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技術 表面処理方法、装飾品および電子機器

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 内山明
出願日 1997年10月9日 (23年2ヶ月経過) 出願番号 1997-277840
公開日 1998年9月29日 (22年3ヶ月経過) 公開番号 1998-259487
状態 特許登録済
技術分野 機械時計 金属へのほうろう被覆 エッチングと化学研磨(つや出し)
主要キーワード ガラスコーティング剤 コーティング原液 ガラスコーティング層 ホーニング仕上げ 金属射出成形法 電子玩具 付き具合 ガラスコーティング
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年9月29日)のものです。
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課題

TiまたはTi合金の表面に対して、指紋の付着等による汚れや傷付きを防止する。

解決手段

TiまたはTi合金で構成された時計外装部品10は、その表面11に、鏡面加工ホーニング加工スジ目加工等の機械的加工が施され、その加工面の上に、例えばガラスコーティング液の塗布、乾燥により透明保護層12が形成される。この透明保護層12の存在により、優れた耐擦傷性および耐指紋付着性が発揮される。

概要

背景

腕時計外装ケースを構成する金属材料としては、ステンレス鋼黄銅洋白、その他の各種金属が用いられ、表面仕上げとして、鏡面研磨加工スジ目加工、ホーニング加工等の機械的加工が施される。

近年、腕時計の外装ケースを構成する金属材料として、Tiが注目されている。このTiは、軽量、高耐食性、高強度であり、また、耐金属アレルギー素材であるという利点がある。

概要

TiまたはTi合金の表面に対して、指紋の付着等による汚れや傷付きを防止する。

TiまたはTi合金で構成された時計外装部品10は、その表面11に、鏡面加工、ホーニング加工、スジ目加工等の機械的加工が施され、その加工面の上に、例えばガラスコーティング液の塗布、乾燥により透明保護層12が形成される。この透明保護層12の存在により、優れた耐擦傷性および耐指紋付着性が発揮される。

目的

そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、その目的は、指紋の付着等による汚れや傷付きを防止することができる表面処理方法装飾品および電子機器を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

TiまたはTi合金の表面に、透明保護層を形成することを特徴とする表面処理方法

請求項2

TiまたはTi合金に機械的加工を施し、その加工面の表面に透明保護層を形成することを特徴とする表面処理方法。

請求項3

前記機械的加工は、ホーニング加工スジ目加工または鏡面加工のいずれかである請求項2に記載の表面処理方法。

請求項4

前記透明保護層は、ガラス成分を含む層である請求項1ないし3のいずれかに記載の表面処理方法。

請求項5

前記透明保護層の形成は、ガラスコーティング液を前記表面に付着せしめ、その後、乾燥することによりなされる請求項1ないし4のいずれかに記載の表面処理方法。

請求項6

前記ガラスコーティング液は、その原液希釈液希釈して用いられる請求項5に記載の表面処理方法。

請求項7

前記透明保護層の形成は、前記機械的加工の種類に応じた希釈率で希釈されたガラスコーティング液を付着せしめ、その後、乾燥することによりなされる請求項2または3に記載の表面処理方法。

請求項8

前記ガラスコーティング液の粘度は、150cps(25℃)以上である請求項7に記載の表面処理方法。

請求項9

前記乾燥は、異なる乾燥条件で2回以上行われる請求項7または8に記載の表面処理方法。

請求項10

TiまたはTi合金の表面に、透明保護層を形成してなることを特徴とする装飾品

請求項11

TiまたはTi合金からなる金属部分の機械的加工がなされた表面に、透明保護層を形成してなることを特徴とする装飾品。

請求項12

前記機械的加工は、ホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工のいずれかである請求項11に記載の装飾品。

請求項13

前記透明保護層は、ガラス成分を含む層である請求項10ないし12のいずれかに記載の装飾品。

請求項14

前記透明保護層の厚さが、0.2〜15μm である請求項10ないし13のいずれかに記載の装飾品。

請求項15

前記透明保護層のビッカース硬度(Hv)が、180〜700である請求項10ないし14のいずれかに記載の装飾品。

請求項16

前記装飾品は、時計外装部品である請求項10ないし15のいずれかに記載の装飾品。

請求項17

請求項10ないし15のいずれかに記載の装飾品を少なくとも一部に有することを特徴とする電子機器

請求項18

前記電子機器は時計である請求項17に記載の電子機器。

技術分野

0001

本発明は、表面処理方法装飾品および電子機器に関する。

背景技術

0002

腕時計外装ケースを構成する金属材料としては、ステンレス鋼黄銅洋白、その他の各種金属が用いられ、表面仕上げとして、鏡面研磨加工スジ目加工、ホーニング加工等の機械的加工が施される。

0003

近年、腕時計の外装ケースを構成する金属材料として、Tiが注目されている。このTiは、軽量、高耐食性、高強度であり、また、耐金属アレルギー素材であるという利点がある。

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、Tiを腕時計の外装ケースに用いた場合には、以下のような問題点がある。

0005

Ti製外装ケースの表面仕上げとしては、Ti素材の性質上、ホーニング加工(ホーニング仕上げ)が最も多いが、このホーニング加工により表面に微小凹凸が形成されるので、一旦表面に指紋等が付着すると、それが取れなくなるという問題がある。

0006

また、Tiは、ビッカース硬度Hvが150以下であり、ステンレス鋼(SUS)のHv200に較べて硬度が低いため、腕時計の場合には、小傷が付き易いという問題がある。

0007

そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、その目的は、指紋の付着等による汚れや傷付きを防止することができる表面処理方法、装飾品および電子機器を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成する本発明は、TiまたはTi合金の表面に、透明保護層を形成することを特徴とする表面処理方法である。

0009

これにより、傷付きや汚れを防止することができる。

0010

また、本発明は、TiまたはTi合金に機械的加工を施し、その加工面の表面に透明保護層を形成することを特徴とする表面処理方法である。

0011

前記機械的加工は、ホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工のいずれかであるのが好ましい。

0012

これにより、傷付きや汚れを防止することができ、また、透明保護層の密着性も高く、耐久性に優れる。

0013

また、前記透明保護層は、ガラス成分を含む層であるのが好ましい。

0014

この構成により、十分な硬度を備え、耐擦傷性に優れた表面を形成することができ、指紋の付着等の汚れや傷付きをより高いレベルで防止することができる。

0015

また、前記透明保護層の形成は、ガラスコーティング液を前記表面に付着せしめ、その後、乾燥することによりなされるのが好ましい。

0016

この構成により、透明保護層の形成を容易に行うことができ、透明保護層の密着性も高い。

0017

また、前記ガラスコーティング液は、その原液希釈液希釈して用いられるのが好ましく、特に前記透明保護層の形成は、前記機械的加工の種類に応じた希釈率で希釈されたガラスコーティング液を付着せしめ、その後、乾燥することによりなされるのが好ましい。

0018

この構成により、透明保護層の耐食性耐摩耗性、耐擦傷性を高く維持しつつ、白色化度や光沢の度合いをより向上することができる。

0019

また、前記ガラスコーティング液の粘度は、150cps(25℃)以上であるのが好ましい。

0020

この構成により、透明保護層の耐摩耗性、耐擦傷性がより向上する。

0021

また、前記乾燥は、異なる乾燥条件で2回以上行われるのが好ましい。

0022

この構成により、透明保護層の膜質および密着性が向上する。

0023

また、本発明は、TiまたはTi合金の表面に、透明保護層を形成してなることを特徴とする装飾品である。

0024

これにより、装飾品の表面の傷付きや汚れを防止することができる。

0025

また、本発明は、TiまたはTi合金からなる金属部分の機械的加工がなされた表面に、透明保護層を形成してなることを特徴とする装飾品である。

0026

前記機械的加工は、ホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工のいずれかであるのが好ましい。

0027

これにより、装飾品の表面の傷付きや汚れを防止することができ、また、透明保護層の密着性も高く、耐久性に優れる。

0028

また、前記透明保護層は、ガラス成分を含む層であるのが好ましい。

0029

この構成により、十分な硬度を備えた表面を形成することができ、指紋の付着等の汚れや傷付きをより高いレベルで防止することができる。

0030

また、前記透明保護層の厚さが、0.2〜15μm であるのが好ましい。

0031

この構成により、十分な保護効果が得られるとともに、透明保護層を、欠陥が少なく、良好な膜質のものとすることができる。

0032

また、前記透明保護層のビッカース硬度(Hv)が、180〜700であるのが好ましい。

0033

この構成により、透明保護層の耐摩耗性、耐擦傷性がより向上する。

0034

また、前記装飾品は、時計外装部品であるのが好ましい。

0035

時計外装部品は、特に優れた外観品質を要求されるので、上述の効果が得られる本発明を適用するにあたり、その利用価値が高い。

0036

また、本発明は、前記記載の装飾品を少なくとも一部に有する電子機器として構成することが好ましい。

0037

ここで、前記電子機器は時計であるのが好ましい。

発明を実施するための最良の形態

0038

以下、本発明に係る実施形態について説明する。以下に述べる本実施形態は、腕時計(携帯時計)の外装ケースに対して本発明を適用した例である。

0039

まず、時計外装ケースについて説明する。

0040

時計外装ケースは、胴(ケース本体)、裏蓋カバーガラス等の時計外装部品を組み立ててなるものであり、また、カバーガラスの外周に縁(ベゼル)を有するものもある。これら時計外装部品のうち、例えば、胴、縁の少なくとも一方をTi(純Ti)またはTi合金で構成することができ、このようなTiまたはTi合金製の時計外装部品に本発明が適用される。

0041

Ti合金は、Tiを主とし、他の種類の1または2以上の金属が含有されたものである。Tiに対し合金(または金属間化合物)化される金属としては、例えば、Al、V、Mo、W、Fe、Co、Cr、Cu、Ag、Pt、Pd、Zn等のうちの1種または2種以上が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、このような金属の含有量も、Tiの特性を大幅に変化させない限り、特に限定はない。

0042

腕時計の時計外装部品は、前述したようなTiまたはTi合金を材料として、例えば、プレス成形法鋳造法粉末冶金法ロストワックス法金属射出成形法MIM)等により製造される。特に、プレス成形法によって製造された外装部品は、必要に応じ、適宜切削加工が施される。

0043

このような時計外装部品の表面には、必要に応じ、機械的加工が施される。この機械的加工としては、例えば、微細粒子を吹き付けることによるホーニング加工を行う場合と、スジ目加工を行う場合と、バフ研磨バレル研磨等によって鏡面加工を行う場合とがある。

0044

次に、図1および図2を参照しつつ、本発明を説明する。

0045

TiまたはTi合金製の時計外装部品10の表面付近には、前記機械的加工がなされる。図1は、前記機械的加工のうち、特に、ホーニング加工を施した時計外装部品表面の様子を概念的に示すものである。ホーニング加工が施された表面(加工面)11には、微小な凹凸が形成されている。

0046

また、スジ目加工を行った場合でも、同様に、表面(加工面)には、線状の微小な凹凸が形成される。鏡面加工を行った場合には、その加工面は平滑な面であり、表面粗度は極めて小さい。

0047

次に、この表面(加工面)11上に、図2に示すように、透明保護層12を形成する。これにより、本発明の装飾品(時計外装部品)が完成する。

0048

透明保護層12としては、ガラスコーティング層のようなガラス成分を含む層が好ましい。これにより、屈折率等に起因する濡れ効果が発揮され、外観を白色化することができ、光沢も高くなる。また、表面11に指紋が付着し、その跡により外観を損なうということも防止される。

0049

なお、ガラスコーティング層に代表される透明保護層12の厚さは、特に限定されないが、0.2〜15μm 程度が好ましく、0.8〜5.0μm 程度がより好ましい。透明保護層12の厚さが厚すぎると、透明保護層内の内部応力が高まり、衝撃を受けたときにクラックが発生し易くなり、また、薄すぎると、指紋付着防止および小傷防止の効果が少なくなる。

0050

また、透明保護層12の硬度は、特に限定されないが、JIS Z 2244に規定するビッカース硬度(Hv)が180〜700程度であるのが好ましく、300〜500程度であるのがより好ましい。これにより、優れた耐摩耗性、耐擦傷性が得られる。

0051

表面11がホーニング加工またはスジ目加工された加工面である場合、表面11に存在する微小な凹凸によりアンカー効果が発揮され、透明保護層12の密着性が向上する。

0052

また、表面11が鏡面加工された加工面である場合には、表面11に酸化物やその他の異物等の存在が少なく、その結果、透明保護層12の密着性が向上する。

0053

このように、透明保護層12の密着性の向上は、透明保護層12の寿命を長くする。すなわち、耐久性の向上に寄与する。

0054

次に、本発明の表面処理方法の一例について説明する。

0055

<1>機械的加工
時計外装部品10のTiまたはTi合金表面に対し、必要に応じ、機械的加工を施す。この機械的加工の種類としては、例えば、前述したホーニング加工、スジ目加工、鏡面加工が挙げられる。

0056

なお、この機械的加工は、必ずしも行われなくてもよい。

0057

<2>表面付着物の除去
時計外装部品10の表面11(機械的加工の有無を問わない)に対し、必要に応じ、その表面に付着した酸化物その他汚れ等の異物(これらを総称して「表面付着物」と言う)を除去する作業を行う。これにより、白色化の度合いが高まり、また、より高い光沢が得られ、外観品質が向上する。

0058

この表面付着物を除去する処理の代表例としては、エッチング処理液による化学研磨電解研磨洗浄酸洗アルカリ洗、水洗等)が挙げられ、これらのうちの1または2以上の処理を適宜組み合わせて行うことができる。

0059

なお、この表面付着物の除去は、必ずしも行われなくてもよい。

0060

<3>透明保護層の形成
図2に示すように、時計外装部品10の表面11上に、透明保護層12を形成する。

0061

この透明保護層12は、例えばガラスコーティング層で構成することができる。以下、その形成方法の一例を説明する。

0062

時計外装部品10の表面11に、ガラスコーティング液を例えば塗布法により付着せしめ、次いでこれを乾燥することにより、透明なガラスコーティング層を形成することができる。

0063

透明保護層12を形成するためのガラスコーティング液としては、主成分がアルカリ珪酸塩超微粒子状シリカとを加熱溶解して形成した生成物からなるもの(例えば、奥野製薬工業社製の透明ガラスコーティング剤商品名:CRMコート 100)を用いることができる。

0064

この種のガラスコーティング液(原液)は、ナトリウム珪酸塩カリウム珪酸塩等のアルカリ珪酸塩の固形分換算100重量部と、平均粒径が40μm 以下程度の超微粒子状シリカ5〜100重量部とを、好ましくは50〜100℃、より好ましくは80〜100℃の温度で加熱溶解し、約1〜2時間撹拌し、超微粒子状シリカをアルカリ珪酸塩に溶解(分散)させることによって生成したものである。

0065

ここで、前記溶解時において、上記の固形分総量100重量部に対し、好ましくは600重量部を上限として水を存在させることができ、これにより、溶解を容易、迅速に行うことができる。

0066

このようにして得られた透明で無機質なガラスコーティング液は、原液のままで使用するか、あるいは希釈液で希釈したものを使用することができるが、希釈液で希釈したものを用いるのが好ましい。これにより、ガラスコーティング液の塗布作業の作業性が向上するとともに、得られる透明保護層の膜質、特に、膜の硬度および耐食性が向上する。

0067

この場合、ガラスコーティング液の希釈倍率は、時計外装部品に施された前記機械的加工の種類、すなわちホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工のいずれであるかに応じて、選定されるのが好ましい。これにより、透明保護層12の耐食性、耐摩耗性、耐擦傷性を高く維持しつつ、白色化度や光沢の度合いをより向上することができる。

0068

機械的加工の種類に応じた希釈率の好ましい範囲は、下記の通りである。なお、塗布されるガラスコーティング液の粘度にも、好ましい範囲がある。この粘度は、前記希釈率に対応しており、希釈率と併せて下記に示す。

0069

・ホーニング加工
希釈率は、85%以下が好ましく、30〜70%程度がより好ましい。例えば、原液に水を加えて、希釈率を70%(水:コーティング原液容積比)=70:30)とすることができる。粘度は、150cps(25℃)以上が好ましく、200〜500cps(25℃)程度がより好ましい。

0070

・スジ目加工
希釈率は、85%以下が好ましく、30〜70%程度がより好ましい。例えば、原液に水を加えて、希釈率を70%(水:コーティング原液(容積比)=70:30)とすることができる。粘度は、150cps(25℃)以上が好ましく、200〜500cps(25℃)程度がより好ましい。

0071

・鏡面加工
希釈率は、50〜98%程度が好ましく、90〜98%程度がより好ましい。例えば、原液に水を加えて、希釈率を95%(水:コーティング原液(容積比)=95:5)とすることができる。粘度は、150〜400cps(25℃)が好ましく、150〜250cps(25℃)程度がより好ましい。

0072

希釈率が高すぎる(粘度が低すぎる)と、ガラスコーティングにより得られた透明保護層の耐食性、耐摩耗性または耐擦傷性が低下する場合がある。また、希釈率が低すぎる(粘度が高すぎる)と、特に、鏡面加工を施したものの場合に、白色化度または光沢の度合いが低下する。

0073

なお、透明保護層を例えば有機被膜のようなガラス材以外の材料で構成する場合、そのコーティングに用いる希釈液としては、水の他、例えば、アルコール類ベンゼントルエン等の有機溶媒を用いることもでき、また、これらの有機溶媒を水と混合して用いることもできる。

0074

以上のようなガラスコーティング液の塗布方法としては、例えば、浸漬法ディッピング)、スプレー法ロールコーターはけ塗り等が挙げられる。

0075

次に、表面11に塗布されたガラスコーティング液は、乾燥される。この乾燥条件は、特に限定されないが、常温〜250℃の温度で、1〜20分間行うのが好ましく、150〜230℃の温度で、5〜15分間行うのがより好ましい。

0076

また、このような乾燥は、同一または異なる乾燥条件で、2回以上行われてもよい。特に、乾燥を異なる条件(乾燥方法乾燥温度、乾燥時間(乾燥速度)等の条件のうち、1つでも異なる)で2回以上行う場合には、透明保護膜12の膜質(特に、緻密性均質性、厚さの均一性)や密着性の向上に寄与する。

0077

また、ガラスコーティング液の塗布およびその乾燥を1工程として、この工程を複数回繰り返し行ってもよい。

0078

一例を挙げると、所定の希釈率に希釈された前記ガラスコーティング液を、スプレーガンにより腕時計の胴の表側の表面11に吹き付け、次いで、150℃×10分間の仮乾燥を行う。次に、この胴の裏側(内側)の表面11に、同じガラスコーティング液を同様に吹き付け、150℃×10分間の仮乾燥を行う。その後、乾燥ファン排気ファン稼動させた状態で180℃×10分間の本乾燥を行う。これにより、ガラス層による透明保護層が形成される。このような透明保護層は、耐食性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐衝撃性耐指紋付着性および密着性に優れている。

0079

なお、透明保護層による耐食性、耐摩耗性、耐擦傷性等をより高めるために、前記本乾燥の前に、ガラスコーティング液(塗布液)の塗布を、複数回行うこともできる。

0080

以下、具体的実施例を挙げて説明する。

0081

素地金属が純Tiよりなる時計外装部品をプレス成形法により製造し、次いで、その表面に、それぞれ、ホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工を施した。

0082

また、金属射出成形法(MIM)により得られた成形体焼結して、素地金属が純Tiよりなる時計外装部品を製造した。この時計外装部品には、前記機械的加工は施さなかった。

0083

次に、ホーニング加工、スジ目加工を施した時計外装部品、ならびにMIMにより製造された時計外装部品を、それぞれ、エッチング処理液に浸漬し、表面の化学研磨を行った。エッチング処理液の組成は、HF:3.5vol%、HNO3 :32.0vol%、H2 SO4 :51.0vol%、残部が水である。エッチング処理液の温度は、65℃とした。エッチング処理液への浸漬時間は、25秒とした。エッチング処理後温水洗浄した。

0084

また、鏡面加工を施した時計外装部品については、前述のような化学研磨を行わず、次工程へ進んだ。

0085

次に、各時計外装部品に対し、透明保護層の形成を以下のようにして行った。

0086

まず、ナトリウム珪酸塩を固形分換算100重量部と、平均粒径30μm の超微粒子状シリカ50重量部とを、85℃で加熱溶解し、約1時間撹拌して、超微粒子状シリカをアルカリ珪酸塩に溶解(分散)させ、ガラスコーティング液の原液を得た。

0087

次に、このガラスコーティング原液を水で希釈し、その希釈率および粘度(25℃)を下記表1に示すように種々変更したガラスコーティング液を調製した。

0088

次に、各ガラスコーティング液を、それぞれ、前記各時計外装部品の表面にスプレー法により塗布し、乾燥して、表1に示す厚さ(平均値)の透明保護層を形成した。

0089

なお、乾燥は、150℃×10分間の仮乾燥と、180℃×11分間の本乾燥とを行った。

0090

得られた各時計外装部品について、透明保護層形成面の外観品質、ビッカース硬度(Hv)、耐指紋付着性(指紋の付着し難さ)、耐擦傷性および透明保護層の密着性を調べた。その結果を下記表1および表2に示す。

0091

なお、表1、表2中の外観品質等の評価において、Hはホーニング加工をしたもの、Sはスジ目加工を施したもの、Mは鏡面研磨加工を施したもの、Nは機械的加工を施さないもの(MIM成形品)をそれぞれ示す。

0092

0093

0094

表1中の外観品質は、目視判定により以下の5段階に分類して評価した。

0095

A:外観優良白色度極めて大および光沢極めて大)
B:外観良(白色度大および光沢大)
C:外観普通(白色度中および光沢中)
D:外観やや不良(白色度やや小および光沢小)
E:外観不良(白色度小および光沢なし)
なお、評価A、Bは、実際に製品化した場合に、全く問題を生じないものであり、評価Cは、例えば高級品のような特別高品質を要求される特殊な製品を除き、問題を生じないものである。

0096

また、表1中の耐指紋付着性は、機械的加工がHおよびMの場合において調べ、その平均で評価した。この場合、軽く手の指を触れさせたときの指紋の付き具合により判断し、以下の4段階に分類して評価した。

0097

◎:指紋付着が全くないもの
○:指紋付着がほとんどないもの
△:指紋付着が若干あるもの
×:指紋付着が激しいもの
また、表2中の耐擦傷性は、機械的加工がH、S、MおよびNの場合において調べ、その平均で総合評価した。このうち、試験1は500g/cm2 で加圧した状態で牛皮で1.5万回の摩耗試験をした結果を、試験2はAl材により引っ掻き試験をした結果を、試験3はBS鋼材にて引っ掻き試験を行った結果を、試験4はステンレス鋼の線材で引っ掻き試験を行った結果をそれぞれ示すものである。それぞれ、以下の4段階に分類して評価した。

0098

◎:擦傷痕が全く付かないもの
○:擦傷痕がほとんど付かないもの
△:擦傷痕が若干付くもの
×:擦傷痕が激しく付くもの
また、表2中の透明保護層の密着性は、粘着テープを貼り、それを剥がしたときの透明保護層の剥離の有無により判断し、以下の4段階に分類して評価した。

0099

◎:透明保護層の剥離が全くないもの
○:透明保護層の剥離がほとんどないもの
△:透明保護層の剥離が若干あるもの
×:透明保護層の剥離が激しいもの
表1および表2に示すように、実施例1〜7では、いずれも、優れた外観品質、耐指紋付着性および耐擦傷性が得られている。特に、機械的加工の種類(H、S、M)に応じて適正な希釈率を選択することにより、白色化度や光沢の度合いが高まり、外観品質をより向上することができることがわかる。

0100

また、実施例1〜7において、機械的加工を施したものは、特に、透明保護層の密着性が優れている。

0101

これに対し、透明保護層を形成しない比較例は、耐指紋付着性および耐擦傷性が劣っている。

0102

本発明では、透明保護層を形成するためのコーティング液は、前述したものに限定されず、透明保護層を形成し得るものであれば、コーティング液の組成、温度、希釈率、粘度、塗布方法等の条件は、任意のものが可能である。

0103

例えば、無機質の酸化アルミニウム酸化シリコン水ガラス系等を含む種々のコーティング液が使用可能である。

0104

また、透明保護層は、無機質のものに限らず、例えば硬質樹脂のような高分子材料で構成されたもの(有機被膜)でもよい。

0105

さらに、透明保護層の形成方法は、前述したような塗布法(コーティング)に限らず、例えば、各種湿式メッキ乾式メッキ(例:蒸着スパッタリングイオンプレーティングCVD)等によるものでもよい。

0106

また、透明保護層の形成は、前述の表面付着物の除去工程が終了後、通常144時間以内に行うことが好ましい。144時間を超えると、表面に酸化物層が形成され始め、若干の変色が発生し始める可能性があるからである。

0107

また、本発明は、腕時計の外装部品またはこれを組み立ててなる外装ケース等のほぼ全体を透明保護層により被覆する場合に限らず、腕時計の外装部品、外装ケース、その他各種装飾品等の表面の一部分に、あるいはその表面上の複数箇所に対し、ガラスコーティング層等の透明保護層を設けてもよい。

0108

例えば、時計外装ケースの内側にマスキングを行った状態で、透明保護層の形成処理を行うと、時計外装ケースの内面には透明保護層が形成されないので、内部の機械体ムーブメント)を収納、固定するに際して、機械体の正確な位置決めを行うことができ、また、透明保護層の構成物質による機械体への悪影響も防止できる。

0109

例えば、裏蓋を胴にスナップ取付する際、胴または裏蓋の係合面における透明保護層の削れカスが機械体に進入し機械体の駆動を阻害遅れや止まりを引き起こす可能性がある場合には、両者のスナップ係合面に透明保護層を形成しないことにより、このような不都合を防止することができる。

0110

また、本発明は、TiまたはTi合金の素地上に透明保護層を形成するものに限らず、所定の基材上に形成されたTiまたはTi合金層の表面に、透明保護層を形成するものでもよい。

0111

また、本発明は、腕時計の外装ケースやバンド、それらを用いた時計完成品に適用できるが、これらに限らず、その他の携帯時計、あるいは置時計掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。

0112

また、時計以外の、例えば、メガネフレームネクタイピンカフスボタンライターまたはそのケース、ペン指輪ネックレスブレスレットブローチペンダントイヤリングピアスティアラ宝飾品置物類、インテリア製品等の装飾品(装飾性を少しでも備えたもの)または装身具に適用することもできる。

0113

また、本発明は、前述したような装飾品を一部に備えた(少なくとも一部に装飾的効果を発揮し得るように用いられた)電子機器類も対象となる。このような電子機器としては、例えば、電子時計携帯電話機ポケットベル電卓パーソナルコンピュータワードプロセッサプリンタ複写機カメラビデオ装置テレビオーディオ機器電子玩具、各種測定機器等が挙げられる。

0114

さらには、このような装飾品、装身具、電子機器に限らず、種々のTiまたはTi合金製の部材に適用することもできる。

発明の効果

0115

以上述べたように、本発明によれば、以下の効果を奏する。

0116

透明保護層を形成することにより、優れた耐擦傷性および耐指紋付着性が得られる。特に、透明保護層をガラスコーティング層のようなガラス成分を含む層とすることにより、透明保護層の形成を容易に行うことができるとともに、高硬度で、耐食性、耐摩耗性に優れた透明保護層とすることができ、また、外観品質の向上にも寄与する。

0117

また、TiまたはTi合金の表面に対し事前にホーニング加工、スジ目加工、鏡面加工等の機械的加工が施された場合でも、前述したような優れた効果が得られる。また、この場合には、透明保護層の密着性がより高くなり、耐久性が向上する。

図面の簡単な説明

0118

図1本発明に係る実施形態の処理工程における表面状態を概念的に示す説明図である。
図2本発明に係る実施形態の処理工程における表面状態を概念的に示す説明図である。

--

0119

10時計外装部品
11 表面
12透明保護膜

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