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課題・解決手段
結像面において変換器列の軸線に沿って整列された複数の変換器要素を有する超音波変換器列(10)である。各変換器要素(12)は圧電基板(24)を含み、さらに、前記基板の後面に付与された後方電極(32)と、前記基板の前面に付与されたパターン化した前方電極(30)とを含む。導電性の、あるいは金属化した音響的に適合する層(26)がパターン化した前方電極(30)に重ねられている。前方電極(30)は仰角平面において放射された超音波ビームを蛇形化するために、結像面に対して垂直の仰角平面に沿って特にパターン化されている。前記パターンは所定の漸減した重み関数、好ましくはハミング重み関数に近似の重み関数に追従する。変換器列の軸線に対して平行に向いたスロットが圧電基板(24)の前面に切設され複数のサブエレメントを形成する。このため、さらにパターン化された前方電極が重なっていない圧電基板(24)の部分を遮断しビームの蛇形化を向上させる。
概要
背景
概要
結像面において変換器列の軸線に沿って整列された複数の変換器要素を有する超音波変換器列(10)である。各変換器要素(12)は圧電基板(24)を含み、さらに、前記基板の後面に付与された後方電極(32)と、前記基板の前面に付与されたパターン化した前方電極(30)とを含む。導電性の、あるいは金属化した音響的に適合する層(26)がパターン化した前方電極(30)に重ねられている。前方電極(30)は仰角平面において放射された超音波ビームを蛇形化するために、結像面に対して垂直の仰角平面に沿って特にパターン化されている。前記パターンは所定の漸減した重み関数、好ましくはハミング重み関数に近似の重み関数に追従する。変換器列の軸線に対して平行に向いたスロットが圧電基板(24)の前面に切設され複数のサブエレメントを形成する。このため、さらにパターン化された前方電極が重なっていない圧電基板(24)の部分を遮断しビームの蛇形化を向上させる。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 2件
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請求項1
結像面において変換器列の軸線に沿って整列された複数の圧電変換器要素を含み、対象物を結像する超音波変換器列において、各圧電変換器要素が、前面と後面とを有する圧電基板と、前面全体よりは小さい、圧電基板の前面の選定された部分に重ねられたパターン化した前方電極と、圧電基板の後面に重ねられた後方電極と、パターン化された前方電極に重ねられ、前方電極に電気信号を導く第1の音響に適合した層とを含み、前記のパターン化した前方電極が、結像面に対して垂直に仰角方向軸線に沿って分配された所定の漸減重み関数を提供する形状とされることによって、仰角平面において蛇形化された超音波エネルギのビームを提供することを特徴とする超音波変換器列。
請求項2
各変換器要素の圧電基板がその前面において、変換器列に対して概ね平行の方向に延在し、音響的に遮断されたサブエレメントを形成する一連のスロットが切設されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の超音波変換器列。
請求項3
選定された音響的に遮断されたサブエレメントがパターン化した前方電極によって第1の音響的に適合する層に結合され、そのため圧電基板が所定のエネルギ分布を有する超音波を放出することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の超音波変換器列。
請求項4
請求項5
請求項6
第1の音響適合層が導電性材料から作られていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の超音波変換器列。
請求項7
各変換器要素が、パターン化した前方電極が選択的に重なるサブエレメントに分割され、選択されたサブエレメントが第1の音響適合層により並列に接続されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の超音波変換器列。
請求項8
各変換器要素の圧電基板の前面が仰角平面において凹形であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の超音波変換器列。
請求項9
各変換器要素の圧電基板の前面が仰角平面において概ね平坦であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の超音波変換器列。
請求項10
結像面から離れる方向の仰角方向に延在する主ローブの両側に関連のサイドローブを有する超音波エネルギの狭いビームを結像面で走査することにより対象物を結像する超音波変換器列であって、結像面において変換器列の軸線に沿って整列された複数の変換器要素であって、前面と後面とを有する圧電基板と、圧電基板の前面の、全体の前面よりは小さい選択された部分に重ねられた前方電極と、圧電基板の後面に重ねられた後方電極と、前記前方電極に重ねられ、電気信号を前方電極に導く第1の音響的に適合した層とを含み、前記前方電極が所定の重み関数と近似する形状とされ、そのため変換器要素が対象物に向かって導かれ、仰角平面において集中される超音波エネルギの蛇形ビームであって、該ビームのサイドローブが均一の前方電極を有する圧電要素が放出するサイドローブより小さいビームを発生させる、変換器要素を含むことを特徴とする変換器列。
請求項11
各変換器要素が、前面と後面とを有する圧電基板と、前面全体よりは小さい、圧電基板の前面の選択された部分に重ねられ、結像面に対して垂直に方向づけられた仰角方向軸線に沿って配分された所定の漸減重み関数を提供するパターン化した前方電極と、圧電基板の後面に重ねられた後方電極と、前方電極に重ねられ、前方電極に電気信号を導く、第1の音響的に適合した層とを含み、結像面において変換器列の軸線に沿って整列された複数の圧電変換器を提供し、後方電極と、第1の音響適合層との間に供給された励起信号で各変換器要素を励起して、パターン化した前方電極が重ねられた圧電基板の前面の部分に超音波ビームを対象物に向かって放出させ、パターン化された前方電極が仰角平面で蛇形化された超音波ビームを提供する形状とされていることを特徴とする超音波結像方法。
請求項12
各変換器要素の圧電基板が、変換器列に対して概ね平行の方向に向き、音響的に遮断されたサブエレメントを形成する一連のスロットをその前面に切設していることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の超音波結像方法。
請求項13
選定された音響的に遮断されたサブエレメントが、圧力基板が所定のエネルギ分布を有する超音波ビームを放出するように、パターン化した前方電極により第1の音響適合層に結合されていることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の超音波結像方法。
請求項14
第1の音響適合層がエポキシ材の層と、電気信号を導く金属層とを含むことを特徴とする請求の範囲第11項に記載の超音波結像方法。
請求項15
第1の音響適合層が導電性材料から作られていることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の超音波結像方法。
請求項16
各変換器要素が、選択されたサブエレメントが第1の音響適合層により並列に接続されるように、パターン化した前方電極が選択的に重なったサブパターンに分割されていることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の超音波結像方法。
請求項17
各変換器要素の圧電基板の前面が仰角平面において凹形であることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の超音波結像方法。
請求項18
各変換器要素の圧電基板の前面が仰角平面において概ね平坦であることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の超音波結像方法。
請求項19
所定の重み関数がハミング重み関数に近似していることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の超音波結像方法。
背景技術
0002
最近は、超音波結像技術が医療診断や材料の非破壊検査において普及してきて
いる。医療の診断のための結像については、これらの技術は深層器官や身体にわ
たる物理的構造の寸法や位置を測定したり、記録するために用いられている。
0003
超音波結像システムは典型的に、変換器列の軸線に沿って配置された複数の平
行の圧電式変換器要素であって、各要素が圧電層と、該圧電層を励起させ、超音
波エネルギを放出するようにさせる前方および後方の電極を有する圧電式変換器
要素を含む。電子駆動回路が変換器要素を励起させて、結像平面を画成するよう
横方向に走査しうる超音波エネルギの細いビームを形成する。駆動回路は、数種
の従来の方法のいずれかで複数の圧電要素を駆動し、例えば結像面に沿って狭い
ビームを掃去するフェーズドアレイあるいは結像面において狭いビームを段階的
に導く段階列を提供することができる。
0004
コストおよび簡素化の点から、典型的には多数の変換器要素は、ビームを電子
的に集中させる仰角軸線に沿って設けてはいないため仰角平面におけるビームの
形成はより難しい。超音波ビームに対して単一の仰角焦点を提供するために変換
器列の前方に音響レンズを位置させることがよくある。しかしながら、仰角方向
における変換器の水晶の長さは限りがあるため回折により仰角方向にサイドロー
ブが現われるようにする可能性があり、これが主ローブによる結像に干渉する。
さらに、レンズによって得られる焦点深度が不当に制限される可能性がある。
0005
ビームのサイドローブの大きさを低減し、それによって変換器の解像力を向上
させるために、仰角軸線において超音波ビームを蛇形化(apodization)すること
が過去試みられてきた。特に、前面に沿った各種の位置において放射された超音
波エネルギの強度を適合させ、一般に変換器要素の側部における強度を中心に対
して相対的に低くするために、圧電変換器要素の前面の選定された部分に音響遮
断材の薄いシートが付与された。しかしながら音響遮断材の使用は不正確で、付
加的な層の使用を必要とする。
0006
従って、音響遮断材を使用する必要なしに、仰角方向のサイドローブを低減し
、深い焦点深度にわたって比較的良好な焦点を有する結像ビームを提供する、よ
り効率的な超音波変換器列に対する要請がある。
発明の要約
0007
本発明は、パターン化した前方電極と、仰角方向のサイドローブを低減した蛇
形の結像ビームを提供する、導電性で音響的に適合した層とを有する超音波変換
器列において実施される。蛇形化は各変換器要素の前面に沿った各種の位置にお
いて放出された超音波エネルギを直接適合させることにより達成される。超音波
変換器列はまた、深い焦点深度にわたって比較的良好な焦点を提供する。
0008
特に、超音波変換器列は結像面において列の軸線に沿って整列された複数の圧
電変換器要素を含む。各圧電変換器要素は、前面に前方電極を重ね、後面に後方
電極を重ねた圧電基板を含む。重ねられた第1の音響的に適合する層を介して電
気駆動信号が前方電極に供給される。前方電極は、結像面に対して垂直の仰角方
向軸線に沿って分配された所定の漸減重み関数を提供するようにパターン化され
ている。このため、蛇形化が無ければ変換器要素によって提供されるものよりサ
イドローブの大きさがより小さいビームを仰角平面において蛇形化する。
0009
本発明のより細部にわたる特徴においては、各変換器要素の圧電層は変換器要
素列に対して概ね平行の方向に向いた一連のスロットをその前面に切設している
。これらのスロットは音響的に遮断されたサブエレメント(subelements)を形成
し、さらに、前方電極を重ねていない圧電層の部分を遮断することにより所望の
ビーム蛇形化を向上させる。
0010
本発明の別の細部にわたる特徴においては、各変換器要素の前方電極が、該要
素がハミング(Hamming)重み関数に近似したエネルギ分布を有する超音波ビーム
を放射するように特殊パターン化されている。これは、特に望ましいビーム蛇形
化形態を提供するものと考えられている。
0011
第1の音響的に適合した層は二種類の適当な形態のいずれかをとりうる。一方
の形態においては、電気信号をパターン化した前方電極まで導くために薄い金属
層(例えば銅)が第1の音響的に適合した層の後面を形成する。代替的に、第1
の音響的に適合した層全体を導電性材料から形成してもよい。
0012
本発明の別の特徴においては、各圧電変換器要素は、厚さが均一で、第1の音
響適合層に重ねられた第2の音響的に適合した層を含めることができる。さらに
誘電性材料の音響レンズを音響適合層に重ねることができる。最後に、各変換器
要素の前面は仰角平面では平坦な形状あるいは凹形平面としうる。
図面の簡単な説明
0014
第1図は、複数の独立した超音波変換器要素を有する本発明による超音波変換
器列であって、該列の一部を図示のために残りのものから取り出して示す、一部
断面の斜視図、
0016
第3図は本発明による超音波変換器列の断側面図、
0020
第7A図と第7B図とは、ログの大きさで示す、均一に重みをつけた長方形の
窓とその関連のフーリエ変換とのグラフ、
0021
第8図は、本発明の超音波変換器要素の前方電極の部分と関連した領域に分割
した、第6A図に示すハミング重み関数のグラフ、
0022
第9A図は、第7A図に示すグラフにより均一に重みをつけた変換器要素を有
する変換器列により発生した、変換器列から40ミリの距離をおいた仰角プロフ
ィルのグラフ、
0024
第10A図は、第7A図に示すグラフにより均一に重みをつけた変換器要素を
有する変換器列により発生した走査ビームの、変換器列から60ミリの距離をお
いた、仰角プロフィルのグラフ、
0025
第10B図は、第8図に示すハミング重み関数を有する変換器列によって発生
した走査ビームの、変換器列から60ミリの距離をおいた仰角プロフィルのグラ
フ、
0026
第11A図は、第7A図に示すグラフにより均一に重みをつけた変換器列によ
って発生した走査ビームの、変換器列から80ミリの距離をおいた仰角プロフィ
ルのグラフ、
0027
第11B図は、第8図に示すハミング重み関数により重みをつけた変換器要素
を有する変換器列により発生した走査ビームの、変換器列から80ミリの距離を
おいた、仰角プロフィルのグラフ、
0028
第12A図は、第7A図に示すグラフにより均一に重みをつけた変換器要素の
変換器列によって発生した走査ビームの、変換器列から100ミリの距離をおい
た仰角プロフィルのグラフ、
0029
第12B図は、第8図に示すハミング重み関数により重みをつけた変換器要素
を有する変換器列によって発生した走査ビームの、変換器列から100ミリの距
離をおいた仰角プロフィルのグラフ、
0030
第13A図は、第7A図に示すグラフにより均一に重みをつけた変換器要素を
有する変換器列によって発生した走査ビームの、変換器列から120ミリの距離
をおいた仰角プロフィルのグラフ、
0031
第13B図は、第8図に示すハミング重み関数により重みをつけた変換器要素
を有する変換器列によって発生した走査ビームの、変換器列から120ミリの距
離をおいた仰角プロフィルのグラフ、
0032
第14図は、本発明による超音波変換器列の代替実施例の断側面図、
0033
第15図は、本発明による超音波変換器列の別の代替実施例の断側面図である
。
好適実施例の説明
0034
図面、特に第1図から第3図までに示すように、本発明は、全体的に参照番号
10で示す超音波変換器列と、結像面において超音波エネルギの狭いビームを走
査することにより対象物を結像する関連の方法とにより実施される。変換器列は
、制御された振幅と位相の信号により励起され、結像面においてビームを走査す
る複数の音響的に遮断された変換器要素を含む。変換器列は、各変換器要素の選
定された部分のみを選択的に励起させることにより個々の変換器要素を蛇形化す
ることによってビームの仰角焦点を向上させる。このため変換器列が結像を改良
できるようにする。
0035
超音波変換器列10はハウジング14内に収容された複数の独立した超音波変
換器要素12を含む。個々の変換器要素は可撓性のプリント回路盤のリード線1
6と、ポリマ裏打ち材料20により適所に固定された接地フォイル18とに電気
的に接続されている。誘電面層22が変換器要素とハウジングとの周りに形成さ
れている。
0036
個々の各超音波変換器要素12は圧電基板24と、第1の音響適合層26と、
第2の音響適合層28とを含む。個々の変換器要素は相互に対して機械的に遮断
され、第2図においてX−Y軸により規定される結像面に位置した変換器要素列
の軸線Aに沿って配分されている。さらに、個々の要素は圧電基板と隣接する音
響適合面とをその前面が凹形となるように形成することにより結像面に機械的に
焦点が合うようにされている。
0037
変換器要素列の軸線Aは扇形走査がしやすいように凸形とされている。しかし
ながら、以下の説明から、前記列の軸線は直線、あるいは曲線に、さらには直線
部分と曲線部分の組合わせともしうることが明らかとなる。超音波変換器列は、
参考のために本明細書に含めている、1993年1月29日出願され、「超音波
変換器列と、その製造方法」(ULTRASONIC TRANSDUCERARRAY ANDMANUFACTURING
METHODTHEREOF)という名称の米国特許出願08/010,827号に記載の方
法により形成し、組み立てることができる。
0038
第3図に示すように、本発明による各超音波変換器要素12はさらに、圧電基
板24の前面にあるパターン化した前方電極30と、圧電基板の後面にある後方
電極32とを含む。パターン化した前方電極は圧電基板において一連のサブエレ
メント34を重ねている。後方電極32はリード線16を介して正の端子に接続
され、パターン化した前方電極は第1の音響適合層26と接地フォイル18とを
介して負の端子に接続されている。
0039
第1の音響適合層は、(当該材料における音の速度によって測定して)所望の
作動周波数において約1/4の波長に等しい厚さを有するエポキシ材から作るこ
とが好ましい。例えば銅のような金属から形成した導電性の層35が第1の音響
適合層の後面を形成し、パターン化した前方電極30に導電する。代替的に、第
1の音響適合層に対して、例えばグラファイト、銀充てんエポキシ、あるいはガ
ラス質炭素のような適当な音響インピーダンスを有する導電性材料を用いること
ができ、金属層は省略しうる。
0040
第2の音響適合層28は均一な厚さを有し、第1の音響適合層26と誘電面層
22との間に狭持されている。第2の適合層は好ましいものではあるが省いても
よい。
0041
各変換器要素12は正と負の端子にわたって供給される励起信号によって励起
される。励起信号はパターン化した前方電極30に重ねられているサブエレメン
トを振動させ、超音波が圧電基板24の前面の対応する領域から放出されるよう
にする。
0042
圧電変換器要素12はポリマ裏打ち材料20によりハウジング14内に保持さ
れている。誘電面層22はポリウレタンのような材料から形成されている。
0043
第4図と第5図とは、圧電基板が凹状に形成される前の、製作工程の初期段階
の間の圧電基板を示す。第4図は金属化層がその表面に付与された後の基板を示
す。基板の後面の金属化層を通しての2本の鋸による切欠部36がそれぞれ前方
および後方電極30,32を形成する。前記鋸による切欠部は前方電極30が基
板の後面まで包み、接地フォイル18を接続しやすくするよう位置させることが
できる。前方電極の能動開口38が、前方電極30へ突出した後方電極32の長
さ分によって画成されている。
0044
第5図に示すように、各変換器要素12の能動開口38は、変換器列の軸線A
に対して平行に圧電基板24の前面を通して切設された多数の平行のスロットに
よりサブエレメント34に分割されている。切設はダイシングソー(dicing saw)
を用いて行われる。先に引用した特許出願第08/010,827号に完全に説
明されているように、スロットは圧電基板に概ねわたって延在するため基板を可
撓性とし、凹状に形成できるようにする。前方電極30の選定された部分は能動
開口領域において除去されている。このように選定した部分の除去はダイシング
ソーを用いて達成され、下記する蛇形化を実行するべく実施される。
0045
変換器列10によって発生する走査ビームの仰角焦点は変換器要素12を蛇形
化することにより改良される。各変換器要素の蛇形化は、圧電基板24の放射開
口38にわたって漸減励起を提供するため前方電極30の部分を仰角方向すなわ
ちZ軸の方向に除去することにより達成される。そのような電極のパターンはス
ロットを切設する前に前面に作っておく。
0046
第6A図に示すように、ハミング重み関数を用いてビームを蛇形化することが
好ましい。第6B図に示すように、ハミング重み関数のフーリエ変換は、フーリ
エ変換の主ローブ42のレベルより著しく低いサイドローブ40を有している。
第7A図および第7B図に示す長方形の重み関数とそのフーリエ変換とに比較し
て、ハミング重み関数のサイドローブ40は長方形の重み関数のサイドローブ4
0′よりはるかに低く、主ローブ42は長方形重み関数の主ローブ42′よりは
るかに幅広い。その他の重み関数を用いてもある程度首尾よくいくことに注目さ
れたい。身体内での結像という、大きな反響を発生する多くの硬質の構造を含み
うる環境においては、硬質の構造による反響が起因する著しいノイズを誘発しう
る、より高いサイドローブ40よりも僅かに幅広い主ローブ42の方が好ましい
。
0048
前方電極30の部分を単に除去するだけでは重み関数の正確なプロフィルは複
製できないことを注目されたい。従って、本発明の変換器要素12は、選定され
たサブエレメントがそれぞれの変換器要素に対して励起信号によって励起されな
いように選定されたサブエレメントから前方電極を除去することにより重み関数
を近似化する、前方電極から除去すべきサブエレメントはサブエレメントを群あ
るいは領域に分割することにより決められる。前方電極を各群の選定された数の
サブエレメントから除去し、該群の残りのサブエレメントが超音波エネルギを放
出するようにさせる。一定数のサブエレメントに対して、群の数並びに各群にお
けるサブエレメントの数は重み関数の曲線を近似化するに十分な数の群を有する
ことと、量子化効果を最小にするに十分な各群におけるサブエレメントの数との
間のバランスの問題である。
0049
好適実施例においては、変換器要素12は12ミリの能動仰角開口38を有す
る。112個の合成サブエレメント34を形成するために、開口の高さにわたっ
てスロットを均等に隔置させる。第8図に示すように、開口の各々半分が、開口
にわたっての合計28個の領域に対して、各4個のサブエレメントからなる14
個の領域44に分割される。ハミング重み関数を近似化するために各領域におい
て前方電極を除去すべきサブエレメントの数は、対象の領域に対応する重み関数
の曲線の下の面積を決めることにより計算しうる。各々4個のサブエレメントか
らなる14個の領域に対して、最後の2個の領域は、これらの領域の各々におけ
る4個全てのサブエレメントから前方電極を除去すべきであることが直ちに判る
。しかしながら、能動開口38内のいずれの領域も能動サブエレメントを無くす
必要はなく、圧電基板24の後方電極32を通って延在する圧電基板の前面の部
分が超音波エネルギを有効に発生させずこの機能を提供することができる。この
ように、計算のために、2個の鎖線で示す領域15、16が能動開口の各端で加
えられ、開口の各半分を16の領域に分割して、13.7ミリの有効能動高さ開
口を有する変換器要素に対して計算が行われる。
0050
ハミング重み関数はその中心の周りで対称であるので、計算は32個の領域4
4の半分のみに対して実行される。曲線の半分の各領域に対する重み関数の下の
正規化された面積は下式により提供される。
但し n=1〜16(領域の1/2)
D=13.7ミリ
0051
電極を除去すべきサブエレメントrnの数は次の式によって計算される。
rn=(Zn−1)/4
0052
領域42当り4個の要素しかないため、電極を除去すべきサブエレメントrn
の数は所定のしきい値を用いて全ての数あるいは整数inに対して量子化される
。一般的な指標として、計算された数rn、0から0.5までは領域において何
ら電極を除去すべきでないことを、0.5から1.5は領域から1個の電極を除
去すべきことを、1.5から2.5は領域から2個の電極を除去すべきことを、
2.5から3.5は領域から3個の電極を除去すべきことを、3.5から4.0
は4個の電極を領域から除去すべきことを示す。
0053
計算を実行することにより下表が得られる。
0054
従って、領域1〜4においては、前方電極30のどの部分もサブエレメント3
4から除去すべきでなく、領域5〜7において前方電極は1個のサブエレメント
から除去すべきで、領域8〜10においては前方電極は2個のサブエレメントか
ら除去すべきで、領域11〜14においては前方電極は3個のサブエレメントか
ら除去すべきで、領域15と16とにおいては、前方電極は4個全てのサブエレ
メントから除去すべきで能動サブエレメントを残さない。しかしながら、前述の
ように、領域15と16とは12ミリの圧電基板24の12ミリの能動窓すなわ
ち開口36の外側にあり、超音波エネルギを放出しない圧電基板の端部分に対応
する。
0056
第9A図から第13A図は変換器列からの距離が増えても均一な仰角窓を有す
る変換器列によって発生したビームの仰角プロフィルを示し、第9B図から第1
3B図は変換器列からの距離が増えて蛇形化した仰角焦点を有する変換器列によ
って発生したビームの仰角プロフィルを示す。蛇形化した変換器列において、能
動開口38は、各々4個のサブエレメントからなる14個の領域44に分割され
た112個のサブエレメント34を有する。領域1〜5は4個の能動サブエレメ
ントを有し、領域6と7は3個の能動サブエレメントを有し、領域8〜10は2
個の能動サブエレメントを有し、領域11〜14は1個の能動サブエレメントを
有する。この配列は領域番号5の場合のみ前述の最適化した配列と相違する。
0057
図示例においては、20ミリ以下の範囲において、ビームは良好に形成されて
おらず蛇形化したビームと均一な開口のビームとの性能の間の差は殆んど無い。
しかしながら、40ミリの範囲においては、蛇形化したビームのプロフィル(第
9B図)はより明確な主ローブ42を有し、蛇形化していないビームのプロフィ
ル(第9A図)の主ローブの外部での信号除去において少なくとも5dBの向上が
見られる。60ミリから120ミリの範囲において、蛇形化したビームのプロフ
ィル(第10B図〜第13B図)のサイドローブ40は蛇形化していないビーム
のプロフィル(第10A図〜第13A図)よりも少なくとも約5dB低い。従って
、本発明による超音波変換器列10は、結果得られた超音波ビームのサイドロー
ブのレベルを著しく低下することにより変換器列の結像性能を著しく向上させる
。
0058
本発明の変換器列10′の代替実施例が第14図に示されている。この実施例
においては、圧電基板24′は平坦であり、蛇形化は圧電基板の平坦面にわたっ
て前方電極30′において実行される。誘電面層22′は、湾曲した外面を有し
、超音波ビームを仰角方向に集中させるシリコンゴム製レンズを形成することが
好
ましい。
0059
本発明による変換器列10″の別の代替実施例が第15図に示されている。本
実施例においては、サブエレメント34を形成するスロットが排除されている。
前方電極30″は、前方電極が重ねられている圧電基板24″の部分のみを励起
する。
0060
前述の説明は本発明の好適実施例を開示しているものの、当該技術分野の専門
家は本発明の範囲から逸脱することなく、図示した好適実施例に各種の変更を行
いうることが理解される。本発明は請求の範囲によってのみ規定される。
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