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図面 (11)

課題

ビタミンDレセプター選択的スプライシングによって生じるビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質を単離し、併せてその機能を検討する。

解決手段

列番号1に示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、またはこれを一部置換欠失もしくは付加したヌクレオチド配列、あるいはこれらにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAであるビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター、該組換えベクターにより形質転換された原核もしくは真核宿主細胞、該宿主細胞を培養することにより得られるビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質、該タンパク質を認識する抗体、ならびに該タンパク質を用いた骨密度診断方法

概要

背景

概要

ビタミンDレセプター選択的スプライシングによって生じるビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質を単離し、併せてその機能を検討する。

列番号1に示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、またはこれを一部置換欠失もしくは付加したヌクレオチド配列、あるいはこれらにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAであるビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター、該組換えベクターにより形質転換された原核もしくは真核宿主細胞、該宿主細胞を培養することにより得られるビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質、該タンパク質を認識する抗体、ならびに該タンパク質を用いた骨密度診断方法

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請求項1

請求項2

ビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子がラット由来である請求項1記載の遺伝子。

請求項3

列番号1に示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、またはこれを一部置換欠失もしくは付加したヌクレオチド配列、あるいはこれらにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAである請求項1または2記載の遺伝子。

請求項4

配列番号2に示すヌクレオチド配列を有する請求項3記載の遺伝子。

請求項5

ビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子がヒト由来である請求項1記載の遺伝子。

請求項6

配列番号4および/または配列番号5に示すヌクレオチド配列を含む請求項5記載の遺伝子。

請求項7

配列番号3に示すヌクレオチド配列、またはこれを一部置換、欠失もしくは付加したヌクレオチド配列、あるいはこれらにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAである請求項5または6記載の遺伝子。

請求項8

請求項1記載の遺伝子を含む組換えベクター

請求項9

請求項8記載の組換えベクターにより形質転換された原核もしくは真核宿主細胞

請求項10

請求項9記載の宿主細胞を培養することによって得られるビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質。

請求項11

請求項10記載のビタミンDレセプターアイソフォームンパク質を認識する抗体。

請求項12

請求項10記載のビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質を用いた骨密度診断方法

技術分野

AGGAAATACCTACTTTGCTGGTTTGCAGAG CCCCTGTGGT GTGTGGACGC TGA 173

0001

本発明は新規ビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター、該組換えベクターによって形質転換された宿主細胞、該宿主細胞を培養することによって得られるビタミンDレセプターアイソフォームタンパク質、該タンパク質を認識する抗体、ならびに該タンパク質を用いた骨密度診断方法に関する。

0002

1,25−ジヒドロキシビタミンD3[1,25(OH)2D3]は、カルシウム恒常性細胞分化を制御するなどの生物活性を有するが、その生物活性のほとんどは核内ビタミンDレセプター(VDR)によって媒介される遺伝子の発現によって作用する(Darwish and DeLuca, Crit. Rev. Eukaryotic Gene Express.,3:89-116, 1993)。VDRは、リガンド誘導可能な転写因子として機能する核内レセプタースーパーファミリーメンバーであることが知られている(Greenand Chambon, TrendsGenet., 4:309-314, 1988; Parker, Curr. Opin. Cell Biol., 5:499-504, 1993)。このファミリーにはステロイドホルモン甲状腺ホルモンおよびレチノイン酸に対する核内レセプター、ならびにオーファン・レセプターと呼ばれるリガンド未知のレセプターが含まれる。構造や機能の類似性に基づくと、VDRは、レチノイン酸レセプター(RAR)、9−シスレチノイン酸レセプター(RXR)や甲状腺ホルモンレセプター(TR)と共に核内レセプタースーパーファミリー内でサブファミリーを形成する。

0003

RARやTRと同様に、VDRはRXRとヘテロダイマーを形成することが知られている。これらのヘテロダイマーは異なってはいるが類似の標的エンハンサーエレメントと結合する。この標的エンハンサーエレメントは2つの反復するコアAGGTCAモチーフ(または関連の6塩基からなるモチーフ)からなっている。2つのコアモチーフの間に存在するスペーサーはRXR/VDRヘテロダイマーの場合には3bp(DR3)であり、RXR/TRでは4bp(DR4)であり、RXR/RARでは2bp(DR2)および5bp(DR5)である。このスペーサーの違いにより、標的エンハンサーエレメントを認識するための核内レセプターを区別する(Umesono et al., Cell 65:1255-1266, 1991; Rastinejad et al., Nature 375:203-211, 1995)。

0004

上述したRXRとVDRとのヘテロダイマー形成に加えて、VDRはいくつかのビタミンDレスポンスエレメント(VDRE)においてホモダイマーを形成し、これはビタミンDに2つのシグナル伝達経路の存在することを示唆する(Carberg et al., Nature 361:657-660, 1993; Towers et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6310-6314, 1993)。

0005

これらのレセプターの機能上および構造上の類似性にもかかわらず、現在までにVDRタンパク質ではただ1つのタイプが見いだされているのみである。一方、RAR、RXRやTRでは複数のサブタイプならびにこれによりコードされるタンパク質が変化した形のアイソフォームが見いだされている(Kastner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2700-2704, 1990; Leroy et al.,EMBO J. 10:59-69, 1991; Zelent et al., EMBO J. 10:71-81, 1991)。RARおよびTRのアイソフォームは選択的スプライシングおよび/または異なるプロモーターの制御により生じると考えられている。また、一過性発現アッセイを用いる機能的分析によると、レセプターアイソフォーム間では転写促進活性が異なることが示されている(Nagpal, et al., Cell 70:1007-1019, 1992)。さらに、RARおよびRXRのレセプターアイソフォームやサブタイプを欠失するマウス系を用いる遺伝実験から、レチノイン酸シグナル経路に及ぼす各サブタイプやアイソフォームの組織特異的ならびに発生段階特異的な役割が明らかとなった(Kastner etal., Cell 78:987-1003, 1994)。したがって、核内レセプターのサブタイプおよびアイソフォームはリガンドの生物学的作用を区別して調節しているように思われる。

0006

VDRのインビトロでの機能的分析(Nakajima et al., Mol. Endocrinol. 8:159-172, 1994)ならびに遺伝性1,25(OH2)D3耐性佝僂病(HVDRR患者に見られる遺伝的突然変異(Kristjansson et al., J. Clin. Invest. 92:12-16, 1993)を用いることにより、ビタミンDシグナル伝達経路にとってのVDRの重要性が示されている。また最近になって、ヒトVDR遺伝子(hVDR)の第8イントロンマッピングされる対立遺伝子変異体が、オステオカルシン骨形成やその維持に関与するタンパク質)の循環と骨密度に密接に関連することが報告されている(Morrison et al., Nature 367:284-287, 1994)。これらの知見に基づき、彼らはhVDR遺伝子の対立遺伝子変異体を用いて骨密度を予測し、これを成人骨折危険度予測に用いることを提案している。ヒトVDR遺伝子の対立遺伝子の相違が原因となるスプライシングの変化によるmRNAの3’非翻訳領域(UTR)の配列の変化によって、転写半減期が異なる可能性を彼らは示唆しているが、対立遺伝子の変異がビタミンDのシグナル経路にどのように影響するかについての分子生物学的な研究はなされていない。

0007

したがって、ビタミンDの広範な効果や1,25(OH2)D3の種々の代謝誘導体を考えると、ビタミンDの作用に影響するVDRタンパク質のサブタイプやアイソフォームが存在する可能性がある。

0008

多くの核内レセプターにおいて終止コドンを含むエキソンは他のエキソンに比べて長さが長いことが知られている。この最終エキソンおよびその前後のイントロンの塩基配列には種々の遺伝的多型が知られている。この遺伝的多型は非コード領域に生じるか、あるいはコードされるアミノ酸は変化しない場合が多いが、多型による塩基の変異によりmRNAの安定性および発現量が変化することが知られている。塩基の変化による疾患と関連した異常なスプライシングに関しては、1)エキソン・スキッピング、2)隠れたスプライス部位活性化、3)イントロン内におけるエキソンの生成、4)イントロンのエキソン化、の4つが知られており、多くの疾患と関連している。特に長いエキソンの前後において異常なスプライシングが起きやすい。

0009

上述したように、核内レセプターにおけるmRNAの多型については、TR、RAR、RXRなどでは遺伝子が異なる種々のサブタイプが存在し、さらに個々の遺伝子から選択的スプライシングによるmRNAの多型が生理的条件で生じることが知られている。また、これによりコードされるタンパク質が変化してアイソフォームが生成したり、mRNAの安定性が変化し、より精緻な遺伝子発現調節に寄与していると考えられる。

課題を解決するための手段

0010

しかしながら、ビタミンDレセプター(VDR)ではこのような現象はまだ知られていない。したがって、本発明の目的は、VDRの選択的スプライシングにより生じるアイソフォームの有無を検討し、併せてその機能を研究することにある。

0011

上記目的を達成するために、本発明者らは正規の(canonical)ラットVDR(以下においてrVDR0という)の種々の領域をコードするDNA断片およびDNA結合ドメイン中のPボックスオリゴヌクレオチド(Parker, Curr. Opin. Cell Biol. 5:499-504, 1993)を用いて、各種ネズミおよび鳥類組織由来cDNAライブラリースクリーニングすることにより、新規なVDRアイソフォームをコードする遺伝子を単離し、その構造を決定することができた。

0012

また、この遺伝子を適当なベクターに挿入した後、この発現ベクターにより形質転換された転換転換体を培養し、産生された目的タンパク質を分離、精製することにより新規なVDRアイソフォームタンパク質を得ることができた。ビタミンDレセプターでこのようなアイソフォームが同定されたのはこれが最初の例である。

0013

併せて、上記新規なVDRアイソフォームタンパク質の機能を検討し、これがビタミンDのシグナル伝達経路をネガティブに調節することを確認した。

0014

したがって、本発明は、VDRアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子を提供する。本発明の好ましい遺伝子は、配列番号1に示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、またはこれを一部置換、欠失もしくは付加したヌクレオチド配列、あるいはこれらにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAであり、この遺伝子はラットに由来する。このようなラット由来の好ましい遺伝子は配列番号2に示すものである。本発明の好ましい遺伝子はまた、配列番号3に示すヌクレオチド配列、またはこれを一部置換、欠失もしくは付加したヌクレオチド配列、あるいはこれらにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAであり、この遺伝子はヒトに由来する。

0015

本発明はまた、VDRアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子を含む組換えベクターを提供する。

0016

本発明はさらに、VDRアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子を含む組換えベクターによって形質転換された原核もしくは真核宿主細胞を提供する。

0017

本発明はさらに、VDRアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子を含む組換えベクターによって形質転換して得られた形質転換体を培養することによって得られるVDRアイソフォームタンパク質を提供する。

0018

本発明はさらに、VDRアイソフォームタンパク質を認識する抗体を提供する。

0019

本発明はさらに、VDRアイソフォームタンパク質を用いた骨密度の診断方法を提供する。

0020

本発明ではVDRアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子を以下の手順によって得ることができた。しかし、本発明の遺伝子を得るには、これに限定されず、後述するように本発明の遺伝子を発現する組織、細胞などから当業者に公知の方法を用いてcDNAを調製することができる。

0021

このようにして、クローン化されたVDRアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子は適当なベクターDNAに組み込むことにより、他の原核細胞または真核細胞の宿主細胞を形質転換させることができる。

0022

さらに、これらのベクターに適当なプロモーターおよび形質発現に係わる配列を導入することにより、それぞれの宿主細胞において遺伝子を発現することができる。また、目的とする遺伝子の他にポリペプチドをコードする遺伝子を連結して、融合タンパク質として発現させ、精製を容易にしたり、発現量を上げ、精製工程中で適当な処理を施すことにより、目的のタンパク質を切り出すことも可能である。後述する実施例ではGST融合タンパク質として発現させ、精製した後、GSTを除去してVDRアイソフォームタンパク質を単離した。

0023

一般に、真核生物の遺伝子はヒトインターフェロン遺伝子等で知られているように、多型現象を示すと考えられ(例えば、 Nishi等、 J.Biochem. 97 153 1985)、この多形現象によって1個またはそれ以上のアミノ酸が置換される場合もあれば、塩基配列の変化はあってもアミノ酸は全く変わらない場合もある。

0024

また、配列番号1のアミノ酸配列の中の1個またはそれ以上のアミノ酸を欠くかまたは付加したポリペプチドあるいはアミノ酸が1個もしくはそれ以上のアミノ酸で置換されたポリペプチドでもVDRアイソフォームタンパク質の活性を有することがある。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−2)遺伝子のシステインに相当するヌクレオチド配列をセリンに相当する配列に変換して得られたポリペプチドがIL−2活性を保持することも既に公知となっている (Wang等、Science, 224 1431 1984)。

0025

また、真核細胞で発現させた場合その多くは糖鎖が付加されるが、アミノ酸を1ないしそれ以上変換することにより糖鎖付加を調節することができるがこの場合も、VDRアイソフォームタンパク質の活性を有することがある。

0026

さらに、得られたポリペプチドがVDRアイソフォームタンパク質活性を有し、配列番号1に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする遺伝子または配列番号2または3に示すヌクレオチド配列とハイブリダイズする遺伝子も本発明に含まれる。なお、ハイブリダイゼーション条件は、通常行われているプローブハイブリダイゼーションの条件を適用することもできる(例えばMolecular Cloning : A Laboratory Manual, Sambrook ら、Cold spring Habor Laboratory Press, 1989) 。

0027

本発明の発現ベクターは、複製起源選択マーカー、発現させようとする遺伝子の前に位置するプロモーター、RNAスプライス部位、ポリアデニル化シグナルなどを含んでいる。

0028

本発明の発現系に用いる宿主のうち原核生物宿主細胞としては、例えば、大腸菌(Escherichia coli) 、バシルスズブチリス(Bacillus subtilis) 、バシルス・サーモフィルス(Bacillus thermophilus) 等が挙げられる。また真核生物のうち、真核微生物の宿主細胞としては、例えばサッカロミセスセレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)等が挙げられ、哺乳動物由来の宿主細胞としては、例えばCOS細胞チャニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、C127細胞、3T3細胞、Hela細胞、BHK細胞、ナバルバ細胞などが挙げられる。なお、本発明の形質転換体の培養は、宿主細胞に適した培養条件を適宜選択して行えばよい。

0029

以上のようにして目的とするVDRアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子で形質転換した形質転換体を培養し、産生したVDRアイソフォームタンパク質は、細胞内また細胞外から分離し均一にまで精製することができる。

0030

なお、本発明の目的タンパク質であるVDRアイソフォームタンパク質の分離・精製は、通常の蛋白質で用いられる分離・精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば各種クロマトグラフィー限外濾過塩折透析等を適宜選択、組合せれて用いることができる。

0031

VDRアイソフォームタンパク質の活性を測定するには、例えば以下に記載する、CATクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)遺伝子をレポーター遺伝子として用いる遺伝子転写活性測定法である一過性発現アッセイ(CATアッセイ)を用いて評価することができる。

0032

HeLa細胞ダルベッコ改変イーグル培地フェノールレッド不含、5%デキストランコーティングチャコール処理をしたウシ胎児血清補充)中に維持する。リン酸カルシウム法により全量20μgのDNAを用いて9cmのペトリ皿で40−50%コンフルエントの細胞に形質転換する。用いるDNAはCATレポータープラスミド2μgとレセプター発現ベクター500ngを、さらに形質転換の効率によるバラツキ正規化するための内部対照として用いるβ−ガラクトシダーゼ発現ベクターであるpCH100(Pharmacia)3μgも加え、DNAの全量を合わせるためのキャリアとしてBluescribe M13+(Stratagene)を使用する。

0033

形質転換の1時間後および各培地交換時に、培地中にリガンド(オールトランスレチノイン酸1μMあるいは甲状腺ホルモン0.1μMあるいはビタミンD0.1μM)を加える。リン酸カルシウム沈殿化DNAとともに20時間インキュベートした後、細胞を新しい培地で洗浄し、さらに20〜24時間インキュベートする。凍結乾燥により細胞抽出物を調製し、文献(Sasaki et al., Biochemistry 34:370-377, 1995)記載の方法でβ−ガラクトシダーゼ活性を正規化した後、CATをアッセイする。

0034

本発明のVDRアイソフォームタンパク質を認識する抗体はポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。ポリクローナル抗体の作製にあたっては、常法(例えば、新生化学実験講座1、タンパク質I、p389〜397、1992参照)に従い、抗原(VDRアイソフォームタンパク質)をウサギ、ラット、ヤギヒツジ、マウスなどの動物に免役し、生体内に産生される抗体を採取することにより得ることができる。得られた抗体の力価は当業界で公知の方法により測定できる。モノクローナル抗体の作製も常法(例えば、Kohleret al., Nature 256:496, 1975; Kohler et al., Eur. J. Immunol. 6:511, 1976)に従って行うことができる。すなわち、上述したように動物を免疫して抗体分泌体細胞を得て、これを骨髄腫細胞系と融合し、抗体を産生するハイブリドーマを選択することにより行う。

0035

また、このようなモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の結合性断片、例えば、Fab、F(ab’)2、Fv断片も本発明の抗体として使用できる。抗体断片は完全な抗体をパパインまたはペプシンなどで消化して常法により得ることができる。

0036

本発明を以下において具体的に説明する。
VDRアイソフォームタンパク質をコードする遺伝子の単離
正規の(canonical)ラットVDR(rVDR0)のリガンド結合ドメイン(Sasaki et al., Biochemistry 34:370-377, 1995)を用いて、rVDR0cDNAと密接に関連する10個の陽性クローンを単離した。次いでrVDR0タンパク質(Burmester et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:1005-1009, 1988)をコードするエキソンに対応するプライマー対を用いるポリメラーゼチェインリアクションPCR)によってこれらのクローンを分析し、同じアイソフォーム(以下においてrVDR1という)をコードする2つのクローンを見いだした。

0037

rVDR0とrVDR1の配列決定を行い、rVDR1に特異的な285ヌクレオチドを同定した(図1)。rVDR1ではrVDR0のリガンド結合ドメインに1134bpが挿入されていたが、rVDR1のその他の配列はrVDR0のオープンリーディングフレームと同一であった(図1)。

0038

rVDR遺伝子のゲノム構造と配列とを分析することにより、この挿入された配列がエキソン8と9の間にあるイントロンに由来すること(図2)、ならびにこのエキソン−イントロンの間の配列がChambonの一般則(イントロンの両側の5’側がGT、3’側がAGとなる)に合致し、したがってこのアイソフォームが選択的スプライシングによる一次転写物により生じたことを示唆する。遺伝子座のrVDR1のエキソンとしてイントロン8を保持することは、遺伝子座の最も下流領域に位置する比較的大きなエキソンを生じることになる。ラットVDRのこの遺伝子構造は、大きな最終エキソンをもつこのレセプタースーパーファミリーの他のメンバーの構造とよく似ている(Gronemeyer, Annu. Rev. Genet. 25:89-123, 1991)。

0039

したがって、本発明のVDRアイソフォームタンパク質(rVDR1)をコードする遺伝子は配列番号2に示すヌクレオチド配列、ならびに配列番号1に示すアミノ酸配列をもつ。rVDR1の推定アミノ酸配列はrVDR0と比べて、C末端の86アミノ酸を欠失し、19アミノ酸を余分にもつ。これは、エキソン8とエキソン9の間に存在するイントロンの1134bpに位置するストップコドンによって翻訳が停止したためであると考えられる(図1および図2参照)。

0040

次いで、rVDR1のこのエキソンをノーザンブロット特異的プローブとして用いてrVDR1転写物(Sasaki et al., Biochemistry 34:370-377, 1995)の存在を検出した。その結果、この転写物はrVDR0が発現している腎臓と腸で検出された(図3)。一方、エキソン6と7の間にあるイントロン6の1042bpを含む非特異的プローブを用いると特異的転写物は検出できなかった。特異的バンドデンシトメーターで分析したところ、rVDR1転写物の量はrVDR0の量の1/15〜1/20であった。また、各種組織由来のポリ(A)+mRNAを逆転写酵素を用いてcDNAとした後、PCRで増幅し、細胞質ゾルのmRNA分画中のrVDR1転写物を検出し、rVDR1転写物の存在を確認した。したがって、rVDR1転写物は転写のための成熟mRNAとして細胞質ゾル中に局在していることが示唆された。
rVDR1の機能的役割
ヒトVDRのC末端にあるリガンド結合ドメインの正確な位置は403〜427アミノ酸残基(rVDR0では399〜423アミノ酸)にマッピングされるという最近の報告(Nakajima et al., Mol. Endocrinol., 8:159-172, 1994)と合致して、インビトロ合成したrVDR1タンパク質はリガンド結合を示さなかった(図11)。

0041

RXRとのヘテロダイマー形成に必要とされる2つのドメインのうちの1つ(heptad9:rVDR0では399〜407アミノ酸)はrVDR1にはなかったが、特異的DNA結合に関与するもう一方の領域(heptad4:rVDR0では321〜328アミノ酸)はrVDR1に存在していた。

0042

そこで、一過性発現アッセイ(CATアッセイ)(Sasaki et al., Biochemistry 34:370-377, 1995)を用いて、rVDR1の転写促進活性を評価した。rVDR0、rVDR1およびラットRXRαを発現するベクター、ならびにコンセンサスなビタミンDレスポンスエレメント(VDRE)を含むCATレポータープラスミドを調製した。このコンセンサスなビタミンDレスポンスエレメントは上述した3bpのスペーサー(DR3T)を介して2つのAGTTCAモチーフが直接連結したものである。このモチーフはAGGTCAよりも強いVDRの結合モチーフであると言われている(Freedman et al., Mol. Endcrinol., 8:265-273, 1994)。その結果、rVDR1自体は転写促進活性を有していなかった。しかし、rVDR0(0.5μg)とrVDR1(2μg)とをコトランスフェクションした場合には、試験したすべての細胞(以下の実施例では代表例としてHeLa細胞について示す)において、rVDR0によるリガンド誘導の転写促進活性を阻害した(図4参照)。また、rVDR0の存在下(発現ベクター0.5μg)にrVDR1発現ベクターの添加量を増加すると、rVDR1の阻害活性はより顕著になった(図5参照)。rVDR0発現ベクターを5μg添加したときにもリガンド誘導の転写促進活性は抑制されなかったので(図5)、この阻害作用は限られた核内ファクターに対する2つのアイソフォーム間の単なる拮抗(Tasset et al., Cell 62:1177-1187, 1990)によるものではない。さらに、本明細書ではデータを記載していないが、RXRの3つのサブタイプ(α、β、γ)間では明瞭な差は観察されなかった。
rVDR1のドミナントネガティブ活性は配列特異的である
rVDR0に対するrVDR1の阻害程度は配列特異的であり、これはヒト・オステオカルシンVDREよりもマウス・オステオポンチンについての方が顕著であった。これはVDRホモダイマーがマウス・オステオポンチンの標的VDREとの結合をより好むためであるとされている(Cheskis et al., Molec. Cell.Biol. 14:3329-3338, 1994)。AGTTCAモチーフの方がAGGTCAモチーフよりもVDRの結合コアとして優れているという考えは、DR3TがDR3GよりもVDREとしてより活性であるという事実からも支持される(図7参照)。

0043

一方、rVDR1は同種のレセプターが存在するときには、レチノイン酸のコンセンサスレスポンスエレメント(DR5)や甲状腺ホルモンのコンセンサスレスポンスエレメント(DR4)のリガンド誘導の転写促進活性を抑制しなかった(図6参照)。同種のレスポンスエレメントが存在するときに、rVDR1はその他のレチノイン酸レスポンスエレメント(DR1およびDR2)やエストロゲンレスポンスエレメント(コンセンサスERE)に明瞭な効果を及ぼさなかった。したがって、これらの結果はrVDR1アイソフォームがrVDR0に対するドミナントネガティブレセプターとして作用することを示唆する。
rVDR1はホモダイマーとしてVDREと結合するが、RXRとはヘテロダイマー複合体を形成しない
rVDR1のドミナントネガティブ活性についての分子メカニズムを検討するため、コンセンサスVDRE(DR3T)との結合活性を試験し、rVDR0の結合活性と比較した。

0044

このため、遺伝子組換え法によりrVDR0タンパク質とrVDR1タンパク質とを生産した。rVDR0およびrVDR1のcDNAのオープンリーディングフレームからは、それぞれ48KDaおよび40KDaのタンパク質であることを予測された。精製したrVDR0およびrVDR1タンパク質はSDS−PAGEゲル上で予測された分子量の位置に移動した(図8)。

0045

DR3Tとの結合試験の結果、精製組換えrVDR0タンパク質は、文献(Freedman et al., Mol. Endocrinol. 8:265-273, 1994)に記載するように、RXRがなくてもホモダイマーとしてDR3Tと結合した(図9)。rVDR1ホモダイマーもこれと同程度にDR3Tと結合した。次いで、マウスRXRαをrVDR0に加えると、ヘテロダイマー形成によってDNA結合が顕著に増加し、RXRαに対する特異的モノクローナル抗体がこのDNA−ヘテロダイマーを認識し結合することにより、電気泳動のバンドがシフトした。これによって複合体中にRXRが存在することが確認された。しかしながら、rVDR1はrRXRαとヘテロダイマーを形成することができず、これはヒトVDR(hVDR)のC末端をもたない突然変異体(Nakajima et al., Mol. Endocrinol. 8:159-172, 1994)と同様に、ヘテロダイマー形成に必要なC末端ドメインをもたないためであると思われる。

0046

rVDR1は、コンセンサス甲状腺レスポンスエレメント(DR4)およびレチノイン酸レスポンスエレメント(DR5)とは特異的結合をせず(図10)、これは標的エンハンサーエレメントに対するrVDR1の特異性がrVDR0と同じであることを示唆する。

0047

VDRでは、RAR、RXRやTRと同様に、DNA結合ドメイン間に形成されるダイマー境界面がその同種のレスポンスエレメントとのレセプターダイマーの結合認識を特定するという従来の観察(例えば、Rastinejad et al., Nature375:203-211, 1995)と今回の結果はよく一致する。

0048

転写促進活性アッセイの結果をまとめると、rVDR1が、ホモダイマーとして標的VDRE(ビタミンDレスポンスエレメント)と競合的に結合することによって、ビタミンDシグナル伝達経路においてドミナントネガティブレセプターとして作用することを示している。

0049

本発明で得られた新規ラットVDRアイソフォーム(rVDR1)は選択的スプライシングによって生じた一次rVDR転写物であるが、rVDR1はrVDR0ではイントロン8に存在する余分のエキソンをもつ。この新しいエキソン(rVDR0中のイントロン8)のストップコドンはC末端にあるリガンド結合ドメイン(86アミノ酸)の一部を失わせるが、19アミノ酸を付加する。
ヒトVDRアイソフォームの単離
既知のヒトVDRイントロン8の配列(WO94−03633号)よりイントロン8を特異的に増幅するプライマーデザインし、ヒトゲノムDNAよりイントロン8を増幅した。このイントロン8をランダムプライマーにより32P−dCTPを取り込ませたプローブとして用い、ヒト白血球cDNAライブラリー(Clontech社)をスクリーニングし、ヒトVDRイントロン7、エキソン8、イントロン8を含むcDNA断片を得た。ヒトの場合には、アミノ酸への翻訳の際にイントロン7全長フレームが合ってエキソン8と連結するためにラットの場合と異なり、イントロン7も保持したアイソフォームcDNAの断片をクローニングすることができた。

0050

得られたcDNA断片のヌクレオチド配列を決定し、配列番号3に示すヌクレオチド配列を有することを確認した。

0051

ヒトの場合、イントロン7も保持したクローンが得られたことから、他のアイソフォーム(例えば、イントロン7のみをもつアイソフォーム、イントロン7と8をもつアイソフォーム、イントロン8のみをもつアイソフォームなど)の存在が示唆される。
VDRアイソフォームの機能とその利用
構造と機能の類似性から、VDRはRAR、RXRおよびTRとともに核内レセプターフーパーファミリーの中でサブファミリーを形成する。しかしながら、RAR、RXRやTRのアイソフォームタンパク質は選択的スプライシングおよび/または異なるプロモーターの使用によって組合わされる種々のエキソンからなっているので、VDRはこのサブファミリー中では特異なものであるといえる。いくつかの遺伝子では、イントロンをエキソンとして保持すると機能的に異なるアイソフォームタンパク質を生じることが既に知られている(Nakamura et al., Science 257:1138-1142, 1992)が、核内レセプター遺伝子スーパーファミリーのレセプターアイソフォームとしてはこれが最初の例である。このために、RAR、RXRやTRとは異なり、VDRアイソフォームはそのcDNAクローニングがなされたにも拘わらず、その後も長く発見されなかったともの思われる。

0052

本発明のVDRアイソフォームタンパク質はビタミンDシグナル伝達経路においてドミナントネガティブレセプターとして作用する。最近の報告(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:6665-6669, 1994)によると、ヒトVDR遺伝子における対立遺伝子の変化が血中オステオカルシンの濃度と骨密度に密接に関連する。骨密度は骨粗しょう症による骨折の危険性を予測する基準となりうるものである。この報告によると、骨密度を予測するヒトVDR遺伝子の対立遺伝子変化はイントロン8に位置するという。したがって、本発明において得られたrVDR1がラットVDR遺伝子のイントロン8を保持することによって生じたものであることは極めて興味深い。本発明のVDRアイソフォームタンパク質を用いることによりビタミンDシグナル伝達経路の調節メカニズム解明し、また骨密度の改善などに使用することが期待できる。

0053

また、本発明のVDRアイソフォームの発現量が種々の疾患と関係していると考えられる。疾患としては、骨粗しょう症、骨折、二次性甲状腺機能亢進症免疫疾患皮膚疾患などVDRが関係していると考えられるすべての疾患において本発明のアイソフォームの発現の大小が発病と関連のある可能性がある。したがって、本発明のVDRアイソフォームの単離、性状決定はこれらの疾患の解明、治療に大きな意味を有する。

0054

本発明を以下の実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。

0055

実施例1:cDNAおよびゲノムDNAのクローニング
cDNAのクローニング
rVDR0のリガンド結合ドメインを含むXhoI−PstI制限酵素断片放射性標識し、ラット腎臓cDNAライブラリー(Clontech)をスクリーニングするプローブとして用いた。ハイブリダイゼーション混合物には、50%ホルムアミド、1xDenhardt’s溶液、5xSSPE、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび106cpmの32P−標識プローブDNAを含んでいた。ニトロセルロース膜を42℃、16時間ハイブリダイズさせ、2xSSC、0.1%SDS中、55℃、30分、2回洗浄した。膜を増感スクリーンを用いて−80℃で16時間露光した。

0056

rVDR0タンパク質(Burmester et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:1005-1009, 1988)をコードするエキソンに対応するプライマーを用いるポリメラーゼチェインリアクション(PCR)によってこれらのクローンを分析し、106個のプラークから、10個の陽性クローンを選択した。この中から同じアイソフォームであるrVDR1をコードする2個のクローンをさらに選択した。すなわち、ヌクレオチド配列の決定を行ったところ、10個の陽性クローンのうち、8個がrVDR0であり、2個がrVDR1であることが判明した。
ゲノムDNAのクローニング
rVDR1cDNAのSmaI−KpnI断片をプローブとして用いて、ラットゲノムライブラリー(Clontech)由来のBamHI部位をもつ約20kbゲノム断片をクローニングした。イントロン8を含むPstI部位をもつ3.5kbのDNA断片をサブクローニングし、配列決定した。

0057

得られたrVDR1のヌクレオチド配列を配列番号2に、推定アミノ酸配列を配列番号1に示す。また、rVDR0と比較した配列を図1に、VDRゲノムの関連領域と選択的スプライシングによって生じるrVDR1のマッピングをrVDR0と比較して図2に示す。
実施例2:ノーザンブロット分析
rVDR0およびrVDR1転写物の発現を、ラット腸および腎臓由来のポリA(+)mRNA3μgを用いて、ノーザンブロット分析により試験した。プローブとしてrVDR1のエキソン8を用いた。得られた結果を図3に示す。rVDR1転写物はrVDR0が発現している腸と腎臓で発現していた。rVDR転写物の相対量は、特異的バンドをデンシトメーターでスキャニングして計算した。3つ以上の試料の平均を求めたところ、rVDR1転写物の量はrVDR0の量の1/15〜1/20であった。
実施例3:プラスミド構築
HindIIIおよびXbaI制限部位をもつ合成オリゴヌクレオチドをプラスミドpGCAT(Kato et al., Cell 68:731-742, 1992)の対応する制限部位に挿入してCATレポーター遺伝子を構築した。CATレポーター遺伝子およびゲルシフトアッセイでプローブとして用いたオリゴヌクレオチド配列は以下の通りである:
DR3G: 5'-AGCTTCAGGTCAGGAAGGTCAGT-3';
DR3T: 5'-AGCTTCAGTTCGGAAGTTCAGT-3';
DR4: 5'-AGCTTCAGGTCACGGAAGGTCAGT-3';
DR5: 5'-AGCTTCAGGTCACCGGAAGGTCAGT-3';
ヒトオステオカルシンVDRE(OC):
5'-AGCTTGCTCGGGTAGGGGTGACTCACCGGGTGAACGGGGGCATCTCGACTCGT-3'
マウスオステオポンチンVDRE(OPN):
5'-AGCTTGCTCGGGTAGGGTTCACGAGGTTCACTCGACTCGT-3'
また、rVDR0のSacI−BamHI断片を、PCRで増幅したrVDR1断片(図1中の911〜1071bp)で置換することによりrVDR1発現ベクターを構築した。
実施例4:組換えVDRタンパク質の発現と精製
rVDR0およびrVDR1をコードするcDNAを、BamHIおよびEcoRI制限部位を用いるPCRにより増幅し、プラスミドpGEX−2T(Pharmacia)の対応する部位に挿入した。これらのベクターを用いて大腸菌(DH5α)を形質転換し、IPTG(0.1mM)で誘導した。

0058

得られるGST融合タンパク質をグルタチオンセファロース4Bで精製した。各GST融合タンパク質500μgをトロンビン(5U)で消化した後、グルタチオン・セファロースに通してトロンビンとGSTを除去した。フロースルー分画をさらに、1M NaCl、1mM DTT、10%グリセロールを含む50mM Tris−HClバッファー(pH8.0)で平衡化したセファデックスG200カラムにかけた。これらのタンパク質の純度はSDS−PAGEで95%以上であった。
実施例5:CATアッセイによるrVDR1の作用
rVDR0に対するrVDR1のドミナントネガティブ活性を試験した。

0059

3bp(DR3T)のスペーサーを介して2つの5’−AGTTCAモチーフを含むCATレポータープラスミド、ならびにマウスRXRα(0.5μg)、rVDR0(0.5μg)およびrVDR1(2μg)を発現するベクターでHeLa細胞を形質転換した。形質転換した細胞を1,25−(OH)2D3(10nM)の存在下(+)または不在下(−)に44時間維持し、pCH110内部対照ベクターによって発現するβ−ガラクトシダーゼ活性によってCAT活性を正規化し、少なくとも3つの独立した試験から得られる平均値±標準偏差で示した。得られた結果を図4に示す。

0060

図から明らかなように、rVDR1自体は転写促進活性を有していなかった。しかし、rVDR0とrVDR1とをコトランスフェクションした場合には、HeLa細胞において、rVDR0によるリガンド誘導の転写促進活性を阻害した。
実施例6:rVDR1の用量依存的活性
細胞をrVDR0発現ベクター0.5μg、ならびに1,25−(OH)2D3(10nM)の存在下に、図5に示す量のVDR発現ベクター(rVDR0またはrVDR1)で形質転換した。CAT活性は実施例5と同様の方法で計算した。図5から明らかなように、rVDR0の存在下にrVDR1発現ベクターの添加量を増加すると、rVDR1の阻害活性はより顕著になった。rVDR0発現ベクターを5μg添加したときにもリガンド誘導の転写促進活性は抑制されなかった。
実施例7:甲状腺ホルモンおよびレチノイン酸シグナル伝達経路に及ぼすrVDR1の効果
4bp(DR4:コンセンサス甲状腺ホルモンレスポンスエレメント)または5bp(DR5:コンセンサスレチノイン酸レスポンスエレメント)のスペーサーを介して2つの5’−AGTTCAモチーフを含むCATレポータープラスミド、ならびにマウスRXRαおよびニワトリTRα(DR4用)あるいはRXRαおよびマウスRARα(DR5用)を発現するベクターで、同種のリガンド[10nM甲状腺ホルモン(T3)、1μMオールトランスレチノイン酸]の存在下または不在下に、細胞を形質転換した。rVDR1発現ベクター(2μg)でコトランスフェクションすることによりrVDR1の効果を試験した。CAT活性は実施例5と同様の方法で計算した。

0061

得られた結果を図6に示す。rVDR1は同種のレセプターが存在するときには、レチノイン酸のコンセンサスレスポンスエレメント(DR5)や甲状腺ホルモンのコンセンサスレスポンスエレメント(DR4)のリガンド誘導の転写促進活性を抑制しないことが判明した。
実施例8:rVDR0に対するrVDR1の阻害活性の配列特異性
DR3G、DR3T、ヒトオステオカルシンVDRE(OC)およびマウスオステオポンチンVDRE(OPN)を含むCATレポータープラスミド、ならびにRXRおよびVDR(rVDR0またはrVDR1)の発現ベクターを用いて、1,25−(OH)2D3(10nM)の存在下または不在下に、HeLa細胞を形質転換した。CAT活性は実施例5と同様の方法で計算した。

0062

得られた結果を図7に示す。rVDR0に対するrVDR1の阻害程度は配列特異的であり、これはヒト・オステオカルシンVDREよりもマウス・オステオポンチンについての方が顕著であった。また、DR3TはDR3GよりもVDREとしてより活性であることが観察された。
実施例9:rVDR1のホモダイマーおよびヘテロダイマー形成ならびにそのDNA結合性
(A)rVDR1の分子量
実施例4の方法により大腸菌中でrVDR0およびrVDR1をGST融合タンパク質として発現させ、グルタチオン・セファロース4Bで精製した後トロンビンで消化した。消化した試料をセファデックスG−100カラムにかけてさらにrVDR0とrVDR1タンパク質を精製した。GST融合タンパク質(図8中、GST−rVDR0またはGST−rVDR1として示す)および精製rVDRタンパク質(図8中、rVDR0またはrVDR1として示す)を5%ポリアクリルアミドーSDSゲルで電気泳動を行い、分子量マーカーから分子量を測定した。rVDR0およびrVDR1のオープンリーディングフレームから予期されたそれぞれの分子量(rVDR0では48KDa;rVDR1では40KDa)の位置にバンドが観察された。
(B)ゲルシフトアッセイ
文献(Sasaki et al., Biochemistry 34:370-377, 1995)記載の方法を用いて、電気泳動移動シフトアッセイ(EMSA)および抗体スーパーシフトを行った。このアッセイには以下の精製レセプターも使用した:
RAR:大腸菌中で生成したAB領域を欠く部分精製マウスRARα(mRARα△AB);
RXR:大腸菌中で生成したAB領域を欠く部分精製マウスRXRα(mRXRα△AB);
TR:大腸菌中で生成した部分精製ニワトリTRα。

0063

抗体スーパーシフトにはモノクローナル抗体4RX(RXR用)を用いた。

0064

レセプターおよび[32P]−5−末端標識合成オリゴヌクレオチド(DR3T、DR3G、DR4およびDR5)を含む結合反応合物、ならびにポリ(dldC)(Pharmacia, 2μg)を、結合バッファー[10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mMジチオスレイトール、1mMEDTA、100mMKCl、10%グリセロール]中、25℃で15分インキュベートした。インキュベーション開始時に抗体を添加した。文献(Sasaki et al., Biochemistry34:370-377, 1995)記載の方法により、得られた生成物を5%ポリアクリルアミドゲルに溶解した。

0065

DR3Tをプローブとして用い、図9に示す種々の量の精製マウスRXRα(RXR)、精製rVDR0およびrVDR1でゲルシフトアッセイを行った。得られた結果を図9に示す。モノクローナル抗体(マウスRXRα用の4RX)を用いるスーパーシフト試験によってDR3T−RXR−VDR複合体の存在が確認された。図9中、レーン6のバンドは抗RXR抗体でスーパーシフトした複合体の位置を示す。これよりrVDR1ホモダイマーがコンセンサスVDRE(DR3T)と結合することが示された。

0066

次に、DR4およびDR5をプローブとして用い、図10に示す種々の量の精製rVDR1、ニワトリTRα(TR)およびマウスRARα(RAR)でゲルシフトアッセイを行った。得られた結果を図10に示す。rVDR1ホモダイマーはコンセンサス甲状腺ホルモンレスポンスエレメントまたはレチノイン酸レスポンスエレメント(DR4およびDR5)と結合しなかった。
実施例10:ヒトVDRアイソフォームの単離
ヒトゲノムDNAよりVDRイントロン8を特異的にPCR法により増幅し、ランダムプライム法にて放射性標識し、ヒト白血球cDNAライブラリー(Clontech社)をスクリーニングするプローブとした。ハイブリダイゼーション混合液には50%ホルムアミド、5xDenhardt’s溶液、5xSSC、0.1%SDS、200μg/ml変性サケ精子DNAおよび106cpmの32P−標識プローブDNAを含んでいた。ニトロセルロース膜を42℃、16時間ハイブリダイズさせ、4xSSC、0.1%SDS中で1回、2xSSC、0.1%SDS中で1回、1xSSC、0.1%SDS中で1回それぞれ室温10分間洗浄した。膜を増感スクリーンを用いて−80℃で16時間露光した。4x106クローンより約1.4kbのインサートをもつ1個の陽性クローンを得た。

0067

得られたクローンのヌクレオチド配列を決定し、配列番号3のヌクレオチド配列を得た。

0069

配列番号:2
配列の長さ:1071
配列の型:核酸
鎖の数:二本
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
ATGGAGGCAA CAGCGGCCAG CACCTCCCTG CCCGACCCTGGTGACTTTGA CCGGAACGTG 60
CCCCGGATCT GTGGAGTGTG TGGAGACCGA GCCACAGGCT TCCACTTCAATGCTATGACC 120
TGTGAAGGCT GCAAAGGTTT CTTCAGGCGG AGCATGAAGC GGAAGGCCCT GTTCACCTGT 180
CCCTTCAATG GAGATTGCCGCATCACCAAG GACAACCGGC GACACTGCCA GGCCTGCCGG 240
CTCAAACGCT GTGTGGACATCGGCATGATG AAGGAGTTCA TCCTGACAGA TGAGGAGGTA 300
CAGCGTAAGA GGGAGATGAT AATGAAGAGA AAAGAGGAAG AGGCCTTGAA GGACAGTCTG 360
AGGCCCAAGC TATCTGAAGA ACAACAGCAC ATCATAGCCA TCCTGCTGGA CGCCCACCAC 420
AAGACCTATG ACCCCACCTA CGCTGACTTC AGGGACTTCC GGCCTCCAGT TCGTATGGAC 480
GGAAGTACAG GGAGCTATTC TCCAAGGCCC ACACTCAGCT TCTCCGGGAA CTCCTCCTCC 540
TCCAGCTCTG ACCTGTACAC CACCTCACTA GACATGATGG AACCATCCGG CTTTTCCAAC 600
CTGGATCTGA ACGGAGAGGA TTCTGATGAC CCGTCTGTGA CTCTGGACCT GTCTCCTCTC 660
TCCATGCTGC CCCACCTGGC TGACCTTGTC AGTTACAGCA TCCAAAAGGT CATCGGCTTT 720
GCCAAGATGA TCCCAGGATT CAGGGATCTC ACCTCCGATG ACCAGATTGT CCTGCTTAAG 780
TCAAGCGCCA TTGAGGTGAT CATGTTACGC TCCAACCAGT CTTTCACCAT GGATGATATG 840
TCCTGGGACT GTGGCAGCCA GGACTACAAG TACGACGTCA CCGATGTCTC CAAAGCTGGG 900
CACACCCTGG AGCTGATCGA GCCCCTCATA AAGTTCCAGG TGGGGCTGAA GAAGCTGAAC 960
TTACATGAGG AAGAGCATGT CCTTCTCATG GCCATCTGCA TTGTCTCCCC GGGTACGGAG 1020
CCTGGCAGGG AGGAGCTGAG GGACCTGGGA CACGTTGGGG ACTGTGAATG A 1071

0070

配列番号:3
配列の長さ:1404
配列の型:核酸
鎖の数:二本
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
ATGGAGGCAA TGGCGGCCAG CACTTCCCTG CCTGACCCTG GAGACTTTGA CCGGAACGTG 60
CCCCGGATCTGTGGGGTGTG TGGAGACCGA GCCACTGGCT TTCACTTCAATGCTATGACC 120
TGTGAAGGCT GCAAAGGCTT CTTCAGGCGA AGCATGAAGC GGAAGGCACT ATTCACCTGC 180
CCCTTCAACG GGGACTGCCGCATCACCAAG GACAACCGAC GCCACTGCCA GGCCTGCCGG 240
CTCAAACGCT GTGTGGACATCGGCATGATG AAGGAGTTCA TTCTGACAGA TGAGGAAGTG 300
CAGAGGAAGC GGGAGATGAT CCTGAAGCGG AAGGAGGAGG AGGCCTTGAA GGACAGTCTG 360
CGGCCCAAGC TGTCTGAGGA GCAGCAGCGC ATCATTGCCA TACTGCTGGA CGCCCACCAT 420
AAGACCTACG ACCCCACCTA CTCCGACTTC TGCCAGTTCC GGCCTCCAGT TCGTGTGAAT 480
GATGGTGGAG GGAGCCATCC TTCCAGGCCC AACTCCAGAC ACACTCCCAG CTTCTCTGGG 540
GACTCCTCCT CCTCCTGCTC AGATCACTGT ATCACCTCTT CAGACATGAT GGACTCGTCC 600
AGCTTCTCCA ATCTGGATCT GAGTGAAGAA GATTCAGATG ACCCTTCTGT GACCCTAGAG 660
CTGTCCCAGC TCTCCATGCT GCCCCACCTG GCTGACCTGG TCAGTTACAG CATCCAAAAG 720
GTCATTGGCT TTGCTAAGAT GATACCAGGA TTCAGAGACC TCACCTCTGA GGACCAGATC 780
GTACTGCTGA AGTCAAGTGC CATTGAGGTC ATCATGTTGC GCTCCAATGA GTCCTTCACC 840
ATGGACGACA TGTCCTGGAC CTGTGGCAAC CAAGACTACA AGTACCGCGT CAGTGACGTG 900
ACCAAAGGTA TGCCTAGNNNNCACCTCCTG GGGAGTCTTT TTCAGCTCCC AGATTCTGGC 960
TCCACCCGTC CTGGGGTTTG GCTCCAATCA GATACATGGG AGGGAGTTAG GCACCAACAG 1020
GCAGAGAAGG GCGAGGGTCA GACCCATGGG GTTGGAGGTG GGTGGGCGGC TCCTCAGCTC 1080
TTGCCCGCAG TACCTCCCCA TTGTCTCTCA CAGGCCGGAC ACAGCCTGGA GCTGATTGAG 1140
CCCCTCATCA AGTTCCAGGT GGGACTGAAG AAGCTGAACT TGCATGAGGA GGAGCATGTC 1200
CTGCTCATGG CCATCTGCAT CGTCTCCCCA GGTATGGGGC CAGGCAGGGA GGAGCTCAGG 1260
GACCTGGGGA GCGGGGAGTA TGAAGGACAA AGACCTGCTG AGGGCCAGCT GGGCAACCTG 1320
AAGGGAGACG TAGCAAAAGG AGACACAGAT AAGGAAATAC CTACTTTGCT GGTTTGCAGA 1380
GCCCCTGTGG TGTGTGGACG CTGA 1404

0071

配列番号:4
配列の長さ:210
配列の型:核酸
鎖の数:二本
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
GGTATGCCTA GNNNNCACCTCCTGGGGAGT CTTTTTCAGCTCCCAGATTC TGGCTCCACC 60
CGTCCTGGGG TTTGGCTCCAATCAGATACA TGGGAGGGAG TTAGGCACCA ACAGGCAGAG 120
AAGGGCGAGG GTCAGACCCA TGGGGTTGGA GGTGGGTGGG CGGCTCCTCA GCTCTTGCCC 180
GCAGTACCTC CCCATTGTCT CTCACAGGCC 210

0072

配列番号:5
配列の長さ:173
配列の型:核酸
鎖の数:二本
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
GTATGGGGCC AGGCAGGGAG GAGCTCAGGGACCTGGGGAGCGGGGAGTAT GAAGGACAAA 60
GACCTGCTGA GGGCCAGCTG GGCAACCTGA AGGGAGACGT AGCAAAAGGA GACACAGATA 120

図面の簡単な説明

0073

図1rVDR0およびラット腎臓cDNAライブラリーから単離されたrVDR1のcDNAのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
図2エキソン7〜9近傍のラットVDRゲノム領域および選択的スプライシングによって生じた2つのrVDRアイソフォーム(rVDR0およびrVDR1)のタンパク質の構造を示す。rVDRのA〜E領域およびそのアミノ酸残基を模式的に示す。ラットVDRゲノム領域の制限酵素部位のSはSmaIを、HはHindIIIを、KはKpnIを、PはPstIを表す。
図3rVDR0およびrVDR1転写物の発現を、ラット腸および腎臓からのポリA(+)mRNAを用いてノーザンブロットで分析した図(電気泳動の写真)である。
図4CATアッセイを用いた、rVDR0のrVDR1に対するドミナントネガティブ活性試験の結果を示す。
図5CATアッセイを用いた、rVDR1の用量依存的活性試験の結果を示す。
図6CATアッセイを用いた、rVDR1の甲状腺ホルモンおよびレチノイン酸シグナリング経路に及ぼす試験の結果を示す。
図7rVDR1のドミナントネガティブ活性が配列特異的であることを示すグラフである。
図8大腸菌中でrVDR0およびrVDR1をGST融合タンパク質として発現させた試料(GST−rVDR0およびGST−rVDR1)、ならびにトロンビンで消化し、精製して得たrVDR0およびrVDR1試料を用いて、ポリアクリルアミド−SDSゲルで測定した分子量を示す(電気泳動の写真)。
図9DR3Tをプローブとして用い、種々の量の精製マウスRXRα(RXR)、精製rVDR0およびrVDR1で行ったゲルシフトアッセイの結果を示す(電気泳動の写真)。
図10DR4およびDR5をプローブとして用い、種々の量の精製rVDR1、ニワトリTRα(TR)およびマウスRARα(RAR)で行ったゲルシフトアッセイの結果を示す(電気泳動の写真)。
図11大腸菌にて合成した組換えrVDRタンパク質(rVDR0またはrVDR1)と、[3H]でラベルした1,25(OH)2D31nMと、ラベルしていない1,25(OH)2D3をいろいろな濃度で加え、4℃、16時間インキュベートし、結合しなかったビタミンDを遠心分離にて除き、組換えrVDRタンパク質に結合したリガンドの放射活性を測定した結果を示す。

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