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技術 中性点形インバータ装置

出願人 DNライティング株式会社
発明者 奥津健三江波戸宏治
出願日 1997年4月22日 (22年5ヶ月経過) 出願番号 1997-104563
公開日 1998年12月8日 (20年10ヶ月経過) 公開番号 1998-326688
状態 特許登録済
技術分野 放電ランプ高周波または変換器直流点灯回路 インバータ装置
主要キーワード ドロップ抵抗 IC化 所定電圧範囲外 駆動停止回路 高速センサ 周波数変更回路 擬似正弦波状 コード配線
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題

中性点形インバータ装置において、より高電圧で”うねり”が小さい高周波電圧を発生せしめる。

解決手段

商用電源ローパスフィルタLPFを介して整流器DBに接続し、整流器DBの出力に平滑コンデンサCsと分圧コンデンサC1,C2 の直列回路スイッチング素子Q1,Q2 の直列回路とを並列接続する。スイッチング素子Q1,Q2 のそれぞれにダイオードD1,D2 を逆並列接続し、駆動回路DRをスイッチング素子Q1,Q2と接続する。分圧コンデンサC1,C2 の接続点とスイッチング素子Q1,Q2 の接続点の間に、インダクタLoと蛍光灯LT共振コンデンサC4との並列回路からなる負荷回路Rを接続する。スイッチング素子Q1,Q2 をオンオフ動作させることによりインダクタLoに昇圧インバータ動作をさせ、インダクタLoの両端に安定かつ高電圧の高周波電圧を発生せしめる。

概要

背景

最近の小型化された家電製品OA機器においては高性能化・高効率化のため高周波インバータ装置が搭載されている。

また、家庭用蛍光灯器具施設用蛍光灯器具においては、蛍光灯点灯させる回路方式として、従来はチョーク限流型・漏洩変圧器型等の銅鉄型安定器と称されるものが使用されてきたが、形状・重量および効率の面で限界があることから、今日の蛍光灯器具には高周波点灯式安定器(インバータ式安定器)といわれるランプ制御装置が使用されるようになり、HIDランプ水銀灯メタルハライドランプ等)器具電球型蛍光ランプ等にも使用されている。

このインバータ式安定器は、効率がよく省電力化が図れること、ランプチラツキや安定器の騒音を少なくできること、軽量化が図れること等の利点があることから、上記各種蛍光灯器具インバータ化が急激に進んでいる。

しかしながら、上記高周波インバータ装置やインバータ式安定器(以下、これらを「インバータ装置」という。)は、一般に整流器ダイオード)を用い電解コンデンサで平滑して使用する全波整流コンデンサ平滑回路方式が多く用いられており、ダイオードの非線形性に起因する歪波電流商用電源に流れる。

そのため商用電源側の入力電流高調波成分高調波電流)が流れる。この高調波電流がおよぼす障害高調波障害)の問題が顕著になってきている。

このため、高調波電流を抑制するための回路技術の検討がなされ、例えば、交流リアクトル挿入方式・部分平滑方式・アクティブ平滑フィルタ方式(インバータ蛍光灯電子技術,Vol.32,No3,pp.113-119参照)・ディザー整流方式(ディザー効果を用いた高力率スイッチングレギュレータ電気学会全国大会講演論文集,No.546,pp.5-137参照)等が提案されている。

さらに、蛍光灯用電子安定器として、ディザー整流方式と同様に蛍光灯点灯用インバータのみで商用電源側の入力電流の高調波成分の低減が図れる中性点形電子安定器回路の提案もなされている(簡易高調波低減回路の一方法;著者:加義人氏,電気設備学会誌,Vol.12,No.10,pp.902-904参照)。 また、この中性点形電子安定器回路(中性点形インバータ式安定器)の理論解析についての考察もなされている(中性点形インバータによる入力電流低歪み形電子安定器の開発;著者:加藤義人氏,照明学会誌,Vol79,No.2,pp.14-20参照)。

この中性点形インバータ式安定器は、(1)商用電源側にローパスフィルタLPFを挿入することで、アクティブ平滑フィルタ方式と同様に入力電流に含まれる高調波成分の低減が蛍光灯点灯用のインバータのみで可能であること、(2)ディザー整流方式のように新たな回路とする必要がなく、既存のハーフブリッジ形安定器の改良に適用できること、(3) 入力電流の高調波成分はIEC規格(IEC1000-3-2)以下にできること、(4)入力力率は97%以上の高力率が得られること、(5)回路構成が簡単で、かつ、ランプ発光光率の低下が少ないこと、等の多くの利点を有することから、インバータ機器の高調波障害を防止する好適な回路として使用されつつある。

図18は中性点形インバータ式装置の基本回路図である。この回路は、商用電源ViをローパスフィルタLPFを介して直流電圧Edに整流する全波整流器DB(構成ダイオードは回路図において単に1〜4と記載し、明細書中はDB1〜DB4という。)と、全波整流器DBの出力を平滑する平滑コンデンサCsと、平滑コンデンサCsと並列接続され直流電圧Edを分圧する分圧コンデンサC1およびC2の直列回路と、平滑コンデンサCsと並列接続されたスイッチング素子Q1およびQ2の直列回路と、分圧コンデンサC1,C2 の接続点(以下、「中性点」という。)とスイッチング素子Q1,Q2 の接続点(以下、「SW点」という。)との間に接続された負荷RLとからなる。中性点は商用電源Viの一端と接続されている。

この回路の動作は、全波整流器DBの出力に含まれるリップル電圧を平滑コンデンサCsを用いて直流電圧Edに変換した後、スイッチング素子Q1,Q2 をオンオフ動作させ中性点を基準に閉回路を構成し、平滑コンデンサCsから分圧コンデンサC1またはC2を充電する。この充電電流が負荷RLに流れる負荷電流となり、負荷電流が流れていない区間に逆方向の電流を確保する。スイッチング素子Q1,Q2 を高周波で交互にオン・オフ動作(インバータ動作)させると、負荷RLには商用周波数に高周波が重畳された電圧VLが印加される。ダイオードDB1〜DB4の電流は負荷に比例した休止期間のある高周波の三角波状となるためローパスフィルタLPFを通すことにより擬似正弦波状電流波形を得る。これにより、中性点形インバータは商用電源側の入力電流の高調波成分の低減を可能ならしめている。

図19は中性点形インバータ装置の負荷として蛍光灯LTを用いた場合の回路図であり、中性点形インバータ式安定器といわれるものである。基本回路(図18)だけでは得られる負荷電圧VLはスイッチング素子Q1,Q2 と分圧コンデンサC1,C2 からの充放電(特に充電)波形のため、蛍光灯LTの点灯には不向きである。この過渡的な部分を除去し、ランプ電流正弦波となるように基本回路の負荷端子(中性点とSW点の間)にインダクタL1と蛍光灯LTからなる直列回路を接続し、共振コンデンサC4を蛍光灯LTと並列接続して蛍光灯LTと共振させる回路構成(負荷回路)としたものが図19に示す回路(以下、「実働回路」という。)である。以下、この実働回路の動作について説明する。平滑コンデンサCsは分圧用コンデンサC1,C2 より十分大きい値であるとした場合(Cs >> C1,C2) 、平滑コンデンサCsには入力電圧(Vi=Vm・sin(wt)) の最大値Vmの電圧が得られる(Vm=Ed)。これは、整流器DBと分圧コンデンサC1,C2 により一見倍電圧回路が構成されるようになるが、CsがC1,C2 より十分大きければC1,C2 による影響を無視でき、倍電圧回路が構成されないからである。

したがって、インバータ動作を行う定常状態においては、分圧コンデンサC1,C2の端子電圧をそれぞれVC1、VC2とすると、平滑コンデンサCsの電圧Edは、以下のように表される。

Ed=VC1+VC2
一方、この実働回路ではスイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作により、分圧コンデンサC1,C2 および平滑コンデンサCsに充放電電流が流れる。また、平滑コンデンサCsには、入力電圧ViがEd<|Vi|のときに商用電源からの充電電流が重畳され、入力電流Iiはいわゆるコンデンサインプット形の電流波形に近くなるため、波形的にとがった形状となるものと考えられる。

これにより、分圧コンデンサC1,C2 の電圧VC1、VC2の波形は、それぞれ図20、図21に示されるような波形となる。また、負荷回路Rに発生する電圧VRは分圧コンデンサC1,C2の電圧波形である図20と図21を交流ゼロを境に重ね合わせて示した図22に示されるような合成波形となる。但し、図22は簡略化して示したものであり、実際の電圧VRはVC1の最大からVC2の最小までの高周波電圧が負荷回路Rに印加されたものとなる。

次に、入力電流Iiについて考察する。上述の説明で明らかなように、入力電圧ViがEd<|Vi|の期間においては、平滑コンデンサCsを充電する充電電流が平滑コンデンサCsに流れる。この充電電流は、0<|Vi|<Edの期間におけるスイッチング素子Q1,Q2 の状態により分圧コンデンサC1,C2 に流れる電流とは異なり大きな値となる。

これより入力電流Iiの波形を図に示すと、スイッチング素子Q1,Q2 により断続された断続電流となり、かつ、入力電圧Viがゼロクロスするところで不連続となる図23に示されるようなピークを有した電流波形となる。したがって、商用周波数を通過させるローパスフィルタLPFを入力に挿入することにより、およそ正弦波に近い電流波形となり高調波電流が商用電源に流れることを防止できるが、若干の波形歪みピーク電流により生じる。このため、このピーク電流が少なくなるように最適な平滑コンデンサCsを選定する必要がある。

上記説明は平滑コンデンサCsの電圧Edが完全な直流とした場合についてのものである。しかしながら、実際には、平滑コンデンサCsの電圧Edはリップル電圧Vppを有するため、分圧コンデンサC1,C2 の電圧波形および入力電流Iiの電流波形は、図24に示されるような波形となる。したがって、負荷回路Rに発生する電圧VRは図25に示されるような最大ピークVmaxと最小ピークVminとを有する不均一な電圧波形となる。なお、図24においては、電圧VC1、VC2は交流ゼロを境に重ね合わせて示している。

なお、上述のように中性点形インバータにおいては、入力電流Iiが断続電流となるDCM(不連続モード)動作を行うことにより、中性点形インバータとは異なるCM(リアクトル電流モード)やCRM(境界モード)の動作を行う他の方式(例えば、アクティブフィルタ回路等)において軽負荷時電圧上昇を防止するために必要とされる専用の制御回路を別に必要としないため、中性点形インバータは回路が簡易となる利点を有している。

例えば、CM動作を行う方式のものではインダクタを流れる電流がゼロとならない所を検出し制御するための検出・制御回路を必要とし、CRM動作を行う方式のものではインダクタの電流がゼロとなる所を検出し、また、出力電圧を検出してフィードバック制御を行うための検出・制御回路を必要とする。一方、中性点形インバータにおいてはこれら専用回路を要せず、軽負荷時においても電圧上昇をさほど生じることがない。軽負荷時の電圧上昇は、使用部品(特に平滑コンデンサCs用の電解コンデンサ、FET等のスイッチング素子)の耐圧を左右するため、特に、負荷に蛍光灯を使用した場合、蛍光灯の点灯開始時には毎回この状態を経過することとなるから、入力電流Iiがどのようなモードになるかは重要である。

概要

中性点形インバータ装置において、より高電圧で”うねり”が小さい高周波電圧を発生せしめる。

商用電源をローパスフィルタLPFを介して整流器DBに接続し、整流器DBの出力に平滑コンデンサCsと分圧コンデンサC1,C2 の直列回路とスイッチング素子Q1,Q2 の直列回路とを並列接続する。スイッチング素子Q1,Q2 のそれぞれにダイオードD1,D2 を逆並列接続し、駆動回路DRをスイッチング素子Q1,Q2と接続する。分圧コンデンサC1,C2 の接続点とスイッチング素子Q1,Q2 の接続点の間に、インダクタLoと蛍光灯LTと共振コンデンサC4との並列回路からなる負荷回路Rを接続する。スイッチング素子Q1,Q2 をオン・オフ動作させることによりインダクタLoに昇圧インバータ動作をさせ、インダクタLoの両端に安定かつ高電圧の高周波電圧を発生せしめる。

目的

本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、中性点形インバータ装置が有する特徴を保持しつつ、より高出力で、かつ、均一な、すなわち安定した出力電圧を得、もって入力電圧の低減を可能ならしめる中性点形インバータ式安定器もしくは中性点形インバータ機器を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
5件

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請求項1

交流電流基本周波数を通過させ、高調波信号遮断する低域通過フィルタと、前記低域通過フィルタを通過した交流電圧整流する整流器と、該整流器の出力に並列に接続された第1および第2のコンデンサ直列回路と、前記整流器の出力を平滑する第3のコンデンサと、前記整流器の出力に並列に接続された第1および第2のスイッチング素子の直列回路と、該第1および第2のスイッチング素子にそれぞれ直流的に逆方向となるように並列接続された第1および第2のダイオードと、前記第1および第2のスイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記整流器の交流入力の一端と前記第1および第2のコンデンサの接続点とを接続し、該接続点と前記第1および第2のスイッチング素子の接続点との間に配されて、該第1および第2のスイッチング素子が交互にオンオフ動作することにより交流電力を供給される負荷回路とから構成される中性点形インバータ装置において、前記負荷回路が、前記2つの接続点の間に接続されたインダクタと、該インダクタに発生する電圧により交流電力を供給される負荷とからなるものであることを特徴とする中性点形インバータ装置。

請求項2

前記インダクタがトランス1次巻線からなり、該トランスの2次巻線間に前記負荷を接続したことを特徴とする請求項1記載の中性点形インバータ装置。

請求項3

前記インダクタが第2のインダクタとトランスの1次巻線との直列回路からなり、該トランスの2次巻線間に前記負荷を接続したことを特徴とする請求項1記載の中性点形インバータ装置。

請求項4

前記インダクタがオートトランス両端間巻線からなり、該オートトランスのいずれか一方の片端と該オートトランスの所定の取り出し巻線との間に前記負荷を接続したことを特徴とする請求項1記載の中性点形インバータ装置。

請求項5

前記トランスの2次巻線の一端と前記負荷との間に負荷電流交流ゼロの交差点を検出するゼロクロス検出回路を接続し、前記ゼロクロス検出回路と前記負荷の接続点を前記整流器の出力の一端と接続し、前記駆動回路が、前記ゼロクロス検出回路の出力に基づいて前記第1および第2のスイッチング素子を駆動することを特徴とする請求項2または3記載の中性点形インバータ装置。

請求項6

前記負荷と前記トランスとの間に1次巻線が接続された第2のトランスを備え、前記駆動回路が、前記第2のトランスの2次巻線に発生する電圧を検出し、該電圧が所定の範囲外のときに前記第1および第2のスイッチング素子の動作を停止するものであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の中性点形インバータ装置。

請求項7

前記負荷と前記トランスとの間に1次巻線が接続された第2のトランスを備え、前記駆動回路が、前記第2のトランスの2次巻線に流れる電流を検出し、該電流が所定の範囲外のときに前記第1および第2のスイッチング素子の動作を停止するものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の中性点形インバータ装置。

請求項8

前記第1および第2のスイッチング素子のいずれか一方と並列に接続され、前記第1および第2のスイッチング素子の接続点に発生する異常電圧を吸収するスナバ回路を備え、該スナバ回路に発生する電圧を検出し、該電圧が所定の範囲外のときに前記駆動回路が前記第1および第2のスイッチング素子の動作を停止するものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の中性点形インバータ装置。

請求項9

前記交流電圧が前記装置に投入された後所定時間経過するまでの間のみ、前記整流回路が整流した直流電圧を前記駆動回路に供給する起動回路と、前記第1および第2のスイッチング素子のオン・オフ動作により前記負荷回路に発生する高周波電圧を整流して得た直流電圧を前記駆動回路に供給する直流電圧発生回路と、前記直流電圧発生回路により得られた前記直流電圧が所定の電圧範囲外のときに、前記第1および第2のスイッチング素子の前記オン・オフ動作を停止させる駆動停止回路とを有することを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の中性点形インバータ装置。

請求項10

前記負荷が蛍光灯であり、前記トランスが所定の巻線位置タップを有するものであり、前記蛍光灯のフィラメントの一端が前記タップと接続され、該フィラメントの予熱を行うことを可能としたものであることを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の中性点形インバータ装置。

技術分野

0001

本発明は、交流電圧整流し平滑して一旦直流電圧に変換した後、さらに高周波電圧に変換して高周波電力負荷に供給するインバータ装置に関し、より詳細には、中性点形インバータ装置もしくは照明機器に好適な中性点形インバータ式安定器に関するものである。

背景技術

0002

最近の小型化された家電製品OA機器においては高性能化・高効率化のため高周波インバータ装置が搭載されている。

0003

また、家庭用蛍光灯器具施設用蛍光灯器具においては、蛍光灯点灯させる回路方式として、従来はチョーク限流型・漏洩変圧器型等の銅鉄型安定器と称されるものが使用されてきたが、形状・重量および効率の面で限界があることから、今日の蛍光灯器具には高周波点灯式安定器(インバータ式安定器)といわれるランプ制御装置が使用されるようになり、HIDランプ水銀灯メタルハライドランプ等)器具電球型蛍光ランプ等にも使用されている。

0004

このインバータ式安定器は、効率がよく省電力化が図れること、ランプチラツキや安定器の騒音を少なくできること、軽量化が図れること等の利点があることから、上記各種蛍光灯器具インバータ化が急激に進んでいる。

0005

しかしながら、上記高周波インバータ装置やインバータ式安定器(以下、これらを「インバータ装置」という。)は、一般に整流器ダイオード)を用い電解コンデンサで平滑して使用する全波整流コンデンサ平滑回路方式が多く用いられており、ダイオードの非線形性に起因する歪波電流商用電源に流れる。

0006

そのため商用電源側の入力電流高調波成分高調波電流)が流れる。この高調波電流がおよぼす障害高調波障害)の問題が顕著になってきている。

0007

このため、高調波電流を抑制するための回路技術の検討がなされ、例えば、交流リアクトル挿入方式・部分平滑方式・アクティブ平滑フィルタ方式(インバータ蛍光灯電子技術,Vol.32,No3,pp.113-119参照)・ディザー整流方式(ディザー効果を用いた高力率スイッチングレギュレータ電気学会全国大会講演論文集,No.546,pp.5-137参照)等が提案されている。

0008

さらに、蛍光灯用電子安定器として、ディザー整流方式と同様に蛍光灯点灯用インバータのみで商用電源側の入力電流の高調波成分の低減が図れる中性点形電子安定器回路の提案もなされている(簡易高調波低減回路の一方法;著者:加義人氏,電気設備学会誌,Vol.12,No.10,pp.902-904参照)。 また、この中性点形電子安定器回路(中性点形インバータ式安定器)の理論解析についての考察もなされている(中性点形インバータによる入力電流低歪み形電子安定器の開発;著者:加藤義人氏,照明学会誌,Vol79,No.2,pp.14-20参照)。

0009

この中性点形インバータ式安定器は、(1)商用電源側にローパスフィルタLPFを挿入することで、アクティブ平滑フィルタ方式と同様に入力電流に含まれる高調波成分の低減が蛍光灯点灯用のインバータのみで可能であること、(2)ディザー整流方式のように新たな回路とする必要がなく、既存のハーフブリッジ形安定器の改良に適用できること、(3) 入力電流の高調波成分はIEC規格(IEC1000-3-2)以下にできること、(4)入力力率は97%以上の高力率が得られること、(5)回路構成が簡単で、かつ、ランプ発光光率の低下が少ないこと、等の多くの利点を有することから、インバータ機器の高調波障害を防止する好適な回路として使用されつつある。

0010

図18は中性点形インバータ式装置の基本回路図である。この回路は、商用電源ViをローパスフィルタLPFを介して直流電圧Edに整流する全波整流器DB(構成ダイオードは回路図において単に1〜4と記載し、明細書中はDB1〜DB4という。)と、全波整流器DBの出力を平滑する平滑コンデンサCsと、平滑コンデンサCsと並列接続され直流電圧Edを分圧する分圧コンデンサC1およびC2の直列回路と、平滑コンデンサCsと並列接続されたスイッチング素子Q1およびQ2の直列回路と、分圧コンデンサC1,C2 の接続点(以下、「中性点」という。)とスイッチング素子Q1,Q2 の接続点(以下、「SW点」という。)との間に接続された負荷RLとからなる。中性点は商用電源Viの一端と接続されている。

0011

この回路の動作は、全波整流器DBの出力に含まれるリップル電圧を平滑コンデンサCsを用いて直流電圧Edに変換した後、スイッチング素子Q1,Q2 をオンオフ動作させ中性点を基準に閉回路を構成し、平滑コンデンサCsから分圧コンデンサC1またはC2を充電する。この充電電流が負荷RLに流れる負荷電流となり、負荷電流が流れていない区間に逆方向の電流を確保する。スイッチング素子Q1,Q2 を高周波で交互にオン・オフ動作(インバータ動作)させると、負荷RLには商用周波数に高周波が重畳された電圧VLが印加される。ダイオードDB1〜DB4の電流は負荷に比例した休止期間のある高周波の三角波状となるためローパスフィルタLPFを通すことにより擬似正弦波状電流波形を得る。これにより、中性点形インバータは商用電源側の入力電流の高調波成分の低減を可能ならしめている。

0012

図19は中性点形インバータ装置の負荷として蛍光灯LTを用いた場合の回路図であり、中性点形インバータ式安定器といわれるものである。基本回路(図18)だけでは得られる負荷電圧VLはスイッチング素子Q1,Q2 と分圧コンデンサC1,C2 からの充放電(特に充電)波形のため、蛍光灯LTの点灯には不向きである。この過渡的な部分を除去し、ランプ電流正弦波となるように基本回路の負荷端子(中性点とSW点の間)にインダクタL1と蛍光灯LTからなる直列回路を接続し、共振コンデンサC4を蛍光灯LTと並列接続して蛍光灯LTと共振させる回路構成(負荷回路)としたものが図19に示す回路(以下、「実働回路」という。)である。以下、この実働回路の動作について説明する。平滑コンデンサCsは分圧用コンデンサC1,C2 より十分大きい値であるとした場合(Cs >> C1,C2) 、平滑コンデンサCsには入力電圧(Vi=Vm・sin(wt)) の最大値Vmの電圧が得られる(Vm=Ed)。これは、整流器DBと分圧コンデンサC1,C2 により一見倍電圧回路が構成されるようになるが、CsがC1,C2 より十分大きければC1,C2 による影響を無視でき、倍電圧回路が構成されないからである。

0013

したがって、インバータ動作を行う定常状態においては、分圧コンデンサC1,C2の端子電圧をそれぞれVC1、VC2とすると、平滑コンデンサCsの電圧Edは、以下のように表される。

0014

Ed=VC1+VC2
一方、この実働回路ではスイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作により、分圧コンデンサC1,C2 および平滑コンデンサCsに充放電電流が流れる。また、平滑コンデンサCsには、入力電圧ViがEd<|Vi|のときに商用電源からの充電電流が重畳され、入力電流Iiはいわゆるコンデンサインプット形の電流波形に近くなるため、波形的にとがった形状となるものと考えられる。

0015

これにより、分圧コンデンサC1,C2 の電圧VC1、VC2の波形は、それぞれ図20、図21に示されるような波形となる。また、負荷回路Rに発生する電圧VRは分圧コンデンサC1,C2の電圧波形である図20と図21を交流ゼロを境に重ね合わせて示した図22に示されるような合成波形となる。但し、図22は簡略化して示したものであり、実際の電圧VRはVC1の最大からVC2の最小までの高周波電圧が負荷回路Rに印加されたものとなる。

0016

次に、入力電流Iiについて考察する。上述の説明で明らかなように、入力電圧ViがEd<|Vi|の期間においては、平滑コンデンサCsを充電する充電電流が平滑コンデンサCsに流れる。この充電電流は、0<|Vi|<Edの期間におけるスイッチング素子Q1,Q2 の状態により分圧コンデンサC1,C2 に流れる電流とは異なり大きな値となる。

0017

これより入力電流Iiの波形を図に示すと、スイッチング素子Q1,Q2 により断続された断続電流となり、かつ、入力電圧Viがゼロクロスするところで不連続となる図23に示されるようなピークを有した電流波形となる。したがって、商用周波数を通過させるローパスフィルタLPFを入力に挿入することにより、およそ正弦波に近い電流波形となり高調波電流が商用電源に流れることを防止できるが、若干の波形歪みピーク電流により生じる。このため、このピーク電流が少なくなるように最適な平滑コンデンサCsを選定する必要がある。

0018

上記説明は平滑コンデンサCsの電圧Edが完全な直流とした場合についてのものである。しかしながら、実際には、平滑コンデンサCsの電圧Edはリップル電圧Vppを有するため、分圧コンデンサC1,C2 の電圧波形および入力電流Iiの電流波形は、図24に示されるような波形となる。したがって、負荷回路Rに発生する電圧VRは図25に示されるような最大ピークVmaxと最小ピークVminとを有する不均一な電圧波形となる。なお、図24においては、電圧VC1、VC2は交流ゼロを境に重ね合わせて示している。

0019

なお、上述のように中性点形インバータにおいては、入力電流Iiが断続電流となるDCM(不連続モード)動作を行うことにより、中性点形インバータとは異なるCM(リアクトル電流モード)やCRM(境界モード)の動作を行う他の方式(例えば、アクティブフィルタ回路等)において軽負荷時電圧上昇を防止するために必要とされる専用の制御回路を別に必要としないため、中性点形インバータは回路が簡易となる利点を有している。

0020

例えば、CM動作を行う方式のものではインダクタを流れる電流がゼロとならない所を検出し制御するための検出・制御回路を必要とし、CRM動作を行う方式のものではインダクタの電流がゼロとなる所を検出し、また、出力電圧を検出してフィードバック制御を行うための検出・制御回路を必要とする。一方、中性点形インバータにおいてはこれら専用回路を要せず、軽負荷時においても電圧上昇をさほど生じることがない。軽負荷時の電圧上昇は、使用部品(特に平滑コンデンサCs用の電解コンデンサ、FET等のスイッチング素子)の耐圧を左右するため、特に、負荷に蛍光灯を使用した場合、蛍光灯の点灯開始時には毎回この状態を経過することとなるから、入力電流Iiがどのようなモードになるかは重要である。

発明が解決しようとする課題

0021

ところで、蛍光灯の点灯を安定に持続させるためには、蛍光灯特性のバラツキ周囲温湿度の変化、電源電圧変動等の外部要因変化下においても蛍光灯が点灯できる安定器2次電圧を設計する。一方、高い2次電圧は配線上の工事コストのデメリット独立型安定器において300V以下の特定場所の配線はコード配線が可能)、安定器の大型化、また、安全性、蛍光灯のコールドスタート対策等の問題が発生し、さらにはスリムラインランプのような複数種の蛍光灯を共用する安定器の場合は特に確実に点灯できる低電圧の高周波2次電圧設計が要求される。一般の蛍光灯自身も細管径、長い管長蛍光灯が最近多くなり、このことは高い蛍光灯電圧の方向である。例えば、スリムラインランプでは多種中の中間サイズランプ(約1m)でも蛍光灯電圧は約150Vとなり、普通の状態では実効値200Vの入力電圧を必要とする。また、最近は、ビデオ半導体高速センサーの普及により、明滅の少ない光源要求が強く、これらのことより蛍光灯に供給される電圧の最大ピークVmaxと最小ピークVminとの差が大きいことはマイナスであり、効率を考慮するとより均一な高周波電圧で蛍光灯を点灯することが望ましい。

0022

入力電圧Viが100V系ではなく200V系を必要とすることは、通常の商用電源(100V)をそのまま使用することができないことを意味するから、トランス等により昇圧する必要が生じ取り扱いが困難となり、また安全性の面でも問題を生じる。

0023

また、上記中性点形インバータ装置においては、ローパスフィルタLPFを入力に挿入して、およそ正弦波に近い電流波形として高調波電流が商用電源に流れることを防止できるが、上記のようにピーク電流により生じる波形歪みを防止するためには、平滑コンデンサCsの容量の許容範囲が狭く、選定に自由度がないという問題がある。

0024

本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、中性点形インバータ装置が有する特徴を保持しつつ、より高出力で、かつ、均一な、すなわち安定した出力電圧を得、もって入力電圧の低減を可能ならしめる中性点形インバータ式安定器もしくは中性点形インバータ機器を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0025

本発明にかかる中性点形インバータ装置は、交流電流基本周波数を通過させ、高調波信号遮断する低域通過フィルタと、前記低域通過フィルタを通過した交流電圧を整流する整流器と、この整流器の出力に並列に接続された第1および第2のコンデンサの直列回路と、この整流器の出力を平滑する第3のコンデンサと、前記整流器の出力に並列に接続された第1および第2のスイッチング素子の直列回路と、この第1および第2のスイッチング素子にそれぞれ直流的に逆方向に並列接続(このような接続を「逆並列接続」という。)された第1および第2のダイオードと、前記第1および第2のスイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記整流器の交流入力の一端と前記第1および第2のコンデンサの接続点(中性点)とを接続し、この中性点と前記第1および第2のスイッチング素子の接続点(SW点)との間に配されて、前記第1および第2のスイッチング素子が交互にオン・オフ動作することにより交流電力を供給される負荷回路とから構成される中性点形インバータ装置であって、前記負荷回路が、前記2つの接続点の間に接続されたインダクタと、このインダクタに発生する電圧により交流電力を供給される負荷とからなるものであることを特徴とするものである。

0026

また、本発明の上記第1の中性点形インバータ装置においては、前記インダクタがトランスの1次巻線からなり、このトランスの2次巻線間に前記負荷を接続した第1の構成としたもの、前記インダクタが第2のインダクタとトランスの1次巻線との直列回路からなり、このトランスの2次巻線間に前記負荷を接続した第2の構成としたもの、前記インダクタがオートトランス両端間巻線からなり、このオートトランスのいずれか一方の片端とこのオートトランスの所定の取り出し巻線との間に前記負荷を接続した第3の構成としたもの、の何れかの構成とすることが望ましい。

0027

また、本発明の上記第1および第2の構成にかかる中性点形インバータ装置においては、前記第1および第2のスイッチング素子の前記インダクタへの電力供給能力の低下を防止するために、前記トランスの2次巻線の一端と前記負荷との間に負荷電流の交流ゼロの交差点を検出するゼロクロス検出回路を接続し、前記ゼロクロス検出回路と前記負荷の接続点を前記整流器の出力の一端と接続し、前記駆動回路が、前記ゼロクロス検出回路の出力に基づいて前記第1および第2のスイッチング素子を駆動するように構成することが望ましい。

0028

また、本発明の上記中性点形インバータ装置においては、前記負荷回路が異常状態のときに当該装置の構成素子破壊されるのを防止するために、前記負荷と前記トランスとの間に1次巻線が接続された第2のトランスを備え、前記駆動回路が、前記第2のトランスの2次巻線に発生する電圧を検出し、この電圧が所定の範囲外のときに前記第1および第2のスイッチング素子の動作を停止するように構成したもの、あるいは、前記負荷と前記トランスとの間に1次巻線が接続された第2のトランスを備え、 前記駆動回路が、前記第2のトランスの2次巻線に流れる電流を検出し、該電流が所定の範囲外のときに前記第1および第2のスイッチング素子の動作を停止するように構成したもの、あるいは、前記第1および第2のスイッチング素子のいずれか一方と並列に接続され、前記第1および第2のスイッチング素子の接続点に発生する異常電圧を吸収するスナバ回路を備え、このスナバ回路に発生する電圧を検出し、この電圧が所定の範囲外のときに前記駆動回路が前記第1および第2のスイッチング素子の動作を停止するように構成したもの、の何れかの構成を備えることが望ましい。

0029

また、本発明の上記中性点形インバータ装置においては、前記負荷回路が異常状態のときに当該装置の構成素子が破壊されるのを防止するとともに、消費電力の低減を図るために、前記交流電圧が前記装置に投入された後所定時間経過するまでの間のみ、前記整流回路が整流した直流電圧を前記駆動回路に供給する起動回路と、前記第1および第2のスイッチング素子のオン・オフ動作により前記負荷回路に発生する高周波電圧を整流して得た直流電圧を前記駆動回路に供給する直流電圧発生回路と、前記直流電圧発生回路により得られた前記直流電圧が所定の電圧範囲外のときに、前記第1および第2のスイッチング素子の前記オン・オフ動作を停止させる駆動停止回路とを有する構成とすることが望ましい。

0030

また、本発明の上記中性点形インバータ装置は、前記負荷として蛍光灯を用いた場合には、前記トランス(オートトランスを含む)が所定の巻線位置タップを有するものであり、前記蛍光灯のフィラメントの一端を前記タップと接続して、このフィラメントの予熱を行うことが可能なように構成することが望ましい。

発明の効果

0031

本発明にかかる中性点形インバータ装置によれば、従来の中性点形インバータ装置が中性点とSW点の間にインダクタと負荷回路を接続する構成としていたのに対して、中性点とSW点の間にインダクタを接続しこのインダクタに高周波電力を供給するように構成したので、インダクタの逆起電圧による昇圧インバータとして動作させることが可能となる。そして、この昇圧インバータとしての動作によりインダクタの両端には従来方式の中性点形インバータ装置に対しておよそ2倍の高周波電圧を得ることが可能となる。また、得られる高周波電圧は最大ピークVmaxと最小ピークVminとの差が小さい電圧となり、従来の中性点形インバータ装置より高圧で安定した高周波電圧が得られるようになる。このため、高電圧の高周波電圧の印加を必要とする負荷回路(例えば、ランプ電圧の高い蛍光灯を点灯させるような場合)において、従来方式の中性点形インバータ装置が入力電圧として商用電圧(100V)より大きな電圧を必要とするためトランス等により昇圧していたのに対して、商用電圧そのままを用いて高電圧の高周波電圧を負荷回路に印加することが可能となる。これにより、入力電源の取り扱いが容易となると共に、中性点形インバータ装置自体の小型化を図ることもできる。

0032

また、本発明にかかる中性点形インバータ装置によれば、高調波電流は中性点形インバータ装置の特性をそのまま有しているから、入力電流の高調波障害を防止するためにも十分に適用が可能である。

0033

さらに、従来方式の中性点形インバータ装置において、ピーク電流を防止して最適な高調波電流波形とする平滑コンデンサの定数許容幅が狭いのに対して、本発明にかかる中性点形インバータ装置においてはピーク電流が流れるということがなく、平滑コンデンサの定数設定の許容幅が広いので、リップル電圧等を案してより小さなコンデンサを使用し、当該装置の小型化を図ることも可能である。

0034

また、本発明にかかる中性点形インバータ装置においては、2次巻線を有するトランスを用いることができ、負荷回路の必要とする高周波電圧に応じて巻線比を設定することにより、1次回路に変更を加えることなく容易に所望の高周波電圧を得ることができる。さらに、2次巻線を1次側絶縁することができるから、安全性にも優れた構成とすることができる。

0035

さらに、負荷回路がさほど高電圧を必要としない場合には、トランスにインダクタを直列に接続することにより、トランスの発熱を防止することができる。

0036

また、この場合には、オートトランスを使用して負荷回路に供給される高周波電圧を小さくすることもできる。さらに、同じ出力電圧を得ようとした場合には前述の2次巻線を有するトランスよりも小型のものが使用できるから、中性点形インバータ装置をより小型のものにすることが可能となる。

0037

また、上記2次巻線を有するトランスを用いた中性点形インバータ装置において、負荷電流の交流ゼロの交差点を検出するように構成することで、負荷変動によるインダクタへの電力供給能力の低下を防止することが可能となるから、インダクタに理想的な高周波電圧を発生させることができ、効率のよい中性点形インバータ装置を構成することが可能となる。

0038

また、本発明の上記中性点形インバータ装置において、負荷回路の電流や電圧の異常状態を検出するように所定の検出回路を備えた構成とすることにより、負荷回路が異常状態のときに当該装置の構成素子が破壊されるのを防止することができる。

0039

さらに、電源投入時のみ装置を作動させる起動回路と負荷に発生する高周波電圧を整流して得られる直流電圧により該装置を作動させる直流電圧発生回路と、駆動停止回路とを備えた構成とすれば、定常時のみ直流電圧発生回路からの供給電圧で該装置を作動させ異常時には自動的に該装置を停止させることができ、また、駆動回路への電源供給ドロップ抵抗を介して行う必要がなくなるので定常時の消費電力の低減を図ることができる。

0040

さらに、負荷として蛍光灯を使用した場合には、トランス(オートトランスを含む)の所定の巻線位置にタップを設け、このタップと蛍光灯のフィラメントを接続することにより、容易にフィラメントの予熱を行うことができるから、ランプ点灯前電力フィラメント予熱電力として供給することができ、急速にフィラメントを予熱し、ランプ点灯後ランプ電力の使用により自動的に目的の予熱電力とすることができる。もって中性点形インバータ式安定器の2次電圧の低電圧設計が可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0041

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態である中性点形インバータ装置の回路図であり、蛍光灯LTを点灯させるインバータ式安定器を構成している。

0042

商用電源が、インダクタLfとコンデンサCfとから構成されるローパスフィルタLPFを介して全波整流器DBの交流入力端子と接続されている。全波整流器DBの直流出力端子には小容量の2個のコンデンサC1,C2 の直列回路、および駆動回路DRにより交互にオン・オフされる第1および第2のスイッチング素子(トランジスタ)Q1,Q2 の直列回路が、整流器DBの出力を平滑する平滑コンデンサCsと並列接続されている。スイッチング素子Q1,Q2 のそれぞれには、第1および第2のダイオードD1,D2 が逆並列接続されている。また、整流器DBの交流入力の一端はコンデンサC1,C2 の接続点(中性点)と接続されている。

0043

負荷回路はインダクタLoと蛍光灯LTとから構成されている。インダクタLoが中性点とスイッチング素子Q1,Q2 の接続点(SW点)との間に接続されている。インダクタLoには蛍光灯LTとチョークコイルとして機能するインダクタLaの直列回路が並列接続され、さらに蛍光灯LTには共振コンデンサC4が必要に応じて並列接続することができるように構成されている。共振コンデンサC4を接続したときは、インダクタLoと共振コンデンサC4が並列共振回路を構成し、共振コンデンサC4の両端に発生する共振電圧が蛍光灯LTに印加される。また、負荷として蛍光灯LT以外のものを使用する場合には、インダクタLaを接続するまでもなく、負荷をインダクタLoと直接に並列接続することも可能である。

0044

以下、上記構成の回路の動作について説明する。従来の中性点形インバータ装置同様に、スイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作により、分圧コンデンサC1,C2 および平滑コンデンサCsに充放電電流が流れる。

0045

また、一方のスイッチング素子がオンで他方のスイッチング素子がオフのとき、インダクタLoに電流が流れエネルギが蓄えられる。

0046

次に両方のスイッチング素子Q1,Q2 がオフすると、スイッチング素子Q1,Q2 に逆並列接続されたダイオードD1,D2 を介して、それまでにインダクタLoに蓄積されたエネルギが平滑コンデンサCsに充電され、平滑コンデンサCsが約2Vmに昇圧される。

0047

これにより、分圧コンデンサC1,C2 の電圧波形は、それぞれ図2図3に示されるような波形となる(但し、インダクタLo、分圧コンデンサC1、C2等の値により変わる)。

0048

上記説明は平滑コンデンサCsの電圧Edが完全な直流とした場合についてのものである。しかしながら、実際には、平滑コンデンサCsの電圧Edはリップル電圧を有する(この様子を入力電圧Viと対応させて図4に示す。)。このため、整流器DBを構成する各ダイオードが全てオンではなく、入力電圧Viの0Vのそれぞれ1/4 T近傍の区間だけダイオードDB3,DB4 がオンしてダイオードに電流(Id3,Id4)が流れ、残りはオフとなりダイオードに電流が流れない区間が存在する。

0049

また、図4から明らかなように、リップル電圧の大小によって整流器DBを構成するダイオードDB3,DB4 のオン区間は殆ど変化を生じない。すなわち、平滑コンデンサCsの容量に拘わらずリップル電圧のAC成分は同じ時間にクロスする。このとき、リップル電圧の周波数は入力Viの2倍の周波数になる。

0050

なお、このようにDB3,DB4 がオンになる区間があることが中性点形インバータ装置の特徴であり、単なる倍電圧整流回路と異なるところである。DB3,DB4 がオンの場合は、上記説明と同様であるが、DB3,DB4 がオフの場合はこれを取り除いた構成と等価となり、この場合は一見倍電圧整流回路が構成される。

0051

このとき、分圧コンデンサC1、C2の電圧降下のため、分圧コンデンサC1、C2の容量によって平滑コンデンサCsの電圧Edが上下することとなる。このため、分圧コンデンサC1,C2 の電圧波形は、図5に示されるような波形となる。なお、電圧VC1、VC2は交流ゼロを境に重ね合わせて示している。

0052

なお、平滑コンデンサCsの容量値と分圧コンデンサC1、C2の容量値の比は1:1/10000程度が望ましい。例えば、平滑コンデンサCsの容量値が7〜10〜100μFのとき分圧コンデンサC1、C2の容量値は0.004〜0.01μF 程度である。これは以下の理由と考えられる。仮に分圧コンデンサC1、C2の容量が大きくなると、入力電圧の交流ゼロの近傍で入力電流の休止期間が生じるようになり、低力率の電流波形(いわゆるコンデンサインプット形の電流波形)となる。一方、分圧コンデンサC1、C2の容量が小さいと平滑コンデンサCsには高電圧が得られるが不安定となる。この点をも考慮すれば、上述のような比が適当であるからである。

0053

このように、上記構成による中性点形インバータ装置によれば、入力電圧Viが実効値100V(Vmが約140V)の場合においても、インダクタLoの両端にはおよそ270〜300V 程度の出力電圧が得られる。すなわち、上記説明のように、インダクタLoに高周波の交流電流が交互に流れることにより、インダクタLoに高周波電圧が発生する。蛍光灯LTと並列に接続された共振コンデンサC4によりこの電圧が共振して、蛍光灯のフィラメントの予熱と共にこの共振電圧(高電圧)により蛍光灯LTを点灯する。蛍光灯LTが点灯した後は、インダクタLaによるチョークコイルとしての機能により、蛍光灯電流一定電流コントロールし安定に点灯する。なお、蛍光灯の種類によっては冷陰極状態で点灯を開始させることもできるから、この場合には共振コンデンサC4を使用しなくてもよい。

0054

また、商用電源の高調波電流については、従来の中性点形インバータ装置と変わるところはなく、入力にローパスフィルタLPFを挿入することにより低減させることができ、商用電源の高調波問題に対しても十分対応できる。むしろ、ピーク電流が流れることがないから良好になる。また、このピーク電流が流れないということから、平滑コンデンサCsの選定に自由度があり、リップル電圧等をも加味して種々の定数を選択することができるようになる。

0055

なお、本発明にかかる中性点形インバータ装置においては完全平滑方式をとっていないため、小容量の平滑コンデンサCsで所望の特性を得ることができるが、大容量のコンデンサにするとリップル電圧が減少するのはいうまでもない。前述のような他の方式においては平滑コンデンサCsとして通常数100μFを必要とするのに対して、本発明にかかる中性点形インバータ装置においては7〜10μFの平滑コンデンサCsで所望の特性を得ることができるので、平滑コンデンサCsとして小型のものが使用でき装置の小型化に好適である。

0056

なお、上記構成の中性点形インバータ装置においては、スイッチング素子としてトランジスタを用いているが、オン・オフを切り換えることのできる手段であれば、これに限るものではなく、例えば図7に示すようにFETを用いたり、その他IGBT等であってもよい。これらの素子を用いると、これら素子に内在するダイオードを用いることができるから、スイッチング素子Q1,Q2 と逆並列接続されたダイオードD1,D2 を省略することができ、回路がさらに簡易なものとなる。

0057

次に図8を参照して本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図8において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0058

この第2の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置は、中性点とSW点の間にトランスT1の1次巻線を接続し、トランスT1の2次巻線間に蛍光灯LTを並列接続し、さらに蛍光灯LTと共振コンデンサC4を並列接続したものである。トランスT1の2次巻線と共振コンデンサC4が並列共振回路を構成しており、共振コンデンサC4の両端に発生する共振電圧が蛍光灯LTに印加され安定に点灯する。

0059

トランスT1の1次巻線をインダクタLeで置き換えることにより、中性点とSW点の間にはインダクタLeが接続されたことと等価となるから、前述の第1の実施の形態にかかる回路と同様の動作をすることがわかる。この回路においては、トランスT1の2次巻線により蛍光灯LTに高周波電圧を供給するようにしたことにより、1次側の設計に左右されることなく蛍光灯の種類に応じて自由に所望の高周波電圧を得ることができる。すなわち、トランスT1の1次側に高周波の交流電流が交互に流れることにより、トランスT1の2次側に巻線比に応じた高周波電圧が発生する。蛍光灯と並列に接続された共振コンデンサC4により2次側電圧が共振して、蛍光灯のフィラメントの予熱と共にこの共振電圧(高電圧)により蛍光灯を点灯する。トランスT1はリーケージタイプの変圧器であり蛍光灯電流を一定電流にコントロールし安定に点灯する。さらに、トランスを介して蛍光灯に電力を供給するので、商用電源の1次側と絶縁され安全性の面でも優れた回路となっている。

0060

図9および図10は、上記第2の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の駆動回路DRにICを使用した具体的な構成を示す回路図である。なお、ICは従来のインバータ装置に使用されている変形ハーフブリッジ回路用のICである。

0061

最初に図9の構成について説明する。ICとして”International Rectifier Fareast Co,Ltd”のIR2151またはIR2155を使用している。このICの電源端子VCには抵抗R3を介して直流電圧Edが供給され、さらにデカップリングコンデンサC8が接続されている。電源端子VCと副電源端子VBの間にはダイオードD5が接続され、副電源端子VBとコモン出力VSとの間にはコンデンサC6が接続されている。駆動周波数設定用の抵抗R4とコンデンサC7がそれぞれRT端子とCT端子間、CT端子と接地端子G間に接続されている。駆動出力HO,LO は抵抗R1,R2 を介してスイッチング素子(FET)Q1,Q2 に接続されている。コモン出力VSはスイッチング素子(FET)Q1,Q2 の接続点(SW点)に接続されている。

0062

上記構成の中性点形インバータ装置おいては、スイッチング素子Q1,Q2 の駆動タイミングはICに接続された抵抗R4とコンデンサC7で決められる発振周波数に基づいて制御される。

0063

次に図10の構成について説明する。この図10においては、ICとして”International Rectifier Fareast Co,Ltd”のIR51H420を使用している。このICはスイッチング素子までIC内部に含んでいるものである。直流電圧Edが電源端子VAに供給され、さらに抵抗R1を介して電源端子VCに接続され、電源端子VCにはデカップリングコンデンサC8が接続されている。電源端子VCと副電源端子VBの間にはダイオードD5が接続され、副電源端子VBとコモン出力VSとの間にはコンデンサC6が接続されている。駆動周波数設定用の抵抗R2とコンデンサC7がそれぞれRT端子とCT端子間、CT端子と接地端子G間に接続されている。コモン出力VSはトランスT1の1次巻線に接続されている。

0064

上記構成の中性点形インバータ装置おいては、トランスT1に流れる電流の駆動タイミングはICに接続された抵抗R2とコンデンサC7で決められる発振周波数に基づいて制御されている。

0065

このように本発明による中性点形インバータ装置においては、駆動回路DRを従来のインバータ装置用に提供されているIC(例えば、上述のように変形ハーフブリッジ回路用のIC等)を用いて構成することも可能であり、より回路の簡易化が可能となる。

0066

次に図11を参照して本発明の第3の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図11において、図7中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0067

この第3の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置は、中性点とSW点の間にインダクタL1とトランスT1の1次巻線とからなる直列回路を接続したものである。トランスT1の1次巻線をインダクタLeで置き換えることにより、両接続端子間にはインダクタ(Le+L1) が接続されたことと等価であるから、前述の第2の実施の形態にかかる回路と同様の動作をすることがわかる。この回路においては、インダクタL1を追加したことにより、トランスT1の1次巻線間に発生する電圧がインダクタL1の電圧分だけ低下する。したがって、トランスT1の巻線比を変更することなく、トランスT1の2次側に接続される負荷に合わせて、所定の電圧に降圧することができ、トランスT1の発熱をも防止することができる。

0068

次に図12を参照して本発明の第4の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図12において、図7中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0069

この第4の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置は、トランスT1をオートトランスT3に変更し、このオートトランスT3の一端とタップ出力との間に蛍光灯LTを接続したものである。回路動作としては、オートトランスT3の等価インダクタを図示のようにLe1 およびLe2 とすると、上述の第3の実施の形態と同様に、中性点とSW点の間に等価インダクタ(Le1+Le2)が接続されたことと等価である。蛍光灯LTと並列に接続された共振コンデンサC4によりインダクタLe1 に発生する高周波電圧が共振して、蛍光灯LTのフィラメントの予熱と共にこの共振電圧(高電圧)により蛍光灯LTを点灯する。

0070

次に図13を参照して本発明の第5の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図13において、図9中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0071

図13に示す第5の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置は、第2の実施の形態にかかる駆動回路DRをIC化(IR2151またはIR2155)した中性点形インバータ装置(図9)において、蛍光灯電流(交流電流)の交流ゼロの交差点を検出するゼロクロス検出回路を備え、このゼロクロス検出回路の出力に基づいて駆動回路DRの発振を制御するものである。トランスT1の2次側は、ゼロクロス検出回路として機能する互いに逆方向に接続された2つのダイオードD5,D6 と蛍光灯LTからなる直列回路に接続され、ゼロクロス検出回路と蛍光灯LTの接続点が整流器DBの直流出力の一端と接続されている。ゼロクロス検出回路の他端は駆動回路DRの発振用のコンデンサC7と接続されている。蛍光灯LTには共振コンデンサC4が並列に接続されている。

0072

蛍光灯LTが点灯を開始する時と点灯継続時とでは、トランスT1の2次巻線、蛍光灯LTおよび共振コンデンサC4とからなる共振回路共振周波数が変動するが、ゼロクロス検出回路が蛍光灯電流の交流ゼロの交差点を検出することにより、最適な状態で蛍光灯LTに高周波電圧が印加されるようにICの発振周波数が制御される。

0073

次に図14を参照して本発明の第6の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図14において、図9中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0074

この第6の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置は、第2の実施の形態にかかる駆動回路DRをIC化(IR2151またはIR2155)した中性点形インバータ装置(図9)において、駆動回路DRが異常検出回路EM1 とサイリスタSCRを備えたものであり、負荷回路に異常があるときは駆動回路DRの動作を停止させてスイッチング素子・負荷回路等の各素子の劣化を防止するものである。

0075

ICの電源端子VCと接地端子G の間にはサイリスタSCRが順方向(アノードがICの電源端子VCと接続)に接続されている。また、トランスT1の2次側には1次巻線が負荷(蛍光灯LT)と直列に接続された第2のトランスT2を備え、このトランスT2の2次側の一端はICの接地端子と接続されている。一方、トランスT2の2次側の他端は異常検出回路EM1 に接続されている。

0076

異常検出回路EM1 は、トランスT2の2次側に発生する電圧やトランスT2の2次側に流れる電流を検出する(いずれか一方でもよいし、両方でもよい。)ことにより負荷回路に異常がないか否かを検出し、異常時にはサイリスタSCRをオンさせて駆動回路DRの動作を停止させるものである。より具体的には、例えば蛍光灯LTに異常電圧が発生していないか、異常電流が流れていないか、さらには、フィラメントが切れていないか、不適合サイズの蛍光灯LTが接続されていないか等の異常状態を判定し、この異常検出回路EM1 が前述のような異常状態にあると判定したときは、サイリスタSCR をオンさせてICの電源端子VB,VCへの電圧供給を停止させる。これにより、異常状態のときはスイッチング素子Q1,Q2 のドライブが停止され、スイッチング素子・負荷回路等の各素子の劣化・破壊を防止する。

0077

また、サイリスタSCRを用いた場合は、異常状態と判定しICの電源端子VC,VBへの電圧供給を停止すると、その後異常状態から回復したときに駆動回路DRの動作を復帰させるためには、一旦電源(交流入力)をオフしなければならいが、例えば、トランジスタを用いれば、異常検出回路EM1 が異常状態から回復したことを認識し、ICの電源端子VB,VC への電圧供給を自動的に復帰させることもできる。

0078

次に図15を参照して本発明の第7の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図15において、図9中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0079

この第7の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置は、第2の実施の形態にかかる駆動回路をIC化(IR2151またはIR2155)した中性点形インバータ装置(図9)において、第6の実施の形態と同様に駆動回路DRが異常検出回路EM2 とサイリスタSCRを備えたものであり、負荷回路に異常があるときは駆動回路DRの動作を停止させてスイッチング素子・負荷回路等の各素子の劣化を防止するものである。第6の実施の形態においてはトランスT2により異常状態を検出したが、本例では抵抗R5とコンデンサC9とからなるスナバ回路SBに発生する電圧により異常状態を検出する点で異なる。

0080

ICの電源端子VCと接地端子Gの間にはサイリスタSCRが順方向に接続されている。また、抵抗R5とコンデンサC9よりなるスナバ回路SBがスイッチング素子Q2と並列接続され、この抵抗R5に発生する電圧が異常検出回路EM2 に供給される。スナバ回路SBは、コモン出力VSに発生する異常電圧を吸収することによりスイッチング素子Q1,Q2 が過電圧により破壊するのを防止するものである。

0081

異常検出回路EM2 は、コモン出力VSに発生する電圧が所定範囲内にあるか否かを判定し、所定範囲内になければサイリスタSCRをオンさせて駆動回路DRの動作を停止させるものである。より具体的には、例えばフィラメント切れや、不適合サイズの蛍光灯LTが接続されたとき等の異常状態のときにコモン出力VSに異常電圧が発生するが、スナバ回路SBの抵抗R5にもこの異常状態に応じた電圧が生じるので、異常検出回路EM2 はこの電圧を検出してサイリスタSCR をオンさせICの電源端子VB,VCへの電圧供給を停止させる。これにより、異常状態のときはスイッチング素子Q1,Q2 のドライブが停止され、スイッチング素子・負荷回路等の各素子の劣化・破壊を防止する。サイリスタSCR をトランジスタに変更可能なのは上述の第6の実施の形態と同様である。

0082

次に図16を参照して本発明の第8の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図16において、図9中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0083

この第8の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置は、IC(IR2151またはIR2155)を使用した第2の実施の形態にかかる回路構成を基本として、直流電圧発生回路10、起動回路20、周波数変更回路30をさらに追加したものである。なお、平滑コンデンサCsと並列接続された抵抗R6は、平滑コンデンサCsの蓄積電荷放電するための放電抵抗である。

0084

直流電圧発生回路10は、コンデンサC11、ダイオードD6,D7,D8とからなる。コンデンサC11は中性点と接続されており、該中性点に発生する高周波電圧が整流され、ダイオードD7のカソード端子に所定の直流電圧(通常はツェナーダイオードD8のツェナー電圧)VL(VL<Ed)が発生する。この直流電圧VLは駆動回路DRに供給されている。

0085

起動回路20は、コンデンサC9と抵抗R9とからなるタイマー回路並びに、抵抗R7、トランジスタQ3および抵抗R8とからなるスイッチ回路とからなり、抵抗R9にはツェナーダイオードD9が並列接続されている。トランジスタQ3のエッミタ端子には直流電圧発生回路10からの直流電圧VLが印加されている。交流電源Viから交流電圧が該装置に投入されると、平滑コンデンサCsに直流電圧Edが発生する。投入直後は、コンデンサC9の蓄積電荷がなくコンデンサC9の両端電圧はゼロであるから、トランジスタQ3のベース端子には抵抗R8を介して直流電圧Edが印加される。一方、投入直後は直流電圧発生回路10には電圧が発生し得ないから、トランジスタQ3のエッミタ端子は略0Vである。これにより、投入直後は、トランジスタQ3がオンし、直流電圧Edが抵抗R7を介して駆動回路DRに供給される。このため、投入直後は直流電圧Edにより駆動回路DRが作動するので、トランスT1の1次巻線に高周波電圧が発生する。なお、抵抗R7は投入直後に駆動回路DRを作動させ得るものであれば良く、十分大きな抵抗値にすることができる。

0086

所定時間経過すると、コンデンサC9に漸次電荷が蓄積され、トランジスタQ3のベース端子への印加電圧が低下する。この印加電圧が略直流電圧VL以下となると、トランジスタQ3がオフし、直流電圧Edの駆動回路DRへの供給が停止する。一方、該装置が正常であれば上述のように、直流電圧発生回路10により得られる直流電圧VLが駆動回路DRに供給されているので、トランジスタQ3がオフしても駆動回路DRは動作を継続し、スイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作によりトランスT1の1次巻線には高周波電圧が発生し続ける。このように、投入直後は起動回路20で該装置を起動させ、所定時間経過後は中性点(即ちトランスT1の1次巻線)に発生する高周波電圧を整流して得られる直流電圧VLを駆動回路DRに供給することが可能となる。このため、高電圧の直流電圧(例えば、本例におけるEd)からドロップ抵抗を介して駆動回路DRに直流電圧を供給する必要がなくなり、ひいてはドロップ抵抗の消費電力を生じることがないから、該装置の熱信頼性を向上させることができる。

0087

次に、蛍光灯LTが装着されていないとき、あるいは蛍光灯LTがリークしているとき等、該装置に異常がある場合について説明する。該装置に異常がある場合でも正常点灯させようと駆動回路DRが作動するため、SW点には正常のときよりもより大きな高周波電圧が生じ、中性点には正常のときよりもより小さな高周波電圧が生じる。したがって、該装置に異常がある場合、直流電圧発生回路10が整流して得られる直流電圧VLは、該装置が正常のときよりも下降する(この電圧を異常時電圧VFとする)。駆動回路DRを構成するIC内部には、電源端子VCの印加電圧が所定の電圧値以下のときにICの動作を停止、即ち直流電圧発生回路10が整流して得られる直流電圧VLが所定の電圧値以下のときスイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作を停止させる駆動停止回路40が備えられている。このため、異常時電圧VFがICの動作が停止する電圧値よりも小さくなれば、スイッチング素子Q1,Q2のオン・オフ動作が停止し、もって、SW点並びに中性点に高周波電圧が生じなくなる。これにより直流電圧発生回路10の直流電圧も略ゼロになる。

0088

一旦このようにスイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作が停止すれば、該装置は交流入力をオフし再起動させない限り、スイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作が復帰することはない。これにより、該装置に異常が生じた場合に、直流電圧VLが低下するのを監視することにより自動的に該装置を停止させることができるから、異常時にSW点に発生する正常のときよりもより大きな高周波電圧によりスイッチング素子Q1,Q2 やその他の素子が破壊せしめられるという危険性から回避することができ、上記熱信頼性の向上が図られるのみならず、異常時保護をも兼ね備えるという点で、該装置の信頼性が飛躍的に向上する。

0089

なお、上記説明においては、駆動停止回路40がIC内部に備えられたものについて説明しているが、駆動停止回路40は、直流電圧発生回路10が整流して得られる直流電圧VLが所定電圧範囲外のときにスイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作を停止させるものである限りその構成の手段が何たるかは問わず、IC外部に当該機能を達成する回路を構成してもよい。さらに、上記説明はコンデンサC11 を中性点に接続したものについて説明したが、必ずしも本例に限るものではなく、例えば、コンデンサC11 をSW点に接続したものであってもよい。この場合には、該装置に異常が生じると直流電圧VLが正常のときよりも上昇するから、駆動停止回路40は、直流電圧VLが所定電圧以上になったときにスイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作を停止せしめるようにすればよい。

0090

なお、上記説明は起動回路20の抵抗R7並びにコンデンサC9に直流電圧Edが供給されるものについて説明したが、必ずしもこれに限るものではなく、交流入力がオンしたときに所定の直流電圧が抵抗R7並びにコンデンサC9に供給され得るものである限りいかなる供給方法であってもよく、例えば、中性点より直流電圧を供給することも可能であり、このようにしても上記説明と同様の動作を行わせしめることが可能である。

0091

また、本発明の第8の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置には、抵抗R10,R11、トランジスタQ4、FETQ5およびコンデンサC11 とからなる周波数変更回路30が備えられている。

0092

交流電圧が投入された直後は、上述のようにコンデンサC9には蓄積電荷がないから、トランジスタQ4のベース端子には抵抗R3を介して直流電圧Edが印加されトランジスタQ4がオンする。このため、トランジスタQ4のコレクタ端子は略0Vとなり、該コレクタ端子に接続されたFETQ5がオフする。よって、交流電圧が投入された直後は、駆動回路DRは抵抗R4とコンデンサC7とで定まる発振周波数でスイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作を制御する。一方、交流電圧が投入された後所定時間経過すると、コンデンサC9に漸次電荷が蓄積され、やがてトランジスタQ4のベース端子への印加電圧が0Vになり、ランスタQ4がオフする。これにより、トランジスタQ4のコレクタ端子は略VLとなり、該コレクタ端子に接続されたFETQ5がオンする。よって、交流電圧が投入された後所定時間経過すると、駆動回路DRは抵抗R4とコンデンサC7とコンデンサC11 との並列容量とで定まる発振周波数でスイッチング素子Q1,Q2 のオン・オフ動作を制御する。

0093

したがって、投入直後は蛍光灯LTの点灯はできないが該蛍光灯LTのフィラメントの予熱をできるように、かつ、交流電圧が投入された後所定時間経過後は蛍光灯LTの点灯ができるように抵抗R4とコンデンサC7,C11の定数を設定すれば、交流電圧が投入された後所定時間が経過するまでは蛍光灯LTのフィラメントの予熱を行い、その後に蛍光灯LTを点灯させることができる。これにより、蛍光灯LTの長寿命化を図ることができる。しかも、所定時間を上述の起動回路20のタイマー回路により決めることができるから、回路の共用化が図られ、装置の小型化に寄与しうる。

0094

次に図17を参照して本発明の第9の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図17において、図7中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0095

この第9の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置は、第2の実施の形態にかかる回路構成において、蛍光灯LTの予熱用にトランスT1の2次巻線の両端にタップを設け、蛍光灯LTの予熱を可能としたものである。

0096

これにより中性点形インバータ装置においても、フィラメントの予熱後点灯させることができるので、蛍光灯の急速点灯を緩和することができる。

0097

なお、この予熱用のタップを設ける手法は、第2の実施の形態にかかる回路構成に適用した本構成例に限るものではなく、前記他の実施の形態にかかる回路構成にも適用できる。

0098

上述の説明で明らかなように、中性点とSW点の間にインダクタを接続した本発明による中性点形インバータ装置によれば、中性点形インバータ装置としての高調波電流の低減特性を維持しつつ、負荷に供給される電圧を従来例の中性点形インバータ装置より大きく、かつ、最大ピークVmaxと最小ピークVminとの差が小さい高周波電圧とすることが可能となる。また、そのための回路構成も簡易であり、しかも、特に特殊な装置を必要とすることもなく安価に実現することができるから、実用上、工業上の価値は大きい。さらに、インダクタをトランスに置き換えても回路動作上何らの変更もなく、容易に置き換えることができ、トランスにすることで交流電流の1次側と負荷を絶縁することも可能となり安全性の点でも優れた装置となる。また、トランスにタップを設けることで蛍光灯における予熱を容易に行うことができる。また、異常状態に対するドライブ停止の手段を設けることも容易であり、安全性設計に配慮された装置を構成することができる。

0099

なお、本発明にかかる中性点形インバータ装置は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、2個の分圧コンデンサの接続点と2個のスイッチング素子の接続点との間にインダクタや等価的にインダクタと見なせるもの(例えばトランスなど)を接続し、スイッチング素子が交互にオン・オフ動作することによりインダクタ等に発生する高周波電圧に基づいて負荷に交流電力を供給するという本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改良並びに設計の変更が可能である。

0100

また、上記説明においては負荷として、特に蛍光灯を用いたものについて説明したが、これに限らず交流電力を供給されることにより稼働するものである限り種々のものに適用することができる。その際には負荷と並列接続されている共振コンデンサは必ずしも必要ではない。

0101

さらに、上記説明においては、駆動回路がいわゆる他励形のものについて説明したが、必ずしも他励形駆動回路に限るものではなく、負荷回路の自己共振周波数帰還してなるいわゆる自励形駆動回路であってもよい。

図面の簡単な説明

0102

図1本発明の第1の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図2上記中性点形インバータ装置の上記等価回路における第1のコンデンサの電圧波形図
図3上記中性点形インバータ装置の上記等価回路における第2のコンデンサの電圧波形図
図4上記中性点形インバータ装置の上記等価回路における平滑コンデンサの電圧波形図
図5上記中性点形インバータ装置の上記等価回路における第1および第2のコンデンサの電圧波形図(実際のもの)
図6上記中性点形インバータ装置の負荷の電圧波形図
図7本発明の第1の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置においてスイッチング素子をFETにした回路図
図8本発明の第2の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図9上記第2の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の駆動回路をIC化した回路図(その1)
図10 上記第2の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の駆動回路をIC化した回路図(その2)
図11 本発明の第3の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図12 本発明の第4の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図13 本発明の第5の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図14 本発明の第6の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図15 本発明の第7の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図16 本発明の第8の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図17 本発明の第9の実施の形態にかかる中性点形インバータ装置の回路図
図18 中性点形インバータ装置の基本回路図
図19蛍光灯を負荷にした中性点形インバータ式安定器の実働回路図
図20 上記中性点形インバータ式安定器の第1のコンデンサの電圧波形図
図21 上記中性点形インバータ式安定器の第2のコンデンサの電圧波形図
図22 上記中性点形インバータ式安定器の負荷の電圧波形図
図23 上記中性点形インバータ式安定器の入力電流波形
図24 上記中性点形インバータ式安定器の第1および第2のコンデンサの電圧波形図並びに入力電流Iiの電流波形図
図25 上記中性点形インバータ式安定器の負荷の電圧波形図

--

0103

Vi交流電源
LPFローパスフィルタ
DB整流器
Q1,Q2スイッチング素子
D1,D2ダイオード
C1,C2分圧コンデンサ(第1および第2のコンデンサ)
Cs平滑コンデンサ(第3のコンデンサ)
C4共振コンデンサ(第4のコンデンサ)
DR駆動回路
Loインダクタ
R負荷回路
LT蛍光灯(負荷)
SBスナバ回路
EM1,EM2異常検出回路
10直流電圧発生回路
20起動回路
30周波数変換回路
40 駆動停止回路

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