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技術 発泡性熱可塑性樹脂シート状体、熱可塑性樹脂発泡体、及びそれらの製造方法

出願人 積水化学工業株式会社
発明者 小林智行宮崎健次長良英史笹山道章大久保光夫
出願日 1996年12月26日 (23年10ヶ月経過) 出願番号 1996-347997
公開日 1998年2月17日 (22年9ヶ月経過) 公開番号 1998-044178
状態 特許登録済
技術分野 曲げ・直線化成形、管端部の成形、表面成形 プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形
主要キーワード 平面状部材 発泡粒状体 構成グループ 押さえ軸 ストランド形態 散布状況 熱融着力 シート状熱可塑性樹脂
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1998年2月17日)のものです。
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図面 (13)

課題

厚み方向に沿った疑似的な一次元発泡を可能とし、厚み精度や重量精度のばらつきが少なく、表面性状が良好な発泡体を得ることを可能とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体及び該発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させて熱可塑性樹脂発泡体を得る。

解決手段

発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が平面的に略均一に配置されており、該発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡性熱可塑性樹脂薄膜3を介して一体的に連結されてなる発泡性熱可塑性樹脂シート状体1、並びに上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を発泡剤分解温度以上に加熱して発泡させ、発泡により得られた発泡体を冷却する熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。

概要

背景

熱可塑性樹脂発泡体は軽量であり、断熱性、柔軟性、浮揚性及び成形性などにおいて優れているため、屋上断熱材車両用天井材もしくは床用断熱材などの各種断熱材、緩衝材浮揚材または異形成形物等において幅広く用いられている。

上記のような熱可塑性樹脂発泡体の製造方法として、従来、熱分解型発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂シートを該発泡剤分解温度以上に加熱し、発泡させることにより発泡体を得る方法が広く用いられている。この発泡性熱可塑性樹脂シートの発泡に際しては、内部に含有されている発泡剤が分解することにより発生するガスの圧力により発泡が行われる。従って、発泡性熱可塑性樹脂シートは、通常、ほぼ三次元的に均等に発泡・膨張するので、熱可塑性樹脂発泡体の製造に際しては、特に連続的に長尺状の熱可塑性樹脂発泡体を製造する場合は、幅方向及び長手方向の膨張によるしわの発生等に対応する必要がある。

例えば、特公昭48−9955号公報に記載の方法では、発泡剤を含有している連続した発泡性熱可塑性樹脂シートを繰り出し、加熱・発泡させて熱可塑性樹脂発泡体を得、該熱可塑性樹脂発泡体を巻き取るに際し、発泡による長手方向による膨張分に応じて発泡性熱可塑性樹脂シート繰り出し速度に比べて巻取り速度を速め、かつ幅方向の膨張分に応じて熱可塑性樹脂発泡体を幅方向に拡幅し、それによって最終的に得られる熱可塑性樹脂発泡体におけるしわの低減が図られている。

しかしながら、この方法では、加熱・発泡時に連続的に生産されている熱可塑性樹脂発泡体を幅方向に拡張するために複雑な治具及び工程を必要とする。加えて、発泡後冷却する前に熱可塑性樹脂発泡体を拡幅する必要があるため、得られた熱可塑性樹脂発泡体の幅方向両端において品質が低下せざるを得なかった。その結果、得られた熱可塑性樹脂発泡体において、幅方向両端近傍部分を除去したりする必要があるため、熱可塑性樹脂発泡体の生産性が低下するという問題があった。

また、上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂発泡体は、連続した発泡性熱可塑性樹脂シートから熱可塑性樹脂発泡体を成形するため、厚み精度、重量精度、表面平滑性に優れた熱可塑性樹脂発泡体となるが、厚み方向に均質な熱可塑性樹脂発泡体であるため、圧縮強度欠けるという問題点があった。

さらに、上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂発泡体では、発泡によって生じる面内方向における熱可塑性樹脂の膨張を延伸及び拡幅により相殺しているため、熱可塑性樹脂発泡体の内部に延伸や拡幅に伴う力が熱応力として残存することになる。そのため、得られた熱可塑性樹脂発泡体に温度変化が与えられた場合に、熱可塑性樹脂発泡体の寸法が非常に大きく変化するという問題もあった。

他方、特開平7−16856号公報には、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂よりなるペレットもしくは環状物(以下、ペレット等と略す)を搬送ベルト上に散布し、該発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡・膨張させて融着一体化し、シート状の熱可塑性樹脂発泡体を得る方法が開示されている。

この方法では、搬送ベルト上に発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を散布し、予め搬送ベルトの上方を熱可塑性樹脂シートや他の搬送ベルトで規制し、下方の搬送ベルトと熱可塑性樹脂シートもしくは上方の搬送ベルトとの間で熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡させることにより、所望の厚みの熱可塑性樹脂発泡体を形成するとともに、該シートの面内方向においては、発泡性樹脂ペレット等間の空間を上記発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の膨張により満たすことにより、シート状の熱可塑性樹脂発泡体を得ている。

この方法においても、発泡性熱可塑性樹脂は発泡に際して三次元的に膨張する。しかしながら、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等は、搬送ベルト上において二次元的には不連続に配置されており、発泡性熱可塑性樹脂ペレット間の空間が発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の二次元的な膨張により充填される。すなわち、厚み方向において疑似的な一次元発泡の形態で発泡性熱可塑性樹脂が発泡することにより発泡体が得られるため、得られたシート状の熱可塑性樹脂発泡体を幅方向や長手方向に拡幅もしくは延伸する必要がない。

しかしながら、この方法では、疑似的な一次元的発泡の形態で発泡を行うために、発泡により生じる膨張分に対応する空間を予め設定する必要があり、この設定のために発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の散布状態を極めて精度よくコントロールする必要がある。従って、発泡性熱可塑性樹脂ぺレット等を精度よく散布する散布装置が必要となる。

また連続しない発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡・膨張させて融着一体化し、シート状の熱可塑性樹脂発泡体を得るため、完全に融着一体化されない部分が発生する可能性があり、高い生産性は期待できないという問題があった。加えて、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の厚みを増大させた場合には、用いる発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の寸法を大きくしなければならず、その場合には、大きなペレットを均一に加熱する必要があり、発泡に時間がかかるため、生産性が低下しがちであった。

また、上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂発泡体は、発泡時に個々の発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の表面に低発泡倍率スキン層が形成され、熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜に全外周面被覆された熱可塑性樹脂よりなる高発泡体が該低発泡薄膜を介して熱融着した熱可塑性樹脂発泡体となるため、高い圧縮強度を有するが、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の散布状況により、得られる発泡体の厚み精度、重量精度及び表面平滑性等の品質が左右され易く、圧縮強度のばらつきも大きくなるという問題点があった。

また、上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂発泡体は、発泡時の発泡圧力で該高発泡体が該低発泡薄膜を介して熱融着するため、融着力は十分であるが、融着面積が小さく、面内に連続した発泡層を有しないために曲げ負荷が付与されたときの強度は十分であるとは言えなかった。

概要

厚み方向に沿った疑似的な一次元発泡を可能とし、厚み精度や重量精度のばらつきが少なく、表面性状が良好な発泡体を得ることを可能とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体及び該発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させて熱可塑性樹脂発泡体を得る。

発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が平面的に略均一に配置されており、該発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡性熱可塑性樹脂薄膜3を介して一体的に連結されてなる発泡性熱可塑性樹脂シート状体1、並びに上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させ、発泡により得られた発泡体を冷却する熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。

目的

本発明の目的は、上述した従来技術の諸欠点を解消し、厚み方向に疑似的な一次元発泡を可能とし、かつ厚み精度や重量精度のばらつきが少なく、かつ表面平滑性などの品質に優れている熱可塑性樹脂発泡体を高い生産性をもって製造することを可能とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体と共にその製造方法を提供することにある。

本発明の他の目的は、上述した従来の熱可塑性樹脂発泡体の有する問題点を解消し、厚み精度及び重量精度のばらつきが少なく、表面平滑性に優れ、かつ、高い圧縮強度を有し、強度のばらつきが小さく、また曲げ強度が十分な熱可塑性樹脂発泡体と、該熱可塑性樹脂発泡体を高い生産性をもって製造し得る方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、該発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されていることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体

請求項2

前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が格子状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発泡性熱可塑性樹脂シート状体。

請求項3

前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発泡性熱可塑性樹脂シート状体。

請求項4

前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向略中心部において、該発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の発泡性熱可塑性樹脂シート状体。

請求項5

前記発泡性熱可塑性樹脂薄膜が、発泡剤を含有している熱可塑性樹脂と、平面状部材とからなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の発泡性熱可塑性樹脂シート状体。

請求項6

前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が、発泡剤と、互いにほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂組成と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂組成との混合物よりなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の発泡性熱可塑性樹脂シート状体。

請求項7

軟化状態シート発泡性熱可塑性樹脂を、該シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いクリアランスを有し、少なくとも一方の外周面に多数の凹部が略均一に配設された異方向に回転する一対の賦形ロールに導入し、前記凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を圧入した後、冷却、離型することを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法。

請求項8

熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、前記連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性樹脂よりなる高発泡体と、前記高発泡体の外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備え、前記複数の高発泡体が互いに前記低発泡薄膜を介して熱融着されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体

請求項9

前記高発泡体が前記連続発泡層の片面のみに配置され、かつ厚み方向には重ならないように単一の層として配置されており、横方向においては前記低発泡薄膜を介して互いに熱融着されていることを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性樹脂発泡体。

請求項10

前記高発泡体が、前記連続発泡層の両面にそれぞれ配置され、かつそれぞれの面において厚み方向には重ならないように単一の層として配置されており、横方向においては前記低発泡薄膜を介して互いに熱融着されていることを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性樹脂発泡体。

請求項11

前記複数の高発泡体が格子状に配置されていることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体。

請求項12

前記複数の高発泡体が千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体。

請求項13

前記連続発泡層が、熱可塑性樹脂発泡体と、平面状部材とからなることを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体。

請求項14

発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、かつ前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体を、前記発泡剤の分解温度以上に加熱し発泡させる工程と、発泡により得られた発泡体を冷却する工程とを備えることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、熱可塑性樹脂発泡体を製造するための発泡性熱可塑性樹脂シート状体、熱可塑性樹脂発泡体、及びそれらの製造方法に関し、より詳細には、厚み方向に沿って疑似的な一次元発泡を可能とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体、その製造方法及びそのような発泡性熱可塑性樹脂シート状体を用いた発泡体の製造方法により得られる熱可塑性樹脂発泡体、その製造方法に関する。

背景技術

0002

熱可塑性樹脂発泡体は軽量であり、断熱性、柔軟性、浮揚性及び成形性などにおいて優れているため、屋上断熱材車両用天井材もしくは床用断熱材などの各種断熱材、緩衝材浮揚材または異形成形物等において幅広く用いられている。

0003

上記のような熱可塑性樹脂発泡体の製造方法として、従来、熱分解型発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂シートを該発泡剤分解温度以上に加熱し、発泡させることにより発泡体を得る方法が広く用いられている。この発泡性熱可塑性樹脂シートの発泡に際しては、内部に含有されている発泡剤が分解することにより発生するガスの圧力により発泡が行われる。従って、発泡性熱可塑性樹脂シートは、通常、ほぼ三次元的に均等に発泡・膨張するので、熱可塑性樹脂発泡体の製造に際しては、特に連続的に長尺状の熱可塑性樹脂発泡体を製造する場合は、幅方向及び長手方向の膨張によるしわの発生等に対応する必要がある。

0004

例えば、特公昭48−9955号公報に記載の方法では、発泡剤を含有している連続した発泡性熱可塑性樹脂シートを繰り出し、加熱・発泡させて熱可塑性樹脂発泡体を得、該熱可塑性樹脂発泡体を巻き取るに際し、発泡による長手方向による膨張分に応じて発泡性熱可塑性樹脂シート繰り出し速度に比べて巻取り速度を速め、かつ幅方向の膨張分に応じて熱可塑性樹脂発泡体を幅方向に拡幅し、それによって最終的に得られる熱可塑性樹脂発泡体におけるしわの低減が図られている。

0005

しかしながら、この方法では、加熱・発泡時に連続的に生産されている熱可塑性樹脂発泡体を幅方向に拡張するために複雑な治具及び工程を必要とする。加えて、発泡後冷却する前に熱可塑性樹脂発泡体を拡幅する必要があるため、得られた熱可塑性樹脂発泡体の幅方向両端において品質が低下せざるを得なかった。その結果、得られた熱可塑性樹脂発泡体において、幅方向両端近傍部分を除去したりする必要があるため、熱可塑性樹脂発泡体の生産性が低下するという問題があった。

0006

また、上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂発泡体は、連続した発泡性熱可塑性樹脂シートから熱可塑性樹脂発泡体を成形するため、厚み精度、重量精度、表面平滑性に優れた熱可塑性樹脂発泡体となるが、厚み方向に均質な熱可塑性樹脂発泡体であるため、圧縮強度欠けるという問題点があった。

0007

さらに、上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂発泡体では、発泡によって生じる面内方向における熱可塑性樹脂の膨張を延伸及び拡幅により相殺しているため、熱可塑性樹脂発泡体の内部に延伸や拡幅に伴う力が熱応力として残存することになる。そのため、得られた熱可塑性樹脂発泡体に温度変化が与えられた場合に、熱可塑性樹脂発泡体の寸法が非常に大きく変化するという問題もあった。

0008

他方、特開平7−16856号公報には、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂よりなるペレットもしくは環状物(以下、ペレット等と略す)を搬送ベルト上に散布し、該発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡・膨張させて融着一体化し、シート状の熱可塑性樹脂発泡体を得る方法が開示されている。

0009

この方法では、搬送ベルト上に発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を散布し、予め搬送ベルトの上方を熱可塑性樹脂シートや他の搬送ベルトで規制し、下方の搬送ベルトと熱可塑性樹脂シートもしくは上方の搬送ベルトとの間で熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡させることにより、所望の厚みの熱可塑性樹脂発泡体を形成するとともに、該シートの面内方向においては、発泡性樹脂ペレット等間の空間を上記発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の膨張により満たすことにより、シート状の熱可塑性樹脂発泡体を得ている。

0010

この方法においても、発泡性熱可塑性樹脂は発泡に際して三次元的に膨張する。しかしながら、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等は、搬送ベルト上において二次元的には不連続に配置されており、発泡性熱可塑性樹脂ペレット間の空間が発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の二次元的な膨張により充填される。すなわち、厚み方向において疑似的な一次元発泡の形態で発泡性熱可塑性樹脂が発泡することにより発泡体が得られるため、得られたシート状の熱可塑性樹脂発泡体を幅方向や長手方向に拡幅もしくは延伸する必要がない。

0011

しかしながら、この方法では、疑似的な一次元的発泡の形態で発泡を行うために、発泡により生じる膨張分に対応する空間を予め設定する必要があり、この設定のために発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の散布状態を極めて精度よくコントロールする必要がある。従って、発泡性熱可塑性樹脂ぺレット等を精度よく散布する散布装置が必要となる。

0012

また連続しない発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡・膨張させて融着一体化し、シート状の熱可塑性樹脂発泡体を得るため、完全に融着一体化されない部分が発生する可能性があり、高い生産性は期待できないという問題があった。加えて、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の厚みを増大させた場合には、用いる発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の寸法を大きくしなければならず、その場合には、大きなペレットを均一に加熱する必要があり、発泡に時間がかかるため、生産性が低下しがちであった。

0013

また、上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂発泡体は、発泡時に個々の発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の表面に低発泡倍率スキン層が形成され、熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜に全外周面被覆された熱可塑性樹脂よりなる高発泡体が該低発泡薄膜を介して熱融着した熱可塑性樹脂発泡体となるため、高い圧縮強度を有するが、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の散布状況により、得られる発泡体の厚み精度、重量精度及び表面平滑性等の品質が左右され易く、圧縮強度のばらつきも大きくなるという問題点があった。

0014

また、上記製造方法で得られた熱可塑性樹脂発泡体は、発泡時の発泡圧力で該高発泡体が該低発泡薄膜を介して熱融着するため、融着力は十分であるが、融着面積が小さく、面内に連続した発泡層を有しないために曲げ負荷が付与されたときの強度は十分であるとは言えなかった。

発明が解決しようとする課題

0015

本発明の目的は、上述した従来技術の諸欠点を解消し、厚み方向に疑似的な一次元発泡を可能とし、かつ厚み精度や重量精度のばらつきが少なく、かつ表面平滑性などの品質に優れている熱可塑性樹脂発泡体を高い生産性をもって製造することを可能とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体と共にその製造方法を提供することにある。

0016

本発明の他の目的は、上述した従来の熱可塑性樹脂発泡体の有する問題点を解消し、厚み精度及び重量精度のばらつきが少なく、表面平滑性に優れ、かつ、高い圧縮強度を有し、強度のばらつきが小さく、また曲げ強度が十分な熱可塑性樹脂発泡体と、該熱可塑性樹脂発泡体を高い生産性をもって製造し得る方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0017

請求項1に記載の発明は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されていることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体であり、それによって上記課題を達成する。

0018

請求項1に記載の発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シート状体においては、好ましくは、請求項2に記載のように、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されており、あるいは請求項3に記載のように千鳥状に配置されている。

0019

また、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体と、発泡性熱可塑性樹脂薄膜との一体化については、請求項4に記載のように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向中心部において、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されていてもよい。また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向一端側において、該発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されていてもよい。

0020

さらに、請求項1〜4に記載の発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シート状体では、上記発泡性熱可塑性樹脂薄膜は、発泡剤を含有している熱可塑性樹脂と、平面状部材とから構成されていてもよく、それによって平面状部材が発泡性熱可塑性樹脂薄膜の面内方向における膨張をより効果的に抑制することができる。

0021

また、好ましくは、請求項1〜5に記載の発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シート状体において、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、発泡剤と、互いにほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂組成と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂組成との混合物により構成される。

0022

請求項7に記載の発明は、本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を簡便に製造する方法を提供するものであり、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、該シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いクリアランスを有し、少なくとも一方の外周面に多数の凹部が略均一に配設された異方向に回転する一対の賦形ロールに導入し、前記凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を圧入した後、冷却、離型することを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法である。

0023

請求項8に記載の発明は、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性樹脂よりなる高発泡体と、該高発泡体の外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡体薄膜とを備え、複数の高発泡体が互いに低発泡薄膜を介して熱融着されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体であり、それによって上記課題を達成する。

0024

請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、高発泡体が連続発泡層の片面のみに配置され、かつ厚み方向には重ならないように単一の層として配置されており、横方向においては低発泡薄膜を介して互いに熱融着されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体であり、それによって上記課題を達成する。

0025

請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、高発泡体が連続発泡層の両面にそれぞれ配置され、かつそれぞれの面において厚み方向には重ならないように単一の層として配置されており、横方向においては低発泡薄膜を介して互いに熱融着されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体であり、それによって上記課題を達成する。

0026

請求項8〜10に記載の発明において、好ましくは、請求項11に記載のように、複数の高発泡体は格子状に配置されており、あるいは請求項12に記載のように千鳥状に配置されている。

0027

請求項8〜12に記載の発明において、連続発泡層は、熱可塑性樹脂発泡体と、平面状部材とから構成されていてもよい。

0028

請求項14に記載の発明は、本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を用いて本発明の熱可塑性樹脂発泡体を簡便に製造する方法を提供するものであり、発泡剤を含有しており、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体を、上記発泡剤の分解温度以上に加熱し、発泡させる工程と、発泡により得られた発泡体を冷却する工程とを備えることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法である。

0029

〔発泡性熱可塑性樹脂シート状体〕請求項1〜6及び14に記載の発明においては、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂シート状体として、上記のように発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されているものが用いられる。

0030

発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用いられる熱可塑性樹脂
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂としては、発泡可能な熱可塑性樹脂であれば、特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン高密度ポリエチレン直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「ポリエチレン」とは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、またはこれらの混合物をいう。)、ランダムポリプロピレンホモポリプロピレンブロック状ポリプロピレン(以下、「ポリプロピレン」とは、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン、またはこれらの混合物をいう。)等のオレフィン系樹脂、及びエチレン酢酸ビニル樹脂等のオレフィン系共重合体ポリ塩化ビニル塩素化ポリ塩化ビニルABS樹脂ポリスチレンポリカーボネートポリアミドポリフッ化ビニリデンポリフェニレンサルファイドポリスルホンポリエーテルケトン、及びこれらの共重合体等が挙げられ、これらは、単独で用いられても、併用されてもよい。

0031

上記熱可塑性樹脂の中でも、得られる熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性を高め得るので、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれらの混合物が好ましく、表面平滑性と圧縮強度を両立するためには、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレンまたはこれらの少なくとも一方を含む混合物が特に好ましい。

0032

上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体に用いられる熱可塑性樹脂と、発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必要性はないが、発泡性及び接着性等の観点から、同種の樹脂を用いることが好ましい。

0033

上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用いられる熱可塑性樹脂は必要に応じて架橋されていてもよい。架橋された熱可塑性樹脂を用いることにより、発泡倍率の向上及び得られる熱可塑性樹脂発泡体の軽量化を図り得るため、架橋されたものを用いることが好ましい。架橋方法としては、特に限定されず、例えば、シラングラフト重合体を熱可塑性樹脂に溶融混練後、水処理を行い、架橋する方法、熱可塑性樹脂に過酸化物を該過酸化物の分解温度より低い温度で溶融混練後、過酸化物の分解温度以上に加熱して架橋する方法、放射線照射して架橋する方法等が挙げられる。

0034

上記のシラングラフト重合体を用いた架橋方法を説明する。上記シラングラフト重合体としては、特に限定されず、例えば、シラングラフトポリエチレンシラングラフトポリプロピレン等を例示することができる。なお、上記シラングラフト重合体は、例えば、重合体を不飽和シラン化合物グラフト変性することにより得ることができる。

0035

上記不飽和シラン化合物とは、一般式R1SiR2m Y3-m で表される化合物をいう。但し、mは0、1、または2である。式中、上記R1はビニル基アリル基プロペニル基シクロヘキセニル基等のアルケニル基グリシジル基アミノ基;メタクリル基;γ−クロロエチル基、γ−ブロモエチル基等のハロゲン化アルキル基等の有機官能基である。

0036

式中、R2は脂肪族飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基を示し、例えば、メチル基エチル基プロピル基デシル基フェニル基等が挙げられる。式中、Yは加水分解可能な有機官能基を示し、例えば、メトキシ基エトキシ基ホルミルオキシ基アセトキシ基プロピオノシアリールアミノ基等が挙げられ、mが0または1のとき、Y同士は同一であっても、異なっていてもよい。

0037

架橋反応速度向上のためには、上記不飽和シラン化合物としては、一般式CH2=CHSi(OA)3で表されるものが好ましい。式中、Aは好ましくは、炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜4の脂肪族飽和炭化水素基である。CH2 =CHSi(OA)3 で表される好ましい不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。

0038

上記シラングラフト重合体の製造方法としては、一般的な製法が用いられ、特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンに、上述のR1SiR2mY3-mで表される不飽和シラン化合物及び有機過酸化物を反応させ、シラン変性ポリエチレンを得る方法が挙げられる。

0039

シリル基を有する上記シラングラフト重合体は、例えば、Yがメトキシ基である場合には、これが水と接触することにより、加水分解して水酸基となり、異なる分子の水酸基同士が反応し、Si−O−Si結合を形成して、シラングラフト重合体同士が架橋する。

0040

前述の水処理方法は、水中に浸漬する方法のほか、水蒸気さらす方法も含まれ、かかる場合、100℃より高い温度で処理する場合には、加圧下において行えばよい。

0041

上記水処理の際の水及び水蒸気の温度が低いと、架橋反応速度が低下し、また、高すぎると発泡性熱可塑性樹脂が熱でくっついてしまうので、50〜130℃が好ましく、90〜120℃が特に好ましい。

0042

また、水処理する際の時間が短いと、架橋反応が完全に進行しない場合があるので、水処理時間は0.5〜12時間の範囲とすることが好ましい。

0043

シラングラフト重合体を混合する方法は、均一に混合し得る方法であれば、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂及びシラングラフト重合体を1軸または2軸押出機に供給し、溶融混練する方法、ロールを用いて溶融混練する方法、ニーダーを用いて溶融混練する方法等が挙げられる。

0044

シラングラフト重合体の添加量が多すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると、セルが破泡し、均一な発泡セルが得られなくなるので、シラングラフト重合体の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜50重量部が好ましく、20〜35重量部が特に好ましい。

0045

また、シラングラフト重合体を用いてシラン架橋する場合には、必要に応じてシラン架橋触媒を用いてもよい。シラン架橋触媒は、シラングラフト重合体同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジアセテートジブチル錫ジラウレートジオクチル錫ジラウレートオクタン酸錫オレイン酸錫、オクタン錫鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛オクタン酸コバルトナフテン酸鉛カブリ酸亜鉛ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。

0046

上記シラン架橋触媒の添加量が多くなると、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なくなると、架橋反応速度が低下し、水処理に時間を要するので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、シラン架橋触媒の添加量は、0.001〜10重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましい。

0047

前述したの上記過酸化物により熱可塑性樹脂を架橋する方法について述べる。本方法において用いられる過酸化物は特に限定されず、例えば、ジブチルパーオキサイドジクミルパーオキサイド、ターシャブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド等が挙げられ、熱可塑性樹脂の融点と分解温度が近いので、ジクミルパーオキサイド、ターシャルブチルクミルパーオキサイドが好ましく、ジクミルパーオキサイドが特に好ましい。

0048

過酸化物の添加量が、多すぎると、熱可塑性樹脂の分解反応が進行しやすくなり、得られる熱可塑性樹脂発泡体が着色し、また、少なすぎると、熱可塑性樹脂の架橋が不十分となることがあるので、熱可塑性樹脂100重量部に対して、過酸化物の添加量は0.5〜5重量部が好ましく、1〜3重量部が特に好ましい。

0049

上記の放射線を照射し、熱可塑性樹脂を架橋する方法について述べる。放射線の照射量が多すぎると、架橋が掛かりすぎ、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると発泡セルが破泡し、均一な発泡セルが得られないので、放射線照射量は、1〜20Mradが好ましく、3〜10Mradが特に好ましい。

0050

放射線を照射する方法は、特に限定されず、例えば、2台の電子線発生装置を用い、その間を熱可塑性樹脂を通過させ、熱可塑性樹脂に電子線を照射する方法等が挙げられる。

0051

請求項6に記載の発明における熱可塑性樹脂
請求項6に記載の発明では、上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用いられる熱可塑性樹脂が、ほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂組成と低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂組成との混合物よりなる。この場合、発泡時には低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂組成物流動し易いので、得られる熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が高められる。

0052

なお、以下の記述においては、適宜「熱可塑性」或いは「熱可塑性樹脂」の語を省略する場合がある。

0053

高架橋樹脂組成と低架橋または無架橋樹脂組成における高架橋及び低架橋とは、双方の架橋度の大小により決定される相対的な表現であり、2つの架橋樹脂組成のうち、相対的に高架橋の樹脂組成を高架橋樹脂組成(A)といい、他方を低架橋または無架橋樹脂(B)という。

0054

高架橋樹脂組成(A)は、樹脂成分(A´)を主成分とする樹脂組成であり、低架橋または無架橋樹脂組成(B)は、樹脂成分(B´)を主成分とする樹脂組成である。従って、ほとんど相溶性を有さない、高架橋樹脂組成(A)と低架橋または無架橋樹脂組成(B)の混合物を発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する熱可塑性樹脂として使用する際には、その主成分である樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)がほとんど相溶性を示さない。

0055

ほとんど相溶性を有さない上記2種類の樹脂成分(A´),(B´)に使用される熱可塑性樹脂としては、前述した熱可塑性樹脂を用いることができるが、均一微細な樹脂成分(A´)及び樹脂成分(B´)を形成するには、2種類の熱可塑性樹脂の溶解性パラメーターの差が0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.5であることがさらに好ましい。

0056

溶解性パラメーターの差が2.0を超えると、樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)が非常に粗く分散するため、得られる発泡体の発泡倍率が低下する。他方、溶解性パラメーターの差が0.1より小さいと、2種類の熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)とを形成することができなくなる。

0057

上記溶解性パラメーターは、σ=ρΣFi/Mにより求めた値をいう。なお、ρは樹脂成分の密度、Mは樹脂成分を構成するモノマーの分子量、Fiは、モノマーの構成グループモル吸引数である。

0058

上記、2種類の熱可塑性樹脂のメルトインデックスMI)の差が、大きくなると、樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)とが非常に粗く分散するため、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、小さくなると、2種類の熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)とを形成することができないことがあるため、粒径が細かく均一な樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)を実現でき、かつ高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るには、MIの差は5〜13g/10分が好ましく、7〜11g/10分がより好ましい。

0059

なお、本明細書におけるMIは、JIS K7210に従って、測定された値である。樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)が均一に分散し、かつ表面平滑性に優れた高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るためには、高架橋樹脂組成(A)と低架橋もしくは無架橋樹脂組成(B)との混合比率重量比で、2:8〜8:2であることが望ましく、4:6〜6:4が好ましく、5:5がより好ましい。

0060

高架橋樹脂組成(A)の架橋度が高すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、逆に、低すぎると発泡時にセルが破泡し、均一なセルが得られないことがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5〜60重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。

0061

低架橋または無架橋樹脂組成(B)の架橋度が高いと、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発泡体の流動性が低下し、熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が低くなることがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。

0062

なお、本明細書におけるゲル分率とは、架橋樹脂成分を120℃のキシレン中に24時間浸漬した後の残渣重量のキシレン浸漬前の架橋樹脂成分の重量に対する重量百分率をいう。

0063

ほとんど相溶性を有さない、高架橋樹脂組成(A)と低架橋または無架橋樹脂組成(B)の混合物を調製する方法としては、上記2種類の熱可塑性樹脂を混合し、樹脂成分(A´)のみをまたは樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)を優先的に架橋することにより達成される。

0064

樹脂成分(A´)のみを、または樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)を優先的に架橋する方法としては、例えば、樹脂成分(A´)にのみまたは樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)に優先的に架橋する架橋剤を用いて架橋する方法、第1段階で、架橋性官能基を有する樹脂成分(A´)と同種の架橋性樹脂(C)を樹脂成分(A´)と混合し架橋して、高架橋樹脂組成(A)を形成させた後、第2段階で、これを樹脂成分(B´)と混合する方法等が挙げられる。

0065

もっとも、粒径が小さく、かつ均一な樹脂成分(A´)、(B´)を形成することができること、樹脂成分(A´)を優先的に架橋し易いこと、並びに熱可塑性樹脂を容易に調製し得ることから、樹脂成分(A´)とほとんど同じメルトインデックスを有し、かつ架橋性官能基を有する、樹脂成分(A´)と同種の架橋性樹脂(C)を、樹脂成分(A´)及び(B´)と共に混合した後、架橋させる方法が最も好ましい。

0066

樹脂成分(A´)とほとんど同じメルトインデックスを有した架橋性官能基を有する樹脂成分(A´)と同種の架橋性樹脂(C)としては、反応性官能基を有し、架橋することができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。このような架橋性樹脂(C)としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基等の不飽和基、水酸基、カルボキシル基エポキシ基、アミノ基、シラノール基シラネート基等を有する前述した熱可塑性樹脂が挙げられる。

0067

架橋性樹脂(C)の具体的な例としては、マレイン酸変性ポリエチレンマレイン酸変性ポリプロピレン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレン等が挙げられる。樹脂成分(A´)のみに、または樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)に優先的に架橋することが容易なこと、及び混合後の架橋が容易なことから、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレンが最も好ましい。

0068

樹脂成分(A´)と架橋性樹脂(C)のメルトインデックスの差が、大きいと樹脂成分(A´)のみに、または樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)に優先的に架橋することが困難になるため、上記メルトインデックスの差は2g/10分以下が好ましく、1g/10分以下がさらに好ましい。

0069

上記架橋性樹脂(C)を架橋する方法としては、過酸化物を用いて架橋する方法、イソシアネートを用いて架橋する方法、アミンを用いて架橋する方法、反応性官能基を加水分解した後、水架橋する方法等が挙げられる。

0070

混合後の架橋が容易なことから、反応性官能基を加水分解した後水架橋する方法が最も好ましい。

0071

発泡剤
本発明において、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に含有される発泡剤として熱分解型の発泡剤が用いられる。

0072

上記熱分解型発泡剤としては、用いられる熱可塑性樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム炭酸アンモニウム重炭酸アンモニウムアジド化合物、ほう水素化ナトリウム等の無機系熱分解型発泡剤;アゾジカルボンアミドアゾビスホルムアミドアゾビスイソブチロニトリルアゾジカルボン酸バリウムジアゾアミノベンゼン、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P−トルエンスルホニルヒドラジド、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドトリヒドラジノトリアジン等が挙げられ、分解温度や分解速度の調整が容易でガス発生量が多く、衛生上優れているアゾジカルボンアミドが好ましい。

0073

上記熱分解型発泡剤の添加量が多すぎると、破泡し、均一なセルが形成されず、逆に少なすぎると十分に発泡しなくなることがあるため、熱分解型発泡剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜25重量部の割合で含有させることが好ましい。

0074

他に添加し得る成分
熱可塑性樹脂発泡体の強度を高めるために、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる上記熱可塑性樹脂には、必要に応じて、ガラス短繊維炭素短繊維ポリエステル短繊維等の補強材炭酸カルシウム水酸化アルミニウムガラスパウダー等の充填材等を添加してもよい。

0075

補強材として、上記短繊維を添加する場合、補強材の添加割合が多すぎると、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、逆に少なすぎると、得られる発泡体を補強する効果が十分に得られなくなる。従って、上記短繊維を添加する場合には、その配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対し1〜20重量部が好ましく、3〜10重量部が特に好ましい。

0076

短繊維の長さが長すぎると、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、短すぎると、得られる発泡体を補強する効果が十分に得られなくなることがあるため、短繊維の長さは、1〜20mmが好ましく、3〜5mmが特に好ましい。

0077

また、上記充填剤を添加する場合、添加量が多いと、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、また、少ないと、得られる発泡体を補強する効果が充分に得られないことがある。従って、充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、10〜100重量部が好ましく、30〜50重量部が特に好ましい。

0078

発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状
発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状について、図1の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を例にとり以下に示す。発泡性熱可塑性樹脂シート状体1では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により一体的に連結されている。言い方を変えれば、上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体1は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2で構成される柱状突出部が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3の一方面から突出するように形成されている形状を有する。もっとも、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2は、図1に示した例では、その一端すなわち下端側において発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により連結されているが、後述するように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の高さ方向のほぼ中心部において発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により連結されていてもよい。

0079

また、上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体1では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2は、図2に平面図で示すように格子状に略均一に配置されている。上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状は、特に限定されず、例えば、六方体、円柱状、球状体などが挙げられるが、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡する際に、発泡を均一に行わせるには、図1,2に示すように円柱状の形状が最も好ましい。

0080

発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場合、その径は、目的とする発泡体の発泡倍率や厚さによっても異なるため特に限定されるものではないが、大きすぎると発泡速度が低下し、小さすぎると発泡時の加熱で円柱が溶融し、変形し易く一次元発泡性を発現できなくなり、厚み精度、重量精度のばらつきが大きくなる。また表面平滑性も低下する。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱の場合、その径は、1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmの範囲が特に好ましい。

0081

発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場合、その高さは、目的とする発泡体の発泡倍率や厚さによっても異なるため特に限定されるものではないが、高すぎると発泡速度が低下し、低すぎると発泡性熱可塑性樹脂薄膜と同時に発泡するため、幅方向及び長手方向において大きく膨張することになる。従って、円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さは1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に好ましい。

0082

発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の距離は、目的とする発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため、特に限定されるものではないが、上記距離が長すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡した時に充填不足が発生する可能性があり、短すぎると発泡時膨張できる面積不足し、幅方向及び長手方向において大きく膨張しがちとなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の中心間距離は、2mm〜50mmが好ましく、3mm〜30mmが特に好ましい。

0083

最終的に得られる発泡体の厚み精度、重量精度を向上し、高い表面平滑性を付与し、発泡倍率を均一化するには、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、発泡性熱可塑性樹脂シート状体において平面的に略均一に配置されることが必要である。もっとも、熱可塑性樹脂粒状体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるものではなく、図2に示したように格子状に配置されていてもよく、図3に示すように千鳥状に配置されていてもよい。発泡性熱可塑性樹脂粒状体が格子状に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる粒状発泡体四角柱の形状となり、発泡体の表面平滑性が良好となり、かつ圧縮強度も高くなるため、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されることが好ましい。

0084

また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる粒状発泡体が六角柱の形状となるため、擬似的なハニカム構造を構成することになる。そのため、得られる発泡体の表面平滑性が高められ、圧縮強度が向上する。従って、好ましくは、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、千鳥状に配置される。

0085

発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、目的とする発泡体の発泡倍率や厚み等によっても異なるため、特に限定されるものではないが、厚くなりすぎると、発泡時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体を移動させ、幅方向及び長手方向における膨張が大きくなり、薄すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体を保持できなくなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、0.05〜3mmが好ましく、0.1〜2mmが特に好ましい。

0086

また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体と発泡性熱可塑性樹脂薄膜との一体化についても、特に限定されるものではなく、発泡性熱可塑性樹脂シート状体1では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により一体的に連結されている。また、好ましくは、図4に断面図で示すように個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の高さ方向におけるほぼ中心部が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3に連結されて一体化される。このような構成では、最終的に得られる発泡体の表裏面が同様の表面平滑性を有することになるため好ましい。なお、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向における中心部とは、必ずしも高さ方向に沿った中心位置とは限らず、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の重心を中心とした部分をいうものとする。

0087

平面状部材
発泡性熱可塑性樹脂薄膜が発泡剤を含有している熱可塑性樹脂と、平面状部材とからなる場合には、平面状部材が発泡性熱可塑性樹脂薄膜の面内における膨張をより効果的に抑制する。従って、発泡性熱可塑性樹脂シート状体全体として、幅方向及び長手方向の膨張が抑制されるため、発泡剤を含有している熱可塑性樹脂と平面状部材とにより発泡性熱可塑性樹脂薄膜を構成することが望ましい。

0088

上記平面状部材を構成する材料は特に限定されず、例えばガラスペーパーチョップドストランドマット等の無機繊維の織布あるいは不織布;ポリプロピレン、ポリエステル等の有機繊維の織布あるいは不織布;熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂からなるシート;繊維強化熱可塑性樹脂シート;あるいは金属からなるシートなどを挙げることができる。

0089

上記無機繊維の織布あるいは不織布に用いられる、無機繊維としては、ガラス繊維炭素繊維等が挙げられ、無機繊維は、多すぎると、最終的に得られる発泡体の軽量化を図ることができず、少なすぎると発泡性熱可塑性樹脂シートの膨張を抑制することができないことがある。従って、無機繊維の織布あるいは不織布を用いる場合、その使用量は、10〜500g/m2 が好ましく、20〜300g/m2 が特に好ましい。

0090

上記有機繊維の織布あるいは不織布に用いられる、有機繊維としては、ポリプロピレン繊維ポリエステル繊維ナイロン繊維アラミド繊維等が挙げられ、有機繊維は、多すぎると、最終的に得られる発泡体の軽量化を図ることができず、少なすぎると発泡性熱可塑性樹脂シート状体の膨張を抑制することができないことがある。従って、有機繊維の織布あるいは不織布を用いる場合、その使用量は、10〜500g/m2 が好ましく、20〜300g/m2 が特に好ましい。

0091

上記熱可塑性樹脂からなるシートに用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができ、該熱可塑性樹脂からなるシートと発泡性熱可塑性樹脂シート状体との接着性を高めるためには、該シート状体に用いられる熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂からなるシートを平面状部材として用いることが望ましい。

0092

上記熱硬化性樹脂からなるシートに用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂フェノール樹脂エポキシ樹脂または不飽和ポリエステルなどを挙げることができる。

0093

また、上記金属からなるシートに用いられる金属としては、例えば、アルミニウムや鉄などを挙げることができる。

0094

上記熱可塑性樹脂、繊維強化熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び金属からなるシートの厚みが厚すぎると、得られる発泡体の軽量化を図ることができず、薄すぎると発泡性熱可塑性樹脂シート状体の膨張を抑制することができないため、0.05〜1mmが好ましく、0.1〜0.5mmの範囲が特に好ましい。

0095

上記繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いられる繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維;ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維などの有機繊維;金属繊維などを挙げることができ、これらの繊維の織布または不織布の形態のものが用いられる。また、上記繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができ、上記シートと発泡性熱可塑性樹脂シート状体との接着性を高めるためには、該シート状体に用いられる熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂が好ましい。

0096

これらの繊維と熱可塑性樹脂とを複合させた繊維強化熱可塑性樹脂シートが重すぎると、得られる発泡体の軽量化を図ることができず、軽すぎると発泡性熱可塑性樹脂シート状体の膨張を抑制することができないことがあるため、繊維強化熱可塑性樹脂シートは、10〜500g/m2 の範囲のものが好ましく、20〜300g/m2 のものが特に好ましい。

0097

上記繊維強化熱可塑性樹脂シート中に含まれる繊維の含有率は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、10〜70重量部が好ましく、30〜60重量部の範囲が特に好ましい。繊維の含有率が10重量部未満の場合には、繊維を複合したことにより補強する効果を十分得ることができず、70重量部を超えると、繊維と熱可塑性樹脂との複合・一体化が十分でないことがあり、さらに発泡性熱可塑性樹脂シート状体との接着性が十分でないことがある。

0098

発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法
請求項1〜6に記載の発明で用いられる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、1)発泡性熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを射出成形機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練し、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状に応じた凹部を有する金型射出した後冷却する方法等が挙げられるが、請求項7に記載の、2)発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練した後、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、該シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いクリアランスを有し、少なくとも一方の外周面に多数の凹部が均一に配設された異方向に回転する一対の賦形ロールに導入し、前記凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を圧入した後、冷却、離型する方法が最も好ましい。

0099

請求項7に記載の発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法
請求項1〜6に記載の発明で用いられる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法に係る請求項7に記載の発明について説明する。先ず、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を得るには、通常、押出機により発泡性熱可塑性樹脂を溶融混練押出しする方法やカレンダーロールを用いて溶融化する方法が挙げられ、押出機を用いた溶融化が連続重量精度、定量性の点から最も好ましい。

0100

軟化状態の発泡性熱可塑性樹脂の形態は、連続的に成形できる形態であれば特に限定されず、シート形態、多数のストランド形態等が挙げられるが、流れ直角方向(幅方向)の定量性の点からシート形態が最も好ましい。

0101

賦形ロールの外周面の凹部の配設は、得られる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の重量精度、厚み精度の向上のため、略均一に配置されることが好ましい。賦形ロールの外周面の凹部の配設は、賦形ロール外周面全体で略均一にあれば特に限定されないが、より均一であることから、格子または千鳥に配設されていることが最も好ましい。

0102

賦形ロールの外周面の凹部の形状は、特に限定されず、例えば、六方体状、円柱状、球状体等が挙げられるが、凹部を成形し易い点、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を均一に成形し易い点、冷却後の離型が行い易い点から円柱状が最も好ましい。

0103

賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状であるとき、円柱の径は、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、大きすぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ、小さすぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体が破壊するため、1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に好ましい。

0104

賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状であるとき、円柱の高さは、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、高すぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ、低すぎると一次元発泡を行える発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できないため、1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に好ましい。

0105

賦形ロールのクリアランスは、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いことが必要である。よって、この範囲であれば、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、厚すぎると、一次元発泡を行える発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できなくなり、薄すぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ易いため、0.05mm〜3mmが好ましく、0.1mm〜2mmが特に好ましい。

0106

軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を凹部への圧入する方法は、1対の賦形ロールのクリアランスを変化させないことにより、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂に賦形ロールからの圧力が付与されて成し遂げられる。

0107

一部を圧入され賦形された軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の冷却方法は、発泡性熱可塑性樹脂の融点以下に下げることができれば、特に限定されず、例えば賦形ロール内部に冷却水を流すなどの方法がある。

0108

発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法の具体的手順を図5を例にとり以下に示す。発泡性熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂及び熱分解型発泡剤などを図5(a)に示す押出機11に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練した後、ダイ12からシート状に押し出し、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を発泡性熱可塑性粒状体の形状に対応した凹部13aを有し、クリアランスが保持された賦形ロール13と賦形ロール14とで賦形しつつ冷却することにより、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2で構成される柱状突出部が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3の一方面から突出するように形成されている形状の発泡性熱可塑性樹脂シート状体が得られる。

0109

なお、前述した、発泡性熱可塑性樹脂粒状体のほぼ高さ方向中心部において発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体を連結する場合には、上記の方法においては、図5(b)に示すように、一対の賦形ロール13,13として、何れもが発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状に応じた凹部13a,13aを有するものを用いればよい。

0110

前述した、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が発泡剤を含有している熱可塑性樹脂と平面状部材とからなる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の場合には、1)図5(a)に示す方法で発泡性熱可塑性樹脂シート状体を製造した後、平面状部材を熱融着する方法が挙げられるが、2)図6(a)に示すように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状に対応した凹部13aを有する賦形ロール13と賦形ロール14とで賦形する際に賦形ロール14側に平面状部材を導入し、賦形と同時に発泡性熱可塑性樹脂薄膜と平面状部材を一体化させる方法が好ましい。

0111

なお、前述した、発泡性熱可塑性樹脂粒状体のほぼ高さ方向中心部において、発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体を連結し、該発泡性熱可塑性樹脂薄膜が発泡剤を含有している熱可塑性樹脂と平面状部材とからなる場合には、上記2)の方法において、図6(b)に示すように、平面状部材の両面に軟化状態のシート状熱可塑性樹脂を供給し、一対の賦形ロール13,13として、何れもが発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状に応じた凹部13a,13aを有するものを用いればよい。

0112

〔熱可塑性樹脂発泡体〕請求項8〜13に記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体は、請求項1〜6に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡して製造することができる熱可塑性樹脂発泡体である。

0113

すなわち、請求項1〜6に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させると、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の部分が発泡するが、このとき、発泡性粒状体の外表面は発泡により生じる気泡を保持し難いため内部に比べ発泡倍率が低くなり、低発泡薄膜となる。このような低発泡薄膜は、粒状体の内部の発泡により、隣接する粒状体の低発泡薄膜と近接し熱融着する。この結果、発泡性粒状体の内部の高い発泡倍率の高発泡体の外表面を低発泡薄膜が被覆した状態となり、かつ複数の高発泡体が互いに低発泡薄膜を介して熱融着されている状態となる。また発泡性熱可塑性樹脂シート状体の発泡性粒状体を連結している発泡性熱可塑性樹脂薄膜は、連続発泡層となり、この連続発泡層の上に高発泡体が複数配置された状態となる。なお、連続発泡層も厚みが薄く、気泡保持が困難であるため低発泡になる。

0114

以上のように、請求項8〜13に記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体は、請求項1〜6に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡して製造することができる熱可塑性樹脂発泡体である。

0115

しかしながら、請求項8〜13に記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体は、請求項1〜6に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡して製造される熱可塑性樹脂発泡体に限定されるものではない。

0116

以下、請求項8〜13に記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体について詳細に説明する。
熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可塑性樹脂
上記熱可塑性樹脂発泡体を構成する連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡体に用いられる熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、請求項1〜6に記載の発明における発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂を用いることができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、得られる発泡体の表面平滑性を高め得るので、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれらの混合物が好ましく、表面平滑性と圧縮強度を両立するためには、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレンまたはこれらの少なくとも一方を含む混合物が特に好ましい。

0117

上記連続発泡層に用いられる熱可塑性樹脂と、低発泡薄膜及び高発泡体に用いられる熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必要はないが、熱融着力が強く曲げ強度が向上することから、同種の樹脂を用いることが好ましい。

0118

低発泡薄膜と高発泡体に用いられる熱可塑性樹脂は、同一の樹脂であることが好ましい。また、請求項1〜6に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させて製造する場合には、同一の樹脂となる。

0119

上記熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可塑性樹脂は、必要に応じて、架橋されたものであってもよく、架橋されたものを用いることにより、熱可塑性樹脂発泡体の耐熱定性が向上するため好ましい。

0120

上記熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可塑性樹脂が、前述したほとんど相溶性を有さない、高架橋樹脂組成(A)と低架橋または無架橋樹脂組成(B)の混合物である場合、発泡時に低架橋樹脂組成が流動でき、低発泡薄膜を介して高発泡体同士の熱融着性が高くなることにより、得られた熱可塑性樹脂発泡体の曲げ強度が向上し、かつ表面平滑性も高くなるため、好適である。

0121

上記熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂発泡体の曲げ強度の向上のため、必要に応じてガラス短繊維、炭素短繊維、ポリエステル短繊維等の補強材;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー等の充填材などを添加してもよい。

0122

熱可塑性樹脂発泡体の形状
上記熱可塑性樹脂発泡体の形状について、図9に示す熱可塑性樹脂発泡体を例にとり、以下説明する。

0123

図9に示すように、熱可塑性樹脂発泡体4は、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層4cの少なくとも片面上に発泡倍率の高い熱可塑性樹脂よりなる高発泡体4aが複数配置されており、この高発泡体4aの外表面は発泡倍率の低い熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜4bにより被覆されている。また隣接する高発泡体4aは、低発泡薄膜4bを介して熱融着されている。

0124

上述のように、このような熱可塑性樹脂発泡体は、請求項1〜6に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡することにより製造することができるものである。発泡性熱可塑性樹脂粒状体を一体的に連結する発泡性熱可塑性樹脂薄膜(図1における3)が連続発泡層4cとなり、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡し、その外表面が低発泡薄膜4bとなり、その内部が高発泡体4aとなる。隣接する低発泡薄膜4bは熱融着されて一体的となる。従って、高発泡体4aは、その外表面を低発泡薄膜4bで被覆され一体化されている。

0125

熱可塑性樹脂発泡体の形態は、通常、シート状または板状である。低発泡薄膜の発泡倍率は、低いと、熱可塑性樹脂発泡体の柔軟性が低下し、また熱伝導度が大きくなり、断熱性が損なわれ、高いと、高い圧縮強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないので、1.1〜10倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜7倍であり、さらに好ましくは1.2〜5倍である。

0126

低発泡薄膜の厚みは、厚いと、熱可塑性樹脂発泡体の軽量化が図れず、また薄いと、高い圧縮強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないので、30μm〜500μmが好ましく、さらに好ましくは40μm〜400μmであり、さらに好ましくは50μm〜400μmである。

0127

なお、低発泡薄膜の厚みは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。ここで、低発泡薄膜の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の横断面方向の低発泡薄膜の平均厚さをいう。

0128

本発明において、低発泡薄膜の発泡倍率が1.1〜10倍、厚みが30μm〜500μmのとき、熱可塑性樹脂発泡体の圧縮強度と軽量化が両立されるため、これらの発泡倍率及び厚みが好ましい。さらに好ましくは発泡倍率1.2〜7倍、厚み40μm〜400μmであり、さらに好ましくは発泡倍率1.2〜5倍、厚み50μm〜400μmである。

0129

高発泡体の発泡倍率は、低いと、軽量化が困難となり、また熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率が増大し、得られる発泡成形体の断熱性が低下し、また高いと、高い曲げ強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないので、2〜100倍が好ましく、さらに好ましくは5〜50倍であり、さらに好ましくは10〜35倍である。

0130

高発泡体の大きさは、大きいと、得られる熱可塑性樹脂発泡体の曲げ強度が低下し、また小さいと、軽量化が困難となるので、3〜50mmが好ましく、さらに好ましくは5〜30mmである。

0131

なお、高発泡体の大きさは均一である必要はなく、不均一であってもよい。ここで、高発泡体の大きさとは、横断面方向の大きさの最大値をいう。低発泡薄膜の発泡倍率は、一般に高発泡体の発泡倍率の1/2以下である。

0132

連続発泡層の発泡倍率は、低いと、軽量化が困難となり、また高いと、高い曲げ強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないので、1.1〜10倍が好ましく、さらに好ましくは2〜8倍であり、さらに好ましくは2〜7倍である。

0133

連続発泡層の厚みは、厚いと、熱可塑性樹脂発泡体の軽量化が図れず、また薄いと、高い曲げ強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないので、100μm〜5mmが好ましく、さらに好ましくは300μm〜3mmであり、さらに好ましくは500μm〜2mmである。

0134

なお、連続発泡層の厚みは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。ここで、連続発泡層の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の縦断面方向の連続発泡層の平均厚さをいう。

0135

図9に示す熱可塑性樹脂発泡体は、請求項9に記載の発明に従う熱可塑性樹脂発泡体であり、高発泡体4aが連続発泡層4cの片面のみに、厚さ方向(一次元的)にほぼ単一の層として接合している。また、高発泡体4aは横断面方向(二次元的)に低発泡薄膜4bを介して熱融着されており、熱可塑性樹脂発泡体4の厚み方向に低発泡薄膜4bが連続した疑似トラス構造となっている。従って、熱可塑性樹脂発泡体4の圧縮強度がさらに向上し、かつ圧縮強度のばらつきも減少する。

0136

上述のように、熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度の向上及び圧縮強度のばらつきの低減のためには、複数の高発泡体が発泡体の横断面方向において平面的に略均一に配置されていることが好ましい。複数の高発泡体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるものではなく、図10に示すように格子状に配置されてもよいし、図11に示すように千鳥状に配置されてもよい。

0137

複数の高発泡体が格子状に配置されている場合には、図10に示すように、個々の発泡体4aは四角柱の形状となり、熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が良好となり、かつ圧縮強度も高くなる。

0138

また、複数の高発泡体が、千鳥状に配置されている場合、図11に示すように、複数の高発泡体4aは六角柱状の形状となり、各高発泡体4aは低発泡薄膜4bを介して熱融着されている構造となり、全体としてハニカム状の熱可塑性樹脂発泡体が得られる。このようなハニカム状の熱可塑性樹脂発泡体は、表面平滑性に優れ、圧縮強度、曲げ強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体となる。

0139

図12に示す熱可塑性樹脂発泡体は、請求項10に記載の発泡に従う熱可塑性樹脂発泡体である。図12に示すように、連続発泡層4cの両面に高発泡体4aがそれぞれ配置され、かつそれぞれの面において厚み方向に重ならないように高発泡体4aが単一の層として配置されている。また高発泡体4aは、長さ方向及び幅方向(二次元的)に、低発泡薄膜4bを介して熱融着されている。このような熱可塑性樹脂発泡体は、表面及び裏面を同様の表面平滑性とすることができる。

0140

連続発泡層が、熱可塑性樹脂発泡体と平面状部材とからなる場合、連続発泡層の強度を高めることができ、より強固に高発泡体が接合され、曲げ強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体とすることができる。上記平面状部材を構成する材料は特に限定されるものではなく、請求項1〜6に記載の発明において用いられる平面状部材を用いることができる。

0141

熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
請求項8〜13に記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体は、上述のように、請求項1〜6に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を、好ましくは請求項14に記載の方法により発泡して製造することができるものであるが、これに限定されるものではない。

0142

例えば、発泡剤を含有した発泡性熱可塑性樹脂ペレットを発泡させて、連続発泡層以外の低発泡薄膜を介して熱融着した高発泡体を成形し、これに別工程で成形した熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層を熱融着させることにより製造してもよい。

0143

請求項14に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
請求項14に記載の発明では、上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を、発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させた後、発泡により得られた発泡体を冷却する。この場合、加熱により発泡させる工程については、発泡性熱可塑性樹脂粒状体に含有されている熱分解型発泡剤の分解温度以上に発泡性熱可塑性樹脂シートを加熱し得る適宜の方法を用いることができ、例えば、電気ヒーター遠赤外線ヒーター、加熱された油や空気等の加熱媒体循環させてなる加熱装置などを用いて加熱する方法を挙げることができる。

0144

また、上記発泡体の冷却方法についても特に限定されず、発泡体を構成する樹脂の軟化点以下の温度に冷却し得る適宜の方法を採用することができ、例えば、冷却された水や空気などの冷却媒体を循環させる形式冷却装置などを用いて冷却する方法を採用することができる。

0145

作用
請求項1に記載の発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シート状体では、平面的に略均一に配置された発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている。従って、図7(a)及び(b)に示すように、発泡剤の分解温度以上に加熱した場合、先ず熱容量の小さい発泡性熱可塑性樹脂薄膜3のみが発泡し、熱容量の大きい発泡性熱可塑性樹脂粒状体2は発泡しない状態となる。この場合、発泡した熱可塑性樹脂薄膜3´が、発泡していない発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の存在により、面内方向にほとんど膨張できず、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2間において発泡性熱可塑性樹脂薄膜3が波打ち、かつ発泡倍率が低下することになる。この熱可塑性樹脂薄膜の発泡後、図7(c)、並びに図8(a)及び(b)に示すように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2間の隙間を埋めるように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡して個々の発泡粒状体2´となり、それによって発泡性熱可塑性樹脂シート状体1の面内方向における膨張を引き起こすことなく、疑似一次元的な発泡によりシート状の熱可塑性樹脂発泡体4を得ることができる。

0146

請求項2に記載の発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的には格子状に配置されているので、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が得られる個々の粒状発泡体が四角柱状となり、従って、厚み強度、重量精度のばらつきが少なく、表面平滑性及び圧縮強度に優れた熱可塑性樹脂発泡体を容易に得ることができる。

0147

また、請求項3に記載の発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的には千鳥状に配置されているので、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる個々の粒状発泡体が六角柱の形状となり、全体としてハニカム状の発泡体が得られることになる。よって、厚み精度、重量精度のばらつきが少なく、表面平滑性が優れ、圧縮強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体を容易に得ることができる。

0148

請求項4に記載の発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向ほぼ中心部において発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜に連結されているため、得られる熱可塑性樹脂発泡体の表裏面の表面平滑性が同様の状態となり、従って、優れた表面平滑性を有する熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。

0149

請求項5に記載の発明では、発泡剤を含有している熱可塑性樹脂シートと、平面状部材とからなる発泡性熱可塑性樹脂薄膜を有するため、上記平面状部材が熱可塑性樹脂薄膜の面内方向における膨張を効果的に抑制する。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の間隔が発泡工程において変化し難いため、疑似一次元的な発泡をより効果的に行わせることができる。

0150

請求項6に記載の発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が、発泡剤と、互いにほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂組成と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂組成との混合物よりなるため、低発泡もしくは無架橋の熱可塑性樹脂組成が発泡時にせん断的に流動し、疑似一次元的発泡を行わせ易く、かつ表面平滑性に優れ、さらに熱可塑性樹脂粒状体が均一に発泡することにより圧縮強度に優れた熱可塑性樹脂発泡体を容易に得ることができる。

0151

請求項7に記載の発明では、シート状発泡性熱可塑性樹脂を上記のようにして一対の賦形ロールに導入し、該賦形ロールの凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を圧入した後、冷却するだけでよいため、容易に上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を製造することができる。

0152

請求項8に記載の発明にかかる熱可塑性樹脂発泡体では、図9に示すように熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層4cに熱融着し、融着部を除いた外表面を熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜4bが被覆している、熱可塑性樹脂よりなる複数の高発泡体4aが、互いに低発泡薄膜4bを介して熱融着されている。このため、高い圧縮強度が発現できる。加えて、連続発泡層が個々の高発泡体を繋ぐように熱融着されているため、低発泡薄膜間の融着界面剥離・破壊することがなく、高い曲げ強度を有する。

0153

請求項9に記載の発明では、高発泡体が、連続発泡層の片面のみに配置されかつ厚さ方向(一次元的)にほぼ単一層に接合され、面方向(二次元的)に低発泡薄膜を介して熱融着されている。従って、熱可塑性樹脂発泡体の厚み方向に均一となり、かつ熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に熱可塑性樹脂低発泡薄膜が連続した疑似トラス構造になるため、熱可塑性樹脂発泡体の圧縮強度がさらに向上し、かつ圧縮強度のばらつきも減少する。

0154

請求項10に記載の発明では、高発泡体が、連続発泡層の両面にそれぞれ配置され、それぞれの面において厚さ方向(一次元的)にほぼ単一層であり、面方向(二次元的)に低発泡薄膜を介して熱融着されており、熱可塑性樹脂発泡体の表裏面が同様の表面平滑性となる。従って、優れた表面平滑性を有する熱可塑性樹脂発泡体となる。

0155

請求項11に記載の発明では、高発泡体が格子状に配置されており、個々の高発泡体が四角柱の形状となっており、熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度のばらつきが少なく、表面平滑性が良好となり、かつ圧縮強度も向上する。

0156

請求項12に記載の発明では、高発泡体が、千鳥状配置されており、複数の六角柱状の高発泡体が低発泡薄膜を介して熱融着されている構造となり、全体としてハニカム状の熱可塑性樹脂発泡体が得られることになり、表面平滑性が向上し、圧縮強度、曲げ強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体となる。

0157

請求項13に記載の発明では、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層が熱可塑性樹脂発泡体と平面状部材とからなる。従って、連続発泡層の強度が高くなることにより、より強固に高発泡体が接合され、曲げ強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体となる。

0158

請求項14に記載の発明では、上記のような厚み精度及び重量精度のばらつきが少なく、表面平滑性に優れ、かつ、高い圧縮強度を有し、強度のばらつきが小さく、また曲げ強度が十分な熱可塑性樹脂発泡体を製造することができる。

0159

以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明の効果を明らかにする。

0160

(発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造)
実施例1〜7,11〜14
表1,表2に示した割合(重量部)の熱可塑性樹脂、シラン架橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部、及び熱分解型発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210℃)5重量部を含有する組成物を、図5に示した2軸押出機11に供給した。2軸押出機11としては、径44mmのものを用いた。2軸押出機11において、上記組成物を180℃で溶融混練し、面長500mm、リップ1.0mmのTダイ12により軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を押し出した。

0161

さらに、表1,表2に示した配置の凹部を有する径250mm及び面長500mmのロール13,14間またはロール13,13間で該シート状発泡性熱可塑性樹脂を賦形しつつ冷却し、さらに発泡性熱可塑性シート状体を98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥することにより、表1,表2に示した形態の発泡性熱可塑性樹脂シート状体1を得た。

0162

実施例8〜10及び15
表1,表2に示した重量部の熱可塑性樹脂と、シラン架橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部と、熱分解型発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210℃)5重量部とを含有する組成物を用い、実施例1と同様にしてTダイ12から軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を押し出した。さらに、Tダイ12から押し出された軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、表1,2に示した形状の凹部を有する、径250mm及び面長500mmのロール13,14間または賦形ロール13,13間で、図6(a)または(b)に示す方法で、平面状部材としてのガラスペーパー(オリベスト社製、商品名:FVP045、45g/m2 )と一体化しつつ賦形した後、冷却し、賦形された発泡性熱可塑性シート状体を98℃の水中に2時間浸漬することにより、表1,2に示した形態の発泡性熱可塑性樹脂シート状体1(ガラスペーパーは図示せず)を得た。

0163

実施例16
実施例15において、アゾジカルボンアミドの量を10重量部とする以外は、実施例15と同様にして、実施例15と同様の熱可塑性樹脂シート状体を得て、発泡体を得た。

0164

発泡体の厚さは20mm、厚さばらつきは0.3mm、疑似一次元発泡性は1.00、25%圧縮強度は3.9kgf/cm2 、圧縮強度ばらつきは0.06kgf/cm2 、曲げ強度は4.12kgf/cm2 、表面状態及び表面平滑性は良好であった。

0165

実施例1〜16の発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状等
上記のようにして得た実施例1〜16の発泡性熱可塑性樹脂シート状体では、上記賦形ロール13の凹部に対応する部分において発泡性熱可塑性樹脂粒状体が構成されており、該発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜により連結されて、全体として発泡性熱可塑性樹脂シート状体が構成されていた。

0166

上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート状体における発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状、高さ、径及び粒状体間の中心間間隔、並びに発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚み、発泡性熱可塑性樹脂粒状体に対する連結位置及び平面状部材の有無を、下記の表1,表2に示す。

0167

なお、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さとは、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向一端に連結されている場合には、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みを含めた発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向寸法をいうものとし、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が発泡性熱可塑性樹脂粒状体の中心部に連結している場合には、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向両端間の寸法をいうものとする。

0168

また、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の連結位置における端部とは、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向一端において発泡性熱可塑性樹脂粒状体に連結されていることを意味する。

0169

比較例1
表2に示した重量部の熱可塑性樹脂と、シラン架橋触媒として、ジブチル錫ジラウレート0.1重量部と、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210℃)5重量部とを含む組成物を、実施例1と同様に2軸押出機11に供給し、Tダイ12から実施例1と同様にしてシート状に押し出した。次に、Tダイ12から押し出されたシートを、表面に凹部を有しない径250mm及び面長500mmのロール間を通して冷却し、冷却されたシートを98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥し、厚み1.0mmの平坦な発泡性熱可塑性樹脂シートを得た。

0170

比較例2
表2に示した重量部の熱可塑性樹脂と、シラン架橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部と、熱分解型発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度210℃)5重量部とを含む組成物を、実施例1と同様に2軸押出機11に供給し、Tダイ12からシート状に押し出し、さらに、押し出されたシートを、表面に凹部を有しない直径250mm及び面長500mmのロール間を通して冷却した後、ペレット化し、これを98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥した。このようにして、5×5mm×厚み1.5mmの発泡性熱可塑性樹脂ペレットを得た。

0171

(発泡体の製造)実施例1〜15及び比較例1では、図7(a)に示すように、上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート1及び発泡性熱可塑性樹脂樹脂シートを、フッ化エチレン樹脂よりなるシート15上に、表1,2に示した重量となるように配置し、さらに上方にフッ化エチレン樹脂シート16を重ね、210℃のハンドプレスを用い10分間加熱し発泡させた後、30℃の冷却プレスに移し、10分間冷却し、熱可塑性樹脂発泡体を得た。

0172

他方、比較例2においては、平坦な発泡性熱可塑性樹脂シートに代えて、上記発泡性熱可塑性樹脂ペレットをフッ化エチレン樹脂よりなるシート15上に1000g/m2 の割合となるように分散させて散布し、その他は上記と同様にして熱可塑性樹脂発泡体を得た。

0173

得られた熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率、厚み及びそのばらつき、疑似一次元発泡性、25%圧縮強度及びそのばらつき、曲げ強度、表裏面状態、表面平滑性を以下のようにして測定した。結果を下記の表1,表2に示す。

0174

(発泡倍率)JIS K6767に準拠して発泡倍率を測定した。
(発泡体の厚み)ノギスを用い、得られた発泡体の厚みを測定した。

0175

(発泡体の厚みばらつき)熱可塑性樹脂発泡体の厚みn=20の最大値と最小値の差をばらつきとする。
(疑似一次元発泡性)発泡前に配置した発泡性熱可塑性樹脂シートの面積と、得られた熱可塑性樹脂発泡体の面積を測定し、前者の後者に対する比を求め、疑似一次元発泡性とした。この値が1に近いほど疑似一次元発泡性が高いことになる。

0176

(25%圧縮強度)JIS K6767に準拠して測定した。
(圧縮強度のばらつき)25%圧縮強度n=10の最大値と最小値の差をばらつきとする。

0177

(曲げ強度)カットまたは積層により、150mm×20mm×6mmの熱可塑性樹脂発泡体を成形し、スパン90mm、押さえ速度20mm/分、押さえ軸のR=5、n=5の条件で3点曲げテストを行ない、曲げ強度を測定した。

0178

(表裏面状態)得られた熱可塑性樹脂発泡体の表裏面状態を、官能評価により4段階に評価した。表3,4における評価記号の意味は以下のとおりである。
◎…格子状またはハニカム状表裏面であり表裏面が同一状態である。
○…格子状またはハニカム状表面である。または表裏面が同一状態である。
△…略均一的表裏面状態である。
×…熱可塑性樹脂発泡体の均一性が低い。

0179

(表面平滑性)得られた熱可塑性樹脂発泡体の表面性を、官能評価により4段階に評価した。表1における評価記号の意味は以下のとおりである。
◎…表裏面とも極めて平滑である。
○…表裏面とも平滑である。
△…片面に小さな凹凸が存在するが、おおむね平滑である。
×…表面に大きな凹凸が見られた。

0180

表1,表2において、PPは、ポリプロピレン(三菱油化社製、商品名:MA3、メルトインデックス(MI)=11g/10分)を、シラン変成PPは、架橋性シラン変成ポリプロピレン(三菱油化社製、商品名:XPM800H、MI=11g/10分、架橋後のゲル分率80重量%)を、HDPEは、高密度ポリエチレン(三菱油化社製、商品名:HY340、MI=1.5g/10分)を示す。なお、曲げ強度の「測定不能」は、曲げ剛性が低く、曲げ変位が大きくなり破壊強度が現れないことを示す。

0181

0182

0183

表2から明らかなように、比較例1で得られた熱可塑性樹脂発泡体では、発泡倍率10倍の熱可塑性樹脂発泡体を得ることができたが、疑似一次元発泡性が2.15と非常に大きく、従って、長さ方向、幅方向においても発泡に際してかなり膨張していた。また熱可塑性樹脂発泡体が波打ち、厚み精度、表面状態、表面平滑性共に悪い結果である。加えて、熱可塑性樹脂発泡体が均質なため圧縮強度も1.95kgf/cm2 と低く、かつ曲げ強度は、剛性が低すぎるために測定不能であった。

0184

また、比較例2では、発泡性熱可塑性樹脂ペレットを用いて発泡倍率10倍の熱可塑性樹脂発泡体を得ている。疑似一次元発泡性は発泡性熱可塑性樹脂ペレット間に隙間があるため、比較例1に比べ小さくなってはいるが、発泡性熱可塑性樹脂ペレットの散布精度に依存するため、1.25と少し高く、従って、幅方向及び長さ方向においてもかなりの割合で膨張していることが認められた。このことにより厚みのばらつきも大きな値となっている。

0185

得られた熱可塑性樹脂発泡体の圧縮強度は、低発泡薄膜が形成されるため比較例1に比べて少し大きくなっているが、4.02kgf/cm2 と低く、かつばらつきが非常に大きな値となっている。表面平滑性の評価においても、発泡性熱可塑性樹脂ペレットの散布精度に依存する表面に大きな凹凸が見られた。また、曲げ強度は発泡体の長さ方向、幅方向に連続した層を有さないために小さな値となっている。

0186

これに対して、実施例1〜15で得られた熱可塑性樹脂発泡体では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されている発泡性熱可塑性樹脂シートを用いたため、疑似一次元発泡性が1.03以下と1にかなり近く、従って、幅方向及び長さ方向の膨張を効果的に抑制しつつ、熱可塑性樹脂発泡体を製造し得ることがわかる。加えて、厚みばらつきについても0.8mm以下とかなり小さくなっている。

0187

得られた熱可塑性樹脂発泡体については、低発泡薄膜が形成されるため、圧縮強度5.98kgf/cm2 以上と高く、またばらつきも0.31kgf/cm2 以下と圧縮強度が高く、ほぼ均一な熱可塑性樹脂発泡体であることもわかる。

0188

得られた熱可塑性樹脂発泡体は、長さ方向、幅方向に連続発泡層を有するために、曲げ強度も12.3kgf/cm2 以上と高い。また、実施例1,2間の比較から、厚さ方向に単一層の熱可塑性樹脂発泡体は、複層の熱可塑性樹脂発泡体に比べて圧縮強度、曲げ強度に優れ、かつ表面平滑性が高いことがわかる。

0189

また、実施例2〜4間の比較、実施例5〜7間の比較、実施例8〜10間の比較、実施例11〜13間の比較から、アトランダムに略均一に発泡性熱可塑性樹脂粒状体を配置した場合に比べて、格子状に配置した場合の方が圧縮強度、曲げ強度に優れた発泡体を得ることができ、さらに、千鳥状に配置した場合にも最も圧縮強度に優れた熱可塑性樹脂発泡体の得られることがわかる。

0190

また、実施例2〜4と実施例5〜7との比較、実施例13と14の比較から、発泡性熱可塑性樹脂薄膜を発泡性熱可塑性樹脂粒状体の中心部に連結した場合、端部に連結した場合に比べて得られるシート状発泡体の表面状態が優れていることがわかる。

0191

さらに、実施例2〜4と実施例8〜10との比較、実施例14と実施例15との比較から明らかなように、発泡性熱可塑性樹脂薄膜を発泡剤含有熱可塑性樹脂と平面状部材とからなるもので構成することにより、疑似一次元発泡性をほぼ1.0とすることができ、平面状部材を用いることにより、幅方向及び長さ方向の膨張をより効果的に抑制することができる。また平面状部材が、長さ方向、幅方向に連続層となるために曲げ強度が非常に高められることもわかる。

0192

また、実施例2〜4と実施例11〜13との比較から、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が、発泡剤とほとんど相溶性を有しない高架橋樹脂組成と、低架橋もしくは無架橋樹脂組成との混合物よりなる場合は、得られる熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が常に優れることがわかる。

0193

実施例15は最も好ましい発泡性熱可塑性樹脂シート状体を用いたものであり、高い疑似一次元発泡性を示し、また得られた熱可塑性樹脂発泡体は、厚み精度が高く、圧縮強度に優れかつばらつきが小さく、曲げ強度も高く、表裏面の表面状態が同じで、表面平滑性が高い熱可塑性樹脂発泡体となる。

0194

実施例13について熱可塑性樹脂発泡体を横方向にカッティングし、その断面を観察したところ、図9に示すように連続発泡層4cの上に高発泡体4aが存在し、高発泡体4aの外表面を低発泡薄膜4bが被覆した状態となっていた。低発泡薄膜4bの厚みは200μmであり、高発泡体4aの大きさは、11.3μmであった。低発泡薄膜4bの発泡倍率を測定したところ、1.8であり、高発泡体4aの発泡倍率を測定したところ12.3であった。

発明の効果

0195

以上のように、請求項1に記載の発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シート状体では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、かつ該発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されているため、発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させることにより、発泡性熱可塑性樹脂シート状体の面内方向における膨張を引き起こすことなく、疑似一次元的に、すなわちほぼ厚み方向にのみ発泡された熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。すなわち、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の面内方向における膨張を抑制し、かつ発泡性熱可塑性樹脂粒状体の発泡により発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の隙間が埋められることになるため、疑似一次元的に発泡された熱可塑性樹脂発泡体を確実に得ることができる。よって、得られた熱可塑性樹脂発泡体を幅方向や長手方向に拡幅もしくは延伸する必要がないので、熱可塑性樹脂発泡体の生産性を効果的に高めることができる。

0196

しかも、従来の発泡性熱可塑性樹脂ペレットを用いた方法では、発泡性熱可塑性樹脂ペレットの散布状況により得られる発泡体の厚み精度、重量精度及び表面性等がばらつき易かったのに対し、請求項1に記載の発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が予め略均一に配置された状態で発泡性熱可塑性樹脂薄膜により連結されているため、厚み精度、重量精度及び表面性のばらつきの少ない安定な品質の熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。

0197

また、請求項2,3に記載の発明のように、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体を格子状あるいは千鳥状に配置した場合には、発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の隙間がより一層確実に埋められることになるため、圧縮強度に優れた熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。

0198

請求項4に記載の発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体がその高さ方向中心部において発泡性熱可塑性樹脂薄膜により連結されているため、表面及び裏面の双方において表面平滑性に優れた熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。

0199

請求項5に記載の発明では、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が発泡剤含有熱可塑性樹脂と平面状部材とからなるので、該平面状部材により発泡に際してのシート面内方向の膨張がより効果的に抑制され、従って、より一層疑似一次元発泡性に優れた熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。

0200

請求項6に記載の発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が、発泡剤と、ほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂組成と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂組成との混合物よりなるため、発泡に際し低架橋もしくは無架橋樹脂組成成分が流動性に優れており、従って表面平滑性に優れた熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。

0201

また、請求項7に記載の発明によれば、上記請求項1〜6に記載の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を簡便に得ることができる。請求項8に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性樹脂よりなる高発泡体と、高発泡体の外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備え、複数の高発泡体が互いに前記低発泡薄膜を介して熱融着されているため、厚み精度、重量精度のばらつきが少なく、表面平滑性が高い熱可塑性樹脂発泡体となり、またばらつきが小さく、高い圧縮強度を発現する。加えて、連続発泡層が個々の高発泡体を繋ぐように熱融着されているため、低発泡薄膜間の熱融着界面で剥離・破壊することがなく、高い曲げ強度を発現する。

0202

請求項9に記載の発明によれば、高発泡体が、連続発泡層の片面のみに配置され、かつ厚さ方向(一次元的)にほぼ単一層に接合され、面方向(二次元的)に低発泡薄膜を介して熱融着されている構造であり、熱可塑性樹脂発泡の厚み方向に均一であり、かつ熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に熱可塑性樹脂発泡体薄膜が連続した疑似トラス構造であるため、熱可塑性樹脂発泡体の圧縮強度がさらに向上し、かつ圧縮強度のばらつきが減少する。

0203

請求項10に記載の発明によれば、高発泡体が、連続発泡層の両面にそれぞれ配置され、かつそれぞれの面において厚さ方向(一次元的)にほぼ単一層であり、面方向(二次元的)に低発泡薄膜を介して熱融着しているため、熱可塑性樹脂発泡体の表裏面が同様の表面平滑性となる。従って、優れた表面平滑性を有する熱可塑性樹脂発泡体となる。

0204

請求項11に記載の発明によれば、高発泡体が格子状に配置されており、個々の高発泡体が四角柱の形状であり、熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度のばらつきが少なく、圧縮強度が向上する。

0205

請求項12に記載の発明によれば、高発泡体が、千鳥状に配置されており、複数の六角柱状の高発泡体が低発泡薄膜を介して熱融着されている構造であり、全体としてハニカム状の熱可塑性樹脂発泡体となる。従って、圧縮強度、曲げ強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体となる。

0206

請求項13に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層が、熱可塑性樹脂発泡体と平面状部材とからなり、連続発泡層の強度が高くなることにより、より強固に高発泡体が接合され、曲げ強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体となる。

0207

従って、請求項1〜6に記載の発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シート状体を用い、請求項14に記載の発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に従って発泡体を製造することにより、厚み精度、重量精度及び表面平滑性などの品質に優れ、かつ品質のばらつきの少ない請求項8〜13の熱可塑性樹脂発泡体を高い生産性をもって製造することができる。

図面の簡単な説明

0208

図1本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体の一例を説明するための部分切欠断面図。
図2本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体における発泡性熱可塑性樹脂粒状体が格子状に配置されている状態を説明するための平面図。
図3本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体における発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されている形態を説明するための平面図。
図4本発明において発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さ方向中心部に発泡性熱可塑性樹脂薄膜が連結されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体を示す部分切欠断面図。
図5(a)は、本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を製造する工程を説明するための略図的側面図、(b)は、(a)に示した工程において発泡性熱可塑性樹脂粒状体を形成するための加工工程を示す要部拡大断面図。
図6本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体において、発泡剤を含有している熱可塑性樹脂と平面状部材とからなる発泡性熱可塑性樹脂薄膜を形成する加工工程を示しており、(a)は図1に示す発泡性熱可塑性樹脂シート状体の発泡性熱可塑性樹脂薄膜が熱可塑性樹脂と平面状部材からなる場合の工程を示しており、(b)は図4に示す発泡性熱可塑性樹脂シート状の場合における(a)と同様の工程を示す略図的側面図。
図7(a)〜(c)は、本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させる各工程を説明するための各断面図
図8(a)及び(b)は、本発明の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させて発泡体を得る工程を説明するための各断面図。
図9本発明の熱可塑性樹脂発泡体の一例を示す略図的縦断面図。
図10高発泡体を格子状に配置した本発明の熱可塑性樹脂発泡体の一例を示す略図的横断面図。
図11高発泡体を千鳥状に配置した本発明の熱可塑性樹脂発泡体の一例を示す略図的横断面図。
図12本発明の熱可塑性樹脂発泡体の他の例を示す略図的縦断面図。

--

0209

1…発泡性熱可塑性樹脂シート状体
2…発泡性熱可塑性樹脂粒状体
3…発泡性熱可塑性樹脂薄膜
4…熱可塑性樹脂発泡体
4a…高発泡体
4b…低発泡薄膜
4c…連続発泡層

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