図面 (/)

技術 青色色素の製造方法

出願人 ハウス食品グループ本社株式会社
発明者 澤田博今井真介朝武宗明秋田香
出願日 1996年6月17日 (24年5ヶ月経過) 出願番号 1996-177101
公開日 1998年3月3日 (22年8ヶ月経過) 公開番号 1998-057011
状態 特許登録済
技術分野 食品の着色及び栄養改善 化粧料 染料
主要キーワード 態様記載 変色現象 食品色素 特定時期 乾燥処理前 加温保持 多孔質樹脂 発色効果
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年3月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

解決手段

水溶液中でトランス−(+)−S−(1−プロペニル)−L−システインスルホキシド(PeCSO)とアリイナーゼとの反応物アミノ酸及びアリシン共存させ、加温保持することを特徴とする青色色素の製造方法。

効果

従来、開発が強く求められていた、食品等へ使用することが可能な天然青色色素を効率的に製造することができる。また、比較的澄んだ色調の青色色素を簡便に製造することができる。得られた青色色素は、食品色素入浴剤色素化粧品用色素、おもちゃ用色素、衣類用色素等として好適に利用することができる。

概要

背景

天然に存在する青色色素は、ツユクサや紫陽花の花の色のようにアントシアン系の色素が多いが、酸性では赤く変化してしまったり、安定性が著しく悪いため、食品などへの利用は難しく、その利用はわずかなものしかなかった。そのため、従来、数々の天然の青色色素が研究されてきたが、天然の青色色素の利用については、クチナシスピルナの青色がわずかに市販されているに過ぎない。しかも、これらの天然の青色色素は、価格も高く、特性的にもpH4以下の酸性条件下では沈殿してしまう場合もあるため、特に食品への利用には制限があり、これらの青色色素が利用できる食品分野は決して広いものではなかった。

ところで、従来、ニンニク等の植物体加工処理した際に、その色調が変化することが知られており、例えば、ニンニクをペースト状に加工処理して保存した時に、該ペースト状のニンニクが緑変する場合があることが知られている。

従来、このようなニンニクの緑変を防止する方法として、例えば、休眠状態のニンニク粒に脱皮加熱処理を施した後、磨砕してペースト状となし、必要に応じて、冷凍して保存し、後解凍し、該ペースト状ニンニクアリイン分解酵素含有素材添加混合し、pH5.0以下のペーストを得ることを特徴とするニンニクの緑変防止法(特開昭53−113051号公報)、が提案されている。

しかしながら、これらの色調の変化については、元来、食品の変色現象ないし品質劣化現象として商品価値を低下させるものとのとらえ方がなされており、上記特許公報にみられるように、食品を変色させないための変色防止法の研究はなされていたが、これを、色素として利用しようという試みはなされていなかった。

また、従来、生の玉ねぎペーストニンニクペーストとを混合すると青〜緑色に発色することが現象的には知られているが、ニンニクをペーストの形で使用したものであるため、発色ペーストの臭いの問題も原因となり、また、もとより調理や加工処理の過程偶発的に生起するものであることから、これを色素、特に食用色素として利用しようとする考えは全くなかった。

また、仮に玉ねぎペーストとニンニクペーストとを混合して得られる色素を利用しようと考えたとしても、この色素はペーストに強く吸着されるため抽出効率が悪く、水では抽出されず、抽出に当たっては大量の、例えば、アルコール等の溶媒を使用する必要があるため効率的ではなく、この点も色素としての利用の障害になっていた。

そこで、本発明者らは、玉ねぎとニンニクの混合により生成する青〜緑色の色素の製造方法に関する詳細な検討を進めた結果、玉ねぎ等のニンニクを除くアリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物の鱗茎水抽出物とニンニクの鱗茎の水抽出物とを所定割合で混合し、得られた混合物所定温度に保つことにより、効率よく青、青紫青緑といった青色系の色素が生成されることを見い出し、青色色素の製造方法に係る発明を完成させるに至り、平成7年特許願第59975号として特許出願を行った。

概要

水溶液中でトランス−(+)−S−(1−プロペニル)−L−システインスルホキシド(PeCSO)とアリイナーゼとの反応物アミノ酸及びアリシン共存させ、加温保持することを特徴とする青色色素の製造方法。

従来、開発が強く求められていた、食品等へ使用することが可能な天然青色色素を効率的に製造することができる。また、比較的澄んだ色調の青色色素を簡便に製造することができる。得られた青色色素は、食品色素入浴剤用色素、化粧品用色素、おもちゃ用色素、衣類用色素等として好適に利用することができる。

目的

本発明は、比較的短時間で、食品などへの利用が可能な新しい青色色素を製造することを可能とする青色色素の効率的な製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、不純物が除去された状態で青色色素を製造することにより、比較的澄んだ青色色素を製造することが可能な新しい青色色素の製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、再溶解した際の色合いが乾燥する前のものに比較的近い青色を呈する高い安定性を有する濃縮青色色素の製造方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、食品色素、入浴剤用色素、化粧品用色素、おもちゃ用色素、衣類用色素等として有用な青色色素を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

水溶液中でトランス−(+)−S−(1−プロペニル)−L−システインスルホキシド(PeCSO)とアリイナーゼとの反応物アミノ酸及びアリシン共存させ、加温保持することを特徴とする青色色素の製造方法。

請求項2

PeCSOとアリイナーゼとの反応物を水不溶性有機溶媒抽出処理して、得られた成分にアミノ酸を添加・反応させ、その後アリシンを添加・反応させることを特徴とする請求項1記載の青色色素の製造方法。

請求項3

水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させた後、加温保持する前に加熱処理を施すことを特徴とする請求項1記載の青色色素の製造方法。

請求項4

請求項1乃至3に記載の方法によって得られた青色色素溶液に糖類、糖アルコール類還元剤の1種又は2種以上を添加した後に、濃縮することを特徴とする青色色素濃縮物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、従来、開発が強く求められていた、食品等へ使用することが可能な天然青色色素の効率的な製造方法に関するものであり、安全な食用作物成分のみを用いて青色色素を製造する方法に関するもので、更に詳しくは、ニンニク玉ねぎアリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物等に含まれているようなPeCSOとアリイナーゼ反応物と、同じくニンニクや玉ねぎ等アリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物等に含まれているようなアリインとアリイナーゼの反応により生成されるアリシンと、アミノ酸とを共存させることによって効率的に青色色素を製造する方法、及びそれによって得られた青色色素を粉末化する方法に関するものである。

背景技術

0002

天然に存在する青色色素は、ツユクサや紫陽花の花の色のようにアントシアン系の色素が多いが、酸性では赤く変化してしまったり、安定性が著しく悪いため、食品などへの利用は難しく、その利用はわずかなものしかなかった。そのため、従来、数々の天然の青色色素が研究されてきたが、天然の青色色素の利用については、クチナシスピルナの青色がわずかに市販されているに過ぎない。しかも、これらの天然の青色色素は、価格も高く、特性的にもpH4以下の酸性条件下では沈殿してしまう場合もあるため、特に食品への利用には制限があり、これらの青色色素が利用できる食品分野は決して広いものではなかった。

0003

ところで、従来、ニンニク等の植物体加工処理した際に、その色調が変化することが知られており、例えば、ニンニクをペースト状に加工処理して保存した時に、該ペースト状のニンニクが緑変する場合があることが知られている。

0004

従来、このようなニンニクの緑変を防止する方法として、例えば、休眠状態のニンニク粒に脱皮加熱処理を施した後、磨砕してペースト状となし、必要に応じて、冷凍して保存し、後解凍し、該ペースト状ニンニクにアリイン分解酵素含有素材添加混合し、pH5.0以下のペーストを得ることを特徴とするニンニクの緑変防止法(特開昭53−113051号公報)、が提案されている。

0005

しかしながら、これらの色調の変化については、元来、食品の変色現象ないし品質劣化現象として商品価値を低下させるものとのとらえ方がなされており、上記特許公報にみられるように、食品を変色させないための変色防止法の研究はなされていたが、これを、色素として利用しようという試みはなされていなかった。

0006

また、従来、生の玉ねぎペーストニンニクペーストとを混合すると青〜緑色に発色することが現象的には知られているが、ニンニクをペーストの形で使用したものであるため、発色ペーストの臭いの問題も原因となり、また、もとより調理や加工処理の過程偶発的に生起するものであることから、これを色素、特に食用色素として利用しようとする考えは全くなかった。

0007

また、仮に玉ねぎペーストとニンニクペーストとを混合して得られる色素を利用しようと考えたとしても、この色素はペーストに強く吸着されるため抽出効率が悪く、水では抽出されず、抽出に当たっては大量の、例えば、アルコール等の溶媒を使用する必要があるため効率的ではなく、この点も色素としての利用の障害になっていた。

0008

そこで、本発明者らは、玉ねぎとニンニクの混合により生成する青〜緑色の色素の製造方法に関する詳細な検討を進めた結果、玉ねぎ等のニンニクを除くアリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物の鱗茎水抽出物とニンニクの鱗茎の水抽出物とを所定割合で混合し、得られた混合物所定温度に保つことにより、効率よく青、青紫青緑といった青色系の色素が生成されることを見い出し、青色色素の製造方法に係る発明を完成させるに至り、平成7年特許願第59975号として特許出願を行った。

発明が解決しようとする課題

0009

本発明者らは、上記知見を基に、更に研究を進め、玉ねぎ等のニンニクを除くアリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物の鱗茎の水抽出物の中からトランス−(+)−S−(1−プロペニル)−L−システインスルホキシド〔trans−(+)−S−(1−propenyl)−L−cysteine sulfoxide、以下PeCSOという〕を抽出し、ニンニクの鱗茎の水抽出物と混合・加温することにより、青色を呈するという事実を確認した。しかし、得られた色の濃さが低いこと及び当該色素の誘導時間が長いことを解決するために、更に研究を進めた結果、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応生成物、アミノ酸及びアリシンを共存させ、加温保持することにより、上記問題を解決することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。

0010

本発明は、比較的短時間で、食品などへの利用が可能な新しい青色色素を製造することを可能とする青色色素の効率的な製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、不純物が除去された状態で青色色素を製造することにより、比較的澄んだ青色色素を製造することが可能な新しい青色色素の製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、再溶解した際の色合いが乾燥する前のものに比較的近い青色を呈する高い安定性を有する濃縮青色色素の製造方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、食品色素入浴剤用色素、化粧品用色素、おもちゃ用色素、衣類用色素等として有用な青色色素を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0011

前記課題を解決するための本発明の第1の態様は、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させ、加温保持することを特徴とする青色色素の製造方法、である。

0012

また、前記課題を解決するための本発明の第2の態様は、PeCSOとアリイナーゼとの反応物を水不溶性有機溶媒抽出処理した後、得られた成分にアミノ酸を添加・反応させ、その後アリシンを添加・反応させることを特徴とする上記第1の態様記載の青色色素の製造方法、である。

0013

また、前記課題を解決するための本発明の第3の態様は、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させた後、加温保持する前に加熱処理を施すことを特徴とする上記第1の態様記載の青色色素の製造方法、である。

0014

また、前記課題を解決するための本発明の第4の態様は、前記第1乃至3の態様に記載の方法によって得られた青色色素溶液に糖類、糖アルコール類還元剤の1種又は2種以上を添加した後に乾燥することを特徴とする青色色素濃縮物の製造方法、である。

発明を実施するための最良の形態

0015

本発明では、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応生成物(以下、反応物という)、アミノ酸及びアリシンを共存させ、加温保持することを特徴とするが、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させるための方法としては、以下の様な方法を例示することができる。

0016

第1の方法としては、PeCSO、アリイナーゼ、アミノ酸、アリインを水溶液中で共存させる方法である。第2の方法としては、PeCSO、アリイナーゼ、アミノ酸、アリシンを水溶液中で共存させる方法である。第3の方法としては、PeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸、アリイナーゼ、アリインを水溶液中で共存させる方法である。第4の方法としては、PeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸、アリシンを水溶液中で共存させる方法である。第5の方法としては、PeCSOとアリイナーゼとの反応物を水不溶性の有機溶媒で抽出処理して得られた成分にアミノ酸、アリイン、アリイナーゼを水溶液中で共存させる方法である。第6の方法としては、PeCSOとアリイナーゼとの反応物を水不溶性の有機溶媒で抽出処理して得られた成分にアミノ酸、アリシンを水溶液中で共存させる方法である。

0017

上記各方法において、PeCSOとアリインを共存させる場合のPeCSOとアリインの比率重量比で1:2以上であることが好ましい。また、上記各方法において、共存させるアミノ酸の量としては、PeCSO1.0mgに対し5.2μmole以上であることが好ましい。

0018

PeCSOは、玉ねぎ等のアリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物の鱗茎に存在する(Molecular formula:C6 H11NO3 S、HRFAB−MS(m/z):found 178.052892(M+H)+ 、calcd.178.053790)。従って、当該鱗茎の水抽出物をそのまま使用してもよく、あるいは当該水抽出物からPeCSOを抽出して使用してもよいが、当該鱗茎にはアリイナーゼのような酵素が含まれているために、PeCSOを抽出して使用する際にはこれらを予め失活させておくか、あるいはアリイナーゼのような酵素が活性を示さないようにしておく必要がある。上記酵素を失活させるために加熱処理を施す場合は、加熱条件として、上記酵素を失活させることができる条件であれば、特に限定されない。電子レンジによる加熱を例にとると、600Wで5〜10分加熱処理するが、必要に応じて、その程度を調節することが可能である。また、電子レンジ以外の加熱方法、例えば、蒸したり、煮たりといった方法をとることも可能である。一方、酵素活性を抑制するための方法としては、アルコール中で磨砕処理する方法を例示することができる。

0019

玉ねぎ等のアリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物の鱗茎のPeCSOを含む水抽出物は、例えば、以下の手法により製造することができる。本発明において、アリウム(Allium)属としては、ねぎ、分葱、万能ねぎ、玉ねぎ、エシャロット、ニンニク等が代表的なものとして例示されるが、これらのアリウム属及びその交配種のうち、玉ねぎを例に説明すると、まず、玉ねぎの水抽出液は、生の玉ねぎの外皮を取り除き、丸ごと、又は、適当な大きさに切り分け、例えば、ラップで包んだ後、電子レンジで加熱処理する。このようにして得られる加熱処理した玉ねぎをミキサー粉砕し、続いて同重量の水を加えて一晩放置後、ろ過又は遠心分離など不溶物を取り除く操作をして水抽出物を得る。

0020

次に、こうした水抽出物から更にPeCSOを抽出する方法としては、当該水抽出物を陽イオン交換樹脂で処理した後、アンモニア溶出させ、塩酸等でpH3程度に調整後、逆相カラムを用いた中圧液体クロマトグラフィーで分離した後、エバポレーター乾燥粉末化する方法を例示することができる。

0021

アリイナーゼは、アリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物、殊にニンニクの鱗茎に多く存在する。従って、当該鱗茎から粗酵素液として抽出するか、あるいは当該粗酵素液を更に分画精製して精製されたアリイナーゼを抽出してもよい。

0022

アリイナーゼの粗酵素液の抽出方法としては、当該鱗茎を水とともに磨砕した後、遠心分離して得た上澄液をpH4.0に調整して等電点沈澱させ、更に遠心分離して沈澱物を得、それを緩衝液に再溶解させる方法を例示することができる。そして、精製されたアリイナーゼは、当該粗酵素液にハイドロキシアパタイトを加えて吸着させた後、遠心分離してハイドロキシアパタイトを回収し、その後、高濃度の緩衝液に酵素を溶出させ、遠心分離によりハイドロキシアパタイトを除去して酵素溶出液を得、次に、当該酵素溶出液をConA−Sepharose 4Bカラムに吸着させ、更にα−D−mannopyranosideを加えた緩衝液で溶出後、活性のある画分を回収することにより得ることができる。
参考文献:Nock,L.and Mazelis,M.(1987)Plant Physiol.,85,1079−1083

0023

アミノ酸としては、例えば、グリシングルタミンセリンスレオニンアスパラギンエチルシステイングルタミン酸アルギニンバリンメチオニン、2−アミノ酪酸ロイシンイソロイシンフェニルアラニンリジン、3−アミノ酪酸を好適なものとして掲げることができる。これらアミノ酸の1種又は2種以上を適宜使用することができる。

0024

アリインは、ニンニクの鱗茎に存在する。従って、当該鱗茎の水抽出物をそのまま使用してもよく、あるいは当該水抽出物からアリインを抽出して使用してもよいが、上記したPeCSOの場合と同様に、当該鱗茎にはアリイナーゼのような酵素が含まれており、これらを予め失活させておくか、あるいはアリイナーゼのような酵素が活性を示さないようにしておく必要がある。上記酵素を失活させるために加熱処理を施す場合は、加熱条件として、上記酵素を失活させることができる条件であれば、特に限定されない。電子レンジによる加熱を例にとると、600Wで5〜10分加熱処理するが、必要に応じて、その程度を調節することが可能である。また、電子レンジ以外の加熱方法、例えば、蒸したり、煮たりといった方法をとることも可能である。一方、酵素活性を抑制するための方法としては、アルコール中で磨砕処理する方法を例示することができる。

0025

ニンニクの鱗茎のアリインを含む水抽出物は、例えば、以下の手法により製造することができる。まず、ニンニクの水抽出物は、生のニンニクの外皮を取り除き、丸ごと、又は、適当な大きさに切り分け、例えば、ラップで包んだ後、電子レンジで加熱処理する。このようにして得られる加熱処理したニンニクをミキサーで粉砕し、続いて同重量の水を加えて一晩放置後、ろ過又は遠心分離など不溶物を取り除く操作をして水抽出物を得る。

0026

次に、こうした水抽出物から更にアリインを抽出する方法としては、当該水抽出物を陽イオン交換樹脂で処理した後、アンモニアで溶出させ、塩酸等でpH3程度に調整後、逆相カラムを用いた中圧液体クロマトグラフィーで分離した後、エバポレーターで乾燥粉末化する方法を例示することができる。

0027

アリシンは、アリインとアリイナーゼとの反応によって生成される。従って、アリシンの抽出方法としては、上記した方法により抽出したアリインをアリイナーゼで分解した後、エーテル等の有機溶媒で抽出し、更にエバポレーターで乾燥した後、当該乾燥物を水に再溶解させる方法を例示することができる。

0028

PeCSOとアリイナーゼとの反応物は、上記した方法により抽出したPeCSOとアリイナーゼを反応させることにより得ることができるが、玉ねぎ等のアリウム(Allium)属及びその交配種から選ばれる植物の鱗茎には、PeCSOとアリイナーゼが存在しており、従って、当該鱗茎の水抽出物から得ることもできる。

0029

次に、本発明においては、水溶液中でのPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンとの共存下において、特定時期に加熱処理を施すことにより、青色の発色効果を向上させることができる。すなわち、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させた後、加温保持する前に加熱処理を施すことにより、青色の発色効果を向上させることができる。

0030

更には、PeCSOとアリイナーゼとの反応物にアミノ酸を添加して共存させた後に加熱処理を施し、それにアリシンを共存させ、更に加熱処理を施した後に加温保持することにより、青色の発色効果を更に向上させることができる。当該加熱処理の条件は、例えば、100℃程度の高温であれば10分間以内で青色を誘導することができ、加熱温度を更に高く設定することによりより短い時間で青色を誘導することが可能となる。また、加温保持の条件としては、30〜40℃程度を例示することができ、この場合は1〜3日で良好に発色する。

0031

次に、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンとを共存させ、加温保持することにより、青色を発色させるが、この場合の溶液のpHとしては、4.5〜7以上、更には5〜6以上であることが好ましい。これにより、加温保持による青色の発色効果を更に向上させることができる。

0032

上記方法により得られた青色色素溶液は、鮮やかな青色を呈し、そのままでも食用色素として使用することができるが、当該青色色素溶液を濃縮することもできる。具体的な方法としては、得られた青色色素溶液に糖類、糖アルコール類、還元剤の1種又は2種以上を添加した後に濃縮する方法を例示することができる。その好適なものを例示すると、糖類としては、グルコースシュークロース等があり、糖アルコール類としては、ソルビトールマンニトール等があり、還元剤としては、アスコルビン酸ナトリウム等がある。

0033

また、他の方法としては、青色色素溶液を多孔質樹脂、例えばダイヤイオンHP−20に吸着させ、水で洗浄後、メタノール等のアルコール溶液で溶出する方法がある。この方法によると、上記青色色素溶液中の不純物を除去することができるので、濃縮処理による安定性の高いものを得ることができる。

0034

次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
pH5.6の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液5.5mlにPeCSO粉末2.5mgを添加し、更にアリイン粉末をPeCSO粉末に対し重量比で1:1、1:2、1:3、1:4、1:5となるように添加した後、2Mのグリシン0.5mlとアリイナーゼ0.5mlを添加し、37℃で2日間加温保持した。次いで、上記によって得られた青色の発色効果を590nm吸光度で評価した。その結果を図1に示す。なお、PeCSO粉末は前記方法によって玉ねぎから抽出し粉末化した。また、アリイン粉末は、前記方法によってニンニクから抽出し粉末化した。また、アリイナーゼは、前記方法によってニンニクから抽出した粗酵素液を使用した。

0035

図1から明らかなように、アリインをPeCSOの2倍量以上を添加することにより、青色色素の生成を飛躍的に向上させることができる。従って、前記した第1の方法により水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させ、加温保持するに当たっては、アリインをPeCSOの2倍量以上を共存させることが本発明の目的を達成する上から有効である。

0036

実施例2
pH5.6の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液2.2mlにPeCSOとアリインをそれぞれ1mg、2mg添加した。これにアリイナーゼの粗酵素液0.2mlと所定量のグリシンを添加し、37℃で3日間加温保持した。次いで、上記によって得られた青色の発色効果を590nm吸光度で評価した。その結果を図2に示す。

0037

図2から明らかなように、グリシンの添加量がPeCSO1mg(5.6μmole)に対し5.2μmole以上の場合に、無添加の物に比べ590nm吸光度が大幅に上がっており、青色の発色効果の向上が認められる。

0038

実施例3
PeCSO(10mg/ml)溶液1.5mlと精製アリイナーゼ(400u/ml)溶液0.5mlを混合し37℃で1分間反応させた後、エーテル抽出を3回行いエバポレーターで乾燥した。その後、pH5.6の酢酸ナトリウム緩衝液30mlに再溶解してPeCSOとアリイナーゼとの反応物溶液(以下、反応物溶液という)を得た。アリイン(10mg/ml)溶液20mlとアリイナーゼ(400u/ml)6.5mlを混合し37℃で1分間反応させた後、エーテル抽出を行いエバポレーターで乾燥した。その後、蒸留水20mlに再溶解してアリシン溶液を得た。

0039

次に、反応物溶液3ml、0.1Mのグリシン0.3ml、アリシン溶液0.3mlを、以下に示す(1)〜(4)の要領で反応させて青色を発色させた。次いで、上記によって得られたそれぞれの青色の発色効果を590nm吸光度で評価した。その結果を図3に示す。尚、加熱処理は、沸騰水中で10分間という条件で行った。

0040

(1)反応物溶液とグリシンとアリシン溶液を混合した後に37℃で加温保持した。
(2)反応物溶液とグリシンとアリシン溶液を混合した後に加熱処理し、その後に37℃で加温保持した。
(3)反応物溶液とグリシンを混合した後に加熱処理し、それにアリシン溶液を混合した後に37℃で加温保持した。
(4)反応物溶液とグリシンを混合した後に加熱処理し、それにアリシン溶液を混合した後に再び加熱処理し、次いで37℃で加温保持した。

0041

図3から明らかなように、反応物溶液とグリシンとアリシン溶液を添加した後に加熱処理を施すことにより、速やかに青色色素が生成されることがわかる。また、反応物溶液とグリシンを混合した後に加熱処理し、それにアリシン溶液を混合した後に再び加熱処理を施すことにより、上記効果を更に促進させることがわかる。

0042

実施例4
PeCSO(10mg/ml)1mlとpH5.6の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液1mlを混合した後、アリイナーゼ溶液(400u/ml)0.33mlを添加し、37℃で1分間反応させた後、エーテルで3回抽出後、エバポレーターで乾燥してPeCSOとアリイナーゼとの反応物を得た。その後、蒸留水2mlに再溶解し、1mlずつに分割し、一方の1mlにはpH5.6の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液9mlを添加し、他の一方の1mlには蒸留水9mlを添加して、それぞれ10mlの反応物溶液を得た。

0043

その後、それぞれを更に3mlずつ分割して6つの反応物溶液を得、それぞれの反応物溶液を以下に示す(1)〜(3)及び(A)〜(C)の要領で反応させて青色を発色させた。次いで、上記によって得られたそれぞれの青色の発色効果を590nm吸光度で評価した。その結果を図4に示す。尚、(1)〜(3)は酢酸ナトリウム緩衝液を使用して得たpH5.6の反応物溶液であり、(A)〜(C)は蒸留水を使用して得たpH3.5の反応物溶液である。また、(2)、(3)及び(B)、(C)における加熱処理は、100℃、10分間という条件で行った。

0044

(1)反応物溶液3mlに0.1Mのグリシン溶液0.3mlとアリシン溶液0.3mlを混合し、37℃で加温保持した。
(2)反応物溶液3mlに0.1Mのグリシン溶液0.3mlとアリシン0.3ml溶液を混合した後に加熱処理し、その後に37℃で加温保持した。
(3)反応物溶液3mlに0.1Mのグリシン溶液0.3mlを混合した後に加熱処理し、それにアリシン溶液0.3mlを混合した後に再び加熱処理し、次いで37℃で加温保持した。

0045

(A)酢酸ナトリウム緩衝液に代えて蒸留水を使用した他は、上記(1)と同様にして、37℃で加温保持した。
(B)酢酸ナトリウム緩衝液に代えて蒸留水を使用した他は、上記(2)と同様にして、37℃で加温保持した。
(C)酢酸ナトリウム緩衝液に代えて蒸留水を使用した他は、上記(3)と同様にして、37℃で加温保持した。

0046

図4から明らかなように、緩衝液を使用した溶液、すなわちpH5.6の溶液の方が、蒸留水を使用した溶液、すなわちpH3.5の溶液よりも青色の発色効果において優れている。

0047

実施例5
7.5mlの0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に粉末PeCSO25mgとアリイン50mgを溶解し、精製アリイナーゼ(400u/ml)溶液を2.5ml添加し、37℃で1分間反応させた後、エーテルで3回抽出し、エバポレーターで乾燥した。次いで、上記によって得られた乾燥物を上記と同様の緩衝液50mlに再溶解し、更に1Mのグリシン溶液を0.5ml加え、37℃で3日間加温保持して青色色素溶液を得た。

0048

次に、上記青色色素溶液に、同量グルコース溶液ソルビトール溶液、アスコルビン酸ナトリウム溶液、グルコースとアスコルビン酸ナトリウムの混合溶液を添加混合した後、それぞれの溶液の590nmの吸光度を測定した。その後、当該溶液をエバポレーターで乾燥させた後、水で再溶解させて上記乾燥処理前と同量の溶液に戻し、それぞれの溶液の590nmの吸光度を測定した。その結果を表1に示す。表中、安定性(%)は乾燥後の590nmの吸光度/乾燥前の590nmの吸光度×100(%)により算出された値である。尚、上記青色色素溶液に、同量の蒸留水を添加混合したものをコントロールとして用いた。

0049

0050

表1から明らかなように、グルコース、ソルビトール、アスコルビン酸Naを添加したものはコントロールよりも青色色素の濃縮処理による安定性において優れており、また、併用によって更にその効果を向上させることができる。

0051

実施例6
3mlの0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に粉末PeCSO15mgとアリイン30mgを溶解し、精製アリイナーゼ(400u/ml)溶液を0.75ml添加し、37℃で1分間反応させた後、エーテルで3回抽出し、エバポレーターで乾燥した後、上記と同様の緩衝液3mlに再溶解した。その後、当該溶液2mlに、上記と同様の緩衝液16mlと0.5Mのグリシン溶液を2ml加え、37℃で3日間加温保持して青色色素溶液を得た。

0052

次いで、上記によって得られた青色色素溶液5mlを1mlのダイヤイオンHP−20カラムに通して吸着させた後、当該カラムを蒸留水で洗浄後、メタノール5mlで溶出させ、その溶液の590nmの吸光度を測定した。その後、当該溶液をエバポレーターで乾燥させた後、水で再溶解させて上記乾燥処理前と同量の溶液に戻し、590nmの吸光度を測定した。

0053

その結果を表2に示す。表中、安定性(%)は乾燥後の590nmの吸光度/乾燥前の590nmの吸光度×100(%)により算出された値である。

0054

0055

表2から明らかなように、得られた青色色素を多孔質樹脂で処理することによってその不純物を除去することにより、当該青色色素は、その乾燥処理前と乾燥処理後の吸光度において、ほとんど変化がなく、安定性において優れていることがわかった。

発明の効果

0056

以上詳述したように、本発明は、水溶液中でPeCSOとアリイナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させ、加温保持することを特徴とする青色色素の製造方法に係るものであり、本発明によれば、従来、開発が強く求められていた、食品等へ使用することが可能な天然青色色素を効率的に製造することができる。また、比較的澄んだ色調の青色色素を簡便に製造することができる。得られた青色色素は、食品色素、入浴剤用色素、化粧品用色素、おもちゃ用色素、衣類用色素等として好適に利用することができる。

図面の簡単な説明

0057

図1PeCSOとアリインの量比と青色の発色効果との関係を示す。
図2グリシンの添加量と青色の発色効果との関係を示す。
図3加熱処理と青色の発色の促進効果との関係を示す。
図4pH5.6の反応物溶液(1〜3)及びpH3.5の反応物溶液(A〜C)と青色の発色効果との関係を示す。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い法人

関連性が強い法人一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ