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技術 ゲルマンの製造方法

出願人 三井化学株式会社
発明者 安武剛宮田慎治
出願日 1997年4月18日 (22年11ヶ月経過) 出願番号 1997-102078
公開日 1998年11月4日 (21年4ヶ月経過) 公開番号 1998-291804
状態 特許登録済
技術分野 水素、水、水素化物 水素、水、水素化物
主要キーワード 生成ガス流量 テフロン製容器 かにはし 金属ゲルマニウム ゲルマナイド 両水溶液 水酸化カリウム濃度 ゲルマニウム源
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年11月4日)のものです。
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図面 (4)

課題

収率モノゲルマンを得る。

解決手段

二酸化ゲルマニウムアルカリ金属ボロハイドライド金属水酸化物水溶液と酸を反応させゲルマンを得る方法に於いて、反応させた後の反応溶液のpHが7以下であるゲルマンの製造方法。

概要

背景

モノゲルマンは主としてアモルファスシリコンゲルマニウム薄膜原料として使用されている。これはアモルファスシリコン薄膜より長波長側の光の吸収効率が高いという特性があるため、今後長波長光変換効率の高い太陽電池や長波長光感度の高い感光ドラムの開発が進むにつれ、モノゲルマンの需要も著しく伸びてくるものと期待されている。このため、アモルファスシリコンゲルマニウム薄膜の原料として使用できるような高純度のモノゲルマンを工業的に安定に、またいうまでもなく安価に製造する技術が求められている。ゲルマンの製造は、古くは1900年代の初頭にその報告があるが、本格的に研究が始まったのは1920年代以降である。

これまでのゲルマン生成反応型式は大きく次の3つに分類される。
1)マグネシウムゲルマナイド(Mg2Ge)と酸もしくはハロゲン化アンモニウムの反応
例えば、Krans、Carney,J.Am.Chem.Soc.;vol.56,P765(1934)
2)四塩化ゲルマニウム(GeCl4)と水素化剤との反応
例えば、Finholt、Bond,J.Am.Chem.Soc.;vol.69,P2692(1947)
3)二酸化ゲルマニウム(GeO2)と水素化剤との反応
例えば、Piper、Wilson,J.Inorg.Nucl.Chem.;vol.4,P22(1957)

これまでゲルマンの原料として使用されてきた金属ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム及び二酸化ゲルマニウムは、ゲルマニウムを基準に考えると価格的には大きな差異はないため、工業的にゲルマンを製造するためには、取扱いの容易な原料を使用する方が有利である。即ち、大気中で加水分解して塩酸ミストを生成するような四塩化ゲルマニウムを原料とするよりは、ゲルマニウム源としては安定な二酸化ゲルマニウムを、水素化剤としては大気中でも水溶液としても取扱いのできるアルカリ金属ボロハイドライドを原料とし、かつ二酸化ゲルマニウム自体が極めて高価であるため、高収率でモノゲルマンを製造する方法であることが望ましい。

ここでいう高収率とは、原料の転化率が高く、またジゲルマンやトリゲルマンのような高次ゲルマンの副生が少ないことを意味する。

二酸化ゲルマニウムとアルカリ金属ボロハイドライドから製造した例としては例えば、Piper、Wilsonらの報告がある[J.Inorg.Nucl.Chem.;vol.4,P22(1957)]。彼らは、水素化剤にナトリウムボロハイドライドを用い、臭化水素酸に溶解した二酸化ゲルマニウムを水素化する方法で、最適条件下に於いて収率73%を得たと報告している。

また、Drake、Jollyらの報告[J.Chem.Soc.;2807(1962)]は、二酸化ゲルマニウムとカリウムボロハイドライドを溶解したアルカリ水溶液と酸とを接触させる方法であり、酸として酢酸を用いた場合の最適条件下に於いて収率73%を得たと報告している。これらは安定な原料を用いているため反応操作は複雑なものではないが、何れも最適条件下でも転化率が70%台と低く、未反応分回収を行わないとロスが大きいため、工業的には不利である。

これに対し、同様の原料で高収率でモノゲルマンを得ることができる方法を開示したものとして、USP 4,668,502号公報(1987)が挙げられる。該公報に開示された方法は、二酸化ゲルマニウムのアルカリ水溶液(第一溶液)にアルカリ金属ボロハイドライドを添加してなる水溶液(第二溶液)を硫酸水溶液と接触せしめ、モノゲルマンを得る方法であり、第一溶液中の二酸化ゲルマニウム濃度、アルカリ/二酸化ゲルマニウム比、第一溶液に添加するアルカリ金属ボロハイドライド量、酸濃度反応温度等の諸条件を特定の範囲とすることにより、78%以上、実施例によれば、最高で97%の収率でモノゲルマンを得る方法である。

概要

高収率でモノゲルマンを得る。

二酸化ゲルマニウムとアルカリ金属ボロハイドライドの金属水酸化物水溶液と酸を反応させゲルマンを得る方法に於いて、反応させた後の反応溶液のpHが7以下であるゲルマンの製造方法。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

二酸化ゲルマニウムアルカリ金属ボロハイドライド金属水酸化物水溶液と酸を反応させゲルマンを得る方法に於いて、反応させた後の反応溶液のpHが7以下であることを特徴とするゲルマンの製造方法。

請求項2

反応溶液のpHが5以下である請求項1記載の方法。

請求項3

二酸化ゲルマニウムの濃度が0.5mol/L以下、金属水酸化物を二酸化ゲルマニウム1モルに対して2化学当量以上、アルカリ金属ボロハイドライドを二酸化ゲルマニウム1モルに対して4モル以上である請求項1または2記載の方法。

請求項4

二酸化ゲルマニウムの濃度が0.3mol/L以下、金属水酸化物を二酸化ゲルマニウム1モルに対して2化学当量以上、アルカリ金属ボロハイドライドを二酸化ゲルマニウム1モルに対して4モル以上である請求項1または2記載の方法。

請求項5

反応温度が0〜50℃の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

反応が回分操作である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

反応が連続操作である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

二酸化ゲルマニウムの転化率が少なくとも90%以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

二酸化ゲルマニウムの転化率が少なくとも93%以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明はゲルマンガスの製造方法に関する。より詳しくは、高次ゲルマンの生成を低く抑えつつ、モノゲルマンを効率よくかつ安価に製造する方法に関する。

背景技術

0002

モノゲルマンは主としてアモルファスシリコンゲルマニウム薄膜原料として使用されている。これはアモルファスシリコン薄膜より長波長側の光の吸収効率が高いという特性があるため、今後長波長光変換効率の高い太陽電池や長波長光感度の高い感光ドラムの開発が進むにつれ、モノゲルマンの需要も著しく伸びてくるものと期待されている。このため、アモルファスシリコンゲルマニウム薄膜の原料として使用できるような高純度のモノゲルマンを工業的に安定に、またいうまでもなく安価に製造する技術が求められている。ゲルマンの製造は、古くは1900年代の初頭にその報告があるが、本格的に研究が始まったのは1920年代以降である。

0003

これまでのゲルマン生成反応型式は大きく次の3つに分類される。
1)マグネシウムゲルマナイド(Mg2Ge)と酸もしくはハロゲン化アンモニウムの反応
例えば、Krans、Carney,J.Am.Chem.Soc.;vol.56,P765(1934)
2)四塩化ゲルマニウム(GeCl4)と水素化剤との反応
例えば、Finholt、Bond,J.Am.Chem.Soc.;vol.69,P2692(1947)
3)二酸化ゲルマニウム(GeO2)と水素化剤との反応
例えば、Piper、Wilson,J.Inorg.Nucl.Chem.;vol.4,P22(1957)

0004

これまでゲルマンの原料として使用されてきた金属ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム及び二酸化ゲルマニウムは、ゲルマニウムを基準に考えると価格的には大きな差異はないため、工業的にゲルマンを製造するためには、取扱いの容易な原料を使用する方が有利である。即ち、大気中で加水分解して塩酸ミストを生成するような四塩化ゲルマニウムを原料とするよりは、ゲルマニウム源としては安定な二酸化ゲルマニウムを、水素化剤としては大気中でも水溶液としても取扱いのできるアルカリ金属ボロハイドライドを原料とし、かつ二酸化ゲルマニウム自体が極めて高価であるため、高収率でモノゲルマンを製造する方法であることが望ましい。

0005

ここでいう高収率とは、原料の転化率が高く、またジゲルマンやトリゲルマンのような高次ゲルマンの副生が少ないことを意味する。

0006

二酸化ゲルマニウムとアルカリ金属ボロハイドライドから製造した例としては例えば、Piper、Wilsonらの報告がある[J.Inorg.Nucl.Chem.;vol.4,P22(1957)]。彼らは、水素化剤にナトリウムボロハイドライドを用い、臭化水素酸に溶解した二酸化ゲルマニウムを水素化する方法で、最適条件下に於いて収率73%を得たと報告している。

0007

また、Drake、Jollyらの報告[J.Chem.Soc.;2807(1962)]は、二酸化ゲルマニウムとカリウムボロハイドライドを溶解したアルカリ水溶液と酸とを接触させる方法であり、酸として酢酸を用いた場合の最適条件下に於いて収率73%を得たと報告している。これらは安定な原料を用いているため反応操作は複雑なものではないが、何れも最適条件下でも転化率が70%台と低く、未反応分回収を行わないとロスが大きいため、工業的には不利である。

0008

これに対し、同様の原料で高収率でモノゲルマンを得ることができる方法を開示したものとして、USP 4,668,502号公報(1987)が挙げられる。該公報に開示された方法は、二酸化ゲルマニウムのアルカリ水溶液(第一溶液)にアルカリ金属ボロハイドライドを添加してなる水溶液(第二溶液)を硫酸水溶液と接触せしめ、モノゲルマンを得る方法であり、第一溶液中の二酸化ゲルマニウム濃度、アルカリ/二酸化ゲルマニウム比、第一溶液に添加するアルカリ金属ボロハイドライド量、酸濃度反応温度等の諸条件を特定の範囲とすることにより、78%以上、実施例によれば、最高で97%の収率でモノゲルマンを得る方法である。

発明が解決しようとする課題

0009

本発明者らもUSP 4,668,502号公報の実施例に従って条件を整え、ゲルマン生成実験を行って、原料として使用した二酸化ゲルマニウムの90%前後が転化しており、高収率でゲルマンを得る方法であることを実験的に確認した。

0010

しかしながら、この方法ではジゲルマンの生成量が多く、条件によっては反応溶液中に黄色の高次ゲルマンの沈殿物が生成するためモノゲルマンの収率が低下すること、また反応中のガス発生速度が安定しない、原料の供給を停止してもしばらくの間ゲルマンの生成が継続するといった状況も同時に明らかとなった。ゲルマンは自己分解性があり、この特性による事故も数件報告されている。また発火性があること、猛毒性ガスであることを考えると取扱いは極めて慎重に行う必要があり、工業的に安定にモノゲルマンを製造するため前述の状況は致命的ともいえる問題点である。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、二酸化ゲルマニウムとアルカリ金属ボロハイドライド、及び酸との反応でゲルマンを得る方法を前提に、高収率で安価にまた工業的に安定にモノゲルマンを製造する方法について鋭意検討を行った。

0012

この結果、反応の型式はUSP 4,668,502号公報に一例を記載の如く、二酸化ゲルマニウムとアルカリ金属ボロハイドライドを含むアルカリ水溶液(以下反応原料水溶液と記す)を予め調製し、これを酸と反応させる方法が最も容易であることを確認した。

0013

また、ジゲルマンを含む高次ゲルマンの生成を最小限に抑制すれば精製工程が簡略化され、結果として安価にモノゲルマンを得ることができるという判断から、及び工業的に安定に製造を行うためには、ゲルマンの発生速度が安定しており、かつ反応原料水溶液の供給停止と共に直ちにゲルマンの生成も停止するような状況が好ましいという判断から更に検討を進めた。この結果、反応原料水溶液と酸との反応溶液のpHが7以下の領域であった場合は、ジゲルマンの生成量を低く抑えられ、高次ゲルマンの沈殿物も生成しないことを、極めて安定にゲルマンの生成反応が進行し、反応原料水溶液の供給を停止しても短時間でゲルマンの生成も停止することを明らかにした。これに対しpHが7以上の領域であった場合には、ジゲルマンの生成量が多くかつ反応溶液中に高次ゲルマンの沈殿物が生成すること、ガスの生成速度は不安定で、反応原料水溶液の供給を停止してもしばらくの間ゲルマンの生成が継続することを見出し本発明を完成するに至った。

0014

即ち、本発明は二酸化ゲルマニウムとアルカリ金属ボロハイドライドの金属水酸化物水溶液と酸を反応させゲルマンを得る方法に於いて、反応させた後の反応溶液のpHが7以下であることを特徴とするゲルマンの製造方法に関する。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下、本発明を詳細に説明する。本発明は安価な原料から純度の高いモノゲルマンを高収率でかつ工業的に安定に製造する方法であり、回分操作でも連続操作でも対応しうる。反応は、先にも述べたように二酸化ゲルマニウムとアルカリ金属ボロハイドライドを含むアルカリ水溶液(前出、反応原料水溶液)と酸との反応である。二酸化ゲルマニウムとアルカリ金属ボロハイドライドとを混合してもアルカリ水溶液中では何の反応も進行しないため、反応原料水溶液の調製方法に特に限定はない。USP 4,668,502号公報に記された如く、所定比率の二酸化ゲルマニウムの金属水酸化物水溶液に粉末のアルカリ金属ボロハイドライド粉末を添加してもよいし、予め所定濃度のアルカリ水溶液を調製しておいて、これに二酸化ゲルマニウム粉末及びアルカリ金属ボロハイドライド粉末を添加してもよい。

0016

本発明では反応原料水溶液中の二酸化ゲルマニウムの濃度は好ましくは0.5mol/L以下、より好ましくは0.3mol/L以下で、また金属水酸化物は、二酸化ゲルマニウム1モルに対して2化学当量以上、アルカリ金属ボロハイドライドは、二酸化ゲルマニウム1モルに対して4モル以上の範囲であることが好ましい。この領域を外れると、二酸化ゲルマニウムの転化率が低下するため高収率で、即ち安価にモノゲルマンを製造することができなくなる。

0017

ここで金属水酸化物の化学当量とは、酸として作用する1当量の水素を含む酸を中和する塩基の量と定義し、例えば水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物なら2化学当量は2モル、水酸化カルシウムのようなアルカリ土類金属水酸化物なら2化学当量は1モルである。

0018

二酸化ゲルマニウムや金属水酸化物、アルカリ金属ボロハイドライドの純度に関しては特に制限はないが、モノゲルマンは取扱いが難しく、精製工程を簡略化することが望ましいため、不純物の生成を極力抑制するという意味で原料は比較的純度の高いものを使用することが好ましい。

0019

また金属水酸化物、アルカリ金属ボロハイドライド共特に物質を限定されるものではなく、単に安価であるという理由で前者なら水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化カルシウム等、後者ではナトリウムボロハイドライドかカリウムボロハイドライドが好ましい物質として挙げられる。

0020

該反応原料水溶液は、酸と反応せしめモノゲルマンを生成させる。酸の種類にも特に制限はなく、例えば、硫酸燐酸のような無機酸、酢酸やプロピオン酸等の有機酸でも好適に使用可能である。但し、モノゲルマンの精製を考えると塩酸のような揮発性の酸は避けた方が好ましい。更に、反応温度は0〜50℃で行うのが好ましい。反応温度が0℃未満では二酸化ゲルマニウムの転化率が低下するので好ましくない。また、50℃を超えるとジゲルマンを含む高次ゲルマンの生成量が多くなるため好ましくない。反応原料水溶液と酸と反応せしめる方式は、所定量の酸の中に反応原料水溶液を供給してもよいし、連続的に酸と反応原料水溶液を接触させてもよい。

0021

但し、本発明では反応原料水溶液と酸との反応溶液のpHが7以下、好ましくは5以下となる条件を選択しなければならない。この点が本発明の最も重要な点である。ここに反応溶液とは、反応原料水溶液と酸とを反応させた後のガスの発生がなくなった残りの水溶液と定義し、具体的にはゲルマンガス及びアルカリ金属ボロハイドライドの分解による水素の発生が終了もしくは停止した残りの水溶液を意味する。

0022

USP 4,668,502号公報では硫酸の濃度を1.5〜3.0mol/Lの範囲に限定しているものの、絶対量は特に限定はされていない。が、実施例の最適条件と記された中には、GeO2:H2SO4の比として、1:1〜1:2の範囲であると明記されている。しかしながら、実はこの条件を満たすように反応原料水溶液と酸との反応を行った場合は、反応溶液はpHが約11でアルカリ領域となる。従って反応原料水溶液と酸とを連続的に接触させた場合は、ジゲルマンの生成量が多く、またガスの発生速度が安定しない、原料と酸との反応を停止しても、しばらくの間反応溶液からゲルマンの生成が継続するといった問題点が発生する。

0023

また反応の形式を変えて、所定量の酸の中に反応原料水溶液を徐々に添加していく場合は、反応溶液のpHが7以下の領域である間はジゲルマンの含有量の少ないモノゲルマンが安定的に生成し、また反応原料水溶液の供給を停止すると数秒でゲルマンの発生も停止するが、添加を継続しpHが7以上の領域となったと同時に、先に述べたようにジゲルマンの生成量が多くなる、ガスの発生速度が安定しなくなる、反応原料水溶液と酸との反応を停止しても、しばらくの間反応溶液からゲルマンの生成が継続する、ジゲルマンの生成量が多くなるといった問題点が発生するのである。

0024

この理由の詳細は明らかにはし得ないが、アルカリ金属ボロハイドライドは酸の水溶液中では直ちに分解されるのに対し、アルカリ水溶液中では比較的安定であり、分解の速度が遅くなることに起因するものと考えている。即ち、純度の高いモノゲルマンを高収率でかつ工業的に安定に製造するためには、反応原料水溶液と酸とを、反応後の水溶液がpH7以下となる条件で反応を行わなければならないのである。この条件範囲とするためには、酸の濃度を高くしても、特定の濃度の酸の絶対量を多くしても、本発明を遂行するに何ら支障はない。

0025

以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお二酸化ゲルマニウム、ナトリウムボロハイドライド、水酸化カリウム、硫酸はすべて関東化学社製の試薬を、水はイオン交換水を使用した。また、%は特記しない限り重量基準を表す。
実施例1
容量1Lのガラス三角フラスコに2.8%水酸化カリウム水溶液532gを調製し、これに二酸化ゲルマニウム粉末7.2gとナトリウムボロハイドライド粉末15.6gを添加、攪拌、溶解して反応原料水溶液を調製した。この条件で、二酸化ゲルマニウム濃度は0.13mol/L、水酸化カリウム濃度0.5mol/L、水酸化カリウム/二酸化ゲルマニウム≒3.8、ナトリウムボロハイドライド/二酸化ゲルマニウム≒6となる。また、他の1Lガラス製三角フラスコに27%硫酸水溶液(約3mol/L)を調製した。容量1Lで密閉のできる蓋付テフロン反応器に27%硫酸水溶液150gを仕込んで蓋を閉め、反応原料水溶液供給ライン温度計キャリヤ窒素発生ガス出口ラインを接続した。反応器はスターラーで攪拌ができるようにし、また容器ごと温浴に浸して、反応温度を25〜35℃に調節した。

0026

この反応器に反応原料水溶液をプランジャポンプを用いて2.7cc/minの速度で、またガスのキャリヤとして窒素を30cc/minで定量的に供給した。反応原料水溶液の供給開始と共にガスが発生し、このガスをガスクロマトグラフィー分析したところ、モノゲルマンと水素を主成分とするものであり、またIR分析でジゲルマンは殆ど生成していないことを確認した。反応は約3時間、反応原料水溶液を約500g供給したところで停止したが、反応原料水溶液の供給停止後、数秒でガスの生成も停止することを確認した。また、反応期間中ガスの生成速度は160〜170L/minで安定していた。反応終了後残液のpHは2以下で沈殿の生成は認められなかった。また残水溶液中のゲルマニウムをICP(誘導結合プラズマ分析)で分析したところ、二酸化ゲルマニウムの転化率は98%であった。

0027

比較例1
実施例1で使用したテフロン製容器に、硫酸水溶液供給ラインを更に接続し、その他は実施例1と同様にして、調製した反応原料水溶液を2.8cc/min、硫酸水溶液を0.2cc/minの速度で定量的に連続供給した。この条件で、硫酸/二酸化ゲルマニウム≒2となる。両水溶液の供給開始と共にガスが発生し、ガスクロマトグラフィーではモノゲルマンガスと水素が主成分であり、またIRの分析ではジゲルマンの生成量が実施例1よりも大幅に増加していることがわかった。反応は約3時間、反応原料水溶液を約500g、硫酸水溶液を45g供給したところで停止したが、反応期間中のガスの生成速度は100〜200L/minのバラツキがあった。両液の供給停止後もガスの生成が持続し、供給停止後120分の時点でガスクロマトグラフィーで生成しているガスの組成を分析したところ、モノゲルマンが存在することを確認した。反応終了後の残液のpHは10以上で、反応溶液中に黄色の沈殿が生成しているのを確認した。液を濾過した後、沈殿物の成分をXRF(蛍光X線分析)で分析したところ、ゲルマニウムを主成分とするものであることがわかった。なお、二酸化ゲルマニウムの転化率は86%であった。

0028

実施例2
1Lガラス製三角フラスコに13.5%硫酸水溶液(約1.5mol/L)を調製し、テフロン製反応器に硫酸水溶液約60gを仕込んで蓋をした。この反応器にpHメーターを設置した以外は実施例1と同様にして、反応原料水溶液をプランジャポンプを用いて2.2cc/minの速度で、またガスのキャリヤとして窒素を30cc/minで定量的に供給した。反応原料水溶液の供給開始と共にガスが発生した。液がpH7以下の領域の間はガスの生成速度は130〜150L/minで安定していたが、供給開始後60分を経過したから液のpHが上昇し、pH7以上の領域に入ると共に、ガスの発生速度が次第に遅く、またばらつきが激しくなる傾向が認められた。

0029

図1は実施例2のpH変化と生成ガス流量の関係を記したものである。図2は反応溶液がpH7以下の領域の際に生成しているガス、及び図3はpH7以上の領域に変化した時に生成しているガスのIRスペクトルである。図2図3中○印を付けたところがジゲルマンの吸収であるが、図3のpH7以上の領域で生成するガスはジゲルマンの含有量が多いことが明らかである。反応は約2時間、反応原料水溶液を約280g供給したところで停止したが、反応原料水溶液の供給停止後も、ガスの生成は持続していた。反応終了後の残液のpHは約10であり、二酸化ゲルマニウムの転化率は92%であった。

発明の効果

0030

本発明は、二酸化ゲルマニウムアルカリ金属ボロハイドライドのアルカリ金属水酸化物水溶液と酸とを、反応溶液がpH7以下となる条件で反応を行うこと方法である。この方法はこれまで述べた如く、ゲルマンの発生速度が安定しており、かつ反応原料水溶液の供給停止と共に直ちにゲルマンの生成も停止するするため、安定にモノゲルマンの生成反応を行うことができる。また、ジゲルマンの生成量も少ないため精製工程も簡略化することができるため、結果として安価にモノゲルマンを得ることができる。以上を総合して考えると、本発明の効果は大きいと考える。

0031

図面の簡単な説明

0032

図1実施例2のpH変化と生成ガス流量の関係
図2反応溶液がpH7以下の領域の際に生成しているガスのIRスペクトル
図3反応溶液がpH7以上の領域の際に生成しているガスのIRスペクトル

--

0033

D:ジゲルマンの吸収

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