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技術 皮膚の表面状態の光学的特性の測定方法及び装置

出願人 花王株式会社
発明者 風間治仁永嶋義直矢田幸博
出願日 1996年10月25日 (23年4ヶ月経過) 出願番号 1996-301277
公開日 1998年5月19日 (21年9ヶ月経過) 公開番号 1998-127585
状態 特許登録済
技術分野 診断用測定記録装置 生体の呼吸・聴力・形態・血液特性等の測定 脈拍・心拍・血圧・血流の測定 その他の診断装置
主要キーワード 一次回帰式 表面散乱光 色分光特性 内部散乱光 到達深度 内部拡散光 透過深度 受光プローブ
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図面 (10)

課題

血液の循環に影響される皮膚の肌色度合いや、しみ、くすみ等の光学的特性を良好に評価できるようにする。

解決手段

皮膚Sに光L0 を入射させ、皮膚Sの表面から微小循環系までの領域の内部散乱光Li を検出し、光学的特性を求めることにより、皮膚の表面状態を測定する。この場合、検出光としては、波長400〜500nm、500〜600nm、600〜800nm、800〜1500nmの3つ以上の波長領域の光を使用することが好ましい。

概要

背景

従来、皮膚における色素沈着、くすみ等を測定し、評価する方法としては、皮膚表面に特定波長の光を入射させ、その反射光受光して特定波長における皮膚の反射率を求め、これにより紅斑や色素沈着を評価する方法が知られている(特開昭58−33153号公報)。また、皮膚の色素沈着を測定するために、特定の2つの波長での皮膚の反射率の比率を求めることにより、メラニン含量ヘモグロビン含量に関する指数を求める方法も知られている(特開平5−161609号公報)。

また、血液の影響を受けない表皮色相を測定する方法としては、皮膚表面を吸引して部分的に引上げ、その部分に白色光を入射させ、表皮の透過光分光スペクトルを求める方法も知られている(特開平5−87730号公報)。

概要

血液の循環に影響される皮膚の肌色度合いや、しみ、くすみ等の光学的特性を良好に評価できるようにする。

皮膚Sに光L0 を入射させ、皮膚Sの表面から微小循環系までの領域の内部散乱光Li を検出し、光学的特性を求めることにより、皮膚の表面状態を測定する。この場合、検出光としては、波長400〜500nm、500〜600nm、600〜800nm、800〜1500nmの3つ以上の波長領域の光を使用することが好ましい。

目的

本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、血液の微小循環状態とメラニンによる色素沈着とが関与するくすみ、くま等の皮膚の光学的特性を良好に評価できるようにすることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
5件
牽制数
8件

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請求項1

皮膚に光を入射させ、皮膚表面から微小循環系までの領域の内部散乱光を検出し、光学的特性を求めることを特徴とする皮膚の表面状態の光学的特性の測定方法

請求項2

投光手段を皮膚に接触させて光を入射させ、受光手段を皮膚に接触させて皮膚の内部散乱光を受光する請求項1記載の測定方法。

請求項3

波長400〜1500nmの光を検出する請求項1記載の測定方法。

請求項4

波長400〜500nmの光を検出する請求項1記載の測定方法。

請求項5

波長500〜600nmの光を検出する請求項1記載の測定方法。

請求項6

波長600〜800nmの光を検出する請求項1記載の測定方法。

請求項7

波長800〜1500nmの光を検出する請求項1記載の測定方法。

請求項8

3つ以上の波長領域の光を検出し、皮膚のヘモグロビン含有量に基づく光学的特性を求める請求項3〜7のいずれかに記載の測定方法。

請求項9

3つ以上の波長領域の光を検出し、ヘモグロビンの酸素飽和度に基づく光学的特性を求める請求項3〜7のいずれかに記載の測定方法。

請求項10

3つ以上の波長領域の光を検出し、皮膚のメラニン含有量に基づく光学的特性を求める請求項3〜7のいずれかに記載の測定方法。

請求項11

3つ以上の波長領域の光を検出し、皮膚の肌色指数を求める請求項3〜7のいずれかに記載の測定方法。

請求項12

皮膚に所定波長領域の光を入射させる投光手段、投光手段から皮膚に入射した光の内部散乱光を受光する受光手段、受光手段で受光された光の波長及び光量に基づき、皮膚表面から微小循環系までの領域の皮膚の光学的特性を算出する演算手段を有し、該投光手段及び受光手段の皮膚への対向面が高さ0.2〜0.8mmの周壁で囲まれていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの方法を実施する皮膚の表面状態の測定装置

請求項13

投光手段が、3つ以上の波長領域の光を入射させることができる請求項12記載の測定装置。

技術分野

0001

本発明は、皮膚表面から微小循環系までの、ヘモグロビンメラニン等の影響を受ける領域の光学的特性を求め、それにより皮膚の表面状態を測定する方法に関する。

背景技術

0002

従来、皮膚における色素沈着、くすみ等を測定し、評価する方法としては、皮膚表面に特定波長の光を入射させ、その反射光受光して特定波長における皮膚の反射率を求め、これにより紅斑や色素沈着を評価する方法が知られている(特開昭58−33153号公報)。また、皮膚の色素沈着を測定するために、特定の2つの波長での皮膚の反射率の比率を求めることにより、メラニン含量ヘモグロビン含量に関する指数を求める方法も知られている(特開平5−161609号公報)。

0003

また、血液の影響を受けない表皮色相を測定する方法としては、皮膚表面を吸引して部分的に引上げ、その部分に白色光を入射させ、表皮の透過光分光スペクトルを求める方法も知られている(特開平5−87730号公報)。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上述の皮膚の反射光を測定する方法では、受光する光に皮膚の内部散乱光の他に表面散乱光が多く含まれるため、受光した光の光路長にばらつきが多く、正確な分析ができないという問題がある。

0005

また、表皮の透過光を検出する方法では、検出結果に血液の影響が排除されているため、血液の循環が影響する皮膚の肌色度合いを評価することができないという問題がある。

0006

本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、血液の微小循環状態とメラニンによる色素沈着とが関与するくすみ、くま等の皮膚の光学的特性を良好に評価できるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、皮膚表面から微小循環系までの領域を測定対象とし、皮膚の内部散乱光を検出することにより上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0008

すなわち、本発明は、皮膚に光を入射させ、皮膚表面から微小循環系までの領域の内部散乱光を検出し、光学的特性を求めることを特徴とする皮膚の表面状態の光学的特性の測定方法を提供する。

0009

特に、波長400〜1500nmの領域において互いに異なる3つ以上の波長域の光を入射させて検出するか、又は波長400〜500nm、波長500〜600nm、波長600〜800nmの波長領域にそれぞれ属する3つの波長域の光を入射させて検出し、これにより光学的特性を求める皮膚表面状態の測定方法を提供する。

0010

また、これらの方法を実施する装置として、皮膚に所定波長領域の光を入射させる投光手段、投光手段から皮膚に入射した光の内部散乱光を受光する受光手段、受光手段で受光された光の波長及び光量に基づき、皮膚表面から微小循環系までの領域の皮膚の光学的特性を算出する演算手段を有し、該投光手段及び受光手段の皮膚への対向面が高さ0.2〜0.8mmの周壁で囲まれている皮膚の表面状態の測定装置を提供する。

0011

本発明によれば、皮膚表面から微小循環系までの領域の内部散乱光を検出するので、皮膚の角質層に存在し、皮膚の色素沈着の原因であるメラニンや、微小循環系のヘモグロビン等を良好に検出することができる。したがって、皮膚のくすみや血流の循環を反映した皮膚の肌色度合い等の皮膚の表面状態を良好に評価することが可能となる。

0012

また、本発明によれば、表面散乱光ではなく、内部散乱光を検出するので、検出する光の光路長のばらつきが比較的少なく、S/N比が向上する。

0013

なお、本発明において、皮膚の微小循環系とは、毛細血管組織との境界領域の血流系であって、全吸光度(組織の吸光度と毛細血管の静脈血の吸光度と拍動を伴う動脈血の吸光度との合計)に対し、拍動を伴う吸光度成分が5%以下の最小血流系をいう。

0014

本発明のように、拍動を伴う吸光度成分が5%以下の微小循環系を計測対象とすると、血液の循環に影響される皮膚の肌色度合いを評価することが可能となる。これに対し、皮膚色に影響を与える極めて浅部に位置している血流ではなく、拍動を伴う吸光度成分(動脈血)を主な計測対象とすると、深部血液の光学的特性を検出することとなるので、血液の循環に影響される皮膚の色を測定できない。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下、本発明の方法及び装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。

0016

図1は、本発明の方法の測定原理の説明図である。同図のように投光手段1から皮膚Sに光L0 を入射させると、入射光L0 の表面散乱光Ls と皮膚Sの内部に入射する光とに分かれ、皮膚内部に入射した光は真皮方向へ透過する光Lt 、吸収される光La 、内部散乱光として皮膚表面から射出する光Li とに分かれる。皮膚Sへの入射光L0 が可視光である場合、真皮以下の組織への透過光Lt はわずかであり、透過光Lt は、表面散乱光Ls や内部散乱光Li や吸収光Laの光量に比して無視することができる。したがって、

0017

入射光光量=表面散乱光光量+内部散乱光光量+吸収光光
近似できる。

0018

一方、内部散乱光および吸収光は、皮膚内部の色素吸収波長と色素の濃度により波長分布と光量が各々対応しつつ変化するので皮膚内部の色素に基づく情報を有しているといえる。

0019

そこで、上述の式において表面散乱光を無視できるように、あるいはノイズとして扱えるように測定系をくむと、入射光光量と内部散乱光とにはLambert−beerの法則を適用でき、次のように表すことができる。

0020

log(I0 /Is )=εcl
(式中、I0 :入射光量、Is :内部散乱光光量、ε:色素の吸光係数、c:色素濃度、l:光路長)
ところで、内部散乱光に影響する皮膚内部の色素としては、例えば、主に表皮に存在するメラニン、主に真皮に存在するヘモグロビンをあげることができ、このうちヘモグロビンには酸化型HbO2 )と還元型(Hb)とが存在する。そしてこれらの色素は図2に示すように固有吸収スペクトルを有する。また、皮膚の細胞組織が内部散乱光に与える影響は無視することができる。

0021

したがって、皮膚の内部散乱光を検出することにより、皮膚内部のヘモグロビン、メラニン等の色素の濃度を求めることができる。

0022

例えば、図2において、波長565nm(G)と波長830nm(IR)では酸化型ヘモグロビン還元型ヘモグロビンの吸光係数が等しいので、検出光の吸光度から各色素濃度を求める計算を簡略化することができる。また、波長660nm(R)では、酸化型ヘモグロビン(HbO2 )と還元型ヘモグロビン(Hb)の吸光係数相互の比率が最大であることから、上述の酸化型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長(565nm,830nm)での吸光度との比較によりヘモグロビンの酸素飽和度を算出できる。そこで、波長565nm(G)、830nm(IR)、660nm(R)の3種の波長での吸光度をAG 、AIR、AR とし、これらの3種の波長の吸光度に対する各色素の関与を考え、各色素の濃度を求める。

0023

この場合、メラニン、ヘモグロビンがそれぞれ表皮と真皮に存在し、表皮の厚さがdD 、真皮の厚さがdE であって、

0024

dD =kdE (式中、kは係数
とする。

0025

また、波長G、IR、Rによる透過深度の違いにより

0026

d(R) =m・d(G) 、 d(IR)=n・d(G)
とあわらわすことができる。この関係は、添字D で表す真皮と、添字E で表す表皮においてもなりたつ。

0027

したがって、上述の3つの吸光度AG 、AIR、AR は、それぞれ次式(1)〜(3)のように表される。式中、εX(Y)はY波長でのXの吸光係数を表し、CXはXの濃度を表している。

0028

0029

0030

0031

したがって、式(1)〜(3)から、酸化型ヘモグロビン濃度CHbO2、還元型ヘモグロビン濃度CHb、メラニン濃度CM につき、次式(4)〜(6)のようにあらわすことができる。

0032

0033

0034

0035

よって、吸光度AG 、AIR、AR を求めることにより、酸化型ヘモグロビン濃度CHbO2、還元型ヘモグロビン濃度CHb、メラニン濃度CM を算出できることがわかる。

0036

このように本発明によれば、血流中の酸化型ヘモグロビン濃度CHbO2、還元型ヘモグロビン濃度CHb、及び酸化型ヘモグロビン濃度CHbO2と還元型ヘモグロビン濃度CHbとの比率を求めることができるので、血流が皮膚の肌色に及ぼす影響をより詳細に評価することができる。ここで、酸化型ヘモグロビン(HbO2 )濃度と還元型ヘモグロビン(Hb)濃度との比率は、酸素飽和度、即ち、ヘモグロビンが酸素と結合している割合である。また、メラニンによる色素沈着の状態も正しく評価することができる。

0037

図3は、被験者年齢20〜50代、30名)の皮膚の肌色について、専門パネル目視によりくすみ有り(N=17)とくすみ無し(N=14)に分類し、くすみの有無(即ち、肌色悩みの有無)と被験者の皮膚の吸光度の分光特性とをまとめた肌色悩みの色分光特性図である。同図に示すように、波長500〜600nm(R)付近にある吸収ピークの大きさによって、肌色悩みの評価が分かれることがわかる。これは、血液中総ヘモグロビンが多い人は血行がよく、赤みのある健康な肌色をしているが、総ヘモグロビンが少ない人は血行が悪く、青みをおびた肌色となるためと考えられる。

0038

そこで、本発明によれば、ヘモグロビンと関連づけられる肌色度合いを、より簡便な評価指数である「肌色指数」で評価することが可能となる。即ち、肌色指数は、図3中、斜線面積に相当するものであり、次式で表される。

0039

肌色指数= 1/2×(Bの吸光度(470nm) +Gの吸光度(565nm) )×(565−470)+ 1/2×(Gの吸光度(565nm) +Rの吸光度(660nm) )×(660-565)− 1/2×(Bの吸光度(470nm) +Rの吸光度(660nm) )×(660-470)=95/2×(Bの吸光度(470nm) −2×Gの吸光度(565nm) +Rの吸光度(660nm))

0040

この肌色指数を用いて皮膚の肌色度合いを評価する方法も本発明は包含する。

0041

以上、3つの波長を用いて皮膚の内部散乱光を受光し、評価する方法を述べたが、本発明はこれに限られない。検出波長は、光源受光センサー等に応じて適宜設定することができる。例えば、波長400〜1500nmの任意の波長を使用することができ、また、酸化型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンの吸光係数の等しい波長を含む400〜500nmのB領域の波長、酸化型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンの感度が最大となる500〜600nmのG領域の波長、酸化型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンの吸光係数の等しい波長を含む600〜800nmのR領域の波長、波長800〜1500nmのIR領域の波長のいずれを使用してもよい。

0042

ただし、検出する波長に3種の色素の寄与がある場合には、上記各波長領域から3つ以上を適宜選択することが好ましい。

0043

図4は、皮膚表面から微小循環系までの領域の内部散乱光を検出し、光学的特性を求める本発明の装置例の概略構成図(同図(a))及びその投光・受光プローブの底面図である(同図(b))。

0044

同図の装置は、皮膚Sに密着して所定波長の光を入射させる投光手段1と、投光手段1から皮膚Sに入射した光の内部拡散光を受光する受光手段2とが一体に組み込まれた投光・受光プローブ3、受光手段2で受光した光の検出信号増幅するアンプ4及び検出した光の波長と光量とからその皮膚Sの光学的特性を算出するコンピュータ5からなっている。この装置では、投光・受光プローブ3において、投光手段1の皮膚への対向面1a及び受光手段2の皮膚Sへの対向面2aが、投光・受光プローブ3の外筒延長として形成されている高さ0.2〜0.8mmの周壁3aで囲まれていることが特徴となっている。したがって、この装置によれば、後述するように測定時に投光・受光プローブ3の周壁3aの縁辺3bを皮膚Sに密着させても、皮膚Sの測定部位が投光手段1や受光手段2で圧迫されてその部位の微小循環系の血液が排除されることはなく、したがってヘモグロビンの寄与による吸収の低下が測定時に引き起こされることも防止できる。これに対して図5のように、投光手段1の皮膚への対向面1a及び受光手段2の皮膚Sへの対向面2aが、投光・受光プローブ3の外筒の縁辺3bと同一平面上に形成されていると、投光・受光プローブ3を皮膚Sに密着させたときに測定部位の皮膚Sが圧迫され、その部位の微小循環系の血液が排除され、皮膚本来の状態を正確に測定することができないので好ましくない。

0045

図4の装置において、投光手段1は、4種の発光波長発光ダイオード(B(470nm),G(565nm),R(660nm),IR(830nm) )からなり、これらは受光手段2の周囲に同心円状に配されている。投光方向による誤差を低減させるため、各色の発光ダイオードは2個以上設けることが好ましい。

0046

受光手段2は、フォトダイオードからなっている。なお、同図の受光手段2は単一のフォトダイオードからなっているが、検出精度を向上させるため、必要に応じて複数のフォトダイオードを用いてもよい。

0047

また、この投光手段1と受光手段2とのそれぞれの中心間の距離Lは、測定対象領域を皮膚の表面から微小循環系までとするため、通常1〜3mm程度とする。

0048

この装置により皮膚Sの光学的特性を測定する時には、投光・受光プローブ3の外筒の縁辺3bを皮膚Sに密着させ、投光・受光プローブ3の内側に形成されている投光手段1の対向面1aと受光手段2の対向面2aとを皮膚Sに当接させる。このように対向面1aを皮膚に当接させて投光手段1から皮膚Sに投光することにより、皮膚Sに投光した光の皮膚表面凹凸による散乱光が受光手段2で受光されることを防止でき、また、投光手段1から皮膚S内部への入射光量を増加させることができ、投光角度による入射光量のばらつきも抑制することができる。また、受光手段2の対向面2aを皮膚Sに当接させることによっても皮膚の表面散乱光が受光されることを防止できる。したがって、この装置によると、投光手段1から皮膚Sに入射した光のうち、皮膚の表面散乱光を受光することなく内部散乱光のみを受光できるので、皮膚表面から微小循環系までの領域のメラニンやヘモグロビン等の含有量に基づく所定波長の光量を検出するにあたり、S/Nを向上させることができる。

0049

さらに、前述のように、測定時に投光・受光プローブ3の縁辺3bを皮膚Sに密着させた場合に、投光手段1の皮膚Sへの対向面1aや受光手段2の皮膚Sへの対向面2aは、投光・受光プローブ3の周壁3aで囲まれており、その縁辺3bから0.2〜0.8mmくぼんでいるので、皮膚Sの測定部位が投光手段1や受光手段2で圧迫されてその部位の微小循環系の血液が排除されることはなく、微小循環系の影響を反映した皮膚Sの光学的特性を正確に測定することができる。

0050

以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。

0051

比較例1、実施例1
皮膚に即時黒化を引き起こすUVB(波長290〜320nm)を、前腕内側に、照射量を6段階に変えて照射することにより色素沈着を誘導し(分光色差計(ミノルタ社製、CM−1000)による明度指数の測色値L* =62.383, 61.348, 61.05, 58.853, 57.183, 56.892)、各照射量段階で測定を行い、メラニン指数を求めた。

0052

この場合、比較例1では、反射光を受光する測定機として、MEXAMETERMX−16, Courage & Knazaka社製を用いた。この比較例1で用いた測定機は、発光ダイオードLEDを光源とし、波長568nm、660nm、880nmの各波長を皮膚に非接触で投光し、受光手段は、投光手段から試料に投光された光の表面反射光と内部拡散光とを併せて検出するものとなっている。

0053

また、実施例1の測定機としては、図4に示した装置を用いた。ただしこの場合、投光手段1から投光する光は、波長G(660nm) 及びR(830nm) とした。

0054

また、メラニン指数は、MX−16でのメラニン指数の算出法に基づき、次式にしたがって求めた。

0055

メラニン指数= Log5×[Log(R/G) + Log5]×500
(式中、R及びGは、それぞれ受光された波長G(660nm) 及びR(830nm) の光強度である。)
これらの結果を図6(実施例1)及び図7(比較例1)に示す。

0056

図6においても図7においても、UVBの照射量が多い程色素沈着が強くなり、分光型測色機による明度の測色値L* が小さくなっているが、内部散乱光を検出する実施例1の図6の結果の方が相関係数Rが高く、一次回帰式の傾きも大きいことがわかる。したがって、内部散乱光を検出する実施例1の測定の方が表面反射光を検出する比較例1の測定よりも測定精度も感度も良好であることがわかる。

0057

実施例2
最大血圧(220mmHg)以上で上腕を圧迫したときの圧迫時間と血液の状態の変化について調べた。

0058

この場合、560nm、660nm、830nmの3波長を検出波長とし、式(4)及び式(5)に基づいて酸化ヘモグロビン濃度及び還元ヘモグロビン濃度を算出し、総ヘモグロビン濃度とヘモグロビンの酸素飽和度とを求めた。

0059

光の到達深度に関する係数については、本例ではm=1.7、n=3.2とした(なお、これらの値は部位差、個人差により変化するものであり、本例での値に限定されるものではない)。また、分光型色差計(ミノルタ社製、CM−1000)にて明度L* を測定した。この結果を図8及び表1に示す。なお、図8において、横軸は圧迫時間を表し、縦軸は総ヘモグロビン濃度とヘモグロビンの酸素飽和度のそれぞれについて、圧迫開始時を1としたときの相対値を表している。

0060

圧迫時間(分)明度L*
0 61.9
1 61.4
2 61.0
3 60.7

0061

図8から、総ヘモグロビン濃度の経時的変化が少ないのに対し、酸素飽和度は経時的に大きく低下していることがわかる。これは、動脈及び静脈の双方の血流が止まり、血液量不変である状態で酸素が消費されていくためである。この際、肌色の明度にも顕著な低下が見られる。したがって、皮膚の微小循環系における血液状態の皮膚色への寄与をより詳細に評価していくためには、総ヘモグロビン濃度の計測ばかりでなく、酸素飽和度も求めることが重要であることがわかる。

0062

なお、検出波長を2波長とした場合には、酸化型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンの吸光係数が等しいヘモグロビンの等吸収点を用いることにより、総ヘモグロビン濃度を求めることはできるが、酸素飽和度は、等吸収点以外の波長の吸光度も参照しなくては理論的に算出できない。このため、酸素飽和度を求める場合には、この実施例のように少なくとも3波長以上を検出波長とする。

0063

実施例3
被験者として、20歳〜70歳代の女性103名のの肌色指数を、B(400〜500nm)、G(500〜600nm)、R(600〜800nm)の3波長の内部散乱光に基づく吸光度測定から求めた。また、9名の専門パネラーによりこれら各試料の肌色状態を1(不良)〜9(良好)に9段階に官能評価し、官能評価結果と肌色指数との関係をプロットした。この結果を図9に示す。

0064

図9から、本発明の肌色指数と専門パネラーによる官能評価結果とは良好な相関を有していることがわかる。

発明の効果

0065

本発明によれば、血液の循環に影響される皮膚の肌色度合いや、しみ、くすみ等の光学的特性を良好に評価することが可能となる。

図面の簡単な説明

0066

図1本発明の方法の測定原理の説明図である。
図2メラニン、酸化型ヘモグロビン(HbO2 )及び還元型ヘモグロビン(Hb)の吸収スペクトル図である。
図3肌色悩みの色分光特性図である。
図4本発明の装置例の概略構成図(同図(a))及びその投光・受光プローブの底面図である(同図(b))。
図5本発明と異なる装置例の使用状態の説明図である。
図6実施例における明度指数L* とメラニン指数との関係図である。
図7比較例における明度指数L* とメラニン指数との関係図である。
図8圧迫時間と総ヘモグロビン濃度又は酸素飽和度との関係図である。
図9官能評価スコアと実施例による肌色指数との関係図である。

--

0067

1投光手段
1a 投光手段の皮膚への対向面
2受光手段
2a 受光手段の皮膚への対向面
3 投光・受光プローブ
3a周壁
3b縁辺
L0入射光
La 吸収光
Li内部散乱光
Ls表面散乱光
Lt真皮方向への透過光
S 皮膚

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  • 新日本無線株式会社の「 バイタルセンサ」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】高速のCPUや大きなメモリも必要とすることなく、短い処理時間で効率よく、かつ高い感度にて、生体の情報を検知する。【解決手段】周波数掃引に基づき変調波を送信すると共にその反射波を受信し、送信波と... 詳細

  • フクダ電子株式会社の「 パルスオキシメータ及び血液特性測定装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】発光素子の波長を測定することなしに、発光素子の波長のバラツキによるSpO2測定精度の低下を抑制できるパルスオキシメータを提供すること。【解決手段】パルスオキシメータは、フォトディテクター122... 詳細

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