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技術 感熱記録媒体用のジアゾニウム塩

出願人 沖電気工業株式会社
発明者 海部勝晶小谷野武西木玲彦
出願日 1997年2月14日 (23年9ヶ月経過) 出願番号 1997-030839
公開日 1998年3月17日 (22年8ヶ月経過) 公開番号 1998-071771
状態 特許登録済
技術分野 感熱発色記録 非銀塩感光材料および非銀塩写真法 染料
主要キーワード シフト値δ テトラフェニルホウ酸ナトリウム 劣化傾向 攪拌液 改ざん防止効果 カプセルオイル テトラフルオロホウ酸カリウム 水分中
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

カプラーと反応して赤色系に発色し、さらにカプセルオイル高濃度に溶解するジアゾニウム塩を提供すること。

解決手段

下記の(1)式で表されるジアゾニウム塩である。ただし、(1)式中のRはアルキル基、より好適には、t−ブチルまたはsec−プチル基である。また、X- はヘキサフルオロホスフェートイオン等である。図1中の曲線aはジメチルスルホキシド溶液中におけるジアゾニウム塩とナフトールASとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示しており、反応後のジメチルスルホキシド溶液がマゼンダに発色していることが理解できる。図1中の曲線bはジメチルスルホキシド溶液中におけるジアゾニウム塩とナフトールAS−Gとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示しており、反応後のジメチルスルホキシド溶液が黄色に発色していることが理解できる。

化1

概要

背景

近年、従来のロイコ染料系の発色材料を用いた感熱記録媒体に代わって、光分解可能なジアゾニウム塩を用いた感熱記録媒体が提供されている。この感熱記録媒体は、ジアゾニウム塩、カプラー及び塩基性化合物を含む発色層支持体上に具えたものである。そして、感熱記録媒体の生保存性を高めるために、ジアゾニウム塩を界面重合法により、カプセルオイルとともにマイクロカプセル内封入し、感熱前には、カプラーや塩基性化合物と接触して発色しないように、マイクロカプセル隔壁により隔離させている構成のものが知られている(例えば文献:近保著「マイクロカプセル」pp.65−75、日本規格協会編(1991))。

概要

カプラーと反応して赤色系に発色し、さらにカプセルオイルに高濃度に溶解するジアゾニウム塩を提供すること。

下記の(1)式で表されるジアゾニウム塩である。ただし、(1)式中のRはアルキル基、より好適には、t−ブチルまたはsec−プチル基である。また、X- はヘキサフルオロホスフェートイオン等である。図1中の曲線aはジメチルスルホキシド溶液中におけるジアゾニウム塩とナフトールASとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示しており、反応後のジメチルスルホキシド溶液がマゼンダに発色していることが理解できる。図1中の曲線bはジメチルスルホキシド溶液中におけるジアゾニウム塩とナフトールAS−Gとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示しており、反応後のジメチルスルホキシド溶液が黄色に発色していることが理解できる。

目的

従って、カプセルオイルとともにマイクロカプセル内に封入されるジアゾニウム塩であって、塩基性化合物とカプラーとを含む発色層を具える感熱記録媒体に用いられる該ジアゾニウム塩に関し、(1)カプラーと反応して赤色系または黄色系に発色することができ、(2)カプセルオイルに高濃度、具体的には、カプセルオイル100gに対して1g以上、より好適には3〜30gの溶解度を有し、感熱記録媒体に用いられ場合に高濃度、高コントラストで感熱画像を形成することができ、(3)さらに、改ざん防止可能な感熱記録媒体を提供することができる、ジアゾニウム塩の出現が望まれていた。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ジアゾニウム塩塩基性化合物カプラーとを含む発色層を具える感熱記録媒体に用いる該ジアゾニウム塩であって、下記の(1)式で表されることを特徴とする感熱記録媒体用のジアゾニウム塩(ただし、(1)式中のRは炭素数2以上のアルキル基である。また、X- はヘキサフルオロホスフェート(hexafluorophosphate )イオンPF6-)、テトラフルオロボレート(tetrafluoroborate )イオン(BF4-)及びテトラフェニルボレート(tetraphenylborate )イオン((C6H5)4B- )から選ばれたいずれか1種類のものである。)。

請求項

ID=000004HE=010 WI=078 LX=0210 LY=0900

請求項2

前記(1)式中のアルキル基Rが、t−ブチル基またはsec−ブチル基であることを特徴とする、請求項1に記載の感熱記録媒体用のジアゾニウム塩。

請求項3

ジアゾニウム塩と塩基性化合物とカプラーとを含む発色層を具える感熱記録媒体に用いる該ジアゾニウム塩であって、下記の(2)式で表されることを特徴とする感熱記録媒体用のジアゾニウム塩(ただし、(2)式中のR1 及びR2 はそれぞれ炭素数1以上のアルキル基であり、同一でも異なっていても良い。また、X- はヘキサフルオロホスフェート(hexafluorophosphate )イオン(PF6-)、テトラフルオロボレート(tetrafluoroborate )イオン(BF4-)及びテトラフェニルボレート(tetraphenylborate )イオン((C6H5)4B- )から選ばれたいずれか1種類のものである。)。

請求項

ID=000005HE=020 WI=078 LX=0210 LY=1800

請求項4

前記(2)式中のアルキル基R1 及びR2 の少なくとも一方が、炭素数3〜8のアルキル基であることを特徴とする、請求項3に記載の感熱記録媒体用のジアゾニウム塩。

請求項5

前記ジアゾニウム塩が、カプセルオイル100gに対して、1g以上溶解することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱記録媒体用のジアゾニウム塩。

請求項6

前記ジアゾニウム塩が、250〜380nmの波長紫外線照射することにより分解することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱記録媒体用のジアゾニウム塩。

請求項7

前記ジアゾニウム塩が、示差熱分析計(DTA)を用いて、10℃/分の昇温条件で加熱した時の熱分解発熱ピーク温度が70℃以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱記録媒体用のジアゾニウム塩。

請求項8

前記ジアゾニウム塩が、カプセルオイルとともに、マイクロカプセル内封入されており、当該マイクロカプセル隔壁により、前記塩基性化合物およびカプラーから隔離されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱記録媒体用のジアゾニウム塩。

技術分野

0001

この発明は、ジアゾニウム塩塩基性化合物カプラーとを含む発色層を具える感熱記録媒体に用いる該ジアゾニウム塩に関し、特に、カプラーと反応して赤色系または黄色系に発色するジアゾニウム塩であって、カプセルオイルとともに、マイクロカプセル内封入される際に、該カプセルオイルに高濃度に溶解し、高濃度、高コントラスト感熱画像を形成することができ、かつ改ざん防止可能な感熱記録媒体を提供することができる、ジアゾニウム塩に関する。

背景技術

0002

近年、従来のロイコ染料系の発色材料を用いた感熱記録媒体に代わって、光分解可能なジアゾニウム塩を用いた感熱記録媒体が提供されている。この感熱記録媒体は、ジアゾニウム塩、カプラー及び塩基性化合物を含む発色層を支持体上に具えたものである。そして、感熱記録媒体の生保存性を高めるために、ジアゾニウム塩を界面重合法により、カプセルオイルとともにマイクロカプセル内に封入し、感熱前には、カプラーや塩基性化合物と接触して発色しないように、マイクロカプセル隔壁により隔離させている構成のものが知られている(例えば文献:近保著「マイクロカプセル」pp.65−75、日本規格協会編(1991))。

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、ジアゾニウム塩を用いた感熱記録媒体として、青色系に発色するものが多く、赤色系または黄色系に発色するものはほとんど知られていない。すなわち、カプラーの種類にもよるが、カプラーと反応して青色系に発色するジアゾニウム塩が多く、赤色系または黄色系に発色するジアゾニウム塩は少ない。

0004

また、ジアゾニウム塩をマイクロカプセル内に封入する場合には、安定した、均一な粒径エマルションを作製するために、ジアゾニウム塩をカプセルの芯となるオイル(以下、カプセルオイルと称する場合がある。)に溶解させる必要がある。

0005

しかしながら、従来のジアゾニウム塩は、フタル酸ジブチルリン酸トリクレシルなどのカプセルオイルに対する溶解性が低く、具体的に、例えば一般的な赤色系の発色をする4−ジアゾジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートは、フタル酸ジブチル100gまたはリン酸トリクレシル100gに対して、溶解度はいずれの場合も0.5g以下であり、さらに、一般的にカプセルオイルに対する溶解度が高いと言われている、4−ジアゾ−4’−メチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートであっても、フタル酸ジブチル100gまたはリン酸トリクレシル100gに対する溶解度は、いずれの場合も1.0g以下であった。

0006

そこで、4−ジアゾジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートや4−ジアゾ−4’−メチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートなどのジアゾニウム塩等をカプセルオイルに、より高濃度に溶解させるために、アセトンのような極性溶媒を添加する方法も提案されている(特願平8−36215)。

0007

しかしながら、極性溶媒は水との溶解性も高いため、ジアゾニウム塩を溶解したカプセルオイルを水系乳化分散した際に、ジアゾニウム塩が水相移行したり沈殿したりして、マイクロカプセル内のジアゾニウム塩の濃度が低下しやすいという問題があった。すなわち、ジアゾニウム塩は極性溶媒を添加することなく、カプセルオイルのみに高濃度に溶解させる必要がある。

0008

従って、カプセルオイルとともにマイクロカプセル内に封入されるジアゾニウム塩であって、塩基性化合物とカプラーとを含む発色層を具える感熱記録媒体に用いられる該ジアゾニウム塩に関し、(1)カプラーと反応して赤色系または黄色系に発色することができ、(2)カプセルオイルに高濃度、具体的には、カプセルオイル100gに対して1g以上、より好適には3〜30gの溶解度を有し、感熱記録媒体に用いられ場合に高濃度、高コントラストで感熱画像を形成することができ、(3)さらに、改ざん防止可能な感熱記録媒体を提供することができる、ジアゾニウム塩の出現が望まれていた。

0009

また、従来のジアゾニウム塩は、一般に高価であり、耐熱性に劣るため、感熱記録媒体の用途が制限されやすいという問題があり、より安価で、耐熱性が良好なジアゾニウム塩の提供も望まれていた。

課題を解決するための手段

0010

このため、この発明の感熱記録媒体用の第1のジアゾニウム塩によれば、ジアゾニウム塩と塩基性化合物とカプラーとを含む発色層を具える感熱記録媒体に用いる該ジアゾニウム塩であって、下記の(1)式で表されることを特徴とする。ただし、(1)式中のRは炭素数2以上のアルキル基である。また、X- はヘキサフルオロホスフェート(hexafluorophosphate )イオンPF6-)、テトラフルオロボレート(tetrafluoroborate )イオン(BF4-)及びテトラフェニルボレート(tetraphenylborate )イオン((C6H5)4B- )から選ばれたいずれか1種類のものである。

0011

0012

また、この発明の感熱記録媒体用の第2のジアゾニウム塩によれば、ジアゾニウム塩と塩基性化合物とカプラーとを含む発色層を具える感熱記録媒体に用いる該ジアゾニウム塩であって、下記の(2)式で表されることを特徴とする。ただし、(2)式中のR1 及びR2 はそれぞれ炭素数1以上のアルキル基であり、同一でも異なっていても良い。また、X- はヘキサフルオロホスフェート(hexafluorophosphate )イオン(PF6-)、テトラフルオロボレート(tetrafluoroborate )イオン(BF4-)及びテトラフェニルボレート(tetraphenylborate )イオン((C6H5)4B- )から選ばれたいずれか1種類のものである。

0013

0014

ここで、好ましくは、上記の(1)で表される第1のジアゾニウム塩のR、並びに上記の(2)式で表される第2のジアゾニウム塩のR1 及びR2 は、炭素数3〜8のアルキル基であるのが良い。これは、炭素数が3以上のアルキル基の場合には、ジアゾニウム塩をカプセルオイルに高濃度に溶解させることが可能となるためであり、また炭素数が8以下のアルキル基の場合には、後工程で詳細に説明するジアゾニウム塩を合成する際のジアゾ化の段階で生成する塩化ジアゾニウム水溶性となり、塩化ジアゾニウムをヘキサフルオロホスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、またはテトラフェニルボレート塩を作製し易すくなるためである。

0015

よって、より具体的には、上記の(1)で表される第1のジアゾニウム塩のアルキル基R、並びに上記の(2)式で表される第2のジアゾニウム塩のアルキル基R1 及びR2 としては、プロピル基ブチル基、ペンチル(アミル)基、ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基等が挙げられるが、さらに、これらアルキル基のシクロアルキル基ハロゲン化アルキル基等も好適である。

0016

そして、特に、上記の(1)で表される第1のジアゾニウム塩のアルキル基Rとしては、カプセルオイルに対する溶解度がより高い点からブチル基が好適である。そしてさらに、ブチル基の中でも、t−ブチル基およびsec-ブチル基が、さらに安価な原材料を用いて当該官能基を容易に導入でき、また、熱分解温度として115℃以上の高い値が得られる点で、この発明に最適である。

0017

このようなこの発明の第1及び第2のジアゾニウム塩によれば、例えばナフトールAS、ナフトールAS−D、ナフトールAS−OL、ナフトールAS−PH、ナフトールAS−MX、ナフトールAS−BO、ナフトールAS−BS、ナフトールAS−SW等のヒドロキシナフトエ酸誘導体等からなるカプラーと反応して、赤色系(マゼンダ系)に発色する。

0018

また、同じくこの発明の第1及び第2のジアゾニウム塩によれば、ナフトールAS−G、ナフトールAS−LG、ナフトールAS−L3G、ナフトールAS−L4G等のアセト酢酸誘導体からなるカプラーと反応して、黄色系に発色する。

0019

よって、ナフトールAS及びナフトールAS−Gを適当な比率で組み合わせ、これらナフトールAS及びナフトールAS−Gをカプラーとして用いることにより、この発明の第1及び第2のジアゾニウム塩は反応して、オレンジ色、赤色、ピンク色などの赤色系に発色させることも可能である。

0020

次に、この発明の第1及び第2のジアゾニウム塩が溶解させられるカプセルオイルについて説明する。すなわち、当該カプセルオイルは、ジアゾニウム塩を所定量溶解させ、水分中で、均一で安定したエマルションを作るためのものであり、最終的に、エマルションの界面において、均一な粒径のカプセルを界面重合により作製する際に重要な役目を果たしている。

0021

ここで、具体的なカプセルオイルの種類としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類や、リン酸トリクレシル、リン酸トリブチルリン酸トリフェニル等のリン酸エステル類が、所定の極性基を有しており、均一で安定したエマルションを作ることができ、さらには沸点が250℃以上であり、感熱紙に使用された場合にサーマルヘッドの熱でも安定した挙動を示すことができる点で最適である。

0022

なお、この発明の第1及び第2のジアゾニウム塩によれば、例えばフタル酸ジブチルやリン酸トリクレシルなどのカプセルオイルに対する溶解度は高いことが特徴である。具体的には、この発明のジアゾニウム塩が、かかるカプセルオイル100gに対して、1g以上の溶解度を示すことが可能である。すなわち、かかる溶解度の範囲を有するこの発明のジアゾニウム塩は、感熱記録媒体に用いられた場合に、高濃度で、コントラストの高い印字等が可能となる。

0023

よって、より好適には、この発明のジアゾニウム塩は、カプセルオイル100gに対して、1〜50g、最適には、3〜30gの範囲内の溶解度を有することである。かかる範囲であれば、より高濃度で、コントラストの高い印字等が可能となるためである。

0024

そして、例えば、第1のジアゾニウム塩としての、4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートは、フタル酸ジブチル100gに対して8g、リン酸トリクレシル100gに対して12g溶解し、同じく、4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートは、フタル酸ジブチルおよびリン酸トリクレシル100gに対して8g、4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートは、フタル酸ジブチルおよびリン酸トリクレシル100gに対して8g、リン酸トリクレシル100gに対して10g以上溶解する点で、この発明のジアゾニウム塩として好適である。

0025

また、同様に、例えば、第2のジアゾニウム塩としての、4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートは、フタル酸ジブチル100g、リン酸トリクレシル100gに対してそれぞれ20g以上溶解し、この発明に好適である。

0026

次に、この発明のジアゾニウム塩とともに使用される塩基性化合物について説明する。すなわち、この発明のジアゾニウム塩が使用される感熱記録媒体において、当該塩基性化合物は、ジアゾニウム塩とカプラーが反応して発色するためには、塩基性雰囲気にする必要があり、そのために、所定量添加されている。

0028

そして、より具体的には、トリシクロヘキシルアミントリベンジルアミンオクタデシルベンジルアミンステアリルアミンアリル尿素チオ尿酸メチルチオ尿酸、アリルチオ尿酸、エチレンチオ尿酸、 2−ベンジルイミダゾール類、4−フェニルイミダゾール類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール類、2−ウンデシルイミダゾリン類、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン類、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン類、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N′−ジベンジルピペラジン、4−4′−ジチオモルフォリン、モルフォリンニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾール等が、この発明の塩基性化合物として好適である。

0029

また、当該塩基性化合物の添加量についても、特に限定されるものでは無いが、ジアゾニウム塩100重量部あたり、1〜5000重量部の範囲で添加するのが好適である。かかる範囲内の塩基性化合物の添加であれば、所定の添加効果が得られるとともに、相対的にジアゾニウム塩とカプラーの量が減少することなく、高濃度、高コントラストの画像形成が可能となるためである。

0030

よって、かかるバランスがより良好なため、より好適な塩基性化合物の添加量としては、ジアゾニウム塩100重量部あたり、10〜1000重量部の範囲内であり、最適には、100〜400重量部の範囲内である。

0031

次に、塩基性化合物と同様に、この発明のジアゾニウム塩とともに使用される増感剤について説明する。すなわち、この発明のジアゾニウム塩が使用される感熱記録媒体において、当該増感剤は、感熱することにより、増感剤自身が容易に溶融し、発色層全体として粘度を低下させ、ジアゾニウム塩とカプラーとの反応を、より効率良く行わせるためである。

0032

ここで、増感剤としては、非水溶性で、比較的低分子量(平均分子量が10000未満、より好適には1000未満)のものであれば、容易に熱溶解し、またジアゾニウム塩やカプラーとの相溶性も良好であり、好適に使用できるが、より具体的には、ヒドロキシ安息香酸誘導体脂肪酸アミド類ステアリン酸亜鉛類、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1,4−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシエタン、p−ベンジルフェニル等が、高い増感効果が得られるとともに、耐熱性も高い点から、この発明に好適である。

0033

また、当該増感剤の添加量についても、特に限定されるものでは無いが、ジアゾニウム塩100重量部あたり、1〜1000重量部の範囲で添加するのが好適である。かかる範囲内の増感剤の添加であれば、所定の添加効果が得られるとともに、相対的にジアゾニウム塩とカプラーの量が減少することなく、高濃度、高コントラストの画像形成が可能となるためである。

0034

よって、かかるバランスがより良好なため、より好適な増感剤の添加量としては、ジアゾニウム塩100重量部あたり、10〜1000重量部の範囲内であり、最適には、400〜800重量部の範囲内である。

0035

次に、この発明のジアゾニウム塩の耐熱性について説明する。すなわち、感熱前の感熱記録媒体の状態では発色せずに、長期間の保管性が得られるように、この発明のジアゾニウム塩は、所定の耐熱性、具体的には、示差熱分析計(DTA、differential thermal analyzer)により、融解ピーク温度として測定される、所定の熱分解温度を有していることが好適である。

0036

具体的には、熱分解温度として、熱分解に伴う発熱ピーク温度と定義し、例えば10mgのジアゾニウム塩の試料を、DTAを用いて、空気中、10℃/分の昇温速度で加熱した場合に、当該温度として、70℃以上の値が得られることが好適である。この発明のジアゾニウム塩が、かかる範囲の熱分解温度を有していれば、感熱前の状態で、比較的長期間の感熱記録媒体の保管性が得られるためである。

0037

また、より好適なジアゾニウム塩の熱分解温度としては、90〜180℃の範囲内であり、最適には、115〜160℃の範囲内である。この発明のジアゾニウム塩が、かかる範囲内の熱分解温度を有していれば、感熱前の状態では、より長期間の感熱記録媒体の保管性が得られる一方、感熱時には、比較的低温で、より高感度、高コントラストの画像形成が可能となるためである。

0038

最後に、この発明のジアゾニウム塩の、感熱記録媒体への使用方法について説明する。すなわち、当該ジアゾニウム塩を用いて感熱記録媒体を作る製法について説明するが、この発明のジアゾニウム塩の使用方法として、この製法に限定されるものでないことは言うまでもない。

0039

(1)まず、この発明のジアゾニウム塩と、所定量のカプセルオイル、イソシアネート化合物からなる混合液を作る。そして、別途作成しておいたポリビニルアルコール水溶液を混合後、水系乳化させてエマルションを作製する。

0040

(2)それからさらに水を加えて、カプセルの壁材としてイソシアネート化合物を十分に反応させて、この発明のジアゾニウム塩とカプセルオイルが封入された、所定粒径のマイクロカプセルを作製する。

0041

(3)そして、得られたマイクロカプセルと、所定量のカプラー、塩基性化合物及び増感剤を混合して、均一な攪拌液をつくる。

0042

(4)それから、当該攪拌液を所定量の厚さで紙等の基材に塗布し、乾燥させることより、この発明のジアゾニウム塩を用いた感熱記録媒体を作製することが可能である。

0043

なお、かかる感熱記録媒体は、サーマルヘッド等を用いて所定の画像を形成するように加熱されると、まず増感剤が溶融し、全体の粘度を低下させて、カプラー、塩基性化合物及びこの発明のジアゾニウム塩を容易に混合させる。それから、混合されたカプラーとジアゾニウム塩が、塩基性雰囲気下で、反応して、赤または黄色系に発色する。

0044

そして、改ざん防止のため、さらなる加熱による画像形成を望まない場合には、250〜380nmの波長紫外線を、紫外線照射装装置等を用いて照射することにより、感熱せずに発色していない部分のジアゾニウム塩を分解させることができ、当該ジアゾニウム塩は、新たに加熱しても、カプラーと反応して発色することができなくなる。

0045

ここで、紫外線の波長を250〜380nmの範囲内が好適とするのは、かかる波長の紫外線であれば、効率良く、未反応のジアゾニウム塩のみを分解させることができ、また比較的安全性も高いためである。

発明を実施するための最良の形態

0046

以下、この出願の発明の実施の形態について、各実施例および図を参照しつつ、説明する。しかしながら、以下の説明中で挙げる使用材料およびその量、処理温度、処理時間などの数値的条件、並びに処理方法はこれら発明の範囲内の一例に過ぎないことを理解されたい。

0047

1.第1実施例
第1実施例のジアゾニウム塩は、下記の(3)式に示す一般式においてRがn−ブチル基(CH3(CH2)3-)の4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートである。

0048

0049

次に、この実施例のジアゾニウム塩の合成方法について説明する。

0050

〔1〕4−ニトロ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルの合成
先ず、下記の(4)式で表される反応式に従って、4−ニトロ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルを合成した。

0051

0052

ジメチルホルムアミド41mlにn−ブチルフェノール18.6g、p−ブロモニトロベンゼン25.0g及び炭酸カリウム17.2gをそれぞれ加え、140℃で12時間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を常温の水200mlに注入し、酢酸エチル100mlにより2回抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を水洗後、溶媒としての酢酸エチルを減圧蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、濃縮液シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn−ヘキサン展開し、4−ニトロ−4’−n−ブチルジフェニルエーテル30.2gを得た。

0053

〔2〕4−アミノ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルの合成
その後、下記の(5)式で表される反応式に従って、4−アミノ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルを合成した。

0054

0055

ジメチルホルムアミド300mlに濃塩酸(35wt%:以下の工程において同じ)10ml、鉄粉20g及び水45mlをそれぞれ加え、95℃で1時間攪拌した後、さらに4−ニトロ−4’−n−ブチルジフェニルエーテル30.2gを加え、95℃で30分間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を濾紙を用いて濾過し、溶媒としてのジメチルホルムアミドを減圧で蒸発させることにより濾液を濃縮した。濾液の濃縮はジメチルホルムアミドがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、濃縮液に常温の水200mlを注入し、酢酸エチル200mlにより抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を水洗後、乾燥した後、溶媒としての酢酸エチルを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、析出した結晶を濾紙を用いて濾別し、少量の酢酸エチルを用いて洗浄した後、乾燥を行い、4−アミノ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルを25.4gを得た。

0056

〔3〕4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの合成
最後に、下記の(6)式で表される反応式に従って、4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを合成した。

0057

0058

メタノール425mlに4−アミノ−4’−n−ブチルジフェニルエーテル25.4gを溶解し、濃塩酸69.1gを滴下した後、さらに氷冷下で38wt%の亜硝酸ナトリウム水溶液18.8gを滴下し、5℃まで温度を上げて30分間攪拌してジアゾ化反応させた。その後、反応液にヘキサフルオロリン酸カリウム29.3gを加え、5℃で2時間攪拌した。そして、析出した結晶をろ紙を用いて濾別し、水洗後、乾燥を行い、4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを28.2g得た。

0059

以上のようにして、4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを合成した。

0060

次に、合成したジアゾニウム塩の 1H NMR測定結果を下記の(7)式を参照して説明する。なお、 1H NMRの測定には、NMR装置としてVarian社製のGemini300(型番)を用いた。また、 1HNMR測定用のサンプルとして合成したジアゾニウム塩10mgを重クロロホルム0.5mlに溶解したものを用いた。

0061

0062

NMR測定により得られたチャート中に、化学シフト値δ=8.41の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットピークが生じ、化学シフト値δ=7.26の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.16の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.00の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=2.64の位置を中心としてピーク面積比が2のトリプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=1.61の位置を中心としてピーク面積比が2のマルチプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=1.37の位置を中心としてピーク面積比が2のマルチプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=0.95の位置を中心としてピーク面積比が3のトリプレットのピークが生じた。

0063

これらピークは上記(7)式中に示す4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを構成するプロトンに起因するピークに対応している。すなわち、化学シフト値δ=8.41の位置を中心として生じたピークはa及びbで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.26の位置を中心として生じたピークはd及びeで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.16の位置を中心として生じたピークはf及びgで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.00の位置を中心として生じたピークはh及びiで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=2.64の位置を中心として生じたピークはjで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=1.61の位置を中心として生じたピークはkで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=1.37の位置を中心として生じたピークはlで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=0.95の位置を中心として生じたピークはmで示す3つのプロトンに起因するピークである。このことから、合成したジアゾニウム塩が目的の化合物である4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートであることが同定できた。

0064

次に、4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(以下、ジアゾニウム塩Iと称する場合がある。)の発色特性について図1を参照して説明する。図1縦軸吸光度任意単位)を取り、横軸に波長(nm)を取って示した吸収スペクトルである。

0065

ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Iを溶解した後、さらにカプラーとしてナフトールAS、塩基性化合物としてトリフェニルグアニジンをジメチルスルホキシド溶液に添加したところ、マゼンダに発色した。図1中の曲線aは、ジアゾニウム塩IとナフトールASとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。波長380nm以上の可視領域について考えた場合、曲線aは波長380nm及び450nmの位置で約0.35の吸光度を示し、波長600nmの位置で約0の吸光度を示した。

0066

そして、曲線aには波長380〜450nmの間において波長410〜420nmの位置を中心として吸光度0.4未満の小さなピークを生じ、波長450〜600nmの間において波長520〜530nmの位置を中心として吸光度0.85程度のピークを生じた。

0067

このように波長450〜600nmの間の領域にピークが生じることにより、反応後のジメチルスルホキシド溶液が、マゼンダに発色していることが理解できる。

0068

また、ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Iを溶解した後、さらにカプラーとしてナフトールAS−G、塩基性化合物としてトリフェニルグアニジンをジメチルスルホキシド溶液に添加したところ、黄色に発色した。

0069

図1中の曲線bは、ジアゾニウム塩IとナフトールAS−Gとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。曲線bは波長350nmの位置で約0.60の吸光度を示し、波長490nmの位置で約0の吸光度を示した。そして、曲線bには波長350〜490nmの間において波長400nmの位置を中心として吸光度1.2程度のピークを生じた。

0070

このように波長350〜490nmの間の領域にピークが生じることにより、反応後のジメチルスルホキシド溶液が黄色に発色していることが理解できる。

0071

また、ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Iを溶解した後、ジメチルスルホキシド溶液に波長350nm程度の紫外線を照射し、その後、さらにナフトールASと塩基性化合物とをジメチルスルホキシド溶液に添加したが発色は生じなかった。同様に、紫外線照射後、さらにナフトールAS−Gと塩基性化合物とをジメチルスルホキシド溶液に添加したが発色は生じなかった。これは、紫外線を照射することにより、ジアゾニウム塩Iが分解し、ナフトールASまたはナフトールAS−Gとの反応性を失ったためである。図1中の曲線cは、紫外線照射前のジアゾニウム塩Iのジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示し、曲線dは、紫外線照射後のジアゾニウム塩Iのジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。

0072

曲線cとdとを比較することにより、紫外線照射後、ジアゾニウム塩Iが分解していることが理解できる。すなわち、曲線cには波長300nmの位置を中心として吸光度0.5程度のピークを生じたのに対し、曲線dにはこのようなピークは生じていない。

0073

このようにジアゾニウム塩Iは、ナフトールASと反応してマゼンダに発色し、ナフトールAS−Gと反応して黄色に発色する。このため、ナフトールAS及びナフトールAS−Gを適当な比率で組み合わせ、これらナフトールAS及びナフトールAS−Gをカプラーとして用いることにより、ジアゾニウム塩Iは、カプラーと反応してオレンジ色、赤色、ピンク色などの赤色系に発色する。このことから、4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩I)は、赤色系に発色する感熱記録媒体用のジアゾニウム塩として好適である。また、紫外線を照射することにより、ジアゾニウム塩Iは分解し、ナフトールASまたはナフトールAS−Gとの反応性を失うため、ジアゾニウム塩として4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩I)を用いた感熱記録媒体の画像定着が可能となる。

0074

次に、4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩I)のカプセルオイルに対する溶解性について検討した結果を説明する。

0075

すなわち、ジアゾニウム塩Iは、フタル酸ジブチル100gに対して8g溶解し、リン酸トリクレシル100gに対して12g溶解した。フタル酸ジブチル100gまたはリン酸トリクレシル100gに対する、従来の赤色系発色のジアゾニウム塩である、4−ジアゾジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートや4−ジアゾ−4’−メチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの溶解度は、いずれの場合も1.0g以下であることを考慮すると、ジアゾニウム塩Iは、フタル酸ジブチル及びリン酸トリクレシルに対して高い溶解性を示すことが理解できる。

0076

よって、この発明のジアゾニウム塩Iは、カプセルオイルとしてのフタル酸ジブチル及びリン酸トリクレシルに対して高い溶解性を示すことから、4−ジアゾ−4’−n−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩I)は、ジアゾニウム塩をマイクロカプセル内に封入するタイプの感熱記録媒体用のジアゾニウム塩として好適である。

0077

次に、第1実施例のジアゾニウムの熱分解温度を測定した。すなわち、DTAとして、島津製作所製のTHRMAL ANALYZERDT−30を用い、10mgの第1実施例のジアゾニウム塩を、10℃/分の昇温速度で加熱し、熱分解温度としての発熱ピークを測定した。その結果、106℃という高い値が得られた。
2.第2実施例
第2実施例のジアゾニウム塩は、下記の(8)式に示す一般式においてR1 及びR2 がn−ブチル基(CH3(CH2)3-)の4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートである。

0078

0079

次に、この実施例のジアゾニウム塩の合成方法について説明する。

0080

〔1〕1,4−ジ−n−ブトキシベンゼンの合成
先ず、下記の(9)式で表される反応式に従って、1,4−ジ−n−ブトキシベンゼンを合成した。

0081

0082

ジメチルホルムアミド300mlにハイドロキノン50.0g、臭化n−ブチル131g及び炭酸カリウム145gをそれぞれ加え、130℃で4時間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を常温の水1500mlに注入し、酢酸エチル300mlにより3回抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を水洗後、溶媒としての酢酸エチルを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn−ヘキサンで展開し、1,4−ジ−n−ブトキシベンゼン70.5gを得た。

0083

〔2〕2,5−ジ−n−ブトキシフェノールの合成
その後、下記の(10)式で表される反応式に従って,2,5−ジ−n−ブトキシフェノールを合成した。

0084

0085

1,4−ジ−n−ブトキシベンゼン70.3gに塩化アセチル77mlを加えた後、さらに氷冷下で塩化アルニウム50.7gを加え、−5℃で1時間攪拌して反応させた。反応液を常温の水1000mlに注入し、塩化メチレン500mlにより2回抽出した。抽出液(すなわちを塩化メチレン溶液)を水洗後、溶媒としての塩化メチレンを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は塩化メチレンがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn−ヘキサンと酢酸エチルの混合液(体積比でn-ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で展開し、2−アセチル−1,4−ジ−n−ブトキシベンゼン77.2gを得た。

0086

その後、酢酸54mlに2−アセチル−1,4−ジ−n−ブトキシベンゼン67.1gを加えた後、さらに40℃で40wt%の過酢酸83mlを滴下し、40℃で18時間攪拌して反応させた。反応液を常温の水700mlに注入し、酢酸エチル300mlにより2回抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を水洗後、溶媒としての酢酸エチルを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、析出した結晶を濾紙を用いて濾別し、少量の酢酸エチルを用いて洗浄した後、乾燥を行い、2−アセトキシ−1,4−ジ−n−ブトキシベンゼン53.0gを得た。

0087

その後、水255mlにエタノール23ml、水酸化カリウム51.1g及び2−アセトキシ−1,4−ジ−n−ブトキシベンゼン53.0gをそれぞれ加え、80℃で1時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、中和し、酢酸エチル200mlにより2回抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を水洗後、溶媒としての酢酸エチルを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、析出した結晶を濾紙を用いて濾別し、少量の酢酸エチルを用いて洗浄した後、乾燥を行い、2,5−ジ−n−ブトキシフェノール35.1gを得た。

0088

〔3〕4−ニトロ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルの合成
その後、下記の(11)式で表される反応式に従って、4−ニトロ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルを合成した。

0089

0090

ジメチルホルムアミド28mlに2,5−ジ−n−ブトキシフェノール20.0g、p-ブロモニトロベンゼン17.0g及び炭酸カリウム11.6gをそれぞれ加え、140℃で12時間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を常温の水1500mlに注入し、酢酸エチル100mlにより2回抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を水洗後、溶媒としての酢酸エチルを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn−ヘキサンで展開し、4−ニトロ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテル24.7gを得た。

0091

〔4〕4−アミノ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルの合成
その後、下記の(12)式で表される反応式に従って、4−アミノ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルを合成した。

0092

0093

ジメチルホルムアミド186mlに濃塩酸6.2ml、鉄粉12.4g及び水28mlをそれぞれ加え、95℃で1時間攪拌した後、さらに4−ニトロ−2’,5’ジ−n−ブトキシジフェニルエーテル24.7gを加え、95℃で30分間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を濾紙を用いて濾過し、溶媒としてのジメチルホルムアミドを減圧で蒸発させることにより濾液を濃縮した。瀘液の濃縮はジメチルホルムアミドがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、濃縮液に常温の水200mlを注入し、酢酸エチル200mlにより抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を水洗後、溶媒としての酢酸エチルを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn−ヘキサンと酢酸エチルとの混合液(体積比でn−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で展開し、4−アミノ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテル19.5gを得た。

0094

〔5〕4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの合成
最後に、下記の(13)式で表される反応式に従って、4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを合成した。

0095

0096

メタノール240mlに4−アミノ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテル19.5gを溶解し、濃塩酸39.0gを滴下した後、さらに氷冷下で38wt%の亜硝酸ナトリウム水溶液10.5gを滴下し、5℃まで温度を上げて30分間攪拌してジアゾ化反応させた。その後、反応液にヘキサフルオロリン酸カリウム16.6gを加え、5℃で2時間攪拌した。そして、析出した結晶を濾紙を用いて濾別し、水洗後、乾燥を行い、4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを15.8g得た。

0097

以上のようにして、4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを合成した。

0098

次に、合成したジアゾニウム塩の 1H−NMRの測定結果を下記の(14)式を参照して説明する。なお、 1H−NMRの測定には、NMR装置としてVarian社製のGemini300(型番)を用いた。また、 1H−NMR測定用のサンプルとして合成したジアゾニウム塩0.5gを重クロロホルム0.5mlに溶解したものを用いた。

0099

0100

NMR測定により得られたチャート中に、化学シフト値δ=8.28の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.14の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=6.94の位置を中心としてピーク面積比が1のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=6.80の位置を中心としてピーク面積比が1のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=6.71の位置を中心としてピーク面積比が1のシングレットのピークが生じ、化学シフト値δ=3.98の位置を中心としてピーク面積比が4のマルチプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=1.77の位置を中心としてピーク面積比が2のマルチプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=1.51の位置を中心としてピーク面積比が4のマルチプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=1.17の位置を中心としてピーク面積比が2のマルチプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=0.97の位置を中心としてピーク面積比が3のトリプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=0.80の位置を中心としてピーク面積比が3のトリプレットのピークが生じた。

0101

これらピークは上記(14)式中に示す4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを構成するプロトンに起因するピークに対応している。すなわち、化学シフト値δ=8.28の位置を中心として生じたピークはa及びbで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.14の位置を中心として生じたピークはd及びeで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=6.94の位置を中心として生じたピークはfで示す1つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=6.80の位置を中心として生じたピークはgで示す1つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=6.71の位置を中心として生じたピークはhで示す1つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=3.98の位置を中心として生じたピークはi及びjで示す4つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=1.77の位置を中心として生じたピークはkで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=1.51の位置を中心として生じたピークはl及びmで示す4つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=1.17の位置を中心として生じたピークはnで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=0.97の位置を中心として生じたピークはpで示す3つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=0.80の位置を中心として生じたピークはqで示す3つのプロトンに起因するピークである。

0102

このことから合成したジアゾニウム塩が目的の化合物である4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートであることが同定できた。

0103

次に、4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(以下、ジアゾニウム塩IIと称する場合がある。)の発色特性について図2を参照して説明する。

0104

ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩IIを溶解した後、さらにカプラーとしてナフトールAS、塩基性化合物としてトリフェニルグアニジンをジメチルスルホキシド溶液に添加したところ、マゼンダに発色した。図2中の曲線aは、ジアゾニウム塩IIとナフトールASとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。図2中の曲線aは第1実施例で説明した図1中の曲線aと同様な変化を示している。このことより、反応後のジメチルスルホキシド溶液がマゼンダに発色していることが理解できる。

0105

また、ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩IIを溶解した後、さらにカプラーとしてナフトールAS−G、塩基性化合物としてトリフェニルグアニジンをジメチルスルホキシド溶液に添加したところ、黄色に発色した。図2中の曲線bは、ジアゾニウム塩IIとナフトールAS−Gとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。図2中の曲線bは第1実施例で説明した図1中の曲線bと同様な変化を示している。このことより、反応後のジメチルスルホキシド溶液が黄色に発色していることが理解できる。

0106

また、ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩IIを溶解した後、ジメチルスルホキシド溶液に波長350nm程度の紫外線を照射し、その後、さらにナフトールASと塩基性化合物とをジメチルスルホキシド溶液に添加したが発色は生じなかった。同様に、紫外線照射後、さらにナフトールAS−Gと塩基性化合物とをジメチルスルホキシド溶液に添加したが発色は生じなかった。これは、紫外線を照射することにより、ジアゾニウム塩IIが分解し、ナフトールASまたはナフトールAS−Gとの反応性を失ったためである。図2中の曲線cは、紫外線照射前のジアゾニウム塩IIのジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示し、曲線dは、紫外線照射後のジアゾニウム塩IIのジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。曲線cとdとを比較することにより、紫外線照射後、ジアゾニウム塩IIが分解していることは、第1実施例の場合と同様に理解できる。

0107

このようにジアゾニウム塩IIは、ナフトールASと反応してマゼンダに発色し、ナフトールAS−Gと反応して黄色に発色する。このため、ナフトールAS及びナフトールAS−Gを適当な比率で組み合わせ、これらナフトールAS及びナフトールAS−Gをカプラーとして用いることにより、ジアゾニウム塩IIは、カプラーと反応してオレンジ色、赤色、ピンク色などの赤色系に発色する。このことから、4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩II)は、赤色系に発色する感熱記録媒体用のジアゾニウム塩として好適である。また、紫外線を照射することにより、ジアゾニウム塩IIは分解し、ナフトールASまたはナフトールAS−Gとの反応性を失うため、ジアゾニウム塩として4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩II)を用いた感熱記録媒体の画像定着が可能となる。

0108

次に、4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩II)のカプセルオイルに対する溶解性について説明する。

0109

ジアゾニウム塩IIは、フタル酸ジブチル100g、リン酸トリクレシル100gに対してそれぞれ20g以上溶解する。フタル酸ジブチル100gまたはリン酸トリクレシル100gに対する4−ジアゾジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの溶解度はいずれの場合も0.5g以下であり、フタル酸ジブチル100gまたはリン酸トリクレシル100gに対する4−ジアゾ−4’−メチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの溶解度はいずれの場合も1.0g以下であることを考慮すると、ジアゾニウム塩IIは、フタル酸ジブチル及びリン酸トリクレシルに対して高い溶解性を示すことが理解できる。

0110

このようにジアゾニウム塩IIは、カプセルオイルとしてのフタル酸ジブチル及びリン酸トリクレシルに対して高い溶解性を示すことから、4−ジアゾ−2’,5’−ジ−n−ブトキシジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩II)は、ジアゾニウム塩をマイクロカプセル内に封入するタイプの感熱記録媒体用のジアゾニウム塩として好適である。

0111

この発明は、上述した各実施例に限定されるものではないことは明らかである。例えば、上述の各実施例では、ヘキサフルオロホスフェート塩の形のジアゾニウム塩(すなわち対陰イオンがヘキサフルオロホスフェートイオンであるジアゾニウム塩)の場合について説明したが、テトラフルオロボレート塩の形のジアゾニウム塩(すなわち対陰イオンがヘキサフルオロボレートイオンであるジアゾニウム塩)や、テトラフェニルボレート塩の形のジアゾニウム塩(すなわち対陰イオンがテトラフェニルボレートイオンであるジアゾニウム塩)であっても良い。なお、テトラフルオロボレート塩の形のジアゾニウム塩を合成する場合には、上述したジアゾニウム塩合成の最終段階において、ヘキサフルオロリン酸カリウムの代わりに、テトラフルオロホウ酸カリウムまたはテトラフルオロホウ酸ナトリウムを用いれば良く、テトラフェニルボレート塩の形のジアゾニウム塩を合成する場合には、上述したジアゾニウム塩合成の最終段階において、ヘキサフルオロリン酸カリウムの代わりに、テトラフェニルホウ酸ナトリウムを用いれば良い。また、ジアゾニウム塩と反応してマゼンダに発色するカプラーはナフトールASに限らず、また、ジアゾニウム塩と反応して黄色に発色するカプラーはナフトールAS−Gに限らない。

0112

次に、第2実施例のジアゾニウム塩IIの熱分解温度について説明する。すなわち、第1実施例と同じ条件で、DTAを用いて、熱分解に伴う発熱ピークを測定したところ、約76℃の値が得られた。
3.第3実施例
第3実施例のジアゾニウム塩は、下記の(15)式に示す一般式においてRがt−ブチル基の4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートである。

0113


ID=000020HE=020 WI=078 LX=0210 LY=0650

0114

次に、この実施例のジアゾニウム塩の合成方法について説明する。

0115

〔1〕4−ニトロ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルの合成
先ず、下記の(16)式で表される反応式に従って、4−ニトロ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルを合成した。

0116

0117

ジメチルホルムアミド20mlに、p−ブチルフェノール18.6g、p−クロロニトロベンゼン10.0g及び炭酸カリウム10.5gをそれぞれ加え、140℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を常温の水150mlに注入し、酢酸エチル150mlにより抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を5%水酸化ナトリウム水溶液100mlで3回、10%食塩水で1回洗浄後、溶媒としての酢酸エチルを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行い、17.6gの4−ニトロ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルを得た。

0118

〔2〕4−アミノ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルの合成
その後、下記の(17)式で表される反応式に従って、4−アミノ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルを合成した。

0119

0120

トルエン90mlに濃塩酸(35wt%:以下の工程において同じ)6.35g、鉄粉21.7g及び水72mlを加え、85℃で1時間攪拌した後、さらに15.0gの4−アミノ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルを、27mlのトルエンに溶解させた溶液を加え、85℃で1時間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を20%炭酸ナトリウム水溶液により反応液を中和し、濾過後、有機層を水洗し、溶媒としてのトルエンを減圧で蒸発させることにより濾液を濃縮した。濾液の濃縮はトルエンがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、析出した結晶を濾紙を用いて濾別、乾燥し、12.5gの4−アミノ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルを得た。

0121

〔3〕4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの合成
最後に、下記の(18)式で表される反応式に従って、4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを合成した。

0122

0123

水204mlに、4−アミノ−4’−t−ブチルジフェニルエーテル10.0gと濃塩酸25.9gを加え、氷冷下で20wt%の亜硝酸ナトリウム水溶液17mlを滴下し、1時間攪拌してジアゾ化反応させた。その後、反応液にヘキサフルオロリン酸カリウム8.43gを加え、2℃で30分間攪拌した。そして、析出した結晶を濾紙を用いて濾別し、水洗後、乾燥を行い、8.8gの4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを得た。

0124

よって、以上のようにして、4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを合成し、次の評価に供した。

0125

( 1H−NMRの測定)次に、合成したジアゾニウム塩の 1H−NMRの測定結果を下記の(19)式を参照して説明する。なお、 1H−NMRの測定には、NMR装置としてVarian社製のGemini300(型番)を用いた。また、 1H−NMR測定用のサンプルとして合成したジアゾニウム塩10mgを重クロロホルム0.5mlに溶解したものを用いた。

0126

0127

NMR測定により得られたチャート中に、化学シフト値δ=8.44の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.50の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.19の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.03の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=1.36の位置を中心としてピーク面積比が9のシングレットのピークが生じた。

0128

これらピークは上記(19)式中に示す4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを構成するプロトンに起因するピークに対応している。すなわち、化学シフト値δ=8.44の位置を中心として生じたピークはa及びbで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.50の位置を中心として生じたピークはc及びdで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.19の位置を中心として生じたピークはe及びfで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.03の位置を中心として生じたピークはg及びhで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=1.36の位置を中心として生じたピークはi、jおよびkで示す3つのプロトンに起因するピークである。

0129

このことから、合成したジアゾニウム塩が目的の化合物である4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートであることが同定できた。

0130

(吸収スペクトルの測定)次に、4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(以下、ジアゾニウム塩Ibと称する場合がある。)の発色特性について図3を参照して説明する。図3は、縦軸に吸光度(任意単位)を取り、横軸に波長(nm)を取って示した吸収スペクトルである。

0131

ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Ibを溶解した後、さらにカプラーとしてナフトールAS、塩基性化合物としてトリフェニルグアニジンをジメチルスルホキシド溶液に添加したところ、マゼンダに発色した。図3中の曲線bは、ジアゾニウム塩IbとナフトールASとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。波長380nm以上の可視領域について考えた場合、曲線bは波長380nm〜450nmの範囲内で、波長410nm〜420nmの位置を中心として、0.3未満の小さな吸光度ピークを示し、波長450nm〜600nmの範囲内で、波長520nm〜530nmの位置を中心として、約0.6の吸光度ピークを示した。このように、この発明のジアゾニウム塩Ib等が溶解したジメチルスルホキシド溶液は、波長450nm〜600nmの範囲内に、ピーク波長を有することより、マゼンダに発色していることが理解できる。

0132

また、ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Ibを溶解した後、さらにカプラーとしてナフトールAS−G、塩基性化合物としてトリフェニルグアニジンをジメチルスルホキシド溶液に添加したところ、黄色に発色した。図3中の曲線cは、ジアゾニウム塩IbとナフトールAS−Gとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。曲線cは、波長350〜490nmの範囲において、波長400nmの位置を中心として吸光度0.8程度のピークを生じた。このように波長350〜490nmの間の領域にピークが生じることにより、反応後のジメチルスルホキシド溶液が黄色に発色していることが理解できる。

0133

また、ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Ibを溶解した後、ジメチルスルホキシド溶液に波長350nm程度の紫外線を照射し、その後、さらにナフトールASと塩基性化合物とをジメチルスルホキシド溶液に添加したが発色は生じなかった。同様に、紫外線照射後、さらにナフトールAS−Gと塩基性化合物とをジメチルスルホキシド溶液に添加したが発色は生じなかった。これは、紫外線を照射することにより、ジアゾニウム塩Ibが分解し、ナフトールASまたはナフトールAS−Gとの反応性を失ったためである。図3中の曲線aは、紫外線照射前のジアゾニウム塩Ibのジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示し、曲線dは、紫外線照射後のジアゾニウム塩Ibのジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。曲線aとdとを比較することにより、紫外線照射後、ジアゾニウム塩Ibが分解していることが理解できる。すなわち、曲線aには波長300nmの位置を中心として吸光度0.5程度のピークを生じたのに対し、曲線dにはこのようなピークは生じていない。

0134

このようにジアゾニウム塩Ibは、ナフトールASと反応してマゼンダに発色し、ナフトールAS−Gと反応して黄色に発色する。このため、ナフトールAS及びナフトールAS−Gを適当な比率で組み合わせ、これらナフトールAS及びナフトールAS−Gをカプラーとして用いることにより、ジアゾニウム塩Ibは、カプラーと反応してオレンジ色、赤色、ピンク色などの赤色系に発色する。このことから、4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩Ib)は、赤色系に発色する感熱記録媒体用のジアゾニウム塩として好適である。また、紫外線を照射することにより、ジアゾニウム塩Ibは分解し、ナフトールASまたはナフトールAS−Gとの反応性を失うため、ジアゾニウム塩として4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩I)を用いた感熱記録媒体の画像定着が可能となるとともに、改ざん防止等が図られる。

0135

(カプセルオイルに対する溶解性)次に、4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩Ib)のカプセルオイルに対する溶解性について検討した結果を説明する。

0136

すなわち、ジアゾニウム塩Ibは、フタル酸ジブチル100gおよびリン酸トリクレシル100gに対して8g以上溶解する。フタル酸ジブチル100gおよびリン酸トリクレシル100gに対する、従来の4−ジアゾジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの溶解度は、いずれの場合も0.5g以下であり、さらに、フタル酸ジブチル100gおよびリン酸トリクレシル100gに対する4−ジアゾ−4’−メチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの溶解度は、いずれの場合も1.0g以下であり、この発明のジアゾニウム塩Ibは、フタル酸ジブチル及びリン酸トリクレシル等のカプセルオイルに対して高い溶解性を示すことが理解できる。

0137

(熱分解温度の測定)次に、4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩Ib)の、熱分解温度を、第1の実施例と同一の条件で、DTAを用いて測定した。

0138

すなわち、DTA(島津製作所製、THRMAL ANALYZERDT−30)を用いて、当該ジアゾニウム塩Ibの熱分解温度を、分解に伴う発熱ピークから求めた。その結果、融解ピークである吸熱ピークは観察されずに、熱分解の際の発熱ピークのみ観察され、その温度は164℃と高い値であった。

0139

(感熱記録媒体の作製1および評価)最後に、この発明の4−ジアゾ−4’−t−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩Ib)を用いて、まず、マイクロカプセルを作り、さらにそれを用いて感熱記録媒体(感熱記録紙)を作製し、印字性保存性を評価した。

0140

すなわち、4gのジアゾニウム塩Ib、48gのフタル酸ジブチルおよび、48gのキシリレンジイソシアネートトリメチロールプロパン付加物タケネートD110N(商標、武田薬品工業株式会社製)を混合し、溶解させた後、8.2%のポリビニルアルコール水溶液を126g加え、超音波照射により、乳化し、エマルションを作製した。なお、この発明のジアゾニウム塩Ibは、カプセルオイルとしてのフタル酸ジブチルに良好な溶解性を示し、極めて短時間に、均一に溶解させることができた。

0141

そして、さらに200gの水を加え、40℃で4時間攪拌しつつ加温し、ポリビニルアルコールイソシアネートからなる隔壁を有する、平均粒径1〜2ミクロンのマイクロカプセルが得られた。

0142

一方、10gのナフトールAS、10gのトリフェニルグアニンおよび、10gのp−ヒドロキシ安息香酸を、それぞれ、5%のポリビニルアルコール水溶液50gに加え、ボールミルを用いて、3日間粉砕混合し、カプラー分散液有機塩基分散液および、増感剤分散液を得た。

0143

そして、上記マイクロカプセル100gに対して、カプラー分散液30g、有機塩基分散液30gおよび、増感剤分散液60gを混合分散し、さらに、当該混合分散液を、バーコーターにより、坪量10g/m2 となるように紙に塗布した後、乾燥して、この発明のジアゾニウム塩を使用した感熱記録媒体としての感熱記録紙とした。

0144

そしてそれから、当該感熱記録紙を使用して、感熱プリンターにより、印字を行ったところ、マゼンダ色に発色することが確認された。マクベス濃度計により、マゼンダ用フィルターを用いて光学濃度を測定したところ、ODは、1.0以上と高い値が得られた。

0145

さらに、紫外線照射装置により、波長350nmの紫外線を、照射したところ、その後、再度、感熱プリンターにより、印字を行ったところ、なんら新たに発色しないことが確認された。

0146

そしてまた、当該感熱記録紙を、室温、相対湿度50%条件で保管したところ、1年以上経過しても、顕著な印字性等の劣化傾向は見られなかった。

0147

(感熱記録媒体の作製2および評価)感熱記録媒体の作製1における、カプラーのナフトールAS単独のかわりに、ナフトールASとナフトールAS−Gを両方用いたほかは、同様に、この発明のジアゾニウム塩を使用した感熱記録紙を作製し、評価した。

0148

すなわち、まず、10gのナフトールAS、10gのナフトールAS−G、10gのトリフェニルグアニンおよび、10gのp−ヒドロキシ安息香酸を、それぞれ、5%のポリビニルアルコール水溶液50gに加え、ボールミルを用いて、3日間粉砕混合し、カプラー分散液、有機塩基分散液および、増感剤分散液を得た。

0149

そして、第3の実施例で作製したマイクロカプセル100gに対して、ナフトールASのカプラー分散液24g、ナフトールAS−Gのカプラー分散液6g、有機塩基分散液30gおよび、増感剤分散液60gを混合分散し、さらに、当該混合分散液を、バーコーターにより、坪量10g/m2 となるように紙に塗布した後、乾燥して、この発明のジアゾニウム塩を使用した感熱記録媒体としての感熱記録紙とし、評価した。

0150

その結果、当該感熱記録紙を使用して、感熱プリンターにより、画像形成を行ったところ、鮮明な赤色に発色することが確認された。また、マクベス濃度計により、マゼンダ用フィルターを用いて光学濃度を測定したところ、ODは、1.0以上と高い値が得られた。

0151

さらに、紫外線照射装置により波長350nmの紫外線を照射し、その後、再度、感熱プリンターにより画像形成を行ったところ、なんら発色せず、新たに画像形成できないことが確認された。

0152

そしてまた、当該感熱記録紙を、室温、相対湿度50%条件で保管したところ、1年以上経過しても、外観上も顕著な変化なく、さらには発色性等の性能劣化も特に見られなかった。

0153

4.第4の実施例
第4実施例のジアゾニウム塩は、下記の(20)式に示す一般式においてRがsec−ブチル基の4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートである。

0154


ID=000025HE=015 WI=082 LX=0640 LY=1900

0155

次に、この実施例のジアゾニウム塩の合成方法について説明する。

0156

〔1〕4−ニトロ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルの合成
先ず、下記の(21)式で表される反応式に従って、4−ニトロ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルを合成した。

0157

0158

ジメチルホルムアミド20mlに、p−ブチルフェノール10.1g、p−クロロニトロベンゼン10.0g及び炭酸カリウム10.5gをそれぞれ加え、140℃で6時間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を常温の水150mlに注入し、酢酸エチル150mlにより抽出した。抽出液(すなわち酢酸エチル溶液)を5%水酸化ナトリウム水溶液100mlで3回、10%食塩水で1回洗浄後、溶媒としての酢酸エチルを減圧で蒸発させることにより抽出液を濃縮した。抽出液の濃縮は酢酸エチルがほとんど蒸発しなくなるまで行い、17.6gの4−ニトロ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルを得た。

0159

〔2〕4−アミノ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルの合成
その後、下記の(22)式で表される反応式に従って、4−アミノ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルを合成した。

0160

0161

トルエン90mlに濃塩酸(35wt%:以下の工程において同じ)6.35g、鉄粉21.7g及び水72mlを加え、85℃で1時間攪拌した後、さらに15.0gの4−アミノ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルを、27mlのトルエンに溶解させた溶液を加え、85℃で1時間攪拌して反応させた。反応液を室温まで冷却後、この反応液を20%炭酸ナトリウム水溶液により反応液を中和し、濾過後、有機層を水洗し、溶媒としてのトルエンを減圧で蒸発させることにより濾液を濃縮した。濾液の濃縮はトルエンがほとんど蒸発しなくなるまで行った。その後、析出した結晶を濾紙を用いて濾別、乾燥し、13.0gの4−アミノ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルを得た。

0162

〔3〕4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートの合成
最後に、下記の(23)式で表される反応式に従って、4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを合成した。

0163

0164

水204mlに、4−アミノ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテル10.0gと濃塩酸25.9gを加え、氷冷下で20wt%の亜硝酸ナトリウム水溶液17mlを滴下し、1.5時間攪拌してジアゾ化反応させた。その後、反応液にヘキサフルオロリン酸カリウム8.43gを加え、2℃で30分間攪拌した。そして、析出した結晶を濾紙を用いて濾別し、水洗後、乾燥を行い、10.0gの4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを得た。

0165

よって、以上のようにして、4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを合成し、次の評価に供した。

0166

( 1H−NMRの測定)まず、合成したジアゾニウム塩の 1H−NMRの測定結果を下記の(24)式を参照して説明する。なお、 1H−NMRの測定は、実施例1と同様に行った。

0167

0168

NMR測定により得られたチャート中に、化学シフト値δ=8.43の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.29の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.18の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=7.03の位置を中心としてピーク面積比が2のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=2.65の位置を中心としてピーク面積比が1のマルチプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=1.61の位置を中心としてピーク面積比が2のマルチプレットのピークが生じ、化学シフト値δ=1.27の位置を中心としてピーク面積比が3のダブレットのピークが生じ、化学シフト値δ=0.86の位置を中心としてピーク面積比が3のトリプレットのピークが生じた。

0169

これらピークは上記(24)式中に示す、4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェートを構成するプロトンに起因するピークに対応している。すなわち、化学シフト値δ=8.43の位置を中心として生じたピークはa及びbで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.29の位置を中心として生じたピークはc及びdで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.18の位置を中心として生じたピークはe及びfで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=7.03の位置を中心として生じたピークはg及びhで示す2つのプロトンに起因するピークであり、シフト値δ=2.65の位置を中心として生じたピークはjで示す1つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=1.61の位置を中心として生じたピークはkで示す2つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=1.27の位置を中心として生じたピークはiで示す3つのプロトンに起因するピークであり、化学シフト値δ=0.86の位置を中心として生じたピークはlで示す3つのプロトンに起因するピークでありる。

0170

このことから、合成したジアゾニウム塩が目的の化合物である4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(以下、ジアゾニウム塩Icと称する場合がある。)であることが同定できた。

0171

(吸収スペクトルの測定)次に、ジアゾニウム塩Icの発色特性について図4を参照して説明する。図4は、縦軸に吸光度(任意単位)を取り、横軸に波長(nm)を取って示した吸収スペクトルである。

0172

ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Icを溶解した後、さらにカプラーとしてナフトールAS、塩基性化合物としてトリフェニルグアニジンをジメチルスルホキシド溶液に添加したところ、マゼンダに発色した。すなわち、図4中の曲線bは、ジアゾニウム塩IcとナフトールASとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示しているが、当該曲線bは、実施例3で説明した図3中の曲線bと同様な変化を示している。このことより、この発明のジアゾニウム塩Ic等が溶解したジメチルスルホキシド溶液は、波長450nm〜600nmの範囲内にピーク波長を有し、マゼンダに発色していることが理解できる。

0173

また、ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Icを溶解した後、さらにカプラーとしてナフトールAS−G、塩基性化合物としてトリフェニルグアニジンをジメチルスルホキシド溶液に添加したところ、黄色に発色した。図4中の曲線cは、ジアゾニウム塩IcとナフトールAS−Gとの反応後のジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示しているが、当該曲線cは、実施例3で説明した図3中の曲線cと同様な変化を示している。このことより、この発明のジアゾニウム塩Ic等が溶解したジメチルスルホキシド溶液は、波長450nm〜600nmの範囲内にピーク波長を有し、黄色に発色していることが理解できる。

0174

また、ジメチルスルホキシドに、ジアゾニウム塩Icを溶解した後、ジメチルスルホキシド溶液に波長350nm程度の紫外線を照射し、その後、さらにナフトールASと塩基性化合物とをジメチルスルホキシド溶液に添加したが発色は生じなかった。そして、紫外線照射後、さらにナフトールAS−Gと塩基性化合物とをジメチルスルホキシド溶液に添加したが同様に、発色は生じなかった。これは、紫外線を照射することにより、ジアゾニウム塩Icが分解し、ナフトールASまたはナフトールAS−Gとの反応性を失ったためである。図4中の曲線aは、紫外線照射前のジアゾニウム塩Icのジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示し、曲線dは、紫外線照射後のジアゾニウム塩Icのジメチルスルホキシド溶液の吸収スペクトルを示している。曲線aとdとを比較することにより、紫外線照射後、ジアゾニウム塩Icが、実施例3と同様に分解していることが理解できる。

0175

このようにジアゾニウム塩Icは、ナフトールASと反応してマゼンダに発色し、ナフトールAS−Gと反応して黄色に発色する。このため、ナフトールAS及びナフトールAS−Gを適当な比率で組み合わせ、これらナフトールAS及びナフトールAS−Gをカプラーとして用いることにより、ジアゾニウム塩Icは、カプラーと反応してオレンジ色、赤色、ピンク色などの赤色系に発色させることが可能である。このことから、ジアゾニウム塩Icは、赤色系に発色する感熱記録媒体用のジアゾニウム塩として好適である。また、紫外線を照射することにより、ジアゾニウム塩Icは分解し、ナフトールASまたはナフトールAS−Gとの反応性を失うため、ジアゾニウム塩Icを用いた感熱記録媒体の画像定着が可能となるとともに、改ざん防止等が図られる。

0176

(カプセルオイルに対する溶解性)次に、4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩Ic)のカプセルオイルに対する溶解性について検討した結果を説明する。

0177

すなわち、ジアゾニウム塩Icは、フタル酸ジブチル100gおよびリン酸トリクレシル100gに対して10g以上溶解することが確認された。よって、ジアゾニウム塩Icは、カプセルオイルに対して、容易かつ均一に、しかも短時間で溶解することができ、この発明のジアゾニウム塩は、マイクロカプセルを利用した感熱記録媒体に適していることが判明した。

0178

(熱分解温度の測定)次に、4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩Ic)の熱分解温度を、実施例1と同様に測定した。その結果、融解に伴う吸熱ピークと熱分解に伴う発熱ピークの両方が観察され、発熱ピークとしては、117℃と高い熱分解温度が得られた。

0179

(感熱記録媒体の作製1および評価)この発明の4−ジアゾ−4’−sec−ブチルジフェニルエーテルヘキサフルオロホスフェート(ジアゾニウム塩Ic)を用いて、実施例3と同様に、マイクロカプセルを作り、さらにそれを用いて感熱記録媒体(感熱記録紙)を作製し、印字性や保存性を評価した。

0180

その結果、当該感熱記録紙を使用して、感熱プリンターにより、印字を行ったところ、マゼンダ色に発色することが確認された。マクベス濃度計により、マゼンダ用フィルターを用いて光学濃度を測定したところ、ODは、1.0以上と高い値が得られた。

0181

さらに、紫外線照射装置により、波長350nmの紫外線を、照射したところ、再度、感熱プリンターにより印字を行っても、なんら発色せず、新たに印字できないことが確認された。

0182

そしてまた、当該感熱記録紙を、室温、相対湿度50%条件で保管したところ、1年以上経過しても、顕著な印字性等の劣化傾向は見られなかった。

0183

(感熱記録媒体の作製2および評価)感熱記録媒体の作製1における、カプラーのナフトールASのかわりに、ナフトールAS−Gを用いたほかは、同様に、この発明のジアゾニウム塩を使用した感熱記録紙を作製し、評価した。

0184

その結果、当該感熱記録紙を使用して、感熱プリンターにより、印字を行ったところ、鮮明な赤色に発色することが確認された。また、マクベス濃度計により、マゼンダ用フィルターを用いて光学濃度を測定したところ、ODは、1.0以上と高い値が得られた。

0185

さらに、紫外線照射装置により、波長350nmの紫外線を、照射したところ、再度、感熱プリンターにより印字を行っても、なんら発色せず、新たに印字できないことが確認された。

0186

そしてまた、当該感熱記録紙を、室温、相対湿度50%条件で保管したところ、1年以上経過しても、顕著な印字性等の劣化傾向は見られなかった。

発明の効果

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上述した説明から明らかなように、この発明の感熱記録媒体用の第1のジアゾニウム塩によれば、下記の(1)式で表される。ただし、(1)式中のRは炭素数2以上のアルキル基であり、より好適には、t−ブチルまたはsec−ブチル基である。また、X- はヘキサフルオロホスフェート(hexafluorophosphate )イオン(PF6-)、テトラフルオロボレート(tetrafluoroborate )イオン(BF4-)及びテトラフェニルボレート(tetraphenylborate )イオン((C6H5)4B- )から選ばれたいずれか1種類のものである。

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また、この発明の感熱記録媒体用の第2のジアゾニウム塩によれば、下記の(2)式で表される。ただし、(2)式中のR1 及びR2 はそれぞれ炭素数1以上のアルキル基であり、同一でも異なっていても良く、より好適には炭素数3〜8のアルキル基である。また、X- はヘキサフルオロホスフェート(hexafluorophosphate )イオン(PF6-)、テトラフルオロボレート(tetrafluoroborate )イオン(BF4-)及びテトラフェニルボレート(tetraphenylborate )イオン((C6H5)4B- )から選ばれたいずれか1種類のものである。

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0191

このようなこの発明の第1及び第2のジアゾニウム塩によれば、
(1)ナフトールAS等のカプラーと反応してマゼンダに発色し、ナフトールAS−G等のカプラーと反応して黄色に発色させることが可能であり、しかも高い光学濃度が得られた。

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(2)また、単色発色はもちろんのこと、ナフトールAS及びナフトールAS−G等のカプラーを適当な比率で組み合わせて使用することにより、オレンジ色、赤色、ピンク色などの任意の赤色系に、発色させることが可能となった。

0193

(3)所定波長の紫外線を照射することにより、容易に分解させて、カプラーとの反応性を瞬時に失わせることが可能であり、よって、容易かつ迅速に感熱記録媒体の画像定着が可能となった。また、当該性質を利用して、感熱記録媒体の改ざん防止効果も得られることが判明した。

0194

(4)例えばフタル酸ジブチルやリン酸トリクレシルなどのカプセルオイルに対して高い溶解性が得られるようになった。具体的には、従来のジアゾニウム塩がカプセルオイル100gに対して、1g未満の溶解度であったのに対し、この発明のジアゾニウム塩は、1g以上、より好適には3〜30gの高い溶解度の値を示すことができた。よって、この発明の第1及び第2のジアゾニウム塩は、ジアゾニウム塩を容易かつ均一にカプセルオイルに溶解させて、マイクロカプセル内に封入することができるようになり、結果として、高感度で、高コントラストの画像形成可能な感熱記録媒体が得られるようになった。

0195

(5)適度な熱分解温度を有し、サーマルヘッド等を用いて感熱させた場合には、高感度で、高コントラストの画像形成が可能な上、感熱前は、良好な室温保存性を有する感熱記録媒体を提供することが可能となった。

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(6)さらに、この発明の第1のジアゾニウム塩の合成において、安価な、p−t−ブチルフェノールやp−sec−ブチルフェノールを使用することができるため、安価で、しかもより耐熱性の高いジアゾニウム塩を提供することが可能となった。

図面の簡単な説明

0197

図1第1実施例の説明に供する吸収スペクトルである。
図2第2実施例の説明に供する吸収スペクトルである。
図3第3実施例の説明に供する吸収スペクトルである。
図4第4実施例の説明に供する吸収スペクトルである。

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