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技術 口腔衛生器具用滑り軸受

出願人 NTN株式会社
発明者 谷川直成
出願日 1997年10月31日 (24年1ヶ月経過) 出願番号 1997-300794
公開日 1998年7月14日 (23年5ヶ月経過) 公開番号 1998-184684
状態 未査定
技術分野 すべり軸受 歯科用清掃機器 直線運動をする物品用の軸受 ブラシ製品及びその製法
主要キーワード 半割り型 試験開始当初 初期摩擦 回転トルク値 軟化度 手持ち用 使用当初 親歯車
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

電動歯ブラシなどの口腔衛生器具滑り軸受を、温度変化などの経時的な環境の変化に対して摩擦係数が変動せず、回転トルクを長時間可及的に小さく安定させることである。

解決手段

歯ブラシ7などの清浄用具またはマッサージ用具を取り付けた軸8を有し、これを電動モータ2の駆動力で軸方向に振動または軸回りに回転させる軸8を保持する滑り軸受9を、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を必須成分とし、官能基を有しないシリコーンオイルなどのポリマー型合成潤滑油エステル型合成油などの非ポリマー型合成潤滑油0.1〜20重量%等の潤滑油を含有する含油樹脂組成物で形成した口腔衛生器具用滑り軸受とする。潤滑油が細かい分散単位で樹脂中に分散保持され、潤滑油の滲出速度は安定し、軸受の温度変化に対し摩擦係数が変動し難くなる。

概要

背景

口腔衛生器具の一例としての電動歯ブラシ駆動機構としては、図1に示す構造が良く知られている。すなわち、この電動歯ブラシは、プラスチック製の手持ち用筒形ハウジング1の内部に乾電池等で駆動される電動モータ2を取付け、このモータ2の駆動軸3に取り付けた小歯車4を親歯車5にかみ合わせ、親歯車5にはクランクアーム6の一端を取り付け、クランクアーム6の他端は歯ブラシ7を取り付けた軸8に連結したものである。

このような電動歯ブラシは、モータ2の駆動軸3の回転により、小歯車4および親歯車5を介してクランクアーム6の他端を直線方向に往復振動させることにより、歯ブラシ7を取り付けた軸8は軸方向に往復動し、歯ブラシ7を軸方向に振動させるか、または図外のラックとピニオン機構により歯ブラシ7の毛束7aをそれぞれ回転させる等の動作をする。

また、図面の説明は省略したが、モータに軸を偏心させて連結することにより前記軸を振動させ、この軸を歯ブラシを取り付けた軸に連結して歯ブラシを軸回りに45〜90°程度の範囲で往復回転させる駆動機構も知られている。

上記したような電動歯ブラシの歯ブラシを取り付けた軸は、いずれも要所リング状または適当な形状の部品貫通孔を形成したもの等からなる滑り軸受9でもって軸回りに回転自在または軸方向に摺動自在に保持されている。このような滑り軸受9は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂PTFE)などのフッ素樹脂を含むポリアセタール樹脂のような自己潤滑性のある合成樹脂からなるか、または焼結含油軸受鋼で形成されたものである。

概要

電動歯ブラシなどの口腔衛生器具用滑り軸受を、温度変化などの経時的な環境の変化に対して摩擦係数が変動せず、回転トルクを長時間可及的に小さく安定させることである。

歯ブラシ7などの清浄用具またはマッサージ用具を取り付けた軸8を有し、これを電動のモータ2の駆動力で軸方向に振動または軸回りに回転させる軸8を保持する滑り軸受9を、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を必須成分とし、官能基を有しないシリコーンオイルなどのポリマー型合成潤滑油エステル型合成油などの非ポリマー型合成潤滑油0.1〜20重量%等の潤滑油を含有する含油樹脂組成物で形成した口腔衛生器具用滑り軸受とする。潤滑油が細かい分散単位で樹脂中に分散保持され、潤滑油の滲出速度は安定し、軸受の温度変化に対し摩擦係数が変動し難くなる。

目的

そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、電動歯ブラシ用滑り軸受などの口腔衛生器具用滑り軸受を、使用中に摩擦係数が変動せず、回転トルクが長時間可及的に小さく安定したものにすることである。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
5件

この技術が所属する分野

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請求項1

口腔内清浄用具またはマッサージ用具を取り付けた軸を、電動モータ駆動力で軸方向に振動または軸回りに回転させる口腔衛生器具における前記軸を保持する滑り軸受において、この滑り軸受を、ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を必須成分とし、潤滑油を含有する含油樹脂組成物で形成したことを特徴とする口腔衛生器具用滑り軸受。

請求項2

ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂および変性ポリエチレン樹脂から選ばれる一種以上のポリオレフィン系樹脂である請求項1記載の口腔衛生器具用滑り軸受。

請求項3

ポリエチレン樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂である請求項2記載の口腔衛生器具用滑り軸受。

請求項4

ポリアミド系樹脂が、メチレン基を10以上含む繰り返し単位を有する重合体からなるポリアミド系樹脂である請求項1記載の口腔衛生器具用滑り軸受。

請求項5

潤滑油が、ポリマー型合成潤滑油またはエステル型合成潤滑油である請求項1〜4のいずれか1項に記載の口腔衛生器具用滑り軸受。

請求項6

ポリマー型合成潤滑油が、シリコーンオイルである請求項5に記載の口腔衛生器具用滑り軸受。

請求項7

ポリマー型合成潤滑油が、官能基を有しないポリマー型合成潤滑油である請求項5または6に記載の口腔衛生器具用滑り軸受。

請求項8

潤滑油の配合割合が、0.1〜20重量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の口腔衛生器具用滑り軸受。

技術分野

0001

この発明は、歯ブラシ等の清浄用具またはマッサージ用具を取り付けた口腔衛生器具駆動軸を保持する口腔衛生器具用滑り軸受に関する。

背景技術

0002

口腔衛生器具の一例としての電動歯ブラシ駆動機構としては、図1に示す構造が良く知られている。すなわち、この電動歯ブラシは、プラスチック製の手持ち用筒形ハウジング1の内部に乾電池等で駆動される電動モータ2を取付け、このモータ2の駆動軸3に取り付けた小歯車4を親歯車5にかみ合わせ、親歯車5にはクランクアーム6の一端を取り付け、クランクアーム6の他端は歯ブラシ7を取り付けた軸8に連結したものである。

0003

このような電動歯ブラシは、モータ2の駆動軸3の回転により、小歯車4および親歯車5を介してクランクアーム6の他端を直線方向に往復振動させることにより、歯ブラシ7を取り付けた軸8は軸方向に往復動し、歯ブラシ7を軸方向に振動させるか、または図外のラックとピニオン機構により歯ブラシ7の毛束7aをそれぞれ回転させる等の動作をする。

0004

また、図面の説明は省略したが、モータに軸を偏心させて連結することにより前記軸を振動させ、この軸を歯ブラシを取り付けた軸に連結して歯ブラシを軸回りに45〜90°程度の範囲で往復回転させる駆動機構も知られている。

0005

上記したような電動歯ブラシの歯ブラシを取り付けた軸は、いずれも要所リング状または適当な形状の部品貫通孔を形成したもの等からなる滑り軸受9でもって軸回りに回転自在または軸方向に摺動自在に保持されている。このような滑り軸受9は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂PTFE)などのフッ素樹脂を含むポリアセタール樹脂のような自己潤滑性のある合成樹脂からなるか、または焼結含油軸受鋼で形成されたものである。

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、上記した従来の電動歯ブラシ用滑り軸受のうち、焼結含油軸受は、使用当初摩擦係数は小さいが、連続して使用すると経時的に表層部の潤滑油不足し、また使用中に摩擦熱などで温度が変化すると異音が発生しやすいという欠点がある。

0007

一方、ポリアセタール樹脂からなる滑り軸受は、焼結含油軸受に比べて異音が発生し難いが、摩擦係数を充分に低減させて用いることが困難であるうえに、連続使用すると温度変化等の影響を受けて摩擦係数が変動し易く、動作が安定しないという欠点を有している。

0008

そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、電動歯ブラシ用滑り軸受などの口腔衛生器具用滑り軸受を、使用中に摩擦係数が変動せず、回転トルクが長時間可及的に小さく安定したものにすることである。

課題を解決するための手段

0009

上記の課題を解決するため、この発明においては、口腔内の清浄用具またはマッサージ用具を取り付けた軸を、電動モータ駆動力で軸方向に振動または軸回りに回転させる口腔衛生器具における前記軸を保持する滑り軸受において、この滑り軸受を、ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を必須成分とし、潤滑油を含有する含油樹脂組成物で形成したのである。

0010

前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン樹脂および変性ポリエチレン樹脂から選ばれる一種以上のポリオレフィン系樹脂を採用することができる。ポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂を採用することもできる。

0011

また、前記ポリアミド系樹脂は、メチレン基を少なくとも10以上含む繰り返し単位を有する重合体からなるポリアミド系樹脂を採用することができる。

0012

前記潤滑油は、シリコーンオイルなどのポリマー型合成潤滑油またはエステル型合成潤滑油を採用することができる。ポリマー型合成潤滑油は、官能基を有しないポリマー型合成潤滑油、特に官能基を有しないシリコーンオイルを採用することもできる。また、前記潤滑油の配合割合は0.1〜20重量%とすることが好ましい。

0013

含油樹脂組成物の保油状態や摺動特性を種々検討したところ、ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を必須成分とし、潤滑油を含有する含油樹脂組成物の摺動状態初期摩擦抵抗は低く、経時的な摺動抵抗の増加も見られなかった。

0014

その理由は、含油樹脂組成物に均一に分散したポリオレフィン系樹脂のメチレン基と潤滑油との優れた親和力によるものと考えられた。また、そのような傾向は、ポリアミド樹脂、特にメチレン基を10以上含む繰り返し単位を有する重合体からなるポリアミド系樹脂においても見られる。

0015

このように、本願の発明の電動歯ブラシ用軸受などの口腔衛生器具用の滑り軸受は、基材であるポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂と、シリコーンオイルなどのポリマー型合成潤滑油またはエステル型合成潤滑油との親和性が非常によく、潤滑油が極めて細かい分散単位で前記必須成分の樹脂中に確実に保持されているので、駆動軸の回動時に潤滑性が安定して発揮され、トルクが安定し耐摩耗性も向上する。

0016

この場合、官能基を持たないポリマー型合成潤滑油を使用することは、成形加工時にボイドクラックなどの発生がない点で好ましい。

0017

なお、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂に、官能基を有するオルガノポリシロキサンを配合すると、熱可塑性樹脂の加熱成形時に、この樹脂と官能基が反応し、成形されたローラにボイドやクラックなどが発生し易く、このため安定した回転トルクや長時間振れが少ない状態で回転させるといった特性が得られ難いとも考えられる。

発明を実施するための最良の形態

0018

この発明における軸に取り付ける口腔内の清浄用具またはマッサージ用具としては、図1を参照して説明した電動歯ブラシなどの歯ブラシの他、口腔内の清浄作用歯肉に適当なマッサージ作用を与えることができる用具を特に限定することなく採用できる。口腔内の清浄用具の一例としては、歯ブラシばかりでなく、歯間清掃用の櫛歯状のものや、不織布などの拭き取り作用のある清浄用具も含まれる。また、口腔内のマッサージ用具としては、ゴムやプラスチックなどからなり、比較的滑らかな凹凸面を有する用具が適当である。

0019

この発明におけるポリオレフィン系樹脂は、油、特に潤滑油との親和性に優れたポリオレフィン系樹脂であり、具体例としては低密度ポリエチレン直鎖状低密度ポリエチレン中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン類、ポリプロピレン、その他のオレフィン類単独重合体または異種ポリオレフィンとの共重合体からなる樹脂である。

0020

ポリオレフィン系樹脂は、下記式の繰り返し単位を有するものが、ポリアミド系樹脂との相溶性、価格その他の点から総合的に優れていて好ましい。例えば炭素−炭素結合を有する主鎖の部分が66〜100%を占めるもの、または80〜100%を占めるものであってもよい。

0021

−CH2 CHX−
(式中、XはH、CH3 、Cl、OH及びアリール基から選ばれる基である。)ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、前述したものの他、ポリプロピレン、ポリブチレンメチルペンテン樹脂ポリブタジエン樹脂、またはポリビニルフルオライドポリビニリデンフルオライドのようなフッ素化されたポリオレフィン樹脂なども挙げられる。

0022

ポリオレフィン樹脂のなかでも炭素骨格(主鎖)の全てが水素で取り囲まれており、かつ側鎖の少ないもの(例えば、側鎖の量が0〜10%のもの)は、比較的硬質な物性であるので滑り軸受用材料として好ましい。以上述べたポリオレフィン系樹脂は、口腔衛生器具の使用態様において人体無害であるものを採用することは勿論である。

0023

そして、この発明におけるポリエチレン系樹脂は、−CH2 −CH2 −を含む主鎖からなり、結晶化の度合いによって低密度直鎖状低密度中密度、高密度超高分子量のものを問わず採用でき、また直鎖状のものや、変性ポリエチレンであっても、CH3 の分岐が含まれる分岐状のものであってもよい。分岐状ポリエチレンのCH3 基は、例えば1〜50%、3〜10%または10〜30%程度(重量%またはモル%)配合されていてもよく、最適な配合割合を選定できる。このようなポリエチレン系樹脂は、熱可塑性樹脂に適用される射出成形その他の溶融成形法または圧縮成形等、周知の成形法により成形可能である。

0024

前記した低密度ポリエチレンは、2000〜3000気圧、150〜300℃の高温高圧で製造され、比重が0.91〜0.925と他のポリエチレンより小さく、結晶化度も45〜55%、融点100〜120℃で、高圧法ポリエチレン軟質ポリエチレンとも呼ばれるものである。

0025

また、前記した中・高密度ポリエチレンは、0〜100気圧、50〜200℃の低温低圧で製造され、比重が0.926〜0.94、結晶化度50〜60%、融点120〜135℃であり、中・低圧法ポリエチレン硬質ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンとも呼ばれるものである。なお、比重が0.926〜0.94のものは中密度ポリエチレンとも呼ばれる。また、高密度ポリエチレンのなかでも10〜60気圧、100〜170℃の中低中圧で製造されるものもあり、比重が0.941〜0.97、結晶化度65〜85%、融点65〜135℃のものは、中圧法ポリエチレンや硬質ポリエチレンとも呼ばれる。このようなものの市販品としては、三井石油化学工業社製:ハイゼックス1300J等が挙げられる。

0026

なお、高圧法ポリエチレン(低密度ポリエチレン)は、長い線状分子に分岐が多くついており、熱や紫外線に強い。中・低圧法ポリエチレンは、若干の分岐を有し、二重結合部も存在し分子配向性もよく適度に硬質であり、成形時の成形体としての成立性、成形性や耐摩耗性等が優れている。高圧法ポリエチレンは、その粘度平均分子量を1〜50万、1〜15万または10〜40万程度にすることができる。また、成形性と耐摩耗性の両方を考慮すると、粘度平均分子量は3〜8万の範囲であることが好ましい。

0027

一方、超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、50〜800万、100〜600万または100〜400万にすることができるが、溶液粘度法による極限粘度は8〜40dl/gであり、粘度平均分子量は1〜8×106 であり、密度は0.92〜0.94となり、結晶化度は前記と略同程度である。このようなものの市販品としては、ドイツ国ヘキスト社製:ホスタレンGUR212などが挙げられる。

0028

このように高密度で高分子量化されたポリエチレンは、耐摩耗性、自己潤滑性、耐衝撃性耐薬品性、水の比重よりも軽いという軽量性低吸水性による寸法安定性等の各諸特性について優れている。

0029

なお、ポリエチレン系樹脂は、上記したもの以外に低分子量ポリエチレングラフトコポリマーである変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン架橋ポリエチレン発泡ポリエチレン等を例示できる。また、上記したポリエチレン系樹脂は、単独または2種類以上の各々のポリエチレンを、例えば主成分のポリエチレン100重量部に対して、1〜80重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは25〜60重量部配合してもよい。

0030

変性ポリエチレンは、α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体などのグラフトモノマーを前述のポリエチレン類にグラフトさせて得られる変性ポリエチレンが好ましい。α、β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸メタクリル酸マレイン酸フマル酸テトラヒドロフタル酸イタコン酸シトラコン酸クロトン酸エンドシス−ビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−5エン2,3−ジカルボン酸などがあり、マレイン酸やエンドシス−ビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−5エン2,3−ジカルボン酸が特に好ましいものである。

0031

これらのポリエチレン系樹脂のなかでも、結晶化度が50〜90%以上、比重または密度が0.926〜0.97以上(ASTMD792)、デュロメータまたはショア硬さでD50〜72以上(ASTM D2240)、またはロックウェル硬度でR55〜70(ASTM D785)、融点が120〜140℃以上(ASTM D2117)、ビカット軟化度が90〜135℃以上(ASTMD1525)、熱変形温度が49〜88℃以上(ASTM D648、4.6kg/cm2 )、吸水率が0.015%以下、好ましくは、0.01%以下(下限値は例えば0.00001%程度)(ASTM D570、厚み3mm、24時間)を満足するものが、この発明の軸受材として耐摩耗性などに優れているので好ましい。なお、( )内は好ましい測定方法であるが、前記以外の試験条件で測定してもよい。

0032

ところで、結晶温度や比重、密度、硬さが低すぎると、滑り軸受にかかる荷重摺動速度等による負荷で滑り軸受が変形することも考えられ、高すぎると相手軸支持軸摩耗、低寿命の原因となることも考えられる。融点、ビカット軟化点、熱変形温度が低すぎると、滑り軸受と支持軸との回転摺動による摩擦熱で振動または回転体熱変形予想され、高すぎると成形性が困難となる。

0033

また、吸水率は低い方が成形時の多孔質部分)の発生を少なくでき、また、振動または回転体の長期の寸法安定性も期待できる。また、例えば、メルトインデックス値(メルトフローレイト)にて溶融粘度が0.01〜20g/10min(ASTMD1238)、射出成形では5〜15g/10min (ASTM D1238)程度であれば、効率がよく連続的に物性に優れ、また、後述のポリマー型合成潤滑油の一例であるシリコーン系オイルとの相溶性、分散性ともに優れた成形体を製造することができる。上記値が小さすぎると成形が困難になり、大きすぎると耐熱性・耐摩耗性が低下する。なお、上記した( )内には、好ましい測定方法を示した。

0034

以上のような条件を満足する好適な高密度ポリエチレン(HDPE)の市販品としては、三井石油化学工業社製のハイゼックス1300Jが挙げられる。

0035

各種の成形方法のうち圧縮成形は、流動性の比較的少ない超高分子量ポリエチレン系樹脂に適している。押出成形は、若干、流動性のよい中・高密度系ポリエチレン系樹脂に適し、圧縮成形よりも生産効率に優れながらも、物性的にも優れた軸支持体を提供できる。射出成形は、流動性のよい適度な分子量または比較的分子量の低いポリエチレン系樹脂に適しており、押出成形よりも生産効率に優れている。

0036

そして、溶融混合して造粒し、その後射出成形する方法は、優れたポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂などの樹脂成形体を効率よく生産できる。例えば溶融混合条件は、シリンダー温度溶融樹脂温度)150〜200℃、スクリュー回転数60〜120rpm、また射出成形条件は、シリンダー温度(溶融樹脂温度)150〜200℃、射出圧力500〜1000kgf/cm2 、金型温度40〜60℃であればよい。なぜなら、シリンダー温度が低すぎると樹脂が充分に溶解せず、高すぎると樹脂の分解が進み、また樹脂材に過酷な熱履歴を受けて好ましくないからである。また、金型温度が低すぎると溶融樹脂急冷されて成形体の収縮が均一でなくなり、ヒケ(sink)、ソリ(warp)等の原因となり、高すぎると樹脂が固化し難くなって効率的でない。スクリュー回転数が遅すぎると、生産性に劣り、スクリュー回転数が速すぎるとペレットを造粒し難くなる場合も考えられる。また、射出圧力が低すぎると巣の原因となり、逆に高すぎるとクラックやクレージングの原因ともなる。

0037

上述したポリオレフィン系樹脂の他に、含油樹脂組成物に好ましい必須成分としてはポリアミド系樹脂である。ポリアミド系樹脂は、ポリオレフィン樹脂および潤滑油との相溶性に優れており、優れた潤滑性を示すからである。

0038

ポリアミド系樹脂は、ポリヘキサメチレンアジパミド(6,6−ナイロン)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(6,9−ナイロン)、ポリヘキサメチレンセバサミド(6,10−ナイロン)、ポリヘキサメチレンドデカミド(6,12−ナイロン)、ポリテトラメチレンアジパミド(4,6−ナイロン)、ポリカプロラクタム(6−ナイロン)、ポリラウリンラクタム(12−ナイロン)、ポリ−11−アミノウンデカン(11−ナイロン)、ポリメタキシレンアジパミド(ナイロンMXD−6)などの脂肪族系ポリアミド樹脂ポリメタフェニレンイソフタルアミドポリパラフェニレンテレフタルアミドなどの芳香族系ポリアミド樹脂を挙げることができる。なお、上記ポリアミド樹脂の1種以上を混合して使用してもよい。

0039

そして、ポリオレフィン系樹脂および潤滑油との混合系において優れた潤滑性を示す点で特に好ましいポリアミド樹脂としては、脂肪族系ポリアミド樹脂が挙げられる。

0040

さらに、例えばポリ−11−アミノウンデカン(11−ナイロン)やポリラウリンラクタム(12−ナイロン)などのように、アミド結合間にメチレン基を10以上含む繰り返し単位を有する重合体からなるポリアミド樹脂は、ポリオレフィン樹脂と併用しなくても油(潤滑油)の保持性能が優れていることが確認された。その理由は、分子内に含まれている比較的長いメチレン単位によるものと考えられる。このようにメチレン単位を10以上含むポリアミド樹脂は、ポリオレフィン樹脂を含まない構成であってもシリコーン油エステル油と組み合わせて用いることにより、優れた摺動部材とすることができる。

0041

なお、以上述べたポリアミド系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を必須成分とするならば、その他の樹脂を併用しても良いが、そのような必須成分以外の併用添加用の樹脂として以下のものを挙げることができる。

0042

すなわち、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンクロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合樹脂、エチレン−クロロフルオロエチレン共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン−ビニルアセテート共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂セルロース樹脂ポリウレタン樹脂ポリイミド樹脂ポリエーテルイミド樹脂ポリアミドイミド樹脂アイオノマー樹脂ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリアリルエーテル樹脂ポリエーテルエーテルケトン樹脂ポリフェニレンスルフィド樹脂ポリスルホン樹脂全芳香族ポリエステル樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂メラミンフェノール共縮合樹脂、キシレン変性フェノール樹脂ユリアグアナミン共縮合樹脂、アセトグアナミン樹脂、メラミングアナミン樹脂アルキド樹脂ジアリルフタレート樹脂キシレン樹脂エポキシ樹脂エポキシアクリレート樹脂シリコーン樹脂ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などである。

0043

ポリアミド系樹脂とポリオレフィン系樹脂を併用する場合の配合割合は、例えばポリアミド樹脂などからなる合成樹脂100重量部に対して、ポリオレフィン系樹脂5〜200重量部が好ましい。ポリオレフィン系樹脂の配合量が、5重量部未満の場合は滑り軸受のトルクが充分に低減せず、200重量部を越えて多量に配合すると、成形体の寸法精度が低下するおそれがある。

0044

次に、この発明に用いる潤滑油は、ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂に良く分散し、その潤滑性を向上させることのできる油であれば、特にその種類を限定することなく使用することができる。例えば、ポリマー型合成潤滑油または非ポリマー型合成潤滑油など、いかなる潤滑油であってもよい。

0046

特に、口腔内衛生器具用軸受の摺動部材として耐熱性が良い点で好ましい潤滑油としてはシリコーン油などのポリマー型合成油若しくは脂肪酸エステル油などのエステル型合成油または両者併用した潤滑油である。なお、シリコーン油およびエステル油は、保油性を維持するためにそれぞれ単独で使用することが好ましい。そして、このような潤滑油は、成形性を重視して効率よく成形し、ボイドやクラックなどを発生させないために、官能基を有さない潤滑油を採用することが好ましい。

0047

ポリマー型合成潤滑油は、モノマーがいくつか連結した化学構造のものであり、重合度により分子量を変えて粘度調整が可能であることと、人体に無害である点で特にこの発明に好適である。

0048

一般的なポリマー型合成潤滑油としては、ポリグリコール(例えばポリアルキレングリコール)、オレフィンのオリゴマー(ポリαオレフィン)、シリコーン(例えばフッ化シリコーン)、パーフルオロアルキルエーテルクロロフルオロカーボンポリフェニルエーテルなどが挙げられる。

0049

なお、ポリマー型合成潤滑油のうち、この発明に好適なシリコーンオイルは、ジメチルシロキサンの重合体またはジメチルシロキサンのメチル基もしくはその一部が水素、フェニル基ハロゲン化フェニル基、ハロゲン化アルキル基アルキル基フルオロエステル基などの一種以上の脂肪族系または芳香族系の残基で置換された誘導体であってよいが、官能基を有しない化合物であるものが好ましい。因みにそのような官能基としては、たとえば、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基水酸基メルカプト基イソシアネート基シアネート基ビニル基などであって、これらはポリエチレン樹脂の加熱成形時に化学的に反応し易い原子団である。

0050

シリコーンオイルなどのポリマー型合成潤滑油またはエステル型合成潤滑油などの非ポリマー型合成潤滑油等は、液状またはグリース状半固形状)の粘性特性を有する。ポリマー型合成潤滑油は、平均分子量が少なくとも300以上であるものがよく、1000以上、好ましくは2000以上のものであれば適度な粘性があって好ましい。平均分子量が3000以上のシリコーンオイルなどのポリマー型合成潤滑油は、このような理由から特に好ましいものである。

0051

上記シリコーンオイルなどのポリマー型合成潤滑油またはエステル型合成潤滑油などの非ポリマー型合成潤滑油等の粘度の下限についてみると、100℃での粘度は2cSt以上のものが好ましく、より好ましくは10cSt以上、更に好ましくは常温(20〜25℃)以上40℃以下の温度範囲で1000cSt以上や3000cSt以上のもの、また粘度指数は20以上であるものが好ましく、より好ましくは100以上、更に好ましくは200以上や300以上のものである。アルキル変性シリコーンオイルまたは官能基を有さないシリコーンオイル等の潤滑油等のオイル全般においては、このような特性の一つ以上を満足するものであればよい。

0052

次に、この発明における含油樹脂組成物におけるポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂と、潤滑油との配合割合について説明する。

0053

ポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を含有する合成樹脂100重量部に対する潤滑油の配合割合は、0.5〜30重量部が好ましい。

0054

潤滑油の配合量が0.5重量部未満では、滑り軸受のトルクが充分に低減せず、30重量部を越えて多量を配合すると、安定した組成の含油樹脂組成物にならない可能性がある。

0055

滑り軸受(成形体)の寸法精度を良好に保ち、しかも低トルクの滑り軸受となるポリオレフィン系樹脂と潤滑油のより好ましい配合割合は、ポリアミド樹脂からなる合成樹脂100重量部に対して、ポリオレフィン系樹脂20〜150重量部、またはポリオレフィン樹脂を含む合成樹脂100重量部に対し、潤滑油5〜30重量部である。

0056

ポリアミド系樹脂が、メチレン基を少なくとも10以上含む繰り返し単位を有する重合体である場合は、ポリアミド樹脂100重量部に対する潤滑油の配合割合は1〜25重量部であることが好ましい。潤滑油の配合量が1重量部未満では、滑り軸受のトルクが充分に低減せず、25重量部を越えて多量を配合すると、安定した組成の含油樹脂組成物にならない可能性がある。このような傾向から、より好ましい潤滑油の配合割合は10〜20重量部である。なお、組成物の種類によっては1〜10重量部としてもよい。

0057

この発明の口腔衛生器具用滑り軸受の含油樹脂組成物には、さらに保油材を含有させてもよい。保油材は、含油樹脂組成物に潤滑油を保持し、潤滑油を適当な速度で滲み出させるものであり、例えば比表面積の大きな無機化合物を採用することが好ましい。そのような材料の具体例としては、タルククレー炭酸カルシウムカーボン黒鉛活性炭などが挙げられる。タルクとしては、SiO2−MgO系タルクなどが挙げられる。

0058

保油材の配合割合は、前記したポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を必須成分とする含油樹脂組成物100重量部に対して、1〜25重量部が好ましい。1重量部未満の少量では保油および潤滑油の滲み出し抑制効果が得られ難くなり、25重量部を越える多量の配合割合では、保油力が大きすぎて潤滑油の滲み出し速度が低くなり、軸受のトルクが不適当に増加するからである。このような傾向から、より好ましい保油材の配合割合は、1〜15重量部である。

0059

潤滑油とポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を必須成分とする合成樹脂(例えばシリコーンオイルとポリエチレン)を溶融混合する際には、相溶性および分散性を良好するために両者の粘度はなるべく近い方が好ましい。被加熱時に適当な粘度を有するポリマー型合成潤滑油または非ポリマー型合成潤滑油等の潤滑油全般は、滑り軸受の摺動部に軸受支持軸との接触・摺動によって通常、常温以上、具体的には40〜60℃の摩擦熱、またはこの範囲を越える摩擦熱が発生しても滑り軸受から急激に滲み出てくることはなく、適度に滑り軸受内に保持されている。

0060

ポリマー型合成潤滑油の平均分子量や粘度の上限については特定されるものではないが、成形用ペレットのための造粒時や押出成形時、射出成形時等に油の分散を均一にするために、平均分子量が50000以下、好ましくは10000以下のものであり、また、ポリマー型合成潤滑油または非ポリマー型合成潤滑油などの潤滑油全般の粘度の上限は、例えば、常温(20〜25℃)以上40℃以下の温度範囲では、100000cSt以下、好ましくは10000cSt以下、100℃粘度では、50000cSt以下、好ましくは5000cSt以下のものであればよい。また粘度指数の上限値は、1000以下または500以下であろう。

0061

この発明に用いる潤滑油は、摺動時の摩擦熱により油が摺動面から急激に滲みだすことがない粘度のものが好ましく、具体的には40℃での粘度が5〜500000cstの範囲にあるものが好ましい。粘度がこの範囲を越えると、成形用ペレットの造粒時や射出成形時の油の分散が不充分となるおそれがあるからである。

0062

シリコーンオイルを採用すると、ペレット造粒時や押出成形時、射出成形時等に高温となった場合でも適当な粘度で混合することができ、分散不良となることがなく、均一な成形体が得られる。一方、ポリエチレンと溶融混合する時にはポリエチレンの溶融粘度を越えないシリコーン系オイル・グリースを採用するが、その場合のシリコーンは、シリコーン樹脂やシリコーンゴム等の形態でないほうがよい。シリコーン系オイルグリースとポリエチレン系ポリマーとの相互の溶融混合性を維持するためである。

0063

以上述べた条件を全て満足する官能基を有しないシリコーンオイルの市販品としては、信越化学工業社製:シリコーンオイルKF96H6000などを例示できる。

0064

ところで、前記したポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂に対する上述のシリコーンオイルやエステル型オイル等の潤滑油全般の配合割合は、0.1〜20重量%が好ましい。配合割合が0.1重量%未満の少量では摺動特性を充分に改良することができず、20重量%を越える多量では基材であるポリエチレン樹脂の機械的特性を損なうからである。このような傾向から、より好ましい配合割合は、0.5〜10重量%であり、特に好ましくは2〜8重量%である。

0065

この発明に用いるエステル型合成油は、水酸基とカルボキシル基との反応によって生成するエステル結合を分子内に有する合成油である。このようなエステル油のうちでもトリメチロールエタントリメチロールプロパンペンタエリトリトールなどの多価アルコールと1価脂肪酸多塩基酸などとの反応生成物であるエステル油(例えば特開平3−128992号公報に開示されたエステル系油)が好ましく、特にペンタエリトリトールのフルエステルは、耐熱安定性が良好なために好ましい。なお、必要に応じて硫黄系、リン系、ハロゲン系の極圧添加剤または耐摩耗性向上剤酸化防止剤耐熱性向上剤腐食防止剤加水分解防止剤消泡剤などの添加剤を含んでいてもよい。

0066

この発明における樹脂組成物混合方法は、従来からよく知られた混合方法を利用すればよく、たとえば基材であるポリエチレン樹脂と潤滑油とをそれぞれ個別に、または溶剤(たとえばフルオロクロハイドロカーボンなど)に適宜溶解させて、ヘンシェルミキサーボールミルタンブラーミキサーなどの混合機によって混合した後、溶媒を除去して溶融混合性の良い射出成形機もしくは溶融押し出し機に供給するか、または予め熱ローラニーダバンバリーミキサー、溶融押し出し機などを利用して溶融混合しする方法を採用できる。また、中・高密度ポリエチレンや超高分子量ポリエチレンは、一度、造粒してペレットとし、その後溶融押し出しすれば、物性のよい成形体が効率よく得られる。

0067

なお、この発明の主要原料であるポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、シリコーンオイル等のポリマー型合成潤滑油やエステル型合成潤滑油などの非ポリマー型合成潤滑油の他に、一般合成樹脂に広く適用しえる添加剤を、この発明の目的を阻害しない程度に併用してもよい。

0068

そのような添加剤としては、たとえば離型剤難燃剤耐候性改良剤、その他四フッ化エチレン樹脂グラファイト、フッ化黒鉛、タルク、窒化ホウ素などの工業用潤滑剤ガラス繊維カーボン繊維アルミナ繊維アスベストロックウールウオラストナイトチタン酸カリウムウィスカなどの繊維状物質からなる強化剤ガラス粉末、タルク、クレイ、炭酸カルシウムなどに代表される無機質充填剤などであり、これらを添加する方法も特に限定されるものではない。

0069

また、この発明の樹脂組成物の潤滑性を損なわない限り、中間製品または最終製品の形態において、化学的または物理的な処理によって性質改善のための変性が可能であることは勿論である。

0070

なお、滑り軸受、駆動軸の少なくとも摺動面の一方の摺動面の表面形状、表面粗さは最大粗さ(Rmax)0.1〜25μmであればよい。表面粗さが、前記所定範囲より小さいと切削等の加工を効率よく行ない得ず、前記所定範囲を越えると揺動ムラ回転ムラまたはスティクスリップなどが大きくなり、部品を摩耗させるので好ましくない。このような傾向からより好ましい表面粗さは、0.1〜15μmであり、より好ましくは0.1〜12μmである。

0071

また、滑り軸受と駆動軸との回転振れを少なくするために、前記表面粗さ(表面形状)の条件に加えて、滑り軸受や駆動軸の外径および内径のうち少なくとも一方の真円度円筒度同軸度を0.1〜300μmとし、より好ましくは0.1〜200μmとなるように射出成形加工を行なうか、または精密切削加工を施せば、より精度の高い電動歯ブラシ用軸受組立部品になる。

0072

このようにして製造された軸受は、電動歯ブラシなどの口腔内の清浄用具またはマッサージ用具を取り付けた軸に使用し、図1に例示した電動歯ブラシは、歯ブラシ7を取り付けた軸8を電動のモータ2の駆動力で軸方向に振動または軸回りに回転させる電動歯ブラシであり、滑り軸受9は、軸8を保持するように要所に取り付けている。図示した滑り軸受9は、円筒状のものを示したが、軸孔を形成した軸支持体以外に例えば半割り型、平面形状のものであってもよく、軸支持体であれば、いかなる周知形状の部品であってもよいのは勿論である。

0073

上記した軸受は、図1に示されるような電動歯ブラシの一部を度々水洗いなどした際、水に曝されても長時間滑り特性を維持するものと考えられる。

0074

実施例および比較例に使用した原材料一括して示すと以下の通りである。なお、適宜〔 〕内に略号を示した。
(1)高密度ポリエチレン(HDPE)
三井石油化学工業社製:ハイゼックス1300J
表面硬度(ロックウェル硬度)65(ASTMD785)
密度(0.96g/cm3 )(ASTM D792)
融点131℃(ASTM D2117)
メルトインデックス値13g/cm3
ビカット軟化点122℃(ASTM D1525)]
(2)シリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイル、平均分子量5万)
信越化学工業社製:KF96H−6000[粘度6000±300cSt(25℃)]
(3)ポリアセタール
ポリプラスチックス社製:ジュラコンM90
(4)粉末状四フッ化エチレン樹脂〔PTFE粉末
喜多社製:KT400M
(5)合成油
日本油脂社製:エステル油ユニスターH
(6)ポリエチレンテレフタレート〔PETP
オランダアクプラスチックス社製アーイトA160。

0075

〔実施例1および実施例2、比較例1〜5〕表1に示す配合割合(重量%)で原材料を配合し、同表に示す溶融混合条件によって混練し、得られたペレット(造粒物)を同表に示す射出成形条件にて成形し外径20mmの試片素材)を得た。この試片を切削して、図2に示した滑り軸受形状の試験片10(外径18mm、内径10mm、表面粗さRmax 10μm)を成形した。図2中の符号11は、取付け孔を示している。これを固定ハウジング16に取付け、所定の力(5kgf/cm2 )で相手材に接触させた。そして、図3に概略を示した試験装置を用い、上記の試験片の回転トルクを下記の試験方法によって測定し、この結果を表2に示し、さらに図4グラフに示した。

0076

回転トルク試験方法
図3に概略を示した試験装置を用い、摺動相手材(SUS304製、表面粗さRmax 3.2μm)12を固定した回転軸13をプーリー14を介して電動モーター15で回転駆動し、試験片10は碗状の治具16に図外のピンを取付け孔11に差し込んで取り付け、その状態で静圧軸受17によって所定圧(5kgf/cm2 )で摺動相手材12に圧接した。そして、試験片10の摺動相手材12に対する摩擦力(回転トルク:gf・cm)を試験開始当初(0時間)、200時間経過後、500時間経過後にそれぞれ測定した。

0077

0078

0079

表2の試験結果と、図4のグラフから明らかなように、基材がポリエチレン以外の比較例3、4、5は、経時的に摩擦係数の一評価基準である回転トルクが上昇した。また比較例1、2は、回転トルク値が変動し安定しない傾向が認められた。

0080

一方、全ての条件を満足する実施例1、2は、試験時間の500時間の間に回転トルクは安定して低く、その値が上昇する傾向は全くみとめられず、異音の発生もなかった。

0081

したがって、実施例1、2の滑り軸受を装着した電動歯ブラシ用軸受は、摩擦係数が長時間安定して小さく、異音の発生がなく、経時的な環境の変化に対して摩擦係数が変動せず回転トルクを長時間可及的に小さく安定できることが判明した。

0082

〔実施例3〕表3に示すように、ポリカプロラクタム(6−ナイロン)樹脂(東レ社製:アミランCM1007)100重量部に、後述の変性ポリエチレン150重量部を配合すると共にエステル油(日本油脂社製:ユニスターH−481R)を7.5重量部配合し、材料組成物を射出成形して図2に示す形状の滑り軸受(外径18mm、内径10mm、表面粗さRmax 10μm)を射出成形した。前記変性ポリエチレンは、高分子量ポリエチレン(三井石油化学工業社製:リュブマーL4000)に無水マレイン酸グラフト重合させて変性したものであり、ポリカプロラクタム(6−ナイロン)とのポリマーアロイ化を容易にするものである。得られた試験片の回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0083

0084

0085

〔実施例4〕エステル油をシリコーン油(信越化学工業社製:KF96H−6000)に代えたこと以外は、実施例3と全く同様にして滑り軸受を形成し、その回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0086

〔実施例5〕変性ポリエチレンの配合割合を66.7重量部に変更したこと以外は、実施例3と全く同様にして滑り軸受を形成し、その回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0087

〔実施例6〕実施例5において、エステル油をシリコーン油(信越化学工業社製:KF96H−6000)に変更したこと以外は、実施例5と全く同様にして滑り軸受を形成し、その回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0088

〔実施例7〕ポリラウリンラクタム(12−ナイロン)樹脂(ダイセルヒュルス社製:ダイアミドL1640)100重量部に、タルク粉末を10重量部、エステル油(日本油脂社製:ユニスターH481R)15重量部を溶融混合し、ペレットに成形した後、これを射出成形して実施例3と全く同じ形状の滑り軸受を形成し、その回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0089

〔実施例8〕実施例7において、エステル油をシリコーン油(信越化学工業社製:KF96H−6000)に変更したこと以外は、実施例7と全く同様にして滑り軸受を形成し、その回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0090

〔実施例9〕実施例7において、タルク粉末を活性炭に変更したこと以外は、実施例7と全く同様にして滑り軸受を形成し、その回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0091

〔実施例10〕実施例8において、タルク粉末を活性炭に変更したこと以外は、実施例8と全く同様にして滑り軸受を形成し、その回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0092

〔実施例11〕ポリラウリンラクタム(6−ナイロン)樹脂(東レ社製:アミランCM1007)100重量部に、未変性の高分子量ポリエチレン(三井石油化学工業社製:リュブマーL4000)150重量部を配合してポリマーアロイ化し、このポリマーアロイ100重量部にタルク粉末を10重量部とエステル油(日本油脂社製:ユニスターH481R)7.5重量部を溶融混合し、ペレットに成形した後、これを射出成形して実施例3と全く同じ形状の滑り軸受を形成した。そして、この滑り軸受の回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4に示した。

0093

〔実施例12〜15〕表3に示した配合で実施例3と全く同様の方法および条件で滑り軸受を形成し、得られた滑り軸受の回転トルクを前記した回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4中に併記した。

0094

〔比較例6〜9〕ポリオレフィン樹脂を併用せず、以下に示す樹脂材料のみを用いて実施例3と全く同様の方法および条件で滑り軸受を形成し、得られた滑り軸受の回転トルクを回転トルク試験方法によって測定し、この結果を表4中に併記した。
比較例6;含油ポリアセタール系樹脂(ポリプラスチックス社製:SW−01)
比較例7;含油ポリアセタール系樹脂(ポリプラスチックス社製:OL−10)
比較例8;ポリフェニレンスルフィド系樹脂(オイレス工業社製:グライトロンSE)
比較例9;ポリフェニレンスルフィド系樹脂(エヌティエヌ精密樹脂社製:ベアリーAS5000)。

0095

表4に示した結果からも明らかなように、ポリオレフィン樹脂共存下において潤滑油を含有させた各実施例の滑り軸受は、初期摩擦トルクを比較例のそれに比べて顕著に低減することができた。また、初期摩擦トルクは長時間にわたって維持されており、保油性に優れていることもわかる。

0096

このように実施例3〜15の滑り軸受は、これを電動歯ブラシなどの口腔衛生器具に装着した場合の摩擦係数が長時間安定して小さく、異音の発生がなく、経時的な環境の変化に対しても摩擦係数が小さい状態で変動せず、このため回転トルクを長時間小さく安定できるものであることがわかる。

発明の効果

0097

本願の口腔衛生器具用滑り軸受に係る発明は、以上説明したように、滑り軸受をポリオレフィン系樹脂またはポリアミド系樹脂を必須成分とし、潤滑油を含有する含油樹脂組成物で形成したので、口腔衛生器具の使用中に摩擦熱などで滑り軸受の温度が変化しても摩擦係数は変動せず、回転トルクなどで評価される摩擦係数は使用当初から長時間小さく安定するようになる。また、その結果、使用中の軸受に異音も発生し難くなるという利点もある。

0098

また、本願の口腔衛生器具用滑り軸受のうち、シリコーンオイル等のポリマー型合成潤滑油もしくはエステル型合成潤滑油等の非ポリマー型合成潤滑油を採用したものは、これらの潤滑油が特に極めて細かい分散単位でポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂もしくはポリアミド系樹脂中に分散保持されることになるので、これら潤滑油の滲出速度はよりいっそう安定し、軸受の温度変化に対し、摩擦係数がより変動し難くなるという利点がある。

0099

上述した利点は、ポリアミド系樹脂がメチレン基を10以上含む繰り返し単位を有する重合体である場合や、ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン樹脂や変性ポリエチレン樹脂である場合にさらに確実かつ顕著である。

0100

また、上記ポリマー型合成潤滑油として官能基を持たないものを採用した滑り軸受に係る発明では、成形加工時にボイドなどの発生がないものとなる利点もある。

図面の簡単な説明

0101

図1電動歯ブラシの駆動機構を説明する要部断面図
図2滑り軸受の試験片の断面図
図3回転トルク試験に用いた試験装置の概略側面図
図4回転トルクと経過時間の関係を示す図表

--

0102

ハウジング
2モータ
3駆動軸
4小歯車
5親歯車
6クランクアーム
7歯ブラシ
8 軸
9滑り軸受
10試験片
11取付け孔
12摺動相手材
13回転軸
14プーリー
15電動モーター
16治具
17 静圧軸受

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