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技術 特異な分子配向の混合状態を有する合成繊維およびそれに関連する繊維の製造方法と装置

出願人 東レ株式会社
発明者 岡本三宜
出願日 1997年12月10日 (23年2ヶ月経過) 出願番号 1997-339734
公開日 1998年10月20日 (22年4ヶ月経過) 公開番号 1998-280223
状態 未査定
技術分野 合成繊維 紡糸方法及び装置
主要キーワード ユラギ 制御用部材 形状記憶合金繊維 三角錘状 ピストン的 支え突起 均衡点 本発明達
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年10月20日)のものです。
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図面 (11)

課題

屈折の高い糸と複屈折の低い糸を混在した繊維を同時紡糸し、あとは通常またはこれに適した後加工工程を通すことにより、感性に強く訴え風合のよい繊維または嵩高な繊維を作ることを一つの目的としている。

解決手段

ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、あるいはポリサルファイド系のポリマー溶融紡糸された繊維であって、該繊維断面において、最外層を除いた中心部周りよりも中心部の分子配向が高いものと、そうでないものとが混在していることを特徴とする特異な分子配向を有する混合された合成繊維

概要

背景

従来、同一ポリマー系の紡糸において極端な分糸配向差のある混繊紡糸法は、実質的に皆無である。ポリマーを変えたり、太さや断面を変えたり、冷却風熱板の差により、いろいろ試みられているようであるが、同一ポリマー系で大差のある混繊は見当たらない。他方、従来、繊維学会誌VOL,37,No.4(1981) T−135〜142ページ清水二郎らの研究報文ポリエチレンテレフタレート繊維高速紡糸断面不均一構造〕や、A.Ziabicki & H Kawai eds, 〔 John Wiley (1985) High Seed Fiber Spinning 〕 の446ページ、最新の紡糸技術(繊維学会編)第1版1刷((株)高分子刊行会ISBN4−7702−0057−9)の35ページと56ページに泰弘が解説しているように、6000m/min.の紡糸では現れなかったスキンコア構造が、紡糸速度8000m/min.では明瞭に現れることを指摘している。その理由を外部からの冷却によるなど色々と推定しているが、確固たる決め手はない。また谷雄士らは、繊維学会誌Vol.51,No.9 (1995)ページ408〜415〔芯鞘複合繊維の高速紡糸における繊維構造形成〕において、芯またはに他の高分子(B成分という)を配置すると、その新たに配置したB成分高分子の種類により、元の繊維形成高分子(A成分という)は、単一成分の紡糸の場合と大きく異なる微細構造を持つにいたり、その作用は、ポリマーの組み合わせに対応してマイナスの場合も、プラスの場合(つまり逆の場合)もそれぞれが起こることを示している。

口金内部に突起物を挿入するものとして、特開昭57−56337号公報、特開昭62−170513号公報、特開平1−272817号公報が提案されている。

これらはいずれも、針状物を用いているため、高度の精密加工や位置合わせを必要とし、また例えば何かに触れたとき、突起や針が曲がってしまい使いものにならなくなるという問題を有する。特に、口金面より突出させる場合、針状物はわずかな固定方法誤差により針状物が口金孔の壁面に接触してしまい、また斜め状に突出されたり、熱ひずみで曲がったり、また針状物が取扱上、危険であるばかりでなく、口金を固定するパック内への挿入が困難で実質的工業的価値がないといえるものであった。また、そのために、従来は口金面からの突出がわずかに抑えられており、紡糸時の分子配向効果は実質的に認められなかった。

概要

屈折の高い糸と複屈折の低い糸を混在した繊維を同時紡糸し、あとは通常またはこれに適した後加工工程を通すことにより、感性に強く訴え風合のよい繊維または嵩高な繊維を作ることを一つの目的としている。

ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、あるいはポリサルファイド系のポリマーの溶融紡糸された繊維であって、該繊維断面において、最外層を除いた中心部周りよりも中心部の分子配向が高いものと、そうでないものとが混在していることを特徴とする特異な分子配向を有する混合された合成繊維

目的

さらに、本発明に係る目的の一つは、糸状形成時に伴う単なる冷却効果を高め、極端な繊維複屈折をもたらす紡糸方法および紡糸装置、およびこれら分子配向差の大きい混合繊維の同時紡糸とそれから得たものを提供することにある。しかもその場合に取扱の容易性、危険のなさ、高度の精密加工技術の不要なことを目的とする。また、吐出流体速度分布が、簡便な測定では現れない、繊維内部の内外構造差や、繊維の特性に重要な物性の差をもたらしていることに注目し、内外構造差の少ない合成繊維およびその製造方法と装置も提供することも他の目的としている。

換言すれば、これらの本発明の目的の一つには、紡糸粘性流体の管を流れる時の中央部の流れ(管壁を始点とする放物線状に近い流れで、中心部の流れが最も速く、再び他の管璧に近づくにつれて流速がゼロに近づく流れ)曲線フキキシブルな繊維を沿わせると精密加工なしに繊維が自然に流体に沿って吐出ポリマーのほぼ中央に配置し、さらに極端な「ツララ紡糸」(後述)という驚くべき結果を巧みに利用して上記目的を達成する具体的手段を提供することを目的としている。また、ポリマーの流れを均一にした紡糸方法とそれから得た繊維、及びそのための装置や口金を提供することも目的とする。

また微妙に異なる糸質を改良することを目的とする。更に高速紡糸(PETでは5500〜7000m/分)での糸質の均一化や、中速度または低速度でもそれぞれ、高速度または中速度なみの糸質を得たい場合の手段を提供することを目的とする。

すなわち、合成繊維は、近時余りにも均一過ぎたものが普及しすぎて、天然素材のような、自然なムラに基づく(例えば複屈折差混繊糸)、良好な風合い、表現の困難な飽きの来ない感触色柄のムラ感、自然感があるものが、作り難かった。1/fユラギ思想やコントロールドランダムネス思想を導入して、繊維にムラを積極的に付与する研究や技術開発がが行われているものの、原理が均一なものを、生産性良く作るようになっているので、自ずから限界があり、この積極的なムラ繊維紡糸技術が求められながら、未だ不十分または未達成と言わざるを得ない状況にある。本発明は、新しい繊維ムラ生産技術を提供することにもある(例えば、複屈折差混繊技術または後で述べる示差走査熱量計による低温ピーク温度の差のある混繊技術×デニール混繊技術×吐出孔径混繊技術)(×印は組み合わせ相乗効果を意味する)。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、あるいはポリサルファイド系のポリマー溶融紡糸された繊維であって、該繊維断面において、最外層を除いた中心部周りよりも中心部の分子配向が高いものと、そうでないものとが混在していることを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維

請求項2

同一成分系の繊維であり、人工的に紡出された繊維であって、該繊維断面において、最外層を除いた中心部周りよりも中心部の分子配向が高いことを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維。

請求項3

繊維形成材料を押し出して、吐出孔から繊維を吐出するに際し、吐出後の吐出孔から13mm以上における繊維形成流体の中央部の流速を低下させながら吐出することを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維の製造方法。

請求項4

引き取り速度が、2500メートル/分以上であり、その紡糸素材ポリエステル系ポリマーであることを特徴とする請求項3に記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造方法。

請求項5

繊維形成材料を押し出して、吐出孔から繊維を吐出する合成繊維の製造装置において、その吐出直前の吐出孔を基準にして、該吐出孔より小さい太さであって、繊維形成吐出流の中央部の流速を低下させる繊維を前記吐出孔の実質的に中央部に13mm以上突出させて設けたことを特徴と特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

請求項6

前記繊維の太さが、丸断面換算値で直径200ミクロン以下であることを特徴とする請求項5に記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

請求項7

前記繊維が、太さが1デニール以下の超極細繊維であることを特徴とする請求項5または6に記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

請求項8

前記繊維が、直径10ミクロン以下、または1デニール以下の複数の超極細繊維からなるものであることを特徴する請求項5〜7のいずれかに記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

請求項9

前記繊維の先端が、口金面から20mm以上突出していることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

請求項10

請求項5〜9のいずれかに記載の紡糸孔と前記吐出流制御用部材が存在しない紡糸孔とを組み合わせたことを特徴とする紡糸時の複屈折の差のある繊維が混在している合成繊維の製造装置。

請求項11

請求項5〜9のいずれかに記載の紡糸孔と前記吐出流制御用部材が存在しない紡糸孔とを組み合わせたことを特徴とする紡糸時の示差走査熱量計低温ピークの差のある繊維が混在している合成繊維の製造装置。

請求項12

請求項5〜11のいずれかに記載の装置を用いて繊維を吐出することを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維の製造方法。

請求項13

繊維形成材料を押し出して、吐出孔から繊維を吐出するに際し、吐出直前の吐出孔における繊維形成流体の中央部の流速を低下させながら吐出し、かつ引き取り速度が、5500メートル/分以上であり、その紡糸素材がポリエステル系ポリマーであることを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維の製造方法。

請求項14

同時紡糸されたポリエチレン系の混合された繊維であって、延伸や仮撚の加えられていない時の状態が、示差走査熱量計の低温サイドピーク値が8℃以上差のある繊維が混合状態にあることを特徴とするポリエステル系繊維

技術分野

0001

本発明は、繊維の工業的生産において、人工的に吐出して、繊維を作る時、高速引き取りなどされる場合が多かったが、この時、繊維形成材料は、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートナイロン6ナイロン66などの高分子が多く、比較的低い紡糸速度でも高い複屈折の糸が得ること、特にそのような繊維群とそうでない繊維群の同時混繊紡糸を達成し、感性訴える嵩のある繊維を得ること、また、吐出時には非常に高い粘度を持つ場合、外周部の吐出速度と内部の吐出速度が大きく異なり、内外層の特性の異なるものが多かったがこれを補正して、より均質繊維特性を持った特異な分子配向を有する合成繊維および該合成繊維の製造方法と装置に関するものである。

背景技術

0002

従来、同一ポリマー系の紡糸において極端な分糸配向差のある混繊紡糸法は、実質的に皆無である。ポリマーを変えたり、太さや断面を変えたり、冷却風熱板の差により、いろいろ試みられているようであるが、同一ポリマー系で大差のある混繊は見当たらない。他方、従来、繊維学会誌VOL,37,No.4(1981) T−135〜142ページ清水二郎らの研究報文ポリエチレンテレフタレート繊維高速紡糸断面不均一構造〕や、A.Ziabicki & H Kawai eds, 〔 John Wiley (1985) High Seed Fiber Spinning 〕 の446ページ、最新の紡糸技術(繊維学会編)第1版1刷((株)高分子刊行会ISBN4−7702−0057−9)の35ページと56ページに泰弘が解説しているように、6000m/min.の紡糸では現れなかったスキンコア構造が、紡糸速度8000m/min.では明瞭に現れることを指摘している。その理由を外部からの冷却によるなど色々と推定しているが、確固たる決め手はない。また谷雄士らは、繊維学会誌Vol.51,No.9 (1995)ページ408〜415〔芯鞘複合繊維の高速紡糸における繊維構造形成〕において、芯またはに他の高分子(B成分という)を配置すると、その新たに配置したB成分高分子の種類により、元の繊維形成高分子(A成分という)は、単一成分の紡糸の場合と大きく異なる微細構造を持つにいたり、その作用は、ポリマーの組み合わせに対応してマイナスの場合も、プラスの場合(つまり逆の場合)もそれぞれが起こることを示している。

0003

口金内部に突起物を挿入するものとして、特開昭57−56337号公報、特開昭62−170513号公報、特開平1−272817号公報が提案されている。

0004

これらはいずれも、針状物を用いているため、高度の精密加工や位置合わせを必要とし、また例えば何かに触れたとき、突起や針が曲がってしまい使いものにならなくなるという問題を有する。特に、口金面より突出させる場合、針状物はわずかな固定方法誤差により針状物が口金孔の壁面に接触してしまい、また斜め状に突出されたり、熱ひずみで曲がったり、また針状物が取扱上、危険であるばかりでなく、口金を固定するパック内への挿入が困難で実質的工業的価値がないといえるものであった。また、そのために、従来は口金面からの突出がわずかに抑えられており、紡糸時の分子配向効果は実質的に認められなかった。

発明が解決しようとする課題

0005

例えば、ポリエステル繊維ポリアミド繊維は、今日全世界において、膨大な生産量に至っている。従って、この大量生産に至っている繊維の製法に基本的な変更をもたらすと、基盤技術として、また、コアー技術として、全世界に重大な影響をもたらすものである。

0006

本発明の目的の一つは、同一ポリマー系の同時紡糸において、異形断面混繊や異デニール混繊、異ドラフト率混繊、異ポリマー混繊、共重合有無からなるポリマー混繊などでは全く得られないような、極端な配向差のある混繊フィラメントを得ることにある。

0007

また、他の目的は、その中の何%かのフィラメントがPOYの状態であることを特徴とする2500〜1000m/分での分糸配向差混合繊維紡糸方法うみ出すことにもある。

0008

さらに、本発明に係る目的の一つは、糸状形成時に伴う単なる冷却効果を高め、極端な繊維複屈折をもたらす紡糸方法および紡糸装置、およびこれら分子配向差の大きい混合繊維の同時紡糸とそれから得たものを提供することにある。しかもその場合に取扱の容易性、危険のなさ、高度の精密加工技術の不要なことを目的とする。また、吐出流体速度分布が、簡便な測定では現れない、繊維内部の内外構造差や、繊維の特性に重要な物性の差をもたらしていることに注目し、内外構造差の少ない合成繊維およびその製造方法と装置も提供することも他の目的としている。

0009

換言すれば、これらの本発明の目的の一つには、紡糸粘性流体の管を流れる時の中央部の流れ(管壁を始点とする放物線状に近い流れで、中心部の流れが最も速く、再び他の管璧に近づくにつれて流速がゼロに近づく流れ)曲線フキキシブルな繊維を沿わせると精密加工なしに繊維が自然に流体に沿って吐出ポリマーのほぼ中央に配置し、さらに極端な「ツララ紡糸」(後述)という驚くべき結果を巧みに利用して上記目的を達成する具体的手段を提供することを目的としている。また、ポリマーの流れを均一にした紡糸方法とそれから得た繊維、及びそのための装置や口金を提供することも目的とする。

0010

また微妙に異なる糸質を改良することを目的とする。更に高速紡糸(PETでは5500〜7000m/分)での糸質の均一化や、中速度または低速度でもそれぞれ、高速度または中速度なみの糸質を得たい場合の手段を提供することを目的とする。

0011

例えば、この業界で良く知られている通常のポリエチレンテレフタレートすなわちPET−POY(プリオリエンテッドヤーンまたはパーシャリーオリエンティドヤーンと称される2500m/分〜4000m/分の引き取り速度による)の繊維に対して特開平8−209526号公報には、従来の盲点を突いた画期的な特異現象発見に基づき、非常にコストの高くなる共重合ポリマーを作る手段をとることなくして、繊維微細構造制御によって新特性を発揮したもの、すなわち「POY繊維を織物編み物のような、拘束の伴った状況下で収縮処理し、その後十分に熱結晶化を施すと、驚くべきことに、織物があたかもゴムシートのような、反発性の高い(握った後放すと,パーット元に戻る現象)特性が得られること」が、発見され、普通のPETの延伸糸DFY)からの織物では見られない現象を発見し、芯地衣料椅子カバー成形品などその新たな産業上の応用を見出している。

0012

例えばこれを短繊維用途に、展開するためには、フィラメント紡糸繊維カットしたのでは、コスト的に合理性を欠き、工業的な価値の点で劣ったものになる傾向を持っているが、工業的に安価な大規模ステープル紡糸を行う方が有利であるものの、ステープル規模の高速度引き取りには、膨大な設備投資または変更を必要とする。

0013

本発明はこのような場合でも、従来のステープル引き取りのような比較的超高速度でない紡糸速度でも、高複屈折の繊維またはPOYに近い糸質のものを、得ることを可能にすることを目的とし、それによって、新しい長繊維または短繊維によるポリエチレンテレフタレート繊維の特異挙動をフルに活かした繊維製品の数々を生み出す礎を築くことも、目的としている。

0014

また、複屈折の高い糸と複屈折の低い糸を混在した繊維を同時紡糸し、あとは通常またはこれに適した後加工工程を通すことにより、感性に強く訴える風合のよい繊維または嵩高な繊維を作ることを目的としている。係る技術を展開して次のような斑感のある繊維を作ることを目的としている。

0015

すなわち、合成繊維は、近時余りにも均一過ぎたものが普及しすぎて、天然素材のような、自然なムラに基づく(例えば複屈折差混繊糸)、良好な風合い、表現の困難な飽きの来ない感触色柄のムラ感、自然感があるものが、作り難かった。1/fユラギ思想やコントロールドランダムネス思想を導入して、繊維にムラを積極的に付与する研究や技術開発がが行われているものの、原理が均一なものを、生産性良く作るようになっているので、自ずから限界があり、この積極的なムラ繊維紡糸技術が求められながら、未だ不十分または未達成と言わざるを得ない状況にある。本発明は、新しい繊維ムラ生産技術を提供することにもある(例えば、複屈折差混繊技術または後で述べる示差走査熱量計による低温ピーク温度の差のある混繊技術×デニール混繊技術×吐出孔径混繊技術)(×印は組み合わせ相乗効果を意味する)。

0016

また、本発明者は、世界に先駆けて、超極細繊維有用性に着目し、その工業的の生産可能な紡糸技術を創出し、その繊維を用いてスエード調人工皮革を世界に先駆けて上市し幸運にも世界的好評を博し、超極細繊維の有用性を繊維の業界に示すことに成功した。ここではその超極細繊維の新たな有用性(分子配向制御用繊維として)を示すことにもある。

0017

その他の目的は、以下の説明中から順次明らかになるであろう。

課題を解決するための手段

0018

上記の目的を達成する本発明の構成は以下の通りである。すなわち、
(1)ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、あるいはポリサルファイド系のポリマーの溶融紡糸された繊維であって、該繊維断面において、最外層を除いた中心部周りよりも中心部の分子配向が高いものと、そうでないものとが混在していることを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維。

0019

(2)同一成分系の繊維であり、人工的に紡出された繊維であって、該繊維断面において、最外層を除いた中心部周りよりも中心部の分子配向が高いことを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維。

0020

(3)繊維形成材料を押し出して、吐出孔から繊維を吐出するに際し、吐出後の吐出孔から13mm以上における繊維形成流体の中央部の流速を低下させながら吐出することを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維の製造方法。

0021

(4)引き取り速度が、2500メートル/分以上であり、その紡糸素材ポリエステル系ポリマーであることを特徴とする前記(3)に記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造方法。

0022

(5)繊維形成材料を押し出して、吐出孔から繊維を吐出する合成繊維の製造装置において、その吐出直前の吐出孔を基準にして、該吐出孔より小さい太さであって、繊維形成吐出流の中央部の流速を低下させる繊維を前記吐出孔の実質的に中央部に13mm以上突出させて設けたことを特徴と特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

0023

(6)前記繊維の太さが、丸断面換算値で直径200ミクロン以下であることを特徴とする前記(5)に記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

0024

(7)前記繊維が、太さが1デニール以下の超極細繊維であることを特徴とする前記(5または6に記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

0025

(8)前記繊維が、直径10ミクロン以下、または1デニール以下の複数の超極細繊維からなるものであることを特徴する前記(5)〜(7)のいずれかに記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

0026

(9)前記繊維の先端が、口金面から20mm以上突出していることを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれかに記載の特異な分子配向を有する合成繊維の製造装置。

0027

(10)前記(5〜9のいずれかに記載の紡糸孔と前記吐出流制御用部材が存在しない紡糸孔とを組み合わせたことを特徴とする紡糸時の複屈折の差のある繊維が混在している合成繊維の製造装置。

0028

(11)前記(5〜9のいずれかに記載の紡糸孔と前記吐出流制御用部材が存在しない紡糸孔とを組み合わせたことを特徴とする紡糸時の示差走査熱量計の低温ピークの差のある繊維が混在している合成繊維の製造装置。

0029

(12)前記(5)〜(11)のいずれかに記載の装置を用いて繊維を吐出することを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維の製造方法。

0030

(13)繊維形成材料を押し出して、吐出孔から繊維を吐出するに際し、吐出直前の吐出孔における繊維形成流体の中央部の流速を低下させながら吐出し、かつ引き取り速度が、5500メートル/分以上であり、その紡糸素材がポリエステル系ポリマーであることを特徴とする特異な分子配向を有する合成繊維の製造方法。

0031

(14)同時紡糸されたポリエチレン系の混合された繊維であって、延伸や仮撚の加えられていない時の状態が、示差走査熱量計の低温サイドピーク値が8℃以上差のある繊維が混合状態にあることを特徴とするポリエステル系繊維

発明を実施するための最良の形態

0032

次に本発明を順次説明する。

0033

まず、本発明の中心技術を分かり易く説明することによって、その応用技術、周辺技術、よりリファインされた技術も含めて、本発明の骨子が理解されよう。

0034

典型的な内容として、繊維を紡糸するのに,その繊維のノズル(孔)の中に、紡糸に耐える耐熱性繊維(または金、白金真鍮などの金属線炭素繊維シリコーンカーバイトなどのセラミック繊維なども含む)特に超極細繊維の吐出流制御用部材を、実質的に中央部に通し入れた状態で紡糸する方法で、一見、非常に非常識な手段を採るものである。この一見、非常に非常識と考えられる新しく創出した新技術によって、以下に述べる色々な効果が発揮される。

0035

ここでいう各種のフレキシブル性富む耐熱性繊維としては全芳香族アラミド繊維テレフタル酸ジアミノレゾルシノールとの反応してつくられるPOB繊維、アクリル系ポリマー炭化して作られる炭素繊維、フッソ系繊維ステンレス繊維金線タングステン線、真鍮線、弾性の高い形状記憶合金繊維など、ここで一々記すまでもなく、紡糸に耐えるものであればよく、流速分布を均一化するなど数々の効果を発揮する。すでに、知られている耐熱性の繊維や耐薬品性の繊維から、適宜に選ぶことができる。ここで、色々な報文、会社の製品パンフレット専門書、特許、便覧ハンドブックから一々写し取って、並べ立てるまでもない。超極細繊維、極細繊維もすでに十分知られている。

0036

従来の溶融紡糸の現実直視すると、繊維の紡糸には、冷却が重要ではあるが、保温筒を設けて冷却速度を遅くしても、確かに影響はあるもののそれほど劇的な変化をもたらさない場合が多い。例えば紡糸の安定性や糸特性が、非常にドラフト依存性が高いことに注目されるべきにもかかわらず、またその場合に採るべき手段が非常に簡単にもかかわらず、これまでの研究や検討では意外にも、高速度の紡糸においての紡糸ドラフトについての報文や試みが少なく、高分子の吐出速度(つまり送り出し速度)に対し、引き取り速度の比は、重要な微細構造形成時に、繊維特性に影響することに本発明者は注目し、本発明に到達したものである。

0037

ドラフトに関する検討の少なさは、善意にとれば、ノウハウとして、公開されていないだけなのかもしれないし、このことに、研究者の目が十分に行かなかった盲点であったことになるかもしれないし、その工業的な利用によってその大きな効果に気付かなかったためかもしれない。より具体的には、例えば世界での工業的な普通のポリエステルやポリアミドの溶融紡糸においては、ステンレス金属板に0.15ミリメートル〜1.0ミリメートル程度の吐出孔が使われる。(溶液紡糸においては、もう一段とサイズが小さい孔径の場合が多い。)就中、溶融紡糸においては、0.25とか0.4ミリメートル前後の吐出孔径が、非常に多い。釣り糸ブラシのガットのような太いフィラメントように、更に非常に大きな吐出孔の場合は、水を用いないで風による冷却をする程度ではムラの多い糸になったり、逆に細すぎると紡糸の安定性(例:断糸率、つまり糸切れ)が悪くなったりするものである。

0038

普通の高分子(ポリマー)の場合、孔から出たポリマーは、その孔径よりも大きく膨らむ現象すなわちダイスウェル現象、つまりバラス効果が伴うので、比較的均一にならされると見られている。しかし孔の壁を通った極めて速度の遅いポリマーは、膨らみで一層遠回りをして更に冷却されて引き取られ、中心部の極めて早い速度のポリマーは、遠回りをしなくても済み、冷却も遅いので、中心と表面との内外格差が生ずる。

0039

上述したように、例えば、0.3ミリメートルの孔とは、300ミクロンの孔直径(異形断面もあるが、ここでは丸孔の例で示す)であり、本発明にかかる吐出孔の中央部またはその近傍に通して配置する繊維としての、耐熱または耐薬品繊維は、例えば3デニールの繊維でも、普通程度の密度(丸断面)ならば僅か直径20ミクロン程度であり、他の普通の繊維の密度で丸断面でも、フレキシブルな繊維であるので十分の余裕をもって、吐出孔に導入できるものである。

0040

本発明における前記した吐出流制御用繊維の太さは、直径200ミクロン以下であることが好ましく、100ミクロン以下であることがより好ましい。また、吐出孔に通した繊維により、糸曲がりなど安定紡糸に妨害を与える場合は、極細繊維、特に超極細繊維を使用することが好ましく、太さが1デニール以下の超極細繊維が使用されることがより好ましい。

0041

更に細い超極細繊維はすでに本発明者らがそれを作る技術を提供したが、その耐熱繊維化は、十分に知られており、その耐熱繊維が本発明達成に十分に適用できることはいうまでもないし、好ましいことである。上述したように、本発明は、吐出孔に流体の流れに抵抗を及ぼすのをその孔壁だけに止めず、中心部に流れと共に、挿入した繊維が、孔のほぼ中央部の最も早い流れに抵抗を与え、粘性流体の中央部が特に早い流れとなるのを防止するという全く新しい思想が根幹となった新紡糸技術がベースになっており、またそれを発展させた技術である。従来のような内外差、即ち芯部と鞘部のドラフト差の激しい繊維ではなくて、それが改良される革新的な技術である。

0042

ここでは、CDC紡糸、すなわち高分子配向型のCORE−DRAFT−CONTROLLED spinning(芯部のドラフトの制御された紡糸)と名付ける

0043

ドラフトについて例えば、引き取り速度と吐出量、丸い孔径との関係は、
吐出量/密度(その温度での)=吐出容積
吐出容積/孔断面積=吐出速度
ドラフト率(ドラフト)=引き取り速度(TUS)/吐出速度
となる。TUSは、テイクアップスピードの略である。

0044

例えば、孔の断面積(AA)は、孔径(2r)がそれぞれ0.1mm、0.333mm、0.5mm、1.0mmであるとし、もし断面方向においてもピストン的内層外層が均一速度で押し出されると仮定すれば、それぞれ、
AA=π×rの自乗=π×(0.1/2)自乗 =0.25π×0.01A
A=π×rの自乗=π×(0.333/2)の自乗=0.25π×0.10AA
=π×rの自乗=π×(0.5/2)自乗 =0.25π×0.25AA=
π×rの自乗=π×(1.0/2)自乗 =0.25π×1.00であり、
吐出量は一定であるので、それぞれのドラフトの比を比べれば、孔の直径が3倍になれば、十倍もドラフトが変化し、5倍で25倍、十倍で百倍と大きく異なってくることは、明白である。

0045

紡糸時の、分子配向や、配列、構造が当然異なってくる。ポリマーの押し出しはピストン流ではなく、紡糸時の粘弾性ポリマーは、近似的に完全粘性流体とみなせ、ほぼ放物線を描いて流れる。化学工学で、管内での粘性流流れ分布について、処理される粘性流体が層流のとき、中央部は流れの早い流れとなり、限りなく壁に近い部分は、流れがゼロに近づくことは、すでに十分に知られていることではある。

0046

本発明は、驚くべきことかもしれないが、極めて微視的に、今まで全く無視されていた繊維の吐出孔に、注目し、飛躍と工夫を加えて適用し、驚くべき効果を見出したものであり、本発明に従い繊維を実質的に吐出孔の中央部に挿入すれば、その部分の限りなく繊維に近いところは、流れゼロに近くなり、中央部の流れ分布を制御した結果となるのである。

0047

繊維をどの位置まで挿入するかという繊維の位置については、口金面より13mm以上突出していることが重要である。本発明の骨子を理解した後は、これらは如何ようにも変更することもできる。それぞれの期待に対応して選択できる。

0048

他の変更要件は、前述した繊維の太さと剛性である。剛性は、繊維の性質、どの耐熱性繊維や金属繊維、セラミック繊維などを選ぶかに依存し、適宜選択できる。繊維または線状物の先端をったように切断しておいても良いし、また鋭角的に切断してもよい。滑らかに切断するほうが影響が穏やかであるが、鋭角的切断はポリマー中での左右への振れが少ない傾向を有する。

0049

なお、挿入繊維の部分に相当して、例えそれが僅かであっても、吐出孔の断面積が減少していると言える。その分、吐出線速度アップしていることは、言うまでもなく、その分、繊維の微細構造に影響を与える。

0050

おどろくべきことに、吐出流制御用部材として繊維を用いると、繊維が軟らかいため、繊維が自由に動き、ポリマーの流れに沿った挙動をとり、ほぼ安定した状態の位置にとどまる。そのために、安定な紡糸ができること、例えば3cmあるいは5cmといった従来想像すらできなかったほどの長い繊維の口金面からの長さがとれる。突起物や針状物に比べて高度の精密加工や位置合わせを必要としない。口金から針や突起のような突起物があると、例えば何かに触れたとき、突起や針が曲がってしまい使いものにならなくなるが、繊維の場合は、柔軟であるため、このような細かな注意は不要である。

0051

この流体抵抗発生用繊維を吐出孔から極度に突出させた場合(俗に言うならば、ツララに水がしたたり落ちているのに似ているので「滴りツララ紡糸」または「ツララ紡糸」と言える)は、その中央に挿入した繊維が大きな応力負担を受け持つことになり、外周部のドラフトによる負担が中央部に移ることになる。その場合は、横方向からの冷却風の吹きつけは、冷却の非対称構造の発生に大きく貢献する。

0052

次に、それぞれの孔に繊維を挿入する繊維の数は、一本とは限らないのである。複数本挿入可能であり、孔内での、最も密な充填までの本数が可能である。超極細繊維ならば、多く入れることもできるし、また繊維の太さの異なるものの混合や分布のあるもの、例えば中央を太く周辺部に極細を配置することもできる。また長さ分布を持たせ、突出部と中央部が太さ分布(突出、非突出部など長さ分布×太さ分布)をもたせることもできる。流体の流れ制御の数が増えた結果をもたらすことは、申すまでもない。

0053

また、繊維やその集団は、丸断面とは限らないのである。三角四角、5、6、7、8、・・・角型、星型、半月型三日月型、その逆型、半円形、先端がクギのようにクビレバリのあるもの、ツララのように尖ったもの、のようになったものなど、それぞれの目的に応じて適宜えらぶことができる。流体への抵抗、流速分布、たらした繊維部分活用した冷却効果、流体応力支え等を配慮して選択できる。

0054

例えば、星型の耐熱性の断面繊維を用いた場合、その星型の突起の部分が吐出孔の壁に例え極く接近しても、星の突起と突起の間に流体が通ることのできる部分が数多くあり、まるで超微小多孔口金極小に集中させたものに若干似た状態となりそれらを通過したポリマーは再び集中した状態の如きとなり、このような場合は、吐出孔に通す繊維は極細繊維である必要性はないし、極細繊維の中心よりの偏心(完全な中央からのズレ)の心配が少なく、ほぼピッタリと合わす方が良い場合もある。このような色々な変化を付与できる技法は、本発明を知り、理解した後は、適宜なし得ることである。

0055

紡糸口金には、普通多数の吐出孔を有するので、本発明の原理を適用した孔とそうでない孔とを混在させることが好ましい一つの様態である。この混在は,繊維の特性、例えば収縮率が相互に異なり、実用的な繊維にまで後加工した時、繊維の膨らみ性の向上につながりバルクアップ、風合い改良に結びつけることができ、その効果は極めて大きい。特に風による冷却と巧みに組み合わせ、その効果を高めることができる。特に、他の応用として、効果が現れている条件下で、吐出孔内の吐出流制御用繊維に(繊維の末端を)出し入れする方向の微振動を与えることもできる。

0056

次に図について説明する。図1は、本発明にかかる口金の断面の一部であり、間隔も持たせるように工夫した二枚の口金板の断面である。1は吐出流制御用繊維(例えば耐熱繊維)であり、該繊維1が、口金板2に設けられた吐出孔3の中に挿入されている状態を示している。この吐出孔3は、モノフィラメントの場合を除き、普通多く設けられるが、ここでは混乱を避けるため、一孔が示されている。

0057

吐出流制御用繊維1は上の口金板5から、直接垂らすこともでき、ガイドとなる吐出流制御用繊維支持部材4(例えばパイプ)を通して、吐出孔近くまで固定しつつ、孔近傍で繊維としてもよい。図中XL(左、レフト)とXR(右、ライト)線上が吐出孔下部面に当たる。YLとYRの線を結んだ線が下部口金板2の上部面に該当する。同様にZLとZR、WLとWRとを結んだ線が、上部口金板5の下部及び上部面を示す。紡糸流体は上部口金板5と下部口金板2との間に導かれ、吐出孔3の上部にできる環状の空間を通して、吐出流制御用繊維1を取り囲むように吐出孔3に向かう。吐出流制御用繊維1は流速の早い方、つまり中央に固定される。吐出孔3は丸孔に限定されたものではないことは明らかであり、考えはそれぞれに通じる。

0058

図2図3は、本発明に従って、吐出孔即ち筒孔3に繊維を入れた場合(図2)と、従来法の入れない場合(図3)での流体の流れの分布6,7をそれぞれ模式図として示したものである。図3での流れは、層流的な流れとして中央では早く、管壁において極めて遅い形の流れとなる。中央部に繊維を入れると、それに流体が付着して、中央の流れはかなり抵抗を受け流速分布6が改善される。流体の早い部分と流体の遅い部分が出きると、あたかも航空機のように、流速の早い方へそ物体が引かれる(翼の場合は揚力)。管内で流体の早い部分は、従来の単純な孔では,中央が早いが、繊維を入れた時、もし偏心していれば、驚くべきことに壁に近い側は流速が低く、壁から遠い大きな空間の方は流速が速く、それに伴って繊維はその方向に移動し、結局中央部近傍微小揺れ動いてバランスがとられ、その均衡点でほぼ止まることを知見したことは大きな発見である。完全に偏心して壁に付着した場合、三日月型の孔の方が流体抵抗が少ないと見られる現象が伴うので、偏り修正されない場合がある。そのためには、支持部材4をできるだけ、(1) 吐出孔に接近させること、(2) 繊維の剛性の高いものを選ぶこと、(3) 吐出孔に偏心防止のための支え突起を設けて支えること、(4)支え棒4を針や鋭い三角錘状として高度精密加工技術により吐出孔に嵌め合わせる、(5)形状記憶合金を用いて、口金洗浄等で位置が狂うことがあっても、例えば加熱により元の位置へ戻すこともできる。形状記憶合金は、元へもどる性質だけではなく、非常に弾性も高いことがよく知られているように、ここでは、形状記憶特性以外の高い効果もある。何れにしても、本発明では従来の突起物や針状物に比べて超精密口金加工技術を必要としないところが工業的に大きな特徴となる。以上口金孔内部の説明での話であるが、繊維はツララ部の長さ、冷却状態によってより大きく左右される。

0059

図4は、図1での吐出部の拡大図を示している。1は吐出流制御用繊維であり、2は口金板、3は吐出孔、4は吐出流制御用繊維の支持部材(例えばネジまたはパイプ)である。XL−XRは、口金下面を意味する。図4中Aの矢印で繊維の長さを繊維が若干入り込んでいる状態を示している。中になればなるほど、繊維による流体制御効果は減ずる。Bは、繊維が逆に突出している場合を指す。即ち極端になると上述のツララ状紡糸になる訳である。多く出せば出す程、氷柱の効果が大となり、ポリマーの完全な固化が及んでしまわない範囲に止め置くことが肝要である。雨垂れ現象に近づくためである。繊維を支える棒4と吐出流制御用繊維1とが独立ではなく、微細針状先端加工技術により、一体とした針状加工技術により作り、口金にセットすることは特に好ましい。

0060

図5は中央部の支持部材4を吐出流制御用繊維1を吐出孔へ適正に導入するための支持部材を螺子形式にした場合を示す。1は吐出流制御用繊維、2は下部口金板、3は吐出孔、8は中央に繊維を通すことのできるネジである。この螺子8は周辺の所々にポリマーが流入する切り欠きが設けられている。図5の例においては、螺子の外周部にポリマーが流入する溝9を上下方向に貫通して設けてあり、螺子の機能を持たせつつ、ポリマーを完全に遮ることはない構造となっている。螺子8の中央には、繊維1を通すことができ、更に繊維を通した後上部を小螺子10で繊維を固定できる螺子がつけられる。またこの部分は、耐熱性樹脂で固定することもできるし、金属繊維の場合は、ロウ付けすることもできる。周囲から繊維が中央部に寄らざるを得ないようなポリマーの流入となるので、繊維の柔軟性により、非常に微細な吐出孔にもかかわらず、繊維をポリマーの流れに沿って自然に順応させることができる。

0061

本発明は、ポリエステルやポリアミドなどの合成繊維における一成分系の繊維に好ましく適用することができるが、2成分以上の、例えば、芯鞘型複合繊維芯成分においても本発明の技法が適用できる。

0062

以上の説明で本発明が十分に理解されたものと考える。

0063

本発明の主要な点は、次のとおりである。

0064

(1)普通の紡糸すなわち孔だけを設けた溶融紡糸された繊維と次の(2)または(3)項の方法により紡糸された繊維との同時混繊紡糸繊維とその紡糸方法である。

0065

(2)人工的に高分子を押し出して、繊維を紡出するに際し、その吐出直前の吐出孔を基準にして、該孔に該孔より小さい太さであって、繊維形成流体の中央部の流速を低下させる繊維を少なくとも一本該孔の内部に設け、かつ13mm以上突出して垂らすことを特徴とする繊維の紡出方法である。

0066

(3)人工的に紡出された繊維であって、その繊維の分子配向が同一断面形状、同一素材のものに比して、同一紡糸速度に対して複屈折の高い繊維、または半径方向を基準として、中心部まわり、すなわち芯相当部と鞘相当部の中間よりも中心部の配向が高く修正されてなることを特徴とする合成繊維である。

0067

(4)上記(2)において、繊維の太さが1デニール未満の超極細繊維かまたは半径5ミクロン未満であって、その引き取り速度が、2500メートル/分以上であり、その紡糸素材がポリエステル系ポリマーであることを特徴とする溶融紡糸法も好ましい。特に、ポリエステルの紡糸においては、結晶化が起こりはじめる4500m/分の超高速紡糸においても好ましい。

0068

(5)繊維形成材料を押し出して、繊維を吐出するに際し、その吐出直前の吐出孔を基準に流れる中央部に生ずる最大流れを、平均化するための繊維を口金面から13mm以上挿入突出してなることを特徴とするより均一化された吐出流速を持つ吐出装置である。

0069

(6)上記(2)において、繊維の先端が口金面から13mm以上、好ましくは30mm以上突出させるか、または更にその繊維の太さが200ミクロン以下、好ましくは100ミクロン以下であることを特徴とする紡糸時の複屈折の高い人造繊維の紡出方法が好ましい。

0070

(7)上記(2)(4)(6)において、吐出流速制御用の繊維が、直径200ミクロン以下または、口金面からの突出距離が13mm以上、好ましくは30mm以上である繊維であることを特徴する同一紡糸速度においてより複屈折率の高い人造繊維(混繊状態のものも含む)の紡出方法が好ましい。

0071

(8)繊維の吐出孔の直径方向において壁面、中心部、両者の中間部とに実質的3当分して各流速を、順にA部、B部、C部とした時、繊維または膜を形成する高分子を完全な粘性物体として、流速分布を計算した、流速がB部>C部となるようにしてなる吐出用口金も好ましい。

0072

次に実施例を示すが、本発明はこれにより限定解釈されるものではなく、むしろ本発明の有用性や応用展開を大きく開くものものである。

0073

〔実施例〕常法に従ってポリエチレンテレフタレート繊維の紡糸において、紡糸温度290℃とし、ステンレススチールにて高精度口金を作成し、吐出孔径0.5mmとし、口金を、本発明の思想で100ミクロンの真鍮からなる繊維を口金の中央部にセットし、極端に口金面より3cm及び4.5cm突出したものを用いたところ、驚くべきことに紡糸捲取り可能であった。。500、1000、1500、2000、3000、3500m/分(ただし、4.5cmの時は2000m/分まで)でそれぞれポリマー吐出量2g/分/孔で紡糸した。比較のために、口金に何も挿入しない場合を1000、2000、3000、4000m/分で同一条件で紡糸して、比較してその複屈折と示差走査熱量計にて低温結晶化温度を測定した。この二者それぞれ、別の角度からみた分子配向度を表すものと考えられているものである。その結果を図6図7に示す。また、本実施例における紡糸の状態を写真に撮りこれをトレースした様子を図10に示した。

0074

図10は口金面(ノズル径0.5mmφ、真鍮繊維0.1mφ)より4.5cm突出し、紡速1000m/分の例を示すものであり、図10から明らかなように、吐出直後からポリマーが繊維に沿って極度に太い繊維状となり、それが相当長く太い状態に保たれ、その後、急激に細く糸条として引き取られていく様子を示している。

0075

ここで、複屈折率差は、繊維の分子配向の度合いを示す重要な値であって、高ければ高いほど分子が繊維軸方向によく並んでいることを示している。また示差走査熱量計(DSCとも一般にいわれている)による低温側のピークもまた分子の並び具合をよく表しており、PET(ポリエチレンテレフタレート)のような紡糸直後では、結晶化はあまり進んでいないので、昇温とともに結晶化のピークがあらわれ、このピーク値がより低い温度で現れれば現れるほど、分子がすでによく並んでいることを示しているとされている値なのである。

0076

〔比較実施例〕上記と同一の紡糸において、直径200mmの針状物を口金面に対して、0mm、2mm、8mmとして、1000、2000、3000、4000、5000m/分の紡糸速度で紡糸し、得られた繊維の複屈折と示差走査熱量計(Differencial Scanning Carolimetry)を測定したところ、同一紡糸速度に対しては、図8図9にそれぞれ示すように、複屈折に顕著な差は全く認められなかった。これにより、本発明に係る繊維を極端に口金孔よりたらす「ツララ紡糸」が決定的に異なる大きな効果を発揮することが確認できた。

0077

イ)同一紡糸速度に対して従来の紡糸に比べ、極度に複屈折が高く、示差走査熱量計で低温結晶化発熱ピークを現わす紡出繊維が得られた。

0078

ロ)同じポリマーを使いながら、本発明の方法を採った糸とそうでない糸との混繊糸が得られ、風合いの異なった織物を与える原糸を得ることができた。

0079

ハ)ポリエチレンテレフタレート繊維の製法において、比較的低い紡糸速度(例:1000〜2000m/分)でも、本発明により、条件次第では、図6図7にみられるように、2300〜3500m/分での紡糸に相当する複屈折(分子配向)や低温熱結晶化温度(分子配列)の繊維がえられる効果があった。

0080

本技術は、衣料用繊維のみならず、タイヤコードエアーバッグロープ漁網、釣り糸などのテグス、ガットなどの産業用医療用椅子カーテンなどインテリア用繊維、エクステリア用繊維、マリン用繊維などそれぞれの分野に向けた繊維や線状物の製造に広く使われ得ることは申すまでもない。

図面の簡単な説明

0081

図1本発明にかかる口金の断面の一部である。
図2吐出孔に流体制御用繊維を入れた場合の流体の流れの分布の模式図である。
図3吐出孔に流体制御用繊維を入れない場合の従来の流体の流れの分布の模式図である。
図4図1での吐出部の拡大図である。
図5本発明において、吐出流制御用繊維を吐出孔へ導入するための支持部材を螺子形式にした場合の説明図である。
図6本発明に係る実施例、比較例の複屈折と紡糸速度の関係を示すグラフである。
図7本発明に係る実施例、比較例の示差走査熱量計と紡糸速度の関係を示すグラフである。
図8比較例にともなう複屈折と紡糸速度の関係を示すグラフである。
図9比較例にともなう示差走査熱量計と紡糸速度の関係を示すグラフである。
図10本発明に係る実施例の紡糸の状態を写真に撮りこれをトレースした様子を示す図である。

--

0082

1:吐出流制御用繊維
2:下部口金板
3:吐出孔
4:吐出流制御用繊維支持部材
5:上部口金板
6,7:流速分布
8:螺子形式の吐出流制御用繊維支持部材
9:螺子の外周部に設けられた紡糸用高分子の流れる溝

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