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技術 磁気記録媒体およびこれを用いた磁気記録再生装置

出願人 株式会社日立製作所
発明者 山中一助山本朋生稲葉信幸五十嵐万壽和上坂保太郎
出願日 1997年6月3日 (23年8ヶ月経過) 出願番号 1997-144911
公開日 1998年12月18日 (22年2ヶ月経過) 公開番号 1998-334446
状態 未査定
技術分野 磁気記録担体 磁性薄膜
主要キーワード 磁化率χ 磁気粘性 巻き線数 結晶粒子サイズ 磁性媒体 活性化体積 コバルト基 自発磁化
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図面 (9)

課題

0から80℃の使用温度に耐える2ギガビット平方インチ以上の記録密度を有する磁気記録媒体および磁気ディスク装置を提供すること。

解決手段

磁性層としてレマネンス保磁力点での活性化体積自発磁化との積v・Isbが0.7×10-15emu以上、1.3×10-15emu以下であり、 v・Isbの温度変化率Δv・Isb/ΔT/v・Isbが0.005(deg-1)以下である強磁性金属薄膜を用い、強磁性薄膜磁極の一部とする記録ヘッドと、磁気抵抗効果型再生ヘッドとを有する磁気ヘッドとを組み合わせる。

効果

再生時の媒体ノイズを低減するとともに、磁性媒体ノイズ温度変化を低く抑え、0から80℃の使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する磁気ディスク装置を提供することができる。

概要

背景

強磁性金属薄膜磁気記録媒体記録密度の向上、高出力化低ノイズ化には結晶粒子微細化が不可欠である。たとえば、従来より検討されてきたCo-Cr-Ta、 Co-Cr-Pt系媒体では微細化が進み、現在では粒径が30nm内外のものが実用化されている。

ところで、強磁性結晶粒子が微細でも、結晶粒子間相互作用が強い場合には、複数の粒子一団となって磁化反転して記録されるようになる。このように、複数の粒子が一団となって磁化反転し、磁化反転単位が大きくなると、個々の結晶粒が小さくても、再生時のノイズが増す。このため、高密度化の大きな障害になる。

磁化反転単位の大きさは、磁気粘性と関連がある。すなわち、磁気粘性の揺らぎ場が大きいほど磁化反転単位は小さいと考えられている。磁気粘性の揺らぎ場の意味については、Journal of Physics F: Metal Physics 14巻L155〜L159頁(1984年発行)に記載されている。さらに、詳細な測定条件については、Journalof Magnetism and Magnetic Materials 127巻233〜240(1993年発行)、同145巻255〜260(1995年発行)および同152巻411〜416(1996年発行)に記載されている。以下に、磁気粘性の揺らぎ場の測定原理を説明する。

磁性材料に新たな磁場を印加すると、磁化I(t)は磁場印加時間の対数ln t に対して、
I(t) = const. - S・ln t (1)
の関係で変化する場合が多い。ここで、I(t)は単位体積あたりの磁気モーメントであり、tは新たな磁場を印加した後の経過時間である。粘性係数Sは磁場を正方向にシフトして印加したときには正、負にシフトしたときには負の値を持つ。また、Sは非可逆磁化率χirrと揺らぎ場との積で表せることが知られている。すなわち、
S=χirr・Hf (2)
成立する。したがって、実験からSおよびをχirrを求めれば、揺らぎ場が求まる。揺らぎ場は熱揺らぎの影響の大小を示す量であり、揺らぎ場が大きいことは熱揺らぎの影響を受けやすく、磁化反転単位の大きさが小さいことを意味する。

磁界強度保磁力Hcないしはレマネンス保磁力(残留磁化がゼロになる保磁力)Hrに等しいところでの揺らぎ場は、保磁力ないしはレマネンス保磁力の磁場印加時間依存性からも求めることができる。保磁力ないしはレマネンス保磁力は、磁場印加時間tとともに、
Hc(又はHr)= -B・ln t + const. (3)
の関係で印加時間とともに低下する場合が多い。本明細書に記載した試料では、すべて式(3)の関係が成立した。ただし、磁場印加時間は8秒から30分とした。式(3)にしたがって保磁力ないしはレマネンス保磁力が磁場印加時間tとともに変化する場合、Bは磁界強度が保磁力ないしはレマネンス保磁力に等しいところでの揺らぎ場Hfとほとんど同じ値を示す。この方法は、簡便かつ再現性がよい。そこで、本発明ではBの値を磁気粘性の揺らぎ場とした。すなわち、
Hc(又はHr)= -Hf・ln t + const. (4)
揺らぎ場Hfが求まると、
v・Isb=kT/Hf (5)
に従い、活性化体積vが求まる(Journal of Physics F: Metal Physics 14巻L155〜L159頁(1984年発行))。なお、式(5)において、kはBoltzmann定数、Tは絶対温度、Isbは磁性膜中の磁性を持った部分の自発磁化である。 活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbは磁化反転単位の大きさを表し、発明者らにより、 v・Isbが小さいほど媒体ノイズが低いことが明らかになった(Journal of Magnetism and Magnetic Materials 145巻255〜260(1995年発行)および同152巻411〜416(1996年発行))。

本発明者等による発明である特開平8-77543号には、磁気粘性の揺らぎ場Hfが30 Oe以上であり、保磁力が2000 Oe以上である媒体を用いることにより、2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を持つ磁気記録装置製作できることが開示されている。 前発明におけるHfが30 Oeという値は、 v・Isb=kT/Hfの関係から、v・Isbで表せば、1.39×10-15 emuに相当する。 v・Isbの値を1.3以下にすることにより、確かにノイズを低減でき、2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を持つ磁気記録装置を製作できることが可能である。

ところが、磁気記録再生装置を用いた電磁変換測定の測定温度(約0℃から80℃)を高くすると、ノイズが増加し、これが、使用温度約0℃から80℃(装置内温度)の高密度磁気記録再生装置を開発する上で、大きな障害になることが、最近の発明者らの研究で明らかになった。

概要

0から80℃の使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する磁気記録媒体および磁気ディスク装置を提供すること。

磁性層としてレマネンス保磁力点での活性化体積と自発磁化との積v・Isbが0.7×10-15emu以上、1.3×10-15emu以下であり、 v・Isbの温度変化率Δv・Isb/ΔT/v・Isbが0.005(deg-1)以下である強磁性金属薄膜を用い、強磁性薄膜磁極の一部とする記録ヘッドと、磁気抵抗効果型再生ヘッドとを有する磁気ヘッドとを組み合わせる。

再生時の媒体ノイズを低減するとともに、磁性媒体のノイズの温度変化を低く抑え、0から80℃の使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する磁気ディスク装置を提供することができる。

目的

また、磁性膜の膜厚を16.2nmと薄くした場合には、Hrは3890 Oeになり、30℃でのv・Isbの値は1.04×10-15emuであった。この媒体を用いると、1ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する磁気ディスク装置は作製できたが、2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する実用に耐える磁気ディスク装置は作製できなかった。その原因は25℃で測定した媒体ノイズは低いが、80℃でのノイズが高すぎるためであった。ヘッド書き込み能力に依存することであるが、オーバーライト特性が悪いという欠点もあった。

本発明の目的は、再生時のノイズを低減するとともに、その温度変化を低く抑え、0から80℃の使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する磁気記録媒体およびこれを用いた磁気ディスク装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

非磁性基板上に、下地層磁性層、保護層を設けた磁気記録媒体において、磁性層としてレマネンス保磁力点での活性化体積自発磁化との積v・Isbが0.7×10-15emu以上、1.3×10-15emu以下であり、 v・Isbの温度変化率Δ(v・Isb)/ΔT/(v・Isb)が0.005(deg-1)以下である強磁性金属薄膜を用いたことを特徴とする磁気記録媒体。

請求項2

前記強磁性金属薄膜の保磁力が1900 Oe以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。

請求項3

前記強磁性金属薄膜の保磁力が2400 Oe以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。

請求項4

前記強磁性金属薄膜の厚さが10nm以上、25nm以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の磁気記録媒体。

請求項5

前記強磁性金属薄膜がCo-Cr-Ta, Co-Cr-Ta-Ni, Co-Cr-Pt、Co-Cr-Pt-Ta、Co-O、Co-Ni、Co-Cr、Co-Mo、Co-Ta、Co-Ni-Cr、Co-Ni-Oの群から選ばれたコバルトを主たる成分とする薄膜であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の磁気記録媒体。

請求項6

前記強磁性金属薄膜がコバルトを主たる成分とする薄膜であって、該薄膜中のCr含量が18原子パーセント以上、22原子パーセント以下であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の磁気記録媒体。

請求項7

前記下地層にCr、Cr-V、Cr-W、Cr-Ti、Cr-SiないしはCr-Mo合金単層ないしは異種の金属層からなる2層として用いたことを特徴とする請求項5または6記載の磁気記録媒体。

請求項8

強磁性薄膜磁極の一部とする記録ヘッドと、磁気抵抗効果型再生ヘッドとを有する磁気ヘッドを用い、請求項1から6までのいずれかに記載の磁気記録媒体を用いて2ギガビット平方インチ以上の記録密度で情報を記録、再生することを特徴とする磁気記録再生装置

技術分野

0001

本発明は、強磁性金属薄の膜磁気記録媒体に係わり、特に、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体およびこれを用いた大容量の磁気記録再生装置に関する。

背景技術

0002

強磁性金属薄膜の磁気記録媒体の記録密度の向上、高出力化低ノイズ化には結晶粒子微細化が不可欠である。たとえば、従来より検討されてきたCo-Cr-Ta、 Co-Cr-Pt系媒体では微細化が進み、現在では粒径が30nm内外のものが実用化されている。

0003

ところで、強磁性結晶粒子が微細でも、結晶粒子間相互作用が強い場合には、複数の粒子一団となって磁化反転して記録されるようになる。このように、複数の粒子が一団となって磁化反転し、磁化反転単位が大きくなると、個々の結晶粒が小さくても、再生時のノイズが増す。このため、高密度化の大きな障害になる。

0004

磁化反転単位の大きさは、磁気粘性と関連がある。すなわち、磁気粘性の揺らぎ場が大きいほど磁化反転単位は小さいと考えられている。磁気粘性の揺らぎ場の意味については、Journal of Physics F: Metal Physics 14巻L155〜L159頁(1984年発行)に記載されている。さらに、詳細な測定条件については、Journalof Magnetism and Magnetic Materials 127巻233〜240(1993年発行)、同145巻255〜260(1995年発行)および同152巻411〜416(1996年発行)に記載されている。以下に、磁気粘性の揺らぎ場の測定原理を説明する。

0005

磁性材料に新たな磁場を印加すると、磁化I(t)は磁場印加時間の対数ln t に対して、
I(t) = const. - S・ln t (1)
の関係で変化する場合が多い。ここで、I(t)は単位体積あたりの磁気モーメントであり、tは新たな磁場を印加した後の経過時間である。粘性係数Sは磁場を正方向にシフトして印加したときには正、負にシフトしたときには負の値を持つ。また、Sは非可逆磁化率χirrと揺らぎ場との積で表せることが知られている。すなわち、
S=χirr・Hf (2)
成立する。したがって、実験からSおよびをχirrを求めれば、揺らぎ場が求まる。揺らぎ場は熱揺らぎの影響の大小を示す量であり、揺らぎ場が大きいことは熱揺らぎの影響を受けやすく、磁化反転単位の大きさが小さいことを意味する。

0006

磁界強度保磁力Hcないしはレマネンス保磁力(残留磁化がゼロになる保磁力)Hrに等しいところでの揺らぎ場は、保磁力ないしはレマネンス保磁力の磁場印加時間依存性からも求めることができる。保磁力ないしはレマネンス保磁力は、磁場印加時間tとともに、
Hc(又はHr)= -B・ln t + const. (3)
の関係で印加時間とともに低下する場合が多い。本明細書に記載した試料では、すべて式(3)の関係が成立した。ただし、磁場印加時間は8秒から30分とした。式(3)にしたがって保磁力ないしはレマネンス保磁力が磁場印加時間tとともに変化する場合、Bは磁界強度が保磁力ないしはレマネンス保磁力に等しいところでの揺らぎ場Hfとほとんど同じ値を示す。この方法は、簡便かつ再現性がよい。そこで、本発明ではBの値を磁気粘性の揺らぎ場とした。すなわち、
Hc(又はHr)= -Hf・ln t + const. (4)
揺らぎ場Hfが求まると、
v・Isb=kT/Hf (5)
に従い、活性化体積vが求まる(Journal of Physics F: Metal Physics 14巻L155〜L159頁(1984年発行))。なお、式(5)において、kはBoltzmann定数、Tは絶対温度、Isbは磁性膜中の磁性を持った部分の自発磁化である。 活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbは磁化反転単位の大きさを表し、発明者らにより、 v・Isbが小さいほど媒体ノイズが低いことが明らかになった(Journal of Magnetism and Magnetic Materials 145巻255〜260(1995年発行)および同152巻411〜416(1996年発行))。

0007

本発明者等による発明である特開平8-77543号には、磁気粘性の揺らぎ場Hfが30 Oe以上であり、保磁力が2000 Oe以上である媒体を用いることにより、2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を持つ磁気記録装置製作できることが開示されている。 前発明におけるHfが30 Oeという値は、 v・Isb=kT/Hfの関係から、v・Isbで表せば、1.39×10-15 emuに相当する。 v・Isbの値を1.3以下にすることにより、確かにノイズを低減でき、2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を持つ磁気記録装置を製作できることが可能である。

0008

ところが、磁気記録再生装置を用いた電磁変換測定の測定温度(約0℃から80℃)を高くすると、ノイズが増加し、これが、使用温度約0℃から80℃(装置内温度)の高密度磁気記録再生装置を開発する上で、大きな障害になることが、最近の発明者らの研究で明らかになった。

発明が解決しようとする課題

0009

以下に磁気ディスクを例として、従来技術の問題点を具体例で説明する。

0010

従来法に従って、無電解メッキのNi-Pで被覆したAl-Mg合金からなる鏡面研磨した円板上に磁性膜の結晶配向を制御するためのCrTi下地層を形成し、ついでCoCrPt磁性層、さらにカーボン保護膜を形成して磁気ディスクを作製した。CrTi下地層、磁性層、保護膜はともにArガスを用いたスパッタリングで形成した。この際、基板温度は300℃、Ar圧力は2.0ミリTorrとした。 CrTi下地層の組成原子%で表し、 Cr:80%、Ti:20%である。この組成を以下本明細書ではCrTi20のように表す。また、下地層の厚さは20nmとした。磁性層は20nm、保護膜は8nmである。 CoCrPt磁性層の組成は原子%で表し、 Co:68%、Cr:20%、Pt:12%である。この組成を以下本明細書ではCoCr20Pt12のように表す。この媒体のレマネンス保磁力Hrは3160 Oeであった。また、レマネンス保磁力と等しい磁界強度での25℃での活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbの値は1.76×10-15emuであった。

0011

上記媒体に、ギャップ長が0.4μm、巻線数が24ターンパーマロイヘッドを用いて磁気情報を記録し、パーマロイ磁気抵抗ヘッドを用いて再生して電磁変換特性を調べた。この際、記録および再生時の浮上高さは80nmとした。

0012

この媒体を用いると1ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する実用に耐える磁気ディスク装置は作製できなかった。その原因は25℃で測定した媒体ノイズが大きく、しかも80℃ではさらにノイズが大きくなるためであった。

0013

また、磁性膜の膜厚を16.2nmと薄くした場合には、Hrは3890 Oeになり、30℃でのv・Isbの値は1.04×10-15emuであった。この媒体を用いると、1ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する磁気ディスク装置は作製できたが、2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する実用に耐える磁気ディスク装置は作製できなかった。その原因は25℃で測定した媒体ノイズは低いが、80℃でのノイズが高すぎるためであった。ヘッドの書き込み能力に依存することであるが、オーバーライト特性が悪いという欠点もあった。

0014

本発明の目的は、再生時のノイズを低減するとともに、その温度変化を低く抑え、0から80℃の使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する磁気記録媒体およびこれを用いた磁気ディスク装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

上記目的を達成するため、様々の検討を重ねた結果、媒体ノイズは活性化体積と自発磁化との積v・Isbの値と相関があり、ノイズは、v・Isbの値が小さくなる程低くなり、 v・Isbの温度変化率を低く抑えることにより使用温度の上昇にともなう媒体ノイズの増加を小さくできることを見出した。本発明の基本構成を以下に示す。

0016

図1は、本発明による磁気記録媒体の拡大断面図である。図1で、1はNi-Pを被着したアルミニウムマグネシウム合金ガラスカーボン等の非磁性基板である。2は磁性膜の結晶方向および結晶粒子サイズを制御するための非磁性下地層で、Cr、Cr-Mo、Cr-W、Cr-Ti、Cr-Vなどの金属層からなる。3はCo-Cr-Ta, Co-Cr-Ta-Ni, Co-Cr-Pt、 Co-Cr-Pt-Ta、Co-O、Co-Ni、Co-Cr、Co-Mo、Co-Ta、Co-Ni-Cr、Co-Ni-O等のコバルトを主成分とする強磁性薄膜である。4は保護潤滑層で、炭素膜酸化膜プラズマ重合膜脂肪酸パーフルオロカルボン酸パーフルオロポリエーテル等を単独ないしは複合体として用いることができる。磁性層3には、レマネンス保磁力点での活性化体積と自発磁化との積v・Isbが0.7×10-15emu以上、1.3×10-15emu以下であり、 v・Isbの温度変化率Δ(v・Isb)/ΔT/ v・Isbが0.005(deg-1)以下であり、保磁力が1900 Oe以上、かつ磁性層の厚さが10nmから25nmの範囲内である強磁性金属薄膜を用いるのが望ましい。強磁性薄膜はCr、Ta、Pt、Ni、Mo、V、Ti、Zr、Hf、Si、W、Oからなる群の少なくとも一種を含むコバルト基磁性合金薄膜、例えばCo-Cr-Ta,Co-Cr-Ta-Ni, Co-Cr-Pt、 Co-Cr-Pt-Ta、Co-O、Co-Ni、Co-Cr、Co-Mo、Co-Ta、Co-Ni-Cr、Co-Ni-O等のコバルトを含有する薄膜であることが望ましい。

0017

本発明における保磁力Hcないしはレマネンス保磁力Hrと等しい磁界強度での活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbの具体的測定方法は、以下の通りである。揺らぎ場Hfを求めるため、磁気ディスクから切り出した7mm角試料片に−10,000 Oeの磁場を印加して直流消磁したのち、保磁力ないしはレマネンス保磁力よりもわずかに低い正の磁場を印加し、磁化ないしは残留磁化がゼロになるまでの時間tを求める。この操作を直流消磁後に印加する正の磁場を少しずつ低くして繰り返す。こうして求めた保磁力ないしはレマネンス保磁力の磁場印加時間依存性から式(4)にしたがって揺らぎ場Hfの値が求まり、式(5)から活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbが求まる。保磁力の磁場印加時間依存性から求めた揺らぎ場は、レマネンス保磁力の磁場印加時間依存性から求めた揺らぎ場とほとんど同じ値を示す。測定が容易であることから、本発明においてはレマネンス保磁力の磁場印加時間依存性から揺らぎ場を求めた。測定はDMS(DigitalMeasurement Systems)社製の振動型磁力計を用いて行った。この際、測定温度は25±3℃、直流消磁後の磁場印加時間は8秒から30分とした。また、保磁力Hcは通常のヒステリシスの測定によって求めた。他方、レマネンス保磁力Hrは磁場印加時間を8秒とした場合の値とした。

0018

また、 v・Isbの温度変化率は、80℃に於けるv・Isbの値と25℃に於けるv・Isbとの差Δ(v・Isb)を、温度差ΔT(=55 (deg))および25℃に於けるv・Isbの値で除した値Δ(v・Isb)/ΔT/ v・Isbで表した。

0019

磁性層としてレマネンス保磁力点での活性化体積と自発磁化との積v・Isbが0.7×10-15emu以上、1.3×10-15emu以下であり、 v・Isbの温度変化率Δ(v・Isb)/ΔT/ v・Isbが0.005(deg-1)以下である強磁性金属薄膜を用いることにより、媒体ノイズの温度上昇に伴う増加を適切に抑え、使用温度が0から80℃の高密度磁気記録装置を作製でき、強磁性薄膜を磁極の一部とする記録ヘッドと、磁気抵抗効果型再生ヘッドとを有する磁気ヘッドと組み合わせることにより、急峻に記録できる媒体の性能を引き出せるので2ギガビット/平方インチ以上の実用可能な高密度記録再生装置を提供することが出来る。磁気抵抗効果型の再生ヘッドとしては、異方性磁気抵抗効果を利用したものや、巨大磁気抵抗効果を利用したものを用いることができる。

発明を実施するための最良の形態

0020

以下に、本発明の内容を実施例によって詳細に説明する。

0021

(実施例)無電解メッキのNi-Pで被覆したAl-Mg合金からなる鏡面研磨した円板上にCrないしはCr合金からなる下地層を形成し、ついでCoCrTa、CoCrPt、CoCrPtTi磁性層、さらにカーボン保護膜を形成して総計134個の磁気ディスクを作製した。

0022

CrないしはCr合金下地膜、磁性層、保護膜はともにArガスを用いたスパッタリングで形成した。この際、Ar圧力は2.0から3.5ミリTorrとした。磁性膜の結晶方位を制御するためのCrないしはCr合金下地層には、Cr、Cr-V、Cr-W、Cr-Ti、Cr-Si、Cr-Mo、CrTiBを単層あるいは異種組成からなる多層として用いた。また、下地層の総膜厚は20nmから50nmとした。

0023

こうして得られた媒体の保磁力Hcは1400〜3890 Oeの範囲に分布した。また、活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbは0.60から4.38×10-15 emuの範囲に分布し、残留磁化・膜厚積Br・tは19から178(G・μm)の範囲に分布した。

0024

上記媒体に、ギャップ長が0.4μm、巻き線数24ターンのパーマロイヘッドを用いて磁気情報を記録し、パーマロイMRヘッドで再生して電磁変換特性を調べた。この際、記録および再生時の浮上高さは80nmとした。測定した結果、線記録密度150kFCIでのノイズは7.1〜37.4μVrmsであった。また、再生出力は0.6から1.9mVp-pであった。磁性膜組成、磁性膜膜厚、残留磁化・膜厚積、保磁力、25℃での磁気粘性の測定から求めた活性化体積と飽和磁気との積v・Isb、25℃と80℃での磁気粘性の測定から求めたΔv・Isb/ΔT/v・Isb の値、および媒体ノイズの測定結果を表1〜5にまとめて示す。

0025

0026

0027

0028

0029

0030

表1〜5の結果に基づきV・Isbとノイズとの相関を示したのが、図2である。図から明らかなように、媒体ノイズは、活性化体積と飽和磁化との積v・Isbが小さくなるほど、概ね小さくなることが分かる。

0031

図2に於いて、○印は3ギガビット/平方インチの記録密度で記録した場合に、エラーレートが10-11以下であったことを示す。△印は2ギガビット/平方インチでのエラーレートは10-11以下であったが、3ギガビット/平方インチでのエラーレートが10-11以上であったことを示す。また、‐印は使用温度(0から80℃)に耐える記録密度が2ギガビット/平方インチでのエラーレートが10-11以上であったことを示す。図2から分かるように、v・Isbの値が小さくなるとノイズが低下し、出力/ノイズ比S/Nも大きくなるが、ノイズの温度変化が大きくなり、0から80℃の広い範囲では使用出来ない場合がある。

0032

また、図2には、磁性膜にCoCr20Pt8を用い、磁性膜厚を20 nmとし、保磁力を2050±50 Oe、残留磁化・膜厚積Br・tを110±5 G・μmとした試料についての30℃でのv・Isbと記録密度2ギガビット/平方インチで記録した場合のエラーレートとの相関も示してある。 v・Isbの値が1.3×10-15 emuを越えると急速にエラーレートが増加する。

0033

図3は、v・Isbとv・Isbの温度変化率Δv・Isb/ΔT/v・Isbの相関を示す。図から明らかなように、広い使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製できたのは、v・Isbが0.7×10-15emu以上、1.3×10-15emu以下であり、Δv・Isb/ΔT/v・Isbが0.005以下の場合だけであることが分かる。v・Isbの温度変化率Δv・Isb/ΔT/v・Isbを低く抑えることにより、ノイズの温度変化を小さくし、使用温度範囲を広くすることが出来る。 v・Isbが0.7×10-15emu以上、1.3×10-15emu以下であっても、Δv・Isb/ΔT/v・Isbが0.005より大きくなると、80℃におけるv・Isbの値が大きくなり、これにともないノイズも大きくなる。このため、記録密度が2Gb/in2および3Gb/in2ともに80℃でのエラーレートは10-11以上となった。

0034

保磁力Hcとノイズとの相関を図4に示す。使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の磁気ディスク装置を作製するにはHcを1900 Oe以上とする必要があることが分かる。しかしながら、Hcが1900 Oe以上でも、ノイズが大きく、使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度をもつ磁気ディスク装置を作製出来ない場合が多い。また、図から明らかなように、3ギガビット/平方インチ以上の記録密度をもつ磁気ディスク装置は、Hcが2400 Oe以上の場合にのみ可能であった。

0035

図5はv・Isbの磁性膜の膜厚依存性を示す。磁性膜の膜厚を薄くすると、v・Isbの値が小さくなる傾向が見られるが、これは磁性膜組成および作製の条件に大きく左右される。使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度をもつ磁気ディスク装置を作製出来るのは、磁性膜の膜厚が10nm以上25nm以下の場合に限られていた。

0036

磁性膜の保磁力と磁性膜の膜厚との関係を図6に示す。測定範囲内では際だった相関は認められない。

0037

磁性膜の膜厚と残留磁化・膜厚積Br・tとの相関を図7に示す。使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度をもつ磁気ディスク装置を作製出来るのは、磁性膜の膜厚が10nm以上25nm以下の場合に限られ、Br・tの値は約60から100 G・μmである。

0038

さらに、図8に示したように、V・Isbの温度変化率Δv・Isb/ΔT/v・Isbは、磁性膜中Cr含量が少なくなるにしたがい小さくなる傾向があり、使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度をもつ磁気ディスク装置を作製出来るのは、磁性膜中Cr含量が18から22原子%に限られていた。

発明の効果

0039

以上に述べた実施例から明らかなように、本発明によれば、磁性層としてレマネンス保磁力点での活性化体積と自発磁化との積v・Isbが0.7×10-15emu以上、1.3×10-15emu以下であり、 v・Isbの温度変化率Δv・Isb/ΔT/v・Isbが0.005(deg-1)以下である強磁性金属薄膜を用い、強磁性薄膜を磁極の一部とする記録ヘッドと、磁気抵抗効果型の再生ヘッドとを有する磁気ヘッドと組み合わせることにより、0から80℃の使用温度に耐える2ギガビット/平方インチ以上の記録密度を有する磁気記録媒体および磁気ディスク装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0040

図1本発明の強磁性金属薄膜の磁気記録媒体の基本構造を示す図。
図2活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbとノイズおよびエラーレートとの相関を示す図。
図3活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbとv・Isb の温度変化率Δv・Isb/ΔT/v・Isbとの相関を示す図。
図4保磁力Hcとノイズとの相関を示す図。
図5磁性膜の膜厚と活性化体積vと自発磁化Isbとの積v・Isbとの相関を示す図。
図6磁性膜の膜厚と保磁力Hcとの相関を示す図。
図7磁性膜の膜厚と残留磁化・膜厚積Br・tとの相関を示す図。
図8磁性膜中Cr含量とΔv・Isb/ΔT/v・Isbとの相関を示す図。

--

0041

1…非磁性基板、2…非磁性下地層、3…強磁性金属薄膜。4…保護潤滑層。

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