図面 (/)

技術 難除去性芳香族有機窒素化合物のバイオ脱窒素法

出願人 石油公団国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 倉根隆一郎宇佐美昭次桐村光太郎辻健司
出願日 1997年3月5日 (23年8ヶ月経過) 出願番号 1997-050744
公開日 1998年9月14日 (22年2ヶ月経過) 公開番号 1998-244294
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 嫌気,嫌気・好気又は生物に特徴ある処理
主要キーワード ガス質量分析計 目的対象物 金属混合液 窒素化合物含有量 備蓄タンク 反応対象物 芳香族窒素化合物 テフロンテープ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年9月14日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

構成

スフィンゴモナス属に属し、難除去性芳香族有機窒素化合物を分解する能力を有するとともに、有機溶媒にも耐性能を示すところの微生物を、前記芳香族窒素化合物と接触(二相系を含む)させることを特徴とする、微生物を用いた脱窒素方法

効果

石油石炭から難除去性芳香族有機窒素化合物を除去することができ、石油、石炭を常温・常圧下で精製することができる。

概要

背景

世界における石油需要は、世界的な産業活性化の必要性、発展途上国における消費の増加、石油代替エネルギーの開発の頭打ち省エネルギー限界等から、未だ底堅いものがある。特にガソリン灯油軽油の需要は堅調で、石油の需要の構造は急速に軽質化の方向に向かっている。掛かる軽質石油の需要の増大に伴い、石油精製技術の一層の進歩・発展が望まれている。

例えば、昨今の環境問題に対応した、より環境への負担が少なくてすむ石油精製技術の確立が望まれている。産業界では「ボイラー燃焼においては、窒素分の少ない良質燃料の選択も必要」という意見も唱えられており、脱窒素の必要性は増大しつつある。また、環境汚染防止の観点においても、NOx規制と軽質系原油入手難により軽油・灯油中の窒素分を削減することが望まれている。これら化石燃料中の窒素化合物は、燃焼によりNOxとなり、その結果として大きな環境問題たる酸性雨の原因の一つとなっていると指摘されている。さらに、原油等の含有窒素化合物の中には、カルバゾール類のような難除去性芳香族有機窒素化合物も存在しており、石油精製の際の触媒劣化の問題、ならびに高温での精製時における石油製品の着色の問題等がある。

また、現在の蒸留化学反応を中心とした精製技術は一面においては完成されたものであるが、高温・高圧操作条件を設定する必要があるエネルギー多消費型プロセスであり、このような操作条件においては、エネルギー負荷や安全性に関して問題がある。そこで、上記のようなエネルギー多消費型プロセスを必要としない、常温・常圧で石油精製が可能な手段の確立が現在待たれている。

ところで、石油中窒素化合物含有量産地により0.01〜0.49%という幅があり、石油中に存在する有機窒素化合物の形態は、難除去性有機窒素化合物、例えば非塩基性窒素化合物(主にピロール環インドール環を有するもの)や塩基性窒素化合物(主にピリジン環アクリジン環を有するもの)等多種類に及ぶ。特に現行のプロセスにおいて除去が困難なカルバゾール略号CA)等の芳香族窒素化合物は、高温にすると石油製品の変色、着色の原因となり、また石油精製工程で使用される触媒劣化させることなど、石油精製工程上問題となっている。また、望ましくはそれらの脱窒素方法においても、爆発等の事故が起こる危険性が少ない微好気条件下で行うことのできる方法の確立が望まれている。

概要

スフィンゴモナス属に属し、難除去性芳香族有機窒素化合物を分解する能力を有するとともに、有機溶媒にも耐性能を示すところの微生物を、前記芳香族窒素化合物と接触(二相系を含む)させることを特徴とする、微生物を用いた脱窒素方法。

石油や石炭から難除去性芳香族有機窒素化合物を除去することができ、石油、石炭を常温・常圧下で精製することができる。

目的

本発明は、上記の常温・常圧で石油の精製が可能な手段の一つとして、バイオテクノロジー活用した方法の確立、さらに詳細には石油や石炭に含まれる有機窒素化合物を特異的に分解したり、当該化合物を容易に除去できる化合物に変換したりすることが可能な微生物を自然界から分離し、かかる微生物を利用した石油等の脱窒素手段の確立を目的とする。特に、難除去性芳香族有機窒素化合物の双肩ともいえるカルバゾール骨格ならびにキノリン骨格を有する異なった芳香族有機窒素化合物を、一つの種類の微生物で分解除去できる特徴を有する脱窒素手段の確立が望まれている。さらにまた、反応対象が原油中の難除去性有機窒素化合物であることより、微生物が本来的にもつ親水性反応(水系反応)ではなく、石油系有機溶媒/水系よりなる二相系での脱窒素反応の確立を目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

芳香族類有機窒素化合物を分解する能力を有する微生物を、芳香族類有機窒素化合物を含有する物質と接触させ、前記芳香族類有機窒素化合物を分解することを特徴とする脱窒素方法

請求項2

芳香族類有機窒素化合物を分解する能力を有する微生物がスフィンゴモナス属に属する微生物であることを特徴とする請求項1記載の脱窒素方法。

請求項3

スフィンゴモナス属に属する微生物がスフィンゴモナス属CDH-7であることを特徴とする、請求項2記載の脱窒素方法。

請求項4

芳香族類有機窒素化合物がカルバゾール化合物類及び/又はキノリン化合物類であることを特徴とする、請求項1記載の脱窒素方法。

請求項5

前記微生物と芳香族類有機窒素化合物を含有する物質との接触を好気的又は微好気的な条件下で行うことをを特徴とする、請求項1記載の脱窒素方法。

請求項6

前記微生物が培養菌体又は休止菌体であることを特徴とする請求項1記載の脱窒素方法。

請求項7

石油系有機溶媒/水系よりなる二相系で行うことを特徴とする請求項1記載の脱窒素方法。

請求項8

芳香族類有機窒素化合物を分解する能力を有する微生物の休止菌体と芳香族類有機窒素化合物を含有する物質とを連続的に接触させ前記芳香族類有機窒素化合物を分解することを特徴とする連続的脱窒素方法。

請求項9

スフィンゴモナス属に属する微生物がスフィンゴモナス属細菌CDH-7であることを特徴とする、請求項8記載の連続的脱窒素方法。

請求項10

芳香族類有機窒素化合物がカルバゾール化合物類及び/又はキノリン化合物類であることを特徴とする、請求項9記載の連続的脱窒素方法。

技術分野

0001

本発明は、微生物を利用した脱窒素方法に関する。より詳細には、特定の菌株を用いて、原油等の石油製品)や、石炭等の芳香族類有機窒素化合物を含む物質から脱窒素をする方法に関する。

背景技術

0002

世界における石油需要は、世界的な産業活性化の必要性、発展途上国における消費の増加、石油代替エネルギーの開発の頭打ち省エネルギー限界等から、未だ底堅いものがある。特にガソリン灯油軽油の需要は堅調で、石油の需要の構造は急速に軽質化の方向に向かっている。掛かる軽質石油の需要の増大に伴い、石油精製技術の一層の進歩・発展が望まれている。

0003

例えば、昨今の環境問題に対応した、より環境への負担が少なくてすむ石油精製技術の確立が望まれている。産業界では「ボイラー燃焼においては、窒素分の少ない良質燃料の選択も必要」という意見も唱えられており、脱窒素の必要性は増大しつつある。また、環境汚染防止の観点においても、NOx規制と軽質系原油の入手難により軽油・灯油中の窒素分を削減することが望まれている。これら化石燃料中の窒素化合物は、燃焼によりNOxとなり、その結果として大きな環境問題たる酸性雨の原因の一つとなっていると指摘されている。さらに、原油等の含有窒素化合物の中には、カルバゾール類のような難除去性芳香族有機窒素化合物も存在しており、石油精製の際の触媒劣化の問題、ならびに高温での精製時における石油製品の着色の問題等がある。

0004

また、現在の蒸留化学反応を中心とした精製技術は一面においては完成されたものであるが、高温・高圧操作条件を設定する必要があるエネルギー多消費型プロセスであり、このような操作条件においては、エネルギー負荷や安全性に関して問題がある。そこで、上記のようなエネルギー多消費型プロセスを必要としない、常温・常圧で石油精製が可能な手段の確立が現在待たれている。

0005

ところで、石油中窒素化合物含有量産地により0.01〜0.49%という幅があり、石油中に存在する有機窒素化合物の形態は、難除去性有機窒素化合物、例えば非塩基性窒素化合物(主にピロール環インドール環を有するもの)や塩基性窒素化合物(主にピリジン環アクリジン環を有するもの)等多種類に及ぶ。特に現行のプロセスにおいて除去が困難なカルバゾール略号CA)等の芳香族窒素化合物は、高温にすると石油製品の変色、着色の原因となり、また石油精製工程で使用される触媒劣化させることなど、石油精製工程上問題となっている。また、望ましくはそれらの脱窒素方法においても、爆発等の事故が起こる危険性が少ない微好気条件下で行うことのできる方法の確立が望まれている。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上記の常温・常圧で石油の精製が可能な手段の一つとして、バイオテクノロジー活用した方法の確立、さらに詳細には石油や石炭に含まれる有機窒素化合物を特異的に分解したり、当該化合物を容易に除去できる化合物に変換したりすることが可能な微生物を自然界から分離し、かかる微生物を利用した石油等の脱窒素手段の確立を目的とする。特に、難除去性芳香族有機窒素化合物の双肩ともいえるカルバゾール骨格ならびにキノリン骨格を有する異なった芳香族有機窒素化合物を、一つの種類の微生物で分解除去できる特徴を有する脱窒素手段の確立が望まれている。さらにまた、反応対象が原油中の難除去性有機窒素化合物であることより、微生物が本来的にもつ親水性反応(水系反応)ではなく、石油系有機溶媒/水系よりなる二相系での脱窒素反応の確立を目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、上記課題解決のために鋭意検討を重ねた結果、特定の有機窒素化合物を分解する能力を有する微生物を自然界から分離して、当該微生物をバイオ脱窒素法に適用することにより、当該課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。

0008

すなわち、本発明は芳香族類有機窒素化合物を分解する能力を有する微生物を、芳香族類有機窒素化合物を含有する物質と接触させ、前記芳香族類有機窒素化合物を分解することを特徴とする微生物を用いた脱窒素方法である。上記微生物としては、スフィンゴモナス属に属する微生物等が挙げられ、さらに具体的にスフィンゴモナス属CDH-7が挙げられる。そして、これらの微生物は培養菌体または休止菌体のかたちで用いられる。また、上記芳香族類有機窒素化合物としては、カルバゾール化合物類及び/又はキノリン化合物類等が挙げられる。

0009

上記微生物と芳香族類有機窒素化合物を含有する物質との接触は好気的又は微好気的な条件下で行う。また、上記脱窒素方法は油系有機溶媒/水系よりなる二相系で行なうことができる。さらに、本発明は芳香族類有機窒素化合物を分解する能力を有する微生物の休止菌体と芳香族類有機窒素化合物を含有する物質とを連続的に接触させ前記芳香族類有機窒素化合物を分解することを特徴とする連続的脱窒素方法である。

0010

以下、本発明について詳細に説明する。本発明の脱窒素方法は、スフィンゴモナス属に属し、有機窒素化合物を分解する能力を有する微生物を用いたバイオ脱窒素法である。上記有機窒素化合物の中でも、難除去性有機窒素化合物として代表的な化学物質であるカルバゾールがあげられるが、本発明者は、当該カルバゾールを唯一窒素源ならびに唯一炭素源として資化分解する能力を有する細菌を、微好気条件下で集積培養法方により自然界から新たに単離した。さらに、本菌はカルバゾール以外の難除去性芳香族化合物としての骨格を持つもう一つの代表的な化合物であるキノリンも唯一窒素源ならびに唯一炭素源として資化分解する。なお、本発明にいう微好気的条件とは、爆発限界以下の酸素分圧条件をいい、通常、酸素2%以下、望ましくは0.5%程度が考えられる。

0011

まず、本発明に用いる脱窒素細菌スクリーニングについて説明する。日本全国から採取してきた土壌廃水原油スラッジ等(約350点)を用いて、現行の石油精製プロセスでは除去が困難な有機窒素化合物の代表的な化学物質である次式のカルバゾール(以下、CAと略す。)

0012

0013

を唯一窒素源として、実際の備蓄タンクの条件に近い酸素抑圧条件下で生育する微生物をスクリーニングした。温度30℃で1週間集積培養を行った後、培養液の2%を植え継ぎ、さらに集積培養を行った。この操作を4回以上繰り返し、十分に集積された培養液の希釈液をCAを含むRich寒天培地に塗布し、ここで出現したコロニー釣菌し、さらに液体培地で集積培養した。この操作を2回以上繰り返し、生育するものを分離した。

0014

特に、集積培養時にはスクリューキャップ試験管(50ml)に、スクリーニング培地20とともに土壌サンプルとCAを加え、キャップテフロンテープを巻き、窒素バブリングした後、30℃で7日間培養した。なお、有機窒素化合物CAを唯一窒素源としたスクリーニング培地は、次の表1に示すように、CAを唯一窒素源とする完全合成培地CD培地を用いた。なお、CAの分散効果を高めるために、n-ヘキサデカンを0.5%(v/v)の濃度で培地に添付した。

0015

CD培地(pH 7.0)
Carbazole 1.0 g or 0.5 g
Na2HPO4 1.6 g
KH2PO4 1.0 g
MgSO4・7H2O 0.5 g
MgCl2・6H2O 0.1 g
CaCl2・2H2O 0.025 g
金属混合液a) 2 ml
ビタミン混合液b) 1 ml
蒸留水を加えて全量1000 ml とする。

a) 金属混合液 b) ビタミン混合液
FeCl2・4H2O 1.5 g Ca-パントテネート400mg
CoCl2・6H2O 0.19 gナイアシン400mg
MnCl2・4H2O 0.1 gピリドキシン塩酸塩400mg
ZnCl2 0.07 gイノシトール200mg
H3BO3 0.062 g p-アミノベンゾエート200mg
Na2MoO4・2H2O 0.036 gシアノコバラミン50mg
NiCl2・6H2O 0.024 g 蒸留水を加えて全量1000 ml とする。
CuCl2・2H2O 0.017 g
蒸留水 1000 ml

0016

以上のスクリーニングの結果、CAを唯一窒素源として資化分解する数種の微生物を得た。取得した数種のCA分解微生物の中で、CDH-7株が最も高いCA分解能力を示した。本菌株の生理生化学的諸性質を表2に示す。表2に示す如く、本菌株はグラム陰性カタラーゼオキシダーゼ陽性桿菌であり、その他の諸性質より、本菌株はスフィンゴモナス属に属するものと同定された。

0017

CDH-7株の生理・生化学的諸性質
細胞形態桿菌
幅 μm 0.5 - 0.6
長さ μm 1.5 - 5.0
グラム染色
3% KOHによる溶菌
アミノペプチダーゼ
胞子
オキシダーゼ+
カタラーゼ+
アルコールデヒドロゲナーゼ
NO3よりNO2の発生 −
脱窒
ウレアーゼ
加水分解
ゼラチン
エスクリン
澱粉
グルコースより酸の生成 −
炭素源としての利用
グルコース −
アラビノース
キシロース
D-リボース
ラムノース
カプリル酸ト −
クエン酸ト −
レブリン酸
リンゴ酸
マンニトール
アドニトール

0018

さらに、CDH-7株の16SrDNAの塩基配列を決定し、相同性を調べたところ、スフィンゴモナス属細菌に属する細菌と96%の相同性を示した。表1ならびに16SrDNAの結果より、本菌株はスフィンゴモナス属に属する細菌と同定した。本菌株は、スフィンゴモナス属 CDH-7株(Sphingomonas sp.CDH-7)として、平成9年2月19日付け工業技術院生命工学工業技術研究所寄託されており、その寄託番号は FERM P-16089である。

0019

本発明において使用する微生物は、上記微生物の他、芳香族類有機窒素化合物を分解する能力を有する微生物であればいずれの微生物も使用できる。また、これらの微生物はいずれも有機溶媒耐性能を有するものである。本菌株の菌体は、菌株を炭素源・窒素源としてカルバゾールを含む培地に接種し、温度30℃、pH7.0 で好気的に24〜48時間培養することにより得られる。本発明の脱窒素方法は、上記のような脱窒素細菌を、芳香族類有機窒素化合物を含む物質と接触させることにより、当該物質を分解して脱窒素することを特徴とする。

0020

有機窒素化合物を含む物質としては、原油、石油、石炭液化油等があげられる。これらの物質はそのまま用いることもできるが、基質としての有機窒素化合物の分解を効率よく行うという観点から、例えば界面活性剤を用いたり、反応系を適宜振とうに付するのが望ましい。これによって、脱窒素細菌と、基質としての有機窒素化合物との接触界面を大きくすることができ分解を効率よく行うことができる。

0021

分解反応雰囲気中の空気の存在量は特に限定されないが、好気的条件下では、通常の空気の存在下でその反応が行われる。一方、反応雰囲気を完全な無酸素状態である嫌気的条件にすることが考えられるが、実際に適用するにあたっては、完全な嫌気状態を備えた施設を設置することは多額の資金を要し、かつ運転コストも高くなることから、現実的な方法とは言えない。これらのことから、わずかに酸素が存在する状態の微好気条件下、または通性嫌気的条件下で反応を行うのが好ましい。また、反応の際の備蓄タンクの状態を考慮しても、上記微好気的条件下で反応を行うのが好ましい。

0022

かかる微好気的条件における具体的な酸素量は、爆発限界以下の2%以下、望ましくは0.5%(v/v)程度であるのが好ましい。分解反応の際の温度は、脱窒素細菌が作用しうる温度であれば特に限定されるものではないが、10〜45℃が一般的であり、その中では30℃付近が好ましい。

0023

分解反応系の構成成分としては、脱窒素細菌及び有機窒素化合物を含む物質の他に、適切な水分があれば反応可能であるが、脱窒素細菌の反応性の向上を図る目的で、無機体または一般的な易分解性有機窒素源無機塩類等の栄養源を適宜反応系に添加するのが好ましい。

0024

当該反応はカラム法によってもバッチ法によっても行うことができる。カラム法で反応を行う場合には、脱窒素細菌を適切な反応カラムに適切な方法で固定化する必要がある。

0025

以上のようなバイオ脱窒素反応後は、通常は公知の分離・精製の過程を適用する。例えば、脱窒素後の石油を、現在一般的に使用されている石油精製装置トッパー)にそのまま付することもできる。ただし、本発明は、脱窒素反応後これらの分離・精製工程に処することを必須要件とするものではない。

0026

対象反応物が原油中の難除去性芳香族化合物であることから、本来、微生物が得意としている親水性反応(水系反応)では反応基質としての原油等の濃度が極端に低くコスト面で不可能であることから考えて、さらに本発明における重要な課題として、いかにして反応対象物である原油等の濃度を高くできるかがポイントになる。かかる状況の下、難除去性有機窒素化合物分解菌の培養菌体または休止菌体を用いて石油系有機溶媒/水系よりなる二相系でCA分解反応を可能ならしめたことにより、原油や灯油、軽油等の石油留分(製品)での本反応を可能とした。また、培養した休止菌体は繰り返し反応に使用できるものであることからコスト的に大きな意味を持ち、休止菌体を用いる反応での連続化を可能とした。

0027

以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。

0028

〔実施例1〕 CA分解試験
難除去性有機窒素化合物であるカルバゾール(CA)を炭素源及び窒素源として含む脱窒素菌用培地を用いて、好気及び微好気的条件下で脱窒素菌(スフィンゴモナス属 sp. CDH-7)によるCA分解試験を行った。当該脱窒素菌用培地の組成は、500/のCAを含むCD培地である。

0029

具体的には、脱窒素細菌(スフィンゴモナス属 CDH-7株) の培養は、上記脱窒素菌用培地30mlとともに当該懸濁液をバイアル瓶(100ml)にいれ、好気及び窒素でバブリングした後密閉して、好気的及び微好気的条件下、30℃にて振とう培養することによって行った。なお、振とう培養は、CAが固形物であるため、基質と脱窒素細菌との接触を高めるために採用した。

0030

CA及び代謝分解産物アントラニル酸(AN)の定量は、培養液を塩酸酸性にして酢酸エチルにて抽出後、上清(CAを含む酢酸エチル溶液)を高速液体クロマトグラフィー(略号HPLC)で分析することによって行った。なお、分析の内部標準としてジベンゾフランを用いた。また、NH4+は和光純薬製のアンモニア測定キットを用いて測定した。また、CDH-7株の生育は660nmにおける濃度(O.D.)にて測定した。本菌株によるカルバゾール分解の代表例として、CA分解の好気条件下での経時的変化図1に示す。

0031

以上の結果より、脱窒素細菌スフィンゴモナス属CDH-7株において、微好気的条件下において、培養20時間以降にCAは急激に減少し、それに伴いCDH-7株の生育増殖が認められるとともに、CAの減少に伴ってANは一時的に蓄積するもののその後は減少し、培養40時間以降には微量のNH4+が存在していた。このことより、本菌株によりCAが高効率で分解消費されていることが確認された。また微好気条件下でも、分解活性落ちるものの、カルバゾールの分解が認められた。

0032

CDH-7株によるCAの代謝分解産物の確認は、上記CDH-7株のCAを唯一窒素源として含むCD培地培養抽出液をHPLC及びガス質量分析計(略号GC-MS)により分析した。この結果、アントラニル酸(AN)の存在が確認された。このことより、CDH-7株により、CAはANを経由して最終的にアンモニウムイオンにまで完全分解されることが確認できた。CAの分解反応形式を次に示す。

0033

0034

〔実施例2〕キノリンの分解試験
次にカルバゾール以外の難除去性芳香族化合物の一方の代表的骨格を示すキノリンの分解過程を示す。実施例1におけるカルバゾールをキノリンに置き換えた以外は実施例1と同様である。この結果、CDH-7株により、キノリンは培養20時間で40%減少し、培養72時間でカルバゾールと同様に完全分解されていた。なお、キノリンの測定はジベンゾフランを内部標準としてカルバゾールと同様にHPLCにより測定した。

0035

〔実施例3〕休止菌体反応によるCA分解
本発明のプロセス化を目指す場合に、休止菌体を用いた連続反応が一つのプロセスとして考えられる。この観点より、まず、CDH-7株を用いた休止菌体反応によるCA分解を検討した。

0036

(休止菌体の調製法)500ml容フラスコに500mg/lのCAを含むCD培地を100ml、n-ヘキサデカンを0.5加えて、CDH-7株を白金線エーゼを用いて一白金耳植菌後、30℃にて33-35時間培養した。遠心分離によりCDH-7株を集菌後、50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)にて2回洗浄した。同緩衝液で懸濁した懸濁液中に残存しているCAは、ガラスフィルター(17G2)を通すことによりCAを除去した。このことにより、CAを含まないCDH-7株の休止菌体懸濁液を調製した。

0037

(休止菌体によるCA分解反応)反応に使用する休止菌体濃度は、乾燥菌体換算して2.2mg/mlとして、この休止菌体懸濁液10ml、n-ヘキサデカン1を50バイアル瓶に添加する。初発CA濃度が100mg/lまたは500mg/lとなるように、CAを溶かしたエタノール溶液100μl を添加して、30℃で一定時間休止菌体反応を行う。6N-HClを200μl加えて反応を停止させた後、実施例1と同様にCA、AN、NH4+を定量した。

0038

この結果を図2(A及びB)に示した。図2-AはCA初発濃度が100mg/l、図2-BはCA初発濃度が500mg/lの例である。図2-Aに示すように、CA初発濃度100mg/lの場合には、反応30分でCAは完全に分解されており、反応液中には中間代謝産物のANの蓄積はなく微量のNH4+が存在しているに過ぎなかった。 CA 初発濃度500mg/lの場合においても、休止菌体反応は効率よく進行し、CAは反応4時間で完全分解されていた。反応液中に一時的にANの蓄積が認められるものの、すぐに減少するとともに、NH4+の存在が認められた。以上の結果より、CDH-7株の休止菌体反応により、高効率でCAが完全分解されていることが判明した。

0039

〔実施例4〕休止菌体反応によるCAの連続分解
微生物を用いた反応において、その微生物を何回再生できるかはコスト面において大きなウェイトを占めている。コストダウンを目的として、一度調製した休止菌体を何回繰り返し再使用できるか、CAの連続分解の検討を行った。用いた休止菌体懸濁液は実施例3と同様に調製(菌体濃度2.2mg/ml)し、CAの添加濃度は100mg/lとして、CAが完全分解されると直ちに次の100mg/lのCAを逐次添加して休止菌体反応を行った。結果を図3に示す。この図から、9回目までの連続反応においてCAは完全に分解され、CAの連続分解反応はこの条件下において42時間可能であることが判る。反応48時間の10回目のCAの分解反応は完全ではないものの、このような条件でCA総量として950mg/l分解がなされていた。以上に示す如く、適切な条件検討を行うことによって、CDH-7の休止菌体を用いた逐次添加したCAの連続完全分解が可能であることが判明した。

0040

〔実施例5〕石油系有機溶媒/水系よりなる二相系でのCA分解
元来、微生物は親水性生物であり、水系でその活性を示すものである。一方、本発明の目的対象物は原油等の中にある難除去性芳香族有機窒素化合物であり、その反応系を考えると相反することになる。このような相反する点を克服すべく鋭意検討を行った結果、スフィンゴモナス属CDH-7株は、石油系有機溶媒の耐性を示す特徴を有する極めて稀な有機溶媒耐性の芳香族有機窒素化合物分解微生物であることを初めて見出し、本発明のプロセス化への道を拓いた。

0041

(各種の石油系有機溶媒/水系の二相系でのCA分解反応)反応に使用するCDH-7株の菌体濃度は実施例3の2倍の4.4mg/mlとし、各種の石油系有機溶媒(イソオクタンn-ヘキサンシクロヘキサン、ρ-キシレントルエン)を水溶液に対し、20%(v/v)、またモデル石油としてケロシン(灯油)を20、50、100%(v/v)重層し、初発CA濃度を100/として1時間休止菌体反応を行った。結果を図4に示す。この図に示す如く、イソオクタン、n-ヘキサン、シクロヘキサンを重層した場合にはCAは完全分解が確認された。またρ -キシレン、トルエンなどの細胞毒性の高い石油系有機溶媒においても、分解率はやや低下するもののCA分解が確認された。さらに、ケロシン(灯油)を20%、50%(v/v)重層してもCAは完全に分解された。100%(v/v)ではCA分解率は低下した。以上の結果より、本菌株は石油系有機溶媒にも高い耐性能を示し、かつ二相系でCAを分解できることが判明した。

0042

(石油系有機溶媒/水系よりなる二相系での菌体濃度変化によるCA分解)石油系有機溶媒で細胞毒性の強い有機溶媒の倍表例としてトルエンを20%(v/v)重層し、菌体濃度を変化させてCAの分解を検討した。結果を図5に示す。菌体量を増加させるとCA分解率は増大し、トルエン存在下でもCA分解が確認された。

0043

〔実施例6〕有機溶媒存在下でのスフィンゴモナス属CDH-7株の菌体寿命
実施例4において示した如く、本微生物は何回も繰り返し可能な夫な菌で、CAの連続分解反応もできることが示されたが、さらに実際のプロセス化を考えると、有機溶媒存在下でどのくらいの菌体寿命とともにCA分解活性を維持しているかも極めて重要な項目である。このような観点より、実施例3と同様にCDH-7株の菌体濃度を2.2mg/mlに調製し、この菌体懸濁液10に有機溶媒の例としてn-ヘキサデカンを10等量加え、30℃で3定時間(1〜7日間)振とうした後に、100mg/lのCAを添加して1時間休止菌体反応を行わせて、有機溶媒存在下での菌体寿命(残存するCA分解活性)を検討した。結果を表3に示す。表3に示す如く、本菌株CDH-7株は等量のn-ヘキサデカンと7日間接触させてもCA分解活性を維持していることが確認された。

0044

発明の効果

0045

本発明により、石油や石炭から難除去性芳香族有機窒素化合物を常温・常圧下で除去することがでる。したがって、本発明は、石油精製工程の一部として用いることができ、石油、石炭の精製を常温・常圧下で行うことができる。

図面の簡単な説明

0046

図1スフィンゴモナス属CDH-7株によるCA分解の経時変化を示す図。
図2スフィンゴモナス属CDH-7株の休止菌体によるCA分解の経時変化を示す図。
図3スフィンゴモナス属CDH-7株休止菌体による連続分解を示す図。
図4スフィンゴモナス属CDH-7株を用いた各種の石油系有機溶媒/水系の二相系でのCA分解反応を示す図。
図5スフィンゴモナス属CDH-7株を用いた石油系有機溶媒/水系よりなる二相系での、菌体濃度変化によるCA分解の変化を示す図。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ