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技術 電力系統の需給計画作成装置

出願人 中部電力株式会社株式会社東芝
発明者 高田亨青柳真理加藤政一功刀正彦島田和恵永田淳一
出願日 1996年8月6日 (24年3ヶ月経過) 出願番号 1996-207341
公開日 1998年2月24日 (22年8ヶ月経過) 公開番号 1998-056734
状態 特許登録済
技術分野 交流の給配電 学習型計算機 特定用途計算機
主要キーワード 時間制約条件 最小停止 適合度関数 発電機設備 停止台数 予想電力 ラグランジェ乗数 緩和法
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重要な関連分野

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図面 (10)

課題

運用考慮すべき全ての制約満足し、かつ、運用コストの安価な運用計画を自動的に作成することにある。

解決手段

ラグランジェ緩和法を用いて電力需給バランスおよび発電機間にまたがらない制約を満足する初期運用計画を作成する初期運用計画作成手段12と、初期運用計画について発電機間にまたがる制約違反の有無を判断し、制約違反有りのとき、その違反運転状態修正する時刻と発電機とを遺伝子で表現するとともに、各遺伝子の適合度を計算し、さらに遺伝子の組み替えを行って順次後の世代の遺伝子を作成し、この作成された遺伝子が最大世代まで進んだかを判定し、収束と判定したとき、最大世代で残った遺伝子の中から最も適合度の高い遺伝子に対応する運用計画を選択する運用計画修正手段13とを設けた電力系統需給計画作成装置

概要

背景

電力系統運用計画の一つとして、発電機の起動停止計画問題がある。この発電機の起動停止計画問題は、さまざまな制約を考慮しながら運用コストが最小となるように各発電機の運用計画を決定する問題であって、電力系統の経済運用面から非常に重要な問題である。

従来、かかる発電機起動停止の運用計画は、コンピュータを用いて、定式化された多変数をもった目的関数を、各変数の制約条件満足させながら最小化することにより、電力系統の運用コストを最小化する数理計画法が用いられている。

概要

運用上考慮すべき全ての制約を満足し、かつ、運用コストの安価な運用計画を自動的に作成することにある。

ラグランジェ緩和法を用いて電力需給バランスおよび発電機間にまたがらない制約を満足する初期運用計画を作成する初期運用計画作成手段12と、初期運用計画について発電機間にまたがる制約違反の有無を判断し、制約違反有りのとき、その違反運転状態修正する時刻と発電機とを遺伝子で表現するとともに、各遺伝子の適合度を計算し、さらに遺伝子の組み替えを行って順次後の世代の遺伝子を作成し、この作成された遺伝子が最大世代まで進んだかを判定し、収束と判定したとき、最大世代で残った遺伝子の中から最も適合度の高い遺伝子に対応する運用計画を選択する運用計画修正手段13とを設けた電力系統の需給計画作成装置

目的

本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、運用上考慮すべき全ての制約を満足し、かつ、運用コストの安価な運用計画を迅速に作成する電力系統の需給計画作成装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
3件

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請求項1

予想電力需要発電機設備データなどの情報から発電機の起動停止運用計画を作成する電力系統需給計画作成装置において、ラグランジェ緩和法を用いて電力需給バランスおよび発電機間にまたがらない制約満足する発電機の起動停止に関する初期運用計画を作成する初期運用計画作成手段と、この初期運用計画作成手段で作成される初期運用計画を、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm 、以下GAと称する)を用いて発電機間にまたがる制約を満足するように修正する運用計画修正手段と、を備えたことを特徴とする電力系統の需給計画作成装置。

請求項2

初期運用計画作成手段は、発電機の起動停止に関する初期運用計画の作成過程で外部から入力される発電機の起動停止の条件を満足するような初期運用計画を作成することを特徴とする請求項1記載の電力系統の需給計画作成装置。

請求項3

運用計画修正手段は、前記初期運用計画が発電機間にまたがるような制約に違反しているか否かを確認する運用制約確認手段と、この運用制約確認手段によって制約違反と確認されたとき、当該制約違反と確認された運転状態を修正する時刻と発電機または発電所とを遺伝子で表現する遺伝子作成手段と、この遺伝子作成手段で作成される各遺伝子および遺伝子の組み替え操作による後の世代の各遺伝子の適合度を算出する適合度算出手段と、この適合度算出手段による適合度算出後の遺伝子について組み替えを行って次の世代の遺伝子を作成する遺伝子操作手段と、この遺伝子操作手段で作成される遺伝子が予め定められた最大世代まで進んだか否かを判定し、最大世代まで進んでいない場合には作成された遺伝子について前記適合度算出手段を実行させ、最大世代まで進んでいるときには収束と判定する収束判定手段と、この収束判定手段によって収束と判定されたとき、当該最大世代で残った遺伝子の中から最も適合度の高い遺伝子に対応する運用計画を選択する最適計画選定手段とを備えたことを特徴とする電力系統の需給計画作成装置。

請求項4

遺伝子作成手段は、予め制約違反時刻の前後の時間帯を設定し、ある時刻で運用制約に違反したとき、当該運用制約に違反している時刻およびその前後の設定時間帯の運転状態を修正するための遺伝子を作成することを特徴とする請求項3記載の電力系統の需給計画作成装置。

請求項5

遺伝子作成手段は、所定の遺伝子に限って発電機の起動停止変更以外の修正に用いることを特徴とする請求項3記載の電力系統の需給計画作成装置。

請求項6

適合度算出手段は、遺伝子の組み替えを行いながら順次次の世代に移行しつつ適合度を算出する途中で適合度関数を変えて適合度を求めることを特徴とする請求項3記載の電力系統の需給計画作成装置。

請求項7

適合度算出手段は、運用制約の種類によって制約違反に与えるペナルティの値に重みを付けて適合度を算出することを特徴とする請求項3記載の電力系統の需給計画作成装置。

請求項8

遺伝子操作手段は、遺伝子の複数の箇所にわたって当該遺伝子の組み替え操作を行うことを特徴とする請求項3記載の電力系統の需給計画作成装置。

請求項9

最適計画選定手段は、運用制約をすべて満足する運用計画が得られないとき、予め定めた順序に従って制約を緩和して運用計画を作成することを特徴とする請求項3記載の電力系統の需給計画作成装置。

請求項10

最適計画選定手段は、複数の運用計画が得られたとき、これら複数の運用計画に他の評価基準をもとに順位付けを行うことを特徴とする請求項3記載の電力系統の需給計画作成装置。

技術分野

0001

本発明は電力系統経済運用面から電力系統の運用計画を作成する電力系統の需給計画作成装置に関する。

背景技術

0002

電力系統の運用計画の一つとして、発電機の起動停止計画問題がある。この発電機の起動停止計画問題は、さまざまな制約を考慮しながら運用コストが最小となるように各発電機の運用計画を決定する問題であって、電力系統の経済運用面から非常に重要な問題である。

0003

従来、かかる発電機起動停止の運用計画は、コンピュータを用いて、定式化された多変数をもった目的関数を、各変数の制約条件満足させながら最小化することにより、電力系統の運用コストを最小化する数理計画法が用いられている。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、以上のような数理計画法を用いた運用計画の作成に際し、電力系統には系統運用上種々の制約条件があるが、目的関数として定式化できる制約条件は、発電機自体に関係する制約条件だけであって、電力系統の運用上考慮すべきすべての制約、例えば発電機間にまたがる制約条件等を満足させることができないことから、最適な運用計画を作成することが難しい。

0005

そこで、従来、以上のような数理計画法を用いて作成された運用計画に対して、知識・経験の豊富技術者各発電所を含む電力系統全体を判断しながら各発電機に関する起動停止イミングの修正を行っているが、非常に手間と時間がかかり、各技術者個人の判断にゆだねざるを得ず、常に最適な運用スケジュールを迅速に作成することができない問題がある。

0006

本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、運用上考慮すべき全ての制約を満足し、かつ、運用コストの安価な運用計画を迅速に作成する電力系統の需給計画作成装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

請求項1ないし請求項3に対応する発明は、上記課題を解決するために、予想電力需要発電機設備データなどの情報から発電機の起動停止に関する運用計画を作成する電力系統の需給計画作成装置において、ラグランジェ緩和法を用いて電力需給バランスおよび発電機間にまたがらない制約を満足する発電機の起動停止に関する初期運用計画を作成する初期運用計画作成手段と、この初期運用計画作成手段で作成される初期運用計画を、GAを用いて発電機間にまたがる制約を満足するように修正する運用計画修正手段とを設けた電力系統の需給計画作成装置である。

0008

そして、初期運用計画作成手段の他の例としては、発電機の起動停止に関する初期運用計画の作成過程において運用計画者が外部から発電機に関する起動停止の条件を入力し、運用計画者にとって必要とする初期運用計画を作成することも可能である。

0009

一方、前記運用計画修正手段においては、さらに詳細には、初期運用計画が発電機間にまたがるような制約に違反しているか否かを確認する運用制約確認手段と、この運用制約確認手段によって制約違反と確認されたとき、当該制約違反と確認された運転状態を修正する時刻と発電機または発電所とを遺伝子で表現する遺伝子作成手段と、この遺伝子作成手段で作成される各遺伝子および遺伝子の組み替えによる後の世代の各遺伝子の適合度を算出する適合度算出手段と、この適合度算出手段による適合度算出後の遺伝子の組み替えを行って次の世代の遺伝子を作成する遺伝子操作手段と、この遺伝子操作手段で作成された遺伝子が予め定められた最大世代まで進んだか否かを判定し、最大世代まで進んでいない場合には作成された遺伝子について前記適合度算出手段を実行させ、最大世代まで進んでいるときには収束と判定する収束判定手段と、この収束判定手段によって収束と判定されたとき、当該最大世代で残った遺伝子の中から最も適合度の高い遺伝子に対応する運用計画を選択する最適計画選定手段とによって構成されている。

0010

従って、請求項1〜3に対応する発明は、以上のような手段を講じたことにより、初期運用計画作成手段にてラグランジェ緩和法を用いて自動的または一部運用計画者の指示を含めて発電機の起動停止に関する初期運用計画を作成するが、この段階で作成される初期運用計画ははすべての制約、例えば発電機間にまたがるような制約を満足させることが難しい。

0011

そこで、運用計画修正手段では、初期運用計画をGAを用いて発電機間にまたがるような制約を満足するように修正する。この初期運用計画の修正にあっては、運用制約確認手段で初期運用計画に制約違反が有るか否かを判断し、制約違反有りの場合には遺伝子作成手段にて制約違反とされた運転状態を修正する時刻と発電機または発電所との遺伝子を作成する。しかる後、適合度算出手段では、遺伝子作成手段で作成された遺伝子の適合度を算出し記憶する。さらに、遺伝子操作手段においては、適合度算出後の遺伝子について組み替えを行って次の世代の遺伝子を作成する。そして、次の世代の遺伝子が予め定めた最大世代に達したか否かを判断し、最大世代まで達したときには当該最大世代で残った遺伝子の中から最も適合度の高い遺伝子に対応する運用計画を選択し、最適運用計画とするものである。

0012

従って、このような手段を講じたことにより、すべての制約を満足させるような運用計画を作成でき、しかも制約違反の数だけ自動的に修正可能であることから、最適な運用計画を迅速に作成できる。

0013

次に、請求項4に対応する発明は、遺伝子作成手段として、予め制約違反時刻の前後の時間帯を設定し、ある時刻で運用制約に違反したとき、運用制約に違反している時刻およびその前後の設定時間帯の運転状態を修正するための遺伝子を作成する構成である。

0014

このような手段を講じることにより、制約違反と判明したとき、制約違反を解消するのに効果的な時間帯を含めて運転状態を修正でき、遺伝子も長くならずに済むので効率よく最適な運用計画を作成できる。

0015

請求項5に対応する発明は、遺伝子作成手段として、所定の遺伝子に限って発電機の起動停止変更以外の修正に用いる構成である。このような手段を講じることにより、特に意味をもたない遺伝子(発電所、時間帯等を規定していない遺伝子)を利用し、起動停止の変更以外の修正例えば発電機の出力調整などに対応させることができ、よって発電機の起動停止の変更以外の修正も考慮することが可能となる。

0016

次に、請求項6に対応する発明は、適合度算出手段として、遺伝子の組み替えを行いながら順次後の世代に移行しつつ適合度を算出する途中で予め定めた世代において適合度関数を変えて適合度を求める構成である。

0017

このような手段を講じたことにより、より適合度の高い遺伝子を次の世代に残すことができ、ひいては最適解の収束を速めることができる。請求項7に対応する発明は、適合度算出手段として、運用制約の種類によって制約違反に与えるペナルティの値に重みを付けて適合度を算出するものである。

0018

これにより、運用制約の重要度を考慮しつつ最適な運用計画を作成できる。請求項8に対応する発明は、遺伝子操作手段として、遺伝子の複数の箇所にわたって当該遺伝子の組み替え操作を行う構成である。

0019

このような手段を講ずることにより、遺伝子が長くなった場合でも、1回の遺伝子操作で様々な種類の遺伝子を表現でき、よって適合度の高い遺伝子の現われる確率が高くなり、効率よく最適な運用計画を作成できる。

0020

請求項9に対応する発明は、最適計画選定手段として、運用制約をすべて満足する運用計画が得られないとき、予め定めた順序に従って制約を緩和して運用計画を作成する構成である。

0021

このような手段とすることにより、少なくとも重要度の高い運用制約を残し、重要度の低い運用制約を外すことにより、収束を速めることができ、運用計画を迅速に作成できる。

0022

さらに、請求項10に対応する発明は、最適計画選定手段として、複数の運用計画が得られたとき、これら複数の運用計画に他の評価基準をもとに順位付けを行う構成である。このような手段とすることにより、複数の準最適な運用計画の中から1つの実際的な運用計画を選択でき、安定、適切に系統の運用を図ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0023

図1は請求項1ないし請求項3の発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の一実施形態を説明するブロック構成図である。この需給計画作成装置は、例えば各時間帯ごとの総電力需要その他初期運用計画の作成上必要な情報を予測する需要予測システム1と、この需要予測システム1で予測される総電力需要等の情報を伝送ライン2に送信するシステム情報伝送装置3と、この情報伝送装置3から伝送ライン2を介して送られてくる総電力需要等の情報を受信する作成装置本体側情報伝送装置4と、この情報伝送装置4で受信された予測総電力需要等の情報と発電機設備データとを用いて運用コストの安価な運用計画を作成する需給計画作成装置本体5と、オペレータによる必要な指示情報を入力したり、処理途中および処理結果を表示するマンマシンインターフェース装置6とによって構成されている。

0024

この需給計画作成装置本体5は、各発電機の最大出力最小出力、各発電機の最小停止時間、各発電機の最小運転時間その他必要なデータを記憶する設備データ記憶手段11と、この設備データ記憶手段11に記憶される各発電機の設備データおよび前記需要予測システム1の総電力需要による電力需要バランスをもとに、ラグランジェ緩和法を用いて、数理計画法で考慮すべき制約条件を満足させつつ最小コストの初期運用計画を算出する初期運用計画算出手段12と、この初期運用計画算出手段12によって算出される初期運用計画に対し、GAを用いて発電機の起動停止タイミングを修正する運用計画修正手段13と、前記需要予測システム1側から伝送されてくる総電力需要データ、処理途中および処理結果のデータを記憶する処理データ記憶手段14とが設けられている。

0025

従って、以上のような需要計画作成装置本体5においては、図2に示すように予測された総電力需要および発電機に関係する設備データをもとに、ラグランジェ緩和法を用いて初期運用計画を算出した後(S1)、このラグランジェ緩和法で何ら考慮されない例えば発電機間にまたがるような制約条件も満足するようにGAを用いて初期運用計画を修正する(S2)、といった一連の処理を自動的に実行するものである。

0026

次に、以上のような需給計画作成装置本体5のうち、特に本発明の要部となる初期運用計画算出手段12と運用計画修正手段13とについて詳細に説明する。
* 初期運用計画算出手段12について。

0027

初期運用計画算出手段12は、図3に示すように、発電機間にまたがらない制約を考慮して需給計画問題である発電機の起動停止計画を定式化した後、ラグランジェ緩和法を用いて制約を緩和し、発電機ごと部分問題に分割する部分問題作成手段S11を実行する。

0028

このラグランジェ緩和法は、発電機間にまたがらない,いわゆる数理計画法で考慮すべき、例えば電力需給バランス、発電機の最大・最小出力、発電機の最小停止時間、発電機の最小運転時間等の制約を満足させつつ運用コストを最小とする最適解を求めることにある。具体的には、
電力需給バランス、
発電機の最大・最小出力
発電機の最小停止時間
発電機の最小運転時間
等の制約を考慮して発電機の起動停止計画を定式化する。このとき、目的関数は、運用コストの面から考えると、燃料費および起動コストが変数となる。

0029

0030

但し、上式においてT:計画期間、N:発電機の数、D(t) :時刻tにおける総電力需要、Pj :発電機jの時刻tにおける出力、Pjmin:発電機jの最小電力、Pimax:発電機jの最大出力、fj ,sj :発電機jの燃料費関数、起動コスト関数、u (t):発電機jの時刻tにおける運転状態(1:運転、0:停止)である。

0031

そこで、前記目的関数(1)式と前記(2)式とを用い、ラグランジェ乗数λ(t) を導入して、下記する(4)式のようなラグランジェ関数を作ることができる。

0032

0033

次に、部分問題求解手段S12を実行する。この部分問題求解手段S12は、部分問題作成手段S11で得られる部分問題について、ダイナミックプログラミングを用いて制約を緩和した場合の運用コストが最小となる運用計画を求めることにある。

0034

ここで、前記(5)式をダイナミックプログラミングで解くために、図4に示すような状態遷移図を考える。同図において〇は発電機の運転状態を表わし、→は遷移可能なパスを表わす。但し、図4は例えば最小運転時間が2時間、最小停止時間が4時間の例を示している。

0035

以下、状態遷移図について説明する。今、例えば状態Aの発電機から遷移可能なルートは、最小運転時間の制約条件から状態Bだけである。この状態Bの終了時点では、既に2時間運転して最小運転時間制約条件を満足しているので、状態Bからさらに運転を続行する場合には状態Cに遷移し、或いは停止させる場合には状態Dに遷移してもよい。また、例えば1時間停止の状態Eの場合には、最小停止時間制約条件を満たすために次の2時間停止の状態Fにしか遷移できず、また4時間停止の状態Gの場合には、最小停止時間制約条件を満足しているので、新たに起動させるための状態Hまたは停止させるための状態Iの何れに遷移してもよい。

0036

このようにして最小運転時間・最小停止時間を考慮しながら、運用コストを最小とするような時刻1から時刻Tまでのルートを見つけることにより、ラグランジェ関数を固定したときの前記(5)式の最適解,つまり運用コストが最小となる運用計画を求める。一般に、ラグランジェ乗数は、適当に設定しているので、等式制約(電力需給バランス)を満足していないので、(6)式でラグランジェ乗数を修正する。

0037

0038

上式においてkは繰り返し回数、a,bは定数である。この(6)式において[ ]の部分が十分小さくなったところで、修正を終了する。

0039

なお、部分問題求解手段S12の他の例としては、部分問題作成手段S11で得られる部分問題について、ダイナミックプログラミングを用いて、制約を緩和した場合の運用コストが最小となるような運用計画を図4の状態遷移図を用いて求めているが、例えば運用計画者が図4の状態遷移図に基づいて所要とする時刻を指定し、発電機の起動または停止の状態を指示し作成するといった、一部人的操作を介在させて運用計画を作成してもよい。

0040

このような実施の形態によれば、運用計画者が確かめたい条件の運用計画を作成でき、系統の状況に応じた運転計画を検討することができる。さらに、図3に示す定数修正手段S13を実行する。この定数修正手段S13は、部分問題求解手段S12で得られる運用計画が緩和した制約を満足しているかどうかを確認し、満足していなければ制約を緩和するために固定したラングンジェ定数を修正し、再度S12に戻って同様の処理を繰り返し実行し、制約を満足している場合には得られた運用計画を初期運用計画とし、当該初期運用計画データを処理データ記憶手段14に保存する。

0041

図5は、電力需給バランス、発電機の最大・最小出力、発電機の最小停止時間および発電機の最小運転時間等の制約条件を満足し、かつ、運用コストを最小とする運用計画の最終的なデータ配列例を示す図である。
* 運用計画修正手段13について。

0042

以上のような初期運用計画算出手段12では、ラグランジェ緩和法を用いて、電力需給バランスと発電機間にまたがらない制約(最大・最小出力、最小運転・停止時間など)とを考慮した初期運用計画を作成したが、このラグランジェ緩和法では考慮できない制約,例えば同一発電所における複数発電機同時起動停止台数制約(以下、BTG制約と呼ぶ)、燃料消費制約、系統の潮流制約など、発電機間にまたがるような制約を満足させることができないので、かかる初期運用計画を修正することにある。この初期運用計画の修正は、どの時刻にどの発電機の運転状態を修正するかと言うことであるが、そのためには遺伝的アルゴリズム,つまりGAを用いて探索し、最適な運用計画を作成するものである。

0043

この運用計画修正手段13は、具体的には図6に示すように、初期運用計画が発電機間にまたがるような運用制約に違反しているか否かを確認する運用制約確認手段S21と、この運用制約確認手段S21によって制約違反と確認されたとき、当該制約違反と確認された運転状態を修正する時刻と発電機または発電所とを例えば2進数を用いた遺伝子で表現する遺伝子作成手段S22と、この遺伝子作成手段S22で作成された各遺伝子の適合度を計算する適合度算出手段S23と、この適合度算出手段S23による適合度算出後の遺伝子について組み替えを行って次の世代の遺伝子を作成する遺伝子操作手段S24と、この遺伝子操作手段S24で作成された遺伝子が予め定められた最大世代まで進んだか否かを判定し、最大世代まで進んでいない場合には作成された遺伝子について前記適合度算出手段S23に導いて適合度を算出させ、最大世代まで進んでいるときには収束と判定する収束判定手段S25と、この収束判定手段S25により収束と判定されたとき、最大世代で残った遺伝子の中から最も適合度の高い遺伝子に対応する運用計画を選択する最適計画選定手段S26とによって構成されている。

0044

前記運用制約確認手段S21は、初期運用計画算出手段S1によって得られる初期運用計画がラグランジェ緩和法で考慮できない運用制約に違反しているかどうかを確認する。ここで、すべての運用制約を満足していれば、得られた初期運用計画が最適運用計画であると判断し終了する。運用制約を満足していない場合には、初期運用計画の修正が必要となるので、次の遺伝子作成手段S22に移行する。

0045

この遺伝子作成手段S22は、初期運用計画の中の運転状態を修正するための時刻と発電機または発電所とを指定するための遺伝子を作成する。今、運転状態の修正に関し、発電機単位ではなく発電所単位で考えた場合、同一発電所内のどの発電機の運転状態を修正するかは経済性を考慮しながら決定する。今、図5に示す初期運転計画においてある時刻にある発電所の運転状態を修正する場合、時刻1〜24は例えば2進数を用いて5桁で表わし、5箇所の発電所A〜Eは2進数を用いて3桁で表し、これら「時刻+発電所」を合わせて遺伝子として表現する。

0046

今、時刻7のときに発電所Aの運転状態を修正する場合、時刻7は、「00111」となり、発電所A,B,C,D,Eはそれぞれ「001」,「010」,「011」,「100」,「101」で表わすので、発電所Aの場合には「001」となる。よって、時刻7のときに発電所Aの運転状態を修正する場合、「00111001」といった遺伝子で表現し、処理データ記憶手段14に記憶する。

0047

次に、適合度算出手段S23は、各遺伝子で表わされる運転状態の修正を行った場合の運用計画を計算して各遺伝子の適合度を算出する。この適合度は、一例として(7)式を用いて算出する。なお、GAでは最大化を行うために適合度を逆数で表現している。

0048

適合度=1/(運用コスト*10-6+ペナルティ) ……(7)
但し、運用コスト=燃料費+起動コスト
ペナルティ=運用制約に違反している時間帯の数
前記遺伝子操作手段S24は、この適合度算出手段による適合度算出後の遺伝子について遺伝子の組み替えを行って次の世代の遺伝子を作成する機能をもっている。この遺伝子操作の種類は、例えば図7に示すように増殖、交差、突然変異等が上げられる。増殖は親と同じ子を作り、交差は2つの親の一部を入れ替えて2つの子を作り、突然変異は親の一部を変えて子を作ることをいう。

0049

前記収束判定手段S25は、予め例えば100世代と決められている場合、最大の100世代まで進んだかどうかを判定し、最大世代に達していない場合には再度適合度算出手段S23ヘ、最大世代まで進んだと判断したときには最適計画選定手段S26に移行する。

0050

この最適計画選定手段S26は、最大世代で残った遺伝子の中で一番適合度の高い遺伝子に対応する運用計画を最適運用計画とする。従って、以上のように構成された実施形態によれば、ラグランジェ緩和法とGAとを組み合わせることにより、電力需給バランスおよび発電機間にまたがらない制約の他、このラグランジェ緩和法では考慮できない制約をも含む,運用上考慮すべき制約の全て満足し、かつ、運用コストの安い運用計画を人手による修正を介在することなく自動的、迅速に作成でき、しかも信頼性の高い最適な運用計画を作成できる。

0051

次に、請求項4の発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の他の実施形態を説明する。この需給計画作成装置は、運用計画修正手段S2の中の遺伝子作成手段S22の改良例である。この遺伝子作成手段S22は、予め制約違反に対する時刻の前後の時間帯を設定し、ある時刻で運用制約に違反したとき、運用制約に違反した時刻およびその前後の設定時間帯の運転状態を修正するための遺伝子を作成し、処理データ記憶手段14に記憶する。例えば図5に示す運用計画において時刻7に制約違反があったとき、制約違反の前後2時間の修正を行う場合、時刻5,6,7,8,9について、それぞれ2進数「001」,「010」,「011」,「100」,「101」で表現する。一方、1日の修正を行う場合、例えば時刻24は、「11000」となるために、5桁の2進数で表現する必要がある。

0052

よって、時刻7に発電機Aの運転状態を修正する場合、前者の制約条件の前後2時間の修正を行う場合には時刻7「011」+発電所A「001」,つまり「011001」という遺伝子で表現され、一方、後者の1日の修正を行う場合には、時刻7「00111」+発電所A「001」,つまり「00111001」という遺伝子で表わされる。

0053

従って、以上のような実施の形態によれば、制約違反の前後の設定時間を含めて修正するので、制約違反を解消するのに効果的な時間帯を含めて運転状態を修正でき、遺伝子も長くならずに済むので効率よく最適な運用計画を修正できる。

0054

次に、請求項5の発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の他の実施形態について説明する。この需給計画作成装置は、請求項4と同様に、運用計画修正手段S2の中の遺伝子作成手段S22の改良例である。この遺伝子作成手段S22は、例えば意味のない遺伝子が存在する場合、その遺伝子に発電機の起動の変更以外の修正を対応させるようにしてもよい。例えば「000000」の表現は時間帯も発電機も存在しない遺伝子であるが、このような遺伝子が存在する場合、起動停止ではなく発電機の出力調整を対応させるようにする。例えば連係潮流が予め定めた値以上に流れているとき. 意味を持たない遺伝子を発電機出力を調整する遺伝子に対応させて適合度を計算させるようにしてもよい。

0055

従って、このような実施の形態によれば、起動停止タイミングの変更以外の修正をも考慮することにより、より最適な運用計画を作成できる。請求項6の発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の他の実施形態について説明する。

0056

この需給計画作成装置は、運用計画修正手段S2の中の適合度算出手段S23の改良例である。図6に示す適合度算出手段S23、遺伝子操作手段S24および収束判定手段S25は、予め最大世代例えば100世代が設定され、遺伝子の組み替えを行いながら順次次の世代に移行しつつ適合度を算出していくが、例えば予め最大世代に至る前の途中のある世代nfを設定し、順次世代が進んでnf世代まで進んだとき、下記する(8)式のように適合度関数を変え、より高い適合度を得るような手段をとってもよい。

0057

適合度new =適合度original−α ……(8)
但し、α:nf世代までの適合度の加重平均であって、このαを変更する。なお、適合度new がマイナスの値になる場合にはαに小さい値を入れる。

0058

このような実施の形態によれば、世代が進んで適合度が高い遺伝子ばかり残った状態であっても、より適合度の高い遺伝子を他の遺伝子と比べて高い確率で次の世代に残すことができ、効率よく最適な運用計画を作成できる。

0059

請求項7の発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の他の実施形態について説明する。この需給計画作成装置は、運用計画修正手段S2の中の適合度算出手段S23の改良例である。この適合度算出手段S23は、運用制約の種類によって制約違反に与えるペナルティの値に重みをつけて適合度を計算してもよい。今、運用制約1,2,3の重要度が1,2,3の順であるとすると、適合度の一例として例えば下記する(9)式のように、重要度の大きい制約にはペナルティを大きくし、重要度の小さい制約にはペナルティを小さくし、適合度の計算を行う。

0060

適合度=1/(運用コスト*10-6+ペナルティ1+ペナルティ2
+ペナルティ3)……(9)
運用コスト=燃料費+起動コスト
ペナルティ1=運用制約1に違反している時間帯の数×3
ペナルティ2=運用制約2に違反している時間帯の数×2
ペナルティ3=運用制約3に違反している時間帯の数×1
このような実施の形態によれば、運用制約の重要度を考慮しながら最適な運用計画を作成できる。

0061

さらに、請求項8の発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の他の実施形態について説明する。この需給計画作成装置は、運用計画修正手段S2の中の遺伝子操作手段S24の改良例である。この遺伝子操作手段S24は、遺伝子の組み替えを行って次の世代の遺伝子を作るが、例えば図8に示すように複数の箇所にわたって交差または突然変異等の遺伝子操作を行って、次の世代の遺伝子を作る。ここでは、2箇所の例を述べたが、3箇所以上の遺伝子操作も可能である。

0062

従って、このような実施の形態によれば、遺伝子が長くなった場合にも1回の遺伝子操作で様々な種類の遺伝子が現われるので、適合度の高い遺伝子の現われる確率が高くなり、効率良く最適な運用計画を作成できる。

0063

さらに、請求項9の発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の他の実施形態について説明する。この需給計画作成装置は、運用計画修正手段S2の中の最適計画選定手段S26の改良例である。最適計画選定手段S26は、最大世代で残った遺伝子の中で一番適合度の高い遺伝子に対応する運用計画を最適運用計画とするが、実際上、最終的に得られる最適運用計画が運用制約のすべてを満足していない場合がある。このような場合には、運用制約確認手段S21において予め定めた順序に従って制約の一部を外して運用制約の確認を行った後、次以降の手段S22に進める手順であってもよい。今、運用制約1,2,3の重要度が1,2,3の順だとすると、運用制約1,2,3のすべてを満足する運用計画が得られないとき、運用制約例えば3を外して残りの制約を満足させつつ、運用コストを最小とする運用計画を作成してもよい。

0064

このような実施の形態によれば、考慮すべき運用制約のうち、例えば重要度の低い運用制約を外すか、或いは少なくとも重要度の高い運用制約を満足するような運用計画を作成できる。

0065

さらに、請求項10の発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の他の実施形態について説明する。この需給計画作成装置は、運用計画修正手段S2の中の最適計画選定手段S26の改良例である。この実施形態は、最適計画選定手段S26において複数の運用計画が得られたとき、他の評価基準をもとにこれらに順位を付けて運用してもよい。例えば最大世代において複数種類の遺伝子の適合度がほぼ同じである場合、深夜などの交替要因の少ない時間帯ではなく、発電機の運転操作を行える昼間の時間帯に起動停止させるような運用計画から順に高い順位を付け、系統の運用を図るものである。

0066

このような実施の形態によれば、複数の準最適な運用計画の中から1つの実際的な運用計画を選ぶことにより、安定、かつ、適切な運用を行うことができる。なお、本発明は、以上のような実施形態に限定されるものではない。

0067

例えば適合度算出手段S23は、遺伝子を時刻と発電機とになおして、修正する時刻と発電機とを指定する修正箇所指定手段21と、この修正箇所指定手段21で指定された時刻と発電機との運転状態を修正した場合の運用計画を計算する演算手段22とから構成されている場合、修正箇所指定手段21は、遺伝子を時刻と発電機になおして、初期運用計画で修正する時刻と発電機とを指定する。このとき、遺伝子が複数あるので、各遺伝子の指定箇所ごとに演算手段22−1、22−2、…に送出する。ここで、各演算手段22−1、22−2、…では、指定された時刻と発電機の運転状態を修正した場合の運用計画を求め、各遺伝子の適合度を算出することになるので、各演算手段22−1、22−2、…に対応してCPUを用意し、各遺伝子の適合度を同時に並列的に算出処理すれば、高速、かつ、効率的に最適な運用計画を作成できる。

発明の効果

0068

以上説明したように本発明によれば、ラグランジェ緩和法を用いて電力需給バランスおよび発電機間にまたがらない制約を満足する発電機の起動停止に関する初期運用計画を作成し、さらにGAを用いて発電機間にまたがる制約を満足するように初期運用計画を修正するので、運用上考慮すべき全ての制約を満足し、かつ、運用コストの安価な運用計画を自動的に迅速に作成できる。

図面の簡単な説明

0069

図1本発明に係わる電力系統の需給計画作成装置の一実施形態を示すブロック構成図。
図2本発明装置による需給計画に関する処理内容を示すフローチャート
図3図1に示す初期運用計画算出手段の処理内容を説明する図。
図4図3の部分問題求解手段を説明するための状態遷移図。
図5初期運用計画算出手段で作成される初期運用計画データの配列例図。
図6図1に示す運用計画修正手段の処理内容を説明する図。
図7図6に示す遺伝子操作手段を説明する図。
図8図6に示す遺伝子操作手段の他の例を説明する図。
図9図6に示す適合度算出手段の他の例を説明する図。

--

0070

1…需要予測システム、5…需給計画作成装置本体、11…設備データ記憶手段、12…初期運用計画算出手段、13…運用計画修正手段、S11…部分問題作成手段、S12…部分問題求解手段、S13…定数修正手段、S21…運用制約確認手段、S22…遺伝子作成手段、S23…適合度算出手段、S24…遺伝子操作手段、S25…収束判定手段、S26…最適計画選定手段。

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