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技術 流体浮揚ビークルを推進させおよび抗力を低減させる方法および構造

出願人 エレクトリックボートコーポレーション
発明者 ジョンエイチチャップマン
出願日 1998年6月15日 (21年10ヶ月経過) 出願番号 1998-166781
公開日 1999年2月9日 (21年2ヶ月経過) 公開番号 1999-034990
状態 特許登録済
技術分野 船舶の推進 飛行船・気球・飛行機 整流装置
主要キーワード 張出し構造 流体入口開口 流体境界層 両セクション ノズル排出 逆回転軸 航洋船 低密度ガス
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

ビークルにより形成される抗力を低減させ、同時に流れ分離を回避させる流体浮揚ビークルの推進方法および推進構造を提供することにある。

解決手段

本発明の方法および構造は、ビークルの最大幅部分を含む前部胴体セクションテーパ状の後部胴体セクションとの間の移行領域を包囲する入口を備えた推進システムを使用して、前部胴体セクションにより発生される粘性境界層から流体を除去しかつこの境界層流体浮揚を、後部胴体セクションの推進システムを通して加速することからなる。境界層流体の除去により、種々の等級のビークルにより発生される後流中に生じる運動量の損失が低減される。

概要

背景

多くの形式ビークルは、周囲の流体加速することによりビークルに推力を付与する推進システムを使用している。しかしながら、これらの推進システムの殆どは、ビークルを包囲する自由流れからの流体が、遠位場(far field)の流体媒体に対し、ビークルの速度でまたはビークルの速度に近い速度で入口に接近するように構成されている。これは、ガスタービン動力とする固定翼航空機には好ましい。なぜならば、流体がエンジン入口吸込み口)での淀み点の近くに運ばれるときに、入口に接近する流体の高い速度が圧力水頭に変換されるからである。これにより、ガスタービンの圧縮機が発生すべき圧力比が低下され、従ってより小形の圧縮機、およびより高いサイクル効率かつより軽量のエンジンに変換できる。もちろん、この代償として、効率の悪いエンジン入口を、ビークルを包囲する自由流れ中に懸架することにより、ビークルの形状抗力すなわち圧力抗力が全体として増大される。この殆ど汎用エンジン構造は、航空機およびエンジン製造業者協力して行なった入念な共同研究の結果と考えられる。すなわち、多量の圧縮ガスを必要としないが、ビークルの移動方向に対して垂直な平面内で回転するプロペラを駆動すべく便利に配置されるレシプロエンジン構造の単なる流用であるともいえる。

また、接近流体が全入口領域に亘ってできる限り均一な速度に近い速度を有するように、シャフトドライブ形プロペラおよびファンを構成するのが望ましい。

プロペラおよびファンブレードピッチおよび幾何学的形状は狭い範囲の接近速度で最適化でき、個々のブレードは大きな周期荷重を受ける。このため、プロペラまたはファンの上流側の流体速度が不均一の角分布を有する場合には、疲労が加速されかつ推進効率が低下される。これは、航空機のプロペラおよびファンを、揚力面制御面および胴体の回りに発生される境界層から離れた位置に配置することについての可能性ある他の動機付けである。

多数の試験的かつ商業的航空機は、自由流れ中に懸架された前向きのプロペラ・ファン・エンジン入口からの種々の逸らし(departures)を実行している。例えば回転翼航空機は、主回転翼ステムおよび尾部回転翼が、殆どの場合実際に主胴体から離れて配置されていて、境界層流を使用しないが、一般に、半径方向を向いたエンジン入口を使用している。いわゆる「プロペラ推進形(pusher-prop)」航空機は、1 つ以上の胴体または張出し構造の後部に位置するプロペラまたはファンを使用し、胴体または張出し構造を包囲する境界層から流体を吸引するが、このようなプロペラに作用する流体の主要部は、一般に自由流れであることが許容されている。これらの構造で境界層流を除去することのあらゆる利益は、プロペラ後流(すなわち、胴体または張出し構造のみからの後流より直径が大きい「プロップウォッシュ(prop wash)」)により、および大きな揚力面により生じる寄与に比べ、胴体または張出し構造境界層からの全形抗力への寄与の方が小さいという事実により否定される。

米国航空宇宙局NASA)のジェット推進研究所(JPL)により構成および試験されたX−21Aのような試験航空機は、航空機の全外面上に亘って分散配置されたファン、ダクトおよび通気孔からなる複雑な構造を使用し、全ての境界層流体を殆ど完全に除去している。この航空機は抗力を20〜30%低減させ、空気力学的見地から成功であることを証明したが、複雑なダクトおよび排気ファンのため、任意の有効ペイロードのための積載量の余裕が残されず、かつ数千個の小さな通気孔はメインテナンスの見地から非実用的である。比較的きれいな滑走路条件でも、数回の試験飛行を行なっただけで、孔は殆ど完全に塞がれてしまった。

他の多くの形式の流体浮揚ビークルは、該ビークルを包囲する流体を加速する推進システムを使用しているが、真っ直ぐ前方を向いた入口を使用し、ビークルの主本体により発生される境界層から極く僅かに流体を吸引するか、全く吸引しない。飛行船のようなビークルは揚力面を使用せず、比較的小さな制御面を使用している。飛行船の形状抗力の殆ど全ては、ビークルの主本体の周囲に存在する流体境界層により発生される後流での運動量の損失によるものである。小形の無人航空機も、一般に、揚力面を殆ど使用しておらず、慣用的前向きエンジン入口カウリングを、航空機の胴体後部の周囲に形成される境界層からできる限り多量の流体を除去するように設計された、より等角なエンジン入口に置換するならば、形状抗力を低減させる点で有益であろう。

最近では、航洋船も多数のウォータジェットを使用し始めており、該ウォータジェットは、慣用的なプロペラとは異なり、船体側方を向いており、一般に、船体の底部に沿って移動する境界層流体の複雑な渦流混合体および周囲の自由流れから流体を吸引する。しかしながら、航洋船として現在利用できる慣用的なウォータジェット推進システムは、水線より下のガース小さな部分のみから境界層流体を除去できる小さな入口を有している。従って、大部分の境界層流は船尾に流れ続け、船の後方乱流後流に解放されるに過ぎず、このため、この流体が船のほぼ前進速度まで加速されるときにこの流体に付加される運動エネルギは、徐々に渦流中に消失されてしまう。

有人および無人の小形潜水ビークルも開発されており、該潜水ビークルは、大きな度合いの境界層摂取を行なう推進手段を使用するが、推力不足状態すなわち減速状態中に急激な流れ分離を引き起こす後部本体の形状を有している。この流れ分離は、自由流れ中または推進手段への入口の前方に、推力不足状態中のビークルの安定姿勢制御を維持できる制御面を有するビークルにとっては許容できるものである。しかしながら、このような制御面の好ましい位置は、最小の制御面で最大の制御を行なうことができるビークルの最後方セクションにある。

概要

ビークルにより形成される抗力を低減させ、同時に流れ分離を回避させる流体浮揚ビークルの推進方法および推進構造を提供することにある。

本発明の方法および構造は、ビークルの最大幅部分を含む前部胴体セクションテーパ状の後部胴体セクションとの間の移行領域を包囲する入口を備えた推進システムを使用して、前部胴体セクションにより発生される粘性境界層から流体を除去しかつこの境界層流体浮揚を、後部胴体セクションの推進システムを通して加速することからなる。境界層流体の除去により、種々の等級のビークルにより発生される後流中に生じる運動量の損失が低減される。

目的

本発明の目的は、ビークルの主本体の後部の周囲から境界層流体を実質的に除去しかつビークルの推進システムを通してこの流体を加速し、推力を発生させると同時に後流を低減させ、これにより、ビークルにより形成される抗力を低減させると同時に推力不足状態中のビークルの後部胴体での流れ分離を回避させる流体浮揚ビークルの推進方法および推進構造を提供することにある。

本発明の他の目的は、制御面上での流れ分離の可能性をなくすと同時に、境界層の摂取を最大にしかつビークルからの後流損失を最小にする改善されたビークル構造を提供することにある。

本発明の更に別の目的は、例えば流体浮揚ビークルの操縦のような一般的方向制御および逆推力を付与して停止できるようにすると同時に推進システムがその最適流れ/出力比の近くでの作動を維持できるようにする推進システム構造を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
4件

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請求項1

前部胴体セクション後部胴体セクション、およびこれらの両セクションを結合する移行領域を備えたビークルを有し、前部胴体セクションはビークルの最前端位置から最大幅部分まで拡大する形状をもつ外面を有し、後部胴体セクションはビークルの後方に向かって内方縮小する形状をもつ外面を有し、ビークルの表面の少なくとも一部が流体媒体と接触し、流体媒体から流体を導入するための、移行領域に配置された入口を有し、該入口は流体媒体と接触するビークルの表面の大きな部分を包囲し、前記入口から流体を導入しかつ流体の圧力を増大させるポンプ手段と、ポンプ手段から加圧流体受け入れかつビークルの後端部から加圧流体を排出するための排出手段とを更に有し、排出される加圧流体の速度は前記入口に導入される流体の速度より大きく、後部胴体セクション上を流れる流体は、ビークルがポンプ手段により一定速度で推進される場合およびビークルがポンプ手段によるポンピングの低下後に惰力移動する場合に、実質的に剥離することがないことを特徴とする流体浮揚ビークル用推進システム構造。

請求項2

前記後部胴体セクションの外面と移動方向との間に形成される角度は、ビークルの前進方向に平行に延びかつ後部胴体セクションの外面と交差する平面であって、後部胴体セクションの外面に対して接線方向の第2平面に垂直な第1平面内で測定するときに約15°以下であることを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項3

前記ビークルはビークルの正規の前進方向に平行な中心軸線を有し、後部胴体セクションは、ビークルに作用してその移動方向に対するビークルの中心軸線の角度変位を引き起こそうとする力に反作用する安定化翼面を形成する付加物を有することを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項4

前記付加物は、付勢されたときにビークルの方向制御を行なう可動部分を有することを特徴とする請求項3記載の推進システム構造。

請求項5

前記移行領域と安定化面との間の後部胴体セクションの部分において、前記後部胴体セクションの外面と移動方向との間に形成される角度は、ビークルの移動方向に平行に延びかつ後部胴体セクションの外面と交差する平面であって、後部胴体セクションの外面に対して接線方向の第2平面に垂直な第1平面内で測定するときに約15°以下であることを特徴とする請求項3記載の推進システム構造。

請求項6

前記入口は、流体媒体から導入される流体の流路に一致しかつ前部胴体セクションの表面と後部胴体セクションの表面とを連結する流線型部材からなることを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項7

前記流線型部材は、周囲の流体媒体からポンプ手段に導入される異物のサイズを制限できるように互いに間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項6記載の推進システム構造。

請求項8

前記排出手段は、加圧流体を受け入れかつビークルの移動に対して前方に加圧流体を排出してビークルに逆推力を付与する可動流れガイドを有していることを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項9

前記排出手段は、ビークルの方向制御を行なうため、導入された流体をビークルの移動方向に対して或る角度に方向転換させるべく作動できる少なくとも1つの可動流れガイドを有することを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項10

前記流体ポンプ手段は、少なくとも1対の逆回転軸インペラを有することを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項11

前記少なくとも1対の逆回転軸流インペラの各々を駆動する電気モータを更に有することを特徴とする請求項10記載の推進システム構造。

請求項12

前記各軸流インペラは、外側リムと、該外側リムに取り付けられたインペラブレードとを有し、外側リムはインペラブレードの先端部に連結されており、外側リムの周囲に配置されたモータステータと、外側リムと一体のアーマチャとを更に有することを特徴とする請求項11記載の推進システム構造。

請求項13

前記排出手段は、流体が、ビークルの中心軸線に対して或る角度で排出できるようにする可動ノズルを有することを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項14

前記排出ノズルは、流体がノズルから排出されないように遮断する可動遮断手段と、該可動遮断手段が流体を遮断すると開かれるポートとを有し、該ポートは、流体がノズルから排出される方向とは逆の、実質的に前方に流体を指向させるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項15

前記ビークルは、該ビークルを支持する流体媒体中に完全に浸漬され、ビークルにより排除される流体媒体の重量は、ビークルが浮力により流体媒体中に支持されるようにビークルの重量に等しいことを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項16

前記ビークルは、該ビークルを支持する流体媒体中に完全に浸漬され、ビークルの重量は、ビークルにより排除される流体媒体の重量より大きく、ビークルは、流体媒体を通ってビークルが移動するときにビークルの重量を支持するのに充分な上向き力を付与する水平揚力面を更に有していることを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項17

前記ビークルは、該ビークルを支持する流体媒体中に部分的に浸漬され、ビークルの重量は、ビークルが浮力により支持されるように、ビークルにより排除される流体の重量に等しいことを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

請求項18

前部胴体セクション、後部胴体セクション、およびこれらの両セクションを結合する移行領域を備えたビークルを設け、前部胴体セクションはビークルの最前端部から最大幅部分まで拡大する形状を有し、後部胴体セクションは、ビークルの後方に向かって内方に縮小する形状をもつ外面を有し、ビークルの表面の少なくとも一部が流体媒体と接触し、流体媒体から流体を導入するための、移行領域に配置された入口を有し、該入口は流体媒体と接触するビークルの表面の大きな部分を包囲し、入口から流体を導入しかつ流体の圧力を増大させるポンプ手段と、ポンプ手段から加圧流体を受け入れかつビークルの後端部から加圧流体を排出するための排出手段とを更に有し、流体媒体から入口内に流体を導入し、導入された流体をポンプ手段を通してポンピングすることにより、流体の圧力を増大させ、加圧流体をビークルの後端部から排出させ、排出される加圧流体の速度は入口に導入される流体の速度より大きく、後部胴体セクション上を流れる流体は、ビークルがポンプ手段により一定速度で推進される場合およびビークルがポンプ手段によるポンピングの低下後に惰力移動する場合に、ビークルの入口と後端部との間でビークルの表面から実質的に分離することがないことを特徴とする、ビークルを推進させおよびビークルの抗力を低減させる方法。

請求項19

前記後部胴体セクションの外面とビークルの移動方向との間に形成される角度は、ビークルの前進方向に平行に延びかつ後部胴体セクションの外面と交差する平面であって、後部胴体セクションの外面に対して接線方向の第2平面に垂直な第1平面内で測定するときに約15°以下であることを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項20

前記ビークルはビークルの正規の前進方向に平行な中心軸線を有し、後部胴体セクションに配置される付加物を設け、該付加物が安定化翼面を形成し、付加物を備えたビークルの移動方向に対するビークルの中心軸線の角度変位を引き起こす、ビークルに作用するあらゆる力に反作用する力を加えることを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項21

前記付加物は可動部分を有し、該可動部分を作動してビークルの移動方向を制御することを特徴とする請求項20記載の方法。

請求項22

前記移行領域と安定化翼面との間の後部胴体セクションの部分において、前記後部胴体セクションの外面と移動方向との間に形成される角度は、ビークルの移動方向に平行に延びかつ後部胴体セクションの外面と交差する平面であって、後部胴体セクションの外面に対して接線方向の第2平面に垂直な第1平面内で測定するときに約15°以下であることを特徴とする請求項20記載の方法。

請求項23

少なくとも1つの可動流れガイドを備えた排出手段を設け、ビークルの移動方向を制御するため、流れガイドを作動させかつ導入された流体をビークルの移動方向に対して或る角度に方向転換させることを特徴とする請求項19記載の方法。

請求項24

少なくとも1つの可動流れガイドを備えた排出手段を設け、ビークルに逆推力を付与するため、流れガイドを作動させかつ導入された流体をビークルの移動方向に対して前方に方向転換させることを特徴とする請求項19記載の方法。

請求項25

前記入口は、導入される流体の流路に一致しかつ前部胴体セクションをビークルに連結する流線型部材からなることを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項26

周囲の流体媒体からポンプ手段に導入される異物のサイズを制限するため、前記流線型部材の間隔を隔てることを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項27

前記ポンプ手段は、少なくとも1対の逆回転軸流インペラを有することを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項28

電気モータを設け、前記少なくとも1対の逆回転軸流インペラの各々を電気モータで駆動することを特徴とする請求項27記載の方法。

請求項29

前記電気モータは、外側リムと、該外側リムの周囲に配置されたモータステータと、外側リムに取り付けられたインペラブレードと、外側リムと一体のアーマチャとを有することを特徴とする請求項28記載の方法。

請求項30

可動ノズルを備えた排出手段を設け、加圧流体を、ビークルの中心軸線に対して或る角度でノズルから排出することを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項31

前記排出ノズルは、流体がノズルから排出されないように遮断する可動遮断手段と、該可動遮断手段が流体を遮断すると開かれるポートとを有し、該ポートは、流体がノズルから排出される方向とは逆の、実質的に前方に流体を指向させるように配置されていることを特徴とする請求項30記載の方法。

請求項32

水平なビークル揚力面を設け、流体媒体中にビークルを浸漬し、揚力面を用いて、流体媒体を通ってビークルが移動するときにビークルの重量を支持するのに充分な上向き力でビークルを浮揚させることを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項33

ビークルにより排除される流体媒体の重量がビークルの重量に等しくなるように、ビークルを流体媒体中に完全に浸漬し、ビークルを浮力により支持することを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項34

ビークルにより排除される流体媒体の重量がビークルの重量に等しくなるように、ビークルを流体媒体中に部分的に浸漬することを特徴とする請求項18記載の方法。

請求項35

ビークルの前部胴体セクションと後部胴体セクションとの境界の外側に一層容易に収容されるビークルの構成部品用空間を形成するため、前記ビークルの外面には流体媒体中に突出する少なくとも1つの付加物が設けられていることを特徴とする請求項1記載の推進システム構造。

技術分野

0001

本発明は、流体媒体を通るビークルの移動により発生される粘性境界層からの抗力を低減させる流体浮揚ビークル(fluidborne vehicle) 用推進システム構造に関する。粘性境界層はビークルの後部の入口内に導入され、ここで境界層流体は加速されかつ排出される。

背景技術

0002

多くの形式のビークルは、周囲の流体を加速することによりビークルに推力を付与する推進システムを使用している。しかしながら、これらの推進システムの殆どは、ビークルを包囲する自由流れからの流体が、遠位場(far field)の流体媒体に対し、ビークルの速度でまたはビークルの速度に近い速度で入口に接近するように構成されている。これは、ガスタービン動力とする固定翼航空機には好ましい。なぜならば、流体がエンジン入口吸込み口)での淀み点の近くに運ばれるときに、入口に接近する流体の高い速度が圧力水頭に変換されるからである。これにより、ガスタービンの圧縮機が発生すべき圧力比が低下され、従ってより小形の圧縮機、およびより高いサイクル効率かつより軽量のエンジンに変換できる。もちろん、この代償として、効率の悪いエンジン入口を、ビークルを包囲する自由流れ中に懸架することにより、ビークルの形状抗力すなわち圧力抗力が全体として増大される。この殆ど汎用エンジン構造は、航空機およびエンジン製造業者協力して行なった入念な共同研究の結果と考えられる。すなわち、多量の圧縮ガスを必要としないが、ビークルの移動方向に対して垂直な平面内で回転するプロペラを駆動すべく便利に配置されるレシプロエンジン構造の単なる流用であるともいえる。

0003

また、接近流体が全入口領域に亘ってできる限り均一な速度に近い速度を有するように、シャフトドライブ形プロペラおよびファンを構成するのが望ましい。

0004

プロペラおよびファンブレードピッチおよび幾何学的形状は狭い範囲の接近速度で最適化でき、個々のブレードは大きな周期荷重を受ける。このため、プロペラまたはファンの上流側の流体速度が不均一の角分布を有する場合には、疲労が加速されかつ推進効率が低下される。これは、航空機のプロペラおよびファンを、揚力面制御面および胴体の回りに発生される境界層から離れた位置に配置することについての可能性ある他の動機付けである。

0005

多数の試験的かつ商業的航空機は、自由流れ中に懸架された前向きのプロペラ・ファン・エンジン入口からの種々の逸らし(departures)を実行している。例えば回転翼航空機は、主回転翼ステムおよび尾部回転翼が、殆どの場合実際に主胴体から離れて配置されていて、境界層流を使用しないが、一般に、半径方向を向いたエンジン入口を使用している。いわゆる「プロペラ推進形(pusher-prop)」航空機は、1 つ以上の胴体または張出し構造の後部に位置するプロペラまたはファンを使用し、胴体または張出し構造を包囲する境界層から流体を吸引するが、このようなプロペラに作用する流体の主要部は、一般に自由流れであることが許容されている。これらの構造で境界層流を除去することのあらゆる利益は、プロペラ後流(すなわち、胴体または張出し構造のみからの後流より直径が大きい「プロップウォッシュ(prop wash)」)により、および大きな揚力面により生じる寄与に比べ、胴体または張出し構造境界層からの全形状抗力への寄与の方が小さいという事実により否定される。

0006

米国航空宇宙局NASA)のジェット推進研究所(JPL)により構成および試験されたX−21Aのような試験航空機は、航空機の全外面上に亘って分散配置されたファン、ダクトおよび通気孔からなる複雑な構造を使用し、全ての境界層流体を殆ど完全に除去している。この航空機は抗力を20〜30%低減させ、空気力学的見地から成功であることを証明したが、複雑なダクトおよび排気ファンのため、任意の有効ペイロードのための積載量の余裕が残されず、かつ数千個の小さな通気孔はメインテナンスの見地から非実用的である。比較的きれいな滑走路条件でも、数回の試験飛行を行なっただけで、孔は殆ど完全に塞がれてしまった。

0007

他の多くの形式の流体浮揚ビークルは、該ビークルを包囲する流体を加速する推進システムを使用しているが、真っ直ぐ前方を向いた入口を使用し、ビークルの主本体により発生される境界層から極く僅かに流体を吸引するか、全く吸引しない。飛行船のようなビークルは揚力面を使用せず、比較的小さな制御面を使用している。飛行船の形状抗力の殆ど全ては、ビークルの主本体の周囲に存在する流体境界層により発生される後流での運動量の損失によるものである。小形の無人航空機も、一般に、揚力面を殆ど使用しておらず、慣用的前向きエンジン入口カウリングを、航空機の胴体後部の周囲に形成される境界層からできる限り多量の流体を除去するように設計された、より等角なエンジン入口に置換するならば、形状抗力を低減させる点で有益であろう。

0008

最近では、航洋船も多数のウォータジェットを使用し始めており、該ウォータジェットは、慣用的なプロペラとは異なり、船体側方を向いており、一般に、船体の底部に沿って移動する境界層流体の複雑な渦流混合体および周囲の自由流れから流体を吸引する。しかしながら、航洋船として現在利用できる慣用的なウォータジェット推進システムは、水線より下のガース小さな部分のみから境界層流体を除去できる小さな入口を有している。従って、大部分の境界層流は船尾に流れ続け、船の後方乱流後流に解放されるに過ぎず、このため、この流体が船のほぼ前進速度まで加速されるときにこの流体に付加される運動エネルギは、徐々に渦流中に消失されてしまう。

0009

有人および無人の小形潜水ビークルも開発されており、該潜水ビークルは、大きな度合いの境界層摂取を行なう推進手段を使用するが、推力不足状態すなわち減速状態中に急激な流れ分離を引き起こす後部本体の形状を有している。この流れ分離は、自由流れ中または推進手段への入口の前方に、推力不足状態中のビークルの安定姿勢制御を維持できる制御面を有するビークルにとっては許容できるものである。しかしながら、このような制御面の好ましい位置は、最小の制御面で最大の制御を行なうことができるビークルの最後方セクションにある。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の目的は、ビークルの主本体の後部の周囲から境界層流体を実質的に除去しかつビークルの推進システムを通してこの流体を加速し、推力を発生させると同時に後流を低減させ、これにより、ビークルにより形成される抗力を低減させると同時に推力不足状態中のビークルの後部胴体での流れ分離を回避させる流体浮揚ビークルの推進方法および推進構造を提供することにある。

0011

本発明の他の目的は、制御面上での流れ分離の可能性をなくすと同時に、境界層の摂取を最大にしかつビークルからの後流損失を最小にする改善されたビークル構造を提供することにある。

0012

本発明の更に別の目的は、例えば流体浮揚ビークルの操縦のような一般的方向制御および逆推力を付与して停止できるようにすると同時に推進システムがその最適流れ/出力比の近くでの作動を維持できるようにする推進システム構造を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明のこれらのおよび他の目的は、前部胴体セクションおよび後部胴体セクション(これらの両セクション移行領域を介して結合されている)を備えたビークルを有する流体浮揚ビークルの推進システム構造を提供することにより達成される。ビークルの後部胴体セクションは、典型的には、ビークルの移動方向に平行に延びかつ後部胴体セクションの外面と交差する平面であって、後部胴体セクションの外面に対して接線方向の第2平面に垂直な第1平面内で測定するときに、ビークルの移動方向に対して15°以下の角度でテーパしている。ビークルの表面の少なくとも一部は、ビークルが支持される流体媒体と接触する。移行領域に配置されかつ流体媒体と接触するビークルの表面の大きな部分を包囲する入口が、流体媒体から流体を受け入れる。ポンプは、入口を通して流体を吸い込みかつ流体の圧力を増大させる。排出ノズルが、ポンプから加圧流体を受け入れかつビークルの後端部から加圧流体を排出する。このようにして、ビークルが移動するときおよびビークルがポンピングの終了後に惰力進行するときに、後部胴体セクション上を流れる流体の5%以下が、後部胴体セクションの外面に沿う流体の流路から分離すなわち逸らされる。従って、形状抗力およびビークルの後流が大幅に低減され、優れた効率が得られる。また、ビークルの姿勢および方向の安定制御に要求される制御面は、後部胴体セクション上の流れ分離による減速状態下での制御面の有効性の低下を招くことなく、推進手段への入口の後方で、ビークル後部胴体セクションの好ましい位置に配置できる。

発明を実施するための最良の形態

0014

本発明の他の目的および長所は、添付図面に関連して述べる以下の詳細な説明からより完全に理解されよう。

0015

図1を参照すると、本発明による典型的な飛行船は、ビークルの最大直径部を備えた前部胴体セクション1a、後部胴体セクション1bおよび両セクション1a、1bを結合する移行領域1cからなる主胴体構造1を有している。また、飛行船は、コックピット乗客隔室2、垂直制御翼面3および水平スタビライザ4を有している。飛行船は、主胴体1内のバッグ内に入れられたヘリウム水素等の低密度ガスに作用する浮力により空中に保持され、空気より重いビークルが必要とするような揚力面は不要である。このような飛行船の慣用的な推進システムは、一般に、コックピット・乗客隔室2または主胴体1の両側から懸架される2つ以上のエンジンナセルからなる。これらのエンジンは、慣用的な露出プロペラまたはシュラウド形ファンを駆動し、レシプロエンジンまたはガスタービンが使用されている。バッテリおよび太陽電池を含む多くの電源により駆動される電気モータも使用されている。エンジン入口は、一般に、ビークルの進行方向の正面を向いておりかつコックピット・乗客隔室2および主胴体1から充分に離れていて、主胴体境界層による吸込速度プロファイルの歪みを防止するようになっている。

0016

これに対し、本発明による代表的な推進システムの構造では、エンジン6は、胴体の後部胴体セクション1b内に取り付けられる。後部胴体の外面は、主胴体1の最大部分から15°以下の角度で内方にテーパしていることが好ましい。このように後部胴体のテーパ角を制限することにより、例えば、主エンジンの出力が急激に低下してもビークルがそれ自体の運動量により依然として高速前進する場合に、或る推進条件の下で生じる流れ剥離(flow separation)を防止する。後部胴体でのこのような流れ剥離は、制御面の有効性の損失およびビークルの制御および安定性の損失を引き起こす。

0017

ビークルが翼面3、4のような制御翼面を有する場合、後部胴体セクション1bのテーパ角は、移行領域1cと制御翼面3、4との間の部分で約15°以下にすべきである。本発明によるテーパ状後部胴体の使用は、飛行船のビームを越えて境界層内に延入する制御翼面を備えたビークルに特に有効である。ビークルが制御翼面を全く備えていない場合でも、徐々にテーパする後部胴体によって、動力消費が低減しかつビークルの効率が最高になる。

0018

エンジン6の入口7は、胴体の外面が最初にテーパし始める長手方向位置の近くの移行領域1cで主胴体を包囲している。エンジン6により入口7から導入された空気は収斂ノズル8を通って排出され、これにより流体が加速されて、推力が発生する。推力をビークルの軸線に対して傾斜させてビークルの操縦が行なえるようにするため、出口ノズル8を1つ以上の軸線の回りで枢動させることができる。また、ノズル8には、ノズルからの推力を逆向きにしてビークルの方向を逆転させるべく位置決めできる1つ以上の可動流れガイドを設けることができる。或いは、ノズル8に、流体の流れを阻止するブロック要素および1つ以上の横向き出口ポートを設けて、流体を、横方向にまたは逆推力として前方に方向変換すこともできる。図1に示すように、入口7には、例えばおよび浮遊物等の安全サイズ以上の異物がエンジン6に侵入することを防止する保護ルーバが設けられる。

0019

エンジン6は、商業用航空機によく使用されている慣用的ターボファンでもよいし、或いはレシプロエンジンまたは電気モータにより駆動される大形ファンまたは一連インペラでもよい。ファンまたはインペラを駆動するエンジンは、ファンまたはインペラの前方または後方或いは周囲に配置するか、ファンまたはインペラのブレードを構造的に一体に連結するハブまたはリムと部分的または全体的に一体化することができる。ファンまたはインペラには、ファンまたはインペラの軸の構造的支持体およびベアリングを形成する静止入口ガイドベーンおよび/または排出ガイドベーンを設けることができる。ファンまたはインペラのこれらのガイドベーンおよび/またはブレードには、多くの航空機のターボファンエンジンに一般的な可変ピッチ機構を組み込むことができる。胴体の後部でのエンジンの付加重量は、コックピット・乗客隔室2を前方に移動させるか、主胴体1内の内部中実バラストを前方に移動させることにより補償される。また、後部胴体の外面と後部胴体を通る流路の内面とにより境界が定められる体積は、付加ガスバラスト(該バラストも、ビークルの後部胴体およびエンジン重量の幾分かを支持できる)用の空間を形成する。任意ではあるが、ビークルには、コックピット・乗客隔室2または制御翼面3、4から、ビークルを包囲する流体中に突出する任意数付加物を設けて、ビークルの前部胴体と後部胴体との境界の外側に一層容易に収容されるビークルの構成部品のための空間を形成することができる。

0020

図1に示す推進システムの空気力学的長所は3つある。第1の長所は、ビークルの移行領域1cにエンジン入口7を配置することにより、ビークルの主胴体1の周囲に形成される境界層11(境界層は、飛行船および他の多くの同様な流体浮揚ビークル構造に対し、ビークルの周囲に形成される粘性境界層の大部分を形成する)が大幅に低減されることである。入口7は、境界層の流体15が、通常、テーパ状の後部胴体セクションから、ビークルの後ろの後流(後流では、流体を、流体媒体を通るビークルのほぼ前進速度まで加速することにより消費されるエネルギが、通常、非生産的に消失してしまう)に流れ始める直前に、境界層の流体15の大きな部分を吸引する。境界層11は、ビークルが接近するとき、ビークルの前に位置するほぼ淀んだ流体9が変位されることにより生じ、かつ粘性のある剪断応力によりビークルの表面に同伴して引き寄せられる。ビークルの経路から更に離れた流体12は殆ど影響を受けない。更に下流側では、ビークルの表面近くの流体11は、成長する粘性境界層に帯同され、一方、表面から離れた流体12は比較的影響を受けない状態に留まる。

0021

境界層に帯同された流体が入口7に接近すると、流体15は取入れ口内に吸引され、遠位の自由流れからの流体14は入口7の後方に流れ、比較的薄い境界層のみを残す。入口7から吸引された流体は、参照番号16で示す推進システムに導かれる。残余の薄い境界層17は、推進ノズル8上を流れかつ適度の高速でビークルを出る推進システムの排気ガス18に混合される。これにより、ビークルの後ろには、ノズル8より僅かにのみ大きい直径をもつ後流が形成される。これに対し、慣用的設計のビークルを流れる境界層により形成される後流は、ビークルの中央部の主胴体の直径に等しいか、これより大きい直径になってしまう。後流が小さければ小さいほど、ビークルを包囲する流体媒体中に消失されるエネルギは小さくなる。

0022

図1に示す推進システム構造の第2の長所は、入口7での、特にビークルの移動方向の流体速度成分が、慣用的な前向きナセル取付け形推進システムと比較して小さいことである。推力は、ビークルの周囲から流体を加速することにより、各形式の推進システムにより発生される。流体が加速される方向は、推力が望まれる方向とは正反対でなくてはならない。推力の大きさは、吸込み速度Vin、排出速度Vout および推進システムを通る流体の質量流量mに関して次のように表される。

0023

推力=m(Vin−Vout )
ここで、VinおよびVout に付した下線は、これらがベクトル量であることを示す。従って、流体の所与の質量流量については、推力は、推力が発生される方向に対して平行な入口速度ベクトル成分と排出速度のベクトル成分との差に比例する。

0024

慣用的な推進システムでは、吸込み速度は自由流れ速度にほぼ等しい。従って、ナセルから排出される流体は、自由流れ速度よりかなり大きい速度まで加速されなくてはならず、このため、推進システムの後ろに、激しく分散された後流および該後流に付随するエネルギ消失をもたらす。本発明による推進システムでは、入口7に流入する流体は、ビークルの速度に近い速度を有し、従って、ビークル上を通る流体の自由流れ速度または自由流れ速度より高い速度(すなわち、自由流れ速度を0〜60%超える速度)まで加速するだけでよい。排出流体18と周囲の流体17との間の必要速度差は非常に小さく、推進システムにより発生されるジェットのエネルギ消失を低減させる。慣用的システムに比べて入口のサイズが大きいことにより、および慣用的システムでは不可避であるが、周囲の流体を直接軸線方向ではなくより半径方向内方に導入することにより、入口7での流体の速度成分は更に低減される。

0025

入口7でのビークルの構造的境界と交差する流体の軸線方向成分は、流体質点(fluid particle)の速度と、流体質点の経路がビークルの中心軸線となす角度の余弦とを掛け合わせた大きさに等しい。従って、流れガイドの周囲に局部的流れ分離を引き起こすことなく、半径方向内方への流れができる限り最大になるようにするには、入口面積を最大にし、入口を、境界層の流体速度ができる限りビークルの速度に近づく位置(すなわち、できる限り船尾の後方であるが、境界層が実質的に後部胴体に沿って厚くなり始める位置より前方の位置)に定め、かつ流れガイドおよび/または構造部材を入口7に配置することが望ましい。

0026

図1に示す推進システムの第3の長所は、該推進システムが、ビークルの抗力中心と同心の推力を発生し、従ってビークルにいかなる正味反動トルクも作用しないことである。慣用的な推進システムでは、アクセス可能性のため、ナセルをビークルの下方に配置することが望まれる。しかしながら、このような配置は、ビークルに作用する抗力の軸線と推力が加えられる軸線との間の差により、ビークルのノーズを上方に駆動する反動トルクを発生させる。これは、一般に、この反動トルクと反作用する角度に水平スタビライザを取り付けることにより矯正される。しかしながら、このようにすると、この制御面により発生される乱流空気の後流が増大し、大きな損失が生じる。

0027

慣用的な推進システムに一般的な他の問題は、コストの観点から、エンジン内部を含むナセル組立体同士を、取付け位置を除き同一にすることが望まれることである。これは、各エンジンの回転方向が同じであり、このため、ビークルにローリングを引き起こすトルクがビークルに発生する。各ナセルには逆回転エンジンを使用できるが、これは2つの異なるエンジン設計を意味する。これは、一般にコストが嵩み過ぎて不可能であり、かつ単一のエンジン作動の場合のようにはローリングトルクを低減させることはできない。ローリングトルクは、垂直制御翼面または水平制御翼面を僅かに異なる角度に傾斜させることによっても矯正できるが、この場合も、制御翼面の後ろに発生される乱流の後流が増大する。

0028

これに対し、単一の推進ユニット6には、互いに逆回転する1対以上のファンまたはインペラ、または流れを真直化させる静止ガイドベーンを設けることができ、これにより、駆動エンジン(単一または複数)により発生される正味反動トルクをゼロにでき、従って制御翼面を傾斜させることおよびこれに付随する抗力の増大を防止し、かつ推進ユニットの排出流体により発生される回転後流をなくすことができる。

0029

推進ユニット6のこの構造により、ビークルの推進効率が更に改善される。なぜならば、排出流体18により発生される後流の流体速度の回転成分が、逆回転するファンまたはインペラ、または流れを真直化させる静止ガイドベーンの使用により大幅に低減されるからである。

0030

図1に示す推進システムには、幾つかの別の姿勢制御および操縦上の特徴を採用すことができる。このような特徴の1つとして推力ベクトル制御があり、これは慣用的な推進システムにもときどき採用されている。慣用的システムでは、これは、ナセルまたはナセルの排出流体の一部を垂直平面または水平平面内で回転させ、これにより、推力を、ビークルの中心軸線に対して或る角度傾けることにより達成されるが、この結果、ビークルの頭部の変化を引き起こす反動トルクが発生する。ノズル8が水平平面および/または垂直平面内で関節運動できるようにノズル8を取り付け、排出流体18をビークルの中心軸線に対して或る角度に傾斜させることにより、これと同じ形式の方向制御を行うことができる。

0031

本発明による推進システムに取り入れることができる他の操縦上の特徴は、推力の反転である。これは、エンジンの下流側でかつ排出部の上流側に、ノズル8からの流体の排出を阻止しかつこの流体を前方に向けるための、ビークルの側部に設けられた開口19から出るように方向転換させる1組の扉または他の可動要素を設けることにより達成される。これにより、ビークルを後退させ、またはビークルの前進移動を停止させ或いは遅くするのに使用される反転推力が発生される。

0032

図1に示す推進システムは、ビークルが流体浮揚を維持するための大きな揚力面を使用するものであれば、上記ほど大きな流体力学的利益は得られないとはいえ付き航空機にも適用できる。しかしながら、一般に図2に示すような小さな揚力面および制御面を有する小形高速ビークルに対しては、この形式の推進システム構造は、航続距離および性能をかなり改善できる。

0033

図2に示すビークルは、ビークルの最大直径部を含む前部胴体セクション21a、後部胴体セクション21bおよび移行領域21cからなる主本体21を有している。また、ビークルは、小さな揚力翼面22、23と、水平制御翼面24、26および垂直制御翼面25、27と、ターボファンエンジン28または他の軸流流体駆動装置を備えた推進システムとを有している。本発明によれば、後部胴体セクション21bは移動方向に対して約15°以下の角度でテーパしており、移行領域21cは入口29を有する。推進システムは、入口29を通して主本体21に沿って流れる境界層30から流体を導入しかつノズル32を通してこの流体31を排出する。図1に示した飛行船について上述した長所は、本質的にこのビークルにも適用できる。

0034

この形式のビークル用の一般的な従来技術のエンジン入口はビークルの下部に配置されておりかつ前向き開口を備えたカウリングを有している。この入口形式は、ターボファンの駆動に使用される一般的エンジンが、空気取入れ口に流入する空気を圧縮する必要がある空気吸込み・炭化水素燃焼形ガスタービンである場合に適している。カウリングは吸気過給する機能を有し、従って圧縮機によるサイズ占拠が減少される。しかしながら、小形の無人航空機は、しばしば、例えば水と反応して、蒸気タービン(該タービンがターボファンを駆動する)の駆動に使用する蒸気を発生させるリチウム金属のような特異な使い捨て形ターボファン用駆動手段を使用している。この駆動形式は空気吸込み形ではなく、従って吸気を過給することを目的とせず、本発明によるビークルでの使用に特に適している。

0035

本発明に従って構成された推進システムは、航洋表面船の推進および抗力低減にも使用できる。図3に示す慣用的な航洋表面船は、吃水線35と、露出プロペラ36の後方の37とを備えた船34からなる。プロペラ36はラインシャフト38により駆動され、該ラインシャフト38は、一般に主エンジン40および減速ギア39により駆動される。露出プロペラ36に近づく流体の速度は、船体の周囲に存在する境界層のため不均一である。上方のプロペラブレード時計文字盤で見て10時と2時との間に位置する船体近くの流体速度は、船に対して非常に小さく、これに対し、下方のプロペラブードが作動する、船体から遠い位置(すなわち、6時の位置)の流体速度は船に対して大きく、船体の自由流れ速度にほぼ等しい。回転ブレード列は、流体に接近する所与の一速度で効率的に作動するように設計されるため、露出プロペラ構造のブレードは、一般に、これらが3時の位置と9時の位置との間で回転するときにのみほぼ最適条件で作動する。プロペラの残余の回転位置では、ブレードは「設計外」条件で作動し、このため或る角度位置では50%までのエネルギ損失が生じる。また、露出プロペラは、一般に、プロペラの上流側の船体により形成される境界層の小部分のみを摂取する。このため、船により残される粘性後流(これは、良好な境界層処理を行なえば回避できる)による大きな残留抗力が生じる。

0036

図4に示すウォータジェット構造も、ノズル41から流体のジェットを噴射することにより推力を発生する表面船推進構造に一般的に使用されている。流体はポンプユニット43により入口開口42から導入され、ノズル41から排出される。ポンプユニット43内の回転ブレード列に流入する吸込み速度プロファイルは、入口開口42および入口通路ベンド44を入念に形成することにより、または回転ブレードのあらゆる角度位置でほぼ一定効率を与える静止入口ガイドベーンを設けることにより均一な角度分布に近づくように矯正される。この効率改善は、一般に、露出プロペラ構造には存在しないウォータジェット構造に付随する内部ダクトにより引き起こされる付加損失を補償し、例えば60〜65%に匹敵する全推進効率をもたらす。しかしながら、露出プロペラ構造と同様に、慣用的なウォータジェット構造の入口開口は、吃水線より下の船体の全表面に亘って形成される境界層の小さな部分に限定される。これにより、吃水線より下の船体により形成される粘性後流の大きな部分が残される。従って、船により形成される粘性後流の大きな部分が推進システムによって排除されず、このため、残留形態の抗力(抗力は、改善された境界層処理により大幅に回避される)が船に作用する。

0037

図5は、本発明による航洋表面船の構造を示す。図1および図2に示す空中ビークルにおけるように、図5の船34は、船の最大幅部分を含む前部胴体セクション34a、約15°以下の角度でテーパする後部胴体セクション34b、およびこれらの両セクション34a、34bを結合する移行領域34cとを有する。本発明によれば、吃水線より下の船体の実質的に全てのガースを含む流体入口開口46が、移行領域34cに設けられている。これは、推進システム入口が、移動船体に属する境界層流体の大部分を排除することを可能にする。この境界層流体の除去により、ビークルにより形成される後流が減少され、このため、推進システム入口の後方の圧力回復が改善され、かつビークルの抗力形成が減少される。これは、殆どの場合の慣用的なウォータジェット入口に比べ、船の全推進効率を5%まで改善する。

0038

以上、特定実施形態に関連して本発明を説明したが、当業者ならば多くの変更が容易であろう。例えば、本願に開示の推進システム構造は、他の多くの形式の流体浮揚ビークルおよび或る形式の上ビークルにも有効であろう。表面効果船(surface-effect craft)は、推力および/または表面効果浮揚クッションを与えかつ空気クッションの上方の全周に亘ってビークルの最適位置で境界層を低減させるべく構成されたターボファンエンジン用入口を配置することにより、同様な推進システムを使用できる。水中に浸漬されるビークルは、推進システムが、液体に適した流体駆動装置、例えば機械的または電気的に駆動されかつ同一方向または逆方向に回転する1つ以上のインペラを備えた軸流ポンプを使用する点を除き、図1に示す飛行船と同様な推進構造を使用できる。従って、このようなあらゆる変更および改造は本発明の範囲内に包含される。

図面の簡単な説明

0039

図1本発明による飛行船の構造を示す斜視図
図2本発明による無人航空機を示す斜視図
図3プロペラ推進システムを備えた従来技術の表面船を示す側面図
図4ノズル排出構造を備えた従来技術の航洋船を示す側面図
図5本発明による航洋船を示す側面図

--

0040

1 主胴体構造
1a前部胴体セクション
1b後部胴体セクション
1c移行領域
3制御面
4 安定化面
6エンジン
7 エンジンへの入口
8 出口ノズル

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