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技術 非放射性平面誘電体線路およびその集積回路

出願人 株式会社村田製作所
発明者 石川容平坂本孝一斉藤篤飯尾憲一
出願日 1997年6月5日 (23年5ヶ月経過) 出願番号 1997-147714
公開日 1998年12月18日 (21年11ヶ月経過) 公開番号 1998-335909
状態 特許登録済
技術分野 ハイブリッド IC ウェーブガイド
主要キーワード IC化 伝搬周波数 各棒状電極 臨界周波数 位相定数β ミキサダイオード 構造寸法 導電体板
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年12月18日)のものです。
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図面 (16)

課題

機器小型軽量化および電子部品との接続性を高め、低損失伝送線路およびそれを用いた集積回路を提供する。

解決手段

誘電体板23の第1主面に電極21a,21bで挟設される第1のスロット24を設け、第2主面に電極22a,22bで挟設される第2のスロット25を設け、電極21a,21bに導通し、且つスロット24を覆う第1の導電体28と、電極22a,22bに導通し、スロット25を覆う第2の導電体29を設ける。

概要

背景

マイクロ波ミリ波は、300MHzから300GHzの非常に広範囲電磁波であり、種々のレーダをはじめ、地上の長距離電話テレビ放送波などの中継衛星通信などに広く用いられる他、衛星放送移動体通信などの分野においても広く用いられている。一方、MMICなどのIC化研究開発活発に行われマイクロ波・ミリ波帯の電磁波を使用した機器の小型化も急速に進み、その利用範囲は益々広がりつつある。

従来、マイクロ波帯やミリ波帯では、導波管同軸線路、またはマイクロストリップラインコプレーナラインスロットラインなどの誘電体基板上に所定の電極を形成して構成された伝送線路が多く用いられてきた。導波管は低伝送損失が必要とされる部分に使用され、同軸線路は機器間接続用ケーブルとして使用されている。また、マイクロストリップラインやスロットラインなどは、ICなどの電子部品との接続が容易であるために、主として電子部品間の接続に使用されている。

スロットラインは図15に示すように、所定の厚さh400を有する誘電体基板423の上面に互いに所定の間隔を隔てて電極421a,421bが形成されている。これによって、所定の幅W400を有するスロット424が電極421aと電極421bとの間で挟設されている。以上のように構成されたスロットラインにおいて、電磁波は図15に示すようにスロット424の幅方向に平行な電界E400とスロット424の長手方向に平行な磁界H400を有するモードを形成して、スロット424の長手方向に伝搬する。

更に、上記以外の伝送線路として、非放射性誘電体線路NRDガイド)も使用されている。NRDガイドは、方形柱形状の誘電体ストリップを2つの導電体板の間に設けて構成され、伝送損失が小さいという特徴を有する。

概要

機器の小型軽量化および電子部品との接続性を高め、低損失な伝送線路およびそれを用いた集積回路を提供する。

誘電体板23の第1主面に電極21a,21bで挟設される第1のスロット24を設け、第2主面に電極22a,22bで挟設される第2のスロット25を設け、電極21a,21bに導通し、且つスロット24を覆う第1の導電体28と、電極22a,22bに導通し、スロット25を覆う第2の導電体29を設ける。

目的

本願発明はこの先の出願と同様に、上述した従来の各課題を解決するとともに、更により低損失な伝送線路およびそれを用いた集積回路を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

比誘電率が10以上で厚みが0.3mm以上の誘電体板の第1主面に、第1の電極と第2の電極との間で挟設され、且つ所定の幅を有する第1のスロットを備え、前記誘電体板の第2主面に、第3の電極と第4の電極との間で挟設され、前記第1のスロットと略等しい幅を有し、且つ第1のスロットに対向する第2のスロットを備えてなり、前記誘電体板の前記第1のスロットと第2のスロットとで挟設される領域を電磁波の伝搬領域とする伝送基板と、前記第1の電極と第2の電極とに導通し、且つ前記第1のスロットを覆う第1の導電体と、前記第3の電極と第4の電極とに導通し、且つ前記第2のスロットを覆う第2の導電体とから構成したことを特徴とする非放射性平面誘電体線路

請求項2

比誘電率が18以上で厚みが0.3mm以上の誘電体板の第1主面に、第1の電極と第2の電極との間で挟設され、且つ所定の幅を有する第1のスロットを備え、前記誘電体板の第2主面に、第3の電極と第4の電極との間で挟設され、前記第1のスロットと略等しい幅を有し、且つ第1のスロットに対向する第2のスロットを備えてなり、前記誘電体板の前記第1のスロットと第2のスロットとで挟設される領域を電磁波の伝搬領域とする伝送基板と、前記第1の電極と第2の電極とに導通し、且つ前記第1のスロットを覆う第1の導電体と、前記第3の電極と第4の電極とに導通し、且つ前記第2のスロットを覆う第2の導電体とから構成したことを特徴とする非放射性平面誘電体線路。

請求項3

前記第1・第2の導電体と前記伝送基板との間に前記誘電体板より低誘電率誘電体を介在させたことを特徴とする請求項1または2に記載の非放射性平面誘電体線路。

請求項4

第1・第2の導電体板に前記第1・第2のスロットに沿った形状の溝を設け、この第1・第2の導電体板の溝形成面を前記伝送基板にそれぞれ対向させることによって、第1・第2の導電体板を前記第1・第2の導電体としたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の非放射性平面誘電体線路。

請求項5

請求項1〜4のうちいずれかに記載の伝送基板に回路素子を設けて、該回路素子を含む伝送基板と前記第1・第2の導電体とによって集積回路を構成したことを特徴とする非放射性平面誘電体線路集積回路。

技術分野

0001

この発明は、ミリ波帯マイクロ波帯で用いられる非放射性の平面誘電体線路およびその集積回路に関する。

背景技術

0002

マイクロ波ミリ波は、300MHzから300GHzの非常に広範囲電磁波であり、種々のレーダをはじめ、地上の長距離電話テレビ放送波などの中継衛星通信などに広く用いられる他、衛星放送移動体通信などの分野においても広く用いられている。一方、MMICなどのIC化研究開発活発に行われマイクロ波・ミリ波帯の電磁波を使用した機器の小型化も急速に進み、その利用範囲は益々広がりつつある。

0003

従来、マイクロ波帯やミリ波帯では、導波管同軸線路、またはマイクロストリップラインコプレーナラインスロットラインなどの誘電体基板上に所定の電極を形成して構成された伝送線路が多く用いられてきた。導波管は低伝送損失が必要とされる部分に使用され、同軸線路は機器間接続用ケーブルとして使用されている。また、マイクロストリップラインやスロットラインなどは、ICなどの電子部品との接続が容易であるために、主として電子部品間の接続に使用されている。

0004

スロットラインは図15に示すように、所定の厚さh400を有する誘電体基板423の上面に互いに所定の間隔を隔てて電極421a,421bが形成されている。これによって、所定の幅W400を有するスロット424が電極421aと電極421bとの間で挟設されている。以上のように構成されたスロットラインにおいて、電磁波は図15に示すようにスロット424の幅方向に平行な電界E400とスロット424の長手方向に平行な磁界H400を有するモードを形成して、スロット424の長手方向に伝搬する。

0005

更に、上記以外の伝送線路として、非放射性誘電体線路NRDガイド)も使用されている。NRDガイドは、方形柱形状の誘電体ストリップを2つの導電体板の間に設けて構成され、伝送損失が小さいという特徴を有する。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、導波管はその形状が大きく、機器の小型軽量化が図れないという問題や、ICなどの電子部品との接続が容易でないという問題があった。また、同軸線路は、その断面形状によって決まる特定の周波数より高い周波数では、不要な高次モードが発生し、伝送損失が増大して使用できないという問題があった。そのため、同軸線路を周波数が60GHz程度のミリ波帯の周波数で使用しようとすると、同軸線路の直径を1mm程度まで小さくする必要があり、製造が困難になる。更に、マイクロストリップラインやコプレーナライン、スロットラインなどでは、伝送損失が大きいため、低伝送損失の要求される箇所には適さない。更に、従来のNRDガイドは、ICなどの電子部品との接続が容易ではないという問題があった。

0007

そこで、本願出願人は特願平07−069867号にてこれらの課題を解決した平面誘電体線路および集積回路に関する発明を出願している。

0008

本願発明はこの先の出願と同様に、上述した従来の各課題を解決するとともに、更により低損失な伝送線路およびそれを用いた集積回路を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

この発明に係る請求項1および2に記載の非放射性平面誘電体線路は、誘電体板の第1主面に、第1の電極と第2の電極との間で挟設され、且つ所定の幅を有する第1のスロットを備え、前記誘電体板の第2主面に、第3の電極と第4の電極との間で挟設され、前記第1のスロットと略等しい幅を有し、且つ第1のスロットに対向する第2のスロットを備えてなり、前記誘電体板の前記第1のスロットと第2のスロットとで挟設される領域を電磁波の伝搬領域とする伝送基板と、前記第1の電極と第2の電極とに導通し、且つ前記第1のスロットを覆う第1の導電体と、前記第3の電極と第4の電極とに導通し、且つ前記第2のスロットを覆う第2の導電体とから構成する。そして、請求項1に記載の非放射性誘電体線路は、比誘電率が10以上で厚みが0.3mm以上の誘電体板を用い、請求項2に記載の非放射性誘電体線路は、比誘電率が18以上で厚みが0.3mm以上の誘電体板を用いる。

0010

請求項3に記載の非放射性平面誘電体線路は、請求項1または2に記載のものにおいて、前記第1・第2の導電体と前記伝送基板との間に前記誘電体板より低誘電率誘電体を介在させる。

0011

請求項4に記載の非放射性平面誘電体線路は、請求項1、2または3に記載のものにおいて、第1・第2の導電体板に前記第1・第2のスロットに沿った形状の溝を設け、この第1・第2の導電体板の溝形成面を前記伝送基板にそれぞれ対向させることによって、第1・第2の導電体板を前記第1・第2の導電体とする。

0012

また、この発明に係る請求項5に記載の非放射性平面誘電体線路集積回路は、請求項1〜4のうちいずれかに記載の伝送基板に回路素子を設けて、該回路素子を含む伝送基板と前記第1・第2の導電体とによって集積回路を構成する。

0013

請求項1および2に記載の非放射性平面誘電体線路では、誘電体板の第1主面に第1・第2の電極から成る第1のスロットが構成され、誘電体板の第2主面に第3・第4の電極から成る第2のスロットが第1のスロットに対向して設けられることによって、この第1と第2のスロットで挟まれる領域が電磁波の伝搬領域となる。すなわちこの伝搬域を伝搬する所定の周波数を有する電磁波が、第1のスロットにおける誘電体板の第1主面と第2のスロットにおける誘電体板の第2主面とによって全反射しながら伝搬する。そして、第1の導電体が第1の電極と第2の電極とに導通し且つ第1のスロットを覆うため、また第2の導電体が第3の電極と第4の電極とに導通し且つ第2のスロットを覆うため、仮に第1のスロットと第2のスロットが完全な対称性を有さなくても、その非対称性によって生じる放射波は第1・第2の導電体によって遮断されるため、放射損失が抑えられ、伝送損失が抑えられる。

0014

特に請求項1に記載の非放射性誘電体線路では、比誘電率が10以上で厚みが0.3mm以上の誘電体板を用いるため、後述するように、スロットの幅と波長の0.4倍を加えた幅をもつ領域内にエネルギが約80%以上閉じ込められる。そのため近接して線路を設置でき、回路高集積化・小型化が可能となる。

0015

また、請求項2に記載の非放射性誘電体線路では、比誘電率が18以上で厚みが0.3mm以上の誘電体板を用いるため、後述するように、スロットの幅と波長の0.4倍を加えた幅をもつ領域内にエネルギが約90%以上閉じ込められる。そのため近接して線路を設置でき、回路の高集積化・小型化が可能となる。

0016

請求項3に記載の非放射性平面誘電体線路では、第1・第2の導電体と伝送基板との間に前記誘電体板より低誘電率の誘電体が介在しているため、同一周波数で比較した場合に、第1・第2の導電体の寸法を小さくしても伝搬領域に電磁波を伝搬させることができるため、非放射性平面誘電体線路全体を小型化することができる。

0017

請求項4に記載の非放射性平面誘電体線路では、第1・第2の導電体板に第1・第2のスロットに沿った形状の溝が設けられていて、この第1・第2の導電体板の溝形成面を伝送基板にそれぞれ対向させて、第1・第2の導電体板を前記第1・第2の導電体としたことにより、複数の伝搬領域を設ける場合にも伝送基板と導電体板との組み立て構造単純化され、製造コストを容易に削減できるようになる。

0018

請求項5に記載の非放射性平面誘電体線路集積回路では、前記伝送基板に発振ダイオードミキサダイオードなどの回路素子を設けて、その回路素子を含む伝送基板と第1・第2の導電体とによって集積回路を構成することによって、平面回路を有する非放射性平面誘電体線路集積回路を容易に構成できるようになる。

発明を実施するための最良の形態

0019

第1の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路の構成を図1および図2を参照して説明する。

0020

図1は非放射性平面誘電体線路の部分斜視図であり、図における手前の面は切断面として表している。同図において23は誘電体板であり、その第1主面(図における上面)に第1,第2の電極21a,21bを形成して、24で示す部分を第1のスロットとして構成している。また誘電体板23の第2主面(図における下面)に第3,第4の電極22a,22bを形成して、25で示す部分を第2のスロットとして構成している。この誘電体板23と第1・第2のスロット24,25とによって伝送基板30を構成している。また同図において28,29はそれぞれ導電体であり、導電体28は第1の電極21aと第2の電極21bとに導通し、且つ第1のスロット24を覆う。同様に導電体29は第3の電極22aと第4の電極22bとに導通し、且つ第2のスロット25を覆う。

0021

図1に示すように、誘電体板23は、x軸方向に所定の厚さt23、y軸方向に所定の幅W3、z軸方向に幅W3に比べて充分に長い長さを有する。スロット24,25は所定の幅W1を有し、誘電体板23の幅方向(y軸方向)の中央部に誘電体板23の長手方向(z軸方向)と平行になるように形成している。誘電体板23の上面にはスロット24と中心を同じくし、所望の厚さt26、所望の幅W2を有する誘電体26を重ねて形成している。そして、誘電体26の外側面には電極21aと電気的に接続されるように外部電極28aを形成し、この外部電極28aに対向し、電極21bに電気的に接続されるように外部電極28bを形成し、更に誘電体26の上面に外部電極28cを形成している。この外部電極28a,28b,28cによる外部電極28が、電極21aと21bとに導通し、且つスロット24を覆うことになる。同様に、誘電体板23の下面には、スロット25と中心を同じくし、所望の厚さt27、所望の幅W2を有する誘電体27を重ねて形成している。そして、誘電体27の外側面には電極22aと電気的に接続されるように外部電極29aを形成し、この外部電極29aに対向し、電極22bに電気的に接続されるように外部電極29bを形成し、更に誘電体27の下面に外部電極29cを形成している。この外部電極29a,29b,29cによる外部電極29が、電極22aと22bとに導通し、且つスロット25を覆うことになる。

0022

図1に示した、対向するスロット24と25の間の誘電体板23に設けられる23cで示す部分が所望の伝搬周波数fbを有する高周波信号を伝搬させる伝搬領域となる。また、この伝搬領域23cを挟む両側の23a,23bで示す部分が遮断領域となる。

0023

ここで誘電体23の比誘電率εr23、誘電体26の比誘電率εr26、誘電体27の比誘電率εr27のうち、εr26とεr27とは互いに等しい値に設定し、またεr23はεr26およびεr27より高い所定の値に設定する。

0024

図2図1に示した非放射性平面誘電体線路の伝搬領域部分を伝搬方向に通る面における断面図である。図2に示すように、電磁波pw23は、スロット24における誘電体板23の上面の1点に所定の入射角θ入射して、入射角θと等しい反射角θ反射される。ここでスロット24における誘電体板23の伝搬領域23cの上面は、誘電体26cとの境界面である。また、スロット24における誘電体板23の上面の1点で反射された電磁波pw23はスロット25における誘電体板23の下面の1点に入射角θで入射して、入射型θと等しい反射角θで反射される。ここでスロット25における誘電体板の伝搬領域23cの下面は、誘電体27cとの境界面である。以降、電磁波pw23は上記2つの境界面で交互に繰り返し反射されて、誘電体板の伝搬領域23cの内部をTEモードで伝搬する。以下TEモードで伝搬する電磁波をTE波と言う。

0025

ここでスロット24における誘電体板23の上面の1点とスロット25における誘電体板23の下面の1点とに入射するときの入射角θは、電磁波pw23の進行方向とスロット24または25の入射点に立てた法線との成す角度であって、電磁波pw23の伝搬定数kと、誘電体板23の長手方向を伝搬方向とするTE波の位相定数βとを用いて次の〔数1〕で表される。そして、入射角θが次の〔数2〕に示す臨界角θdcより大きくなると、電磁波pw23はスロット24における誘電体板23の上面とスロット25における誘電体板23の下面とで全反射を起こして、誘電体板23の伝搬領域23cの内部を減衰することなく伝搬する。入射角θが臨界角θdcより小さくなると、電磁波pw23の一部は誘電体26または27に透過して、伝搬領域23cの内部を伝搬する電磁波pw23は減衰する。

0026

θ= sin-1(β/k1)

0027

θdc
= sin-1{√(εr26/εr23)}
= sin-1{√(εr27/εr23)}
ここで、伝搬定数kは、電磁波pw23の周波数と誘電体板23の比誘電率εr23とによって決定され、位相定数βは電磁波pw23の周波数と誘電体板23の比誘電率εr23および誘電体板23の厚さt23によって決定される。ここで、x,y,zの各軸を図2に示したようにとって、z軸方向に進行し、且つ電界のy成分Eyが均一であるTE波を考える。誘電体板23を伝搬する電磁波の伝搬定数k1は誘電体板23の比誘電率εr23を用いて次の〔数3〕で表される。ここでk0は真空中の電磁波の伝搬定数である。また、誘電体26,27の中を伝搬する電磁波の伝搬定数k2は同様にして次の〔数4〕で表される。更に誘電体板23と誘電体26の中を伝搬する電磁波の位相定数βは等しくなるので、次の〔数5〕が成り立つ。〔数5〕における伝搬定数kx1 とkx2 はそれぞれ誘電体板23と誘電体26,27の中を伝搬する電磁波の伝搬定数k1,k2のx成分を表す。またkx1 とkx2 の間には、次の〔数6〕の関係が成り立つ。そして〔数5〕と〔数6〕を解くことによって、伝搬定数kx1 ,kx2 および位相定数βを求めることができる。

0028

k1=k0√(εr23)

0029

k2=k0√(εr26)=k0√(εr27)

0030

β2=k12 −kx12=k22 −kx22

0031

(1/kx1)tan (kx1 ・t23/2)−(1/kx2)tan (kx2 ・t26) =0
また、入射角θは平面電磁波pw23の周波数が低くなると小さくなり、電磁波pw23の周波数が高くなると大きくなる。従って、入射角θが臨界角θdcに等しくなる臨界周波数fda以上の周波数を有する平面電磁波pw23は、スロット24における誘電体板23の上面とスロット25における誘電体板23の下面とで全反射を繰り返しながら伝搬する。すなわち、誘電体板23の比誘電率εr23とその厚さt23および誘電体26の比誘電率εr26と誘電体27の比誘電率εr27とは、所望の伝搬周波数fbが臨界周波数fda以上になるように設定する。言い換えれば、εr23,t23,εr26,εr27が、所望の伝搬周波数fbを有する平面波がスロット24における誘電体板23の上面とスロット25における誘電体板23の下面とによって全反射されるように設定する。

0032

また、図1に示した誘電体板23を挟設するように互いに対向して形成する電極21a,22aは、TE波に対して所望の伝搬周波数fbに比べて充分高い遮断周波数を有する平行平板導波管を構成する。これによって、電極21aと22aとによって挟設された誘電体板23の幅方向の一方の側に、電極21a,22aに平行な電界成分を有するTE波に対する遮断領域23aを構成する。同様に、誘電体板23を挟設するように互いに対向して形成する電極21b,22bは、TE波に対して所望の伝搬周波数fbに比べて充分高い遮断周波数を有する平行平板導波管を構成する。これによって、電極21bと22bとによって挟設された誘電体板23の幅方向の一方の側にTE波に対する遮断領域23bを構成する。

0033

また、外部電極28cと電極21aとが誘電体26を挟設して平行平板導波管を構成する。そして誘電体26の厚さt26は、当該平行平板導波管のTE波に対する遮断周波数が所望の伝搬周波数fbより充分高くなるように設定する。これによって、外部電極28cと電極21aとによって挟設された誘電体26の一方の側にTE波に対する遮断領域26aを構成する。同様に外部電極28cと電極21bとによって挟設される誘電体26の他方の側にTE波に対する遮断領域26bを構成する。また、同様に外部電極29cと電極22aとによって挟設される誘電体27の一方の側にTE波に対する遮断領域27aを構成し、外部電極29cと電極22bとによって挟設される誘電体27の他方の側にTE波に対する遮断領域27bを構成する。

0034

また、外部電極28aとそれに対向する外部電極28bとは、誘電体26を挟設して平行平板導波管を構成する。そして、誘電体26の幅W2は当該平行平板導波管のTE波に対する遮断周波数が所望の伝搬周波数fbより充分に高くなるように設定する。これによって外部電極28aと28bとによって挟設された誘電体26部分が誘電体板23に垂直な電界成分を有するTE波に対する遮断領域26dを構成する。同様に、外部電極29aとそれに対向する外部電極29bとは、誘電体27を挟設して平行平板導波管を構成する。そして、誘電体27の幅W2は当該平行平板導波管のTE波に対する遮断周波数が所望の伝搬周波数fbより充分に高くなるように設定する。これによって外部電極29aと29bとによって挟設された誘電体27部分がTE波に対する遮断領域27dを構成する。

0035

また、図1における幅W4を誘電体板23の誘電率での平面波の波長の約1/4の長さで図中のG面で開放にして、外部導体のF面を等価的に短絡状態とすれば、電極21a,22a、および電極21b,22bに垂直な電界成分をもつ平面波は閉じ込められる。従って、ここで外部導体の幅W2をW1<W2の範囲内で誘電体板23の誘電率での平面波の波長の1/2以下にした時、電極21a,22a、および21b,22bに垂直な電界成分を持つ平面波は発生しなくなる。

0036

以上のように構成された第1の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路は、臨界周波数fda以上の周波数を有する高周波信号をスロット24における誘電体板23の上面とスロット25における誘電体板23の下面とによって交互に繰り返し全反射して当該高周波信号を伝搬する伝搬領域23cを構成し、当該高周波信号を減衰させる遮断領域23a,23b,26a,26b,26d,27a,27b,27dを構成する。これによって、臨界周波数fda以上の周波数を有する高周波信号の電磁界エネルギを伝搬領域23cの内部とその近傍に集中させて、平面波を誘電体板23の長手方向に伝搬させる。

0037

第1の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路では、誘電体板23と誘電体26,27を用いて構成したため、誘電体板23と誘電体26,27の内部では、伝搬する電磁波の波長が自由空間に比べると短くなる。従って、非放射性平面誘電体線路の幅と厚さを小さくでき、方形導波管に比べると小型化且つ軽量化が図れる。

0038

また第1の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路では、従来のスロットラインの場合と同様に、電極21a,21bまたは電極22a,22bに直接ICなどの他の電子部品を接続することができるので、これらの電子部品との接続が容易になる。

0039

次に、第2の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路の構成を図3図9を参照して説明する。

0040

図3の(A)は伝搬方向に垂直な面で切った非放射性平面誘電体線路の断面図である。この第2の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路が第1の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路に比べて異なるところは、外部電極28,29を備えた誘電体26,27に代えて、外部導体41,44を用いて構成している点である。

0041

図3の(A)において、誘電体板23の上面には、図1に示したものと同様に、電極21a,21bが互いに所定の間隔W1を隔てて形成して、スロット24を構成している。また、誘電体板23の下面には、電極22a,22bが互いにW1の間隔を隔てて形成して、スロット25を構成している。図中42,43で示す領域は空間であり、上部の外部導体の一部である41cと下部の外部導体の一部である44cとは、所定の間隔h41を隔てて、互いに平行に設けている。そして、スロット24,25を形成した誘電体板23を、外部導体41c,44cの間にそれぞれ平行になるように設けている。ここで、外部導体41cと誘電体板23の上面との距離t42と、外部導体44cと誘電体板23の下面との距離t43は、互いに等しくなるように設定している。

0042

また、上部の外部導体の一部である41aとこれに対向する41bとは所定の間隔W2を隔てて形成し、その間隔の中心をスロット24の中心と同一とし、且つ外部導体41a,41bが電極21a,21bにそれぞれ電気的に導通するように設けている。同様に下部の外導体44の一部である44aとこれに対向する44bとはW2の間隔を隔てて形成し、その間隔の中心をスロット25の中心と同一とし、且つ外部導体44a,44bが電極22a,22bにそれぞれ電気的に導通するように設けている。

0043

この第2の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路において誘電体板23の比誘電率εr23は以下のように設定する。すなわちスロット24における誘電体板23の上面とスロット25における誘電体板23の下面での電磁波の反射は、第1の実施形態の場合とは異なり、誘電体板23と自由空間との境界での反射である。従って、臨界角θcは、自由空間の比誘電率εr=1として、次の〔数7〕で表すことができる。

0044

θc= sin-1{√(1/εr23)}
従って、この第2の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路においては、反射角θが臨界角θcに等しくなる臨界周波数fa以上の周波数を有する平面電磁波pw23は、スロット24における誘電体板23の上面とスロット25における誘電体板23の下面とで全反射を繰り返しながら伝搬する。すなわち、誘電体板23の比誘電率εr23とその厚さt23は、所望の伝搬周波数fbが臨界周波数fa以上となるように設定する。

0045

ここで、外部導体41cと44cとの間隔h41は、外部導体41cと電極21aとによって構成される平行平板導波管のTE波に対する遮断周波数が所望の伝搬周波数fbより充分高くなるように設定する。これによって、誘電体板23と外部導体41cとによって挟設された自由空間の内の一方の側に外部導体41cと電極21aとによって挟設されたTE波に対する遮断領域42aを構成する。同様に、誘電体板23と外部導体41cとによって挟設された自由空間のうち他方の側に、外部導体41cとこれに対向する電極21bとによって挟設されたTE波に対する遮断領域42bを構成する。

0046

また、外部導体41cと誘電体板23の上面との距離と、外部導体44cと誘電体板23の下面との距離は、互いに等しくなるように設定しているので、外部導体44cとこれに対向する電極22aとによって挟設された自由空間の内の一方の側に外部導体44cと電極22aとによって挟設されたTE波に対する遮断領域43aを構成する。同様に、誘電体板23と外部導体44cとによって挟設された自由空間のうち他方の側に、外部導体44cとこれに対向する電極22bとによって挟設されたTE波に対する遮断領域43bを構成する。

0047

また、外部導体41aとそれに対向する外部導体41bとは平行平板導波管を構成する。そしてその幅W2は、当該平行平板導波管のTE波に対する遮断周波数が所望の伝搬周波数fbより充分に高くなるように設定する。これによって、外部導体41aと41bとによって挟設された自由空間をTE波に対する遮断領域42dとして構成する。また、外部導体44aとそれに対向する外部導体44bとは平行平板導波管を構成する。そしてその幅W2は、当該平行平板導波管のTE波に対する遮断周波数が所望の伝搬周波数fbより充分に高くなるように設定する。これによって、外部導体44aと44bとによって挟設された自由空間をTE波に対する遮断領域43dとして構成する。

0048

以上のように構成したことによって、この第2の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路は、臨界周波数fa以上の周波数を有する高周波信号をスロット24における誘電体板23の上面とスロット25における誘電体板23の下面とによって交互に繰り返し全反射して当該高周波信号を伝搬する伝搬領域23cを構成し、当該高周波信号を減衰させる遮断領域23a,23b,42a,42b,42d,43a,43b,43dを構成する。これによって、臨界周波数fa以上の周波数を有する高周波信号の電磁界エネルギを伝搬領域23cの内部とその近傍に集中させて、平面波を誘電体板23の長手方向に伝搬させる。

0049

このように本願発明の非放射性平面誘電体線路では、電磁界エネルギが伝搬領域23cに集中するため、遮断領域を構成する外部導体41,44の影響が少なく、外部導体の寸法精度をゆるくすることができる。ここで、60GHzにおける外部導体の寸法と位相定数βの関係を2次元有限要素法計算(無損失系)を用いて求めた結果を図4および図5に示す。

0050

計算に用いたモデル構造寸法および材料定数は次のとおりである。

0051

図4は、t23=0.3mm、W1=1.0mm、t42=t43=1.0mm、誘電体板23の比誘電率εr23=24として、外部導体41,44の内側の幅W2を変化させた時の位相定数の変化を示す。

0052

図5はt23=0.3mm、W1=1.0mm、W2=2.0mm、誘電体板23の比誘電率εr23=24として、t42,t43を変化させた時の位相定数βの変化を示す。

0053

図4に示した結果から、外部導体の内側の幅W2の変化は位相定数βに殆ど影響を与えないことがわかる。また、図5に示した結果から、外部導体41,44の内側の高さt42,t43の変化は位相定数βにあまり影響を与えないことがわかる。例えば60GHzで、2枚の平行な電極に挟まれ、電極に平行な偏波面を持つ平面波を遮断する電極間距離は2.5mmであり、それ以下であれば、その平面波は伝搬しない。従って、外部導体41,44の寸法W2,t42,t43を、所望の伝搬周波数を遮断するように設計しさえすればよく、外部導体41,44の寸法精度をある程度ラフに設計しても、伝搬領域23cの内部とその近傍に電磁界エネルギを集中させて所望の周波数を有する高周波信号を伝搬させることができる。

0054

上述したことは第1の実施形態で示した構造の非放射性平面誘電体線路の場合にも当てはまり、図1に示した外部電極28,29を形成する誘電体26,27の寸法t26,t27,W2の寸法精度をある程度ラフに設計しても、伝搬領域23cの内部とその近傍に電磁界エネルギを集中させて所望の周波数を有する高周波信号を伝搬させることができる。

0055

ところで、高周波回路の高集積化・小型化を実現するために、隣接する線路の間隔を波長の0.2〜0.3倍程度にすることが望まれる。隣接する2線路を考えた場合、この程度の線路の間隔でも線路間干渉しないためには、線路を伝搬する電磁界エネルギの80%以上が閉じ込められることが1つの条件となる。すなわち、線路を伝搬する電磁界エネルギの80%以上が閉じ込められた領域に他の線路を近づけても、寄生カップリングは殆ど行われない。そして、線路を伝搬する電磁界エネルギの90%以上が閉じ込められれば、線路間の干渉は更に緩和される。

0056

上記第2の実施形態において、伝搬領域23cと、遮断領域23aと23bの両側へ誘電体中の波長の0.2倍の距離を加えた領域内にエネルギを80%以上閉じ込めるために必要な誘電体板23の比誘電率εr23と厚さt23について示す。

0057

先ず、有限要素法により断面内の電磁界分布を求め、これに摂動法を適用することによって、誘電体板23へのエネルギの集中度(以下「閉じ込め量」という。)が80%となる領域の遮断領域23a,23b側のそれぞれに漏れ出ている距離Lを誘電体板中の波長λgで規格化した値と比誘電率との関係を求める。図3の(B)はエネルギの閉じ込められる領域とLとの関係を示す図であり、クロスハッチング部分に80%のエネルギが閉じ込められるときの遮断領域23a,23b側へエネルギが漏れ出る距離をそれぞれLとする。

0058

図6は、図3の(A)においてt42=t43=1.0mmとし、W1を線路の特性インピーダンスが50Ωとなる幅に選び、誘電体板23の厚さt23を0.5mmとし、周波数をパラメータとして、L/λgと比誘電率εr23の関係を示す図であり、誘電体板23の比誘電率εr23を横軸にとっている。周波数としては15GHz,30GHz,45GHz,60GHzを選んでいる。この図6から明らかなように、λgの値が0.2以下の値でエネルギの閉じ込め量を80%以上とするためには、周波数に関係なく、誘電体板の比誘電率を10以上とすればよい。

0059

図7は、図3においてt42=t43=0.7mmとし、W1を線路の特性インピーダンスが50Ωとなる幅に選び、周波数を30GHzとし、誘電体板の厚さt23をパラメータとして、エネルギの閉じ込め量が80%となるためのL/λgと比誘電率εr23の関係を示す図であり、L/λgを縦軸にとり、誘電体板23の比誘電率εr23を横軸にとっている。誘電体板23の厚さt23としては0.3mm,0.5mm,0.7mm,1.0mmを選んでいる。この図7から明らかなように、L/λgが0.2以下の値でエネルギの閉じ込め量を80%以上とするためには、誘電体板23の厚さt23を0.3mm以上で、且つ比誘電率を10以上とすればよい。

0060

但し、非放射性平面誘電体線路の構造上の制約条件として、誘電体板の厚さt23と外部導体内の厚さt42,t43は、不要モードとの結合を抑圧するために次の条件を満足させる。

0061

t23≦λg/2 (λg:誘電体板内での波長)
t42,t43≦λo/2 (λo:自由空間での波長)
図6および図7より、誘電体板23の比誘電率εr23を10以上とし、厚さt23を0.3mm以上にすれば、図3に示した伝搬領域23cと遮断領域23a,23bのLの領域内にエネルギが約80%以上閉じ込められることが判る。

0062

次に、上記第2の実施形態において、L/λgが0.2以下の範囲内にエネルギを90%以上閉じ込めるために必要な誘電体板23の比誘電率εr23と厚さt23について示す。

0063

図8は、図3においてt42=t43=1.0mmとし、W1を線路の特性インピーダンスが50Ωとなる幅に選び、誘電体板23の厚さt23を0.5mmとし、周波数をパラメータとして、エネルギの閉じ込め量が90%となるための幅W2と比誘電率εr23の関係を示す図であり、図3における幅W2を、誘電体中を伝搬する電磁波の波長で正規化した値を縦軸にとり、誘電体板23の比誘電率εr23を横軸にとっている。周波数としては15GHz,30GHz,45GHz,60GHzを選んでいる。この図8から明らかなように、L/λgが0.2以下の値でエネルギの閉じ込め量を90%以上とするためには、周波数に関係なく、誘電体板の比誘電率を15以上とすればよい。

0064

図9は、図3においてt42=t43=0.7mmとし、W1を線路の特性インピーダンスが50Ωとなる幅に選び、周波数を30GHzとし、誘電体板の厚さt23をパラメータとして、エネルギの閉じ込め量が90%となるためのL/λgと比誘電率εr23の関係を示す図であり、L/λgの値を縦軸にとり、誘電体板23の比誘電率εr23を横軸にとっている。誘電体板23の厚さt23としては0.3mm,0.5mm,0.7mm,1.0mmを選んでいる。この図9から明らかなように、L/λgが0.2以下の値でエネルギの閉じ込め量を90%以上とするためには、誘電体板23の厚さt23を0.3mm以上で、且つ比誘電率を18以上とすればよい。

0065

但し、上述したように、誘電体板の厚さt23と外部導体内の厚さt42,t43は、不要モードとの結合を抑圧するために次の条件を満足させる。

0066

t23≦λg/2 (λg:誘電体板内での波長)
t42,t43≦λo/2 (λo:自由空間での波長)
図8および図9より、誘電体板23の比誘電率εr23を18以上とし、厚さt23を0.3mm以上にすれば、図3に示した伝搬領域23cと遮断領域23a,23bのLの領域内にエネルギが約90%以上閉じ込められることが判る。

0067

上述した関係は第1の実施形態で示した構造の非放射性平面誘電体線路の場合にも当てはまり、図1の誘電体板23の比誘電率εr23を10以上とし、厚さt23を0.3mm以上にすれば、伝搬領域23cと遮断領域23a,23bの一部(図3(B)においてL/λg<0.2となるLで示した部分に相当する領域内)にエネルギが約80%以上閉じ込められ、誘電体板23の比誘電率εr23を18以上とし、厚さt23を0.3mm以上にすれば、上記領域内にエネルギが約90%以上閉じ込められる。

0068

図10は第3の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路の構成を示す断面図である。第1・第2の実施形態では、断面矩形の外部電極または外部導体を形成したが、この部分の形状は断面矩形である必要はなく、図10の(A)に示すように半円形または(B)に示すように多角形であってもよい。ただし、外部導体41,44で囲まれた空間が主要周波数に対して遮断領域となるように外部導体41,44の寸法を定める。

0069

図11は第4の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路の部分斜視図である。第1〜第3の実施形態では、スロットを構成する2つの電極間を跨ぐ連続した外部電極または外部導体を設けたが、図11に示すようにその一部に棒状の電極を用いてもよい。図11において51a,51b.52a.52bはそれぞれ棒状電極であり、それらの間隔Lが、自由空間を伝搬する電磁波の波長の半波長以下になるように各棒状電極を配置し、電極21a,21bおよび22a,22bにそれぞれ平行に対向する導電体板51c,52cを設けている。これによって棒状電極51a,51b,52a,52bおよび導電体板51c,52cによって、先に示した実施形態の場合と同様の遮断領域を構成することができる。

0070

次に、第5の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路集積回路の構成を図12図14を参照して説明する。

0071

図12表面実装型平面誘電体線路集積回路の分解斜視図である。同図において61,62は導電体板であり、この2つの導電体板の間に伝送基板323を挟み込むようにして集積回路を構成する。伝送基板323の図における上面には321で示す各種電極パターンを形成することによって301,302,303で示すスロットを設けている。また、これとともに共振器形成領域66,69を設けている。またスロット302を跨ぐように回路部品モジュール(ICなどの電子部品)305を実装している。またスロット301の近傍に他の回路部品モジュール306を実装している。これらの回路部品モジュール305,306に対してバイアス電圧印加するためのバイアス線路308,307を伝送基板323の上に形成している。伝送基板323の図における下面側には上面の電極に対向して同一パターンの電極を形成している。導電体板62にはg1〜g8で示す溝を設けていて、導電体板61にもこれと鏡対称の溝を設けている。

0072

図13図12に示した下部の導電体板62の上部に伝送基板323を載置した状態を示す斜視図であり、図14はその上部に更に導電体板61を載置して構成した非放射性平面誘電体線路集積回路の一端面(図12で示せば右後方の端面)を示す図である。このように伝送基板323の上面にスロット301,302を形成し、伝送基板323の下面にスロット301,302に対向してスロット311,312を形成するとともに、このスロット部分を覆うように溝g1,g2を介して導電体板61,62を配置することになる。このようにして2枚の導電体板と伝送基板のサンドイッチ構造によって、複数の非放射性平面誘電体線路とともに電子部品を集積化できるようになる。

0073

なお図14に示した構造では、伝送基板323の上面における電極321,321,321が導電体板61によってそれぞれ電気的に接続されるため、また伝送基板323の下面の電極322,322,322が導電体板62によってそれぞれ電気的に接続されるため、各電極が同電位となって、各電極間に不要な共振モードが生じないという効果を奏する。

発明の効果

0074

請求項1,2に係る発明によれば、第1と第2のスロットで挟まれる領域が電磁波の伝搬領域となり、第1の導電体が第1の電極と第2の電極とに導通し且つ第1のスロットを覆うため、また第2の導電体が第3の電極と第4の電極とに導通し且つ第2のスロットを覆うため、平面波は各電極によって遮断され、また仮に第1のスロットと第2のスロットが完全な対称性を有さなくても、その非対称性によって生じる放射波は第1・第2の導電体によって遮断されるため、放射損失が抑えられ、伝送損失が抑えられる。特に請求項1に記載の非放射性誘電体線路では、比誘電率が10以上で厚みが0.3mm以上の誘電体板を用いるため、前述したように、スロットの幅と波長の0.4倍を加えた幅をもつ領域内にエネルギが約80%以上閉じ込められる。そのため近接して線路を設置でき、回路の高集積化・小型化が可能となる。また、請求項2に記載の非放射性誘電体線路では、比誘電率が18以上で厚みが0.3mm以上の誘電体板を用いるため、前述したように、スロットの幅と波長の0.4倍を加えた幅をもつ領域内にエネルギが約90%以上閉じ込められる。そのため近接して線路を設置でき、回路の高集積化・小型化が可能となる。

0075

請求項3に係る発明によれば、第1・第2の導電体と伝送基板との間に前記誘電体板より低誘電率の誘電体が介在しているため、同一周波数で比較した場合に、誘電体板の厚み寸法を薄くしても伝搬領域に平面波を伝搬させることができるため、非放射性平面誘電体線路全体を小型化することができる。

0076

請求項4に係る発明によれば、複数の伝搬領域を設ける場合にも伝送基板と導電体板との組み立て構造が単純化され、製造コストを容易に削減できるようになる。

0077

請求項5に係る発明によれば、伝送基板に発振ダイオードやミキサダイオードなどの回路素子を設けて、その回路素子を含む伝送基板と第1・第2の導電体とによって集積回路を構成することによって、平面回路を有する非放射性平面誘電体線路集積回路を容易に構成できるようになる。

図面の簡単な説明

0078

図1第1の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路の一部破断斜視図である。
図2同非放射性平面誘電体線路の伝搬領域部分の断面図である。
図3第2の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路の断面図である。
図4図3に示したW2に対する位相定数βの変化を示す図である。
図5図3に示したt32,t43に対する位相定数βの変化を示す図である。
図6周波数をパラメータとする、誘電体板の比誘電率と所定箇所の寸法との関係を示す図である。
図7誘電体板の厚さをパラメータとする、誘電体板の比誘電率と所定箇所の寸法との関係を示す図である。
図8周波数をパラメータとする、誘電体板の比誘電率と所定箇所の寸法との関係を示す図である。
図9誘電体板の厚さをパラメータとする、誘電体板の比誘電率と所定箇所の寸法との関係を示す図である。
図10第3の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路の断面図である。
図11第4の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路の一部破断斜視図である。
図12第5の実施形態に係る非放射性平面誘電体線路集積回路の分解斜視図である。
図13同集積回路の組み立て途中の構造を示す斜視図である。
図14同集積回路の端面の構造を表す図である。
図15従来のスロットラインの構造を示す斜視図である。

--

0079

21a.21b−電極
22a,22b−電極
23−誘電体板
23a,23b−遮断領域
23c−伝搬領域
24−第1のスロット
25−第2のスロット
26,27−誘電体
28,29−外部電極
30−伝送基板
41,44−外部導体
42,43−空間
51c,52c−導電体板
51a,51b,52a,52b−棒状電極
61,62−導電体板
66,69−共振器形成領域
301,302,303−スロット
305,306−回路部品モジュール
307,308−バイアス線路
321,322−電極
323−伝送基板

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