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技術 磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気記録媒体ならびにこれらを用いた磁気記録再生装置

出願人 ソニー株式会社
発明者 佐本哲雄小野寺誠一吉田伸也
出願日 1997年4月25日 (23年2ヶ月経過) 出願番号 1997-108888
公開日 1998年11月13日 (21年7ヶ月経過) 公開番号 1998-302225
状態 未査定
技術分野 磁気ヘッド5(磁束感知ヘッド)
主要キーワード フィラー密度 高硬度被膜 酸素イオン照射 ルベアン酸 剛体基板 硬質セラミックス 磨耗耐久性 固定作用
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年11月13日)のものです。
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図面 (7)

課題

蒸着テープ等の金属薄膜型磁気記録媒体を、磁気抵抗効果型ヘッドを用いて再生する磁気記録再生装置における、磁気抵抗効果膜短絡や磨耗を防止するとともに、磁気記録媒体走行性耐久性を高め、信頼性の高い磁気記録再生装置を提供する。

解決手段

磁気抵抗効果型ヘッドの摺動面に、ダイアモンドライクカーボンのような非磁性硬質絶縁性被膜を形成する。また金属薄膜型磁気記録媒体の非磁性支持体11の表面突起密度特定範囲内に収めるとともに、金属薄膜型磁気記録層13表面には、酸素活性種との反応による金属酸化物被膜14を形成する。

効果

かかる構成の磁気抵抗効果型ヘッドおよび金属薄膜型磁気記録媒体を組み合わせ磁気記録装置を構成することにより、再生ヘッドの短絡や偏磨耗が防止され、また走行性や耐久性にすぐれた高密度磁気記録再生装置が構築される。

概要

背景

ハードディスクドライブ(HDD)装置やディジタルオーディオテープレコーダ等の高密度磁気記録再生装置再生ヘッドとして、磁気抵抗効果MR;Magneto−Resistive)型ヘッドが用いられている。磁気抵抗効果型ヘッドは、磁気記録媒体との相対速依存性がないことや、低クロストーク等の特長を有し、特に近年におけるスピンバルブ巨大磁気抵抗GMR;GiantMagneto−Resistive)効果や新しい素子構造の開発、あるいはPRML(Partial Response Maximum Likelihood)信号処理方式等の採用により、西2000年には10Gbit/in2 、転送速度24MB/sの記録面密度を有するHDD装置が可能になると予測されている。また磁気記録テープを用いた磁気記録装置の分野でも、1Gbit/in2 程度の記録面密度を超えた時点から、磁気抵抗効果型ヘッドが採用されると見られている。

磁気抵抗効果型ヘッドの一例の構成を、図6(a)〜(b)に示す概略斜視図を参照して説明する。不図示の基板上に形成された磁気抵抗効果型ヘッドのトラック面すなわち摺動面に臨んで磁気抵抗効果膜21、その両端に接続する一対の電極22、バイアス電流を供給するバイアス電源23、出力端子24、磁気抵抗効果膜21を挟持する一対の磁気シールド25等から、磁気抵抗効果型ヘッドは概略構成されている。磁気抵抗効果膜21は1層でもよいが、GMR効果を用いる場合には、図6(b)に示すように、磁化回転層27、Cu等のスペーサ層28、磁化固定層29および反強磁性層30の積層を単位とする人工格子膜を採用する。かかる磁気抵抗効果型ヘッド構造は、スパッタリング等の薄膜形成技術とリソグラフィ技術、エッチング技術等を用いて製造することができる。磁気抵抗効果型ヘッドは、磁気シールド25間に入る磁気記録媒体26の信号磁束Bの強度に応じて、一定のバイアス電流Iが流れる磁気抵抗効果膜21の抵抗が変化し、出力端子24間の電圧変化として再生出力を取り出すものである。

一方磁気記録媒体として、従来の塗布型磁気記録媒体に換わって金属薄膜型の磁気記録媒体が高密度磁気記録媒体として実用に供されている。この金属薄膜型の磁気記録媒体は、非磁性支持体上にCoやCo合金等の強磁性金属蒸着やスパッタリング等の真空薄膜形成技術により成膜して、磁気記録層を形成したものである。磁気記録層の厚さを薄くしても必要とする磁束が十分に得られるため原理的に反磁界による減磁作用が小さいこと、および磁気記録層の表面性が良好なことからスペーシングロスが少ないこと等により、高密度磁気記録媒体に適するとされている。

ところで、金属薄膜型磁気記録媒体の磁気記録層は電気的に良導体であるため、磁気抵抗効果型ヘッドを用いて再生すると、磁気抵抗効果膜が短絡して再生不能となる場合があった。従来より金属薄膜型磁気記録媒体の磨耗耐久性走行性を改善するために、金属薄膜型磁気記録層の表面に絶縁性被膜を形成する例はあった。しかし、絶縁性被膜形成時の金属薄膜型磁気記録層表面へのパーティクル付着による絶縁性被膜の欠陥や、絶縁性被膜形成後に導電性パーティクルが付着した場合には、かかる短絡を防ぐことはできなかった。

一方の磁気抵抗効果型ヘッドにおいては、再生感度を高めるために磁気抵抗効果膜のヘッドデプスは可及的に小さく設計される。しかしながら、金属薄膜型磁気記録層表面に不適切な材料による絶縁性被膜が形成されていると、磁気抵抗効果型ヘッドのトラック面が偏磨耗し易く、ヘッドとしての耐久性が低下する虞れがあった。

概要

蒸着テープ等の金属薄膜型磁気記録媒体を、磁気抵抗効果型ヘッドを用いて再生する磁気記録再生装置における、磁気抵抗効果膜の短絡や磨耗を防止するとともに、磁気記録媒体の走行性や耐久性を高め、信頼性の高い磁気記録再生装置を提供する。

磁気抵抗効果型ヘッドの摺動面に、ダイアモンドライクカーボンのような非磁性硬質絶縁性被膜を形成する。また金属薄膜型磁気記録媒体の非磁性支持体11の表面突起密度特定範囲内に収めるとともに、金属薄膜型磁気記録層13表面には、酸素活性種との反応による金属酸化物被膜14を形成する。

かかる構成の磁気抵抗効果型ヘッドおよび金属薄膜型磁気記録媒体を組み合わせ磁気記録装置を構成することにより、再生ヘッドの短絡や偏磨耗が防止され、また走行性や耐久性にすぐれた高密度磁気記録再生装置が構築される。

目的

本発明はかかる状態に鑑み提案するものであり、金属薄膜型磁気記録層を磁気抵抗効果型ヘッドにより再生する磁気記録再生装置における、ヘッド短絡やヘッド磨耗を解決し、磁気記録媒体の走行性、耐久性をも高め、信頼性の高い高密度の磁気記録再生装置を提供することをその課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

磁気記録媒体との摺動面に、非磁性硬質絶縁性被膜を有することを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッド

請求項2

前記非磁性硬質絶縁性被膜は、硬質カーボン被膜であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッド。

請求項3

フィラーによる表面突起密度が104 個/mm2 以上106 個/mm2 以下である非磁性支持体の一主面側に金属薄膜型磁気記録層を有するとともに、前記金属薄膜型磁気記録層表面は、前記金属と酸素活性種との反応により形成された金属酸化物被膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。

請求項4

前記反応は、酸素イオン注入による反応であることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体。

請求項5

前記反応は、酸素プラズマ処理による反応であることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体。

請求項6

フィラーによる表面突起密度が104 個/mm2 以上106 個/mm2 以下である非磁性支持体の一主面側に、金属薄膜型磁気記録層を有するとともに、前記金属薄膜型磁気記録層表面には、前記金属と酸素活性種との反応により形成された金属酸化物被膜を有する金属薄膜型磁気記録層を有する磁気記録媒体と、磁気記録媒体との摺動面に、非磁性硬質絶縁性被膜を有する磁気抵抗効果型ヘッドと、を具備してなることを特徴とする磁気記録再生装置

請求項7

前記反応は、酸素イオン注入による反応であることを特徴とする請求項6記載の磁気記録再生装置。

請求項8

前記反応は、酸素プラズマ処理による反応であることを特徴とする請求項6記載の磁気記録再生装置。

請求項9

前記非磁性硬質絶縁性被膜は、硬質カーボン系被膜であることを特徴とする請求項6記載の磁気記録再生装置。

技術分野

0001

本発明は磁気抵抗効果型ヘッド装置および磁気記録媒体ならびにこれらを用いた磁気記録再生装置に関し、さらに詳しくは、磁気抵抗効果型ヘッドにより金属薄膜型磁気記録層に記録された信号を再生する際の、ヘッド短絡ヘッド磨耗あるいはスペーシングロス等の諸問題を解決した、磁気抵抗効果型ヘッド装置および磁気記録媒体ならびにこれらを用いた磁気記録再生装置に関する。

背景技術

0002

ハードディスクドライブ(HDD)装置やディジタルオーディオテープレコーダ等の高密度磁気記録再生装置の再生ヘッドとして、磁気抵抗効果MR;Magneto−Resistive)型ヘッドが用いられている。磁気抵抗効果型ヘッドは、磁気記録媒体との相対速依存性がないことや、低クロストーク等の特長を有し、特に近年におけるスピンバルブ巨大磁気抵抗GMR;GiantMagneto−Resistive)効果や新しい素子構造の開発、あるいはPRML(Partial Response Maximum Likelihood)信号処理方式等の採用により、西2000年には10Gbit/in2 、転送速度24MB/sの記録面密度を有するHDD装置が可能になると予測されている。また磁気記録テープを用いた磁気記録装置の分野でも、1Gbit/in2 程度の記録面密度を超えた時点から、磁気抵抗効果型ヘッドが採用されると見られている。

0003

磁気抵抗効果型ヘッドの一例の構成を、図6(a)〜(b)に示す概略斜視図を参照して説明する。不図示の基板上に形成された磁気抵抗効果型ヘッドのトラック面すなわち摺動面に臨んで磁気抵抗効果膜21、その両端に接続する一対の電極22、バイアス電流を供給するバイアス電源23、出力端子24、磁気抵抗効果膜21を挟持する一対の磁気シールド25等から、磁気抵抗効果型ヘッドは概略構成されている。磁気抵抗効果膜21は1層でもよいが、GMR効果を用いる場合には、図6(b)に示すように、磁化回転層27、Cu等のスペーサ層28、磁化固定層29および反強磁性層30の積層を単位とする人工格子膜を採用する。かかる磁気抵抗効果型ヘッド構造は、スパッタリング等の薄膜形成技術とリソグラフィ技術、エッチング技術等を用いて製造することができる。磁気抵抗効果型ヘッドは、磁気シールド25間に入る磁気記録媒体26の信号磁束Bの強度に応じて、一定のバイアス電流Iが流れる磁気抵抗効果膜21の抵抗が変化し、出力端子24間の電圧変化として再生出力を取り出すものである。

0004

一方磁気記録媒体として、従来の塗布型磁気記録媒体に換わって金属薄膜型の磁気記録媒体が高密度磁気記録媒体として実用に供されている。この金属薄膜型の磁気記録媒体は、非磁性支持体上にCoやCo合金等の強磁性金属蒸着やスパッタリング等の真空薄膜形成技術により成膜して、磁気記録層を形成したものである。磁気記録層の厚さを薄くしても必要とする磁束が十分に得られるため原理的に反磁界による減磁作用が小さいこと、および磁気記録層の表面性が良好なことからスペーシングロスが少ないこと等により、高密度磁気記録媒体に適するとされている。

0005

ところで、金属薄膜型磁気記録媒体の磁気記録層は電気的に良導体であるため、磁気抵抗効果型ヘッドを用いて再生すると、磁気抵抗効果膜が短絡して再生不能となる場合があった。従来より金属薄膜型磁気記録媒体の磨耗耐久性走行性を改善するために、金属薄膜型磁気記録層の表面に絶縁性被膜を形成する例はあった。しかし、絶縁性被膜形成時の金属薄膜型磁気記録層表面へのパーティクル付着による絶縁性被膜の欠陥や、絶縁性被膜形成後に導電性パーティクルが付着した場合には、かかる短絡を防ぐことはできなかった。

0006

一方の磁気抵抗効果型ヘッドにおいては、再生感度を高めるために磁気抵抗効果膜のヘッドデプスは可及的に小さく設計される。しかしながら、金属薄膜型磁気記録層表面に不適切な材料による絶縁性被膜が形成されていると、磁気抵抗効果型ヘッドのトラック面が偏磨耗し易く、ヘッドとしての耐久性が低下する虞れがあった。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明はかかる状態に鑑み提案するものであり、金属薄膜型磁気記録層を磁気抵抗効果型ヘッドにより再生する磁気記録再生装置における、ヘッド短絡やヘッド磨耗を解決し、磁気記録媒体の走行性、耐久性をも高め、信頼性の高い高密度の磁気記録再生装置を提供することをその課題とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の磁気抵抗効果型ヘッド装置は、上述の課題を解決するために提案するものであり、磁気記録媒体との摺動面に、非磁性硬質絶縁性被膜を有することを特徴とする。この非磁性硬質絶縁性被膜としては、硬質カーボン系被膜であることが望ましい。

0009

つぎに本発明の磁気記録媒体は、フィラーによる表面突起密度が104 個/mm2 以上106 個/mm2 以下である非磁性支持体の一主面側に金属薄膜型磁気記録層を有するとともに、この金属薄膜型磁気記録層表面は、この金属と酸素活性種との反応により形成された金属酸化物被膜を有することを特徴とする。この金属と酸素活性種との反応は、酸素イオン注入による反応、あるいは酸素プラズマ処理による反応であることが望ましい。

0010

さらに本発明の磁気記録再生装置は、フィラーによる表面突起密度が104 個/mm2 以上106 個/mm2 以下である非磁性支持体の一主面側に、金属薄膜型磁気記録層を有するとともに、この金属薄膜型磁気記録層表面には、この金属と酸素活性種との反応により形成された金属酸化物被膜を有する金属薄膜型磁気記録層を有する磁気記録媒体と、磁気記録媒体との摺動面に、非磁性硬質絶縁性被膜を有する磁気抵抗効果型ヘッドと、を具備してなることを特徴とする。この金属と酸素活性種との反応は、酸素イオン注入による反応、あるいは酸素プラズマ処理による反応であることが望ましい。また非磁性硬質絶縁性被膜としては、硬質カーボン系被膜であることが望ましい。なお本明細書中における磁気記録再生装置の用語は、磁気記録媒体に記録可能および磁気記録媒体に記録された信号を再生可能な装置の他に、記録済みの磁気記録媒体の再生機能のみを有する装置をも含むものとする。

0011

次に作用の説明に移る。本発明の磁気抵抗効果型ヘッドによれば、摺動面に非磁性硬質絶縁性被膜を有するため、摺動面の磨耗が低減されるとともに、磁気抵抗効果膜の短絡を防止することができる。また本発明の磁気記録媒体は、金属薄膜型磁気記録層表面に酸素活性種との反応により形成された金属酸化物被膜を有する。この金属酸化物被膜は、CVDやスパッタリングのような真空薄膜形成技術等により新たに形成するものではなく、金属薄膜型磁気記録層表面を変換して形成するものであるから、極く薄い層を制御性良く形成することができ、磁気抵抗効果型ヘッドとのスペーシングロスを可及的に低く抑えることができる。またこの金属酸化物被膜は絶縁性にも優れるので、磁気抵抗効果膜の短絡防止にも寄与する。また同時にフィラーによる非磁性支持体の表面突起密度を最適範囲としたことにより、磁気抵抗効果型ヘッド摺動面および磁気記録層の磨耗を低減することができ、また磁気記録媒体の走行性を向上することができる。かかる磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気記録媒体を具備することにより、磁気抵抗効果型ヘッドの短絡が防止され、走行性や耐磨耗性に優れた信頼性の高い磁気記録再生装置を提供することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0012

以下、本発明の磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気記録媒体ならびにこれらを用いた磁気記録再生装置につき、実施形態例により詳細に説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれら実施の形態例になんら限定されるものではない。

0013

磁気抵抗効果型ヘッド
本発明の磁気抵抗効果型ヘッドは、その基本的な構成は特に限定されず、従来公知の磁気抵抗効果型ヘッド構造はいずれも採用できる。本発明の磁気抵抗効果型ヘッドの特徴的な構成として、磁気記録媒体と接する摺動面に、絶縁性高硬度被膜が例えば5nm以上30nm以下、好ましくは10nm程度の厚さに形成されている。絶縁性高硬度被膜の厚さは5nm未満では絶縁性や耐磨耗性の点で十分な効果が得られず、30nmを超えても絶縁性や耐磨耗性の効果が飽和するばかりか、磁気抵抗効果型ヘッドとのスペーシングロスを生じて好ましくない。この絶縁性高硬度被膜の材料としては、SiO2 、Si3 N4 、SiC、Al2 O3 、ZrO2 、B4 CあるいはBN等の硬質セラミックスやこれらの複合セラミックスが例示されるが、とりわけDLC(Diamond Like Carbon)と呼称される硬質カーボンが好ましく採用される。

0014

これら絶縁性高硬度被膜の形成方法は特に限定されないが、スパッタリング、真空蒸着あるいはCVD(Chemical Vapor Deposition)等の気相からの薄膜形成技術が均一性膜質の点で好ましい。DLCの成膜に供されるプラズマCVD装置の一例を、図1に示す概略断面図を参照して説明する。

0015

プラズマCVD装置の処理チャンバ1内には、被処理物である磁気抵抗効果型ヘッド(不図示)を1個あるいは複数個載置する処理ステージ2、およびこの処理ステージ2に臨んだ開口を有する反応管4が配設されている。反応管4にはガス導入孔3が連結され、ここから炭化水素系ガスを主成分とする原料ガスが導入される。反応管4内には、プラズマ発生用電源6からの電力が供給されるメッシュ状の電極5が収納されており、接地電位の処理ステージ2との間で炭化水素系原料ガスプラズマを生成し、処理ステージ2上の磁気抵抗効果型ヘッドの摺動面にDLCを成膜することができる。電源6はDC、ACあるいはRFのいずれでもよいが、図1に例示したDC電源の場合には、一例として+500〜2000Vの電圧が選ばれる。反応を終えた原料ガスは、ガス排気孔7から不図示の真空ポンプにより排気されるとともに、処理チャンバ1内が所望の真空度に制御される。図1の装置はプラズマCVD装置の一例であり、DLCの成膜にはこの他にも通常の平行平板型プラズマCVD装置、マグネトロンプラズマCVD装置、あるいはECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマCVD装置等の高密度プラズマCVD装置を採用することができる。

0016

図1に示したプラズマCVD装置を用いて、磁気抵抗効果型ヘッドの摺動面にDLCを成膜した。プラズマCVD条件の一例を下記に示す。
原料ガス:キャリアガス(Ar)で希釈したトルエン
反応圧力10 Pa
DC電圧1.5 kV
DLC膜厚 10 nm
原料ガスは、トルエン等の芳香族炭化水素の他に、プロパンシクロヘキサン等の鎖状あるいは環状脂肪族炭化水素等を用いてもよい。

0017

かかる方法で成膜したDLCは、透明で絶縁性であり、その硬度バルクのダイアモンドに準じるものである。したがって、磁気抵抗効果型ヘッドの磁気抵抗効果膜が金属薄膜型磁気記録媒体の磁気記録層に直接接触して短絡を起こす虞れや、摺動面の磨耗や偏磨耗を低減することができる。

0018

磁気記録媒体
本発明の磁気記録媒体の一構成例を示す概略断面図を図2に示す。非磁性支持体11の一方の主面側には、下塗り層12、金属薄膜型磁気記録層13、金属酸化物被膜14およびトップコート層15が形成されている。また非磁性支持体1の他方の主面側には、バックコート層16が形成され、ディジタルビデオカセット用の金属薄膜型磁気記録テープが構成されている。下塗り層12やバックコート層16は、これを省略することもできる。

0019

磁気記録層をその一主面上に形成する非磁性支持体11としては、通常の磁気記録媒体で用いられるものはいずれも使用可能であり、ポリエチレンテレフタレートポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類セルローストリアセテートセルロースダイセテート等のセルロース誘導体ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン樹脂ポリカーボネートポリアミドイミドポリイミド等の有機高分子が例示される。これら非磁性支持体の表面には接着性向上のために、有機バインダ主体とする下塗り層12を設けてもよい。

0020

非磁性支持体11中に、SiO2 等の無機微粒子ラテックス等の有機微粒子等からなるフィラー(不図示)が含有されており、微細表面突起(不図示)が形成されている。この表面突起は下塗り層12中にこれらフィラーを含有させて形成してもよい。この場合には非磁性支持体11中へのフィラーの添加を省略してもよい。すなわち、非磁性支持体11と下塗り層12とが広義の意味での非磁性支持体となる。さらにハードディスク等の磁気記録媒体の場合には非磁性支持体としてAl系金属、セラミックスガラスあるいはプラスチックス等の剛体基板を用いることができる。これら剛体基板の表面にアルマイト処理等による酸化被膜や、Ni−P被膜等を形成して、その表面硬度をさらに高めてもよい。かかる剛体基板の表面にフィラーを含有した下塗り層を形成して表面突起を形成すればよい。この場合も剛体基板と下塗り層とが広義の意味での非磁性支持体となる。

0021

フィラーの形状は球形、多角形、あるいは不定形のいずれでもよいが、その粒径は10nmから1000nm(1μm)、望ましくは数十nmから数百nmのものが採用される。10nm以下では磁気記録媒体および磁気抵抗効果型ヘッドの走行性や磨耗耐久性向上の効果が少なく、1000nmを超えると金属薄膜型磁気記録層の表面粗度が大きくなり電磁変換特性に悪影響を及ぼす。フィラーは、異なる粒径のものを混合して用いてもよい。

0022

フィラーによる表面突起密度と磁気ヘッド磨耗の関係を図3に示す。この図3から明らかなように、フィラーによる表面突起密度が104 個/mm2 以上となると急激に磁気ヘッド磨耗が低減し、走行時間100Hrあたりの磨耗量が 0.2μm以下となる。またこのフィラーによる突起密度範囲では磁気ヘッド表面の焼け付き現象も発生しなかった。フィラーによる表面突起密度の上限は特に制限はないが、フィラーの含有量が多すぎると非磁性支持体、あるいは下塗り層の剛性が大きくなり過ぎたり、耐衝撃性が低下すので、例えば106 個/mm2 以下の値に留めるのがよい。

0023

金属薄膜型磁気記録層13は、強磁性金属を蒸着やスパッタリングあるいはめっき等の薄膜形成技術により非磁性支持体11上に形成したものである。強磁性金属の材料としては、Co、FeあるいはNi等の単体強磁性金属や、Co−Ni系合金、Co−Ni−Pt系合金、Co−Cr合金、Co−Cr−Ta合金、Co−Cr−Pt合金等のCo系合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−Ni−B合金、Fe−Co−B合金、Fe−Co−Ni−B合金等のFe系合金等や、これら強磁性材料中や粒界酸化物、窒化物あるいは炭化物等が析出した構造からなるものが例示される。特に、面内磁化モードによる薄膜型磁気記録媒体では、非磁性支持体11表面に対し、斜め蒸着等で磁性層を形成して磁化容易軸を磁性層の略面内に配向する。非磁性支持体11上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、Ge、SiあるいはTi等の非磁性下地層を形成しておき、ここに非磁性支持体11表面の垂直方向から強磁性金属を蒸着あるいはスパッタリングしてもよい。かかる非磁性下地層を介在させることにより、非磁性金属磁性層中拡散したり、磁性層のモホロジ(morphology) を制御して面内等方性磁化を付与するとともに、抗磁力を向上することができる。金属薄膜型磁気記録層13は単層あるいは積層で用いられる。積層の場合には、中間層として非磁性層を介在させてもよい。

0024

金属薄膜型磁気記録層13の表面には、金属酸化物被膜14を形成する。この金属酸化物被膜14は、金属薄膜型磁気記録層13の構成金属と酸素活性種との反応により形成するためと、磁気ヘッドとのスペーシングロスを可及的に低減するため、金属薄膜型磁気記録層13表面に別途保護膜等を形成せず、直接金属薄膜型磁気記録層13表面に形成することが望ましい。金属酸化物被膜14の厚さは5nm以上20nm以下の値が採用され、10nm前後が好ましい。5nm未満では金属薄膜型磁気記録層13の保護効果絶縁効果が十分でなく、20nmを超えると磁気ヘッドとのスペーシングロスが増大し電磁変換特性が低下する。

0025

酸素活性種としては、酸素イオン酸素ラジカル、あるいは並進、回転、振動等の運動エネルギを高めた酸素分子酸素原子等が採用される。これらの酸素活性種のうち、酸素イオン照射によるものが、形成される金属酸化物被膜の膜厚制御の点で好ましい。酸素イオン照射は、イオンガンを有するイオンビーム発生装置を用いたが、従来公知のマグネトロン型、カウマン型、ECR(Electron Cyclotron Resonance)型等のイオンビーム発生装置はいずれも採用することができる。またグロー放電等によるプラズマ発生装置を用いてもよい。いずれの方法においても、被処理体である磁気記録媒体に基板バイアス印加すれば、注入酸素イオンエネルギを更に高精度に制御することができる。

0026

金属薄膜型磁気記録層の構成金属としてCoを用いた場合は、形成される金属酸化物被膜はCoO、Co2 O3 あるいはCo3 O4 等の酸化コバルトである。これらのうち、Co3 O4 が磁気記録層の保護効果、絶縁効果、あるいは磁気抵抗効果型ヘッドの摺動面に形成したDLC被膜との相性の点で望ましい。

0027

酸素イオンの加速電圧と、形成される金属酸化物被膜の膜厚、この場合はCo3 O4 の膜厚との関係を図4に示す。この図4から明らかなように、加速電圧が50V未満では酸素イオンの飛程が小さく、十分な膜厚の金属酸化物被膜が形成されず、耐久性に乏しい。また加速電圧が過大の場合には、金属薄膜型磁気記録層や非磁性支持体にイオン衝撃によるダメージが発生する虞れがある。したがって、10nm程度の金属酸化物被膜を形成するためには、50V以上300V以下程度の加速電圧が適当である。

0028

酸素イオンのドーズ量と金属酸化物被膜の組成比、この場合は酸化コバルト中のO/Co原子組成比の関係を図5に示す。化学量論的にCo3 O4 の組成、すなわち、O/Co原子組成比が4/3となるドーズ量は1×1017(ions/cm2 )程度である。このドーズ量を挟む、3×1016(ions/cm2 )以上3×1017(ions/cm2 )以下程度のドーズ量が、形成される金属酸化物被膜の絶縁性、耐久性あるいは非磁性硬質絶縁性被膜を形成した磁気抵抗効果型ヘッドとの相性のよい膜質の点で好ましい範囲である。

0029

このように形成した金属酸化物被膜上に、トップコート層を形成する。磁気記録媒体用のトップコート層は、一般に潤滑剤および防錆剤等の溶質を主成分とし、アルコールやトルエン等の溶剤に溶解したトップコート溶液塗布乾燥して形成する。

0031

潤滑剤としては磁気記録媒体に通常用いられる潤滑剤はいずれも使用可能である。これら潤滑剤は、大別してシリコーン系潤滑剤炭化水素系潤滑剤およびフッ素化炭化水素系の3種類に分類される。

0032

シリコーン系潤滑剤は熱安定性がよいことと、蒸気圧が低いことのために塗布形の磁気記録媒体ではよく使用される潤滑剤の一つである。しかしながら、現在の高密度磁気記録媒体のように非常に表面性のよい金属薄膜型磁気記録媒体においては、あまり良い潤滑性能は得られず、ピンオンディスクの磨耗加速試験あるいはCSS(Contact Start and Stop)試験での潤滑特性は、特に耐久性のスペック満足しない。つまり、現在主流の金属薄膜型磁気記録媒体表面で配向された潤滑剤層を形成し、要求される潤滑特性を満足させるには、シリコーン系の潤滑剤では極めて限られた範囲の効果が得られるにすぎない。

0033

炭化水素系の潤滑剤は塗布型の磁気記録媒体では現在でも主流の潤滑剤である。しかし、熱的あるいは化学的な安定性については、一般的にシリコーン系あるいはフッ素化炭素系の潤滑剤に比較して充分でない。また潤滑剤分子摩擦熱等により反応して生成するフリクションポリマと称される残渣を発生させやすい。このポリマは潤滑特性を低下させ、時として致命的な故障の原因となる。炭化水素系の潤滑剤は蒸気圧が高く、磁気記録層表面から散逸しやすいことも弱点のひとつとなる。薄膜型磁気記録媒体では優れた初期潤滑特性を示すものの、表面から失われた潤滑剤を磁気記録層からの滲み出しにより補充することができないため、耐久性に乏しい。

0034

フッ素化炭素系化合物は、磁気記録媒体用として現在最もよく使用されている潤滑剤である。この中でも、パーフルオロポリエーテルが他のフッ素化炭素系化合物に比較して潤滑性能や表面保護作用に優れるため広く用いられている。これは、−CF2 −O−CF2 −のエーテル結合フレキシブルであるために、分子量が同じ他の化合物と比較したときにはその粘度が小さいこと、および幅広温度域粘度変化が小さいことが挙げられる。これに加え、化学的に不活性であること、蒸気圧が低いこと、熱的あるいは化学的安定性が高いこと、表面エネルギが小さいこと、境界潤滑特性に優れること、そして撥水性が良いこと等のメリットを有する。

0035

パーフルオロポリエーテルの潤滑性能はその分子構造に強く依存する。何種類かのパーフルオロポリエーテルが市販されており、それらは分子量、主鎖の繰り返し単位末端基等の分子構造がそれぞれ異なる。例えばFomblin(アウジモント社商品名)−Yタイプは−CF(CF3 )CF2 O−と−CF2 O−とのランダム共重合体で、主鎖の繰り返し単位が分岐構造を有する。Fomblin−Zタイプは−CF2 CF2 O−と−CF2 O−の重合体で、直鎖構造をもつ。

0036

パーフルオロポリエーテルは化学的に不活性であるために磁気記録媒体表面での吸着能力欠ける。そこでこの吸着能力を改善するため、両末端極性基をもつパーフルオロポリエーテルが開発された。Fomblin Z−DOL(商品名)は水酸基を有し、Fomblin AM2001(商品名)はピペロニル基を有する。Fomblin AM2001はその末端への極性基の導入により、特に金属表面やカーボン表面での強い固定作用を有し、摩擦係数を減少させ、磁気ディスク等の耐用年数を増加させる。

0037

フッ素化炭素系化合物は、この他にもDemnum(ダイキン工業(株)商品名)およびKrytox(デュポン社商品名)が知られており、それぞれヘキサフルオロプロピレンオキシドおよびヘキサフルオイソプロピレンオキシドホモポリマである。上述した潤滑剤は、トップコート溶液の溶質としていずれも単独あるいは混合して使用可能である。

0038

つぎに防錆剤としてはこれも磁気記録媒体に従来用いられている防錆剤はいずれも使用することが可能であり、例えば二価フェノールアルキルフェノールニトロフェノール等のフェノール類ナフトールニトロナフトール、ニトロソナフトール、アミノナフトール、ハロゲン置換ナフトール等のナフトール類メチルキノンヒドロキシキノン、アミノキノン、ニトロキノン等のキノン類ベンゾフェノンおよびその誘導体であるヒドロキシベンゾフェノン、アミノベンゾフェノン等のジアリールケトンアクリジン、4−キノリノールキヌレン酸あるいはリボフラビン等の含窒素複素環化合物トコフェロールあるいはグアノシン等の含酸素複素環化合物スルホランスルホレンチオン等の含硫黄複素環化合物チオフェノールジチゾンチオオキシン等のメルカプト基を含む化合物、エンチオ酸ルベアン酸等のチオカルボン酸およびその塩、ジアゾスルフィドおよびベンゾチアゾリン等のチアゾール系化合物等を例示することができる。

0039

また気化性防錆剤として、アミルアミンエタノールアミンナフチルアミンシクロヘキシルアミンジシクロヘキシルアミンイソプロピルアミン等の有機アミン亜硝酸有機エステル、チオ亜硝酸の有機エステル、亜硝酸トリメチルスルホニウム、亜硝酸ジイソプロピルアンモニウム亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウム、シクロヘキシルアミン炭酸塩等が例示される。またこの他にも安息香酸、亜硝酸、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体も使用できる。上述した防錆剤は本発明のトップコート溶液の溶質としていずれも単独あるいは混合して使用可能である。

0040

さらに、より厳しい環境下での使用条件対処して潤滑効果持続するため、潤滑剤あるいはその組成物に対し重量比で30/70〜70/30程度の配合比極圧剤を併用してもよい。極圧剤は、境界潤滑領域において部分的に金属接触を生じた際にこれに伴う摩擦熱により金属面と反応し、反応生成物被膜を形成することにより摩擦・磨耗防止作用を得る化合物であり、従来公知のリン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤および複合系極圧剤のいずれも使用することができる。

0041

本発明の磁気記録媒体において、トップコート層の厚さすなわち形成密度は特に限定はされないが、一例として0.3〜100mg/m2 が望ましく、0.5〜20mg/m2 であることがさらに望ましい。形成密度が0.3mg/m2 未満では充分な耐久性および走行性安定性が得られず、100mg/m2 を超えるとやはり耐久性が低下し、磁気ドラム等への貼り付き現象が発生する。トップコート層の形成方法は特に限定されないが、例えばグラビアコーティングディップコーティング等の各種塗布方法が適用される。

0042

非磁性支持体の他方の面に、塗布型あるいは薄膜型のバックコート層を設けてもよい。バックコート層の構成は特に限定されない。塗布バックコート層は非磁性粒子を有機バインダ中に分散させて形成し、表面粗度や導電性を制御するものであり、非磁性粒子の材料としては例えばヘマタイトベーマイト溶融アルミナ、α,β,γ−アルミナ等の各種アルミナ、雲母カオリンタルク粘土シリカ酸化マグネシウム酸化チタンルチルおよびアナターゼ)、酸化亜鉛硫化亜鉛炭酸カルシウム炭酸マグネシウム炭酸バリウム硫酸バリウム硫酸鉛硫化タングステン等の無機化合物、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子樹脂デンプン、あるいは非磁性金属やカーボン等が例示される。非磁性粒子は、平均粒子径0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.7μmの大きさのものが使用され、有機バインダ100重量部に対して通常1〜20重量部の範囲で添加される。また粒子形状は塗料適性や耐久性等の観点から、略球形、略正多面体等の等方的な形状を有するものが好ましい。

0043

また塗布バックコート層に用いる有機バインダ材料としては、これも特に限定されないが、従来より使用されている熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂反応型樹脂等のすべてが使用可能である。熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂や反応型樹脂等と混合して用いることが望ましい。樹脂の分子量としては、平均分子量5,000ないし200,000のものが好適であり、10,000ないし100,000のものがさらに好適である。熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂酢酸ビニル樹脂フッ化ビニル樹脂塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリルニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体アクリロニトリルブタジエン共重合体スチレン−ブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂ポリエステルポリウレタン樹脂ポリエステル樹脂ポリカーボネートポリウレタン樹脂ポリカーボネート樹脂ポリアミド樹脂ポリビニルブチラール樹脂、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネートニトロセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、各種合成ゴム系等があげられる。また熱硬化性樹脂および反応型樹脂の例としては、フェノール樹脂エポキシ樹脂ポリウレタン硬化型樹脂尿素ホルムアルデヒド樹脂メラミン樹脂アルキッド樹脂シリコーン樹脂ポリアミン樹脂高分子量ポリエステル樹脂イソシアネートプレポリマの混合物ポリエステルポリオールポリイソシアネートの混合物、低分子量グリコール高分子量ジオールとイソシアネートの混合物等、およびこれら樹脂の混合物が例示される。これらの樹脂のうち、柔軟性を付与するとされるポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の使用が好ましい。これらの樹脂は、非磁性粒子の分散性を向上するために−SO3 M、−OSO3 M、−COOM、あるいは −PO(OM’)2 等の極性官能基を含有していてもよい(但し、MはHまたはLi、Ka、Na等のアルカリ金属、M’はHまたはLi、Ka、Na等のアルカリ金属またはアルキル基をあらわす)。極性官能基としてはこの他に−NR1 R2 、−NR1 R2 R3 + X- の末端基を有する側鎖型のもの、>NR1 R2 + X- の主鎖型のもの等がある(ここでR1 、R2、R3 は水素原子または炭化水素基であり、X- はフッ素塩素臭素ヨウ素等のハロゲンイオンあるいは無機有機イオンをあらわす)。この他に−OH、−SH、−CN、エポキシ基等の極性官能基であってもよい。これら極性官能基の含有量は10-1〜10-8mol/gであり、好ましくは10-2〜10-6mol/gである。これら有機バインダは単独で用いることも可能であるが、2種類以上を併用することも可能である。塗布バックコート層中におけるこれら有機バインダの量は、非磁性粒子100重量部に対して1〜200重量部、好ましくは10〜50重量部である。

0044

上述した有機バインダを架橋硬化する硬化剤として、例えばポリイソシアネート等を添加することが可能である。ポリイソシアネートとしては、トリメチロールプロパンと2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)の付加体(例えば商品名コロネートL−50)が一般的であるが、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートMDI)やヘキサンジイソシアネート(HDI)等のアルキレンジイソシアネートの付加体を使用してもよい。この他、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミメチルシクロヘキサン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタントリグリシジル−p−アミノフェノール等のポリグリシジルアミン化合物、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト置換トリアジン等のポリチオール化合物トリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ化合物、エポキシ化合物とイソシアネート化合物の混合物、エポキシ化合物とオキサゾリン化合物との混合物、イミダゾール化合物とイソシアネート化合物の混合物、無水メチルナジン酸等、従来より公知のものはいずれも使用可能である。これら硬化剤の有機バインダへの配合割合は、有機バインダ100重量部に対し5〜80重量部、好ましくは10〜50重量部である。

0045

塗布バックコート層と非磁性支持体との間に、塗布バックコート層の接着性向上等の目的で、下部塗布バックコート層を形成してもよい。下部塗布バックコート層は、有機バインダ単独、あるいはカーボン粉末および必要に応じて他の非磁性粉末および有機バインダを溶剤に溶解し塗料化し、これを非磁性支持体上に塗布、乾燥することにより形成される。

0046

塗布バックコート層形成用の塗料に用いられる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノールブタノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類ジエチレングリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が使用される。

0047

非磁性支持体上に塗布バックコート層を形成するための塗布方法は特に限定されず、エアドタコート、ブレードコート、エアナイフコート、スクィズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコートキスコート、キャストコート、エクストルージョンコート、スピンコート等従来の方法はいずれも採用可能である。非磁性支持体上に形成された塗布バックコート層は、加熱空気等により乾燥して有機溶剤を除去し、必要に応じて硬化処理を施す。

0048

薄膜バックコート層に採用される材料としては、例えばカーボン、グラファイトダイアモンド状カーボン、SiO2 、Si3 N4 、SiON、SiC、Al2 O3 、AlN、TiO2 、Cr2 O3 、TiN、TiC、ZrO2 、MgO、BN、CoOあるいは非磁性金属等を単独あるいは複合膜として使用される。さらにはポリパラキシリレン(商品名パリレン)やフッ素樹脂等、真空薄膜形成技術を適用可能な有機高分子を用いることもできる。これら材料を単層あるいは積層で用いてもよい。

0049

薄膜バックコート層の形成方法は、真空薄膜形成法すなわちDCスパッタリング法、RFスパッタリング法イオンビームスパッタリング法マグネトロンスパッタリング法反応性スパッタリング法等の各種スパッタリング法や、蒸着法、反応性蒸着法イオンプレーティング法等が採用される。プラズマCVD法ECRプラズマCVD法減圧CVD法等を採用してもよい。有機高分子薄膜の場合には、蒸着法や原料モノマガスプラズマ重合により形成することができる。いずれの方法においても、非磁性支持体やこの上に設けられた塗布バックコート層が熱変形しないように非磁性支持体等を冷却しながら形成することが望ましい。このように形成したバックコート層にも、トップコート層を形成してもよい。この場合のトップコート層の材料や形成方法は、金属酸化物被膜上に形成するトップコート層に準じてよい。塗布型のバックコート層の場合には、通常用いられる潤滑剤あるいは防錆剤をバックコート塗料中に内添してもよい。かかるトップコート層の形成により、安定した走行性、耐久性および防錆効果を有する磁気記録媒体を得ることができる。

0050

次に、図2に示した磁気記録媒体の製造方法の一例を、さらに詳しく説明する。

0051

一例として、厚さ10μm、幅150mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる非磁性支持体11の片面に、アクリル酸エステルを主成分とする水溶性ラテックスを分散させたエマルジョン溶液を塗布し、粒子密度3×104 個/mm2 の表面突起を有する下塗り層12を形成し、広義の意味の非磁性支持体を用意した。次に下塗り層12上に、一般的なリールツーリール方式連続巻き取り蒸着装置を用いて、金属薄膜型磁気記録層13を形成した。蒸着条件の一例を下記に示す。
蒸着用インゴット材 : Co100 %
入射角45〜90 °
走行速度 25 m/min
酸素導入量3.3〜4.0×10-6 m3 /sec
蒸着時真空度7×10-2 Pa
膜厚200 nm
この金属薄膜型磁気記録層13の磁気特性は、蒸着チャンバ内に酸素を導入することにより、保磁力Hc=110kA/m、残留磁束密度Br=0.45Tに調整された。

0052

つぎにマグネトロンタイプのイオンガンを有するイオンビーム処理装置を用い、金属薄膜型磁気記録層13が形成された非磁性支持体11をリールツーリール方式で連続巻き取り走行させながら、酸素イオンを金属薄膜型磁気記録層13に照射した。酸素イオンの照射条件の一例を下記に示す。
加速電圧120 V
ドーズ量 1×1017 ions/cm2
金属酸化物被膜厚さ 10 nm
酸素イオン照射後、非磁性支持体11や下塗り層12の耐熱性の範囲内で熱処理を施してもよい。

0053

次にPETフィルムの他方の面(裏面)にバックコート層16を形成した。バックコート層16用の塗料は、一例として下記組成によった。
カーボン粒子100 重量部
(旭カーボン社製カーボンブラック#60)
有機バインダ100 重量部
(ポリウレタンを主成分とする)
溶剤250 重量部
(メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=2/1/1)
この組成物をボールミルで混合し、塗布直前に硬化剤(コロネートL)を有機バインダに対して10重量部添加した。この塗料を走行速度150m/secのグラビアコータにより、乾燥塗布厚が0.5μmとなるように塗布した。

0054

つぎにパーフルオロポリエーテルアルキルアミン塩およびカルボン酸パーフルオロアルキルエステルを等重量ずつ混合した潤滑剤組成物を使用し、これをトルエンに0.15重量%となるように溶解してトップコート溶液を調製し、このトップコート溶液を金属酸化物被膜14上に塗布、乾燥してトップコート層15を形成した。トップコート層は、バックコート層16側にも形成してもよい。

0055

以上の工程を終えた後、8mm幅裁断してカセットに収納し、本実施形態例の磁気記録媒体とした。

0056

磁気記録再生装置
磁気記録再生装置としては、回転ヘッド固定ヘッドあるいはウィンチスタタイプヘッドを問わず、本発明の磁気抵抗効果型ヘッドを再生ヘッドとして有する装置と、本発明の磁気記録媒体とを組み合わせて使用する形態のものであれば、いかなる形式のものでも適用できる。具体的には磁気抵抗効果型ヘッドを再生ヘッドとして搭載したデジタルビデオテープレコーダハードディスク装置等が代表的に例示されるが、個々の説明は省略する。

0057

以上、本発明の磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気記録媒体ならびにこれらを用いた磁気記録再生装置につき詳細な説明を加えたが、これらは単なる例示であり、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。

0058

また磁気記録媒体は金属薄膜型の磁気テープを例示したが、その層構成磁性材料等は各種変更が可能である。また金属薄膜型磁気記録層を有するハードディスクやフロッピディスクにも本発明を適用できることは言うまでもない。

発明の効果

0059

以上の説明から明らかなように、本発明の磁気抵抗効果型ヘッドによれば、摺動面に非磁性硬質絶縁性被膜を有するので磁気抵抗効果膜が短絡する虞れが低減し、また極く薄い被膜で耐磨耗性を発揮するので、摺動面の磨耗や偏磨耗が少なく、スペーシングロスの少ない高感度の再生ヘッドを提供することができる。

0060

また本発明の磁気記録媒体は、磁気記録層の表面突起密度が適度な範囲にあるとともに、表面の極く薄い部分が制御性よく金属酸化物被膜に変換されているので、磁気抵抗効果型ヘッドの磁気抵抗効果膜の短絡が防止され、磁気ヘッド磨耗を低減するとともに磁気記録媒体そのものの走行性や耐久性が向上する。また金属酸化物被膜の厚さは極く薄いので、この面からもスペーシングロスの少ない高感度の磁気記録媒体を提供することができる。

0061

かかる構成の磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気記録媒体を採用した磁気記録再生装置は、再生ヘッドの短絡事故や磨耗を発生する虞れが低減され、耐久性、走行性に優れた高密度磁気記録再生装置を実現することが可能となる。

図面の簡単な説明

0062

図1本発明の磁気抵抗効果型ヘッドに硬質カーボン系被膜を形成するためのプラズマCVD装置の一構成例を示す概略断面図である。
図2本発明の磁気記録媒体の一構成例を示す概略断面図である。
図3フィラー密度と磁気ヘッド磨耗の関係を示すグラフである。
図4酸素イオンの加速電圧とCo3 O4 層の膜厚の関係を示すグラフである。
図5酸素イオンのドーズ量と酸化コバルト層の構成原子比の関係を示すグラフである。
図6磁気抵抗効果型ヘッドの構成の一例を示す概略斜視図である。

--

0063

1…処理チャンバ、2…処理ステージ、3…ガス導入孔、4…反応管、5…電極、6…電源、7…ガス排気孔
11…非磁性支持体、12…下塗り層、13…金属薄膜型磁気記録層、14…金属酸化物被膜、15…トップコート層、16…バックコート層
21…磁気抵抗効果膜、22…電極、23…バイアス電源、24…出力端子、25…磁気シールド、26…磁気記録媒体、27…磁化回転層、28…スペーサ層、29…磁化固定層、30…反強磁性層

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