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技術 アレルゲン低減化米の製造方法、及びアレルゲン低減化米を用いた加工食品

出願人 ホリカフーズ株式会社
発明者 中條均紀中野茂幸佐藤由利
出願日 1997年6月24日 (22年10ヶ月経過) 出願番号 1997-167699
公開日 1999年1月19日 (21年3ヶ月経過) 公開番号 1999-009202
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 食品の着色及び栄養改善 非環式または炭素環式化合物含有医薬 植物物質含有医薬 穀類誘導製品
主要キーワード 抽出力 米アレルギー ダンゴ 溶蛋白質 アレルゲン低減化 乾燥米 抽出効果 三塩化酢酸
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年1月19日)のものです。
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図面 (3)

課題

原料米中の蛋白質、特に米中のアレルゲンの主要な成分であるアルブミン画分を効率よくかつ高い除去率で除去することの可能なアレルゲン低減化米の製造方法を提供する。

解決手段

原料米を40〜60℃の塩水溶液に浸漬し、該原料米中の塩溶性蛋白質を抽出する。続いて乳酸菌由来プロテアーゼあるいはアスパルティックプロテイナーゼを作用させる。

概要

背景

概要

原料米中の蛋白質、特に米中のアレルゲンの主要な成分であるアルブミン画分を効率よくかつ高い除去率で除去することの可能なアレルゲン低減化米の製造方法を提供する。

原料米を40〜60℃の塩水溶液に浸漬し、該原料米中の塩溶性蛋白質を抽出する。続いて乳酸菌由来プロテアーゼあるいはアスパルティックプロテイナーゼを作用させる。

目的

本発明は上記課題に基いて成されたものであり、原料米中の蛋白質、特に米中のアレルゲンの主要な成分であるアルブミン画分を効率よくかつ高い除去率で除去することの可能なアレルゲン低減化米の製造方法を提供することを目的とする。また、米粒に対してもアルブミン画分を効率よくかつ高い除去率で除去することが可能であり、処理後の米粒形状を維持でき米飯化に好適なアレルゲン低減化米の製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明はこの得られたアレルゲン低減化米を加工したアレルゲン低減化米を用いた加工食品を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

原料米を40〜60℃の塩水溶液に浸漬し、該原料米中の塩溶蛋白質を抽出し、続いて乳酸菌由来プロテナーゼあるいはアスパルティックプロテナーゼを作用させることを特徴とするアレルゲン低減化米の製造方法。

請求項2

原料米を40〜60℃の塩水溶液に浸漬し、該原料米中の塩溶性蛋白質を抽出し、続いて乳酸菌由来プロテナーゼあるいはアスパルティックプロテナーゼを作用させたアレルゲン低減化米を加工して得られることを特徴とするアレルゲン低減化米を用いた加工食品

技術分野

0001

本発明はアレルゲン低減化米の製造方法に関し、特に原料米中のアレルゲンを効率良く除去することの可能なアレルゲン低減化米の製造方法に関する。また、本発明は、アレルゲン低減化米を用いた加工食品に関する。

発明が解決しようとする課題

0002

近年、食生活、生活様式等の生活環境の変化にともない、食物アレルギー患者急増している。この治療法のひとつとして、アレルギー反応の原因となる食物の摂取を制限するため、アレルギーを起こさない他の類似食物での代替食が試みられている。コメに対するアレルギーの急増もその一例であり、一般に米アレルギー患者は、コメの代わりをあわ、ひえ、きび等で補っており、満足できるだけの食味を得ることができないという問題点があった。

0003

一方、このような食物アレルギーを引き起こすアレルゲンについて研究が進み、米の場合は塩可溶性画分であるグロブリン画分アルブミン画分、特にアルブミン画分にアレルゲンが多く存在することが明らかになってきている[ら,Agric.Biol.Chem 52(6)1465〜1470(1988);松田 幹ら,Agric.Biol.Chem55(2)509〜513(1991)]。また、塩不溶性成分中にも米アレルギー患者の20〜30%が反応を示す塩不溶性アレルゲンが存在することが確認されている[例えば、池澤善郎ら,日本リディアオリー協会平成元年度年報 13,41−60(1990)]。

0004

このため米などからアレルゲンの原因となる塩可溶性画分を主に除去することが検討されている。特公平6−9472号公報には、澱粉を主成分とする穀類材料に蛋白質分解酵素を作用させ、該穀類中の塩溶蛋白質の10%三塩化酢酸溶率が80%以上となるまで該穀類中の蛋白質を加水分解し、可溶性成分を除去することによってアレルゲンを低減させた穀類が開示されている。しかしながら、この穀類は製造方法が特殊なため非常に高価であり、アレルギー患者毎日主食として利用するには適さないという問題点があった。

0005

また、特開平6−253758号公報には、米などの穀類にコラゲナーゼを作用させるアレルゲン低減化穀類調製物の製造方法が開示されている。この公報中には穀類にコラゲナーゼを作用させる前あるいは後に、塩水を作用させることができることが記載されている。しかしながら、この方法では米などの穀類は粉体あるいはペースト状物でなければならないため、米粒の状態ではアレルゲンの低減化が難しいという問題点があった。

0006

本発明は上記課題に基いて成されたものであり、原料米中の蛋白質、特に米中のアレルゲンの主要な成分であるアルブミン画分を効率よくかつ高い除去率で除去することの可能なアレルゲン低減化米の製造方法を提供することを目的とする。また、米粒に対してもアルブミン画分を効率よくかつ高い除去率で除去することが可能であり、処理後の米粒形状を維持でき米飯化に好適なアレルゲン低減化米の製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明はこの得られたアレルゲン低減化米を加工したアレルゲン低減化米を用いた加工食品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題に鑑み鋭意研究の結果本発明者らは、塩水溶液の温度によって塩溶性蛋白質の除去効率が大幅に相違し、所定の温度範囲の塩水溶液が塩溶性蛋白質、特にアルブミン画分の抽出力に優れていることを見出し、この温度範囲の塩水溶液と蛋白質分解酵素として乳酸菌由来プロテナーゼあるいはアスパルティックプロテナーゼを選択して作用させれば、原料米中の蛋白質、特にアルブミン画分を高い除去率で除去することができることを見出した。また、本発明者らは、この塩水溶液と蛋白質分解酵素との作用手順を、まず、所定の温度範囲の塩水溶液により原料米中の塩溶性蛋白質を抽出した後、所定の蛋白質分解酵素により残存する蛋白質を分解除去すれば、蛋白質を効率よく除去することができ、しかもその結果得られるアレルゲン低減化米は、米粒形状がしっかりと維持されており、米飯化に適したものであることを見出した。これらに基づき本発明に想到した。

0008

すなわち、本発明の請求項1のアレルゲン低減化米の製造方法は、原料米を40〜60℃の塩水溶液に浸漬し、該原料米中の塩溶性蛋白質を抽出し、続いて乳酸菌由来プロテナーゼあるいはアスパルティックプロテナーゼを作用させるものである。

0009

このため、米中のアレルゲンとなる蛋白質を効率良くかつ高い除去率で除去することができる。このような効果が得られる理由は、原料米をまず40〜60℃の比較的高温の塩水溶液に浸漬することにより塩溶性のアレルゲンを抽出除去し、さらに特定の蛋白質分解酵素を作用させることにより、残存するアレルゲンとなる塩可溶性及び塩不溶性蛋白質を分解除去しているためである。しかも、本発明の方法においては、塩水溶液抽出の後に蛋白質分解酵素による分解工程を配しているので、蛋白質分解工程により原料米中に含まれた塩分が希釈され、アレルゲン低減化米中の含水率が高くなるため、米粒形状が良好に維持される。

0010

また、本発明の請求項2のアレルゲン低減化米を用いた加工食品は、原料米を40〜60℃の塩水溶液に浸漬し、該原料米中の塩溶性蛋白質を抽出し、続いて乳酸菌由来プロテナーゼあるいはアスパルティックプロテナーゼを作用させたアレルゲン低減化米を加工して得られるものである。このため、米飯や容器包装食品乾燥米ダンゴ、餅、ピラフ麺類などに用いることができる。

0011

以下、本発明を詳細に説明する。本発明においてアレルゲンの低減化の対象となる原料米としては特に制限はなくジャポニカ米、インディカ米等いずれの米も用いることができるが、日本人の食生活を考慮するとジャポニカ米が好ましい。またこの原料米は、80〜95%、特に85〜90%に精白したものを用いるのが好ましい。

0012

また、塩水溶液抽出に用いる塩としては、塩酸塩硫酸塩、炭酸塩又はリン酸塩などの無機塩を用いることができる。一方、ナトリウム塩カリウム塩などのアルカリ金属塩を用いることができる。特に、塩化ナトリウム食塩)が好ましい。

0013

蛋白質分解酵素としては、種々の蛋白質分解酵素の中でも米中のアレルゲンとなる蛋白質、特にアルブミン分解効率が最も良好であることから、エンド型のアスパルティックプロテナーゼ(天野製薬社製、ナガセ生化学販売社製など)、乳酸菌由来(ラクトバチルスカゼイ)プロテナーゼを使用する。これらの蛋白質分解酵素を用いることにより、アレルゲンとなるアルブミン画分を十分に分解しながらアレルゲンとならない蛋白質の分解をなるべく抑えることができる。

0014

次に、原料米を上述したような塩及び蛋白質分解酵素により処理する本発明のアレルゲン低減化米の製造方法について説明する。まず、本発明においては、原料米を塩水溶液に浸漬する(塩水溶液抽出工程)。この際、塩水溶液として、40〜60℃の温度範囲のものを使用する。これは、前記塩水溶液の温度が40℃未満では、塩可溶性蛋白質、特にアルブミンン画分の除去率が十分でない一方、60℃を超えると原料米からでんぷんも流出して米粒が小さくなるためである。また、塩水溶液の濃度は、0.05〜5モル濃度であるのが好ましい。塩水溶液の濃度が0.05モル濃度未満、あるいは5モル濃度を超えると、アレルゲンとなる塩溶性蛋白質の流出が十分でなく、さらに、塩水溶液の濃度が5モル濃度を超えると、得られるアレルゲン低減化米が脆くなりやすい。特に、塩水溶液の濃度を0.5〜2モル濃度とすることにとより塩溶性蛋白質を良好に抽出することができる。上述したような塩水溶液の使用量としては、原料米が完全に浸る量であれば特に制限はなく、例えば原料米に対して、1.5倍量を用いればよい。

0015

この塩水溶液抽出工程に要する時間は、塩水溶液の濃度、温度などに応じて、適宜設定すればよく、通常、12〜36時間程度、例えば24時間程度行えばよい。

0016

このようにして塩水溶液抽出工程を終了したら、塩水溶液と処理米とを分離し、洗浄した後、該処理米に対し、乳酸菌由来プロテナーゼあるいはアスパルティックプロテナーゼ(以下、単に特定蛋白質分解酵素という)を作用させる(酵素分解工程)。この際の特定蛋白質分解酵素の量は、処理米100重量部に対して0.01〜5重量部であるのが好ましい。特定蛋白質分解酵素の量が0.01重量部未満では、アレルゲンとなる蛋白質の分解が十分でない一方、5重量部を超えると米粒が脆く崩れやすくなる。特に、処理米100重量部に対して0.05〜0.2重量部とするのが好ましい。このような特定蛋白質分解酵素は、処理米と同量〜10倍量程度の水に、必要に応じて界面活性剤、pH調製剤としてのクエン酸などの有機酸などを添加して、特定蛋白質分解酵素の活性温度範囲内、例えば常温から55℃の温度範囲内、およびpH条件で発酵処理する。この酵素処理工程は、前述した塩水溶液抽出工程で抽出されなかった蛋白質を十分に分解できる時間であればよく、通常、12〜36時間程度、例えば24時間程度行えばよい。

0017

上述したような本発明のアレルゲン低減化米の製造方法においては、原料米として粉砕物でなく米粒状のものを用いても、アレルゲンとなる蛋白質が十分に除去されるものであり、特にアルブミンにおいては原料米の約1/32以下(エライザ阻害試験ELISA−inhibition)による対比)にまで低減する。また、このようにして得られるアレルゲン低減化米は、原料米に対して脆化度合いが小さいので米粒状を維持することができ、蒸すなどして米飯とするのに好適である。

0018

次に、本発明のアレルゲン低減化米を用いた加工食品について説明する。本発明のアレルゲン低減化米を用いた加工食品は、上述したようにして得られるアレルゲン低減化米を加工して得られるものであり、例えば、米飯にする場合には、一旦蒸してから温水に浸漬し、レトルトパウチプラスチック成形容器などの容器投入し、密封後殺菌すればよい。さらに前述したアレルゲン低減化米を粥状に煮て、これにα−アミラーゼを添加して液化し、該液化物に必要に応じて果汁牛乳等を配合することにより、アレルゲン低減化米からなるドリンクとすることもできる。

0019

さらに、本発明の方法により得られるアレルゲン低減化米は、その他通常の米類の使用される種々の食品に使用することができ、例えば、ダンゴ、餅、ピラフ、麺類などに用いることができる。

0020

以上本発明について詳述してきたが、本発明は前述した説明に限らず本発明の思想を逸脱しないかぎり種々の応用が可能である。例えば、本発明の方法は、米粒状のままの原料米に対してアレルゲンを良好に除去することができるものであるが、米粒状である必要はなく、米粉などに対して本発明の方法を適用してもよい。さらに、蛋白質分解酵素の濃度、塩類の濃度、処理時間などは所望のアルブミンなどのアレルゲン物質の除去率に応じて適宜設定することができる。

0021

本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳細に説明する。
試験例1
塩水溶液の温度によるアルブミン抽出効果の確認
原料米として市販のこしひかり1kgに1M(モル濃度)塩化ナトリウム溶液1.5リットルをそれぞれ加え、全体が均一になるまで懸濁して5,25,50及び60℃の恒温槽でそれぞれ24時間塩抽出を行った。抽出後、塩化ナトリウム溶液と処理米とを分離し、処理米を流水中で1時間洗浄した。この処理米を直ちに凍結乾燥して粉砕した。このようにして粉砕した処理米に対しエライザ阻害試験により490nmの吸光度を測定した。

0022

エライザ阻害阻害試験は、以下のようにして行った。粉砕した処理米の試料1gに10mlのPBS(150mMの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液でpH7.4に調製したもの)を加え、4℃にて3時間静置し、10分間超音波処理後、10分間遠心分離(10000rpm)し、上清抽出液)を分離した。

0023

一方、エライザ用プレートに米アルブミンが1μgになるように米アルブミン分画を添加した。4℃で一晩静置して、プレートに結合させた。このプレートをPBS−T溶液(150mMの塩化ナトリウムと0.05%Tween−20を含む20mMリン酸緩衝液でpH7.4に調製したもの)で3回洗浄し、3%BSA(ウシ血清アルブミン)−PBS溶液にてブロッキングして2時間静置後、PBS−T溶液でプレートを4回洗浄した。

0024

そして、4倍に希釈した抽出液50μlと、30万倍に希釈した抗米アルブミンモノクロナール抗体(25B9)50μlと混合し、4℃にて一晩静置した。この反応液を上記プレートに添加し、2時間放置後、PBS−T溶液にてプレートを5回洗浄した。続いて1万倍に希釈したペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG抗体を添加し、2時間静置後、PBS−T溶液で6回洗浄した。基質溶液オルトフェニレンジアミン4mgとH2 O2 0.015%を含むリン酸クエン酸緩衝液でpH5.0に調製したもの)を添加し、30分後に2N硫酸を加えて反応を停止した。この反応溶液の490nmの吸光度をエライザリーダーで測定した。また、8倍、16倍、32倍及び64倍に希釈した抽出液に対して、同様にして490nmの吸光度をエライザリーダーで測定した。また、比較のために原料米に対して前述した処理米と同様にエライザ阻害試験により490nmの吸光度を測定した。これらの結果を図1に示す。

0025

図1から明らかなように塩水溶液で抽出した処理米は、原料米と比べて490nmの吸光度の向上が認められ、抗原性が低下しているのが認められた。この傾向は、塩水溶液の温度が向上するほど大きく、特に50℃及び60℃の塩水溶液では抗原性が原料米の8分の1以下にまで減少していた。また、60℃の塩水溶液では抗原性の低下が認められるもののでんぷんが流出して米粒がやせて小さくなっており、塩水溶液による抽出温度は60℃が限界であった。
試験例2
酵素の種類によるアルブミン分解効果の確認
原料米として市販のこしひかり1kgに、アクチナーゼ、メタロプロテナーゼ、アスパルティックプロテナーゼ及び乳酸菌由来プロテナーゼ1.5gをそれぞれ1.5リットルの水に分散させた酵素水溶液を加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽でそれぞれ24時間酵素反応を行った。そして反応後の処理米を直ちに凍結乾燥して粉砕した。

0026

このようにして粉砕した処理米を試料として、前述した試験例1と同様にして米の主要アレルゲンであるアルブミン画分に対する抗原性を米アルブミンモノクロナール抗体を用い、エライザ阻害試験により490nmの吸光度を測定した。また、比較のために原料米に対して同様にエライザ阻害試験により490nmの吸光度を測定した。これらの結果を図2に示す。なお、アスパルティックプロテナーゼについては、2倍に希釈した抽出液における490nmの吸光度も測定した。

0027

図2から明らかなように酵素処理した処理米は、原料米と比べて490nmの吸光度の向上が認められ、抗原性が低下しているのが認められた。この傾向は、アスパルティックプロテナーゼ及び乳酸菌由来プロテナーゼで特に大きく、抗原性が原料米の8分の1以下にまで減少していた。また、渡辺らの方法(J.Food.Science 55(3)781-783(1990) )に従い、塩可溶蛋白質の10%トリクロル酢酸可溶率を調べたところ、それぞれ72%、69%であった。
実施例1
原料米として市販のこしひかり1kgに、50℃の1M塩化ナトリウム溶液1.5リットルを加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽で24時間塩抽出を行った。抽出後、塩化ナトリウム溶液と米(塩抽出米)とを分離し、塩処理米を流水中で1時間洗浄した。この塩抽出米にアスパルティックプロテナーゼ1.5gを1.5リットルの水に分散させた酵素水溶液を加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽でそれぞれ24時間酵素反応を行い、アレルゲン低減化米を製造した。
試験例3
このようにして得られたアレルゲン低減化米の粉砕物1gに対して前述した試験例1と同様にして米の主要アレルゲンであるアルブミン画分に対する抗原性を米アルブミンモノクロナール抗体を用い、原液、2倍、4倍、16倍、32倍及び64倍に希釈した抽出液におけるエライザ阻害試験による490nmの吸光度を測定した。また、比較のために原料米に対して4倍、16倍、32倍及び64倍に希釈した抽出液におけるエライザ阻害試験により490nmの吸光度を測定した。これらの結果を図3に示す。

0028

図3から明らかなように本発明の方法により処理したアレルゲン低減化米は、原料米と比べて490nmの吸光度の大幅な向上が認められ、抗原性が原料米の32分の1以下にまで減少しているのが確認された。
試験例4
実施例1で得られたアレルゲン低減化米を炊飯し、6名の米アレルギー患者に主食として与え、アトピー性皮膚炎の改善の状態を観察した。結果を表1に示す。

0029

0030

表1から明らかなように実施例1のアレルゲン低減化米によりいずれの患者にもアトピー性皮膚炎の改善が認められ、本発明の方法により米中のアレルゲンの原因となる蛋白質が除去されているのがわかる。
実施例2
原料米として市販のこしひかり1kgに、50℃の1M塩化ナトリウム溶液1.5リットルを加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽で24時間塩抽出を行った。抽出後、塩化ナトリウム溶液と米(塩処理)とを分離した後、塩処理米を流水中で1時間洗浄した。この塩処理米に乳酸菌由来プロテナーゼ1.5gを1.5リットルの水に分散させた酵素水溶液を加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽でそれぞれ24時間酵素反応を行った。このようにしてアレルゲン低減化米を製造した。
比較例1
原料米として市販のこしひかり1kgに、50℃の1M塩化ナトリウム溶液1.5リットルを加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽で24時間塩抽出を行った。抽出後、塩化ナトリウム溶液と米(塩処理)とを分離した後、塩処理米を流水中で1時間洗浄した。このようにしてアレルゲン低減化米を製造した。
比較例2
原料米として市販のこしひかり1kgに、アスパルティックプロテナーゼ1.5gを1.5リットルの水に分散させた酵素水溶液を加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽でそれぞれ24時間酵素反応を行った。このようにしてアレルゲン低減化米を製造した。
比較例3
原料米として市販のこしひかり1kgに、アスパルティックプロテナーゼ1.5gを1.5リットルの水に分散させた酵素水溶液を加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽でそれぞれ24時間酵素反応を行った。酵素反応後酵素溶液と米(酵素処理米)とを分離した後、酵素処理米を流水中で1時間洗浄した。この酵素処理米に1M塩化ナトリウム溶液1.5リットルを加え、全体が均一になるまで懸濁して50℃の恒温槽で24時間塩抽出を行った。このようにしてアレルゲン低減化米を製造した。
試験例5
実施例1,2及び比較例1〜3で得られた米の粉砕物3gに60mlの4M尿素−PBS(4Mの尿素と150mMの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液でpH7.4に調製したもの)を加え、3時間室温にて振とうし、10分間遠心分離(10000rpm)し、上清(抽出液)を分離した。その試料を4M尿素−PBSで100倍に希釈し、その希釈液50μlをエライザ用プレートに添加し、4℃で一晩静置して、プレートに抗原を結合させた。このプレートをPBS−T溶液で3回洗浄し、3%BSA−PBS溶液にてブロッキングして2時間静置後、PBS−T溶液でプレートを4回洗浄した。

0031

米アレルギー患者4名及び健常人血清を1%BSA−PBS溶液で10倍に希釈し、その希釈液を50μlずつ添加した。2時間放置後、PBS−T溶液にてプレートを5回洗浄した。続いて、2000倍に希釈したペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgE抗体シグマ社製)を添加し、2時間放置後、PBS−T溶液にて6回洗浄した。基質溶液(オルトフェニレンジアミン4mgとH2 O2 0.015%を含むリン酸−クエン酸緩衝液でpH5.0に調製したもの)を添加し、30分後に2N硫酸を加えて反応を停止した。この反応溶液の490nmの吸光度をエライザリーダーで測定した(IgE−エライザ試験)。結果を表2に示す。

0032

0033

表2から明らかなように実施例1及び2のアレルゲン低減化米においては抗原性の低下が認められた。
試験例5
実施例1、実施例2および比較例3で得られたアレルゲン低減化米を通常の方法で炊飯したところ、実施例1、実施例2のアレルゲン低減化米は、米粒が柔らかすぎて粘りすぎるものであり、また、比較例3のアレルゲン低減化米は米粒自体がもろくて崩れやすくなっており、そのままでは炊飯などに供するに適しないものであった。そこで、実施例1、実施例2のアレルゲン低減化米を蒸かごで10〜15分間蒸した後、75〜85℃の温水中で1〜5分間浸漬吸水させ、この蒸米をほぐし、200gずつレトルトパウチに充填し、密封殺菌した。このように調製した米飯は、米粒もしっかりしており米飯として好適なものであった。

発明の効果

0034

本発明の請求項1のアレルゲン低減化米の製造方法は、原料米を40〜60℃の塩水溶液に浸漬し、該原料米中の塩溶性蛋白質を抽出し、続いて乳酸菌由来プロテナーゼあるいはアスパルティックプロテナーゼを作用させるものであるので、米中のアレルゲンとなる蛋白質を効率良くかつ高い除去率で除去することができる。また、得られるアレルゲン低減化米は、米粒形状を維持でき米飯化に好適なものである。

0035

請求項2のアレルゲン低減化米を用いた加工食品は、原料米を40〜60℃の塩水溶液に浸漬し、該米中の塩溶性蛋白質を抽出し、続いて乳酸菌由来プロテナーゼあるいはアスパルティックプロテナーゼを作用させたアレルゲン低減化米を加工して得られるものであるので、米飯や容器包装食品、乾燥米、粥、ダンゴ、餅、ピラフ、麺類などに用いることができる。

図面の簡単な説明

0036

図1塩水溶液の温度によるアルブミン抽出効果を示すチャートである。
図2酵素の種類によるアルブミン分解効果を示すチャートである。
図3実施例1のアレルゲン低減化と原料米のアルブミンによる抗原性を示すチャートである。

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