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技術 燃料噴射制御方法及び燃料噴射制御装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 小島昭和近藤利雄内海康隆
出願日 1997年3月18日 (22年4ヶ月経過) 出願番号 1997-064866
公開日 1998年9月29日 (20年9ヶ月経過) 公開番号 1998-259753
状態 特許登録済
技術分野 高圧燃料噴射ポンプの制御 燃料噴射装置 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御
主要キーワード フローリミッタ 圧力低下速度 到達時期 所定番目 油溜り室 初期噴射量 通電開始時期 低圧状態
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

内燃機関排気中のNOx を確実に抑制する。

解決手段

電磁式インジェクタ開弁駆動することで、ディーゼルエンジンに対し燃料メイン噴射と該メイン噴射に先立つパイロット噴射とを順次行う燃料噴射装置において、燃料の着火遅れがもともと短く、通常のパイロット噴射ではNOx低減効果が得られない特定の高回転且つ高負荷運転状態である場合には、パイロット噴射とメイン噴射との時間間隔を短くし、インジェクタに対するパイロット噴射のための開弁駆動を終了してから(駆動パルスPP :ハイロウ)インジェクタが全閉状態となる前に、メイン噴射のための開弁駆動を開始して(駆動パルスPM :ロウ→ハイ)、パイロット噴射とメイン噴射との両噴射率波形が連なるように制御する。この結果、メイン噴射の初期噴射率を低減したような噴射となり、メイン噴射の一気燃焼を抑制してNOx の発生を抑制できる。

概要

背景

従来より、例えばコモンレール式に代表されるディーゼルエンジン用の燃料噴射制御装置では、内燃機関騒音排気エミッションなどを低減するためにパイロット噴射が行われている。

このパイロット噴射は、主噴射メイン噴射)に先立ち少量の燃料噴射するために行われ、その少量燃料の燃焼熱により、主噴射の着火遅れ(燃料が噴射されてから着火するまでの時間)を低減して一気燃焼を抑え、これによって内燃機関の騒音や排気中のNOx などを抑制するものである。

概要

内燃機関の排気中のNOx を確実に抑制する。

電磁式インジェクタ開弁駆動することで、ディーゼルエンジンに対し燃料のメイン噴射と該メイン噴射に先立つパイロット噴射とを順次行う燃料噴射装置において、燃料の着火遅れがもともと短く、通常のパイロット噴射ではNOx低減効果が得られない特定の高回転且つ高負荷運転状態である場合には、パイロット噴射とメイン噴射との時間間隔を短くし、インジェクタに対するパイロット噴射のための開弁駆動を終了してから(駆動パルスPP :ハイロウ)インジェクタが全閉状態となる前に、メイン噴射のための開弁駆動を開始して(駆動パルスPM :ロウ→ハイ)、パイロット噴射とメイン噴射との両噴射率波形が連なるように制御する。この結果、メイン噴射の初期噴射率を低減したような噴射となり、メイン噴射の一気燃焼を抑制してNOx の発生を抑制できる。

目的

そして、このような場合には、初期の燃焼量の大小がNOx の発生に大きく影響し、特に高圧で燃料を噴射する条件では、初期の噴射率(時間に対する燃料供給量の変化の割合)が高くなってNOx が発生し易くなる。そこで、本発明は、内燃機関の排気中のNOx を確実に抑制可能な燃料噴射制御方法、及び燃料噴射制御装置を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
5件

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請求項1

内燃機関燃料噴射するための燃料噴射弁開弁駆動することで、前記内燃機関に対し燃料の主噴射と該主噴射に先立つパイロット噴射とを順次行う燃料噴射制御方法において、前記燃料噴射弁に対する前記パイロット噴射のための開弁駆動を終了してから前記燃料噴射弁が全閉状態となる前に、前記燃料噴射弁に対する前記主噴射のための開弁駆動を開始して前記燃料噴射弁を開弁方向に移行させる近接駆動制御を行うこと、を特徴とする燃料噴射制御方法。

請求項2

請求項1に記載の燃料噴射制御方法において、前記内燃機関が特定の回転数以上且つ/あるいは特定の負荷以上の運転状態にある場合に、前記近接駆動制御を行うこと、を特徴とする燃料噴射制御方法。

請求項3

内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁を開弁駆動して、前記内燃機関に対する燃料の主噴射と該主噴射に先立つパイロット噴射とを順次実行するように構成された燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射弁に対する前記パイロット噴射のための開弁駆動を終了してから前記燃料噴射弁が全閉状態となる前に、前記燃料噴射弁に対する前記主噴射のための開弁駆動を開始して前記燃料噴射弁を開弁方向に移行させる近接駆動制御を実行するように構成されたこと、を特徴とする燃料噴射制御装置。

請求項4

請求項3に記載の燃料噴射制御装置において、前記内燃機関が特定の回転数以上且つ/あるいは特定の負荷以上の運転状態にあるか否かを判定する運転状態判定手段を備え、該運転状態判定手段により肯定判定された場合に、前記近接駆動制御を実行するように構成されたこと、を特徴とする燃料噴射制御装置。

技術分野

0001

本発明は、内燃機関への燃料噴射を制御する方法及び装置に関し、特に、主噴射に先立ってパイロット噴射を行う燃料噴射制御方法及び装置に関する。

背景技術

0002

従来より、例えばコモンレール式に代表されるディーゼルエンジン用の燃料噴射制御装置では、内燃機関の騒音排気エミッションなどを低減するためにパイロット噴射が行われている。

0003

このパイロット噴射は、主噴射(メイン噴射)に先立ち少量の燃料噴射するために行われ、その少量燃料の燃焼熱により、主噴射の着火遅れ(燃料が噴射されてから着火するまでの時間)を低減して一気燃焼を抑え、これによって内燃機関の騒音や排気中のNOx などを抑制するものである。

発明が解決しようとする課題

0004

ところが、内燃機関の運転状態が高回転、高負荷の領域にある場合や、ターボチャージャーといった過給機付きの内燃機関のように、燃料の着火遅れがもともと短い場合には、通常のパイロット噴射を行っても主噴射の一気燃焼を抑えることができず、排気中のNOx を十分に低減できないことが分かった。

0005

そして、このような場合には、初期の燃焼量の大小がNOx の発生に大きく影響し、特に高圧で燃料を噴射する条件では、初期の噴射率(時間に対する燃料供給量の変化の割合)が高くなってNOx が発生し易くなる。そこで、本発明は、内燃機関の排気中のNOx を確実に抑制可能な燃料噴射制御方法、及び燃料噴射制御装置を提供することを目的としている。

0006

本発明の燃料噴射制御方法では、内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射弁開弁駆動することで、内燃機関に対し燃料の主噴射と該主噴射に先立つパイロット噴射とを順次行うのであるが、燃料噴射弁に対するパイロット噴射のための開弁駆動を終了してから燃料噴射弁が全閉状態となる前に、燃料噴射弁に対する主噴射のための開弁駆動を開始して燃料噴射弁を開弁方向に移行させる、といった近接駆動制御を行う。

0007

そして、この方法によれば、パイロット噴射による燃料噴射量が減少していく途中で主噴射が開始されることとなり、この結果、パイロット噴射による噴射率波形と主噴射による噴射率波形とが、従来より行われている通常のパイロット噴射の如く分離せずに、両噴射波形が1つに連なることとなる。つまり、パイロット噴射と主噴射とが連なって、見かけ上、主噴射の初期噴射率を低減したような1つの噴射となる。

0008

従って、本発明の燃料噴射制御方法によれば、内燃機関の運転状態が高回転且つ/あるいは高負荷の領域にある場合や過給機付きの内燃機関のように、燃料の着火遅れがもともと短い場合でも、主噴射の初期の燃焼量を低減して一気燃焼を抑制することができ、この結果、排気中のNOx を確実に抑制できるようになる。

0009

また、本発明の燃料噴射制御方法は、従来からの通常のパイロット噴射(つまり、パイロット噴射による噴射率波形と主噴射による噴射率波形とが完全に分離した噴射制御)を行う燃料噴射制御装置であれば、ハードウェア構成を変更することなく容易に実施することができる。

0010

つまり、パイロット噴射と主噴射との噴射間隔、詳しくは、燃料噴射弁に対するパイロット噴射のための開弁駆動を終了してから燃料噴射弁に対する主噴射のための開弁駆動を開始するまでの時間間隔を、短く設定するだけで良いからである。

0011

ところで、内燃機関が特定の回転数以上且つ/あるいは特定の負荷以上の運転状態にある場合に、前述した近接駆動制御を行うようにすれば、より大きな効果を得ることができる。つまり、燃料の着火遅れがもともと短く、従来からの通常のパイロット噴射ではNOx低減効果が得られないような特定の回転数以上且つ/あるいは特定の負荷以上の運転状態である場合には、本発明に特有の近接駆動制御を行い、燃料の着火遅れが長く、従来からの通常のパイロット噴射でNOx 低減効果が得らるような運転状態である場合には、通常のパイロット噴射を行う、とった具合に制御を切り替えて、内燃機関のほぼ全ての運転領域でNOx を低減できるようになるからである。

0012

一方、本発明の燃料噴射制御方法を実施する装置としては、下記の燃料噴射制御装置が考えられる。即ち、内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射弁を備え、その燃料噴射弁を開弁駆動して、内燃機関に対する燃料の主噴射と該主噴射に先立つパイロット噴射とを順次実行するように構成された燃料噴射制御装置において、燃料噴射弁に対するパイロット噴射のための開弁駆動を終了してから燃料噴射弁が全閉状態となる前に、燃料噴射弁に対する主噴射のための開弁駆動を開始して燃料噴射弁を開弁方向に移行させる、近接駆動制御を実行するように構成された燃料噴射制御装置が、それである。

0013

そして、この燃料噴射制御装置によれば、本発明の燃料噴射制御方法による前述した効果を得ることができる。また、この燃料噴射制御装置において、内燃機関が特定の回転数以上且つ/あるいは特定の負荷以上の運転状態にあるか否かを判定する運転状態判定手段を設け、その運転状態判定手段により肯定判定された場合(つまり、内燃機関が特定の回転数以上且つ/あるいは特定の負荷以上の運転状態にあると判定された場合)に、上記近接駆動制御を実行するように構成すれば、前述したように、ほぼ全ての運転領域でNOx を低減できるようになる。

発明を実施するための最良の形態

0014

以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施形態は、下記のものに何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、パイロット噴射が可能な噴射システムであれば種々の形態を採り得ることは言うまでもない。

0015

まず図1は、実施形態のコモンレール式燃料噴射装置を表す構成図である。このコモンレール式燃料噴射装置1は、6気筒ディーゼルエンジン用のものであって、各気筒に配設される6個のインジェクタ電磁式燃料噴射弁)3と、各インジェクタ3に供給する高圧燃料蓄圧するコモンレール5と、コモンレール5に燃料タンク7から燃料を圧送する可変吐出量高圧ポンプ9と、これらを制御する電子制御装置(以下、ECUという)11とを備える。尚、特に図示はされていないが、ECU11は、CPU,ROM,RAM等からなる周知のマイクロコンピュータを主要部として構成されている。

0016

燃料タンク7に蓄えられた燃料は、フィードポンプ13により吸い上げられ、高圧ポンプ9へ低圧状態にて圧送される。低圧で圧送された燃料は、図2に示す様に、高圧ポンプ9内に設置された燃料ギャラリー15に蓄えられ、チェック弁17の設定開弁圧により一定圧に維持されている。この設定開弁圧以上に燃料ギャラリー15内の燃料圧が上昇した場合には、チェック弁17が開弁され、燃料は燃料タンク7へと戻される。

0017

一方、燃料ギャラリー15は、電磁制御弁19を介して燃料加圧用のチャンバー21と連通・遮断される。チャンバー21には、プランジャー23が嵌合されている。このプランジャー23が上昇しているときに電磁制御弁19を閉ざすと、チャンバー21内で燃料が加圧される。この圧力がチェック弁25の開弁圧以上になると、チャンバー21内の燃料がコモンレール5に圧送されることになる。従って、加圧圧送の開始時期は電磁制御弁19の閉弁時期により定まる。圧送終了時期は、プランジャー23の上死点到達時期に対応して一定であるため、圧送開始時期を早めれば、圧送量が増すことになる。このような機構を用い、ECU11は目標とするコモンレール圧を得るため、この電磁制御弁19の閉弁時期を制御する。

0018

尚、以上の高圧ポンプ系の作動詳細は本発明と直接的に関与しないため、これ以上は詳細な説明を省略する。上述のように燃料は、高圧ポンプ9により加圧圧送されてコモンレール5に蓄えられる。その時の燃料圧力はコモンレール5に設置されたコモンレール圧センサ27にて検出され、ECU11へ電気信号として送られる。ECU11は前述したようにこのコモンレール圧が目標値となるように電磁制御弁19の閉弁時期をコントロールする。尚、コモンレール5にはプレッシャリミッタ29が配設され、内圧が高くなり過ぎない様にも対処されている。

0019

こうしてコモンレール5に蓄えられた高圧の燃料は、図3に示す様に、フローリミッタ31を介してエンジン33の各気筒毎に設置されたインジェクタ3に送られる。燃料は、インジェクタ3内で二方向に分岐する。その一方は、三方弁35のポートα及びポートβを介して、コマンドピストン37の背面側に設けられた制御室38へ流れ込んでいる。また他方は、コマンドピストン37に連結されたノズルニードル39の下端油溜り室39aに流入している。

0020

即ち、インジェクタ3内で分岐した燃料は、ノズルニードル39を押し下げる力と押し上げる力に分かれている。このとき、コマンドピストン37の背面の面積の方がノズルニードル39の面積よりも大きいため、全体としては図3にて下向きの力の方が勝ることとなり、ノズルニードル39の下端が弁座シート)39bに押さえつけられて、当該インジェクタ3は閉弁状態となる。従って、三方弁35が図示の連通状態(ポートαとポートβとの連通状態)にある場合には燃料は噴射されない。

0021

燃料噴射に当たっては、ECU11が、後述する演算結果に基づく所定のタイミングで所定期間に渡りCPU41の出力ポート43からハイレベル駆動パルスを出力することにより実行される。CPU41の出力ポート43から駆動パルスが出力されるとトランジスタ45が導通状態(ON)に切り換えられ、三方弁35に付設された電磁コイル47に通電がなされる。すると、三方弁35はポートβとポートγとが連通する状態に切り換わり、コマンドピストン37の背面にはコモンレール5からの燃料圧が加わらなくなると共に、制御室38に流れ込んでいた高圧燃料は燃料タンク7へ逃げることになる。この結果、コマンドピストン37の背圧が低下して、ノズルニードル39を上方向へ押し上げる力の方が勝ることになり、ノズルニードル39が上昇してその下端が弁座39bから離れることで当該インジェクタ3が開弁し、噴孔40から燃料が噴射される。

0022

尚、実際には、ノズルニードル39はスプリングSにより下方へ付勢されており、このスプリングSのセット荷重に対してノズルニードル39を上方に押し上げる力の方が勝ったときに開弁し、燃料の噴射が開始される。また、電磁コイル47への通電を停止することにより、三方弁35は再びポートαとポートβとが連通した状態に復帰し、コマンドピストン37に高い背圧を加えてノズルニードル39を閉弁方向へ移動させ、燃料噴射を終了させる。

0023

一方、こうした燃料噴射や各種制御を行うため、図1に示す様に、ECU11にはコモンレール圧センサ27の他、気筒判別センサ51,クランク角センサ53,アクセル開度センサ55,アイドルスイッチ57,スタータスイッチ59,冷却水温センサ61などの各種センサからの信号も入力されている。

0024

また、図3に示す様に、バッテリ+Bから電磁コイル47への回路中には、該電磁コイル47を高速駆動するための高電圧充電されるコンデンサ63が介装されている。つまり、トランジスタ45がONとなった直後には、電磁コイル47へコンデンサ63からピーク電流Ipが通電され、その後は、バッテリ電圧に基づいて一定電流Ihが通電される様に構成されている(図6の「駆動パルス」及び「コイル電流」の欄参照)。

0025

次に、前述したインジェクタ3の電磁コイル47への通電制御について、図4フローチャートを用いて説明する。尚、図4の処理は、所定時間毎に、或いは、エンジン33の回転に同期した割込処理により実行される。図4に示すように、ECU11内に設置されたCPU41は、まず、ステップ(以下、単に「S」と記す)100にて、前述した各種センサからの信号に基づき、エンジン33の運転状態を表すエンジン回転数Ne,アクセル開度Acc,及びコモンレール圧Pcなどの情報を読み込み、続くS110にて、上記読み込んだ情報に基づき、公知の判定条件によりパイロット噴射を行うか否かを判断する。

0026

そして、パイロット噴射を行うと判断した場合には、S120に進み、上記S110で読み込んだエンジン回転数Neとアクセル開度Accから、エンジン33の運転状態が、通常のパイロット噴射がNOx の低減に有効な領域にあるか否かを判定する。

0027

ここで、このS120で判定する領域について説明する。本発明者が行った実験によると、図5に示すように、エンジンの回転数とトルク(負荷)との関係を示す回転数−トルク・マップ上にて、特定の高回転且つ高負荷領域ではなく着火遅れが長い運転領域REでは、図6に示す通常のパイロット噴射(即ち、パイロット噴射による噴射率波形が、その後のメイン噴射による噴射率波形と完全に分離した噴射)によってNOx の低減効果が見られたが、高回転且つ/あるいは高負荷領域であって、もともと着火遅れが短い運転領域RNにおいては、通常のパイロット噴射ではNOx の低減効果が得られないことが分かった。

0028

これは、もともと着火遅れが短い領域であるために、着火遅れ低減による予混合燃焼の抑制でNOx を低減するという効果が小さく、パイロット噴射後に行われるメイン噴射の一気燃焼を抑えることができないためである。そして、このような場合には、初期の燃焼量の大小がNOx の発生に大きく影響するため、特に高圧で燃料を噴射する条件では、初期噴射量が大きくなってNOx が多く発生してしまう。尚、このことは、特にターボチャージャーやスーパーチャージャーといった過給機付きのエンジンにおいて顕著である。つまり、過給機付きエンジンでは、自然吸気式のエンジンと比較して、着火遅れ時間を決める筒内圧力,温度が高いため、回転数と負荷がより低い領域で着火遅れが短くなるからである。

0029

そこで、本実施形態では、S120にて、実際のエンジン回転数Neと、負荷に相当するアクセル開度Accから、エンジン33の運転状態が、着火遅れが長く通常のパイロット噴射がNOx の低減に有効である運転領域(即ち、図5の運転領域REであり、以下、有効領域ともいう)にあるか、或いは、もともと着火遅れが短く通常のパイロット噴射がNOx の低減に有効ではない運転領域(即ち、図5の運転領域RNであり、以下、非有効領域ともいう)にあるかを判定し、その判定結果に応じて燃料噴射のやり方を切り替えているのである。

0030

まず、S120にて、エンジン33の運転状態が図5の有効領域REにあると判定した場合には、S130に進む。そして、通常のパイロット噴射とメイン噴射を行うために、図6に示す如く、クランク角センサ53から出力されるパルス信号のうちで所定番目に出力されるパルス信号(以下、このパルス信号を特にNeパルスという)を基準としたパイロット噴射用通電開始時期TP1及び通電時間TP2と、メイン噴射用の通電開始時期時間TM1及び通電時間TM2とを、上記S100で読み込んだ情報に基づき演算する。

0031

尚、パイロット噴射用の通電開始時期TP1は、クランク角センサ53によりNeパルスが出力されてからトランジスタ45へパイロット噴射のための駆動パルスPP を出力するまでの時間であり、パイロット噴射用の通電時間TP2は、パイロット噴射のための駆動パルスPP の時間幅である。同様に、メイン噴射用の通電開始時期TM1は、クランク角センサ53によりNeパルスが出力されてからトランジスタ45へメイン噴射のための駆動パルスPM を出力するまでの時間であり、メイン噴射用の通電時間TM2は、メイン噴射のための駆動パルスPM の時間幅である。そして、パイロット噴射用の通電時間TP2は、メイン噴射用の通電時間TM2よりも短い時間に設定され、また、メイン噴射用の通電開始時期TM1は、パイロット噴射用の通電開始時期TP1にパイロット噴射用の通電時間TP2を加えた時間よりも長い時間に設定される。

0032

そして、続くS140にて、上記S130で求めた各通電開始時期TP1,TM1と各通電時間TP2,TM2とを、駆動パルスを出力するためのデータとして所定の記憶領域にセットし、その後、当該処理を一旦終了する。ここで、上記S140でセットされた通電開始時期TP1,TM1及び通電時間TP2,TM2は、図示されない他の駆動処理あるいはタイマ回路によって参照される。そして、上記駆動処理あるいはタイマ回路により、各通電開始時期TP1,TM1及び各通電時間TP2,TM2に応じて、出力ポート43からトランジスタ45へ、パイロット噴射のための駆動パルスPP とメイン噴射のための駆動パルスPM とが順次出力される。

0033

すると、図6に示すように、まず、駆動パルスPP によって三方弁35の電磁コイル47に電流が流れ、これに伴い前述の如くノズルニードル39が上昇して(リフトして)、インジェクタ3の噴孔40からパイロット噴射としての燃料噴射が行われる。そして、駆動パルスPP の出力が終わると、やがてノズルニードル39が下降して弁座39bに着座し(ノズルニードル39のリフト量が0となり)、この時点でパイロット噴射が完了する。

0034

その後、メイン噴射用の通電開始時期TM1に達すると、トランジスタ45へメイン噴射のための駆動パルスPM が出力され、この駆動パルスPM により上記パイロット噴射の場合と同様に、インジェクタ3の噴孔40からメイン噴射としての燃料噴射が行われる。

0035

つまり、S120でエンジン33の運転状態が図5の有効領域REにあると判定されて通常のパイロット噴射を行う場合には、パイロット噴射のための駆動パルスPP がロウレベルとなりノズルニードル39が弁座39bに着座した後で、メイン噴射のための駆動パルスPM が出力されるように、各通電開始時期TP1,TM1及び各通電時間TP2,TM2が設定される。そして、このような設定のため、図6の如くパイロット噴射による噴射率波形とメイン噴射による噴射率波形とは完全に分離したものとなる。

0036

これに対し、S120にて、エンジン33の運転状態が図5の非有効領域RNにあると判定した場合には、S150に移行する。そして、通常とは異なる非有効領域用のパイロット噴射とメイン噴射を行うために、図7に示す如く、パイロット噴射用の通電開始時期TP1及び通電時間TP2と、メイン噴射用の通電開始時期時間TM1及び通電時間TM2とを、上記S100で読み込んだ情報に基づき演算する。

0037

即ち、非有効領域用のパイロット噴射を行う場合には、通常のパイロット噴射を行う場合よりも、主にパイロット噴射用の通電開始時期TP1を長くし、パイロット噴射とメイン噴射との時間間隔(詳しくは、パイロット噴射のための駆動パルスPP が立ち下がってからメイン噴射のための駆動パルスPM が立ち上がるまでの時間間隔)を短くすることで、駆動パルスPP が立ち下がってからノズルニードル39が弁座39bに着座する前であってそのリフト量が未だ△Lだけ残っているときに、メイン噴射のための駆動パルスPM が立ち上がってノズルニードル39が上昇し出すように、各通電開始時期TP1,TM1及び各通電時間TP2,TM2を設定する。

0038

そして、このS150の演算処理を実行した後、S140に移行して、上記S150で求めた非有効領域用の各通電開始時期TP1,TM1と各通電時間TP2,TM2とを、駆動パルスを出力するためのデータとして所定の記憶領域にセットし、その後、当該処理を一旦終了する。

0039

このため、エンジン33の運転状態が図5の非有効領域RNにある場合には、図7に示すように、パイロット噴射のための駆動パルスPP が立ち下がって該パイロット噴射による燃料噴射量が減少していく途中でメイン噴射が開始されることとなり、この結果、パイロット噴射による噴射率波形とメイン噴射による噴射率波形とが1つに連なって、見かけ上、メイン噴射の初期の噴射率を低減したような1つの噴射となる。つまり、図7にて斜線で示す領域rの分の噴射率が低減されるのである。

0040

従って、本実施形態の燃料噴射装置1によれば、エンジン33の運転状態が、図5の非有効領域RN(即ち、高回転且つ高負荷領域であって、もともと着火遅れが短く通常のパイロット噴射ではNOx を低減することができない運転領域)にある場合でも、メイン噴射の初期の燃焼量を低減して一気燃焼を抑制することができ、この結果、排気中のNOx を確実に抑制できるようになる。

0041

尚、S110にてパイロット噴射を行わないと判定した場合には、S160に移行して、メイン噴射用の通電開始時期時間TM1と通電時間TM2だけを演算する。そして、S140に移行して、上記S160で求めた通電開始時期TM1と通電時間TM2を、駆動パルスを出力するためのデータとしてセットし、その後、当該処理を一旦終了する。このため、パイロット噴射は行われず、メイン噴射だけが行われることとなる。

0042

ここで、高回転・高負荷(約3000rpm ,100%負荷=アクセル全開)の条件にて、通常のパイロット噴射を行った場合と、本実施形態に特有の非有効領域用のパイロット噴射を行った場合とで、差を比較した実験結果を図8に示す。尚、図8は、排気中のNOx と燃費との関係を表しており、点線aが通常のパイロット噴射を行った場合を示し、実線bが非有効領域用のパイロット噴射を行った場合を示している。

0043

この図8から明らかなように、本実施形態に特有の非有効領域用のパイロット噴射を行った場合には、NOx と燃費の両方が低減されることが分かる。尚、排気のスモークベルは同等であった。以上詳述したように、本実施形態の燃料噴射装置1によれば、図5の有効領域REでは、通常のパイロット噴射を行い、また図5の非有効領域RNでは、インジェクタ3に対するパイロット噴射のための開弁駆動を終了してからインジェクタ3が全閉状態となる前に、インジェクタ3に対するメイン噴射のための開弁駆動を開始して、パイロット噴射による噴射率波形とメイン噴射による噴射率波形とが1つに連なるように制御しているため、ほぼ全ての運転領域でNOx を低減することができる。

0044

尚、本実施形態では、図4におけるS150の処理が近接駆動制御に相当しており、図4におけるS120の処理が運転状態判定手段としての動作に相当している。ところで、上記実施形態では三方弁方式のインジェクタ3を用いたが、図9に示すような二方弁方式のインジェクタ69を用いても良い。尚、図9において、図3に示したインジェクタ3と同機能の部材については同じ符号を付している。

0045

簡単に説明すると、この二方弁方式のインジェクタ69において、電磁コイル47の無通電時には、二方弁71のバルブが閉じるため、三方弁方式のインジェクタ3にてポートαとポートβとが連通した状態と全く同様に、ノズルニードル39の下端が弁座39bに押さえつけられて、当該インジェクタ69は閉弁状態となる。

0046

一方、電磁コイル47に通電すると、二方弁71が図9にて上方へ引き上げられる。すると、制御室38の高圧燃料が絞り73を通って燃料タンク7へ逃がされるため、制御室38の圧力が低下する。尚、この時、コモンレール5からの高圧燃料が絞り75を介して制御室38に供給されるが、制御室38の圧力低下速度は、絞り73,75の選択により任意に設定することができる。そして、制御室38の圧力が低下すると、コマンドピストン37の背圧が低下して、三方弁方式のインジェクタ3にてポートαとポートγとが連通した状態と全く同様に、ノズルニードル39が上昇して弁座39bから離れ、噴孔40から燃料が噴射される。

0047

そして、このような二方弁方式のインジェクタ69を用いた場合でも、前述した実施形態と全く同じ効果を得ることができる。尚、過給機付のエンジンに対しては、図4のS120で判定する非有効領域RNを予め広く設定しておき、エンジンの回転数と負荷がより低い領域で、図4のS150の処理が行われるようにすればよい。

図面の簡単な説明

0048

図1実施形態のコモンレール式燃料噴射装置を表す構成図である。
図2実施形態における高圧ポンプの構成を示す模式図である。
図3実施形態におけるインジェクタの構成を示す模式図である。
図4実施形態のECUで実行される処理を表すフローチャートである。
図5通常のパイロット噴射がNOx の低減に有効ではない運転領域(非有効領域)を説明する説明図である。
図6通常のパイロット噴射を行う場合の制御状態を示すタイミングチャートである。
図7非有効領域用のパイロット噴射を行う場合の制御状態を示すタイミングチャートである。
図8実施形態の効果を説明する説明図である。
図9他の実施形態のインジェクタの構成を示す模式図である。

--

0049

1…コモンレール式燃料噴射装置3,69…インジェクタ
5…コモンレール7…燃料タンク9…高圧ポンプ
11…電子制御装置(ECU) 27…コモンレール圧センサ
33…エンジン35…三方弁37…コマンドピストン
38…制御室39…ノズルニードル39a…油溜り室
39b…弁座(シート) S…スプリング40…噴孔
41…CPU 45…トランジスタ47…電磁コイル
51…気筒判別センサ53…クランク角センサ
55…アクセル開度センサ71…二方弁

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