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技術 フッ素樹脂フィルム積層体およびその製造方法

出願人 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
発明者 高橋辰宏荻田竜哉
出願日 1997年8月18日 (23年4ヶ月経過) 出願番号 1997-236519
公開日 1998年6月2日 (22年7ヶ月経過) 公開番号 1998-146927
状態 未査定
技術分野 積層体(2)
主要キーワード ケイ酸化物 シラン化合物層 ゾルーゲル反応 熱溶融接着 過飽和水溶液 シラン化合物溶液 パーフルオロ樹脂 LPD法
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

密着性および透明性に優れたフッ素樹脂フィルム積層体の提供を目的とする。

解決手段

ガラス板と、そのガラス板の表面に形成されたシラン化合物層と、該層に接着された少なくとも片面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムを有するフッ素樹脂フィルム積層体。

概要

背景

フッ素樹脂被覆物は、防汚性撥水性撥油性に優れたものとして幅広く利用されており、従来、フッ素樹脂を被覆したガラスは、ガラスの表面にカップリング剤としてアミノアルキルトリアルコキシシラン塗布乾燥した後に、フッ素樹脂塗料を塗布焼成することにより作成されている(米国特許第3,555,345号)。アミノアルキルトリアルコキシシランを予め塗布することにより、フッ素樹脂の密着性が良好なフッ素樹脂被覆ガラスを提供することができるが、透明性に優れたフッ素樹脂被覆ガラスを提供することができないため、透明性を必要とする用途、例えば、電子レンジなどには利用することができない。

また、ガラスや金属板にフッ素樹脂塗料を塗布する際のプライマーとして、フッ素樹脂、アルカリ金属珪酸塩およびポリアミド酸アミン塩からなる結合剤凝集剤、並びに液体担体からなる組成物が開発されているが(特公昭60−35379号)、同一のプライマーを用いてフッ素樹脂フィルム基板密着させることはできない。さらにまた、ポリアミドイミドおよび/またはポリイミドポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、並びに金属粉末有機溶媒中に溶解または分散させて得られたプライマーを用いてフッ素樹脂フィルムをラミネートした金属板(特開平6−264000号)は、密着性は良好であるが、同一のプライマーを用いて、フッ素樹脂フィルムをガラスにラミネートすると、プライマー層が不透明であるため透明性が損なわれるばかりでなく、優れた密着性を得ることはできない。

ガラスにフッ素樹脂を被覆するためのプライマーも開発されているが、フィルムのラミネートに用いると、十分な密着性を得ることはできず、また透明性も損なわれる。また、フィルムを用いた積層体としては、ガラス板とガラス板との間にポリビニルブチラールなどのフィルムを挟んだ強化ガラスが知られている。しかしながら、フッ素樹脂フィルムのような耐熱性を有するフィルムをガラス板の間に挟んだ積層体は、その密着性が十分でないなどの理由により、実現されていない。

概要

密着性および透明性に優れたフッ素樹脂フィルム積層体の提供を目的とする。

ガラス板と、そのガラス板の表面に形成されたシラン化合物層と、該層に接着された少なくとも片面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムを有するフッ素樹脂フィルム積層体。

目的

そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、密着性に優れ、基材がガラス板である場合にはさらに透明性にも優れたフッ素樹脂フィルムの積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基材表面にシラン化合物層を有する基材と、該シラン化合物層に接着されたフッ素樹脂フィルムとを有するフッ素樹脂フィルム積層体であって、前記基材はシランとの反応基を有する基材であり、および前記フッ素樹脂フィルムは少なくとも片面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムであることを特徴とするフッ素樹脂フィルム積層体。

請求項2

基材表面にシラン化合物層を有する第1の基材と、基材表面にシラン化合物層を有する第2の基材との間に、該シラン化合物層に接着されたフッ素樹脂フィルムを有するフッ素樹脂フィルム積層体であって、前記基材はシランとの反応基を有する基材であり、および前記フッ素樹脂フィルムは両面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムであることを特徴とするフッ素樹脂フィルム積層体。

請求項3

基材表面にシラン化合物層を有する第1の基材と、基材表面にシラン化合物層を有する第2の基材との間に、該シラン化合物層に接着されたフッ素樹脂フィルムを有するフッ素樹脂フィルム積層体であって、前記基材はシランとの反応基を有する基材であり、および前記フッ素樹脂フィルムは片面がコロナ放電処理された2枚のフッ素樹脂フィルムがコロナ放電処理されていない面で接着されたフィルムであることを特徴とするフッ素樹脂フィルム積層体。

請求項4

前記基材が、ガラス板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素樹脂フィルム積層体。

請求項5

前記ガラス板が、表面に予め形成された二酸化ケイ素を含有する層、二酸化ケイ素を含有する多孔質層、または二酸化スズを含有する層を有するガラス板であることを特徴とする請求項4に記載のフッ素樹脂フィルム積層体。

請求項6

基材の表面にシラン化合物溶液塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成し、次いで、フッ素樹脂フィルムを熱溶融接着することを特徴とする請求項1に記載のフッ素樹脂フィルム積層体の製造方法。

請求項7

基材表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成した第1の基材に、両面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムを該シラン化合物層に接して載置し、次いで、前記フィルムの上に、基材表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成した第2の基材を該シラン化合物層と前記フィルムとが接するように載置した後に、フッ素樹脂フィルムを熱溶融接着することを特徴とする請求項2に記載のフッ素樹脂フィルム積層体の製造方法。

請求項8

基材表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成した第1の基材に、片面がコロナ放電処理された第1のフッ素樹脂フィルムを該シラン化合物層に接して載置し、次いで、前記第1のフィルムの上に、片面がコロナ放電処理された第2のフッ素樹脂フィルムを該第1のフィルムに該第2のフィルムのコロナ放電処理されていない面が接するように載置し、さらに基材表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成した第2の基材を該シラン化合物層と前記第2のフィルムとが接するように載置した後に、フッ素樹脂フィルムを熱溶融接着することを特徴とする請求項3に記載のフッ素樹脂フィルム積層体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、フッ素樹脂フィルム積層体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは基材表面にシラン化合物溶液を塗布した後に、フッ素樹脂フィルムをラミネートした密着性に優れたフッ素樹脂フィルム積層体に関し、特に基材がガラス板の場合には透明性にも優れたフッ素樹脂フィルム積層体に関する。

背景技術

0002

フッ素樹脂被覆物は、防汚性撥水性撥油性に優れたものとして幅広く利用されており、従来、フッ素樹脂を被覆したガラスは、ガラスの表面にカップリング剤としてアミノアルキルトリアルコキシシラン塗布乾燥した後に、フッ素樹脂塗料を塗布焼成することにより作成されている(米国特許第3,555,345号)。アミノアルキルトリアルコキシシランを予め塗布することにより、フッ素樹脂の密着性が良好なフッ素樹脂被覆ガラスを提供することができるが、透明性に優れたフッ素樹脂被覆ガラスを提供することができないため、透明性を必要とする用途、例えば、電子レンジなどには利用することができない。

0003

また、ガラスや金属板にフッ素樹脂塗料を塗布する際のプライマーとして、フッ素樹脂、アルカリ金属珪酸塩およびポリアミド酸アミン塩からなる結合剤凝集剤、並びに液体担体からなる組成物が開発されているが(特公昭60−35379号)、同一のプライマーを用いてフッ素樹脂フィルムを基板密着させることはできない。さらにまた、ポリアミドイミドおよび/またはポリイミドポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、並びに金属粉末有機溶媒中に溶解または分散させて得られたプライマーを用いてフッ素樹脂フィルムをラミネートした金属板(特開平6−264000号)は、密着性は良好であるが、同一のプライマーを用いて、フッ素樹脂フィルムをガラスにラミネートすると、プライマー層が不透明であるため透明性が損なわれるばかりでなく、優れた密着性を得ることはできない。

0004

ガラスにフッ素樹脂を被覆するためのプライマーも開発されているが、フィルムのラミネートに用いると、十分な密着性を得ることはできず、また透明性も損なわれる。また、フィルムを用いた積層体としては、ガラス板とガラス板との間にポリビニルブチラールなどのフィルムを挟んだ強化ガラスが知られている。しかしながら、フッ素樹脂フィルムのような耐熱性を有するフィルムをガラス板の間に挟んだ積層体は、その密着性が十分でないなどの理由により、実現されていない。

発明が解決しようとする課題

0005

そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、密着性に優れ、基材がガラス板である場合にはさらに透明性にも優れたフッ素樹脂フィルムの積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するための本発明は、基材表面にシラン化合物層を有する基材と、該シラン化合物層に接着されたフッ素樹脂フィルムとを有するフッ素樹脂フィルム積層体であって、前記基材はシランとの反応基を有する基材であり、および前記フッ素樹脂フィルムは少なくとも片面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムであることを特徴とするフッ素樹脂フィルム積層体に関する。また、他の本発明は、基材表面にシラン化合物層を有する第1の基材と、基材表面にシラン化合物層を有する第2の基材との間に、該シラン化合物層に接着されたフッ素樹脂フィルムを有するフッ素樹脂フィルム積層体であって、前記基材はシランとの反応基を有する基材であり、および前記フッ素樹脂フィルムは両面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムであるか、または片面がコロナ放電処理された2枚のフッ素樹脂フィルムがコロナ放電処理されていない面で接着されたフィルムであることを特徴とするフッ素樹脂フィルム積層体に関する。

0007

また、基材がガラス板であり、さらには、このガラス板が、表面に予め形成された二酸化ケイ素を含有する層、二酸化ケイ素を含有する多孔質層、または二酸化スズを含有する層を有し、さらに該層の上に形成されたシラン化合物層を有するガラス板であることを特徴とする、ガラス板と、該シラン化合物層に接着された少なくとも片面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムを有することを特徴とするフッ素樹脂フィルム積層体に関する。また、基材がガラス板であり、さらには、このガラス板が、表面に予め形成された二酸化ケイ素を含有する層、二酸化ケイ素を含有する多孔質層、または二酸化スズを含有する層を有し、さらに該層の上に形成されたシラン化合物層を有するガラス板であることを特徴とする、第1のガラス板と、第2のガラス板とを有し、第1のガラス板と第2のガラス板との間に、両面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムか、または片面がコロナ放電処理された2枚のフッ素樹脂フィルムがコロナ放電処理されていない面で接着されたフィルムのいずれかを、第1のガラス板と第2のガラス板のシラン化合物層に接して有することを特徴とするフッ素樹脂フィルム積層体に関する。

0008

また、基材の表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成し、次いで、フッ素樹脂フィルムを熱溶融接着することを特徴とする上記フッ素樹脂フィルム積層体の製造方法に関する。また、基材表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成した第1の基材に、両面がコロナ放電処理されたフッ素樹脂フィルムを該シラン化合物層に接して載置し、次いで、該フィルムの上に、基材表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成した第2の基材を該シラン化合物層と該フィルムとが接するように載置した後に、フッ素樹脂フィルムを熱溶融接着することを特徴とする基板と基板との間にフッ素樹脂フィルムを有する前記フッ素樹脂フィルム積層体の製造方法に関する。さらにまた、基材表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成した第1の基材に、片面がコロナ放電処理された第1のフッ素樹脂フィルムを該シラン化合物層に接して載置し、次いで、該第1のフィルムの上に、片面がコロナ放電処理された第2のフッ素樹脂フィルムを該第1のフィルムに該第2のフィルムのコロナ放電処理されていない面が接するように載置し、さらに基材表面にシラン化合物溶液を塗布乾燥することによりシラン化合物層を形成した第2の基材を該シラン化合物層と該第2のフィルムとが接するように載置した後に、フッ素樹脂フィルムを熱溶融接着することを特徴とする基板と基板との間にフッ素樹脂フィルムを有する前記フッ素樹脂フィルム積層体の製造方法に関する。

発明を実施するための最良の形態

0009

本発明のフッ素樹脂フィルム積層体は、基材表面にシラン化合物層を形成し、さらにフッ素樹脂フィルムを接着したもの、さらにフッ素樹脂フィルムの上に表面にシラン化合物層を形成した基材を接着したものである。本発明においてフッ素樹脂フィルムをラミネートする基材は、シランとの反応基を有する基材であればよく、具体的には、ガラス板、酸化アルミ板、セラミック板アルミ板ステンレス板などを挙げることができる。基材として市販の予備洗浄されたガラス板を用いる場合にはそのまま使用することができるが、それ以外のガラス板、酸化アルミ板、セラミック板、アルミ板、またはステンレス板を用いる場合には、1.0重量%の酸化第二セリウム水溶液などを用いて表面が完全にぬれるまで洗浄する。

0010

基材表面のシラン化合物層は、シラン化合物溶液を塗布乾燥することにより形成される。シラン化合物は、公知のいかなるシラン化合物でもよく、具体的には、ビニルトリクロルシランビニルトリエトキシシランビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、およびγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランのようなビニルシラン、β(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのようなエポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランのようなメルカプトシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、並びに、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびγ−ウレイドプロピルトリエトキシシランのようなアミノシランなどを挙げることができる。シラン溶液は、純水にシラン化合物を溶解することにより調製される。シラン化合物溶液に基づくシラン化合物の含有量は、0.01〜10.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%である。シラン化合物溶液の塗布は、ディッピング法スプレー法スピンコート法刷毛塗り法など公知のいかなる方法により行ってもよい。また、膜厚は、約1nm〜100nmが適当である。乾燥の方法は特に限定されないが、通常、50〜200℃で、10分〜2時間にわたり、オーブン中で加熱することにより行う。

0011

基材としてガラス板を用いる場合には、フッ素樹脂フィルムの密着性をさらに良好なものにするためには、シラン化合物溶液を塗布する前に、1)ガラス板の表面にセラミックパウダースプレーするなどの方法によりブラストするか、または2)ガラス板の表面に、二酸化ケイ素を含有する層、二酸化ケイ素を含有する多孔質層、もしくは二酸化スズを含有する層を形成することが好ましい。透明性に優れるという観点より、ガラス板の表面に、二酸化ケイ素を含有する層、二酸化ケイ素を含有する多孔質層、または二酸化スズを含有する層を形成することが特に好ましい。シラン化合物はガラスの成分であるナトリウムカルシウムとは結合しないため、二酸化ケイ素または二酸化スズを含有する層を設けることによりシラン化合物が二酸化ケイ素および二酸化スズと効果的に結合して密着性を高めることができる。また、二酸化ケイ素を含有する多孔質層を設けると、シラン化合物と二酸化ケイ素の化学的反応に加えて、シラン化合物層との接触表面積が一層大きくなることによりさらに密着性が上がる。

0012

二酸化ケイ素を含有する層は、適当な溶媒テトラエトキシシリケートを分散させ、公知の方法、例えば、ディッピング法、スプレー法、スピンコート法などの方法により塗布焼成することにより形成される。特に好ましいのは、ポリシラザン溶液を1nm〜数ミクロンの層を形成するように塗布し、空気中で200〜600℃において、10〜100分間、焼成する方法である。二酸化ケイ素を含有する多孔質層は、公知のいかなる方法を用いて形成してもよく、具体的には、ガラス板の表面をケイフッ化水素酸シリカ過飽和水溶液で処理する方法(特開昭57−166337号)、ケイ酸化物原料溶液として数千と数十万の異なる平均分子量を有する2種類の前駆体ゾルを混合した溶液を塗布、焼成する方法(特開平5−147976号)、LPD(Liquid Phase Deposition)法、およびガラス−有機高分子ハイブリッドを焼成することにより多孔質層を形成する方法などが知られている。好ましい方法は、LPD法およびガラス−有機高分子ハイブリッドを用いる方法である。LPD法は、ケイフッ化水素酸の水溶液に例えばシリカゲルなどの二酸化ケイ素を飽和し、その後ホウ酸水溶液を添加して得られた浸漬液にガラス板を浸漬することにより、ガラス板の表面に二酸化ケイ素膜析出せしめる方法である。ガラス−有機高分子ハイブリッドを用いる方法は、有機高分子とケイ酸化合物とをゾルゲル反応の溶媒に溶かし、酸触媒でゾル−ゲル反応を行ってガラス−有機高分子ハイブリッドを得る工程と、この工程によって得られたガラス−有機高分子ハイブリッドをガラス板の表面に塗布し、それを二酸化ケイ素が溶融しない温度で焼成することにより多孔質層を形成する工程とからなる。なお、ゾルーゲル反応によりガラス−有機高分子ハイブリッドを製造する代表的な方法は特開平6−509131号に記載されている。ガラス表面に形成される多孔質層の細孔は、数10〜数1000nmであり、好ましくは、10〜100nmである。この多孔質層の細孔は数が多いほどシラン化合物が効果的に結合し、フッ素樹脂フィルムの密着性が良好となる。二酸化スズを含有する層は、公知のいかなる方法により形成してもよく、具体的には、ゾル−ゲル反応を利用し塗布焼成する方法、四塩化スズを直接吹き付ける方法などが挙げられるが、ガラス板の表面に四塩化スズを直接吹き付け、空気中で300〜700℃で、1〜10分にわたり焼成する方法が好ましい。

0013

本発明において用いるフッ素樹脂フィルムは、パーフルオロ樹脂を含有するフィルムであればよく、具体的には、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、およびそれらの2以上の配合物などから本質的に成るフィルムである。好ましくは、PFAまたはFEPから本質的に成るフィルムである。フィルムは、予めコロナ放電処理を施し、フィルムの基材への密着性を良好にするためにその表面張力を制御する。フィルムの表面張力は特に限定されないが、通常は、30dyn/cm2以上、好ましくは36dyn/cm2以上になるように処理する。基材にフィルムを被覆する場合には、フィルムの片面にコロナ放電処理を施せばよいが、基板と基板との間にフィルムを挟んだ積層体にする場合、例えば、ガラス板/フィルム/ガラス板とすることにより、強化ガラスを作成する場合には、両面にコロナ放電処理を施したフィルムを用いるか、または、片面にコロナ放電処理を施したフィルム2枚をコロナ放電処理を施していない表面で重ね合わせて用いてもよい。2枚のフィルムの間にさらにフィルムを挟んでもよい。フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜250μmのフィルムが用いられる。コロナ放電処理を施したフィルムの接着方法は特に制限されないが、好ましくは熱溶融接着により基材に接着させる。熱溶融接着の条件は適宜選択されるが、その際の温度はフィルムに含有されているフッ素樹脂の融点以上であり、例えばPFAから成るフィルムであれば310〜340℃が好ましく、FEPから成るフィルムであれば270〜300℃が好ましい。また、熱溶融接着の際の圧力は、好ましくは1〜50kg/cm2であり、10〜100秒間にわたり行われる。

0014

本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)市販の予備洗浄ガラス板(マツナミ社製プレクリンガラス(商品名))に1.0重量%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を用いて引き上げ速度100mm/分でシラン化合物をディップコートした。シラン化合物を塗布したガラスをオーブンにおいて、100℃で1時間にわたり乾燥した。コロナ放電処理を施したPFAフィルム(デュポン社製PFA500CLP、表面張力38dyn/cm2、フィルム厚125μm)をシラン化合物層を形成したガラス板に載置し、320℃で、20kg/cm2の圧力下、40秒間にわたり熱溶融接着した。接着を安定化させるために、室温にて約1日放置した。このようにしてPFAフィルムをラミネートしたガラス板の試験片3つのピール強度を測定した。ピール強度は試験片をチャックに挟み、ガラス板とフィルムとの角度が180°となるように剥離して測定した。得られたピール強度の測定値を平均した値および透明性を目視観察した結果を表1に示す。また、用いたガラス板の表面粗さを原子間力顕微鏡により測定し、測定値を表1に示す。

0015

(実施例2)実施例1で用いたのと同一のガラス板をセラミックパウダーをスプレーすることにより機械的にブラストした後に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を塗布した以外は、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定し、透明性を観察した。また、ブラストしたガラス板の表面粗さを測定した。結果は、表1に示す。
(実施例3)実施例1で用いたのと同一のガラス板に、二酸化ケイ素層を形成するために、ポリシラザン溶液を約0.1μmの層を形成するようにディップコートし、空気中で約500℃にて、約30分間焼成した後に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を塗布した以外は、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定し、透明性を観察した。また、二酸化ケイ素層を形成したガラス板の表面粗さを測定した。結果は、表1に示す。

0016

(実施例4)LPD法により二酸化ケイ素を含有する多孔質層を設けた市販のガラス板(日本板硝子アビ社製)に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を塗布した以外は、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定し、透明性を観察した。また、多孔質層を形成したガラス板の表面粗さを測定した。結果は、表1に示す。
(実施例5)実施例1で用いたのと同一のガラス板に、二酸化ケイ素とアクリルポリマー重量比が1:1であるテトラエトキシシリケートとアクリルポリマーのアルコール塩酸水混合液をディップコートにより塗布し、室温で終夜乾燥した後、500℃で30分焼成することにより二酸化ケイ素を含有する多孔質層を設け、その後γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を塗布した以外は、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定し、透明性を観察した。また、多孔質層を形成したガラス板の表面粗さを測定した。結果は、表1に示す。
(実施例6)ソーダ石灰ガラスに四塩化スズを用いて二酸化スズ層を形成した市販のガラス板(旭硝子社製)に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を塗布した以外は、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定し、透明性を観察した。また、二酸化スズ層を形成したガラス板の表面粗さを測定した。結果は、表1に示す。

0017

(実施例7)実施例1で用いたPFAフィルムに代えて、コロナ放電処理を施したFEPフィルム(デュポン社製FEP500C、表面張力38dyn/cm2、フィルム厚125μm)を用いて、熱溶融接着の際の温度を290℃とした以外は、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定し、透明性を観察した。結果は、表1に示す。
(実施例8〜9)実施例1で用いたガラス板に代えて、表面粗さ測定装置により測定した表面粗さが0.20μm(実施例8)および0.66μm(実施例9)である酸化アルミ板を用いた以外は、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定し、透明性を観察した。結果は、表1に示す。

0018

(比較例1)実施例1で用いたのと同一のガラス板に実施例1で用いたのと同一のPFAフィルムを載置し、320℃で、20kg/cm2の圧力下、40秒間にわたり熱溶融接着した。接着を安定化させるために、室温にて約1日放置した後、ピール強度を測定し、透明性を観察した。結果は、表1に示す。
(比較例2)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液に代えて、ガラス用フッ素樹脂系プライマー(デュポン社製458−500)を用い、プライマーをスプレー塗布し、380℃で15分間焼成し膜厚8μmのプライマー層を設けた以外は、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定し、透明性を観察した。

0019

(フィルムの引張強さの測定)実施例および比較例で用いたPFAフィルムを同様に熱溶融し、厚さ105μmとした後に、JIS Z0237,8、3項に準じて引張強さを測定したところ、1.57kg/cmであった。このことから、ピール強度がこの値付近になるとフィルムが破断してしまうことがわかる。フィルムと基材との密着力が強くて、フィルムが基板から剥離する前にフィルムが破断してしまった場合は、表1におけるピール強度の測定値の後に“<”を記載した。

0020

0021

実施例1〜6と比較例1のピール強度を比較すると、いずれも著しく改良されていることがわかる。また、実施例1および3〜6はいずれも透明であるが、比較例2は、ピール強度が不十分であり、さらに不透明になってしまうことを示している。また、実施例2からはガラス板を機械的にブラストするとやや不透明になってしまうことがわかる。実施例1と実施例2、実施例4および実施例5とを比較すると、ガラス表面が粗い方がピール強度が高いことがわかる。実施例1と実施例3および実施例6とを比較すると、ガラス表面が粗くなくても、二酸化ケイ素または二酸化スズを含有する層を設けることにより、ピール強度が高くなることがわかる。さらにまた、実施例7によりFEPフィルムを用いても実施例1のPFAフィルムを用いた場合と同様にピール強度および透明性に優れることがわかる。実施例8および9からは、酸化アルミ板を用いた場合にもピール強度が優れていることがわかる。

0022

(実施例10〜20)実施例1で用いたγ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液に代えて、表2に示す他のシラン化合物溶液を用い、実施例1と同様に試験片を作成し、ピール強度を測定した。結果は、表2に示す。また、透明性を観察したが、いずれの試験片も透明であった。

0023

ID=000003HE=100 WI=106 LX=0520 LY=0300
実施例10〜20と比較例1のピール強度を比較すると、いずれも著しく改良されていることがわかる。特に、実施例14〜17は、密着性に優れていることがわかる。

0024

(実施例21)市販の予備洗浄ガラス板(マツナミ社製プレクリンガラス(商品名))に1.0重量%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を用いて引き上げ速度100mm/分でシラン化合物をディップコートした。シラン化合物を塗布したガラスをオーブンにおいて、100℃で1時間にわたり乾燥した。このシラン化合物層を形成したガラスを2枚用意した。片面にコロナ放電処理を施したPFAフィルム(デュポン社製PFA500CLP、表面張力38dyn/cm2、フィルム厚125μm)を2枚用意し、コロナ放電処理を施した表面がシラン化合物層と接するように重ね合わせ、シラン化合物層を形成した1枚めのガラス板に載置し、さらにフィルムの上に、シラン化合物層を形成した2枚めのガラス板を載置した。次いで、320℃で、20kg/cm2の圧力下、40秒間にわたり熱溶融接着した。接着を安定化させるために、室温にて約1日放置した。このようにして得られた積層体は、透明であり、手でガラスとガラスを剥がすことが困難である程、強く密着していた。また、ガラス板へのシラン化合物の塗布を刷毛塗りにより行っても、同様に透明で優れた密着力を有する積層体が得られた。

発明の効果

0025

以上説明したように、本発明のフッ素樹脂フィルム積層体は優れた密着性を有し、種々の用途において使用することができる。本発明は、その基材がガラスの場合には、密着性に優れるだけでなく、さらに透明性に優れたフッ素樹脂フィルム積層体を提供することができる。

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