図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
ワイヤ放電加工機は、ワイヤ電極とワークとの間に、加工電源によって電源パルスを印加してその間に放電を発生させることで、ワークに対して切断、切抜きおよび輪郭等の加工を行うものである。
図9は、被加工物にテーパ加工を行うためのワイヤ放電加工機の構成を示す図であり、図示せぬワイヤ供給ボビンから供給されるワイヤ電極1000は、複数のプーリ1001、1002およびワイヤガイド1003、1004(孔に通すことによってワイヤ電極1000をガイドする)に架設されてワイヤ走行経路を形成している。移動機構1005は、クロステーブル1007をX−Y平面内で移動させることができ、このクロステーブル1007上にはワーク1008が設置されている。移動機構1006は、ワイヤガイド1003をX−Y平面と平行なU−V平面内で移動させることによって、ワイヤガイド1003と1004との間のワイヤ電極1000にテーパをかけることができる。これらの移動機構1005および1006は、制御部1009から出力される移動指令にしたがって駆動される。そして、制御部1009からの移動指令にしたがって移動機構1005および1006がワイヤ電極1000とワーク1008とを相対的に移動させながら、加工電源1010により、ワイヤ電極1000とワーク1008との間に電圧パルスを印加して、この間に放電を発生させて、ワーク1008に対して切断切抜きおよび輪郭等の加工を行っていく。
次に、ワイヤ放電加工機による従来のテーパ加工方法について図10および11を参照して説明する。
図10は、従来のワイヤ放電加工装置の制御部の構成を示すブロック図である。加工プログラム110は、基準となる面(通常はワークの上面または下面が設定され、以下プログラム面と呼ぶ)における加工形状(プログラム経路)および加工面の傾き(テーパ角度)を定義するもので、外部から入力され、プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101とサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102に渡される。プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102では、それぞれ、プログラム面のワイヤ中心経路111,サブプログラム面のワイヤ中心経路112を算出し、補間手段108に送る。尚、サブプログラム面とは、通常はワークの上面または下面の内、プログラム面とは逆の面が指定され、テーパ加工時にプログラム面と共に、あるいは独立して、ワイヤ中心経路の各種補正(コーナ円弧の半径指定、コーナ円弧の接し方の指定、干渉回避補正など)が施される面である。
ここで、プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102で算出するプログラム面ワイヤ中心経路111およびサブプログラム面ワイヤ中心経路112の関係について、図11を用いて説明する。
図11は各面のワイヤ中心経路算出方法について説明したワーク1008の外周縁部の断面図であり、ワイヤ上ガイド1003とワイヤ下ガイド1004との間にワイヤ電極1000がワーク1008に対し所定角度(テーパ角度)傾斜して張設されている。ワーク1008の下面をプログラム面1201、上面をサブプログラム面1202(上面をプログラム面,下面をサブプログラム面としても良い)とし、テーパ角度θ、ワイヤ半径+放電ギャップ量をD,プログラム面1201とサブプログラム面1202との距離をHとすれば、プログラム面1201での形状定義位置1203からワイヤ中心までのオフセット量dpおよびサブプログラム面1202での形状定義位置1203からワイヤ中心までのオフセット量dpはそれぞれ、
dp=D …………………………
ds=H・tanθ+D …………………………
で表わせる。式内のH・tanθはプログラム面の加工形状(プログラム経路)とサブプログラム面の加工形状(プログラム経路)とのずれ分を示す。
よって、図10のプログラム面ワイヤ中心経路111およびサブプログラム面ワイヤ中心経路112は、加工プログラム110で定義された形状に対して、それぞれ、dp,ds量だけオフセットさせた図形となる。
図10に戻って説明を続けると、プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102で算出した各面のワイヤ中心経路111,112が、補間手段108に渡される。ワイヤ中心経路111,112は経路を複数のブロックに分割し、ブロックそれぞれを直線、円弧などとして定義したものであり、補間手段108では、各面のワイヤ中心経路111,112を上ガイド1003および下ガイド1004を動かすモータ120〜123の移動データに変換する。そして、微小時間周期でのモータ移動量113をサーボ制御手段109に指令する。サーボ制御手段109では、補間手段108から指令されるモータ移動量113に従って、モータ120〜123を追従させるべくサーボ制御を行う。
概要
指令されたテーパ角度を変更することなく、干渉部分を回避してワイヤ放電加工機により溝加工できるようにする。
プログラム面ワイヤ中心経路算出処理手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出処理手段102は、外部から入力される加工プログラム110をそれぞれプログラム面ワイヤ中心経路111とサブプログラム面ワイヤ中心経路112に変換する。ワイヤ中心経路補正手段103では、変換されたワイヤ中心経路に干渉があった場合、テーパ角度を変えず、かつ、干渉を回避するワイヤ中心経路に補正する。補間手段108は、こうして得られた各面のワイヤ中心経路をモータ移動量113に変換する。サーボ制御手段109は、モータ移動量113に従って、モータ120〜123を追従させるべくサーボ制御を行う。
目的
効果
実績
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
加工プログラムに定義されたプログラム面のプログラム経路をワイヤ電極の半径および放電ギャップの合計分だけオフセットさせた前記プログラム面のワイヤ中心経路を算出するプログラム面ワイヤ中心経路算出処理手段と、前記プログラム面のプログラム経路をテーパ加工によるずれ分だけオフセットさせたサブプログラム面のプログラム経路をさらに前記ワイヤ電極の半径および放電ギャップの合計分だけオフセットさせた前記サブプログラム面のワイヤ中心経路を算出するサブプログラム面ワイヤ中心経路算出処理手段と、テーパ加工によるテーパ角度が変わらないように溝加工時に生じる干渉を回避するための前記プログラム面のワイヤ中心経路および前記サブプログラム面のワイヤ中心経路またはそのいずれか一方を補正するワイヤ中心経路補正手段とを含むことを特徴とするワイヤ放電加工機。
請求項2
加工プログラムに定義されたプログラム面のプログラム経路をワイヤ電極の半径および放電ギャップの合計分だけオフセットさせた前記プログラム面のワイヤ中心経路ならびに前記プログラム面のプログラム経路をテーパ加工によるずれ分だけオフセットさせたサブプログラム面のプログラム経路をさらに前記ワイヤ電極の半径および前記放電ギャップの合計分だけオフセットさせた前記サブプログラム面のワイヤ中心経路に従って溝を加工する時に生じる干渉を回避するために前記プログラム面および前記サブプログラム面またはそのいずれか一方の干渉を生じる面において加工溝の底をなすブロックのプログラム経路に対するワイヤ中心経路のオフセット量を増加させる干渉回避処理を行い、前記干渉回避処理で生じたテーパ加工のテーパ角度の変化を無くすように前記プログラム面および前記サブプログラム面またはそのいずれか一方のワイヤ中心経路を補正するテーパ角度補正処理を行うことを特徴とするワイヤ放電加工機によるテーパ加工方法。
請求項3
前記テーパ角度補正処理は、前記干渉回避処理による前記プログラム面における前記オフセット量の増加分または前記サブプログラム面における前記オフセット量の増加分のうちの大きい方で前記プログラム面および前記サブプログラム面の両面において前記オフセット量を増加させることを特徴とする請求項2記載のワイヤ放電加工機によるテーパ加工方法。
請求項4
プログラム経路を前記ワイヤ電極の半径および前記放電ギャップの合計分だけオフセットさせたワイヤ中心経路に従って溝を加工する時に干渉が生じても、干渉回避を必要と判定したときにのみ前記干渉回避処理を実行させ不要と判定したときは実行させない干渉回避実行判定を行うことを特徴とする請求項2または3記載のワイヤ放電加工機によるテーパ加工方法。
請求項5
前記干渉回避実行判定は、前記プログラム面または前記サブプログラム面の一方の面において干渉が生じても前記プログラム面と前記サブプログラム面の間のワーク加工の仕上がり形状が要求されている部分には干渉が発生していなければ干渉回避を不要とすることを特徴とする請求項2,3または4記載のワイヤ放電加工機によるテーパ加工方法。
請求項6
前記干渉回避処理を実行しても必要と判定した時のみ前記テーパ角度補正処理を実行させ、不要と判定した時は実行させないテーパ角度補正実行判定を行うことを特徴とする請求項2ないし5記載のワイヤ放電加工機によるテーパ加工方法。
請求項7
技術分野
0001
本発明は、加工プログラムの定義にしたがって、ワイヤ電極と被加工物とを相対的に移動させながら、ワイヤ電極によって被加工物をテーパ加工するワイヤ放電加工機およびテーパ加工方法に関するものである。
背景技術
0003
図9は、被加工物にテーパ加工を行うためのワイヤ放電加工機の構成を示す図であり、図示せぬワイヤ供給ボビンから供給されるワイヤ電極1000は、複数のプーリ1001、1002およびワイヤガイド1003、1004(孔に通すことによってワイヤ電極1000をガイドする)に架設されてワイヤ走行経路を形成している。移動機構1005は、クロステーブル1007をX−Y平面内で移動させることができ、このクロステーブル1007上にはワーク1008が設置されている。移動機構1006は、ワイヤガイド1003をX−Y平面と平行なU−V平面内で移動させることによって、ワイヤガイド1003と1004との間のワイヤ電極1000にテーパをかけることができる。これらの移動機構1005および1006は、制御部1009から出力される移動指令にしたがって駆動される。そして、制御部1009からの移動指令にしたがって移動機構1005および1006がワイヤ電極1000とワーク1008とを相対的に移動させながら、加工電源1010により、ワイヤ電極1000とワーク1008との間に電圧パルスを印加して、この間に放電を発生させて、ワーク1008に対して切断切抜きおよび輪郭等の加工を行っていく。
0004
次に、ワイヤ放電加工機による従来のテーパ加工方法について図10および11を参照して説明する。
0005
図10は、従来のワイヤ放電加工装置の制御部の構成を示すブロック図である。加工プログラム110は、基準となる面(通常はワークの上面または下面が設定され、以下プログラム面と呼ぶ)における加工形状(プログラム経路)および加工面の傾き(テーパ角度)を定義するもので、外部から入力され、プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101とサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102に渡される。プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102では、それぞれ、プログラム面のワイヤ中心経路111,サブプログラム面のワイヤ中心経路112を算出し、補間手段108に送る。尚、サブプログラム面とは、通常はワークの上面または下面の内、プログラム面とは逆の面が指定され、テーパ加工時にプログラム面と共に、あるいは独立して、ワイヤ中心経路の各種補正(コーナ円弧の半径指定、コーナ円弧の接し方の指定、干渉回避補正など)が施される面である。
0006
ここで、プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102で算出するプログラム面ワイヤ中心経路111およびサブプログラム面ワイヤ中心経路112の関係について、図11を用いて説明する。
0007
図11は各面のワイヤ中心経路算出方法について説明したワーク1008の外周縁部の断面図であり、ワイヤ上ガイド1003とワイヤ下ガイド1004との間にワイヤ電極1000がワーク1008に対し所定角度(テーパ角度)傾斜して張設されている。ワーク1008の下面をプログラム面1201、上面をサブプログラム面1202(上面をプログラム面,下面をサブプログラム面としても良い)とし、テーパ角度θ、ワイヤ半径+放電ギャップ量をD,プログラム面1201とサブプログラム面1202との距離をHとすれば、プログラム面1201での形状定義位置1203からワイヤ中心までのオフセット量dpおよびサブプログラム面1202での形状定義位置1203からワイヤ中心までのオフセット量dpはそれぞれ、
dp=D …………………………
ds=H・tanθ+D …………………………
で表わせる。式内のH・tanθはプログラム面の加工形状(プログラム経路)とサブプログラム面の加工形状(プログラム経路)とのずれ分を示す。
0008
よって、図10のプログラム面ワイヤ中心経路111およびサブプログラム面ワイヤ中心経路112は、加工プログラム110で定義された形状に対して、それぞれ、dp,ds量だけオフセットさせた図形となる。
0009
図10に戻って説明を続けると、プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102で算出した各面のワイヤ中心経路111,112が、補間手段108に渡される。ワイヤ中心経路111,112は経路を複数のブロックに分割し、ブロックそれぞれを直線、円弧などとして定義したものであり、補間手段108では、各面のワイヤ中心経路111,112を上ガイド1003および下ガイド1004を動かすモータ120〜123の移動データに変換する。そして、微小時間周期でのモータ移動量113をサーボ制御手段109に指令する。サーボ制御手段109では、補間手段108から指令されるモータ移動量113に従って、モータ120〜123を追従させるべくサーボ制御を行う。
発明が解決しようとする課題
0010
ワイヤ放電加工機によって加工される形状は、複雑かつ微細なものが多い。例えば、図12に示すようなブロックN2,N3,N4から成る溝加工を行う場合、溝の底の部分(ブロックN3)で干渉を生じることがある。すなわち一般的にプログラム経路18(図においてプログラム経路18の下側がワークを加工後に製品として残しておく部分)の各ブロックN1〜N5に対し一定量ずつオフセットした線を連結してワイヤ中心経路19を求める。このワイヤ中心経路19では屈曲点P2,P3を中心とするワイヤ半径+放電ギャップ(=オフセット量)を半径とする円15,16の一部の部分10がプログラム経路18を越えてワークを余計に加工してしまう干渉が生じてしまう。干渉が生じると本来加工せずに残しておくはずの部分10までをも加工してしまう。
0011
そこで、実開昭64−7304号公報には、図13に示すように干渉部分を回避するようにワイヤ中心経路を補正し、ワークの切り込み過ぎを防止する干渉回避補正が示されている。図13に示すワイヤ中心経路19は、図12のワイヤ中心経路19から経路が交又する点Peからワーク側の破線Pe→P2→P3→Peで示す部分17を取り除く補正を行って得たものである。
0012
ところが、テーパ加工において、このような干渉回避が行われると経路が変更されたことにより、テーパ角度にずれを生じるという問題が発生する。また、テーパ加工では、サブプログラム面において干渉が発生した場合、形状定義を行った面(プログラム面)とは別の面(サブプログラム面)に対して、干渉回避補正が行われる。従って、干渉回避補正を行ったために、かえって操作者の意図した形状が得られないことがある。
課題を解決するための手段
0013
本発明のワイヤ放電加工装置は、加工プログラムに定義されたプログラム面のプログラム経路をワイヤ電極の半径および放電ギャップの合計分だけオフセットさせた前記プログラム面のワイヤ中心経路を算出するプログラム面ワイヤ中心経路算出処理手段と、前記プログラム面のプログラム経路をテーパ加工によるずれ分だけオフセットさせたサブプログラム面のプログラム経路をさらに前記ワイヤ電極の半径および放電ギャップの合計分だけオフセットさせた前記サブプログラム面のワイヤ中心経路を算出するサブプログラム面ワイヤ中心経路算出処理手段と、テーパ加工によるテーパ角度が変わらないように溝加工時に生じる干渉を回避するための前記プログラム面のワイヤ中心経路および前記サブプログラム面のワイヤ中心経路またはそのいずれか一方を補正するワイヤ中心経路補正手段とを含むことを特徴とする。
0014
本発明のワイヤ放電加工装置によるテーパ加工方法は、加工プログラムに定義されたプログラム面のプログラム経路をワイヤ電極の半径および放電ギャップの合計分だけオフセットさせた前記プログラム面のワイヤ中心経路ならびに前記プログラム面のプログラム経路をテーパ加工によるずれ分だけオフセットさせたサブプログラム面のプログラム経路をさらに前記ワイヤ電極の半径および前記放電ギャップの合計分だけオフセットさせた前記サブプログラム面のワイヤ中心経路に従って溝を加工する時に生じる干渉を回避するために前記プログラム面および前記サブプログラム面またはそのいずれか一方の干渉を生じる面において加工溝の底をなすブロックのプログラム経路に対するワイヤ中心経路のオフセット量を増加させる干渉回避処理を行い、前記干渉回避処理で生じたテーパ加工のテーパ角度の変化を無くすように前記プログラム面および前記サブプログラム面またはそのいずれか一方のワイヤ中心経路を補正するテーパ角度補正処理を行うことを特徴とし、前記テーパ角度補正処理は、前記干渉回避処理による前記プログラム面における前記オフセット量の増加分または前記サブプログラム面における前記オフセット量の増加分のうちの大きい方で前記プログラム面および前記サブプログラム面の両面において前記オフセット量を増加させることが望ましい。
0015
また、本発明のワイヤ放電加工装置によるテーパ加工方法は、プログラム経路を前記ワイヤ電極の半径および前記放電ギャップの合計分だけオフセットさせたワイヤ中心経路に従って溝を加工する時に干渉が生じても、干渉回避を必要と判定したときにのみ前記干渉回避処理を実行させ不要と判定したときは実行させない干渉回避実行判定及び前記干渉回避処理を実行しても必要と判定した時のみ前記テーパ角度補正処理を実行させ、不要と判定した時は実行させないテーパ角度補正実行判定を行い、前記干渉回避実行判定は、前記プログラム面または前記サブプログラム面の一方の面において干渉が生じても前記プログラム面と前記サブプログラム面の間のワーク加工の仕上がり形状が要求されている部分には干渉が発生していなければ干渉回避を不要とし、前記テーパ角度実行判定は、前記テーパ角度の確保を前記テーパ角度補正処理により生じる未加工領域の回避より優先する時にのみ前記テーパ角度補正処理を実行させ、前記未加工領域の回避を前記テーパ角度の確保より優先するときは実行させないようにすることもできる。
発明を実施するための最良の形態
0016
次に、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
0017
図1は、本発明の第1の実施の形態のワイヤ放電加工装置の制御部の構成を示すブロック図である。図1において外部から入力される加工プログラム110がプログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102に渡される。プログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102では、入力された加工プログラム110を基に、それぞれ、プログラム面のワイヤ中心経路111,サブプログラム面のワイヤ中心経路112を算出し、ワイヤ中心経路補正手段103に渡す。ワイヤ中心経路補正手段103では、必要であれば各面のワイヤ中心経路111,112に対して、補正を施す。
0018
ここで、ワイヤ中心経路補正手段103について、図2を用いて説明する。
0019
ワイヤ中心経路補正手段103では、入力されるプログラム面ワイヤ中心経路111およびサブプログラム面ワイヤ中心経路112に基ずき、各面の干渉状態を判断し処理分岐201と202によって第1ないし第3の流れに分岐する(処理201.202)。
0020
第1の流れは、プログラム面およびサブプログラム面のいずれにも干渉が発生していない場合で、干渉回避処理およびテーパ角度補正処理は、行われない。
0021
第2の流れは、プログラム面のみに干渉が発生し、サブプログラム面には干渉が発生していない場合、または、サブプログラム面のみが干渉し、プログラム面は干渉していない場合で、干渉回避処理203およびテーパ角度補正処理204が処理される。
0023
図3は、図2の干渉回避処理203における干渉回避経路の決定方法を説明する図である。干渉回避処理203は、干渉面(プログラム面またはサブプログラム面のプログラム経路に干渉が生じる面)のワイヤ中心経路19(P1→P2→P3→P4)の干渉部分Pe→P2→P3→Peを回避した干渉回避経路P1→Pe→P4に補正する。
0024
図4は、図2のテーパ角度補正処理204におけるテーパ角度補正経路の決定方法を説明する図である。図4(a)はプログラム面またはサブプログラム面のうちの干渉面におけるプログラム経路18およびワイヤ中心経路19を示し、図4(b)はプログラム面またはサブプログラム面のうちの干渉が発生していない面(この面を非干渉面と称する)におけるプログラム経路18およびワイヤ中心経路19を示す。
0025
図において干渉面および非干渉面のプログラム経路の各ブロックの同じ符号(N1〜N5)からなる対をなすものどうしが同時に放電加工され、干渉面および非干渉面のプログラム経路の同じ符号の対をなすブロックに対応するワイヤ中心経路の部分の間にワイヤ電極が張り渡されて放電加工が行われる。干渉回避処理を行う前であれば、ブロックN2,N3,N4それぞれに対応してワイヤ電極が干渉面においては経路P1→P2,P2→P3,P3→P4を走行し、非干渉面においては経路S1→S2,S2→S3,S3→S4を走行するのであるが、干渉面においては上述の干渉回避処理を行った後にワイヤ電極がブロックN3に対応して点Peのみに停止していることになりブロックN2,N4に対応して経路P1→Pe,Pe→4を走行することとなる。
0026
従ってブロックN3に対応してワイヤ電極が干渉回避処理前に干渉面の経路P2→P3と非干渉面の経路S2→S3の間に張り渡たされものが干渉回避処理後には干渉面の点Peと非干渉面の経路S2→S3の間に張り渡たされることになり、ワイヤ電極の傾き、すなわち放電加工面の傾きであるテーパ角度が干渉回避処理によって変化してしまう。図4はブロックN3について干渉回避処理により変化したテーパ角度の補正を説明するものである。
0027
ブロックN3に対する干渉面でのワイヤ中心経路はプログラム経路からオフセットd3pだけ離した経路P2→P3とするはずであった。しかし、干渉回避処理によりプログラム経路からオフセットd3p' 離した点Peに変更されてしまった。すなわち、干渉回避処理により干渉面でのオフセットが△d(=d3p'−d3p)ずれたこととなる。よって、ブロックN3に対する非干渉面のオフセットd3sも同様に△dずらし、
d3s' =d3s+△d …………………………
とし、非干渉面のプログラム経路のブロックN2からd2sオフセットd2s離した直線12と、ブロックN3をオフセットd3s' 離した直線13の交点をs2' 、直線13とブロックN4をオフセットd4s離した直線14の交点をS3' とする。
0028
そして、これらの交点を通る
S1→S2' →S3' →S4
に非干渉面のワイヤ中心経路19を補正する。
0029
図5は、干渉を生じるブロックN3が円弧ブロックの場合のテーパ角度補正経路決定手順を説明した図であり、図5(a)および図5(b)それぞれは干渉面および非干渉面を示す。図4に示したブロックN3が直線である場合と同様の手順によって非干渉面のブロックN3のオフセット値d3s' を算出する。
0030
非干渉面においてプログラム経路のブロックN2をd2sオフセットさせた直線12とN3ブロックをd3s' オフセットさせた円弧c3(プログラム経路のブロックN3の円弧に対し同心で曲率半径がオフセットd3s' だけ大きい円弧)の交点をS2' 、円弧c3とプログラム経路のN4ブロックをd4sオフセットさせた直線14の交点をS3' とするとワイヤ中心経路を
S1→S2' →S3' →S4
に補正する。
0031
図2に戻って説明を続けると、第3の流れは、サブプログラム面、プログラム面の両方に干渉が発生している場合で、干渉回避処理205およびテーパ角度補正処理206が処理される。
0033
図6は、図2の干渉回避処理205における干渉回避経路の決定方法の一例を説明する図であり、図5(a)および図5(b)はそれぞれプログラム面およびサブプログラム面を示す。干渉回避処理205は、図3を用いて説明した干渉回避処理203とほぼ同様の処理がなされる。違いは、干渉面がプログラム面とサブプログラム面の2面あることで、それぞれの面に対して、干渉回避を行う。よって、ワイヤ中心経路をプログラム面では、P1→P2→P3→P4からP1→Pe→P4に、サブプログラム面は、S1→S2→S3→S4からS1→Se→S4に補正する。この干渉回避処理によりプログラム面およびサブプログラム面それぞれにおいてブロックN3でのワイヤ中心経路のプログラム経路からのオフセットは干渉回避処理前のオフセットd3p、d3sより△dp,△dsだけ増加する。
0034
図7は、図2のテーパ角度補正処理206の処理の流れを示すフローチャートであり、干渉回避処理205において、決定した干渉回避によるプログラム面のオフセット変更値△dp,サブプログラム面のオフセット変更値△dsが入力される。まず、△dpと△dsの大きさを比べ、干渉回避幅の大きい面を選択する(処理701)。
0035
そして、プログラム面オフセット変更値△dpの方が大きい場合は、プログラム面を干渉回避経路採用面とし、サブプログラム面を経路変更面とし、△d=△dpとする(処理702)。
0036
逆にサブプログラム面オフセット変更値△dsの方が大きい場合は、サブプログラム面を干渉回避経路採用面とし、プログラム面を経路変更面とし、△d=△dsとする(処理703)。
0037
テーパ角度補正経路決定処理701では、テーパ角度補正処理204と同様のテーパ角度補正経路の決定手順により、処理702,703で決定した経路変更面のテーパ角度補正経路を決定する。ブロック3に対するプログラム面でのオフセット変更値△dpの方がサブプログラム面でのオフセット変更値△dsより大きい場合は、図8(a)に示すように干渉回避経路採用面とされるプログラム面のワイヤ中心経路は、P1→Pe→P4となり、図8(b)に示すように経路変更面とされるサブプログラム面のワイヤ中心経路は、S1→S2' →S3' →S4となる。
0038
図1に戻って説明を続けると、ワイヤ中心経路補正手段103によって補正されたプログラム面およびサブプログラム面のワイヤ中心経路は、補間手段108に渡される。補間手段108およびサーボ制御手段109では、従来の技術と同様の処理によって各面のワイヤ中心経路に従って、ワイヤ電極が移動するようにモータ120〜123を制御する。
0039
次に本実施の形態における円弧ブロックでのテーパ角度補正経路決定手順について説明する。
0041
プログラム経路18のブロックN2,N3,N4に対してオフセットした経路P1→P2→P3→P4によりワイヤ中心経路が作成される(経路P2→P3は中心0、半径がオフセット量と半径Rとの差)。このワイヤ中心経路から経路P1→P2→P3→P4との交点O' からプログラム経路側の部分(図に破線で示す)を除いて干渉回避補正をしたワイヤ中心経路19を得る。この干渉回避補正では、N3ブロックに関し、中心0,半径Rのプログラム経路が中心がO' で半径の長さが0のワイヤ中心経路に変換されたと解釈することが出来る。
0043
図の下半分は、プログラム面のプログラム経路およびワイヤ中心経路と、サブプログラム面のプログラム経路およびワイヤ中心経路を重ねて示しており、図の上半分は、A−A' の断面におけるワイヤ電極1000を示したものである(プログラム面とサブプログラム面はXY面と平行でA−A' の断面はXY面に垂直なXZ面に平行)。
0044
ここで、プログラム面のN3ブロックが干渉しているため、プログラム面のワイヤ中心経路は、P1→P2→P3→P4からP1→O' →P4に補正されている。したがって、プログラム面におけるN3ブロックのオフセット量は、d3pからd3p' に△dだけずれることとなる。また、それに伴い、サブプログラム面のオフセット量もd3sから△dだけずらしたd3s' に変更するが、この時円弧中心Oについても、プログラム面の干渉回避後のワイヤ中心経路の円弧中心O' に変更する。
0045
このように、中心を変更することで、以下のようにテーパ角度を保つ円弧の半径を求めることができる。
0046
プログラム面からサブプログラム面までの距離をHとした時、N3ブロックにおいて、テーパ角度θを保つサブプログラム面のワイヤ中心経路を描く円c4は中心がO' で半径R3' が
R3' =H・tanθ…………………………
によって定められている。
0047
次に、N2ブロックのサブプログラム面プログラム経路をd2sオフセットさせた直線12と、円c4の交点をS2' とし、円c4と、N4ブロックのサブプログラム面プログラム経路をd4sオフセットさせた直線14の交点をS3' とする。そして、サブプログラム面のワイヤ中心経路S1→S2→S3→S4をS1→S2' →S3' →S4の経路に補正する。
0048
尚、ここでは、プログラム面を干渉面、サブプログラム面を非干渉面としたが、プログラム面を非干渉面、サブプログラム面を干渉面、あるいは、両面共干渉する場合についても同様の方法によって、テーパ角度補正経路を決定できる。
0049
次に、本発明の第2の実施の形態のワイヤ放電加工装置について、図30から32を参照して説明する。
0051
図16は、本実施の形態でのワイヤ中心経路補正手段103の処理の流れを示すフローチャートである。
0052
第1の実施の形態と比べると、本実施の形態では干渉回避とテーパ角度補正の各処理手段203,205,204,206の前に実行判定3001〜3004があり、これらの判定結果によって、各処理を実行するか否かが決定される。
0053
ここで、干渉回避補正の必要性について、図17を用いて説明する。
0054
図17は、プログラム面(高さh0),サブプログラム面(高さh5)およびこれらの間の各高さh1〜h4の面における干渉回避を行わない場合の溝加工のためのワイヤ中心経路の一例を示した図である。図17からこの例では、サブプログラム面や、サブプログラム面に近いh4の高さの面で干渉していてもプログラム面およびh1からh3の間の高さの面では、干渉が発生していないことがわかる。したがって、ワークの仕上がり形状として、プログラム面の高さからh3以内の高さまでが保証されていればよい場合は、干渉回避が必要ないこととなる。
0055
次に、テーパ角度確保と未加工領域発生の回避とのどちらかを優先によるテーパ角度補正選択の必要性について、図18を用いて説明する。
0056
図18は、仕上げ加工において、干渉が発生した時に第1の実施の形態で説明したのテーパ角度補正を行った場合のプログラム面が干渉面であるとした場合のプログラム面で加工形状の一例を示した図である。仕上げ加工において、干渉が発生した場合、テーパ角度補正を行うと、ワイヤ中心経路は、テーパ角度補正をしないワイヤ中心経路3202(S1→S2→S3→S4)から、テーパ角度補正を行ったワイヤ中心経路3203(S1→S2' →S3' →S4)に補正される。その結果、非干渉面であるプログラム面では、加工すべき部分のうち未加工領域3201の部分が加工されないこととなる(円3204,3205はS2',S3' を中心とし、オフセット量を半径とする円)。これは、指令されたテーパ角度を守って加工することを優先させたために発生するものであり、テーパ角度よりも非干渉面での加工形状を優先させたければ、テーパ角度補正は、必要ないことになる。
0057
図16に戻って説明を続けると、干渉回避実行判定3001および干渉回避実行判定3003では、ワークの仕上がり予定形状と、干渉を生じる溝加工箇所におけるプログラム面とサブプログラム面の間の種々のワイヤ中心経路を比較することによって人が予じめ決定し加工プログラムに設けた指定や機能設定による指定に従って干渉回避を実行するか否かを決定する。
0058
また、テーパ角度補正実行判定3002およびテーパ角度補正実行判定3004では、外部から入力される加工プログラムや機能設定によって指定される干渉箇所におけるテーパ角度または非干渉面の未加工領域の発生を回避する加工形状のどちらを優先するかに基ずいてテーパ角度補正を実行するか否かを決定する。
発明の効果
0059
以上説明したように、本発明のワイヤ放電加工機およびテーパ加工方法によれば、ワイヤ電極にテーパをかけて、テーパ加工する時の干渉回避を、指令したテーパ角度を守って加工することができる。また、干渉時の対処方法を選択することができる。したがって、従来は、切り込み過ぎが発生したり、干渉回避による角度のずれが発生するような形状を、操作者が意図した形状に精度よく加工することが可能となる。
図面の簡単な説明
0060
図1第1の実施の形態のワイヤ放電加工装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図2図1のワイヤ中心経路補正手段103の処理の流れを示すフローチャートである。
図3図2の干渉回避処理203における干渉回避処理の手順を説明する図である。
図4図2のテーパ角度補正処理204におけるテーパ角度補正処理の手順を説明する図である。
図5干渉を生じるブロックが円弧である場合の図2のテーパ角度補正処理204における処理手順を説明する図である。
図6図2の干渉回避処理205における処理手順を説明する図である。
図7図2のテーパ角度補正処理205の処理の流れを示すフローチャートである。
図8図7のテーパ角度補正経路決定処理704を説明する図である。
図9一般的なワイヤ放電加工装置の構成を示す図である。
図10従来のワイヤ放電加工装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図11図10のプログラム面ワイヤ中心経路算出手段101およびサブプログラム面ワイヤ中心経路算出手段102について説明した図である。
図12ワイヤ放電装置による干渉が生じる溝加工の一例を説明する図である。
図13ワイヤ放電加工装置による溝加工で生じる干渉を回避する方法を説明する図である。
図14本発明の第1の実施の形態で干渉を回避する処理を説明する図である。
図15図2のテーパ角度補正処理204における処理手順を説明する図である。
図16本発明の第2の実施の形態におけるワイヤ中心経路補正手段の処理の流れを示すフローチャートである。
図17図16の干渉回避実行判定3001および干渉回避実行判定3002について説明する図である。
図18図16のテーパ角度補正実行判定3002およびテーパ角度補正実行判定3004について説明する図である。
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0061
18プログラム経路
19ワイヤ中心経路
101プログラム面ワイヤ中心経路算出処理手段
102サブプログラム面ワイヤ中心経路算出処理手段
103 ワイヤ中心経路補正手段
108 補間手段
109サーボ制御手段
1000ワイヤ電極
1003、1004ワイヤガイド
1005、1006移動機構
1007クロステーブル
1008 ワーク
1009 制御部
1010 加工電源
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