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※この項目の情報は公開日時点(1997年10月28日)のものです。
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課題
解決手段
概要
背景
近時、ほうれん草、ふき、ニラ、アスパラガス、春菊、小松菜、チンゲン菜等の葉菜類の作型が益々分化し、光線透過率や日照時間を制御し、又は熱線透過率を制御して、花芽分化を抑制し、植物体の水分量減少による葉焼け等の生理障害を防止し、周年的にこれら葉菜類の供給がなされるようになってきている。
その対策として、従来より夏季に寒冷紗を被覆したり(特開昭62−210924号公報他)、或いはアルミニウム粉末、白色顔料、カーボンブラック等を添加した農業用遮光フィルム(特開昭61−111350号公報他)、アニリンブラック、ヘマタイト、ペリレンブラック等の顔料を添加した同目的の農業用遮光フィルム(特開昭6−46686号公報)等が使用されてきた。
しかし、寒冷紗では、高温多湿を必要とする例えば、ふきの栽培その他の早春、晩秋の促成作型には使用できず、又、全般的に遮光度が大きく、使用できる作型に制限がある。
又、アルミニウム粉末、白色顔料、カーボンブラック等を添加した農業用遮光フィルムは、いずれも遮光度が大きく、又、植物の生育に必要な領域である波長380〜500nm及び650〜780nmの光線透過率が著しく低下することにより、葉菜類が徒長し、又は生理障害を起こすおそれがある。
概要
寒冷時における作物の成長を促進し、高温時に、軟弱野菜等の成長を阻害することなく、且つ、高温障害、高光線照射障害を防止し得る農業用熱可塑性合成樹脂フィルムを提供する。
中間層と2層の外層からなる農業用熱可塑性合成樹脂フィルムであって、両外層は熱可塑性合成樹脂100重量部に対して紫外線吸収剤を0.1〜3重量部含有するとともに、少なくとも一方の外層は、これに加えて、波長500〜620nmの光線を選択的に吸収する紫色顔料もしくは染料を0.005〜0.1重量部を含有してなり、フィルム全体の全光線透過率が50〜89%であることを特徴とする農業用熱可塑性合成樹脂フィルム。
目的
本発明は叙上の事実に鑑みなされたものであって、その目的とするところは上記の課題を解決し、寒冷時における作物の成長を促進し、高温時に、軟弱野菜等の成長を阻害することなく、且つ、高温障害、高光線照射障害を防止し得る農業用熱可塑性合成樹脂フィルムを提供せんとするものである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 3件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
0001
本発明は農業用熱可塑性合成樹脂フィルムに関する。
背景技術
0002
近時、ほうれん草、ふき、ニラ、アスパラガス、春菊、小松菜、チンゲン菜等の葉菜類の作型が益々分化し、光線透過率や日照時間を制御し、又は熱線透過率を制御して、花芽分化を抑制し、植物体の水分量減少による葉焼け等の生理障害を防止し、周年的にこれら葉菜類の供給がなされるようになってきている。
0003
その対策として、従来より夏季に寒冷紗を被覆したり(特開昭62−210924号公報他)、或いはアルミニウム粉末、白色顔料、カーボンブラック等を添加した農業用遮光フィルム(特開昭61−111350号公報他)、アニリンブラック、ヘマタイト、ペリレンブラック等の顔料を添加した同目的の農業用遮光フィルム(特開昭6−46686号公報)等が使用されてきた。
0005
又、アルミニウム粉末、白色顔料、カーボンブラック等を添加した農業用遮光フィルムは、いずれも遮光度が大きく、又、植物の生育に必要な領域である波長380〜500nm及び650〜780nmの光線透過率が著しく低下することにより、葉菜類が徒長し、又は生理障害を起こすおそれがある。
発明が解決しようとする課題
0006
本発明は叙上の事実に鑑みなされたものであって、その目的とするところは上記の課題を解決し、寒冷時における作物の成長を促進し、高温時に、軟弱野菜等の成長を阻害することなく、且つ、高温障害、高光線照射障害を防止し得る農業用熱可塑性合成樹脂フィルムを提供せんとするものである。
0007
本発明は、中間層と2層の外層からなる農業用熱可塑性合成樹脂フィルムであって、両外層は熱可塑性合成樹脂100重量部に対して紫外線吸収剤を0.1〜3重量部含有するとともに、少なくとも一方の外層は、これに加えて、波長500〜620nmの光線を選択的に吸収する紫色顔料もしくは染料を0.005〜0.1重量部を含有してなり、フィルム全体の全光線透過率が50〜89%であることを特徴とする農業用熱可塑性合成樹脂フィルムをその要旨とするものである。
0009
本発明において外層に使用される波長500〜620nmの光線を選択的に吸収する紫色顔料もしくは染料は、上記波長範囲の光線を効率的に吸収するものであれば、特に種類を限定するものではないが、例えば、一般に紫色系のジオキサジン系、ペリレン系等の有機顔料やマンガン、コバルト等の無機顔料が挙げられる。又、赤色系のアゾ系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系、チオインジゴ系等の有機顔料と青色系のフタロシアニン系、アンスラキノン系、群青等の有機、無機顔料を組合せ、紫色顔料もしくは染料として使用してもよい。
0010
波長500〜620nmの光線を選択的に吸収する上記紫色顔料もしくは染料の配合量は、熱可塑性合成樹脂100重量部に対し、0.005〜0.1重量部、好ましくは0.01〜0.05重量部である。配合量が0.1重量部を超えると、得られる熱可塑性合成樹脂フィルムの全光線透過率が50%以下となり、前記するほうれん草、ニラ、アスパラガス、セロリ、ふき、小松菜等の栽培植物の生育状態が悪くなり、茎葉は徒長し、商品価値を失い、配合量が0.005重量部未満の場合、得られる熱可塑性合成樹脂フィルムの全光線透過率が89%以上となり、上記栽培植物は葉焼け等高温障害を起こし、軟弱野菜は緑化してしまい、いずれもその商品価値を失う。
0011
本発明の熱可塑性合成樹脂フィルムの全光線透過率を50〜89%と限定している理由は上記する理由に依るものである。
0012
本発明において使用される紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ハイドロキノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤があり、具体的には、スミソープ250、350(商品名:いずれも住友化学社製)、UV531(商品名:サイアナミッド社製)、チヌビン326、327(商品名:いずれもチバガイギー社製)等が挙げられ、使用する熱可塑性合成樹脂の種類等に応じて適宜選択使用される。又、HALSと略称されるヒンダードアミン系光安定剤も同様の効果が期待されるので、本願発明の紫外線吸収剤に含むものとする。この具体例としては、チヌビン622、キマソープ944(商品名:いずれもチバガイギー社製)等が例示できる。
0013
上記紫外線吸収剤の配合量は、熱可塑性合成樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部である。配合量が0.1重量部未満の場合、配合した効果が十分に得られず、ハウスやトンネル等の施設内への害虫飛来数が多くなり、前記する栽培作物に菌核病、萎ちょう病、カビ病等の病原菌の胞子形成が多くなり、病害等重大な生育障害を惹起する。又、配合量が3重量部を超えると紫外線吸収剤の効果は飽和し、それ以上配合しても実質的効果の増加がないのみならず、ブリードアウトや全光線透過率の低下を来し、又、紫外線吸収剤自体高価な薬剤であるために得られる熱可塑性合成樹脂フィルムのコスト高を招き、好ましいものではない。
0014
本発明において使用される熱可塑性合成樹脂フィルムとしては、重合度800〜2,000程度のポリ塩化ビニル、塩化ビニルを主体としこれと酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、アクリロニトリル等の共重合可能なモノマーとの共重合体、上記塩化ビニル単一重合体ないし共重合体の混合物もしくはこれらの重合体と塩素化ポリエチレン等の塩素を含有する重合体又は共重合体とのポリマーブレンド等からなる塩化ビニル系樹脂、低密度ポリエチレン、エチレンを主体とし、これと酢酸ビニル等の共重合可能なモノマーとの共重合体、上記エチレン単一重合体ないし共重合体の混合物もしくはこれらと相溶性を有する重合体又は共重合体とのポリマーブレンド等からなるエチレン系樹脂、エステル系樹脂等が挙げられる。
0016
上記充填剤として、例えば、酸化珪素、珪酸塩類、燐酸塩類、ガラス微粉末等を上記熱可塑性合成樹脂100重量部に対し、2〜20重量部、好ましくは4〜10重量部を添加すると、適度の保温剤として作用し、昼夜間の温度差や時節外れの低温等の外気温の急激な変動を緩和することができる。
0017
上記保温効果を有する充填剤の添加量が、上記熱可塑性合成樹脂100重量部に対し20重量部を超えると、得られる熱可塑性合成樹脂フィルムの可視光線透過率が低下し、且つその機械的強度も低下する。更に本発明の意図する花芽分化の抑制や徒長防止の機能が減殺されるおそれがある。
0018
本発明の熱可塑性合成樹脂フィルムの製造方法は、特に限定されるものではないが、上記各構成成分からなる熱可塑性合成樹脂組成物を、例えば、インフレーション成形法、Tダイ成形法、カレンダー成形法、溶液流延法等の方法によって成形することができる。
0019
本発明の熱可塑性合成樹脂フィルムの厚さは、全光線透過率が50〜89%を満足すれば特に限定されるものではないが、余り薄いと機械的強度が不足し、破れ等のおそれがあり、逆に、余り厚いと熱可塑性合成樹脂フィルムの製造時の製膜が難しくなったり、その後のハンドリングも面倒になるので、一般的には、0.03〜0.3mmの範囲が好適に用いられる。
0020
上記熱可塑性合成樹脂フィルムの中間層と外層との構成は、中間層が熱可塑性合成樹脂フィルムの全厚さの95%未満であることが好ましく、中間層の両面に設けられる2層の外層(一面はハウスやトンネル等の施設の外壁を構成し、他面は内壁を構成する)は、1:3〜3:1であることが好ましい。
0021
上記熱可塑性合成樹脂フィルムにおける中間層と外層の層比或いは2層の外層同士の層比が上記範囲とされるのは、ハウスやトンネル等の施設の外壁を構成する外層が極端に薄いとき、外層に含有される紫外線吸収剤の濃度を、熱可塑性合成樹脂100重量部に対し3重量部を超える添加量が必要になることがあり、得られる熱可塑性合成樹脂フィルムからブリードアウトし、顔料もしくは染料を紫外線から保護する効果が低下するだけでなく、該熱可塑性合成樹脂フィルムの全光線透過率を低下せしめるおそれがあるからである。
0022
本発明の熱可塑性合成樹脂フィルムは、叙上の如く構成されているので、外層に含有する紫色顔料もしくは染料がハウスやトンネルの内外面より照射される主として紫外線によって劣化、変質することが少なく、長日性のほうれん草や軟弱野菜の生育に機能しない波長500〜620nmの光線を長期にわたってカットでき、全光線透過率をこれらの栽培植物の生育に適した50〜89%に保持できるので、ほうれん草等の長日性植物の花芽分化を抑制し、アスパラガス、ミツバ等の軟弱野菜類の緑化や硬化、更には葉焼け等の高温障害が防止でき、且つ、十分な生育ができるので、周年的にこれらの長日性植物や軟弱野菜を促成栽培、抑制栽培し得るハウス用乃至トンネル用の被覆資材として有効に利用できる。
0023
又、本発明の熱可塑性合成樹脂フィルムは、外層に所定量にて配合されている紫外線吸収剤の、病害虫の忌避作用や病原菌の繁殖阻害作用によって、菌核病、萎ちょう病、カビ病等の胞子形成が抑制され、高温多湿になり易いハウスやトンネルによる施設内において病虫害も少なく、高品質の商品を効率よく生産できる。
0024
以下、本発明の実施例を説明する。
0025
(実施例1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量10重量%、比重0.96、MI=1.2)100重量部、ジオキサジンバイオレット(極大吸収520〜620nm)0.02重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバガイギー社製、商品名:チヌビン326)1.0重量部が配合された厚さ25μmの2層の外層と、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%、比重0.96、MI=1.4)100重量部、珪酸塩類(協和化学社製、商品名:BHT−4A)8重量部が配合された厚さ50μmの中間層を、多層インフレーション成形法により全厚さ100μmの農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを得た。得られた農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムをハウスに展張し、1994年6〜8月の3ケ月間名古屋市郊外の圃場で、ほうれん草(品種:オリオン)を栽培した。
0026
(実施例2)実施例1の外層のジオキサジンバイオレットに替えて、フタロシアニン系青色顔料とキナクリドン系赤色顔料の混合系顔料0.02重量部を使用したこと以外、実施例1と同様にして全厚さ100μmの農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを得た。得られた農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを被覆資材として用い、実施例1と同様にほうれん草(品種:オリオン)を栽培した。
0027
(比較例1)実施例1の外層のジオキサジンバイオレットの配合量0.02重量部を0.004重量部に、チヌビン326(商品名)の配合量1.0重量部を0.08重量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして全厚さ100μmの農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを得た。得られた農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを被覆資材として用い、実施例1と同様にほうれん草(品種:オリオン)を栽培した。
0028
(比較例2)実施例1の外層のチヌビン326(商品名)の配合量1.0重量部を0.08重量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして全厚さ100μmの農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを得た。得られた農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを被覆資材として用い、実施例1と同様にほうれん草(品種:オリオン)を栽培した。
0029
(比較例3)実施例1の外層のジオキサジンバイオレットの配合量0.02重量部を0.15重量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして全厚さ100μmの農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを得た。得られた農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを被覆資材として用い、実施例1と同様にほうれん草(品種:オリオン)を栽培した。
0030
(比較例4)実施例1の中間層のジオキサジンバイオレットの配合量0.02重量部を0.002重量部に変更したこと以外、実施例1と同様にして全厚さ100μmの農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを得た。得られた農業用エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを被覆資材として用い、実施例1と同様にほうれん草(品種:オリオン)を栽培した。
0031
上記の如く得られた各実施例の農業用熱可塑性合成樹脂フィルムの全光線透過率及び耐候性評価は、以下に示す方法で測定、評価した。又、上記実施例で得られた農業用熱可塑性合成樹脂フィルムを用いて実施したほうれん草の栽培試験の結果は、以下に示す方法で測定評価した。
0033
2.耐候性評価:JIS K 6732に準拠し、サンシャインカーボンアーク耐候性試験機にて、500時間照射後の農業用熱可塑性合成樹脂フィルムの褪色の程度を目視により観察し、○:殆ど褪色なし、×:著しく褪色あり、の2段階で評価した。
0034
3.栽培試験の結果:ほうれん草の育成状態をその収穫時において、高温障害、育成、葉色の3点から評価した。高温障害については、葉焼けを中心に観察し、○:殆ど葉焼けなし、×:葉焼けあり、の2段階で評価した。育成については、根及び葉茎の大きさ、太さ及び徒長の度合いを中心に観察し、その有無で評価した。葉色については、葉緑素計(ミノルタ社製、SPAD−502)を使用し、葉緑素の形成量(数値が大きい程、葉緑素の形成が多く育成状態が良いことを示す。)を測定した。
0035
上記測定、評価結果は、表1に示した。
0036
0037
本発明の農業用熱可塑性合成樹脂フィルムは、上記の如き構成となされているので、耐候性に優れ、ほうれん草等の長日性植物の花芽分化やアスパラガス、ミツバ等の軟弱野菜の緑化、硬化や更に葉焼け等の高温障害が回避でき、十分な育成ができるので、周年的にこれらの長日性植物や軟弱野菜を促成栽培、抑制栽培し得るハウス用乃至トンネル用の被覆資材として有効に利用できる。
発明の効果
0038
又、本発明の熱可塑性合成樹脂フィルムは、外層に所定量にて配合されている紫外線吸収剤の病害虫の忌避作用や病原菌の繁殖阻害作用によって、菌核病、萎ちょう病、カビ病等の胞子形成が抑制され、高温多湿になり易いハウスやトンネルによる施設内において病虫害も少なく、高品質の商品を効率よく生産できる。
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