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技術 非調質鋼

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 大森靖浩岩本隆星野俊幸天野虔一
出願日 1997年6月20日 (23年6ヶ月経過) 出願番号 1997-164326
公開日 1998年6月9日 (22年6ヶ月経過) 公開番号 1998-152750
状態 未査定
技術分野
  • -
主要キーワード 大物部品 シャフト類 ブレイカー 冷間鍛造装置 液体潤滑 前方押し出し 保安部品 材料歩留り
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課題

加工後に特別の処理を行うことなしに、加工のまま使用に供することのできる、高強度かつ高靱性非調質鋼を提供する。

解決手段

C:0.10wt%以下、Si:0.005 〜2.0 wt%、Mn:0.5 〜5.0 wt%、Ti:0.001 〜0.1 wt%、Nb:0.005 〜0.15wt%、Al:0.005 〜1.0 wt%、S:0.001 〜0.50wt%およびN:0.0010〜0.0200wt%を含む成分組成になり、かつ体積率で90%以上をベイナイト組織とする。

概要

背景

従来、高強度かつ高靱性を必要とする、機械構造部品あるいは自動車部品には、機械構造用合金鋼としてJIS G4105 で規定される、SCM435あるいはSCM440が用いられ、各種加工による成形後に、強度および靱性を付与するために、焼入れ焼戻し等の調質処理が施されるのが通例である。

この機械構造部品の製造は、熱間鍛造熱間圧延などの熱間加工によって行われるほか、材料歩留りおよび部品の寸法精度に優れることから、冷間鍛造および冷間圧延などの冷間加工も採用されている。いずれにしても、その素材としては、上記した機械構造用炭素鋼合金鋼が用いられ、熱間や冷間での加工後に、調質処理を施して、要求される強度および靱性を満足している。

ここに、調質処理、つまり熱処理工程は時間およびコストを要するため、これを省略できればコストは大幅に低減され、省エネルギーにも応えることができるところから、この要請に対して種々の提案がなされている。

例えば、C:0.3 〜0.5 wt%の中炭素系Mn含有鋼に、0.10wt%前後のVを添加したフェライトパーライト型の非調質鋼が提案されており、熱間圧延の冷却過程にV炭窒化物析出し、フェライト地強化するとともに、パーライトの強度を鋼全体の強度上昇に利用するものである。

また、熱間鍛造用鋼について、特開平3−211227号公報あるいは同4−371547号公報には、C:0.05〜0.3 wt%程度の低炭素系鋼にMn, CrまたはV等を添加したベイナイト型あるいはマルテンサイト型の非調質鋼が、開示されている。

概要

加工後に特別の処理を行うことなしに、加工のまま使用に供することのできる、高強度かつ高靱性の非調質鋼を提供する。

C:0.10wt%以下、Si:0.005 〜2.0 wt%、Mn:0.5 〜5.0 wt%、Ti:0.001 〜0.1 wt%、Nb:0.005 〜0.15wt%、Al:0.005 〜1.0 wt%、S:0.001 〜0.50wt%およびN:0.0010〜0.0200wt%を含む成分組成になり、かつ体積率で90%以上をベイナイト組織とする。

目的

効果

実績

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請求項1

C:0.10wt%以下、 Si:0.005 〜2.0 wt%、Mn:0.5 〜5.0 wt%、 Ti:0.001 〜0.1 wt%、Nb:0.005 〜0.15wt%、 Al:0.005 〜1.0wt %、S:0.001 〜0.50wt%およびN:0.0010〜0.0200wt%を含む成分組成になり、かつ体積率で90%以上がベイナイト組織であることを特徴とする非調質鋼

請求項2

請求項1において、さらにCr:3.0 wt%以下、 Ni:3.0 wt%以下、Mo:1.0 wt%以下およびB:0.03wt%以下の1種または2種以上を含有する組成になる非調質鋼。

請求項3

請求項1または請求項2において、さらにPb:0.30wt%以下、 P:0.10wt%以下、Ca:0.010 wt%以下、 Te:0.05wt%以下、Se:0.10wt%以下およびBi:0.3 wt%以下の1種または2種以上を含有する組成になる非調質鋼。

技術分野

0001

この発明は、各種加工後に調質処理を施すことなく使用される非調質鋼、とくに機械構造用鋼として有用な高強度かつ高靱性の非調質鋼に関するものである。

背景技術

0002

従来、高強度かつ高靱性を必要とする、機械構造部品あるいは自動車部品には、機械構造用合金鋼としてJIS G4105 で規定される、SCM435あるいはSCM440が用いられ、各種加工による成形後に、強度および靱性を付与するために、焼入れ焼戻し等の調質処理が施されるのが通例である。

0003

この機械構造部品の製造は、熱間鍛造熱間圧延などの熱間加工によって行われるほか、材料歩留りおよび部品の寸法精度に優れることから、冷間鍛造および冷間圧延などの冷間加工も採用されている。いずれにしても、その素材としては、上記した機械構造用炭素鋼合金鋼が用いられ、熱間や冷間での加工後に、調質処理を施して、要求される強度および靱性を満足している。

0004

ここに、調質処理、つまり熱処理工程は時間およびコストを要するため、これを省略できればコストは大幅に低減され、省エネルギーにも応えることができるところから、この要請に対して種々の提案がなされている。

0005

例えば、C:0.3 〜0.5 wt%の中炭素系Mn含有鋼に、0.10wt%前後のVを添加したフェライトパーライト型の非調質鋼が提案されており、熱間圧延の冷却過程にV炭窒化物析出し、フェライト地強化するとともに、パーライトの強度を鋼全体の強度上昇に利用するものである。

0006

また、熱間鍛造用鋼について、特開平3−211227号公報あるいは同4−371547号公報には、C:0.05〜0.3 wt%程度の低炭素系鋼にMn, CrまたはV等を添加したベイナイト型あるいはマルテンサイト型の非調質鋼が、開示されている。

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、フェライト−パーライト型非調質鋼は、パーライト中のセメンタイトとして存在する0.3 〜0.5 wt%のCを強度上昇に利用するために靱性が犠牲になり、引張り強さと靱性とを両立することが困難である。また、安定した品質を得るためには、部品成形後の冷却速度を制御しなくてはならず、製造工程が煩雑になる不利も伴う。なお、冷間鍛造などの冷間加工を施すことによって、C濃度を増加しなくても強度を確保できるが、調質鋼と同等の靱性が得られないところに問題が残る。

0008

一方、特開平3−211227号公報に提案されたベイナイト型非調質鋼の製造方法では、熱間鍛造のままでは不足する降伏強さを上昇させるために、圧延後に時効処理を施すことが必須であり、省エネルギーを目指す非調質鋼の思想に反することになる。これは、特開平4−371547号公報に提案された高強度高靱性非調質鋼の製造方法においても、焼戻し処理を必要とする点で同様である。さらに、この種の鋼は、小さい部品で十分な靱性を確保できるものの、冷却速度の遅い大物部品では靱性が不十分になるため、ベイナイト変態温度域の冷却速度を制御することも必要になる。

0009

そこで、この発明は、熱間あるいは冷間の加工後に特別の調質処理を行うことなしに、加工のまま使用に供することのできる、高強度かつ高靱性の非調質鋼を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0010

発明者らは、加工後の冷却速度制御や時効処理などの調質処理を行うことなしに、十分な引張り強さ、降伏強さおよび靱性を有する鋼の組成究明し、この発明を完成するに到った。すなわち、極低炭素化によって靱性向上を、そしてTiNの析出によって鋼の強度上昇を、それぞれ図り、さらに、Mn, Nbおよび必要に応じてBの添加で焼入れ性を向上することにより、加工後に調質処理を行わなくとも、強度および靱性の変化が極めて小さいベイナイトの単相組織を得られることの新規知見に由来するものである。

0011

この発明は、(1) C:0.10wt%以下、Si:0.005 〜2.0 wt%、Mn:0.5 〜5.0 wt%、Ti:0.001 〜0.1 wt%、Nb:0.005 〜0.15wt%、Al:0.005 〜1.0 wt%、S:0.001 〜0.50wt%およびN:0.0010〜0.0200wt%を含む成分組成になり、かつ体積率で90%以上がベイナイト組織であることを特徴とする非調質鋼(第1発明)、(2) 第1発明において、さらにCr:3.0 wt%以下、Ni:3.0 wt%以下、Mo:1.0 wt%以下およびB:0.03wt%以下の1種または2種以上を含有する組成になる非調質鋼(第2発明)、(3) 第1発明または第2発明において、さらにPb:0.30wt%以下、P:0.10wt%以下、Ca:0.010 wt%以下、Te:0.05wt%以下、Se:0.10wt%以下およびBi:0.3 wt%以下の1種または2種以上を含有する組成になる非調質鋼(第3発明)である。

発明を実施するための最良の形態

0012

次に、この発明の各化学成分の限定理由について説明する。
C:0.10wt%以下
Cは、冷却速度に依存せずに鋼の組織ベイナイト主体あるいはベイナイト単相とするために、0.10wt%以下、好ましくは0.04wt%以下に制限する必要がある。すなわち、C量が0.10wt%をこえると、熱間鍛造後の冷却速度によってはパーライト相が析出して靱性を損なうことがあるため、0.10wt%以下とした。

0013

Si:0.005 〜2.0 wt%
Siは、脱酸および固溶強化を確保するために少なくとも0.005 wt%を必要とし、一方過剰に含有すると靱性を低下させることから、上限は2.0 wt%とした。

0014

Mn:0.5 〜5.0 wt%
Mnは、焼入れ性を向上してベイナイト組織の強度を確保するために0.5 wt%以上は必要であり、一方5.0 wt%をこえると切削性劣化することから、0.5 〜5.0 wt%の範囲に限定する。

0015

Ti:0.001 〜0.1 wt%
Tiは、析出強化に加えて、過剰のCを固定して靱性を向上するのに有効であり、そのためには0.001wt %以上は必要である。一方、過剰に添加すると、冷却速度が遅い場合に粗大なTiN を析出し、却って靱性を低下することになるから、0.1 wt%を上限とする。

0016

Nb:0.005 〜0.15wt%
Nbは、焼入性向上、析出強化および靱性向上のために0.005 wt%以上は必要であるが、0.15wt%をこえると、熱間圧延性阻害することから、0.005 〜0.15wt%とする。

0017

Al:0.005 〜1.0 wt%
Alは、1.0 wt%をこえるとアルミナ系介在物が増えて、靱性を損なうために0.05wt%を上限とする一方、脱酸のためには0.005 wt%以上を添加する必要があることから、0.005 〜0.050 wt%の範囲とする。

0018

S:0.001 〜0.50wt%
Sは、切削性を向上する成分であり、その効果を発揮させるには0.001 wt%以上の添加が必要である。しかし過剰に添加すると、清浄性および靱性の低下を招くため、上限を0.50wt%とする。

0019

N:0.0010〜0.0200%
Nは、TiN を析出強化およびフェライト生成核に利用するために、その含有量を制御する必要がある。すなわち、0.0010wt%未満では、TiN の析出による効果が十分に得られず、一方0.0200%をこえると、効果が飽和することに加えて、固溶Nがむしろ鋼材の靱性を低下することになるため、0.0010〜0.0200%の範囲とする。

0020

また、この発明においては、上記基本成分に、所定の化学成分を添加することによって、さらなる強度向上あるいは、製品仕上げる際の切削加工における切削性の向上を達成することができる。まず、強度向上をはかるために、Cr:3.0 wt%以下、Ni:3.0 wt%以下、Mo:1.0 wt%以下およびB:0.03wt%以下の1種または2種以上を、添加することが有利である。

0021

Cr:3.0 wt%以下
Crは、強度上昇に有効であるが、過剰に添加すると靱性を低下するため、3.0wt%以下とする。

0022

Ni:3.0 wt%以下
Niは、強度および靱性を向上するのに有効な成分であるが、高価である上過剰に含有させても、その効果が飽和するため、3.0 wt%以下に限定する。

0023

Mo:1.0 wt%以下
Moは、常温および高温での強度を上昇するのに有効であるが、高価であることから1.0 wt%以下の範囲で添加する。

0024

B:0.03wt%以下
Bは、焼入れ性を向上する成分であるが、0.03wt%をこえて含有しても、その効果は飽和するため、0.03wt%以下とする。

0025

また、切削性の向上をはかるために、Pb:0.30wt%以下、P:0.10wt%以下、Ca:0.010 wt%以下、Te:0.05wt%以下、Se:0.10wt%以下およびB:0.3 wt%以下の1種または2種以上を含有することができる。

0026

Pb:0.30wt%以下
Pbは、切削性を向上するのに有効な成分であり、一方0.30wt%をこえると、その効果は飽和する上、耐疲労性が低下するため、0.30wt%以下とする。

0027

P:0.10wt%以下
Pは、切削性の向上を目的として添加することが可能であるが、靱性あるいは耐疲労性に悪影響をおよぼすため、0.10wt%以下に制限する必要があり、より好ましくは0.07wt%以下とする。

0028

Ca:0.010 wt%以下
Caは、Pbとほぼ同様な効果を有する成分であり、一方、0.01wt%をこえると、その効果は飽和するため、0.010 wt%以下とする。

0029

Te:0.05wt%以下
Teも、PbやCaと同じく切削性を向上する成分であり、一方0.05wt%をこえると、効果が飽和する上、耐疲労性も低下するため、0.05wt%以下とする。

0030

Se:0.10wt%以下
Seは、Mnと結合してMnSeを形成し、これがチップブレイカーとして作用することにより被削性を改善する。一方0.10wt%を超える添加は耐疲労性に悪影響を及ぼすため、0.10wt%以下とする。

0031

Bi:0.3 wt%以下
Biは、Pbと同様に融点が低く、切削時の鋼材の発熱により溶融すると、液体潤滑作用を発揮して被削性を向上させる元素であるが、他の快削性元素と同様、多量の添加は耐疲労性に悪影響を及ぼすため、0.3 wt%以下とする。なお、以上の添加成分は微量でもその効果を発揮するから、特に下限は設定しない。

0032

この発明の非調質鋼は、上述した基本組成成分調整をすることによって、均質なベイナイト組織、具体的には体積率で90%以上がベイナイトの組織が得られるため、製造条件を厳密に制御する必要はなく、製造条件は適宜選択すればよい。

0033

例えば、上述した基本組成に成分調整した熱間圧延棒鋼を、1200℃に加熱後、1000〜1200℃の温度域での熱間鍛造または熱間圧延により、所定の形状を得た後、放冷により目的とするミクロ組織および特性を得ることができる。

0034

次に、熱間加工後は、特別な処理を必要としないが、特に各種炭・窒化物による析出硬化をさらに積極的に利用するには、熱間加工後に室温まで冷却したのちに行う再加熱処理において300 ℃以上800 ℃未満の温度域において30s以上保持するか、あるいは熱間鍛造後の冷却中に500 ℃以上800 ℃未満の温度域において1℃/s以下の冷却速度で30s以上冷却することが、強度を向上する上で好ましい。

0035

また、冷間加工の場合は、同様に上述した基本組成に成分調整した鋼を熱間圧延後に室温まで冷却したのち冷間加工率2%以上の冷間加工を施すことが好ましい。ここで、冷間加工とは、冷間圧延、冷間伸線、および冷間鍛造のいずれでも良く、特に限定はしない。また、冷間加工後に高い靱性が要求される場合には、300 ℃以上800 ℃未満の温度域で30s以上保持することが、強度を低下させることなく、靱性を大幅に向上させる上で有効である。

0036

表1に示す種々の化学組成を有するブルームを、連続鋳造により複数製造した。次いで、各ブルームを熱間圧延により200 mmφの棒鋼としたのち、1200℃に加熱してから熱間鍛造にて30mmφに成形し、その後800 〜500 ℃の温度域を(1)5℃/min 、(2)30℃/min および(3)300 ℃/min の冷却速度で冷却した。これらの棒鋼の一部に関しては、550 ℃で40min 保持する熱処理を実施した。かくして得られた棒鋼から、引っ張り試験片(JIS4号)および衝撃試験片(JIS3号)を採取し、それぞれ機械的性質について調査した結果を、表2に示す。

0037

0038

0039

表2に示す通り、この発明に従う鋼は、熱間鍛造後のいずれの冷却速度においてもTS≧900MPaと高強度が得られ、かつ高強度であってもEl≧18%およびRA≧55%と延性も十分に高い値を確保できた。さらに、靱性も100 J/cm2 以上と極めて良好である。

0040

また、比較鋼の強度、延性および靱性は、冷却速度依存性が大きい。例えば、フェライト−パーライト組織である比較鋼22は、冷却速度が速い場合でもTSは775MPaと低く、冷却速度が遅くなるとさらに低くなる。また、靱性は冷却速度の速い場合でも約40J/cm2 程度であり、冷却速度の遅い場合は約30J/cm2 程度にとどまる。

0041

一方、比較鋼21は、強度と靱性のバランスがいずれの冷却速度でも比較鋼22に比べて良好であるが、発明鋼のそれに比べると依然として低く、YSについても同様に低い。

0042

すなわち、比較鋼は、比較的冷却速度の速い小さい部品に適用できる可能性はあるものの、冷却速度の遅い大きい部品には不向きであることがわかる。これに対して、発明鋼の機械的性質あるいは靱性は冷却速度依存性が極めて小さく、部品形状が変化した場合、例えば大断面形状となった場合でも十分な強度、延性および靱性を均等に付与できるのである。

0043

実施例2
表3に示す種々の化学組成を有するブルームを、連続鋳造により複数製造した。次いで、各ブルームを熱間圧延により40mmφおよび200 mmφの棒鋼としたのち放冷した。放冷は、800 〜400 ℃の温度域での冷却速度が5℃/min または30℃/min であった。また、40mmφに圧延した棒鋼の一部は、圧延後に800 〜400 ℃の温度域で300 ℃/min の加速冷却を行った。さらに、これら棒鋼の一部に関しては、550 ℃で40min 保持する熱処理を実施した。かくして得られた棒鋼から、引張試験片(JIS4号)および衝撃試験片(JIS3号)を採取し、それぞれ機械的性質について調査した結果を、表4に示す。

0044

0045

0046

表4に示す通り、この発明に従う鋼は、いずれの圧延サイズ、そして熱間圧延後のいずれの冷却速度においてもTS≧900MPaと高強度が得られ、かつ高強度であってもEl≧18%およびRA≧55%と延性も十分に高い値を確保できた。さらに、靱性も100 J/cm2 以上と極めて良好である。

0047

また、比較鋼の強度、延性および靱性は、冷却速度依存性が大きい。例えば、フェライト−パーライト組織である比較鋼44は、冷却速度が速い場合でもTSは769MPaと低く、冷却速度が遅くなるとさらに低くなる。また、靱性は冷却速度の速い場合でも約40J/cm2 程度であり、冷却速度の遅い場合は約30J/cm2 程度にとどまる。

0048

一方、比較鋼43は、強度と靱性のバランスがいずれの冷却速度でも比較鋼44に比べて良好であるが、発明鋼のそれに比べると各特性とも低いレベルにある。

0049

すなわち、比較鋼は、比較的冷却速度の速い小さい部品に適用できる可能性はあるものの、冷却速度の遅い大きい部品には不向きであることがわかる。これに対して、発明鋼の機械的性質あるいは靱性は冷却速度依存性が極めて小さく、部品形状が変化した場合、例えば大断面形状となった場合でも十分な強度、延性および靱性を均等に付与できるのである。

0050

実施例3
表5に示す種々の化学組成を有するブルームを、連続鋳造により複数製造した。次いで、各ブルームを熱間圧延により60mmφの棒鋼としたのち、冷間鍛造装置を用いた前方押し出しにより30〜50mmφの棒鋼に成形した。ここで、棒鋼の内部割れを調査した。また、これら棒鋼の一部に関しては、550 ℃で40min 保持する熱処理を実施した。かくして得られた棒鋼から、引張試験片(JIS4号)および衝撃試験片(JIS3号)を採取し、それぞれ機械的性質について調査した結果を、表6〜8に示す。

0051

さらに、比較鋼については、冷間鍛造後に、800 〜950 ℃の温度域で1時間の加熱を行ってから60℃の油中焼入れし、次いで550 ℃で1時間の焼もどし処理を施したのち、機械的性質について同様に評価した。この評価結果についても、表8および9に示す。なお、表5〜9において、鋼45〜64は、この発明に従う鋼であり、鋼65〜74はJISに規定の機械構造用炭素鋼および合金鋼である。また鋼75は、V添加の従来型非調質鋼である。

0052

0053

0054

0055

0056

0057

表6〜9に示す通り、この発明に従う鋼では、冷間鍛造による割れの発生は認められなかったが、比較鋼68〜75において割れが発生し、その発生率は冷間加工率の増大に伴って上昇した。このことから、この発明に従う鋼は、冷間鍛造性に優れることがわかる。

0058

また、この発明に従う鋼の冷間鍛造後の機械的性質は、比較鋼に焼入れ焼もどし処理を施したものと比較して、強度および靱性の両面で格段に優れていることから、この発明に従う鋼が、従来の焼入れ焼もどし鋼と同等以上の特性を有することがわかる。さらに、この発明に従う鋼では、冷間鍛造後に熱処理を施すことによって、TSを著しく低下させることなく、衝撃特性を改善できるため、靱性が重視される用途では、冷間加工後に熱処理を施すことが好ましい。

0059

ここで、冷間鍛造を経た鋼材は、強度が上昇する一方、靱性が低下するのが通例であるが、この発明に従う鋼では冷間加工前の靱性が極めて高いために、冷間加工による靱性の低下があっても、従来の焼入れ焼もどし材と同等以上の靱性を確保できる一方、冷間加工に伴う加工硬化により高い強度が獲得されるのである。

発明の効果

0060

以上述べたように、この発明によれば、加工後の熱処理を全く必要とせずに、さらに加工後に部品形状に対応した冷却速度の制御も行うことなしに、熱間または冷間加工まま材において、TS≧900MPaの高強度と uE20 ≧109 J/cm2 の高靱性とを併せて得ることが可能である。従って、この発明の非調質鋼は、従来の非調質鋼より優れた強度と靱性バランスを有するため、高強度かつ高靱性を必要とする自動車用重要保安部品およびシャフト類など、各種機械部品に広く活用することができる。

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