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技術 重金属安定化剤の適正添加量の決定方法および廃棄物の薬剤処理方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 井田巌石橋耀一中原啓介
出願日 1998年3月26日 (21年8ヶ月経過) 出願番号 1998-079353
公開日 1998年12月22日 (20年11ヶ月経過) 公開番号 1998-337550
状態 特許登録済
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析 固体廃棄物の処理
主要キーワード 泥状体 焼却ごみ 有機系液体 原子吸光装置 フレームレス 吸光光度分析 吸収シグナル 薬剤添加量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年12月22日)のものです。
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図面 (7)

課題

より正確に金属安定化剤の適性添加量を決定できる重金属安定化剤の適正添加量の決定方法およびこれを適用した廃棄物の薬剤処理方法を提供する。

解決手段

廃棄物からサンプルを採取し、サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加してサンプル中の重金属と液体キレート剤とを反応させ、液体キレート剤を添加したサンプルについて、液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求め、吸光度IBからサンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bを求め、空試験により添加した液体キレート剤の全量に相当する波長における吸光度IAを求め、吸光度IAから添加した液体キレート剤の全量Aを求める。この全量Aと量Bの差から重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求め、この量Cとサンプルの所定量との比に基づいて廃棄物を処理するに適正な液体キレート剤の添加量を決定する。

概要

背景

ごみ焼却施設集塵設備捕集されたばいじん飛灰)は、廃棄物処理法により特別管理一般廃棄物に指定されており、中間処理を施したのち埋立等により処分することが義務づけられている。この中間処理の目的は飛灰の安定化、無害化および飛散防止であり、1)溶融固化、2)セメント固化、3)薬剤処理、4)酸その他溶媒への抽出の4方法が定められている。この中で薬剤処理は、他の3法と比較して、1)設備小規模で安価である、2)設備の運転保守が容易である、といった利点がある。

この薬剤処理で使用される薬剤有機系液体キレート剤であり、これを水とともに飛灰と混練し有害重金属液体キレート剤配位固定化することにより無害化するものである。処理後の飛灰は、適当な溶出試験(例えば、環境告示13号法など)を行い、溶出液中の有害重金属(鉛、水銀、カドミウム、6価クロム砒素セレン)濃度が基準値を下回ることを確認した後に処分する。従って、薬剤添加量可否は処理後でなければわからない。また、飛灰中の有害重金属濃度は、焼却ごみの変動、焼却設備操業条件により変化することを考え併せると、必要以上に薬剤添加を行わざるを得ない。

このため、薬剤処理に先立ち飛灰の溶出試験を行い、溶出液中の鉛量を定量した後、薬剤添加量を決める方法およびこれを自動で行うシステムがある。このシステムは、以下の手順を自動で行う。

1)薬剤処理に先立ち、飛灰の一部をサンプリングして水と混合、飛灰中の重金属を溶出させる。
2)この溶出液中の鉛量を、原子吸光分析装置により定量する。
3)得られた鉛量に応じて薬剤添加量を決定し、混練処理を行う。

概要

より正確に金属安定化剤の適性添加量を決定できる重金属安定化剤の適正添加量の決定方法およびこれを適用した廃棄物の薬剤処理方法を提供する。

廃棄物からサンプルを採取し、サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加してサンプル中の重金属と液体キレート剤とを反応させ、液体キレート剤を添加したサンプルについて、液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求め、吸光度IBからサンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bを求め、空試験により添加した液体キレート剤の全量に相当する波長における吸光度IAを求め、吸光度IAから添加した液体キレート剤の全量Aを求める。この全量Aと量Bの差から重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求め、この量Cとサンプルの所定量との比に基づいて廃棄物を処理するに適正な液体キレート剤の添加量を決定する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
7件

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請求項1

廃棄物からサンプルを採取する工程、前記サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加して前記サンプル中の重金属と前記液体キレート剤とを反応させる工程、前記液体キレート剤を添加した前記サンプルについて、前記液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求め、当該吸光度IBから前記サンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bを求める工程、空試験により前記添加した液体キレート剤の全量に相当する前記波長における吸光度IAを求め、当該吸光度IAから前記添加した液体キレート剤の全量Aを求める工程、前記添加した液体キレート剤の全量Aおよび前記未反応の液体キレート剤の量Bの差から前記重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める工程、および、前記反応した液体キレート剤の量Cと前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定する工程を具備することを特徴とする重金属安定化剤の適正添加量の決定方法

請求項2

廃棄物が重金属の抽出処理物である請求項1記載の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法。

請求項3

吸光度の測定に用いる光の波長が液体キレート剤の配位基に特異的である請求項1記載の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法。

請求項4

配位基がジチオカルバミン酸基である請求項3記載の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法。

請求項5

廃棄物からサンプルを採取する工程、前記サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加して前記サンプル中の重金属と前記液体キレート剤とを反応させる工程、前記液体キレート剤を添加した前記サンプルについて、前記液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求める工程、空試験により前記添加した液体キレート剤の全量に相当する前記波長における吸光度IAを求める工程、前記吸光度IAと前記吸光度IBとの差から前記重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める工程、および、前記反応した液体キレート剤の量Cと前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定する工程を具備することを特徴とする重金属安定化剤の適正添加量の決定方法。

請求項6

廃棄物が重金属の抽出処理物である請求項5記載の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法。

請求項7

吸光度の測定に用いる光の波長が液体キレート剤の配位基に特異的である請求項5記載の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法。

請求項8

液体キレート剤の官能基がジチオカルバミン酸基である請求項7記載の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法。

請求項9

廃棄物からサンプルを採取する工程、前記サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加して前記サンプル中の重金属と前記液体キレート剤とを反応させる工程、前記液体キレート剤を添加した前記サンプルについて、前記液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求め、当該吸光度IBから前記サンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bを求める工程、空試験により前記添加した液体キレート剤の全量に相当する前記波長における吸光度IAを求め、当該吸光度IAから前記添加した液体キレート剤の全量Aを求める工程、前記添加した液体キレート剤の全量Aおよび前記未反応の液体キレート剤の量Bの差から前記重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める工程、および、前記反応した液体キレート剤の量Cと前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定する工程、および、前記決定された添加量の液体キレート剤を前記廃棄物に添加して前記廃棄物中の重金属を前記液体キレート剤と反応させる工程を具備することを特徴とする廃棄物の薬剤処理方法。

請求項10

廃棄物が重金属の抽出処理物である請求項9記載の廃棄物の薬剤処理方法。

請求項11

吸光度の測定に用いる光の波長が液体キレート剤の配位基に特異的である請求項9記載の廃棄物の薬剤処理方法。

請求項12

液体キレート剤の官能基がジチオカルバミン酸基である請求項11記載の廃棄物の薬剤処理方法。

請求項13

廃棄物からサンプルを採取する工程、前記サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加して前記サンプル中の重金属と前記液体キレート剤とを反応させる工程、前記液体キレート剤を添加した前記サンプルについて、前記液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求める工程、空試験により前記添加した液体キレート剤の全量に相当する前記波長における吸光度IAを求める工程、前記吸光度IAと前記吸光度IBとの差から前記重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める工程、前記反応した液体キレート剤の量Cと前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定する工程、および、前記決定された添加量の液体キレート剤を前記廃棄物に添加して前記廃棄物中の重金属を前記液体キレート剤と反応させる工程を具備することを特徴とする廃棄物の薬剤処理方法。

請求項14

廃棄物が重金属の抽出処理物である請求項13記載の廃棄物の薬剤処理方法。

請求項15

吸光度の測定に用いる光の波長が液体キレート剤の配位基に特異的である請求項13記載の廃棄物の薬剤処理方法。

請求項16

液体キレート剤の官能基がジチオカルバミン酸基である請求項15記載の廃棄物の薬剤処理方法。

技術分野

0001

本発明は、例えばごみ焼却飛灰等の廃棄物の薬剤処理における薬剤、特に重金属安定化剤の適正添加量決定方法、および、これを適用した廃棄物の薬剤処理方法に関する。

背景技術

0002

ごみ焼却施設集塵設備捕集されたばいじん(飛灰)は、廃棄物処理法により特別管理一般廃棄物に指定されており、中間処理を施したのち埋立等により処分することが義務づけられている。この中間処理の目的は飛灰の安定化、無害化および飛散防止であり、1)溶融固化、2)セメント固化、3)薬剤処理、4)酸その他溶媒への抽出の4方法が定められている。この中で薬剤処理は、他の3法と比較して、1)設備小規模で安価である、2)設備の運転保守が容易である、といった利点がある。

0003

この薬剤処理で使用される薬剤は有機系液体キレート剤であり、これを水とともに飛灰と混練し有害重金属を液体キレート剤配位固定化することにより無害化するものである。処理後の飛灰は、適当な溶出試験(例えば、環境告示13号法など)を行い、溶出液中の有害重金属(鉛、水銀、カドミウム、6価クロム砒素セレン)濃度が基準値を下回ることを確認した後に処分する。従って、薬剤添加量可否は処理後でなければわからない。また、飛灰中の有害重金属濃度は、焼却ごみの変動、焼却設備操業条件により変化することを考え併せると、必要以上に薬剤添加を行わざるを得ない。

0004

このため、薬剤処理に先立ち飛灰の溶出試験を行い、溶出液中の鉛量を定量した後、薬剤添加量を決める方法およびこれを自動で行うシステムがある。このシステムは、以下の手順を自動で行う。

0005

1)薬剤処理に先立ち、飛灰の一部をサンプリングして水と混合、飛灰中の重金属を溶出させる。
2)この溶出液中の鉛量を、原子吸光分析装置により定量する。
3)得られた鉛量に応じて薬剤添加量を決定し、混練処理を行う。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、この従来のシステムには、その薬剤添加量決定方法に関して以下の問題点がある。
1)薬剤添加量決定方法の問題
上記システムでは、溶出液中の鉛濃度のみを測定し薬剤添加量を決める。しかしながら、溶出液中には、鉛以外にも薬剤と反応する重金属(水銀などの規制対象金属だけでなく、亜鉛、鉄なども)が含まれる。従って、鉛だけを測定して必要な薬剤量を決めると、薬剤添加量が不足するおそれがある。上記システムでは鉛以外の金属も測定可能であるが、原子吸光装置検出器としているため、逐次測定する必要があり時間がかかる。
2)測定装置の問題
焼却飛灰の成分例を表1に示す。

0007

0008

表1に示す成分を含有する飛灰を水と混合し飛灰中の重金属を溶出させると、主成分の中でカルシウムが多量に溶出する。この溶液中の鉛を、原子吸光装置により分析する場合、次の問題点がある。すなわち、フレーム原子吸光装置の場合、鉛の吸収波長(217.0nm)においては、カルシウムの分子吸収が鉛の原子吸収に干渉する。鉛の原子吸収シグナルヘのカルシウムの影響例を図1に示す。また、フレームレス原子吸光装置により分析した場合は、図2に示すように、カルシウムが鉛の500倍以上共存すると鉛の吸光度が著しく減少する。このため、上記システムでは鉛濃度を正確に評価できず、薬剤添加量に過不足が生じるおそれがある。

0009

さらに、フレーム原子吸光装置の場合は、溶出液中にカルシウムは過飽和に存在するため、溶液導入部であるネブライザー詰まりやすく、自動運転には適さない。また、フレーム燃料として空気−アセチレン混合ガスを使用するため、自動化した場合、安全性に課題が残る。

0010

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、より正確に金属安定化剤の適性添加量を決定できる重金属安定化剤の適正添加量の決定方法およびこれを適用した廃棄物の薬剤処理方法を提供する。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、廃棄物からサンプルを採取する工程、前記サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加して前記サンプル中の重金属と前記液体キレート剤とを反応させる工程、前記液体キレート剤を添加した前記サンプルについて、前記液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求め、当該吸光度IBから前記サンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bを求める工程、空試験により前記添加した液体キレート剤の全量に相当する前記波長における吸光度IAを求め、当該吸光度IAから前記添加した液体キレート剤の全量Aを求める工程、前記添加した液体キレート剤の全量Aおよび前記未反応の液体キレート剤の量Bの差から前記重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める工程、および、前記反応した液体キレート剤の量Cと前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定する工程を具備することを特徴とする重金属安定化剤の適正添加量の決定方法を提供する。

0012

また、本発明は、廃棄物からサンプルを採取する工程、前記サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加して前記サンプル中の重金属と前記液体キレート剤とを反応させる工程、前記液体キレート剤を添加した前記サンプルについて、前記液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求める工程、空試験により前記添加した液体キレート剤の全量に相当する前記波長における吸光度IAを求める工程、前記吸光度IAと前記吸光度IBとの差から前記重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める工程、および、前記反応した液体キレート剤の量と前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定する工程を具備することを特徴とする重金属安定化剤の適正添加量の決定方法を提供する。

0013

また、本発明は、廃棄物からサンプルを採取する工程、前記サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加して前記サンプル中の重金属と前記液体キレート剤とを反応させる工程、前記液体キレート剤を添加した前記サンプルについて、前記液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求め、当該吸光度IBから前記サンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bを求める工程、空試験により前記添加した液体キレート剤の全量に相当する前記波長における吸光度IAを求め、当該吸光度IAから前記添加した液体キレート剤の全量Aを求める工程、前記添加した液体キレート剤の全量Aおよび前記未反応の液体キレート剤の量Bの差から前記重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める工程、および、前記反応した液体キレート剤の量Cと前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定する工程、および、前記決定された添加量の液体キレート剤を前記廃棄物に添加して前記廃棄物中の重金属を前記液体キレート剤と反応させる工程を具備することを特徴とする廃棄物の薬剤処理方法を提供する。

0014

また、本発明は、廃棄物からサンプルを採取する工程、前記サンプルの所定量に対して液体キレート剤を添加して前記サンプル中の重金属と前記液体キレート剤とを反応させる工程、前記液体キレート剤を添加した前記サンプルについて、前記液体キレート剤について特異的な波長における吸光度IBを求める工程、空試験により前記添加した液体キレート剤の全量に相当する前記波長における吸光度IAを求める工程、前記吸光度IAと前記吸光度IBとの差から前記重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める工程、前記反応した液体キレート剤の量と前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定する工程、および、前記決定された添加量の液体キレート剤を前記廃棄物に添加して前記廃棄物中の重金属を前記液体キレート剤と反応させる工程を具備することを特徴とする廃棄物の薬剤処理方法を提供する。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下、本発明の重金属安定化剤の適正配合量の決定方法について説明する。本発明の重金属安定化剤の適正配合量の決定方法では、第1に、例えばごみ焼却炉からの飛灰のような廃棄物の一部をサンプリングしサンプルとする。

0016

第2に、このサンプルの所定量Yに対して重金属安定化剤としての液体キレート剤を添加する。この液体キレート剤は、通常の廃棄物処理法における中間処理としての薬剤処理に利用されるものである。例えば液体キレート剤が使用可能であり、具体的には有機系液体キレート剤である。さらに具体的には、液体キレート剤として、配位基としてジチオカルバンミン酸基を有する液体キレート剤等が利用できる。

0017

廃棄物のサンプルは必要に応じて前処理を施しても良い。すなわち、廃棄物が固体または泥状体のような半固体である場合には、この所定量の廃棄物に所定量の水を加えて撹拌してスラリーとし、このスラリーを濾別して得られた濾液をサンプルとして用いることができる。これにより、サンプル中の重金属が抽出される。スラリーをこのままサンプルとしてこの工程に供しても良い。廃棄物が液状またはスラリー状である場合には濾過処理は必ずしも必要でない。

0018

このようにサンプルに液体キレート剤を添加することにより、サンプル中の重金属と液体キレート剤とを反応させる。ここで重金属は鉛、水銀、カドミニウム、6価クロム、砒素、セレン等である。これらの重金属と液体キレート剤とが反応して錯体を形成する。この錯体は水に不溶性であるため析出沈殿する。

0019

この際、液体キレート剤の添加量はサンプル中の重金属と反応する量よりも過剰でなければならない。実際には液体キレート剤の添加量は、過去の廃棄物処理実績から求めることができる。

0020

第3に、第2の工程で液体キレート剤を添加したサンプルについて、液体キレート剤の官能基について特異的な波長における吸光度を測定して吸光度IBを得る。

0021

例えば、上述の液体キレート剤が添加されたサンプルにおいて錯体を含む不溶性成分を沈殿させた上澄み液か、この不溶性成分を濾別した濾液を調製し、添加した液体キレート剤の官能基について特異的な波長における吸光度を、分光光度計を用いて測定する。

0022

このサンプルの上澄み液や濾液中には、重金属と反応していない遊離状態の液体キレート剤が含まれている。従って、吸光度を測定することにより、未反応の液体キレート剤に相当する吸光度IBが得られる。

0023

なお、廃棄物が固体または泥状体のような半固体であるときに、上記の通り、スラリーを調製し、このスラリーをそのままサンプルとして第2の工程に供した場合には、この第3の工程において上澄み液または濾液について吸光度を測定することとなる。次いで、このサンプル中の未反応の液体キレート剤に相当する吸光度IBからサンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bを求める。例えば、例えば図3(A)に示すような検量線を予め作成し、この検量線に吸光度IBを当てはめて対応する液体キレート剤量Bを求める。

0024

第4に、第2の工程でサンプルに添加した液体キレート剤の全量Aに相当する、第3の工程での測定波長同一波長における吸光度IAを求める。そして、この吸光度IAから添加した液体キレート剤の全量Aを求める。ここでサンプルに添加した液体キレート剤の全量Aに相当する吸光度IAは、例えば空試験、すなわちサンプルがゼロの場合の結果により求めることができる。

0025

ここで求められた添加した液体キレート剤の全量Aは、サンプル以外の、例えば重金属の溶出に用いた水と反応する液体キレート剤は含んでいない。第5に、第3および第4の工程で求められた、添加した液体キレート剤の全量Aおよび未反応の液体キレート剤の量Bの差から、重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める。

0026

第6に、このようにして求められた重金属と反応した液体キレート剤の量Cとサンプルの所定量との比に基づいて廃棄物を処理するに適正な液体キレート剤の添加量を決定する。

0027

また、図3(B)に示すような検量線を作成しておけば、必要薬剤添加量(添加濃度)を、サンプルに添加した液体キレート剤の全量Aに相当する吸光度IAおよびサンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bに相当する吸光度IBから直接求めることが可能である。

0028

本発明に係る重金属安定化剤の適正添加量の決定は、次のように行うこともできる。すなわち、上記実施形態と同様に、第1〜第3の工程で未反応の液体キレート剤に対応する吸光度IBを求める。次に、第2の工程でサンプルに添加した液体キレート剤の全量に相当する、第3の工程での測定波長と同一波長における吸光度IAを求める。次いで、吸光度IAと吸光度IBとの差ΔIから重金属と反応した液体キレート剤の量Cを求める。例えば、吸光度IAと吸光度IBとの差ΔIを、予め作成した検量線に当てはめて、重金属と反応した液体キレート剤の量Cの求める。こうして求められた重金属と反応した液体キレート剤の量Cと前記サンプルの所定量との比に基づいて前記廃棄物を処理するに適正な前記液体キレート剤の添加量を決定することができる。

0029

このようにして求められた添加量の液体キレート剤またはこの添加量の液体キレート剤を含有する薬剤を用いて廃棄物を薬剤処理し、廃棄物中の重金属を安定化する。

0030

以上説明した本発明の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法によれば、液体キレート剤と反応する重金属類の全量を同時に測定できるため、実際の薬剤処理を反映した添加量を決めることができる。この際、液体キレート剤と重金属との反応当量反応率を考慮する必要もない。また、この方法は、液体キレート剤について特異的な波長、例えば液体キレート剤の配位基に起因する可視吸収を直接測定するため、この吸収スペクトルは、サンプルまたはサンプル溶出液中の他の成分の干渉を受けず液体キレート剤の反応量を正確に評価できる。また、検出器に分光光度計を用いるため、自動運転に際しても安全性に何等問題はない。さらに、この方法によれば、液体キレート剤自体が吸光光度分析における呈色試薬であるため、通常の吸光光度分析(例えば、定法である四塩化炭素抽出−ジチゾン吸光光度法)のように薬剤処理に関係のない発色試薬有機溶媒を必要としないという利点もある。

0031

以下、本発明の効果を確認するために行った試験について説明する。
試験1
処理薬剤としてジチオカルバミン酸基を持つ液体キレート剤(特開平3−231921号公報)を用いた。この薬剤は、重金属と反応して錯体を生成すると水に不溶性となる。本液体キレート剤は配位基であるジチオカルバミン酸イオン起源とする、286nm、257nm、215nm付近極大吸収を持つ可視吸収スペクトルを持つ。

0032

種々の濃度のPbを含む飛灰想定溶液を、次の成分組成で調製した。Ca(OH)2 50g、NaCl57.6g、Na2 SO4 37.5g、CaCl2 223g、および適当量のPbOを混合し、これに水300gを添加し30分間混合した。

0033

メンブランフィルター(0.45μm)で濾過した後、濾液に液体キレート剤を一定量添加した。10分間撹拌し沈殿した重金属錯体をメンブランフィルター(0.45μm)で濾過し、濾液の286nmにおける吸光度を測定した。この吸光度は、サンプル中の未反応の液体キレート剤の量Bに対応する吸光度IBである。この吸光度IBから液体キレート剤の量Bを求めた。一方、空試験から添加した液体キレート剤の全量Aを求めた。これらA,Bの差から、サンプル中の鉛と反応した液体キレート剤の量Cを求めた。この反応した液体キレート剤の量Cから鉛量を求めた。

0034

比較のために濾液中の鉛量を従来法(四塩化炭素抽出−ジチゾン吸光光度法)により定量した。この試験の操作フロー図4に、結果を図5に示す。

0035

図5から明らかなように、本発明法に従って推定した鉛量は、水溶液中に含まれていた鉛量と対応した結果となっており、本発明法の正確性が確認された。この結果、原子吸光測定で問題となる共存カルシウムの影響は、本発明法では発現しないことも証明された。

0036

試験2
次に、本発明法を用いて、各種ごみ焼却飛灰の薬剤処理に必要な薬剤添加量を求めた。求めた薬剤添加量で各飛灰の混練処理を行い、溶出試験(環境庁告示13号法)によりその妥当性を確認した。

0037

まず、飛灰試料30gと水300mlを混合し30分間撹拌した後、メンブランフィルター(0.45μm)で濾過した。濾液を2分割し、一方は濾液中の鉛量を従来の四塩化炭素抽出−ジチゾン吸光光度法により定量し、他方は本発明法により重金属量を測定した。2法によりそれぞれ薬剤添加量を決定し、混練処理を行った。混練処理後溶出試験(環境庁告示13号法)を行い、Pb溶出量を測定した。

0038

なお、本発明法では、空試験で求めた添加した液体キレート剤の全量に対応する吸光度IAと、サンプル中の未反応の液体キレート剤に対応する吸光度IBとをそれぞれ図6に示す検量線にそれぞれ当てはめ、対応する薬剤添加量A、Bを求め、これらの差から反応した液体キレート剤の量Cを求めた。この反応した液体キレート剤の量Cと飛灰試料の量(30g)との比に基づいて、飛灰全量を処理するために適正な薬剤添加量(添加濃度)を決定した。この試験の操作フローを図7に、結果を表2に示す。

0039

0040

従来の方法に従い、溶出液中の鉛濃度だけから薬剤添加量を決めた場合、混練処理後の溶出試験結果がばらついた。薬剤処理を施した飛灰の埋立基準は鉛の溶出試験結果が0.3mg/l未満であるため、溶出液中の鉛濃度だけから薬剤添加量を決めて混練処理した場合はこの基準を満たさないことがある。

0041

本発明法により薬剤添加量を決定した場合には、鉛の溶出試験結果はおおむね0.25mg/l以下となり安定しており、全て埋立基準を満たした。従って、本発明法により薬剤添加量を決めた混練処理はPb溶出量が常に基準値以下となり、信頼性が高いことが確認された。

発明の効果

0042

以上説明したように、本発明の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法および廃棄物の薬剤処理方法は、実際にサンプルに液体キレート剤を添加し、サンプル中の重金属と反応した液体キレート剤の量を、当該液体キレート剤を呈色試薬とした吸光光度分析により求め、この反応した液体キレート剤の量に基づいて、重金属安定化剤の適正添加量を決定している。このため、実際の混練処理を反映した操作により添加量を決めるため信頼性が高く、吸光光度法を用いるため簡便であり、液体キレート剤が吸光光度分析における呈色試薬であるため、薬剤処理に関係のない発色試薬や有機溶媒を必要とせず、簡単に自動システム化できる。

図面の簡単な説明

0043

図1フレーム原子吸光における鉛の原子吸収シグナルヘのカルシウムの影響例を示す特性図。
図2フレームレス原子吸光における鉛の原子吸収シグナルヘのカルシウムの影響例を示す特性図。
図3(A)および(B)は、本発明の重金属安定化剤の適正添加量の決定方法に用いられる検量線をそれぞれ示す特性図。
図4試験1の操作フローを示すフロー図。
図5試験1の結果を示す特性図。
図6試験2に用いる検量線を示す特性図。
図7試験2の操作フローを示すフロー図。

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