31)に、突出物(S)に相当する部分が切除された防水シート(32)を、突出物(S)に近接して配置したのち接着剤(x)を介して接着固定し、ついで前記突出物(S)とその周辺部の防水シート(32)の端部(32a)との境界部に、不定形シール材(34)を塗布して水密処理を施す防水工法である。
0004
また、機械固定工法による場合では、図7に示すように、突出物(S)が設けられた下地面(41)に、突出物(S)の周囲の形状に沿うように加工を施した、例えば塩化ビニル鋼板製の接合部材(43)を固着し、ついで防水シート(42)をその端縁部(42a)が前記接合部材(43)に重なるように配置するとともに、接着剤(x)等により接合する。そして、前記突出物(S)と防水シート(42)の端縁部(42a)との境界部に不定形シール材(44)を塗布して水密処理を施す防水工法である。
0005
しかしながら、上記従来の密着工法による場合、突出物(S)周辺部で防水シート(32)に押さえを施さないので、端部(32a)から剥がれを生じ、漏水の原因となりやすい。また、上記の機械固定工法のよる場合、突出物(S)の周囲の形状に合わせて、前記接合部材(43)を加工しなければならず、これを現場で加工すると非常に手間がかかるだけでなく作業者の熟練を要し、また前記接合部材(43)を予め作製しこれを随時使用することにすると、在庫問題やコスト高を招くという問題を生ずる。
発明が解決しようとする課題
0007
この発明は、上記のような従来の問題を解決し、防水シートを敷設する陸屋根等の下地面に設けられた突出物の形状の変化にかかわらず、防水シートを、突出物に近接した位置で容易にかつ簡単に押圧固定し、水密処理を施すことができて、強固に防水施工をおこない得る陸屋根等の突出物周辺部の防水シートの固定方法及びその固定用部材を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0008
上記の目的において、この発明の第1の発明は、防水シートを敷設する陸屋根等の下地面に設けられた突出物周辺部の防水シートの固定方法であって、前記下地面に防水シートを配置し、前記突出物に近接する前記防水シートの端縁部を下地面に接着固定すると共に、同端縁部を、複数の短冊状細片が連結ピンでチェーン状に連結された押え具本体と該押え具本体を貫通しこれを下地面に固定するための固定具よりなる固定用部材によって不定形シール材を介して押圧固定し、さらに前記突出物と前記固定用部材との境界部に不定形シール材を、前記固定用部材の上面が覆われる状態に充填することにより水密処理を施してなる防水シートの固定方法を要旨とする。
0009
また、この発明の第2の発明は、上記第1の発明である防水シートを敷設する陸屋根等の下地面に設けられた突出物周辺部の防水シートの固定方法に用いられる固定用部材であって、複数の短冊状細片が各両端部で上下交互に重ね合わされるとともに該重ね合わせ部分で連結ピンにより水平方向には回動自在とされてチェーン状に連結された押え具本体と該押え具本体を貫通しこれを下地面に固着するための固定具よりなる防水シートの固定用部材を要旨とする。
0010
すなわち、この発明は、下地面に突出物が設けられた防陸屋根等に、防水シートを敷設する際に、前記突出物に近接してその周辺部に固定する防水シートの端縁部を、複数の短冊状細片が連結されたチェーン状の押え具本体とこれを下地に固着するための固定具からなる特定構造の固定用部材によって不定形シール材を介して下地面に押圧固定し、さらに前記突出物と前記固定用部材との境界部に不定形シール材を、前記固定用部材の上面が覆われる状態で充填することにより水密処理を施を施すようにしたものである。
0011
また、この発明の固定用部材の好ましい実施形態としては、複数の短冊状細片が各両端部で上下交互に重ね合わされるとともに、該重ね合わせ部分で連結ピンにより水平方向には回動自在とされてチェーン状に連結された押え具本体と該押え具本体を貫通しこれを下地面に固定するための固定具からなるものであって、上側に位置する短冊状細片に固定具挿通孔が設けられてなる防水シートの固定用部材である。
0012
さらに、この発明の固定用部材の好ましい別の実施形態としては、複数の短冊状細片が各両端部で上下交互に重ね合わされるとともに、該重ね合わせ部分で連結ピンにより水平方向には回動自在とされてチェーン状に連結された押え具本体と該押え具本体を貫通しこれを下地面に固定するための固定具からなるものであって、前記固定具が挿通可能な中空状の連結ピンにより複数の短冊状細片を連結してなる防水シートの固定用部材である。
発明を実施するための最良の形態
0013
以下、この発明の実施の形態を、実施例を示す図面に従って説明する。
0014
図1は、防水シートを敷設する陸屋根等の突出物が設けられた下地面において、この発明が適用された突出物の周辺部における防水シートの固定状態を示す図面である。(L)はコンクリート製の陸屋根であり、その下地面(1)に突出物(S)として断面円形の支柱(S1)が設けられている。前記支柱(S1)の周辺部には、これに近接して防水シート(2)が配置され、その防水シート(2)の少なくとも端縁部(2a)が前記下地面(1)に接着剤(x)を介して接着固定されている。前記端縁部(2a)は、その上からチェーン状の押え具本体(P)と固定具(F)からなる固定用部材(3)によって、前記下地面(1)に向けて不定形シール材(4)を介して押圧固定されている。さらに、前記支柱(S1)と前記固定用部材(3)との境界部(b)には不定形シール材(4)が、前記固定用部材(3)の上面が覆われる状態に充填することにより水密処理を施されて、支柱(S1)が設けられた突出部(1)の周辺部に防水シート(2)の端縁部(2a)が固定されている。なお、防水シート(2)は、その端縁部(2a)からさらに延長される部分全面で、接着剤(x)を介して下地面(1)に接着固定されて、陸屋根(L)全体の防水施工がなされている。
0015
なお、上述の図1に示す実施形態では、密着工法を基本とした防水施工に適用する防水シートの固定方法について述べたが、この発明においては、機械固定工法を基本とした防水工法にも適用することができる。即ち、前記支柱(S1)の周辺部の防水シート(2)の固定は、図1の密着工法を基本とする場合と同様の状態で行うこととし、防水シート(2)の端縁部(2a)からさらに延長される部分では、接合用部材等を用いて敷設する機械固定工法によって下地面(1)に部分的に固定する(図示省略)ことにより、陸屋根(L)全体を防水施工することができる。
0016
つぎに、この発明における固定用部材について説明する。図2において、固定用部材(3)は、押え具本体(P)と固定具(F)とからなり、同押え具本体(P)は、短冊状細片(Pa)(Pb)が互いに端部(e)で重なり合い、該端部(e)で連結ピン(Pc)によって水平方向(矢印)に回動自在となるように連結されている。そして、上側に位置する短冊状細片(Pa)の中央には固定具挿通孔(h)が穿たれた状態に構成されている。
0017
上記固定用部材(3)の短冊状細片(Pa)(Pb)の寸法は、幅10〜100mm、長さ20〜200mm、厚さ1〜3mm程度の範囲のものが適当であるが、これは下地面(1)に設けられた突出物(S)の大きさと、その断面形状によって任意に決定されるもので、前記の寸法範囲に限定されるものではない。また、固定用部材(3)を下地面(1)に固着する際に、短冊状細片(Pa)が固定具(F)の打込みによって曲げ変形を起こすことがあるので、短冊状細片(Pb)よりも厚さは厚く、長さは短くしてもよい。
0018
また、上記固定用部材(3)の固定具(F)は、短冊状細片(Pa)の固定具挿通孔(h)に挿通され、防水シート(2)を貫通し、その先端が下地面(1)に埋没されるように打込まれるのであるが、通常下地面(1)はコンクリートであるから、これに対応する一般市販の開脚釘、カール・プラグ等が好適に用いられる。
0019
この発明の固定用部材としては、さらにつぎのように変形した形態のものが適用可能である。すなわち、図3に示すように、短冊状細片(Pa)(Pb)を連結する連結ピン(Pc)は、固定具(F)が挿通可能な中空状のものとされており、この連結ピン(Pc)の挿通孔(h´)に固定具(F)が挿通され、防水シート(2)を貫通し、その先端が下地面(1)に打込まれるように形成されている。この場合は、固定用部材(3´)の短冊状細片(Pa)は、固定具(F)の打込みによって曲げ変形を起こすことはなく、したがって短冊状細片(Pb)よりも厚さを厚く、長さを短くしなくてもよい。
0020
つぎに、この発明の実施の形態を、防水シート(2)の敷設の作業順序に従って説明する。
0021
図4(イ)は、下地面(1)に、突出部(S)として、例えば照明灯の支柱(S2)が設けられた陸屋根(L)を示す断面図である。
0022
まず、図4(ロ)に示すように、密着工法を適用して、支柱(S2)の周辺部にを含む下地面(1)全面に接着剤(x)を塗布し、その上に防水シート(2)を、その端縁部(2a)が支柱(S2)に近接する状態で、接着固定する。
0023
ついで、図4(ハ)に示すように、防水シート(2)の端縁部(2a)の全周に不定形シール材(4)を塗布し、さらに前記不定形シール材(4)を介して、図2に示す形態の固定用部材(3)を、これが支柱(S2)の全周に巻き付く態様で、前記端縁部(2a)上に配置し、ついで固定具(F)を短冊状細片(Pa)の固定具挿通孔(h)に挿通し、前記防水シート(2)の端縁部(2a)を貫通させて、下地面(1)に打込むことにより、固定用部材(3)の下面、すなわち短冊状細片(Pb)によって防水シート(2)の前記端縁部(2a)を押圧固定する。
0024
さらに、図4(ニ)に示すように、支柱(S2)と固定用部材(3)との境界部(b)に不定形シール材(4)を、前記固定用部材(3)の上面が覆われる状態で充填することにより水密処理を施す。この場合、不定形シール材(4)は、支柱(S2)と固定用部材(3)との境界部(b)及び前記固定用部材(3)の上面のみならず、前記固定用部材(3)全体を覆い隠すように塗布することとしてもよい。
0025
ところで、この発明による固定用部材(3)は、水平方向に回動自在とされているから、突出物(S)の断面形状が、前記突出物(S1)及び(S2)等のように円形であるもののほか、各種の異なった形状のものに対しても、固定用部材(3)の短冊状細片(Pa)及び(Pb)の互いの向きを回動調整して、突出物(S)の断面形状に沿うように、突出物(S)に近接配置させることができる。
0026
なお、この発明において用いられる防水シート(2)としては、例えば軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂シート、あるいは非加硫ゴムシート、ゴムアスファルト系シート、塩化ビニル系ないしポリオレフィン系エラストマー等であるが、とくに接着性の点で軟質ポリ塩化ビニル製樹脂シートが好ましい。また、その厚さは、例えば1.0〜2.5mmである。
0027
また、上記の固定用部材(3)の短冊状細片(Pa)(Pb)、連結ピン(Pc)及び固定具(F)の材質は、発錆や腐食のない金属製のものが好ましく、例えば防錆処理鋼板、アルミニウム板、ステンレス板等とする。
0029
上述のように、この発明の防水シートの固定方法及びその固定用部材においては、水平方向に回動自在とされたチェーン状の固定用部材が、防水シートの端縁部を下地面の突出物の周辺部に近接した位置で押圧固定し、前記防水シートの端縁部が下地面に強固に固定された状態を維持する役目を果たす。
0030
また、この発明の固定用部材では、上下交互に重ね合わされ各両端部で連結ピンにより水平方向に回動自在に連結された短冊状細片のうち、上側に位置する短冊状細片に固定具挿通孔を設け、該固定具挿通孔に固定具を挿通するか、または短冊状細片の上下重ね合わせ部分に中空状の連結ピンを用い、該連結ピンに固定具を挿通して、防水シートを貫通させて下地面に埋没させるようにしたから、防水シートを下地面に強固に押圧固定できる。
0031
以下、この発明の実施例を、比較例とともに説明する。なお、対象は陸屋根の下地面に設けられた突出物周辺部の防水シートとし、比較例には前述の図7に示す機械固定工法による従来工法を採用した。
0032
実施例
図5において、(S2)は、突出物(S)としての外径150mmのアルミニウム製のパイプであり、該パイプ(S2)は、陸屋根(L)のコンクリート製の下地面(11)に立設されており、該パイプ(S2)の周辺部の下地面(11)上に防水シート(12)を敷設するものとする。
0033
まず、上記下地面(11)に、機械固定工法により、厚さ1.5mmの軟質ポリ塩化ビニル製シート(商品名:サンロイドDNシート、筒中プラスチック工業社製)からなる防水シート(12)を、上記下地面(11)に設けられたパイプ(S2)に相当する部分を切除し、その端縁部(12a)を前記パイプ(S2)に近接するように配置して、下地面(11)に接着固定し、さらに防水シート(12)の延長部分では、通常の塩化ビニル樹脂製鋼板製の接合部材(f)を下地面(11)に固着し、これを介して前記防水シート(12)を下地面(11)上に部分的に接着固定した。
0034
ついで、固定用部材(13)として、厚さ2.0mm、幅20mm、長さ50mmの鋼板製の短冊状細片(Pa)(Pb)からなり、固定具(F2)が挿通可能な中空状の連結ピン(Pc)によってチェーン状に連結された、図3で示したと同様の固定用部材(13)を用意した。
0035
つぎに、防水シート(12)の端縁部(12a)上にシリコン系の不定形シール材(14)を塗布したのち、その上に上記固定用部材(13)を上記パイプ(S2)に近接しこれを取囲むように配置するとともに、開脚釘からなる固定具(F2)を固定用部材(13)の連結ピン(Pc)に挿通し、防水シート(12)を貫通するように下地面(11)に打込み、防水シート(12)の端縁部(12a)を押圧固定した。
0036
さらに、上記パイプ(S2)と固定用部材(13)との境界部にシリコン系のシール材(14)を、前記固定用部材(13)の上面を覆い隠すように充填することにより水密処理を施して、防水シート(12)の固定を完了した。
0037
上記により固定された防水シート(12)の端縁部(12a)は、固定用部材(13)により下地面(11)に強固に押圧固定されており、パイプ(S2)と固定用部材(13)との境界部が十分に水密処理されたものであった。
0038
比較例
実施例と同様のパイプ(S2)からなる突出物(S)が立設された、実施例と全く同様の構造からなる陸屋根(L)に、図7に示す従来の機械固定工法に従って、防水シート(42)を敷設するものとした。
0040
ついで、防水シート(42)の端縁部(42a)を上記接合部材(43)表面に接着固定し、さらに突出物(S)と前記防水シート(42)の端縁部(42a)との境界部に不定形シール材(44)を塗布し水密処理を施して防水シート(42)の固定を完了した。
0041
比較例においては、接合部材(43)に防水シート(42)を接着固定する際に、前記固定部分が突出物(S)に近接しているため、接合部材(43)に対する防水シート(42)の端縁部(42a)の固定状態を十分に確認できず、また固定強度も十分なものではなかった。
発明の効果
0042
以上のように、この発明による防水シートの固定方法は、突出物が設けられた下地面に防水シートを配置し、前記突出物の周囲に近接する前記防水シートの端縁部を下地面に接着固定すると共に、同端縁部を複数の短冊状細片が連結ピンでチェーン状に連結された押え具本体と該押え具本体を貫通しこれを下地面に固定するための固定具よりなる固定用部材によって、不定形シール材を介して押圧固定し、ついで前記突出物と前記固定用部材との境界部に不定形シール材を、前記固定用部材の上面が覆われる状態に充填することにより水密処理を施してなるものであるから、防水シートを、突出物の形状の変化にかかわらず、突出物に近接した位置で容易にかつ強固に押圧固定し得て、防水シートの端縁部のめくれを防止し、また前記突出物と前記固定用部材との境界部に隙間を生じることがなく確実な水密処理を施すことができて、突出物の周辺部における水密処理を十分な状態に維持し得るという効果がある。
0043
また、この発明による防水シートの固定方法に用いられる固定用部材は、複数の短冊状細片が各両端部で上下交互に重ね合わされるとともに該重ね合わせ部分で連結ピンにより水平方向には回動自在とされてチェーン状に連結された押え具本体と該押え具本体を貫通しこれを下地面に固定するための固定具よりなるものであるから、構造が極めてシンプルであり、しかも使用に当たっては本体を水平方向に回動させながら対象となる突出物の大きさや断面形状に合わせて自在にこれに近接して配置し固定することができる。従って、従来のように接合部材を予め突出物の断面形状に合わせて切断加工して用いるというような繁雑さはなく、特殊な形状の部材は不要であり、防水施工現場における作業を著しく容易にし、防水シートの固定を確実かつ低コストになし得るという効果がある。
図面の簡単な説明
0044
図1この発明の防水シートの固定方法の実施形態を示す部分断面図である。
図2この発明の防水シートの固定用部材の実施形態を説明するための斜視図である。
図3この発明の防水シートの固定用部材の別の実施形態を説明するための縦断面図である。
図4この発明の実施形態を防水シートの敷設の作業順序に従って説明するものであり、図4(イ)は下地面に立設された突出物の状態を示す部分断面図、図4(ロ)は突出物周辺部の防水シートの配置状態を示す部分断面図、図4(ハ)は防水シートを固定用部材による押圧固定の状態を示す平面図、図4(ニ)は防水シートの押圧固定の完了状態を示す部分断面図である。
図5この発明の実施例における防水シートの押圧固定状態を示す斜視図である。
図6従来の密着工法による場合の、防水シートの固定状態を示す断面図である。
図7従来の機械固定工法による場合の、防水シートの固定状態を示す断面図である。
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0045
1…下地面
2…防水シート
2a…端縁部
3…固定用部材
4…不定形シール材
S…突出物
Pa、Pb…短冊状細片
Pc…連結ピン
F…固定具
L…陸屋根