図面 (/)

技術 高強度吹付けコンクリート

出願人 太平洋セメント株式会社株式会社大林組
発明者 栩木隆小川洋二山本盛男結城渡園田直志
出願日 1997年6月30日 (23年5ヶ月経過) 出願番号 1997-174318
公開日 1999年1月26日 (21年11ヶ月経過) 公開番号 1999-021158
状態 特許登録済
技術分野 セメント、コンクリート、人造石、その養正 セメント、コンクリート、人造石、その養生
主要キーワード 生産時期 ノズル手前 炭酸アルカリ塩 吹付け装置 塑性粘度 ホンプ コア供試体 石膏成分
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年1月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

急結剤添加量が少量であっても良好な急結性を示し、しかも高い初期強度および長期強度を有する高強度吹付けコンクリートの提供。

解決手段

セメント400〜600kg/m3、水175〜220kg/m3、細骨材700〜1200kg/m3、粗骨材600〜1100kg/m3の単位量であり、急結剤をセメントに対し、2〜6重量%添加する。セメント:C3S45〜75重量%、C3A6〜12重量%、硫酸アルカリ0.4〜0.7重量%含むクリンカー粉末に、石膏2.5〜4.0重量%配合したブレーン比表面積3200〜4700cm2/gであるセメント。急結剤:(A)CaO53〜70重量%、Na2O5〜20重量%、Al2O320〜40重量%、8CaO・Na2O・3Al2O350重量%以上含む組成物100重量部および(B)アルミン酸アルカリ等の無機塩類50〜200重量部含む。

概要

背景

地山壁面やトンネルなどの施工面に、型枠を用いずにコンクリートを直接吹き付け、施工面を強化する吹付け工法は従来から幅広く行われている。従来の吹付け工法としては、セメント細骨材粗骨材および急結剤をあらかじめ混合し、吹付けノズル運搬し、吹付け直前ノズルに水を加える方法、すなわち乾式吹付け工法や、セメント、細骨材、粗骨材および水を混練して生コンクリートを製造した後、急結剤をノズル手前で添加する方法、いわゆる湿式吹付け工法等が知られている(例えば特開昭61−92263号公報など)。

従来の吹付けコンクリートは、コンクリート強度材齢28日で25N/mm2程度であるので、例えば施工面が3車線大断面トンネル等である場合は、吹付けコンクリート層を厚くする必要がある。このため大容量の吹付け装置の開発が必要であり、工期が長期化する恐れもある。また、当然トンネルの掘削量も吹付けコンクリート層の厚さの増大にともない増加し、残土の処理も問題となる。

したがって吹付けコンクリートの強度を高めれば、上記問題の解決が期待できる。しかしながら、吹付けコンクリートを高強度にするためには、通常の普通ポルトランドセメントを用いた場合、水セメント比を低くする必要があり、これによりコンクリートの粘性が著しく高くなるという欠点がある。流動性が低くなることにより、例えば混合機までホンプ圧送が困難になる等、実用上問題がある。また、掘削された大断面の地山のゆるみを早期に抑えるために必要な初期強度が得られないという欠点もある。

これらの課題を解決するために、フライアッシュシリカフューム等の微粉末混和材を普通ポルトランドセメントに添加してポンプ圧送性を改善する方法や、吹き付けたコンクリートが早期に強度発現する特殊な急結剤等が開発されてきている(日本道路公団資料:新しい高強度吹付けコンクリートの開発:平成9年1月)。

概要

急結剤の添加量が少量であっても良好な急結性を示し、しかも高い初期強度および長期強度を有する高強度吹付けコンクリートの提供。

セメント400〜600kg/m3、水175〜220kg/m3、細骨材700〜1200kg/m3、粗骨材600〜1100kg/m3の単位量であり、急結剤をセメントに対し、2〜6重量%添加する。セメント:C3S45〜75重量%、C3A6〜12重量%、硫酸アルカリ0.4〜0.7重量%含むクリンカー粉末に、石膏2.5〜4.0重量%配合したブレーン比表面積3200〜4700cm2/gであるセメント。急結剤:(A)CaO53〜70重量%、Na2O5〜20重量%、Al2O320〜40重量%、8CaO・Na2O・3Al2O350重量%以上含む組成物100重量部および(B)アルミン酸アルカリ等の無機塩類50〜200重量部含む。

目的

したがって本発明の目的は、実用上十分な流動性を有し、急結剤の添加量が少量であっても良好な急結性を示し、しかも高い初期強度および長期強度を有する高強度吹付けコンクリートを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

セメント細骨材粗骨材急結剤および分散剤を配合してなる高強度吹付けコンクリートにおいて、前記セメントの単位量が400〜600kg/m3、水の単位量が175〜220kg/m3、前記細骨材の単位量が700〜1200kg/m3、前記粗骨材の単位量が600〜1100kg/m3であり、セメントとして下記のセメントを用い、前記急結剤として下記の急結剤を用い、且つ前記急結剤を前記セメントに対し、2〜6重量%の割合で添加することを特徴とする高強度吹付けコンクリート。セメント:3CaO・SiO2含有量が45〜75重量%、3CaO・Al2O3含有量が6〜12重量%、硫酸アルカリをNa2O換算で0.4〜0.7重量%、残部が主として2Ca0・SiO2、4CaO・Al2O3・Fe2O3からなるクリンカー粉末に、不溶性無水石膏を30%以上含む石膏をSO3換算で2.5〜4.0重量%配合してなるブレーン比表面積が3200〜4700cm2/gであるセメント。急結剤:次の(A)および(B)成分を混合してなるセメント用急硬性促進剤(A) 1400℃未満の温度で焼成され、CaOが53〜70重量%、Na2Oが5〜20重量%、Al2O3が20〜40重量%の化学組成を有し、8CaO・Na2O・3Al2O3を50重量%以上含むNa2O−CaO−Al2O3系組成物:100重量部(B)アルミン酸アルカリ炭酸アルカリ石灰、石膏および水酸化アルミニウムから選ばれる無機塩類:50〜200重量部

技術分野

0001

本発明は、高強度吹付けコンクリートに関するものであり、さらに詳しくは、実用上十分な流動性を有し、急結剤添加量が少量であっても良好な急結性を示し、しかも高い初期強度および長期強度を有する高強度吹付けコンクリートに関するものである。

背景技術

0002

地山壁面やトンネルなどの施工面に、型枠を用いずにコンクリートを直接吹き付け、施工面を強化する吹付け工法は従来から幅広く行われている。従来の吹付け工法としては、セメント細骨材粗骨材および急結剤をあらかじめ混合し、吹付けノズル運搬し、吹付け直前ノズルに水を加える方法、すなわち乾式吹付け工法や、セメント、細骨材、粗骨材および水を混練して生コンクリートを製造した後、急結剤をノズル手前で添加する方法、いわゆる湿式吹付け工法等が知られている(例えば特開昭61−92263号公報など)。

0003

従来の吹付けコンクリートは、コンクリート強度材齢28日で25N/mm2程度であるので、例えば施工面が3車線大断面トンネル等である場合は、吹付けコンクリート層を厚くする必要がある。このため大容量の吹付け装置の開発が必要であり、工期が長期化する恐れもある。また、当然トンネルの掘削量も吹付けコンクリート層の厚さの増大にともない増加し、残土の処理も問題となる。

0004

したがって吹付けコンクリートの強度を高めれば、上記問題の解決が期待できる。しかしながら、吹付けコンクリートを高強度にするためには、通常の普通ポルトランドセメントを用いた場合、水セメント比を低くする必要があり、これによりコンクリートの粘性が著しく高くなるという欠点がある。流動性が低くなることにより、例えば混合機までホンプ圧送が困難になる等、実用上問題がある。また、掘削された大断面の地山のゆるみを早期に抑えるために必要な初期強度が得られないという欠点もある。

0005

これらの課題を解決するために、フライアッシュシリカフューム等の微粉末混和材を普通ポルトランドセメントに添加してポンプ圧送性を改善する方法や、吹き付けたコンクリートが早期に強度発現する特殊な急結剤等が開発されてきている(日本道路公団資料:新しい高強度吹付けコンクリートの開発:平成9年1月)。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、フライアッシュやシリカフュームは産業副産物であり、品種銘柄生産時期によってアルカリ強熱減量および湿分等の品質が安定せず、流動性増強効果にばらつきが生じる等の品質管理上の問題や、シリカフュームは国内および海外での産出量が少なく、さらに高価であることから利用上の制限が生じるなどの問題がある。また、高強度化するために微粉末混和材の量がかなり多くなるため、通常の生コンクリート製造において用いられる練混ぜ方法では、コンクリートが十分に均一化されない欠点もある。また現場プラントで吹付けコンクリートを製造する場合においては、微粉末混和材の供給設備等を新たに増設する必要が生じるなど問題が多い。

0007

吹付けコンクリートの初期強度の発現性を向上させる特殊な急結剤は、その性能を発揮させるためには添加量を多く必要とする。そのためポンプ圧送されてきたコンクリートと混合部で均一に混ざりきらずに吹き付けられる可能性があり、品質が偏在化する懸念や、急結剤の使用量が多いため急結剤タンクに材料を装填する頻度が多くなり作業の手間がかかることが予想される。このようなことから、均一な高強度吹付けコンクリートを大容量で連続的に吹き付けするには、従来の技術の方法では不向きである。

0008

したがって本発明の目的は、実用上十分な流動性を有し、急結剤の添加量が少量であっても良好な急結性を示し、しかも高い初期強度および長期強度を有する高強度吹付けコンクリートを提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意研究を行った結果、特定の組成を有するセメントと、特定の組成を有する急結剤とを組み合わせ、さらにセメント、水、細骨材および粗骨材の単位量をある範囲に特定することにより、上記の課題を解決する高強度吹付けコンクリートが得られることを見出し、本発明を完成することができた。

0010

すなわち本発明は、セメント、細骨材、粗骨材、急結剤および分散剤を配合してなる高強度吹付けコンクリートにおいて、前記セメントの単位量が400〜600kg/m3、水の単位量が175〜220kg/m3、前記細骨材の単位量が700〜1200kg/m3、前記粗骨材の単位量が600〜1100kg/m3であり、セメントとして下記のセメントを用い、前記急結剤として下記の急結剤を用い、且つ前記急結剤を前記セメントに対し、2〜6重量%の割合で添加することを特徴とする高強度吹付けコンクリートを提供するものである。
セメント:3CaO・SiO2含有量が45〜75重量%、3CaO・Al2O3含有量が6〜12重量%、硫酸アルカリをNa2O換算で0.4〜0.7重量%、残部が主として2Ca0・SiO2、4CaO・Al2O3・Fe2O3からなるクリンカー粉末に、不溶性無水石膏を30%以上含む石膏をSO3換算で2.5〜4.0重量%配合してなるブレーン比表面積が3200〜4700cm2/gであるセメント。
急結剤:次の(A)および(B)成分を混合してなるセメント用急硬性促進剤
(A) 1400℃未満の温度で焼成され、CaOが53〜70重量%、Na2Oが5〜20重量%、Al2O3が20〜40重量%の化学組成を有し、8CaO・Na2O・3Al2O3を50重量%以上含むNa2O−CaO−Al2O3系組成物:100重量部
(B)アルミン酸アルカリ炭酸アルカリ石灰、石膏および水酸化アルミニウムから選ばれる無機塩類:50〜200重量部

発明を実施するための最良の形態

0011

以下、本発明をさらに詳細に説明する。まず、本発明の高強度吹付けコンクリートに用いられるセメントについて説明する。本発明で用いるセメントは、水セメント比(以下W/Cと略記する)が低くても高いコンクリートの流動性を得るために、セメントの構成材料比率を上記の如く調節したものである。一般に、流動性の高いコンクリートを得るためには、界面活性剤系高性能減水剤高性能AE減水剤やその他の分散剤を添加し、その静電反発力および吸着層立体障害反発力によってセメント粒子を分散させる方法が用いられている。しかしながら、これら分散剤等は、セメント構成化合物中の3CaO・Al2O3(以下C3Aと略記する)および4CaO・Al2O3・Fe2O3(以下C4AFと略記する)へ選択的かつ多量に吸着するため、これらを多量に含むセメントに用いても、低W/Cで高流動性を得るのは困難である。一方、市販の急結剤は一般的にアルカリ含有量がセメントよりも高く、このアルカリの影響によってC3Aの水和による強度発現が低下する。この影響は、低W/Cのようにセメントや急結剤に対する水の比率が小さい場合に顕著になる。このため、セメント自体の急結性を高める必要がある。本発明者らの検討の結果、分散剤の効果が低下せず、しかも水和による十分な強度発現が得られるC3Aの含有率は、クリンカー粉末中6〜12重量%であることが判った。C3Aのクリンカー粉末中での含有率は、好ましくは6〜10重量%であり、とくに好ましくは8〜10重量%である。

0012

また、3CaO・SiO2(以下C3Sと略記する)にも、セメント自体の急結性を高める効果が期待されるため、そのクリンカー粉末中の含有率は、45〜75重量%であり、好ましくは50〜75重量%、とくに好ましくは60〜70重量%である。

0013

本発明では、クリンカー粉末中に硫酸アルカリがNa2O換算で0.4〜0.7重量%含まれていなければならない。これは次の理由による。C3AおよびC4AFへの分散剤の選択的な吸着は、硫酸塩の影響を受け、セメントペーストの液相中にSO42-イオンが存在すると、これと競争吸着を生じ、C3AおよびC4AFへの分散剤の吸着が抑制される。したがって、適量の硫酸塩を添加することにより、C3AおよびC4AFへの分散剤の吸着が抑制されるため、低W/Cでのコンクリートの高流動化が可能となる。セメント中の硫酸塩には主として2種類あり、クリンカー中に存在するNa2SO4、K2SO4および3K2SO4・Na2SO4等の硫酸アルカリと、粉砕工程中で凝結調整用に添加する硫酸カルシウム(以下石膏と呼ぶ)とがあり、前者は接水直後に溶解してSO42-を供給し、後者は比較的に溶解速度が遅い。そして、上記の硫酸アルカリは、コンクリート中の比較的溶解速度の大きいC3AやC4AFと比較しても、なお溶解速度が大きく、セメントが接水した直後で十分に溶解・水和をしていない状態において分散剤との競争吸着を大きく支配する。すなわち、硫酸アルカリが少ないと、セメントペーストの液相中のSO42-が少なく、C3AやC4AFへの分散剤の吸着が多くなって流動性が低下する。一方、硫酸アルカリが多すぎると、セメントペーストの液相中のアルカリイオン濃度が高くなりすぎて、静電反発力が消失してしまうため流動性が低下する。したがって、高い流動性が確保できる硫酸アルカリ量には適当な範囲があり、ASTMC−114に規定された水溶性アルカリで示すと、0.4〜0.7重量%(クリンカー粉末中、Na2O換算)となり、好ましくは0.45〜0.65重量%、特に好ましくは0.5〜0.6重量%である。

0014

クリンカー粉末中の残部は、主として2Ca0・SiO2(以下、C2Sという)およびC4AFである。

0015

本発明では、上記クリンカー粉末に石膏を加える。石膏はクリンカー中のC3AおよびC4AFと比較して溶解速度は小さく、接水直後の分散剤の吸着にはあまり寄与しないが、接水から1〜2分後のC3AおよびC4AFの急激な水和反応を抑制し、C3AおよびC4AFの水和反応生成物への分散剤の吸着を抑制する。添加する石膏は、その形態として無水塩、半水塩および二水塩からなるものが挙げられるが、不溶性無水石膏を30重量%以上含む石膏を添加することが、高い流動性が得られる点で望ましい。一方、添加量が多すぎると、CaSO4・2H2O水和物が析出し、セメント粒子が凝集して流動性が低下してしまう。そのため石膏の添加量としては、SO3換算で2.5〜4.0重量%、好ましくは2.6〜3.8重量%、特に好ましくは2.7〜3.5重量%とすることが高い流動性を得る点で望ましい。

0016

また、本発明で使用されるセメントは、ブレーン比表面積が3200〜4700cm2/g、好ましくは3900〜4300cm2/gであるのがよい。ブレーン比表面積が3200cm2/g未満ではペーストの粘度が低くモルタルと粗骨材が材料分離し、逆に4700cm2/gを超えるとペーストの粘度が著しく増大しコンクリートの流動性が低下し好ましくない。

0017

本発明に用いる分散剤は、低いW/Cで塑性粘度が適度に大きい領域で、セメント粒子を分散させてセメントペーストの降伏値を小さくして、流動性を確保することにより、セメントペーストと細骨材またはモルタルと粗骨材の分離を防止しつつ、高流動性を確保する目的で使用するものである。その組成は、セメント粒子を分散させるものならば特に限定されるものではなく、例えば、市販の界面活性剤系の高性能減水剤や、空気巻き込み型の高性能AE減水剤等を使用することができる。なお、強度発現性は高性能AE減水剤の種類によって異なり、変性リグニンアルキルアリルスルホン酸塩活性持続ポリマーからなるナフタレン系の方がポリカルボン酸系より材齢28日までの強度に優れるため、早期に強度を発現させる場合は、ナフタレン系の高性能AE減水剤を使用するのが望ましい。分散剤の配合割合は、セメントに対して0.01〜3重量%、好ましくは0.1〜2重量%がよい。

0018

本発明で用いる急結剤は、上記セメントを用いたコンクリートの凝結・硬化を著しく促進させ、しかも高い初期強度および長期強度発現が期待できるように急結剤の構成材料を上記の如く調整したものである。急結剤はその主成分で分類すると、アルミン酸アルカリ塩、炭酸アルカリ塩等を主成分とする無機塩系のものと、天然鉱物主原料とする鉱物系に分類される。鉱物系のものは、一般に主成分であるカルシウムアルミネート(CaO−Al2O3)によって、エトリンガイトの急激な発生と、セメント中のC3S、C2Sの水和を促進することによって急結性を得る。成分として石膏を含まないものは、カルシウムアルミネート系急結剤であり、石膏成分を含むものはカルシウムサルホアルミネート系急剤として区分され、後者のほうが一般的に長期強度発現性に優れている。一般に、普通セメントを用いて低W/Cとしたコンクリートの凝結・硬化を促進させて高強度吹付けコンクリートを得ようとした場合、急結剤としては、カルシウムサルホアルミネート系急結剤が推奨されている。この理由は、初期および長期において高い強度を得るためであるが、カルシウムサルホアルミネート系急結剤の場合、初期強度を高めるためにはAl2O3成分の働きを高めるために多量に使用せざるを得なくなる。したがって、従来の高強度吹付けコンクリートの処方では、急結剤の添加量を少なくすることは困難である。一方、本発明で用いる急結剤は、CaOが53〜70重量%、Na2Oが5〜20重量%、Al2O3が20〜40重量%の化学組成を有し、8CaO・Na2O・3Al2O3(以下C8NA3という)を50重量%以上含むNa2O−CaO−Al2O3系組成物と、アルミン酸アルカリ、炭酸アルカリ、石灰、石膏および水酸化アルミニウムから選ばれる無機塩類を混合してなるもので、前記組成物100重量部に対し、無機塩類を50〜200重量部が添加される。この本発明で用いる急結剤は、カルシウムアルミネート系急結剤に属し、すでに知られているものである(特開平9−86987号公報)。本発明においては、セメントを特定の組成にしてセメント自体に高い急結性を持たせ、また特定の急結剤をそこに添加することで、両者の相乗効果が発揮され、急結剤の添加が少量であっても高い初期強度と長期強度発現性が得られることが判った。ここに本発明の一つの特徴がある。本発明で用いる急結剤の添加量は、セメント自体がもつ高い急結性を促進させつつ長期強度の発現を阻害させない適当な範囲であり、コンクリート中のセメント重量に対して2〜6重量%、好ましくは2.5〜5重量%、特に好ましくは3.0〜4.5重量%である。

0019

さらに本発明においては、セメント、水、細骨材および粗骨材の単位量をある範囲に特定することが必要である。すなわち、セメントの単位量が400〜600kg/m3、水の単位量が175〜220kg/m3、細骨材の単位量が700〜1200kg/m3、粗骨材の単位量が600〜1100kg/m3である。上記範囲により、本発明の効果が一層高まる。

0020

上記のように本発明では、特定の組成を有するセメントと、特定の組成を有する急結剤とを組み合わせ、さらにセメント、水、細骨材および粗骨材の単位量をある範囲に特定するしたため、実用上十分な流動性を有し、急結剤の添加量が少量であっても良好な急結性を示し、しかも高い初期強度および長期強度を有する高強度吹付けコンクリートを提供することができる。

0021

以下本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。

0022

(各種セメントの調製)クリンカーの構成化合物が異なる6種類のセメントを試製し、それぞれのセメントについてJIS R5201に準じたフロー試験を実施した。各セメントの構成化合物の割合とフロー値試験結果を表1に示す。表1中、本発明に必要な組成を有するセメントはP−1である。

0023

0024

(実施例1〜2)セメントとしては、上記で調製したP−1を用いた。急結剤としては、カルシウムアルミネート系急結剤(カルシウムアルミネート系、商品名T−ROCK、(株)小野田製)を用いた。この急結剤の組成を表2に示す。

0025

0026

下記表3で示すベースコンクリートおよび急結剤の配合により、吹付けコンクリートを調製し、その初期強度および長期強度を測定した。なお、吹付けの際のコンクリートの温度を、約20℃または約30℃になるようにした。得られた結果を表4に示す。吹付けコンクリートの材齢1日(24h)までの初期強度は、土木学会基準JSCE−G561に準じてプルアウト試験により行い、材齢7および28日強度は、作製したコンクリートパネルよりコア供試体(φ45mm、長さ90mm)を切り出して圧縮強度試験を行った。吹付けコンクリートの供試体作り方およびコア切り出し方法は、JSCE−F561およびJIS A1107に準じた。

0027

また、細骨材としては砂、比重2.64、粗粒率2.69を用い、粗骨材としては6号砕石、比重2.66を用い、分散剤としてはポリカルボン酸系高性能AE減水剤を用いた。

0028

(比較例1〜2)セメントとして市販の普通ポルトランドセメントを用い、急結剤としてカルシウムアルミネート系急結剤またはカルシウムサルホアルミネート系急結剤を用いた従来の高強度吹付けコンクリートを使用して、実施例の結果と比較した。なお、比較例に用いた試験データは、平成9年1月に日本道路公団によって公表された資料「新しい高強度吹付けコンクリート開発」から抜粋した。コンクリートの配合組成および結果をそれぞれ表3および表4に示す。なお、比較例で用いた細骨材は砕砂、比重2.68であり、粗骨材は砂利(最大寸法8mm)、比重2.61であり、分散剤はカルボン酸系高分子化合物であり、急結剤はカルシウムアルミネート系、商品名デンカナトミックType−5または、カルシウムサルホアルミネート系、商品名デンカナトミックType−10(いずれも電気化学工業(株))である。

0029

0030

0031

表3より、実施例1および2は、コンクリート温度が20℃前後の通常期から30℃前後の暑中期のいずれにおいても、比較例よりも少ない急結剤添加量で施工面に吹き付けが可能であり、また、表4より、高強度吹付けコンクリートの設計基準強度を十分満足する高い初期強度と長期強度が得られている。

発明の効果

0032

本発明によれば、特定の組成を有するセメントと、特定の組成を有する急結剤とを組み合わせ、さらにセメント、水、細骨材および粗骨材の単位量をある範囲に特定したため、実用上十分な流動性を有し、急結剤の添加量が少量であっても良好な急結性を示し、しかも高い初期強度および長期強度を有する高強度吹付けコンクリートを提供することができる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社サンブリッジの「 超緻密性セメント組成物の製造方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】繊維が均一に分散されていて、かつ、通気性が低い、より緻密な超緻密性セメント組成物を製造することを可能とした超緻密性セメント組成物の製造方法を提案する。【解決手段】セメントと、シリカフュームと、... 詳細

  • 大成建設株式会社の「 コンクリート」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】空気量が大きいにも関わらず、実用的なコンクリートを提供すること。【解決手段】ASTM C457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した弦長250μm以下の気泡の数が... 詳細

  • 大成建設株式会社の「 コンクリート」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】剥離が生じにくいコンクリート、特に覆工コンクリートおよび寒中コンクリートを提供する。【解決手段】単位水量が155kg/m3以下、かつ、空気量が8%以上であるコンクリートであり、好ましくはペース... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ