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技術 RNAの合成方法、該方法によって得られたRNA、該RNAから他のRNAに対してハイブリッド形成能力を有するリボザイムまたはアンチセンスRNAを精製する方法、該方法によって精製されたリボザイムまたはアンチセンスRNA、及びこれによるウイルスの複製を阻害する方法

出願人 大幸薬品株式会社
発明者 三浦孝典緒方規男
出願日 1996年6月24日 (24年6ヶ月経過) 出願番号 1996-162607
公開日 1998年1月13日 (22年11ヶ月経過) 公開番号 1998-004964
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素・酵素の調製 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 糖類化合物 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬
主要キーワード ナカライテクス社製 弱アルカリ性条件下 補助液 発酵工学 鎖状重合体 混合反応 クロマトカラム クロマトグラフィー担体
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課題

変異後のウイルスにでも対処できる多様性を持ったリボザイムライブラリーアンチセンスRNAライブラリーの製造方法を提供すること。

解決手段

鋳型及びプライマーの不存在下、セルモコッカス属に属する細菌の耐熱性DNAポリメラーゼの存在下でリボヌクレオチドを、約20〜90℃、中性弱アルカリ性の条件下で重合させる。

概要

背景

概要

変異後のウイルスにでも対処できる多様性を持ったリボザイムライブラリーアンチセンスRNAライブラリーの製造方法を提供すること。

鋳型及びプライマーの不存在下、セルモコッカス属に属する細菌の耐熱性DNAポリメラーゼの存在下でリボヌクレオチドを、約20〜90℃、中性弱アルカリ性の条件下で重合させる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

鋳型およびプライマーの不存在下、蛋白質の存在下でリボヌクレオチド重合させることを特徴とするRNAの合成方法

請求項2

前記蛋白質が耐熱性DNAポリメラーゼである請求項1記載の合成方法。

請求項3

前記耐熱性DNAポリメラーゼがセルモコッカス属、セルマス属に属する細菌のDNAポリメラーゼからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項2記載の合成方法。

請求項4

約20〜90℃の温度下で重合を行なう請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成方法。

請求項5

中性弱アルカリ性の条件下で重合を行なう請求項1〜4のいずれか1項記載の合成方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項記載の合成方法により得られてなるRNA。

請求項7

請求項6記載のRNAから、他のRNAとハイブリッドを形成する能力を有するリボザイムを精製する方法であって、前記した他のRNAをリガンドとして共有結合したアフィニティークロマトグラフィーを用いることにより行なわれるリボザイムの精製方法

請求項8

請求項7記載の方法により精製されてなる、他のRNAとハイブリッドを形成する能力を有するリボザイム。

請求項9

請求項6記載のRNAから、他のRNAとハイブリッドを形成する能力を有するアンチセンスRNAを精製する方法であって、前記した他のRNAをリガンドとして共有結合したアフィニティークロマトグラフィーを用いることにより行なわれるアンチセンスRNAの精製方法。

請求項10

請求項9記載の方法により精製されてなる、他のRNAとハイブリッドを形成する能力を有するアンチセンスRNA。

請求項11

請求項8記載のリボザイムまたは請求項10記載のアンチセンスRNA、あるいはその両方を、ウイルス感染細胞トランスフェクションすることにより行なわれるウイルスの複製を阻害する方法。

請求項12

請求項8記載のリボザイムまたは請求項10記載のアンチセンスRNA、あるいはその両方よりなり、ウイルス感染細胞にトランスフェクションされる抗ウイルス剤

技術分野

0001

本発明は、RNAの合成方法、該方法によって得られたRNA、他のRNAに対してハイブリッド形成能力を有するRNA(リボザイムアンチセンスRNA)を前記RNAから精製する方法、該方法により精製されたRNA(リボザイム、アンチセンスRNA)、及びこのRNAによりウイルスの複製を阻害する方法に関し、詳しくは鋳型並びにプライマー非依存的にRNAを合成する方法、換言すれば、遺伝情報蛋白質の持つ情報のみに依存してRNAを創造し合成する方法、創造されたRNA、このRNAからリボザイム、アンチセンスRNAを精製する方法、この精製されたRNAを、有用なリボザイム、アンチセンスRNAとして抗ウイルス剤に用いるなど、医学発酵工学農学化学分野等で利用する方法に関する。

0002

近年、遺伝子工学のめざましい発展にともない、医学、農学、発酵工学等の分野は、多大な恩恵を受けている。例えば、医学分野においては、遺伝子治療遺伝子診断等が遺伝子工学を用いた手法を多く取り入れ、今まさに大きな発展を遂げようとしている。

0003

ここで、遺伝子治療を例として挙げると、この遺伝子治療の一部には、例えば、アンチセンスRNAやリボザイム等を用いる治療方法も研究されている。

0004

エイズ治療においては、アンチセンスRNAによるエイズウィルス(以下、「HIV」という)蛋白質合成の阻害(他のRNAに対するアンチセンスRNAのハイブリッド箇所における翻訳の停止による阻害)や、リボザイムによるHIVRNAの切断等の試みが行われている。

0005

しかし、HIVは変わり身(変異)が速く、自らの構造を変化させて免疫系によるHIV排除の網をうまく潜り抜ける性質を持っているので、HIVに特異的なアンチセンスRNAやリボザイムを開発しても、このHIVが変異する結果、特異性を失ってもはやHIVに対してハイブリダイズしなくなるという問題点があった。

0006

この問題点を解決するためには、変異後のHIVにでも対処できる多様性を持ったリボザイムライブラリーリボザイム分子集団)やアンチセンスRNAライブラリー(アンチセンスRNA分子集団)、及びこの分子集団から、有用なRNA(リボザイムやアンチセンスRNA)をスクリーニングする技術の開発が課題であった。なお、この課題はHIVに限られるものでもなく、例えば他のレトロウィルスであるインフルエンザウィルスC型肝炎ウィルスD型肝炎ウィルス等を含む遺伝子治療全般の課題でもある。

0007

しかしながら、リボザイムやアンチセンスRNAの開発は、RNA合成の開発と密接な関係にあるものの、従来のRNA合成技術により得られるRNAでは、以下の理由により、多様性を持つリボザイムやアンチセンスRNA等のライブラリーの生産は不可能であった。

0008

すなわち、RNAは、言うまでもなくD−リボース糖成分アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)及びウラシル(U)等の塩基成分を持つヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で一本の鎖状重合体を形成したポリヌクレオチドであり、このRNAの生合成は、ATPGTP、CTPUTP等のヌクレオチド三燐酸基質としてDNAまたはRNA依存的にRNAポリメラーゼにより行われる。その反応産物メッセンジャーRNAmRNA)、トランスファーRNAtRNA)、リボゾームRNArRNA)等であるが、いずれもDNAまたはRNAの鋳型を前もって必要とし、その反応産物は鋳型に相補的なRNAしか得られなかった。つまり、蛋白質のみの情報に依存し、配列に多様性を持つRNAを合成することは不可能であった。従って、多様性を持つリボザイムやアンチセンスRNA等のライブラリー生産も、従来の技術では不可能であった。

課題を解決するための手段

0009

請求項1記載のRNAの合成方法は、鋳型およびプライマーの不存在下、蛋白質の存在下でリボヌクレオチド重合させることを特徴とする方法である。

0010

請求項2記載のRNAの合成方法は、請求項1記載の方法において、前記蛋白質が耐熱性DNAポリメラーゼであることを特徴とする方法である。

0011

請求項3記載のRNAの合成方法は、請求項2記載の方法において、前記耐熱性DNAポリメラーゼがセルモコッカス属、セルマス属に属する細菌のDNAポリメラーゼからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする方法である。

0012

請求項4記載のRNAの合成方法は、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法において、約20〜90℃の温度下で重合を行なう方法である。

0013

請求項5記載のRNAの合成方法は、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法において、中性弱アルカリ性の条件下で重合を行なう方法である。

0014

請求項6記載のRNAは、請求項1〜5のいずれか1項記載の合成方法により得られてなるものである。

0015

請求項7記載のリボザイムの精製方法は、請求項6記載のRNAから、他のRNAとハイブリッドを形成する能力を有するリボザイムを精製する方法であって、前記した他のRNAをリガンドとして共有結合したアフィニティークロマトグラフィーを用いることにより行なわれる方法である。

0016

請求項8記載のリボザイムは、請求項7記載の方法により精製されてなる、他のRNAとハイブリッドを形成する能力を有するリボザイムである。

0017

請求項9記載のアンチセンスRNAの精製方法は、請求項6記載のRNAから他のRNAとハイブリッドを形成する能力を有するアンチセンスRNAを精製する方法であって、前記した他のRNAをリガンドとして共有結合したアフィニティークロマトグラフィーを用いることにより行なわれる方法である。

0018

請求項10記載のアンチセンスRNAは、請求項9記載の方法により精製されてなる、他のRNAとハイブリッドを形成する能力を有するアンチセンスRNAである。

0019

請求項11記載のウイルスの複製を阻害する方法は、請求項8記載のリボザイムまたは請求項10記載のアンチセンスRNA、あるいはその両方を、ウイルス感染細胞生物より取り出した細胞、生物に直接導入する場合は非ヒト。)にトランスフェクションすることにより行なわれる方法である。

0020

請求項12記載の抗ウイルス剤は、請求項8記載のリボザイムまたは請求項10記載のアンチセンスRNA、あるいはその両方よりなり、ウイルス感染細胞にトランスフェクションされる抗ウイルス剤である。

発明を実施するための最良の形態

0021

本発明者等は、RNA合成の研究において種々の発見をした。蛋白質、中でも耐熱性DNAポリメラーゼ、例えばセルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)のDNAポリメラーゼ(商品名:VentDNAポリメラーゼ、ニューイングランドバイオレイブス社製)(以下、「Tli DNAポリメラーゼ」という)をpH約7または10以下の弱アルカリ性条件下で、リボヌクレオチド三燐酸(ATP、CTP、GTP、UTP)を基質として、ポリメラーゼ失活しない約20℃以上(好ましくは約60℃以上、さらに好ましくは約70℃以上の温度でも失活しないもの)のポリメラーゼ活性を示す範囲の昇温下で、1時間以上反応させることにより、鋳型及びプライマー非依存的にRNA(さまざまな塩基配列、及びさまざまな大きさを有するRNA分子集合体)を合成することができることを発見した。

0022

しかも驚くべきことに、このRNA群の中には、アンチセンスRNAとなり得るRNA(つまりは、他のRNAとハイブリッドを形成する能力のあるRNA)、さらには、リボザイムとなり得るRNA(つまりは、他のRNAとハイブリッド形成するとともにそのRNAを切断せしめるRNA)が多数含まれていることが分かった。

0023

DNAポリメラーゼの具体例としては、上掲したセルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)等のセルモコッカス属以外に、セルマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)、同セルモフィルス(T.thermophilus)などのセルマス属に属する細菌のDNAポリメラーゼが挙げられる。

0024

上記DNAポリメラーゼは1種を単独で使用してもよいし、2種以上(2種、3種、……)を併用した混合系として用いることもできる。DNAポリメラーゼを2種以上で併用してリボヌクレオチドを重合する場合は、1種単独で重合する場合と比べ、一度に合成されるRNAがさらに多様化し(すなわち、塩基配列がより様々なRNA(群)が得られ)、アンチセンスRNAまたはリボザイムとなり得るRNAの含有率が高くなる。この場合、同属の異なる細菌のDNAポリメラーゼの併用でもよいし、異なる属の細菌のDNAポリメラーゼでもよい。

0025

リボヌクレオチドとしては、前述したように、例えばATP、UTP、GTP、CTPが用いられ、それらの4種類または3種類を反応系に存在させれば反応は進行する。

0026

上記リボヌクレオチドとDNAポリメラーゼとの反応は、pH約7またはpH10以下の弱アルカリ性で行なうのが好ましい。

0027

反応温度と時間はDNAポリメラーゼが失活しない範囲で選ぶことができ、約20℃以上でポリメラーゼ活性を示す範囲の温度条件下で反応させることにより、反応を速やかに進行させることができる。たとえば、74℃で数時間反応させてもよく、また通常のPCR反応の条件、たとえば、(1)95℃で1分間保持、(2)45℃で2分間保持、(3)74℃で3分間保持のサイクルを反復してもよい。

0028

反応は初期に若干の遅延時間を経たのち開始され、やがて最大速度に達する。本発明の方法により合成されるRNAは鋳型やプライマーとなるべきDNAやRNAに依存せずに、反応系に存在するDNAポリメラーゼの情報に依存して合成されると考えられる。

0029

上記のようにして得られたRNAは2本鎖であるが、これを1本鎖に変性する方法としては、例えば、RNAの溶液を5分間煮沸し、その後直ちに中に5分インキュベートする方法が挙げられる。

0030

次に、本発明により得られたRNAのリボザイム活性を検出するため、HIVRNAに対する切断活性を調べた。

0031

まず、5′末端標識したHIVRNAをマグネシウムイオンを含む中性〜弱アルカリ性pH約6〜10の条件下で鋳型・プライマー非依存的RNA(以下、「NT−RNA」という)と混合し、約20〜60℃の昇温下で反応させた。

0032

この反応液とHIVRNAとを共にアルカリアガロースゲル電気泳動する[サムロック・T等、モレキュラークローニング(ア・ラボラトリーマニュアル)(Molecular Cloning (A LaboratoryManual))、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス,1989年発行]。

0033

このアガロースゲルにサランラップ(商品名、旭化成社製)をかけ、オートラジオグラフィーを行った。その結果、オートラジオグラフィーのバンドはNT−RNAを添加したものについて、無添加の対照に比べ、短くなっていることが確認された。

0034

次に別の種類のHIVRNAに対するリボザイム活性を上述の方法で測定した。その結果、HIV−1 RNAにおいても上記と同様、リボザイム活性を有することが確認された。

0035

次に、C型肝炎ウィルス(以下、「HCV」という)に対するリボザイム活性を上述の方法にて測定した。その結果、HCVにおいてもこのNT−RNAはリボザイム活性を有していることが確認された。

0036

かくして、NT−RNAにはHIVRNAに対してのリボザイム活性を有することが確認され、これはHIVの変異種においても使用できることが確認された。また、HIV以外のウィルスにもリボザイムとして使用でき、よって、一般のRNAに対するリボザイムライブラリーを提供することが可能となる。

0037

次に、このNT−RNA中に存在する、他のmRNAに対するアンチセンスRNAをスクリーニングした。

0038

HeLa Cell S3mRNA(クローンテック社、CL6522−1)をアルカリアガロースゲルにて電気泳動後、公知の手法によりニトロセルロース膜(シュライヒャー&シュウェル社製)にトランスファーした。NT−RNAを公知の方法にて、例えば放射性同位元素にて標識したプローブを作製し、ノザン・ブロット法(市野、細胞工学実験プロトコール、秀潤社、1992年発行)を行った。

0039

この結果、mRNA中に特異的にハイブリッドできるRNAがNT−RNA中に存在していることが確認され、このNT−RNAがアンチセンスRNAとなり得ることが判明した。

0040

このことより、NT−RNAは、アンチセンスRNAライブラリーをも提供できることが確認された。

0041

次に、NT−RNA中のリボザイム及びアンチセンスRNAの精製を、HIV−1 RNAをリガンドとして行った。

0042

HIV−1 RNAをリガンドとして適当なクロマトグラフィー担体、例えば、CNBr−活性化セファロース4B(ファルマシア社製)等の担体に共有結合せしめ、HIV−1 RNAアフィニティーカラムを作製し、液体クロマトグラフィーを行った。クロマトグラフィー条件としては、中性〜弱アルカリ性pH約6〜9以下の高塩濃度緩衝液にてNT−RNAを供し、HIV−1 RNAとハイブリッド形成させた。

0043

次に、マグネシウムイオンを含む中性〜弱アルカリ性pH約6〜9以下の中塩濃度の緩衝液にて溶出されてくるリボザイムを260nmの吸収を測定することにより回収した。その後、まだハイブリッド形成しているアンチセンスRNAを高濃度ホルムアミドを含む中性〜弱アルカリ性pH約6〜9以下の緩衝液にて回収した。

0044

このアフィニティークロマトグラフィーに用いるリガンドRNAは、HIV−1 RNAの他、C型肝炎ウイルスインフルエンザウイルスのRNAや細胞の腫瘍化に深く関与している癌遺伝子成長因子のmRNA等広く多くのRNAを使用することができる。

0045

また、この方法を用いて1つのカラムにてリボザイムとアンチセンスRNAを両方同時に精製することが可能となる。よってこの方法は、本発明によって得られるNT−RNAより、簡単に、かつ効率よく目的のRNAに対するリボザイムやアンチセンスRNAを精製する優れた手法であるといえる。その意味で、前記NT−RNAは、リボザイムライブラリー、アンチセンスRNAライブラリーであるということもできる。

0046

次に、上述の方法にて精製したリボザイム、及びアンチセンスRNAを用いてHIV−1に対する増殖抑制効果を調べた。

0047

この調査に用いる細胞はCD4を発現している細胞(以下、「CD4+細胞」という)全てについて行うことが可能で、例えばCD4+発現HeLa細胞等も用いることができる。

0048

手順としては、CD4+細胞に燐酸カルシウム法、リポフェクチン法、エレクトロポレーション法マイクロインジェクション法などの既存の方法を用いて、NT−RNAより精製したHIV−1特異的リボザイム、HIV−1特異的アンチセンスRNA、及びその両方をトランスフェクションする。対照としてリボザイム及びアンチセンスRNAのいずれをもトランスフェクションしていない細胞を用意した。そして、これら全ての細胞にHIVを感染させた。

0049

その後、HIV感染指標となる、例えばHIVgagmRNAの量や、HIV p24の量等を調べることにより、増殖抑制効果を見た。

0050

結果として、リボザイム、アンチセンスRNA、及びその両方、をトランスフェクションした細胞からは、HIVgagmRNAの量の減少が確認できた。このことより、NT−RNAから分離されたリボザイムRNAやアンチセンスRNAは生体内において作用することが確認され、抗ウイルス剤となり得ることが確認された。このことは、他のウイルスや生体内RNAについても適用できることを意味する。

0051

本発明で用いる耐熱性DNAポリメラーゼの製法、あるいはこれをコードする遺伝子の製法としては今日において公知であり、当業者であれば容易に行うことができる。なお、以下に関連公報を列挙する(これらによっても得ることができる)。特開平2−60585号公報、特公平8−24570号公報(特開平2−434号公報)、特開平5−68547号公報、特公平7−59195号公報(特開平5−130871号公報)、特開平5−328969号公報、特開平7−51061号公報、特開平6−339373号公報、特開平6−7160号公報

0052

本発明を具体的に表すために以下に実施例を述べるが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。

0053

実施例1
(NT−RNAの合成)緩衝液R[10mM KCl,10mM(NH4)2SO4,20mMトリス/HCl(pH8.8),15mM MnCl2,0.1%トリトンX−100(全て最終濃度)]及びリボヌクレオチド三燐酸[ATP、CTP、GTP、UTP(全て最終濃度)500mM)]、20単位/ml TliDNAポリメラーゼから構成される反応液100μlを74℃で3時間反応させた。

0054

その後、0.8%アガロースゲルにて電気泳動し、0.5μg/ml臭化エチジウムにて染色した結果、50〜10,000塩基対(以下、「bp」という)の染色バンドが確認された。

0055

次に、このNT−RNAを大量調整するために上記と同じ組成の反応液500mlを反応させた。その結果、10mgのNT−RNAが調整できた。

0056

実施例2
(各種RNAに対するNT−RNAのリボザイム活性の検出)20μg/ml 各種RNA(HIV−1 RNA,HIV−2 RNA及びHCVRNA)に、交換緩衝液[50mMイミダゾール/HCl(pH6.4)、18mM MgCl2,5mM ジスレイトール、0.1mMスペルミジンHCl、0.1mMEDTA]と0.1mMADP、1nMATP、1μM [γ−32P]ATP(111TBq/mmol)、4.8%ポリエチレングリコール8000、400単位/ml T4ポリヌクレオチドキナーゼを加え、全量100μlとし、37℃、30分間培養し、最終20mMとなるようにEDTAを加え、反応を停止させた。その後、フェノール処理、エタノール沈澱にてDNAを回収し、これをリボザイムのための基質RNAとする。

0057

次に、NT−RNAのリボザイム活性の検出を行った。まず、リボザイム緩衝液[50mMトリス/HCl(pH8.0)、20mM MgCl2]、及び各種RNA(上掲)2μg、NT−RNAを10μg又は0μg(比較対照用)含む反応液(20μl)(5分間煮沸し、その後直ちに氷中に5分間インキュベートしたもの)を37℃で6時間反応させた。

0058

これらの反応液を1%アルカリアガロースゲル[50mM NaOH、1mMEDTA、1%アガロースGP−36(ナカライ・テスク社製)]にて電気泳動後オートラジオグラフィーした。

0059

その結果、HIV−1 RNA、HIV−2 RNA、HCVRNAは共に、天然のRNAより短くなっていることが確認され、このNT−RNAにはリボザイム活性が存在することが確認された。また、NT−RNAが0μgの例については上記のようなリボザイム活性は確認されなかった。

0060

これにより、実施例1で得られた本発明のNT−RNAは、上記の結果の如く、各種RNAのいずれにもリボザイム活性を示すことから、リボザイムライブラリーを形成しているといえる。

0061

実施例3
(mRNAに対するNT−RNA中のアンチセンスRNAの検出(1))既存のmRNAに対するNT−RNA中のアンチセンスRNAの検出をノザンブロット法にて行った。まず、HeLa Cell S3 mRNA 10μgをTE緩衝液[10mMトリス/HCl(pH8.0)、1mMEDTA]10μlに溶かし、1%変性ゲル[0.2M MOPS/NaOH(pH7.0)、50mM酢酸ナトリウム、10mM EDTA、20%ホルムアミド、1%アガロースGP−36]にて電気泳動をした(MOPS:3−(N−モルホリノプロパンスルホン酸ナカライテクス社製))。

0062

その後、ニトロセルロースフィルター(シュライヒャー&シュウェル社)に、RNA(HeLa Cell S3mRNA)をトランスファーし、このフィルターを80℃、2時間乾燥させた。このフィルターをノザンプレハイブリダイゼーション緩衝液[50%ホルムアミド、5XSSC(750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウム水和物)、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)、40μg/ml変性サケ精子DNA、0.2%ポリビニルピロリドン、0.2%フィコール400、0.2%仔牛血清アルブミン]10mlに浸し、42℃、2時間、プレハイブリッド形成をさせた。

0063

プレハイブリッド形成緩衝液を抜き取り、10mlのプレハイブリッド形成緩衝液とポリヌクレオチドキナーゼにて5′末端の燐酸を標識した一本鎖変性NT−RNA(プローブとして用いる)1μgを用いて42℃で一晩ハイブリダイゼーションした。

0064

その後、洗浄液1(2XSSC、0.1% SDS)にて10分間の洗浄を合計3回行い、洗浄液2(0.1XSSC、0.1% SDS)で50℃、20分間の洗浄を合計3回行った。

0065

フィルターを乾燥後、オートラジオグラフィーにてHeLa Cell S3mRNAにハイブリッドするNT−RNA由来のバンドを観察したところ、数ヶ所にバンドが検出できた。この結果、NT−RNA中にはアンチセンスRNAとなり得るRNAが存在していることが示唆された。

0066

実施例4
(mRNAに対するNT−RNA中のアンチセンスRNAの検出(2))HeLa Cell S3 mRNAの代わりに、ヒト白血病リンパ芽球細胞MOLT−4 mRNAを用いたという以外は、実施例3と同様にしてアンチセンスRNAの検出を行なった。その結果、NT−RNA中にヒト白血病リンパ芽球細胞 MOLT−4 mRNAに対するアンチセンスRNAとなり得るRNAが存在していることが確認された。

0067

実施例5
(mRNAに対するNT−RNA中のアンチセンスRNAの検出(3))上記実施例3において用いたHeLa Cell S3 mRNAの代わりに、HIV−1 RNAを用いても、NT−RNA中に該mRNAに対するアンチセンスRNAとなり得るRNAが存在していることが確認された。

0068

実施例6
(HIV−1 RNAアフィニティークロマトグラフィーを用いてのNT−RNA中のリボザイム及びアンチセンスRNAの精製)HIV−1 RNAアフィニティークロマトカラムの調整を行った。まず、CNBr−活性化セファロース4B(ファルマシア社製)を1mM HClにて洗浄し、ゲルを膨潤させた。

0069

次に、ゲルをカップリング緩衝液[0.1M NaHCO3(pH8.3)、0.5M NaCl]で洗浄した。HIV−1 RNA10μgをこのカップリングバッファーに溶解し、ゲル懸濁液と混ぜ、室温で2時間混合した。残りの活性基ブロックするために、ゲルをブロッキング試薬(0.2Mグリシン、pH8.0)に移し、室温で2時間混合した。カップリング緩衝液で1回洗浄後、洗浄液[0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)、0.5M NaCl]にて洗浄後、再びカップリング緩衝液にて洗浄した。

0070

次に、このHIV−1 RNAアフィニティークロマトグラフィー担体を用いてリボザイム及びアンチセンスRNAの精製を行った。まず、開始緩衝液[0.7M NaCl 50mMトリス/HCl(pH7.5)、25%ホルムアミド、20mMEDTA]にてカラムを平衡化し、このカラムに1本鎖変性NT−RNA 10μgを供した。

0071

開始緩衝液でカラムを洗浄後、リボザイム溶出緩衝液[0.2M NaCl、50mMトリス/HCl(pH8.0)、20mM MgCl2]にてリボザイムを溶出させ回収した。

0072

次に、RNA溶出緩衝液[10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、10mMEDTA、0.2%ラウロイルサルコシン、90%ホルムアミド]にてアンチセンスRNAを溶出させ回収した。

0073

これら回収したRNAのリボザイム活性とアンチセンス活性をそれぞれ実施例2〜5の方法で検出したところ、それぞれ活性を有することが確認できた。

0074

実施例7
(精製リボザイム及びアンチセンスRNAのHIV感染HeLa細胞に対するHIV増殖抑制効果)NT−RNAより分離したHIV−1 RNA特異的なリボザイム及びアンチセンスRNAのHIVに対する効果を調べた。

0075

まず、CD4+発現HeLa細胞を培養補助液[10%(v/v)牛胎児血清、100μg/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mM L−glutamine、1mMピルビン酸ナトリウム]を含むダルベッコ変法イーグル培地(以下、「DMEM」という)(ギブコ社製)にて37℃で培養した。 70%コンフルエントに培養した細胞を、トランスフェクション前日にφ10cmペトリ皿にまいた。リン酸カルシウム共沈法を用いて、HIV−1特異的リボザイム10μg、HIV−1特異的アンチセンスRNA10μg、及びこれら両方をトランスフェクションし、24時間培養した。なお、対照用として、これらのRNAをいずれをもトランスフェクションしなかった細胞を、同様に24時間培養した。

0076

その後、細胞を3回燐酸緩衝塩水(以下、「PBS」という)(132.5mg/リットルCaCl2・2H2O、121.2mg/リットル MgSO4・7H2O、200mg/リットル KCl、200mg/リットル KH2PO4、8g/リットル NaCl、1.15g/リットル Na2HPO4)にて洗浄した。

0077

この細胞に、培養補助液を含むDMEM2mlと、HIV−1溶液20μlを加え、37℃で培養した。

0078

HIV増殖抑制効果を調べるために、HIV−1のgagmRNA量をノザンブロット法にて調べた。まず、48時間培養したHeLa細胞をPBSにて2回洗浄し、緩衝液L[20mMEDTA、0.5%SDS、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)]にて細胞を溶かした。フェノール処理・エタノール沈澱にて全核酸を回収し、DNA分解溶液[30mMトリス/HCl(pH7.6)、10mM MgCl2、10mg/mlデオキシリボヌクレアーゼI]に溶解し、37℃、2時間DNAを分解した。

0079

反応を停止させるために10mMEDTA、0.2% SDSとなるように反応液を調節し、フェノール処理・エタノール沈澱にてRNAを回収した。このRNAを用いて実施例3に示したノザン・ブロット法にてHIV−1 gag遺伝子に対する配列をプローブとしてHIV−1mRNA量を調べた。

0080

その結果、HIV−1mRNAの量は、対照として用いたリボザイムやアンチセンスRNAをトランスフェクションしていないHIV−1感染細胞と比較して、リボザイムをトランスフェクションしたものは5%、アンチセンスRNAをトランスフェクションしたものは60%、両方トランスフェクションしたものは2%しか存在しなかった。

0081

実施例8
(他のDNAポリメラーゼによるNT−RNAの合成(1))セルマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)のDNAポリメラーゼについても同様の結果が得られることを確認すべく、実施例1〜7の操作を繰り返した。すなわち、鋳型およびプライマーの不存在下、セルマス・アクアティクスDNAポリメラーゼ存在下でリボヌクレオチドを重合させ、これにより得られたNT−RNAについて、上記と同様の操作を行なった。

0082

その結果、セルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)DNAポリメラーゼによって得られたNT−RNAと同様、セルマス・アクアティクスDNAポリメラーゼによって得られたNT−RNAもまた、多様性のあるリボザイム活性およびアンチセンスRNA活性を呈した。これにより、得られたNT−RNAは、リボザイムライブラリーや、アンチセンスRNAライブラリーとなり得、延いては、ウイルスの多様な変異に対し、これを幅広カバーし得る抗ウイルス剤として使用することが分かった。

0083

実施例9
(他のDNAポリメラーゼによるNT−RNAの合成(2))セルマス・セルモフィルス(Thermus thermophilus)のDNAポリメラーゼについても同様の結果が得られることを確認すべく、実施例1〜7の操作を繰り返した。すなわち、鋳型およびプライマーの不存在下、セルマス・セルモフィルスDNAポリメラーゼ存在下でリボヌクレオチドを重合させ、これにより得られたNT−RNAについて、上記と同様の操作を行なった。

0084

その結果、セルマス・セルモフィルスDNAポリメラーゼによって得られたNT−RNAは、セルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)DNAポリメラーゼによって得られたNT−RNAと同様、多様性のあるリボザイム活性およびアンチセンスRNA活性を呈した。これにより、得られたNT−RNAは、リボザイムライブラリー、アンチセンスRNAライブラリーとなり得、延いては、ウイルスの多様な変異に対し、これを幅広くカバーし得る抗ウイルス剤としての使用が可能となることが分かった。

0085

実施例10
(複数のDNAポリメラーゼ併用系でのNT−RNA合成)実施例1におけるDNAポリメラーゼ単独での使用に代え、Tli DNAポリメラーゼとセルマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)のDNAポリメラーゼとを併用し、DNAポリメラーゼ混合反応液にて実施例1と同様、リボヌクレオチドを重合させた。

0086

その結果、DNAポリメラーゼを複数併用した場合でも、様々な大きさの塩基配列をもつRNA(NT−RNA)が得られることがわかった(0.8%アガロースゲルにて行なった電気泳動および0.5μg/ml臭化エチジウムによる染色で確認)。

0087

得られたNT−RNAのなかに、HIV−1 RNA、HIV−2 RNAおよびHCVRNAに対するリボザイム活性を有しているRNAが存在しているか否かを調べるために、実施例2と同様の操作を行なった。

0088

その結果、HIV−1 RNA、HIV−2 RNAおよびHCVRNAは共に、天然のRNAより短くなっていることが確認され、このNT−RNAのなかに、上記各種RNAに対するリボザイム活性を有するRNAが含まれていることがわかった。

0089

また、アンチセンスRNA活性についても、DNAポリメラーゼ単独によるNT−RNAの場合(実施例3〜5)と同様、HeLa Cell S3mRNA、ヒト白血病リンパ芽球細胞MOLT−4 mRNA、及びHIV−1 RNAに対するアンチセンス活性が確認された。

0090

上記の結果から、複数のDNAポリメラーゼを併用した混合反応系であっても、各DNAポリメラーゼによるリボヌクレオチドの重合は保持され、互いに悪影響を及ぼさないことがわかった。

0091

DNAポリメラーゼを2種以上で併用してリボヌクレオチドを重合する場合は、1種単独で重合する場合と比べ、一度に合成されるRNAがさらに多様化していることが予想されるので、HIV−1 RNA、HIV−2 RNAおよびHCVRNA以外にも、多種類のRNAに対してリボザイム活性を呈するRNAが含まれていることが容易に判断できる。またアンチセンスRNA活性についても同様で、HeLa Cell S3mRNA、ヒト白血病リンパ芽球細胞MOLT−4 mRNA、及びHIV−1 RNA以外にも、多種類のRNAに対してアンチセンスRNA活性を呈するRNAが含まれていると思われる。

発明の効果

0092

本発明により、多様性を持ったリボザイムライブラリーやアンチセンスRNAライブラリーを得ることが可能となり、変異後のウィルスでも充分対処できるようになる。

0093

しかも、本発明のRNA精製方法は、前記ライブラリーから、有用なRNA(リボザイム、アンチセンスRNA)を簡単に、しかも同時に精製(選別、スクリーニング)することが可能となる。

0094

精製されたRNAをウイルス感染細胞にトランスフェクションすることによりウイルスの複製を阻害することができる。

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