図面 (/)

技術 高強度鋳鉄の製造方法及び高強度鋳鉄

出願人 いすゞ自動車株式会社
発明者 堀江皓小綿利憲
出願日 1996年11月29日 (24年1ヶ月経過) 出願番号 1996-333058
公開日 1998年6月16日 (22年6ヶ月経過) 公開番号 1998-158777
状態 特許登録済
技術分野 鉄合金の製造(粉末冶金を除く)
主要キーワード 高周波電気炉 ブリネル硬さ チル試験 材料硬度 鋳鉄溶湯中 鋳鉄材料 黒鉛形状 稀土類元素
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年6月16日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

課題

高強度で、かつ、切削性が良好な高強度鋳鉄の製造方法及び高強度鋳鉄を提供するものである。

解決手段

Sを0.02〜0.2wt%含有した鋳鉄を溶解して溶湯とし、その溶湯中に、Mnを1.0〜3.0wt%添加すると共に、稀土類元素またはミッシュメタルを上記溶湯中の上記S量に対して倍量の0.04〜0.4wt%添加するものである。

概要

背景

エンジンケーシング鋳鉄材料として、例えば片状黒鉛鋳鉄などが用いられているが、最近におけるエンジン高出力化、軽量化、および省エネ化に対応すべく、強靱な鋳鉄材料が求められている。

エンジンの高出力化の観点からすると、合金元素の添加などによる鋳鉄材料の高強度化が有効であり、この高強度鋳鉄を用いることによってエンジンケーシングの薄肉・軽量化を図ることができ、延いては、エンジンの軽量化および省エネ化を図ることが可能となる。

概要

高強度で、かつ、切削性が良好な高強度鋳鉄の製造方法及び高強度鋳鉄を提供するものである。

Sを0.02〜0.2wt%含有した鋳鉄を溶解して溶湯とし、その溶湯中に、Mnを1.0〜3.0wt%添加すると共に、稀土類元素またはミッシュメタルを上記溶湯中の上記S量に対して倍量の0.04〜0.4wt%添加するものである。

目的

そこで本発明は、上記課題を解決し、高強度で、かつ、切削性が良好な高強度鋳鉄の製造方法及び高強度鋳鉄を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

Sを0.02〜0.2wt%含有した鋳鉄を溶解して溶湯とし、その溶湯中に、Mnを1.0〜3.0wt%添加すると共に、稀土類元素またはミッシュメタルを上記溶湯中の上記S量に対して倍量の0.04〜0.4wt%添加することを特徴とする高強度鋳鉄の製造方法。

請求項2

Sを0.02〜0.2wt%含有した鋳鉄を溶解してなる溶湯中に、Mnが1.0〜3.0wt%、稀土類元素またはミッシュメタルが上記溶湯中の上記S量に対して倍量の0.04〜0.4wt%含有されていることを特徴とする高強度鋳鉄。

技術分野

0001

本発明は、高強度鋳鉄の製造方法及びその製造物係り、特に、切削性を確保しつつ強度特性を改善した高強度鋳鉄の製造方法及びその製造物に関するものである。

背景技術

0002

エンジンケーシング鋳鉄材料として、例えば片状黒鉛鋳鉄などが用いられているが、最近におけるエンジン高出力化、軽量化、および省エネ化に対応すべく、強靱な鋳鉄材料が求められている。

0003

エンジンの高出力化の観点からすると、合金元素の添加などによる鋳鉄材料の高強度化が有効であり、この高強度鋳鉄を用いることによってエンジンケーシングの薄肉・軽量化を図ることができ、延いては、エンジンの軽量化および省エネ化を図ることが可能となる。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、合金元素の添加などによって鋳鉄材料の強度を高めることはできるものの、それに伴う硬度の上昇が問題となる。また、エンジンケーシングの薄肉化によって、鋳鉄溶湯急冷されるために冷硬組織チル組織)が析出して著しく製品脆化させる。

0005

すなわち、高強度鋳鉄を用いてエンジンの高出力化、軽量化、および省エネ化を図ると、切削性の低下という問題がでてくる。切削性の低下は製品の加工性を悪化させるため、高コスト化の一因となる。

0006

そこで本発明は、上記課題を解決し、高強度で、かつ、切削性が良好な高強度鋳鉄の製造方法及び高強度鋳鉄を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するために請求項1の発明は、Sを0.02〜0.2wt%含有した鋳鉄を溶解して溶湯とし、その溶湯中に、Mnを1.0〜3.0wt%添加すると共に、稀土類元素またはミッシュメタルを上記溶湯中の上記S量に対して倍量の0.04〜0.4wt%添加するものである。

0008

請求項2の発明は、Sを0.02〜0.2wt%含有した鋳鉄を溶解してなる溶湯中に、Mnが1.0〜3.0wt%、稀土類元素またはミッシュメタルが上記溶湯中の上記S量に対して倍量の0.04〜0.4wt%含有されているものである。

0009

上記数値を限定した理由を以下に述べる。

0010

Sの添加量を0.02〜0.2wt%と限定したのは、添加量が0.02wt%よりも少ないと、Mn及び稀土類元素またはミッシュメタルの添加の効果が少なくなるためであり、添加量が0.2wt%よりも多いと、材料の脆化を招くためである。

0011

Mnの添加量を1.0〜3.0wt%と限定したのは、添加量が1.0wt%よりも少ないと、引張強度向上の効果が少ないためであり、添加量が3.0wt%よりも多いと、チル組織の析出が材料深部にまで及び(チル深さが深くなり)、材料硬度が増すためである。

0012

稀土類元素またはミッシュメタルの添加量を溶湯中のS量に対して倍量の0.04〜0.4wt%と限定したのは、添加量が溶湯中のS量に対して倍量の時、チル深さ及び引張強度共に良好となるためである。

0013

以上の構成によれば、Sを0.02〜0.2wt%含有した鋳鉄を溶解して溶湯とし、その溶湯中に、Mnを1.0〜3.0wt%添加すると共に、稀土類元素またはミッシュメタルを上記溶湯中の上記S量に対して倍量の0.04〜0.4wt%添加したため、高強度で、かつ、切削性が良好な高強度鋳鉄を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0014

以下、本発明の実施の形態を説明する。

0015

本発明の高強度鋳鉄の製造方法を説明する。

0016

先ず、Sを0.02〜0.2wt%含有した原料鋳鉄を、例えば、高周波電気炉で溶解して鋳鉄溶湯とする。その鋳鉄溶湯中に、Mnを1.0〜3.0wt%の範囲内で添加する。

0017

次に、その鋳鉄溶湯中に稀土類元素またはミッシュメタル(以下、REと呼ぶ)を、溶湯中のS量に対して倍量の0.04〜0.4wt%添加する。その鋳鉄溶湯を鋳型流し込むと共に、冷却して高強度鋳鉄を作製する。

0018

原料鋳鉄としては、通常の鋳鉄よりもS含有量の多い(0.02〜0.2wt%)鋳鉄であれば特に限定するものではなく、高強度鋳鉄の特性に悪影響を及ぼさない程度の量の不可避不純物を含んでいてもよい。

0019

原料鋳鉄の溶解方法は、高周波電気炉に限定するものではなく、目的・用途に応じて、適宜、変更してもよい。

0020

本発明の高強度鋳鉄の一製造方法のフローチャート図1に示す。

0021

図1に示すように、高純度銑鉄電解鉄、Fe−Si、Fe−P、Fe−SおよびFe−Mnを、一回の溶解量を3kgとして3kHz、12kwの高周波電気炉で溶解し、化学組成がC:3.3wt%、Si:2.1wt%、S:0.08wt%、P:0.06wt%、残部:鉄からなる鋳鉄溶湯を作製する。

0022

この時、鋳鉄溶湯中のMn含有量を0〜5.0wt%の範囲内で変化させ、Mn含有量の異なる各鋳鉄溶湯を作製する。この時における最高溶解温度は1,753Kとする。

0023

次に、REとしてRE−Si(RE:32.5wt%、Si:34.4wt%)を用い、1,723Kにおける各鋳鉄溶湯中に、REをRE換算で0.2wt%添加する。

0024

その後、REが添加された各鋳鉄溶湯を、1,673Kの温度で各種鋳型(C3号板チル試験シェル型、φ30mm×200mmのCO2 型、発光分光分析金型)に流し込むと共に、冷却を行って、高強度鋳鉄からなる各試験片を作製する。

0025

C3号板チル試験用シェル型から試験片を取り出し、この板チル試験片を用いてチル深さ測定を行った。

0026

また、φ30mm×200mmのCO2 型から試験片を取り出すと共に加工を施して、JIS8Cの引張試験片を作製する。この試験片に対して引張試験を行い、その破断面近傍で組織観察およびブリネル硬さ測定を行った。

0027

(Mn添加量に対する引張強さ及びチル深さ)Mn添加量と引張強さの関係を図2に、Mn添加量とクリアチル深さの関係を図3に示す。図2および図3黒丸を結んだ実線はRE0.2wt%添加鋳鉄、四角を結んだ2点鎖線はRE無添加鋳鉄を示している。

0028

図2に示すように、Mn添加量が約0.9wt%未満と少ない内は、RE無添加鋳鉄の方が、RE0.2wt%添加鋳鉄よりも引張強さが高いが、Mn添加量が約0.9wt%以上と多くなると、RE0.2wt%添加鋳鉄の方が、RE無添加鋳鉄よりも引張強さが高くなる。特に、RE0.2wt%添加鋳鉄のMn添加量が1.0〜2.0wt%の範囲における引張強さの向上が著しい。

0029

図3に示すように、全般に、RE無添加鋳鉄の方が、RE0.2wt%添加鋳鉄よりもクリアチル深さが深い。特に、RE0.2wt%添加鋳鉄のMn添加量が1.0〜2.0wt%の範囲におけるクリアチル深さの低下が著しい。

0030

(Mn添加量に対する金属組織変化)各鋳鉄における金属組織の光学顕微鏡写真図4図5、および図6に示す。図4(a)はMn添加量0.05wt%の鋳鉄を示し、図4(b)はMn添加量0.3wt%の鋳鉄を示し、図5(a)はMn添加量0.6wt%の鋳鉄を示し、図5(b)はMn添加量1.5wt%の鋳鉄を示し、図6(a)はMn添加量3.0wt%の鋳鉄を示し、図6(b)はMn添加量3.0wt%の鋳鉄を示している。

0031

図4(a)に示すように、Mn添加量が0.05wt%の鋳鉄は、黒鉛片が細かく、良好な形状に成長していない。また、黒鉛の比率が少ない。このため、図2に示したように比較的高い引張強さ(約270MPa)を有しているが、硬度も高くなっている。図4(b)および図5(a)に示すように、Mn添加量が0.3wt%および0.6wt%の鋳鉄は、黒鉛片が細長く、かつ、形状が平面的に尖鋭基地フェライトが析出しているため、図2に示したようにMn添加量0.05wt%の鋳鉄に比べて引張強さが(約240MPa)低下している。

0032

これに対して、図5(b)に示すように、Mn添加量が1.5wt%の本発明の高強度鋳鉄は、黒鉛片が短く、かつ、形状が“いも虫状”であるため、図2に示したように引張強さも向上(約300MPa)している。

0033

各鋳鉄におけるパーライト組織のSEM写真図7図8に示す。図7(a)はMn添加量0.05wt%の鋳鉄を示し、図7(b)はMn添加量0.6wt%の鋳鉄を示し、図8(a)はMn添加量1.5wt%の鋳鉄を示し、図8(b)はMn添加量3.0wt%の鋳鉄を示している。

0034

図7および図8に示すように、Mn添加量の増加と共に、ラメラ間隔は狭くなっている。

0035

また、図6(a)に示すように、Mn添加量が3.0wt%の鋳鉄は、図7および図8に示したように基地のパーライトが変化しており、また、黒鉛片が短く、かつ、部分的に略球状の黒鉛片が存在しているため、図2に示したように引張強さは更に向上(約350MPa)している。これは、Mnを固溶したフェライトが析出し、このフェライトの固溶強化により引張強度及び硬さが増加したものである。さらに、図6(b)に示すように、Mn添加量が5.0wt%の鋳鉄は、全体に亘ってチル組織が存在している。

0036

このように、本発明の高強度鋳鉄は、黒鉛形状がやや“いも虫状”になること、およびパーライトのラメラ間隔が細かくなることの相乗効果で高強度化を図ったものである。

0037

尚、EPMA分析結果、MnS及びRE2 S3 の複合硫化物が、黒鉛晶出の有効な下地となり、黒鉛化を著しく促進させる。

0038

(Mn添加量に対する引張強さおよびブリネル硬さ)Mn添加量と引張強さ及びブリネル硬さの関係を図9に示す。Mn添加量を0〜3.0wt%と変化させた時の、引張強さとブリネル硬さの関係を図10に示す。図9の黒丸を結んだ実線は引張強さを示し、黒四角を結んだ点線はブリネル硬さを示し、図10の直線は、J.T.Mackenzie の関係式におけるRH=1を示している。

0039

図9に示すように、Mn添加量が0.05wt%の鋳鉄は、引張強さが約270MPa、ブリネル硬さが約255HBであり、また、Mn添加量が0.3wt%の鋳鉄は、引張強さが約235MPa、ブリネル硬さが約205HBであり、共に図10に示す直線より上方に位置しており、引張強さに対して硬さが高過ぎる。

0040

これに対して、Mn添加量が0.6wt%、1.2wt%、1.5wt%、2.0wt%、3.0wt%の鋳鉄は、それぞれ引張強さとブリネル硬さが、約240MPaと約195HB、約275MPaと約195HB、約295MPaと約195HB、約305MPaと約205HB、約350MPaと約230HBであり、図中の直線より下方に位置しており、引張強さの割には硬さが余り高くなく、材質が良好であることを示している。

0041

特に、Mn添加量が1.2wt%、1.5wt%、2.0wt%である本発明の高強度鋳鉄は、引張強さが約260〜300(MPa)と高く、かつ、ブリネル硬さが約190〜210(HB)と低く、優れた機械的特性を示している。すなわち、1.0〜2.0wt%のMn添加によって、黒鉛晶出の下地となる複合硫化物が生成すると共に、黒鉛基地組織が改善されるため、引張強度が高く、かつ、ブリネル硬さの低い高強度鋳鉄を得ることができる。

0042

(Ce(RE)に対するチル深さ及び引張強さ)Ce添加量とクリアチル深さの関係を図11に、Ce添加量と引張強さの関係を図12に示す。図11図12において、黒丸を結んだ実線はS0.003wt%含有鋳鉄を示し、黒三角を結んだ実線はS0.05wt%含有鋳鉄を示し、黒四角を結んだ実線はS0.1wt%含有鋳鉄を示している。

0043

図11に示すように、Sの含有量の少ないS0.003wt%含有鋳鉄は、クリアチル深さの最低が8mm程度であり、Ce(RE)の添加による組織改善の効果が低い。

0044

これに対して、Sの含有量の多いS0.05wt%含有鋳鉄およびS0.1wt%含有鋳鉄は、クリアチル深さの最低が0〜1.5mm程度となり、Ce(RE)の添加による組織改善の効果が高く、特に、Ce(RE)の添加量がSの含有量の2倍の時、その効果が顕著である。

0045

また、図12に示すように、Sの含有量の少ないS0.003wt%含有鋳鉄は、引張強さの最高が27.0kgf/mm2 (約265MPa)程度であり、Ce(RE)の添加による強度向上の効果が低い。

0046

これに対して、Sの含有量の多いS0.05wt%含有鋳鉄およびS0.1wt%含有鋳鉄は、引張強さの最高が30〜31.5kgf/mm2 (約295〜310MPa)程度となり、Ce(RE)の添加による強度向上の効果が高く、特に、Ce(RE)の添加量がSの含有量の2倍の時、その効果が顕著である。

0047

(切削性)各鋳鉄について切削性を評価した。この切削性を評価するための切削装置図を図13に示す。図13(a)は切削装置の斜視図を示し、図13(b)は、図13(a)の要部拡大図を示し、図13(c)は逃げ面摩耗幅測定方法を示している。

0048

図13(a)に示すように、各鋳鉄を被切削材3として切削加工を行う。

0049

図13(b)、(c)に示すように、被切削材3を回転させると共に、被切削材3の表面に工具1を当てがって切削加工を行ううちに、工具1の先端部において逃げ面摩耗Aが生じる。

0050

逃げ面摩耗幅Tの測定は、切削加工開始直後の工具1の先端の逃げ面摩耗幅がT=0であるのに対して、逃げ面摩耗Aが生じた工具1の先端の逃げ面摩耗幅はT=Lとなる。

0051

切削長さと逃げ面摩耗幅の関係を図14に示す。図14において、黒丸を結んだ点線はMnを2.0wt%、Sを0.08wt%添加し、RE−Si(RE32.5wt%、Si34.4wt%)を接種した本発明の高強度鋳鉄を示し、黒菱を結んだ点線はMnを2.0wt%、Sを0.02wt%添加し、RE−Siを接種した鋳鉄を示し、白三角を結んだ実線はCa−Siを接種したFC300を示し、白四角を結んだ実線はFe−Siを接種したFC300を示し、黒三角を結んだ実線はCa−Siを接種したFC350を示し、黒四角を結んだ実線はCa−Siを接種したFC350を示している。

0052

ここで、本発明の高強度鋳鉄、Mn2.0wt%、S0.02wt%添加、RE−Si接種鋳鉄(以下、比較鋳鉄と呼ぶ)、Ca−Si接種FC300、Fe−Si接種FC300、Ca−Si接種FC350、およびFe−Si接種FC350の引張強さは、それぞれ341.5MPa、340.5MPa、304.7MPa、270.1MPa、338MPa、281.4MPaである。

0053

図14に示すように、本発明の高強度鋳鉄、Ca−Si接種FC300、およびFe−Si接種FC300は、切削長が1000mm超になっても、逃げ面摩耗幅が200μm程度であり、良好な耐摩耗性を示している。

0054

FC350はFC300よりも引張強さが高い分だけ逃げ面摩耗幅(摩耗量)が多くなっており、比較鋳鉄はS含有量が少ないことによるRE−Si接種の効果が低いため、図11に示したようにチル深さが深くなっており、逃げ面摩耗幅(摩耗量)が多くなっている。

0055

引張強さと逃げ面摩耗幅の関係を図15に示す。図15において、黒丸は本発明の高強度鋳鉄を示し、黒菱は比較鋳鉄を示し、白三角はCa−Si接種FC300を示し、白四角はFe−Si接種FC300を示し、黒三角はCa−Si接種FC350を示し、黒四角はCa−Si接種FC350を示している。

0056

図15に示すように、本願発明の高強度鋳鉄は引張強さが約335MPaと大きいにも関わらず、逃げ面摩耗幅が150μm弱と少ない。

0057

これに対して、耐摩耗性が良好なCa−Si接種FC300およびFe−Si接種FC300は、本願発明の高強度鋳鉄と比べて、引張強さが約305MPa、約270MPaと小さい。また、比較鋳鉄、Ca−Si接種FC350、およびFe−Si接種FC350は、逃げ面摩耗幅がいずれも200μmを超えており、耐摩耗性が劣っている。

0058

すなわち、本願発明の高強度鋳鉄は、Sを十分含有(0.05〜0.2wt%)し、MnおよびREを規定範囲(Mn:1.0〜2.0wt%,RE:Sの2倍量(0.1〜0.4wt%))内で含有しているため、切削加工を長く行っても逃げ面摩耗幅が小さく、かつ、引張強度は高い。

発明の効果

0059

以上要するに本発明によれば、Sを0.05〜0.2wt%、Mnを1.0〜2.0wt%、REをSの2倍量である0.1〜0.4wt%含有しているため、引張強度が高い割には硬度が余り高くなく、かつ、摩耗しにくい高強度鋳鉄を得ることができるという優れた効果を発揮する。

図面の簡単な説明

0060

図1本発明の高強度鋳鉄の一製造方法のフローチャートである。
図2Mn添加量と引張強さの関係を示す図である。
図3Mn添加量とクリアチル深さの関係を示す図である。
図4Mn添加量0.05wt%およびMn添加量0.3wt%の鋳鉄における黒鉛形状の光学顕微鏡写真である。
図5Mn添加量0.6wt%およびMn添加量1.5wt%の鋳鉄における黒鉛形状の光学顕微鏡写真である。
図6Mn添加量3.0wt%およびMn添加量3.0wt%の鋳鉄における黒鉛形状の光学顕微鏡写真である。
図7Mn添加量0.05wt%およびMn添加量0.6wt%の鋳鉄におけるパーライト組織のSEM写真である。
図8Mn添加量1.5wt%およびMn添加量3.0wt%の鋳鉄におけるパーライト組織のSEM写真である。
図9Mn添加量と引張強さ及びブリネル硬さの関係を示す図である。
図10Mn添加量を0〜3.0wt%と変化させた時の、引張強さとブリネル硬さの関係を示す図である。
図11Ce添加量とクリアチル深さの関係を示す図である。
図12Ce添加量と引張強さの関係を示す図である。
図13切削性を評価するための切削装置図である。
図14切削長さと逃げ面摩耗幅の関係を示す図である。
図15引張強さと逃げ面摩耗幅の関係を示す図である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 日本製鉄株式会社の「 鋳鉄材」が 公開されました。( 2020/10/08)

    【課題】摩擦係数が低く、靱性に優れる鋳鉄材を提供する。【解決手段】本実施形態による鋳鉄材は、化学組成が、質量%で、C:2.4〜3.3%、Si:2.0%以下、及び、Mn:0.33%以下、を含有し、ミクロ... 詳細

  • 住友金属鉱山株式会社の「 ニッケル酸化鉱石の製錬方法、還元炉」が 公開されました。( 2020/10/01)

    【課題】ニッケル酸化鉱石の製錬方法において、高品質なフェロニッケルを、より一層に低い製錬コストにて製造することができる製錬方法を提供する。【解決手段】本発明は、酸化ニッケルと酸化鉄とを含有するニッケル... 詳細

  • 住友金属鉱山株式会社の「 ニッケル酸化鉱石の製錬方法」が 公開されました。( 2020/09/17)

    【課題】得られるメタルの品位を高めることができ、高品質のメタルを効率的に製造することができるニッケル酸化鉱石の製錬方法を提供する。【解決手段】ニッケル酸化鉱石を還元してフェロニッケルを製造するニッケル... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ