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技術 走査光学装置

出願人 キヤノン株式会社
発明者 山脇健佐藤浩木村一己
出願日 1996年12月28日 (23年10ヶ月経過) 出願番号 1996-357747
公開日 1998年7月31日 (22年3ヶ月経過) 公開番号 1998-197821
状態 特許登録済
技術分野 機械的光走査系 レンズ系
主要キーワード レーザコリメータ fθレンズ レンズ形 光学性質 補正残差 シリンダユニット 空間分離 湾曲量
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この項目の情報は公開日時点(1998年7月31日)のものです。
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図面 (9)

課題

斜入射光学系を利用したプラスチックレンズを有する走査光学装置において、環境温度の変化に対して走査線の曲がりを抑制し、かつ画像のピッチむら濃度むら等を低減させることができる走査光学装置を得ること。

解決手段

光源手段から射出された光ビーム光学手段を介して光偏向器偏向面に対し副走査断面内で斜入射させ、該光偏向器で偏向反射された光ビームを結像光学系により被走査面上に結像させ、該被走査面上を該光ビームで走査を行なう走査光学装置において、該結像光学系の副走査方向の横倍率は主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化すること。

概要

背景

従来より共通の走査光学系に複数の光ビーム入射させてマルチカラーを実現するマルチビーム走査光学装置が種々と提案されている。この種のマルチビーム走査光学装置において複数の光ビームを所定の被走査面上にそれぞれ独立に照射するには、例えばポリゴンミラーより成る光偏向器で偏向反射された後に該複数の光ビームを分離する必要があるが、同一波長光源に対しては空間分離が必要となる。例えば光偏向器の偏向面に対し副走査断面内で斜め方向から光ビームを入射させると目的の空間分離が可能になる。

しかしながら光学構成コンパクトになる拡大光学系においては空間分離の為の光路長が短い為に偏向面に対する斜入射角が大きくなり、この為2つの大きな問題点が発生する。第1の問題点は被走査面上の走査線曲がりであり、第2の問題点は結像性能劣化である。

これらの問題点を解決する方法として、例えば母線を3次元湾曲させ、かつ軸上入射光線に垂直な面内で光軸偏心させたトーリックレンズを用いる方法がある。

ところでこのトーリックレンズは複雑な面形状より成っており、例えばこのような複雑な面形状のレンズ製作するにはプラスチック材料を用いて金型成形で行うことになる。しかしながら一般にプラスチック材料の光学性質ガラス材料に比べて環境変動が大きく、例えば温度変化による屈折率変化はガラス材料の10倍以上と大きい。この為、複数の光源から射出された複数の光ビームを光偏向器へ導く為の入射光学系にもプラスチックレンズを導入し、積極的に像面の移動及び像高シフトキャンセルさせる等の方法が採られている。

図7(A),(B)にその光学系の温度補償原理を示す。同図(A)はマルチビーム走査光学装置の光偏向器以降の副走査断面における軸上光線(主走査断面においてレンズ光軸に平行な光線)の展開光路図、同図(B)は同図(A)に示したポリゴンミラー近傍の拡大説明図である。

同図において71は偏向手段としての光偏向器であり、例えばポリゴンミラーの反射面である。75は結像光学系としてのfθ特性を有する結像レンズfθレンズ)であり、主走査方向にのみ所定の屈折力を有するガラス材料より成る1枚のシリンドリカルレンズ73と、主走査方向及び副走査方向に各々異なる屈折力を有するプラスチック材料より成る2段トーリックレンズ74との2枚系より成っており、光偏向器71で偏向反射された複数の光ビームを被走査面としての感光ドラム面70上の異なる露光位置に各々結像させている。

同図における2段トーリックレンズ74は副走査方向に上下2つのトーリックレンズ(同図では対称軸Mに対して上段のトーリックレンズ74bを不図示)74a,74bに別れており、対称軸Mに対して鏡面対称の光学系である。ここでは下段のトーリックレンズ74aを通る光線に着目して説明する。

同図において実線常温時の光路、破線昇温時の光路を示している。常温時において偏向面71aと対称軸Mとの交点反射面位置)Pに入射した光ビームは副走査断面内において結像する。この交点Pと被走査面70上の集光点結像点)Oとは副走査断面内において結像光学系75により光学的に共役な関係にある。昇温時はプラスチック材料の屈折率が小さくなり(例えばzeon,apel等の場合は−0.00012/deg)、この為プラスチック材料より成るトーリックレンズ(以下「プラトーリックレンズ」とも称す。)74aの屈折力の低下によって交点Pとの共役点は集光点OからO′に移動する。即ち像面70は70′へとdX(ズレ量)だけ移動し、副走査方向の高さもdZ(ズレ量)だけ移動することになる。このときのピント位置のズレ量dX,dZが許容範囲から大きくズレてくると出力画像ボケてくるという問題点が生じてくる。

ここで上記の各ズレ量dX,dZを補正する補正方法について説明する。この各ズレ量dX,dZを補正するには、例えばプラトーリックレンズ74aの副走査方向の横倍率をβとすると、交点Pと集光点O′は光学的に共役なので、昇温時にポリゴンミラー71に入射する光ビームの結像位置を光軸方向にdX/β2シフトさせ、更に副走査方向にdz/βシフトさせて交点Pの位置をP′の位置に移動させれば良い。このように入射光学系(光源から射出された光ビームを光偏向器へ導く系)を設計すれば軸上光線の温度補償を行うことができる。

概要

斜入射光学系を利用したプラスチックレンズを有する走査光学装置において、環境温度の変化に対して走査線の曲がりを抑制し、かつ画像のピッチむら濃度むら等を低減させることができる走査光学装置を得ること。

光源手段から射出された光ビームを光学手段を介して光偏向器の偏向面に対し副走査断面内で斜入射させ、該光偏向器で偏向反射された光ビームを結像光学系により被走査面上に結像させ、該被走査面上を該光ビームで走査を行なう走査光学装置において、該結像光学系の副走査方向の横倍率は主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化すること。

目的

本発明は上記の問題点を解決する為に結像光学系の一要素を構成するプラスチックレンズより成るトーリックレンズの副走査方向の横倍率を主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化させることにより、昇温時の軸外光線の像高変化を軸上光線の像高変化の補償値と略同じ値で補償することができ、これにより環境温度の変化に対して走査線の曲がりを抑制できると共に画像のピッチむらや濃度むら等を低減させることができる走査光学装置の提供を目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
8件

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請求項1

光源手段から射出された光ビーム光学手段を介して光偏向器偏向面に対し副走査断面内で斜入射させ、該光偏向器で偏向反射された光ビームを結像光学系により被走査面上に結像させ、該被走査面上を該光ビームで走査を行なう走査光学装置において、該結像光学系の副走査方向の横倍率は主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化することを特徴とする走査光学装置。

請求項2

前記結像光学系の軸上における副走査方向の横倍率をβ、軸外における副走査方向の横倍率をβ′、環境温度昇温前後の軸上光線像高変位をdZ、昇温前後の軸上光線と軸外光線との像高変位の差分をdZ′、該差分dZ′の補正残差をΔdZ′とし、該補正残差ΔdZ′をΔdZ′=|dZ′−(β′/β−1)・dZ|としたとき、ΔdZ′≦20(μm)なる条件を満足することを特徴とする請求項1記載の走査光学装置。

請求項3

前記結像光学系は主走査断面内レンズ形状がメニスカス形状プラスチックより成る正の屈折力レンズを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の走査光学装置。

請求項4

前記結像光学系はシリンドリカルレンズトーリックレンズとを有し、該トーリックレンズは前記光偏向器側のレンズ面が主走査断面内において凹面より成るプラスチックレンズより成ることを特徴とする請求項1又は2記載の走査光学装置。

請求項5

複数の光源から射出された複数の光ビームのうち少なくとも1つの光ビームを光偏向器の偏向面に対し副走査断面内で斜入射させ、該光偏向器で偏向反射された複数の光ビームを対応する結像光学系により被走査面上に各々結像させ、該被走査面上を該複数の光ビームで同時に走査を行なう走査光学装置において、該偏向面に対して斜入射する光ビームに対応する該結像光学系の副走査方向の横倍率は主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化することを特徴とする走査光学装置。

請求項6

前記偏向面に対して斜入射する光ビームに対応する結像光学系の軸上における副走査方向の横倍率をβ、軸外における副走査方向の横倍率をβ′、環境温度の昇温前後の軸上光線の像高変位をdZ、昇温前後の軸上光線と軸外光線との像高変位の差分をdZ′、該差分dZ′の補正残差をΔdZ′とし、該補正残差ΔdZ′をΔdZ′=|dZ′−(β′/β−1)・dZ|としたとき、ΔdZ′≦20(μm)なる条件を満足することを特徴とする請求項5記載の走査光学装置。

請求項7

前記偏向面に対して斜入射する光ビームに対応する結像光学系は主走査断面内のレンズ形状がメニスカス形状でプラスチックより成る正の屈折力のレンズを有していることを特徴とする請求項5又は6記載の走査光学装置。

請求項8

前記偏向面に対して斜入射する光ビームに対応する結像光学系はシリンドリカルレンズとトーリックレンズとを有し、該トーリックレンズは前記光偏向器側のレンズ面が主走査断面内において凹面より成るプラスチックレンズより成ることを特徴とする請求項5又は6記載の走査光学装置。

技術分野

0001

本発明は走査光学装置光学系に適用されるプラスチックレンズ温度補償を適切に行ない、特に斜入射光学系走査線の曲がりを抑制し、かつ画像のピッチむら濃度むらを低減させることができる走査光学装置に関するものである。

背景技術

0002

従来より共通の走査光学系に複数の光ビーム入射させてマルチカラーを実現するマルチビーム走査光学装置が種々と提案されている。この種のマルチビーム走査光学装置において複数の光ビームを所定の被走査面上にそれぞれ独立に照射するには、例えばポリゴンミラーより成る光偏向器で偏向反射された後に該複数の光ビームを分離する必要があるが、同一波長光源に対しては空間分離が必要となる。例えば光偏向器の偏向面に対し副走査断面内で斜め方向から光ビームを入射させると目的の空間分離が可能になる。

0003

しかしながら光学構成コンパクトになる拡大光学系においては空間分離の為の光路長が短い為に偏向面に対する斜入射角が大きくなり、この為2つの大きな問題点が発生する。第1の問題点は被走査面上の走査線曲がりであり、第2の問題点は結像性能劣化である。

0004

これらの問題点を解決する方法として、例えば母線を3次元湾曲させ、かつ軸上入射光線に垂直な面内で光軸偏心させたトーリックレンズを用いる方法がある。

0005

ところでこのトーリックレンズは複雑な面形状より成っており、例えばこのような複雑な面形状のレンズ製作するにはプラスチック材料を用いて金型成形で行うことになる。しかしながら一般にプラスチック材料の光学性質ガラス材料に比べて環境変動が大きく、例えば温度変化による屈折率変化はガラス材料の10倍以上と大きい。この為、複数の光源から射出された複数の光ビームを光偏向器へ導く為の入射光学系にもプラスチックレンズを導入し、積極的に像面の移動及び像高シフトキャンセルさせる等の方法が採られている。

0006

図7(A),(B)にその光学系の温度補償の原理を示す。同図(A)はマルチビーム走査光学装置の光偏向器以降の副走査断面における軸上光線(主走査断面においてレンズ光軸に平行な光線)の展開光路図、同図(B)は同図(A)に示したポリゴンミラー近傍の拡大説明図である。

0007

同図において71は偏向手段としての光偏向器であり、例えばポリゴンミラーの反射面である。75は結像光学系としてのfθ特性を有する結像レンズfθレンズ)であり、主走査方向にのみ所定の屈折力を有するガラス材料より成る1枚のシリンドリカルレンズ73と、主走査方向及び副走査方向に各々異なる屈折力を有するプラスチック材料より成る2段トーリックレンズ74との2枚系より成っており、光偏向器71で偏向反射された複数の光ビームを被走査面としての感光ドラム面70上の異なる露光位置に各々結像させている。

0008

同図における2段トーリックレンズ74は副走査方向に上下2つのトーリックレンズ(同図では対称軸Mに対して上段のトーリックレンズ74bを不図示)74a,74bに別れており、対称軸Mに対して鏡面対称の光学系である。ここでは下段のトーリックレンズ74aを通る光線に着目して説明する。

0009

同図において実線常温時の光路、破線昇温時の光路を示している。常温時において偏向面71aと対称軸Mとの交点反射面位置)Pに入射した光ビームは副走査断面内において結像する。この交点Pと被走査面70上の集光点結像点)Oとは副走査断面内において結像光学系75により光学的に共役な関係にある。昇温時はプラスチック材料の屈折率が小さくなり(例えばzeon,apel等の場合は−0.00012/deg)、この為プラスチック材料より成るトーリックレンズ(以下「プラトーリックレンズ」とも称す。)74aの屈折力の低下によって交点Pとの共役点は集光点OからO′に移動する。即ち像面70は70′へとdX(ズレ量)だけ移動し、副走査方向の高さもdZ(ズレ量)だけ移動することになる。このときのピント位置のズレ量dX,dZが許容範囲から大きくズレてくると出力画像ボケてくるという問題点が生じてくる。

0010

ここで上記の各ズレ量dX,dZを補正する補正方法について説明する。この各ズレ量dX,dZを補正するには、例えばプラトーリックレンズ74aの副走査方向の横倍率をβとすると、交点Pと集光点O′は光学的に共役なので、昇温時にポリゴンミラー71に入射する光ビームの結像位置を光軸方向にdX/β2シフトさせ、更に副走査方向にdz/βシフトさせて交点Pの位置をP′の位置に移動させれば良い。このように入射光学系(光源から射出された光ビームを光偏向器へ導く系)を設計すれば軸上光線の温度補償を行うことができる。

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながらプラトーリックレンズ74aを通る軸外光線図8(A)に示すように該プラトーリックレンズ74aにおいて軸上光線とは異なる位置を通り、異なる屈折力を受けた結果、像面70上の集光点Oに一致して結像する。この為、図8(B)に示すように昇温時はプラトーリックレンズ74aの屈折力の低下によって軸上光線と軸外光線は集光点O′で一致し、像面移動補償するズレ量dXは略等しくなるが、像高を補償するズレ量はdZ′だけ異なってしまう。

0012

このことは上記温度補償の原理を適用しても昇温時に軸外光線は軸上光線と像高が一致せず、像面において走査線に湾曲が生じてしまう。その為、上記の走査光学系を、例えばレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機等の記録光学系に適用した場合には、ピッチムラ濃度ムラ等の画像の劣化を引き起こし問題となる。

0013

本発明は上記の問題点を解決する為に結像光学系の一要素を構成するプラスチックレンズより成るトーリックレンズの副走査方向の横倍率を主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化させることにより、昇温時の軸外光線の像高変化を軸上光線の像高変化の補償値と略同じ値で補償することができ、これにより環境温度の変化に対して走査線の曲がりを抑制できると共に画像のピッチむらや濃度むら等を低減させることができる走査光学装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0014

本発明の走査光学装置は、
(1)光源手段から射出された光ビームを光学手段を介して光偏向器の偏向面に対し副走査断面内で斜入射させ、該光偏向器で偏向反射された光ビームを結像光学系により被走査面上に結像させ、該被走査面上を該光ビームで走査を行なう走査光学装置において、該結像光学系の副走査方向の横倍率は主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化することを特徴としている。

0015

特に(1-1) 前記結像光学系の軸上における副走査方向の横倍率をβ、軸外における副走査方向の横倍率をβ′、環境温度の昇温前後の軸上光線の像高変位をdZ、昇温前後の軸上光線と軸外光線との像高変位の差分をdZ′、該差分dZ′の補正残差をΔdZ′とし、該補正残差ΔdZ′を
ΔdZ′=|dZ′−(β′/β−1)・dZ|
としたとき、
ΔdZ′≦20(μm)
なる条件を満足することや、
(1-2) 前記結像光学系は主走査断面内レンズ形状がメニスカス形状プラスチックより成る正の屈折力のレンズを有していることや、
(1-3) 前記結像光学系はシリンドリカルレンズとトーリックレンズとを有し、該トーリックレンズは前記光偏向器側のレンズ面が主走査断面内において凹面より成るプラスチックレンズより成ること、
等を特徴としている。

0016

(2) 複数の光源から射出された複数の光ビームのうち少なくとも1つの光ビームを光偏向器の偏向面に対し副走査断面内で斜入射させ、該光偏向器で偏向反射された複数の光ビームを対応する結像光学系により被走査面上に各々結像させ、該被走査面上を該複数の光ビームで同時に走査を行なう走査光学装置において、該偏向面に対して斜入射する光ビームに対応する該結像光学系の副走査方向の横倍率は主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化することを特徴としている。

0017

特に(2-1) 前記偏向面に対して斜入射する光ビームに対応する結像光学系の軸上における副走査方向の横倍率をβ、軸外における副走査方向の横倍率をβ′、環境温度の昇温前後の軸上光線の像高変位をdZ、昇温前後の軸上光線と軸外光線との像高変位の差分をdZ′、該差分dZ′の補正残差をΔdZ′とし、該補正残差ΔdZ′を
ΔdZ′=|dZ′−(β′/β−1)・dZ|
としたとき、
ΔdZ′≦20(μm)
なる条件を満足することや、
(2-2) 前記偏向面に対して斜入射する光ビームに対応する結像光学系は主走査断面内のレンズ形状がメニスカス形状でプラスチックより成る正の屈折力のレンズを有していることや、
(2-3) 前記偏向面に対して斜入射する光ビームに対応する結像光学系はシリンドリカルレンズとトーリックレンズとを有し、該トーリックレンズは前記光偏向器側のレンズ面が主走査断面内において凹面より成るプラスチックレンズより成ること、
等を特徴としている。

発明を実施するための最良の形態

0018

図1(A)は本発明の実施形態1の要部斜視図、図1(B)は図1(A)に示した2段トーリックレンズの正面図である。図2(A),(B)は各々本発明の実施形態1の光偏向器以降の主走査方向及び副走査方向の要部断面図であり、光偏向器の副走査方向に対して略対称な6°の角度で斜入射した2本の光ビーム(光線)が偏向面で偏向反射した後の様子を示している。

0019

図中、21a,21bは各々レーザコリメータユニットであり、例えば半導体レーザより成る光源と該光源から出射した光ビームを平行光ビームに変換するコリメーターレンズとを有し、被走査面に対して垂直方向、即ち副走査方向に並置している。22a,22bは各々シリンダユニットであり、副走査方向にのみ所定の屈折力を有するガラス材料より成る正のシリンドリカルレンズ(ガラス凸レンズ)とプラスチック材料より成る負のシリンドリカルレンズ(プラ凹レンズ)の2枚のレンズを有し、複数のレーザコリメータユニット21a,21bに対応して各々設けている。

0020

尚、レーザコリメータユニット(21a,21b)とシリンダユニット(22a,22b)は各々温度補償系としての光学手段(斜入射光学系)の一要素を構成している。

0021

1は偏向手段としての光偏向器であり、例えばポリゴンミラーより成っており、駆動手段としてのモータ(不図示)により図中矢印A方向に所定の速度で回転している。2はポリゴンミラーで偏向反射された2本の斜入射光線(光ビーム)であり、該ポリゴンミラー1の偏向面(ポリゴンミラー面)1a上の副走査方向の高さが略等しい偏向位置で偏向反射されている。

0022

12は結像光学系としての倒れ補正及びfθ特性を有する結像レンズ(fθレンズ)であり、主走査方向にのみ所定の屈折力を有するガラス材料より成るシリンドリカルレンズ3と後述するレンズ形状より成る2段トーリックレンズ4との2枚系より成り、ポリゴンミラー1で偏向反射された複数の光ビームを後述する感光ドラム面上の異なる露光位置に各々結像させている。

0023

本実施形態における2段トーリックレンズ4は図2(B)に示すように副走査方向にポリゴンミラー1の回転軸に垂直な平面に対して対称に配置された上下2つのトーリックレンズ4a,4bに別れており、その性質は前記平面に対して鏡面対称の特性を備えている。この2つのトーリックレンズ4a,4bは図2(A)に示すように各々主走査断面内のレンズ形状がメニスカス形状より成る正の屈折力のプラスチックレンズより成り、ポリゴンミラー1側の第1レンズ面Raを主走査断面内において凹面より形成している。これにより本実施例では副走査方向の横倍率を主走査方向に軸上(光軸)から軸外に離れるに従って変化(増加)させている。

0024

本実施形態では上記2本の斜入射光線2がそれぞれ独立に対応するトーリックレンズ4a,4bに入射しており、出射面では光線間隔が19.2mmとなるように該2つのトーリックレンズ4a,4bを配置している。これにより本実施形態では後述する光路折曲げミラー分離ミラー)6,8が副走査方向に干渉せずに設置可能となるように構成している。又各々のトーリックレンズ4a,4bの子線頂点を結ぶ母線形状は各々副走査方向に湾曲した曲線より成っている。

0025

シリンドリカルレンズ3は副走査方向には屈折力をもたず、2段トーリックレンズ4のみがこの方向の結像に関与している。

0026

6,7,8,9は各々光路折り曲げミラーであり、対応する光ビームを記録媒体としての感光ドラム10面(被走査面)上の異なる露光位置にそれぞれ導いている。11は感光ドラム面上における走査線である。

0027

本実施例においては2本の斜入射光線2に対応した複数のレーザコリメータユニット21a,21bから放射した複数の平行光ビームがそれぞれ対応するシリンダユニット22a,22bによりポリゴンミラー1の偏向面1a近傍線像として結像する。これはポリゴンミラー1の偏向面の副走査方向の倒れを補正する為に用いられる通常の手段であり、副走査断面内においてはポリゴンミラー1の偏向面と感光ドラム面とを共役にしている。即ち、副走査断面内においては倒れ補正光学系を構成している。

0028

そしてポリゴンミラー1で偏向反射された複数の光ビームはfθレンズ12により各々対応する光路折り曲げミラー(6・7,8・9)を介して感光ドラム10面上の露光位置に導かれ、該ポリゴンミラー1の回転によって走査線11が軸方向(主走査方向)に描画され、該ポリゴンミラー1の回転に同期した感光ドラム10の回転よって、該走査線11が副走査方向に等間隔で形成される。このように1つの感光ドラム面上に2本の走査線11を独立に同時に照射することによって感光ドラムの1回転で2色の現像が可能になり、これによりカラー印刷高速化を実現することができる。

0029

ここで2段トーリックレンズ4の図面上、シリンドリカルレンズ3の光軸(対称軸)Mに対し、下側のトーリックレンズ4aのレンズ形状に着目すると、該トーリックレンズ4aのポリゴンミラー1側の第1レンズ面(Ra´面)と感光ドラム10側の第2レンズ面(Rb´面)との母線は共に図3(A),(B)に示すように入射する斜入射光線の軌跡に略等しい母線曲がりを有している。即ち、本実施形態ではトーリックレンズ4aの子線頂点を結ぶ母線形状が副走査方向に湾曲した曲線より形成している。この母線曲がりによって本実施形態では主走査方向に画角をもって入射する光ビームの回転がなくなり、これにより良好なる結像性能を得ている。図4はこの原理を示した説明図である。同図において、Principalは軸外主光線、Upper、Lowerは入射系で定義される主走査方向のマージナル光線である。

0030

同図に示すようにトーリックレンズ4aの母線を走査線に沿って湾曲させることにより主走査方向に画角のついた主光線P回りの上側光線Uと下側光線Lはy−z面内において、主光線P方向に向かう屈折力を受ける。この結果、各光線U,Lは主光線P回りに回転せず良好に結像する。

0031

本実施形態において最大走査画角における第1レンズ面の走査線湾曲量は約1.09mm、第2レンズ面は約1.87mmであり、それに対し母線湾曲量はそれぞれ1.16mm、1.62mmと走査線湾曲にほぼ沿った母線である。

0032

更に本実施形態ではトーリックレンズ4aの第1レンズ面と第2レンズ面の双方の母線をそれぞれ副走査方向に光軸に対し図面上(図2(B) )、下側に所定量シフトさせている。図3(A),(B)の左縦軸の絶対値が斜入射光線の光軸からのシフト量を示している。第1レンズ面は約52.4mm、第2レンズ面は約2.1mmである。この母線のシフト効果により、本実施形態では斜入射光線による感光ドラム面上での走査線湾曲を良好に補正している。

0033

図5に湾曲した母線を持つトーリックレンズのレンズ面の要部概略図と、そのレンズ面の表現式を示す。同図においてレンズ光軸はx軸であり、軸上光線と一致している。主走査方向はy軸である。母線は子線頂点を結んだ曲線であり、母線のz軸成分はy座標多項式として
Z=ΣAiYi(i=0,1,2,‥‥‥)
で表わされる。本実施形態では8次までの多項式としてZ軸成分を表現した。この多項式は3次元に曲がる母線をy−z面に射影した副走査方向の湾曲量(母線の曲がり)を表わしており、上述した図3(A),(B)に示した量と対応している。

0034

図6に本実施形態の感光ドラム面上における走査線湾曲を示す。同図に示すように有効走査領域±150mmの範囲において走査線曲がりは10μm以下の抑えられており、600dpi(解像度42.3μm)の走査線密度に対しても1/4画素以下であり、十分な光学性能を確保している。

0035

本実施例におけるプラスチックレンズより成るトーリックレンズ(プラトーリックレンズ)4a,4bは前述の如く光偏向器1側の第1レンズ面Raを主走査断面内において凹面より形成している。この結果、副走査断面内では軸外を通る光線に対してレンズ位置がポリゴンミラー1側に近付くことになり、軸外ほどレンズバックが長くなって横倍率が増大する。このように第1レンズ面Raを主走査断面において凹面より形成することによって副走査方向の横倍率を主走査方向に軸上から軸外に向かって増大させ、昇温時の軸外光線の像高変化を軸上光線の像高変化の補償値と略同じ値で補償している。

0036

ここで前記図8(B)を参照すると軸上光線の像高の補償値はdZ/βで与えられる。軸外光線については副走査方向の横倍率がβ′であるから
(dZ+dZ′)β′=dZ/β ‥‥‥‥(a)
を満たす軸外における副走査方向の横倍率β′を与えれば、昇温時の軸外光線の走査線湾曲を抑制することができる。尚(a)式においてβは結像光学系(プラトーリックレンズ)の軸上における副走査方向の横倍率、β′は軸外における副走査方向の横倍率、dZは環境温度の昇温前後の軸上光線の像高変位、dZ′は環境温度の昇温前後の軸上光線と軸外光線との像高変位の差分である。

0037

上記(a)式を軸外における横倍率β′について解くと、
β′=β×(1+dZ′/dZ) ‥‥‥‥(b)
となり、軸外における副走査方向の横倍率β′は軸上における副走査方向の横倍率βの(1+dZ′/dZ)倍になればよいことが分かる。

0038

又、上記(b)式を昇温前後の軸上光線と軸外光線との像高変位の差分dZ′について解くと、
dZ′=(β′/β−1)・dZ ‥‥‥‥(c)
となる。本実施例においてはこの差分dZ′の補正残差をΔdZ′とし、該補正残差ΔdZ′を
ΔdZ′=|dZ′−(β′/β−1)・dZ|
としたとき、
ΔdZ′≦20(μm) ‥‥‥‥(1)
なる条件を満たすように各要素を設定している。

0039

条件式(1)は環境変化が生じても良好なる出力画像を得られる為の補正残差ΔdZ′の許容量に関するものであり、条件式(1)を外れると出力画像がボケてくるので良くない。

0040

このように本実施例においては上述の如く条件式(1)を満足させつつ、プラトーリックレンズ4a,4bの副走査方向の横倍率を主走査方向に軸上(光軸)から軸外に離れるに従って変化させることにより、昇温時の軸外光線の像高変化を軸上光線の像高変化の補償値と略同じ値で補償することができ、これにより環境温度の変化に対して走査線の曲がりを抑制することができると共に画像のピッチむらや濃度むら等を低減させることができる。

0041

本実施形態ではポリゴンミラー1の偏向面に対し斜入射する複数の光ビーム(斜入射光線)の斜入射角度を副走査方向に対し略対称な角度に設定したことにより、2段トーリックレンズ4の母線湾曲量は上下2つのトーリックレンズ4a,4bにおいて対称軸に対し鏡面対称の形状を与えれば良いことになる。即ち、上下2つのトーリックレンズうち、どちらか一方のレンズに対してレンズ設計を行なえば、他方のレンズは鏡面対称形状として自ずと求まり、これにより設計の工程を簡略化することができ、かつトーリックレンズの機能を互いに等しくすることができる。

0042

又、本実施形態においては副走査断面内において2つの光ビーム(入射光線)のうち一方の光ビームを偏向面に対し斜入射光線とし、他方の光ビームを垂直入射光線とすれば、後者は通常のトーリックレンズを使えるので、斜入射光線に対応したトーリックレンズのみを前述の如く形成し、かつ前述の条件式(1)を満足させつつ、副走査方向の横倍率を主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化させることにより、本発明は前述の実施例1と同様の効果を得ることができる。

0043

尚、本実施形態においては複数の光ビームを用いてマルチビーム走査を行なったが、例えば単一の光ビームを光偏向器の偏向面に対し副走査方向に斜め方向から入射させ、fθレンズの一要素を構成するトーリックレンズのレンズ形状を前述の如く形成し、かつ前述の条件式(1)を満足させつつ、副走査方向の横倍率を主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化させることにより、本発明は前述の実施形態1と同様に適用することができる。

0044

次に表1、表2に本発明の走査光学装置の光学系の設計値、表3、表4に従来の走査光学装置の光学系の設計値を示し、双方を比較して説明する。尚表1,表3は各々光学系の構成及びレンズ配置を示し、表2及び表4は各々光学系の副走査方向の横倍率及び走査線湾曲を示している。

0045

本発明の実施形態では表1に示すようにプラトーリックレンズの第1レンズ面を主走査断面においてr(近軸曲率半径)を−301.73と設定しているので、表2に示すようにレンズ軸上と最軸外の10割の像高において副走査方向の横倍率(副走査倍率)を8%増大させることができる。この結果、昇温25°における走査線湾曲は10割の像高で−13μmに低減させることができる。

0046

表3に示すようにプラトーリックレンズの第1レンズ面がr=0の場合は表4に示すように副走査方向の横倍率が10割の走行で2%程度の変化しかない。この為、昇温25°の走査線湾曲は−30μmと大きい。入射光学系の温度補償を行わない場合の昇温25°による屈折率低下による走査線のオフセットは軸上で0.130mm(図8のズレ量dZに相当)、10割で−0.160mm(図8のズレ量dZ′に相当)となる。

0047

上述した(b)式の計算式を用いるとβ′=β×(1+dZ′/dZ)よりβ′=1.23βが理想値であり、これは10割の走査線湾曲が略0になる値である。本実施形態ではβ′=1.08βなので効果は約1/3、13μmの湾曲は理想の副走査方向の横倍率からのズレとよく一致しており、計算式の正しさを証明している。副走査方向の横倍率の変化が走査線湾曲の低減に有効であることは云うまでもないことである。

0048

0049

0050

0051

発明の効果

0052

本発明によれば前述の如く結像光学系の一要素を構成するプラスチックレンズより成るトーリックレンズの副走査方向の横倍率を主走査方向に軸上から軸外に離れるに従って変化させることにより、昇温時にも走査線の湾曲を発生させることなく像面の温度補償を入射光学系で行なうことができ、これにより環境温度の変化に対して走査線の曲がりを抑制できると共に画像のピッチむらや濃度むら等を低減させることができる走査光学装置を達成することができる。

図面の簡単な説明

0053

図1本発明の実施形態1の要部斜視図
図2本発明の実施形態1の主要部分の主走査断面図と副走査断面図
図3トーリックレンズの母線をY−Z断面に射影した説明図
図4結像性能の劣化を解決する原理を示した説明図
図5湾曲した母線をもつトーリック面の定義を示す説明図
図6本発明の実施例1で得られた走査線湾曲量を示す説明図
図7昇温前後の軸上光線の光路図及び軸上光線の温度補償の原理を示す説明図
図8昇温前後の軸上光線及び軸外光線の光路図

--

0054

1光偏向器(ポリゴンミラー)
2斜入射光線
3シリンドリカルレンズ
4 2段トーリックレンズ
4a,4b トーリックレンズ
6,7,8,9光路折り曲げミラー
10 被走査面(感光ドラム面)
11走査線
12結像光学系
21a,21bレーザコリメータレンズ
22a,22b シリンダユニット

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