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技術 高靱性・高耐力フェライト+パーライト型非調質鋼鍛造品の製造方法

出願人 大同特殊鋼株式会社
発明者 吉田広明五十川幸宏
出願日 1997年2月25日 (23年10ヶ月経過) 出願番号 1997-058257
公開日 1998年9月8日 (22年3ヶ月経過) 公開番号 1998-235447
状態 拒絶査定
技術分野 鍛造 鋼の加工熱処理
主要キーワード 冷却手法 強靭鋼 高降伏強度 建設機器 パス条件 冷間加工用鋼 熱間鍛造材 つかみ部
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年9月8日)のものです。
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図面 (10)

課題

安価であり且つ広い用途に用いられているフェライトパーライト非調質鋼を用いて、高靱性且つ高耐力を有する鍛造品を製造する方法を提供する。

解決手段

重量%でC:0.20〜0.50%,Si:0.10〜2.0%,P:≦0.050%,V:0.08〜0.40%であり、且つMneq=Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02)で表わされるマンガン当量Mneqが、Mneq:0.8〜2.0%(但しMn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%)であって残部実質的にFeから成る合金を950℃以上に加熱してオーステナイト化した後、冷却を行って一旦750〜1050℃に降温させてその温度域鍛造加工を行い、しかる後冷却を行ってフェライト+パーライト変態させることによって降伏比73以上の鍛造品を得る。

概要

背景

概要

安価であり且つ広い用途に用いられているフェライトパーライト非調質鋼を用いて、高靱性且つ高耐力を有する鍛造品を製造する方法を提供する。

重量%でC:0.20〜0.50%,Si:0.10〜2.0%,P:≦0.050%,V:0.08〜0.40%であり、且つMneq=Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02)で表わされるマンガン当量Mneqが、Mneq:0.8〜2.0%(但しMn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%)であって残部実質的にFeから成る合金を950℃以上に加熱してオーステナイト化した後、冷却を行って一旦750〜1050℃に降温させてその温度域鍛造加工を行い、しかる後冷却を行ってフェライト+パーライト変態させることによって降伏比73以上の鍛造品を得る。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
7件

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請求項1

重量%でC :0.20〜0.50%Si:0.10〜2.0%P :≦0.050%V :0.08〜0.40%であり、且つMneq=Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02)で表わされるマンガン当量MneqがMneq:0.8〜2.0%(但しMn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%)であって残部実質的にFeから成る合金を950℃以上に加熱してオーステナイト化した後、冷却を行って一旦750〜1050℃に降温させてその温度域鍛造加工を行い、しかる後冷却を行ってフェライトパーライト変態させることによって降伏比73以上の鍛造品を得ることを特徴とする高靱性・高耐力フェライト+パーライト非調質鋼鍛造品の製造方法。

請求項2

重量%でC :0.20〜0.50%Si:0.10〜2.0%P :≦0.050%V :0.08〜0.40%Nb:0.02〜0.1%であり、且つMneq=Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02)で表わされるマンガン当量MneqがMneq:0.8〜2.0%(但しMn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%)であって残部実質的にFeから成る合金を950℃以上に加熱してオーステナイト化した後、冷却を行って一旦750〜1100℃に降温させてその温度域で鍛造加工を行い、しかる後冷却を行ってフェライト+パーライト変態させることによって降伏比73以上の鍛造品を得ることを特徴とする高靱性・高耐力フェライト+パーライト型非調質鋼鍛造品の製造方法。

請求項3

重量%でC :0.20〜0.50%Si:0.10〜2.0%P :≦0.050%V :0.08〜0.40%Nb:0.02〜0.1%Al:0.015〜0.10%であり、且つMneq=Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02)で表わされるマンガン当量MneqがMneq:0.8〜2.0%(但しMn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%)であって残部実質的にFeから成る合金を950℃以上に加熱してオーステナイト化した後、冷却を行って一旦750〜1100℃に降温させてその温度域で鍛造加工を行い、しかる後冷却を行ってフェライト+パーライト変態させることによって降伏比73以上の鍛造品を得ることを特徴とする高靱性・高耐力フェライト+パーライト型非調質鋼鍛造品の製造方法。

請求項4

請求項1,2,3の何れかにおいて、前記合金中に前記合金成分に加えて更にS,Pb,Bi,Te,Caの何れか1種若しくは2種以上をS :0.03〜0.3%Pb:≦0.3%Bi:≦0.15%Te:≦0.05%Ca:≦0.05%の範囲で含有させることを特徴とする高靱性・高耐力フェライト+パーライト型非調質鋼鍛造品の製造方法。

技術分野

0002

フェライト+パーライト型非調質鋼は安価であり且つ用途が広いため、最も多く使用されている鋼種の1つである。しかしながらこの鋼種は材料特性的には強度と靱性のバランスは決して高くなく、従来にあっては強度か靱性のどちらかのみしか有効に高めることができなかったのが実情である。

0003

また焼入れ焼戻しされた材料と比較して、強度−靱性だけでなく降伏強度降伏比)においても低く、実際の部品ないし構造物等に使用されるときには安全率を高く見積もらなければならないなどの問題があった。

0004

制御圧延の分野においては、圧延の際のパス条件とか温度条件冷却条件等を制御して緻密な組織を得、高い強度と靱性バランスを得ることは実現されている。

0005

しかしながら制御圧延鋼は製造上の制約から棒状或いは板状のものしか生産できず、直接切削用の非調質鋼或いは冷間加工用鋼としてしか使用することができない。また切削或いは冷間加工が目的であるため、得られる強度は自ずと制限されてしまう。

0006

従来、フェライト+パーライト型非調質鋼を鍛造加工して上記自動車部品等の鍛造品を製造する場合、1100〜1200℃程度の高温で鍛造加工しているのが通常である。

0007

しかしながらこの場合得られる組織は粗いものとなってしまい、靱性や降伏強度(降伏比)は大幅に低下してしまう。1100〜1200℃程度の高温で熱間加工したとき、加工後に再結晶が進み、その後の冷却過程で組織が粗大化してしまう。

0008

これに対して鍛造加工温度を低下させた場合、微細なフェライト+パーライト組織をより得やすくなるが、鍛造温度の低下に伴いフェライト分率が増大し硬さの低下を招いてしまう。またVが添加された鋼種では鍛造時の変形抵抗増加にもつながるなど様々な問題が生じる。

0009

フェライト+パーライト型非調質鋼の熱間鍛造品高靱性化する手法として、Nb添加によりオーステナイト粒の粗大化を防止する方法、或いはMn,Cr等を添加してフェライト+パーライトスタート点の低下を図り、組織を微細化する方法が知られている。

0010

また降伏強度或いは降伏比を上げるために、V添加量を0.2〜0.3%に増加した鋼種も見られるが、従来の熱間鍛造加工では組織の粗大化は免れず、本来得られるべき降伏強度は得られていない。

0011

以上のように成分調整のみによる手法では得られる組織や靱性,降伏強度等に限界があり、強靭鋼ベルの強度,靱性バランスを達成することは困難である。

課題を解決するための手段

0012

本願の発明はこのような事情背景とし、靱性,降伏強度に優れたフェライト+パーライト型非調質鋼鍛造品を得ることを目的としてなされたものである。而して請求項1の鍛造品の製造方法は、重量%で、C:0.20〜0.50%,Si:0.10〜2.0%,P:≦0.050%,V:0.08〜0.40%であり、且つMneq=Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02)で表わされるマンガン当量Mneqが、Mneq:0.8〜2.0%(但しMn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%)であって残部実質的にFeから成る合金を950℃以上に加熱してオーステナイト化した後、冷却を行って一旦750〜1050℃に降温させてその温度域で鍛造加工を行い、しかる後冷却を行ってフェライト+パーライト変態させることによって降伏比73以上の鍛造品を得ることを特徴とする。

0013

請求項2の鍛造品の製造方法は、重量%で、C:0.20〜0.50%,Si:0.10〜2.0%,P:≦0.050%,V:0.08〜0.40%,Nb:0.02〜0.1%であり、且つMneq=Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02)で表わされるマンガン当量Mneqが、Mneq:0.8〜2.0%(但しMn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%)であって残部実質的にFeから成る合金を950℃以上に加熱してオーステナイト化した後、冷却を行って一旦750〜1100℃に降温させてその温度域で鍛造加工を行い、しかる後冷却を行ってフェライト+パーライト変態させることによって降伏比73以上の鍛造品を得ることを特徴とする。

0014

請求項3の鍛造品の製造方法は、重量%で、C:0.20〜0.50%,Si:0.10〜2.0%,P:≦0.050%,V:0.08〜0.40%,Nb:0.02〜0.1%,Al:0.015〜0.10%であり、且つMneq=Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02)で表わされるマンガン当量Mneqが、Mneq:0.8〜2.0%(但しMn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%)であって残部実質的にFeから成る合金を950℃以上に加熱してオーステナイト化した後、冷却を行って一旦750〜1100℃に降温させてその温度域で鍛造加工を行い、しかる後冷却を行ってフェライト+パーライト変態させることによって降伏比73以上の鍛造品を得ることを特徴とする。

0015

請求項4の鍛造品の製造方法は、請求項1,2,3の何れかにおいて、前記合金中に前記合金成分に加えて更にS,Pb,Bi,Te,Caの何れか1種若しくは2種以上を、S:0.03〜0.3%,Pb:≦0.3%,Bi:≦0.15%,Te:≦0.05%,Ca:≦0.05%の範囲で含有させることを特徴とする。

0016

上記のように請求項1の製造方法は、焼入れ性を表わすマンガン当量を上記所定の範囲に規定するとともに、合金成分としてCとともにVを含有させ、かかる合金を950℃以上の高温に加熱してVCを固溶化させた上で、一旦先ず750〜1050℃に降温させてその温度域で鍛造加工を施し、しかる後再び冷却してフェライト+パーライト変態させて所定の鍛造品を得ることを骨子とするもので、これにより高靱性,高降伏強度の鍛造品を得ることができる。

0017

尚本発明において、950℃以上の加熱でオーステナイト化した後の冷却手法として空冷衝風冷却等の冷却手法を用いることができる。また同様に鍛造加工後における冷却方法として空冷,衝風冷却等の冷却手法を用いることができる。

0018

上記のように本発明において高靱性,高降伏強度の鍛造品の得られる理由は以下の点にある。本発明に従って合金中にCと併せてVを含有させ、これを950℃以上の高温に加熱したとき、VCをオーステナイト組織に十分に固溶させることができる。

0019

Vはオーステナイトへの固溶量が極めて少ないが、含有量を上記範囲としたとき、950℃以上の加熱によって十分にこれをオーステナイト中に固溶させることができる。

0020

オーステナイト中に固溶したVの炭化物VCはそのまま冷却を行ったときには、通常オーステナイトよりも更に固溶度の低いフェライト粒内変態とほぼ同時に析出し始める。この場合十分な組織の微細化は得られない。

0021

しかるに本発明に従って加熱によりオーステナイト化した上で、一旦フェライト変態の始まる750℃以上の温度に降温して再結晶温度以下で塑性加工を加えると、加工誘起現象によってV炭化物が析出を開始する。このとき析出したV炭化物は、塑性加工によって導入させる転位を効果的にピンニングする。この結果フェライト変態まで高い加工歪を保つことができる。

0022

而して加工歪の入ったオーステナイトから変態−析出するフェライトは極めて微細となり、靱性,降伏強度(降伏比73以上)の向上に大きく寄与するのである。

0023

前述した通常の高温での熱間鍛造では、熱拡散や再結晶により加工による歪が消失し、得られる組織は極めて粗い組織となる。そしてこれが原因で靱性,降伏強度(降伏比)は焼準材に対し大幅に低下する。一方鍛造温度を低下させて行くと靱性,降伏比は増加するものの、引張強度の大幅な低下を免れない。

0024

本発明は、Vを含む鋼種を一旦VC固溶温度以上に加熱した後、750〜1050℃で鍛造することによって、VCの加工誘起析出による効果を狙ったものである。

0025

即ち本発明に従って鍛造加工を行った場合、鍛造温度は高くても加工誘起析出したVCによるピンニング効果により、導入された多量の歪が熱拡散等により消失するのが防がれ、より高い歪を保ちながらフェライト変態できるため、今までのいわゆる亜熱間鍛造で得られる組織よりも緻密な組織が得られる。

0026

組織が緻密であれば降伏強度,靱性は増加し、従来の熱間鍛造材と比較にならないほどの特性が得られるのである。但しこの効果を得るためにはVCを一旦固溶させることが必要であり、その温度の下限値は950℃である。尚本発明において、バーニング防止のためにオーステナイト化のための加熱温度は1300℃以下とするのが望ましい。

0027

本発明ではまた、焼入れ性を表わすマンガン当量を0.8〜2.0%に規定している。これは次の理由に基づく。フェライト結晶粒を微細化する手法として、Mn,Cr等の焼入れ性向上元素の添加量を増す方法がある。焼入れ性向上元素の添加量を増加させると、連続冷却線図におけるフェライト変態曲線はより低温側、変態開始時間がより長時間側に移動する。そのため鍛造後フェライト変態開始温度が低くなり、微細なフェライト粒が得られるようになる。しかしながら焼入れ性向上元素の添加量を増やし過ぎるとベイナイトが析出し始める。

0028

本発明においてマンガン当量の上限値を規定しているのは以上の理由に基づく。而して本発明において許容できるマンガン当量の上限値は2.0%であることを確認した。

0029

本発明はまた、鍛造品の降伏比が73以上、望ましくは75以上となるように合金の組成及び加熱・加工条件を制御するもので、かかる本発明によれば、鍛造品を小型化,軽量化することができ、適用可能な製品の用途が広がる効果が得られる。

0030

請求項2の製造方法は、上記合金成分に加えてNbを0.02〜0.1%の範囲で含有させ、オーステナイト状態から降温後の鍛造加工を750〜1100℃の温度領域で行うものである。

0031

本発明に従ってNbを合金中に含有させた場合、Nbが高温で安定な複炭・窒化物を作るため、オーステナイト粒の粗大化を防止し、より微細なフェライト+パーライト組織が得られやすくなる。

0032

またNbを固溶させた後750〜1100℃で鍛造した場合、Vと同様の理由で加工誘起されたNb(C,N)が析出し、転位の増加を促し、拡散による消失を防ぐことができる。

0033

尚、Nbは一旦固溶することによって活性化エネルギーの増加や再結晶温度の上昇効果も得られるので、微細結晶粒が得られる有効鍛造温度域が拡大する。

0034

Vを添加せずにNbを単独で添加した場合であっても高温側での鍛造時の組織粗大化を防ぐことができるが、低温側での鍛造後の組織はVのみを添加した場合よりもむしろ粗い。従ってNbの最も有効的な利用はVとの複合添加である。

0035

次に請求項3の製造方法は、上記V,Nbに加えて更にAlをAl:0.015〜0.10%の範囲で含有させるものである。この請求項3に従ってAlを更に合金中に含有させた場合、Nbに加えてAlが高温で安定な複炭・窒化物を作るため、オーステナイト粒の粗大化を更に効果的に防止し、また微細なフェライト+パーライト組織が得られやすくなる。

0036

またAlを含有させた場合、鍛造加工時に加工誘起された(Nb,Al)(C,N)が析出し、転位の増加を促し、拡散による消失を更に効果的に防ぐことができる。

0037

本発明では、上記成分に加えて快削成分S,Pb,Bi,Te,Caの何れか1種若しくは2種以上をS:0.03〜0.3%,Pb:≦0.3%,Bi:≦0.15%,Te:≦0.05%,Ca:≦0.05%の範囲で含有させることができる(請求項4)。これら成分を含有させることによって被削性を効果的に高めることができる。

0038

次に本発明における各化学成分の限定理由を以下に詳述する。
C:0.20〜0.50%
Cはその添加量によって硬さを決定するものである。本発明では高強度,高靱性を得るためにその添加量を0.20〜0.50%とする。

0039

Si:0.10〜2.0%
Siは固溶強化によって強度を高める作用があるが、同時に鍛造時の変形抵抗をも高めてしまうため0.10〜2.0%とする。

0040

P:≦0.050%
Pは粒界偏析の原因となる元素であり、上限を抑える必要がある。故にその添加量を0.050%以下とする。

0041

Mn,Cr,Mo,Cu,Ni:Mneq(Mn+Cr+Mo+Cu+Ni/2+V+10(Nb−0.02))で0.8〜2.0%
これらの元素は連続冷却線図におけるフェライトノーズを長時間側或いは低温側に移動させる作用があるため、フェライト変態開始温度を下げ、フェライト粒の微細化に効果がある。

0042

しかしこれらの元素を添加しすぎるとベイナイトが生成し、様々な弊害が出てしまうため、総添加量をマンガン当量(Mneq)に換算して0.8%以上、2.0%以下に規定する。

0043

またMn,Cr,Mo,Cu,Niそれぞれ単独については、Mn:0.2〜2.0%,Cr:0.1〜1.0%,Mo:≦0.50%,Ni:≦0.50%,Cu:≦0.50%に規定する。

0044

V:0.08〜0.40%
Vは鍛造時にV炭化物が加工誘起析出することによって結晶粒を微細化する働きがある。但しVは固溶度が低いため0.08〜0.40%の範囲に規定する。

0045

Nb:0.02〜0.1%
NbもVと同様の理由から上限を0.1%に規定する。一方Nbを積極的に利用するときは0.02%以上添加する。

0046

Al:0.015〜0.10%
AlはNbとともにNと結合して安定な窒化物を形成し、結晶粒の粗大化を防止する。しかし添加量が多くなると鍛造性を悪化させるため添加量を0.015〜0.10%とする。

0047

S :0.03〜0.3%
Pb:≦0.3%
Bi:≦0.15%
Te:≦0.05%
Ca:≦0.05%
S,Pb,Bi,Te,Ca等の元素は被削性を高める作用があるが、鍛造性を阻害する元素でもある。従って本発明では添加量をそれぞれ上記のように規定する。

0048

次に本発明の実施例を以下に詳述する。
[実施例1]表1に示す化学組成の合金を図1に示すプロセス1,プロセス2に従って処理し、各種試験を行った。尚、鍛造は前方押出法により減面率60%で24mmφ×48mmLの試験片加工形成した。

0049

0050

図2は焼入れ性向上元素の添加量をマンガン当量(Mneq)に換算して、マンガン当量とフェライト粒度番号との関係を、また図3はマンガン当量と冷却後硬さとの関係をそれぞれ示したものである。尚、これらは何れも図1(A)のプロセス1に従って鍛造した結果である(加熱温度:1050℃,鍛造温度:900℃)。これらの結果から、微細なフェライト+パーライト組織を得るためにはマンガン当量を0.8%以上とすることが必要であることが分かる。

0051

この結果によれば、マンガン当量の増加に伴って結晶粒度は高くなっている。但しマンガン当量が2.0%を超えるとベイナイトの析出により硬さが上昇し始める(図3参照)。完全にフェライト+パーライト組織にするためにはマンガン当量の上限を2.0%に規定しなければならない。

0052

次に表3は鋼種A,D,H,I,J,K,L,M,Nについて、各種鍛造温度で鍛造加工を行った場合の降伏強度,引張強度,降伏比,衝撃値特性をそれぞれ表わしている。

0053

0054

図4はこの結果に基づき、Nbを添加せずVを単独で添加した場合のV添加量及び鍛造温度と降伏比との関係を表わしている。この結果に示しているように、Vを0.08〜0.40%の範囲で添加したV添加鋼(表1中D,H,I,J)は本発明の鍛造温度750〜1050℃の範囲内、具体的には800,900℃,1000℃において非常に高い降伏比(75%以上)が得られている。

0055

但し降伏比の最大値はVが0.3%のときでそれ以上添加した場合、降伏比は低下傾向となる。また何れの鋼種においても、鍛造温度が1100℃以上になると降伏比は極端に低下する。

0056

次に図5は、NbとVとを複合添加した場合(表1中L,M,N)のV添加量及び鍛造温度と降伏比との関係を表わしている。図5の結果に表われているように、NbとVとを複合添加したものは、Vを単独で添加したものに比べて1100℃の高温で鍛造加工を行った場合でも高い降伏比が得られている。但し更に降温の1200℃で鍛造を行った場合、十分な降伏比は得られていない。

0057

以上から分かるように本発明においてVを単独で添加した場合、鍛造温度の望ましい上限値は1050℃であり、またNbとVとを複合添加した場合、鍛造温度の望ましい上限値は1100℃である。

0058

尚、図4及び図5において鍛造温度が1000℃以下の場合には図1(A)のプロセス1に従って処理を行った。また鍛造温度が1000℃を超える場合については図1(B)のプロセス2に従って処理を行った。

0059

次に快削成分の添加による影響を見るため、表2に示す化学組成の合金を図1(A)のプロセス1に従って処理し、引張試験及びシャルピー衝撃試験を実施した。快削成分の添加量(S+Pb+2×Bi量)と降伏比の関係が図6に、また快削成分の添加量と衝撃値との関係が図7にそれぞれ示してある。

0060

0061

これらの結果から、快削成分を通常レベルで添加しても降伏比及び衝撃値に対してそれほど大きな影響はなく、従って鋼の特性を特に損なわないで快削成分の添加により被削性を効果的に高め得ることが分かる。

0062

[実施例2]次に表4に示す試作条件の下で、図8に示す自動車エンジン用コネクティングロッド10を試作した。尚コネクティングロッド10のI−断面形状は、引張試験片(3mmφ×30mm(平行部つかみ部M5)及び衝撃試験片が取り出せるように、R部を実際の形状よりも小さくし、厚みが5mm以上となるようにした。

0063

0064

引張試験及び衝撃試験の結果を図9及び図10に示している。これらの図の結果から、鋼種Hを鍛造開始温度900℃で鍛造した水準(1)は、通常の熱間鍛造を行う他水準のものと比較して明らかに降伏強度(降伏比),靱性において優れていること、また水準(1)のものは衝撃値が目標値50以上であるのに対し、水準(2)及び水準(3)のものは衝撃値が50以下となっていることが分かる。

0065

降伏強度,靱性が高ければ自ずと疲労強度も高くなり、コネクティングロッドのみならずその他の部品の軽量化,小型化に大きく寄与することができる。

0066

以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。

図面の簡単な説明

0067

図1本発明の実施例において採用した鍛造品の製造プロセスのパターン例を示す図である。
図2本発明の実施例において得られたマンガン当量とフェライト粒度番号との関係を表わす図である。
図3本発明の実施例において得られたマンガン当量と硬さとの関係を表わす図である。
図4本発明の実施例において得られたV添加量及び鍛造温度と降伏比との関係を表わす図である。
図5本発明の実施例において得られたNbとVとを複合添加した場合のV添加量及び鍛造温度と降伏比との関係を表わす図である。
図6快削成分の添加による降伏比への影響を表わす図である。
図7快削成分の添加による靱性への影響を表わす図である。
図8本発明の他の実施例において試作したコネクティングロッド(コンロッド)の形状を示す図である。
図9図8のコネクティングロッドから採取した試料について引張試験を行った結果を表わす図である。
図10図8のコネクティングロッドから採取した試料について行った衝撃値の結果を表わす図である。

--

0068

10 コネクティングロッド

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