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技術 二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製造方法

出願人 住友金属工業株式会社
発明者 中西哲也近藤邦夫
出願日 1996年4月10日 (24年7ヶ月経過) 出願番号 1996-087853
公開日 1997年10月21日 (23年1ヶ月経過) 公開番号 1997-271811
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 鋼の加工熱処理 管の製造;マンドレル
主要キーワード 冷却態様 進退動機構 ミスト水 フェライト含有量 耐海水腐食性 冷却水供給用 磁粉探傷検査 加熱ビレット
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1997年10月21日)のものです。
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課題

高W二相ステンレス鋼製の継目無鋼管の製造方法を提供する。

解決手段

1.5重量%超、5重量%以下のWを含有する二相ステンレス鋼製のビッレトを、フェライト含有量が40〜80体積%になる温度域に加熱した後、穿孔圧延もしくは穿孔圧延に引き続く傾斜ロール管圧延機による延伸圧延を、延伸比3.0以下の条件で行う。

効果

管外面しわ疵と被れ疵は勿論、管内面の被れ疵のない高品質製品が得られる。

概要

背景

二相ステンレス鋼は、耐食性溶接性に優れており、フェライト系やオーステナイト系ステンレス鋼に比べて特に耐海水腐食性と強度に優れている。このため、その継目無鋼管は、海底フローラインラインパイプなどとして広く用いられている。

なかでも、本出願人が先に提案した特開平5−132741号公報に示されるようなWを1.5〜5重量%と多く含む二相ステンレス鋼は、従来の二相ステンレス鋼に比べて強度と耐食性、特に耐海水腐食性が一段と優れるほか、金属間化合物析出による機械的性質と耐食性の劣化が小さい材料であることから、上記海底フローラインのラインパイプなどとして多く用いられつつある。

しかし、上記のような二相ステンレス鋼は、フェライト系やオーステナイト系のステンレス鋼に比べて熱間加工性が悪く、分塊圧延穿孔圧延時に割れ疵などが多く発生し、製品歩留まりが悪いという欠点を有している。

この熱間加工性を改善する方法としては、従来から種々の方法が提案されている。例えば、結晶粒間偏析して熱間加工性を低下させるSの含有量を低くした上で、Caや希土類元素REM)などを添加して固溶Sを固定し、さらにBを添加してSが結晶粒間に偏析するのを抑制する方法(特開昭60−262946号公報)、継目無鋼管の穿孔圧延時に素材であるビッレトの加熱をフェライト含有量が所定量になる温度域で行う方法(特開昭59−80716号公報および特開平3−180427号公報)などがある。

概要

高W二相ステンレス鋼製の継目無鋼管の製造方法を提供する。

1.5重量%超、5重量%以下のWを含有する二相ステンレス鋼製のビッレトを、フェライト含有量が40〜80体積%になる温度域に加熱した後、穿孔圧延もしくは穿孔圧延に引き続く傾斜ロール管圧延機による延伸圧延を、延伸比3.0以下の条件で行う。

管外面しわ疵と被れ疵は勿論、管内面の被れ疵のない高品質製品が得られる。

目的

本発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、その課題は、1.5重量%超、5重量%以下のWを含む二相ステンレス鋼を加工対象とした場合において、被れ疵が管内外面に発生するのをともに抑制でき、かつしわ疵が管外面に発生するのをも抑制することができる二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
4件

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請求項1

1.5重量%超、5重量%以下のWを含有する二相ステンレス鋼製のビッレトを、フェライト含有量が40〜80体積%になる温度域に加熱した後、穿孔圧延もしくは穿孔圧延とこれに引き続く傾斜ロール管圧延機による延伸圧延を、延伸比3.0以下の条件で行うことを特徴とする二相ステンレス鋼製継目無鋼管製管方法

請求項2

上記の穿孔圧延もしくは穿孔圧延とこれに引き続く傾斜ロール式管圧延機による延伸圧延中圧延ロールに供給される冷却水または気液混合冷却水が被圧延材料にかからないように圧延ロール表面から冷却水を除去するか、もしくは前記冷却水による圧延ロールの冷却を停止することを特徴とする請求項1に記載の二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製管方法。

請求項3

ビレットは、重量%で、1.5%超、5%以下のWを含有するとともに、C:0.03%以下、Si:0.1〜2%、Mn:0.1〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、sol−Al:0.1%以下、Ni:5〜11%、Cr:17〜30%、Mo:1〜6%、N:0.1〜0.4%を含み、さらにCa:0〜0.02%、Mg:0〜0.02%、REM:0〜0.2%およびB:0〜0.05%のうちの1種または2種以上、並びにCu:0〜2%、V:0〜1.5%、Ti:0〜0.5%およびNb:0〜0.5%のうちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる二相ステンレス鋼製であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製管方法。

技術分野

0001

本発明は、二相ステンレス鋼継目無鋼管製管方法に係わり、特に、Wを多く含有する二相ステンレス鋼を素材とし、この素材を傾斜ロール式などの穿孔圧延機熱間圧延製管する場合に好適な二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製管方法に関する。

背景技術

0002

二相ステンレス鋼は、耐食性溶接性に優れており、フェライト系やオーステナイト系ステンレス鋼に比べて特に耐海水腐食性と強度に優れている。このため、その継目無鋼管は、海底フローラインラインパイプなどとして広く用いられている。

0003

なかでも、本出願人が先に提案した特開平5−132741号公報に示されるようなWを1.5〜5重量%と多く含む二相ステンレス鋼は、従来の二相ステンレス鋼に比べて強度と耐食性、特に耐海水腐食性が一段と優れるほか、金属間化合物析出による機械的性質と耐食性の劣化が小さい材料であることから、上記海底フローラインのラインパイプなどとして多く用いられつつある。

0004

しかし、上記のような二相ステンレス鋼は、フェライト系やオーステナイト系のステンレス鋼に比べて熱間加工性が悪く、分塊圧延穿孔圧延時に割れ疵などが多く発生し、製品歩留まりが悪いという欠点を有している。

0005

この熱間加工性を改善する方法としては、従来から種々の方法が提案されている。例えば、結晶粒間偏析して熱間加工性を低下させるSの含有量を低くした上で、Caや希土類元素REM)などを添加して固溶Sを固定し、さらにBを添加してSが結晶粒間に偏析するのを抑制する方法(特開昭60−262946号公報)、継目無鋼管の穿孔圧延時に素材であるビッレトの加熱をフェライト含有量が所定量になる温度域で行う方法(特開昭59−80716号公報および特開平3−180427号公報)などがある。

発明が解決しようとする課題

0006

上記前者の方法による場合には、確かに熱間加工性は向上する。しかし、この方法による場合には、本来二相ステンレス鋼が備える耐食性が低下するという問題がある。

0007

また、上記後者の方法は、いずれもW含有量が1.5重量%以下の二相ステンレス鋼を加工対象とし、製管時に管外面に発生する表面欠陥のみを防止する方法である。

0008

すなわち、上記後者のうち、特開昭59−80716号公報に示される方法は、素材であるビッレトの加熱をフェライト含有量が70体積%以上になる温度域で行う方法である。この方法による場合、確かに魚鱗状の被れ疵(以下、単に「被れ疵」という)の発生を防ぐことができる。

0009

しかし、この方法は、ビレットのフェライト含有量が多すぎるためにフェライト粒不均一変形に起因するリジング現象が発生する。この結果、管外面に上記被れ疵とは異なり、管表面が凸凹になるしわ状の疵(以下、単に「しわ疵」という)が多発し、このしわ疵の発生を抑制しようとすると、上記フェライト含有量を低くする必要があるために被れ疵が多発するという問題があった。

0010

これに対し、上記後者のうち、特開平3−180427号公報に示される方法は、本発明者らが先に提案した方法で、素材であるビッレトの加熱をフェライト含有量が50〜70体積%になる温度域で行う方法であり、管外面にしわ疵が発生するのを確実に防止できるとともに、被れ疵が管外面に発生するのをも抑制することができる。また、この方法では、その圧延中、圧延機圧延ロールに供給される冷却水被加工材料にかからないように除去することで、被れ疵が管外面に発生するのを確実に抑制することができる。

0011

しかし、この特開平3−180427号公報に示される方法によって前述したWを1.5〜5重量%と多く含む二相ステンレス鋼製のビレットを素材として継目無鋼管を製造した場合、管外面に被れ疵が多発するのみならず、管内面にも被れ疵が多発するという問題があった。

0012

本発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、その課題は、1.5重量%超、5重量%以下のWを含む二相ステンレス鋼を加工対象とした場合において、被れ疵が管内外面に発生するのをともに抑制でき、かつしわ疵が管外面に発生するのをも抑制することができる二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、1.5重量%超、5重量%以下のWを含む二相ステンレス鋼を加工対象とした場合、管外面に被れ疵が多発するのみならず、管内面にも被れ疵が発生する原因を究明すべく種々実験研究を行った結果、次のことを知見し、本発明をなすに到った。

0014

管外面の被れ疵は、被加工材料である鋼の熱間加工性が悪いことに起因して発生する。具体的には、塑性加工に先立って均一加熱したビレットの外面側の温度がその加工中に低下し、この部分の熱間加工性が悪くなることに起因して発生する。特に、オーステナイト相フェライト相とからなる二相ステンレス鋼は、フェライト相に比べてオーステナイト相の方が高強度で両者の強度差が大きく、この強度差が大きくなればなるほど熱間加工性が悪くなる。すなわち、均一加熱したビレットの外面側の温度が低下すると、これに伴ってオーステナイト相の含有量が増加してその強度差が増大するのみならず、固溶しにくいSなどの不純物粒界に多く偏析し、その部分の熱間加工性が悪化するるために塑性加工の際にオーステナイト相とフェライト相との境界部で粒界割れが発生して管外面の被れ疵になるのである。

0015

また、鋼の熱間加工性は、通常、鋼の高温強度が高ければ高いほど悪くなる。

0016

従って、本発明が加工対象とする1.5重量%超、5重量%以下とWを多く含む二相ステンレス鋼は、Wが高温強度を高めるのみならずオーステナイト相を強化するので、上記の強度差と高温強度が1.5重量%以下のWを含む従来の二相ステンレス鋼に比べていずれも高いために熱間加工性が劣り、管外面に被れ疵が発生しやすいので、より高温にビレットを加熱する必要がある。

0017

一方、二相ステンレス鋼の熱間加工性は、フェライト相の含有量が多ければ多いほど向上する。すなわち、フェライト相の含有量が多い分だけ強度の高いオーステナイト相の含有量が減少し、両者の境界部が少なくなるので、この境界部での粒界割れの発生頻度が減少する結果、熱間加工性が向上する。

0018

そして、このフェライト含有量は、鋼の温度によって異なり、通常、温度が高くなるのに従って多くなる。このことから、前述した従来技術においては、熱間加工性を高めるためにフェライト含有量が所定量になる温度域でビレット加熱し、この加熱ビレットを穿孔圧延することで管外面に被れ疵が発生するのを防ぐようにしている。

0019

しかし、高温強度が高いことから熱間加工性を向上させるためにビレットをより高温に加熱するとフェライト含有量が多くなり、フェライト粒の不均一変形に起因するリジング現象が発生し、管外面にしわ疵が発生することになる。

0020

そこで、本発明者らは、本発明で加工対象とする前述したW含有量の多い二相ステンレス鋼とW含有量の少ない従来の二相ステンレス鋼を対象に、フェライト含有量に及ぼす加熱温度の影響を調査した。

0021

図1は、その調査結果を示す図であり、調査は表1に示す化学成分を有する4書類の鋼を対象に行った。なお、表1中、鋼No. A〜Cは本発明で加工対象とする高W二相ステンレス鋼、鋼No. Dは従来の低W二相ステンレス鋼である。

0022

0023

図1に示す調査結果から明らかなように、本発明で加工対象とする高W二相ステンレス鋼の同一加熱温度におけるフライト含有量は、いずれの鋼も、従来の低W二相ステンレス鋼よりも少なく、しかもそのフェライト含有量が40〜80体積%の範囲であればフェライト粒の不均一変形に起因するリジング現象が抑制されて管外面にしわ疵が発生しないことが判明した。

0024

また、上記の結果、ビレットを高温加熱することができ、高温強度の高いことに起因して熱間加工性が低下するのを防ぐことができ、管外面に被れ疵が発生するのをより確実に抑制できることも判明した。

0025

ところが、上記の判明結果を基に、高W二相ステンレス鋼製のビレットをフェライト含有量が40〜80体積%になる温度域に加熱して穿孔圧延すると、管内面に被れ疵が多発した。

0026

ここで、穿孔圧延時における被加工材料の温度について注目すると、次のようになる。すなわち、被加工材料の外面側の温度は、冷却水により強制的に冷却されている穿孔圧延機の圧延ロールと接触しているので低下する。これに対し、被加工材料の内面側の温度は、材料がプラグ摺動摩擦接触して摩擦発熱するので昇温する。従って、管内面の被れ疵は、管外面の被れ疵の発生原因であるビレットの外面側の温度低下によるその部分の熱間加工性の低下とは異なる原因によって発生していることになる。

0027

そこで、本発明者らは、この管内面の被れ疵の発生原因がビレットの内面側の温度上昇、具体的には鋼の高温延性相違によるのではないかと考え、前述の表1に示したと同じ4種類の鋼を対象に、その高温延性を調査した。

0028

図2は、その調査結果を示す図である。この図2に示す調査結果から明らかなように、従来の低W二相ステンレス鋼の高温延性は、温度が高くなるに従って向上し、温度が1350℃を超えても低下することがない。これに対し、本発明で加工対象とする高W二相ステンレス鋼の高温延性は、温度が1300℃を超えると急激に低下している。これは、多量のW添加により鋼の融点固相線温度)が低下し、その組織中に一部液相が出現するためである。

0029

そして、この高温延性の低下が原因で管内面に被れ疵が発生するが、穿孔圧延時およびこの穿孔圧延に引き続いく傾斜ロール式の管圧延機延伸圧延を施す場合の延伸圧延時における加工度延伸比(加工前の材料長さ/加工後の材料長さ)で3.0以下に制限する場合には、被れ疵が管内面に発生するのを防ぐことが可能であることが判明した。

0030

本発明は、上記した知見に基づいてなされたもので、その要旨は次の二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製造方法にある。

0031

1.5重量%超、5重量%以下のWを含有する二相ステンレス鋼製のビッレトを、フェライト含有量が40〜80体積%になる温度域に加熱した後、穿孔圧延もしくは穿孔圧延とこれに引き続く傾斜ロール式管圧延機による延伸圧延を、延伸比3.0以下の条件で行うことを特徴とする二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製管方法。

0032

上記本発明の方法においては、その穿孔圧延もしくは穿孔圧延とこれに引き続く傾斜ロール式の管圧延機による延伸圧延中、圧延ロールに供給される冷却水または気液混合冷却水が被圧延材料にかからないように圧延ロールの表面から冷却水を除去するか、もしくは前記冷却水による圧延ロールの冷却を停止するのが好ましい。

0033

また、加工対象とする鋼は、上記W以外に、重量%で、C:0.03%以下、Si:0.1〜2%、Mn:0.1〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、sol−Al:0.1%以下、Ni:5〜11%、Cr:17〜30%、Mo:1〜6%、N:0.1〜0.4%を含み、さらにCa:0〜0.02%、Mg:0〜0.02%、REM:0〜0.2%およびB:0〜0.05%のうちの1種または2種以上、並びにCu:0〜2%、V:0〜1.5%、Ti:0〜0.5%およびNb:0〜0.5%のうちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる二相ステンレス鋼であることが好ましい。

発明を実施するための最良の形態

0034

以下、本発明に係わる二相ステンレス鋼製継目無鋼管の製管方法の実施態様について詳細に説明する。

0035

素材ビレットについて)本発明において用いる素材ビレットは、1.5重量%超、5重量%以下のWを含有する二相ステンレス鋼であればよく、その他の成分とその含有量は特に制限されない。しかし、海底フローラインのラインパイプとして用いた場合、優れた耐食性などを備えるものである必要があり、そのためには下記の成化学成分を有する二相ステンレス鋼を用いるのが好ましい。

0036

すなわち、重量%で、C:0.03%以下、Si:0.1〜2%、Mn:0.1〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、sol−Al:0.1%以下、Ni:5〜11%、Cr:17〜30%、W:1.5%超5%以下、Mo:1〜6%、W:1.5%〜5%、N:0.1〜0.4%を含み、さらにCa:0〜0.02%、Mg:0〜0.02%、REM:0〜0.2%およびB:0〜0.05%のうちの1種または2種以上、並びにCu:0.1〜2%、V:0.05〜1.5%、Ti:0.01〜0.5%およびNb:0.01〜0.5%のうちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる二相ステンレス鋼である。

0037

ここで、二相ステンレス鋼が上記各成分と含有量を有するものであるのが好ましい理由は、以下のとおりである。

0038

C:Cは、後述のNと同様、オーステナイト相を安定化するのに有効である。しかし、その含有量が0.03%を超えると炭化物が析出しやすくなって耐食性が劣化する。

0039

Si:Siは、脱酸剤として有効であるが、その含有量が0.1%未満で効果が得られない。一方、その含有量が2%を超えると脆いσ相が析出しやすくなって靭性が劣化する。

0040

Mn:Mnは、脱酸および脱硫剤として有効であり、さらにオーステナイト相の安定化および熱間加工性の向上にも寄与するが、その含有量が0.1%未満ではこれらの効果が得られない。一方、その含有量が2%を超えると耐食性を劣化させる。

0041

P:Pは、鋼中に不可避的に混入する不純物元素であり、その含有量が0.05%を超えると耐食性および靭性が著しく劣化する。

0042

S:Sは、上記Pと同様、鋼中に不可避的に混入する不純物元素であり、熱間加工性を著しく劣化させる。また、その硫化物孔食の起点となって耐食性をも劣化させる。このため、その含有量は可能な限り少ない方がよく、0.008%以下であれば実用上特に問題とはならないが、望ましくは0.005%以下とするのがよい。

0043

sol−Al:Alは、鋼の脱酸剤として有効である。しかし、後述するように、耐食性を向上させるべくNを多く添加含有させた高Nかつ高Wの二相ステンレス鋼では、Alを多量に添加含有させるとAlNが多量に析出し、靭性および耐食性が劣化する。このため、その含有量はできるだけ少ない方がよく、sol−Al含有量で0.1%以下であれば実用上特に問題とはならない。

0044

Ni:Niは、オーステナイト相生成元素であり、かつδ−フェライト相の析出抑制に寄与する。しかし、その含有量が5%未満ではフェライト量が多くなりすぎて二相ステンレス鋼の特徴が消失する。また、フェライト中のN固溶度は小さく、窒化物が析出しやすくなって耐食性が劣化する。一方、その含有量が11%を超えるとフェライト量が多くなりすぎて二相ステンレス鋼の特徴が消失するほか、脆いσ相が析出しやすくなって靭性が劣化する。

0045

Cr:Crは、耐食性を確保するための必須成分であるが、その含有量が17%未満では必要な耐食性を確保することができない。一方、その含有量が30%を超えると脆いσ相が析出しやすくなり、耐食性のみならず熱間加工性および溶接性が劣化する。

0046

Mo:Moは、Crと同様、耐食性、特に耐孔食性および耐隙間腐食性を向上させるのに有効である。しかし、その含有量が1%未満ではその効果が得られない。一方、その含有量が6%を超えると脆いσ相が析出しやすくなり、熱間加工性が低下する。

0047

W:Wは、Moとは異なり、σ相などの金属間化合物を生成促進させることなく耐食性、特に耐孔食性および耐隙間腐食性を向上させるのに有効であり、上記のCrやMoさらには後述するNの含有量を増やさずに高い耐食性を確保することができる元素である。この効果を得るためには、その含有量を1.5%超にする必要がある。一方、Wは高価であるため過剰に含有させると鋼のコスト上昇を招いて経済性を損なうほか、鋼の融点(固相線温度)が低くなって高温延性を低下させるのみならず、5%を超えて含有させても耐食性の向上効果飽和するので、その上限は5%とする。

0048

N:Nは、オーステナイト生成元素であり、Cr、Mo、Wなどのフェライト相生成元素を比較的多く含有する鋼の熱的安定と耐食性を向上させるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.1%未満ではこれらの効果が得られない。一方、その含有量が0.4%を超えると鋼の融点(固相線温度)が低くなって高温側での高温延性が低下するのみならず、製品管同士を突き合わせ接合する溶接時において溶接部ブローホールが発生するほか窒化物が多量に生成し、溶接部の靭性低下および耐食性低下を招く。

0049

Ca、Mg、REM(La、Ce、Yなど)およびB:これらの元素は、いずれも、鋼中に不純物として不可避的に含まれるSが結晶粒界に偏析するのを抑制して熱間加工性を向上させる元素であり、特に塑性加工中に温度低下して熱間加工性が悪くなるビレットの外面層部分の熱間加工性が低下するのを防止する観点から有効な元素である。すなわち、Ca、Mg、REMにつては、鋼中に固溶されたSおよびO(酸素)をその硫化物および酸化物として固定し、SおよびOが結晶粒界に偏析析出するのを抑制して熱間加工性を向上させる。また、Bについては、その原子の大きさがSおよびOに比べて大きいことから結晶粒界に優先的に偏析析出し、SおよびOが結晶粒界に偏析析出するのを抑制して熱間加工性を向上させる。このため、熱間加工性をさらに向上させたい場合には、これら元素のうちから選んだ1種または2種以上を添加含有させるのが好ましい。

0050

しかし、その含有量が、Ca、Mg、REMについてはいずれも0.0005%未満、Bについては0.0001%未満では、上記の効果が得られない。一方、その含有量が、Ca、Mgについては0.02%超、REMについては0.2%超、Bについては0.05%超になると、耐食性が劣化する。

0051

すなわち、Ca、Mg、REMを上記上限値を超えて多量に含有させると、鋼中に孔食の起点となる硫化物や酸化物が多く生成し、耐食性が劣化する。また、Bを上記上限値を超えて多量に含有させると鋼中にBの窒化物や炭化物が多く生成し、靱性が劣化する。

0052

従って、これらの元素を添加含有させる場合の含有量は、CaおよびMgについてはいずれも0.0005〜0.02%、REMについては0.0.0005〜0.2%、Bについては0.0001〜0.05%とするのが望ましい。

0053

Cu、V、TiおよびNb:これらの元素は、いずれも、鋼の耐食性を向上させる作用を有している。このうち、特に、Cuは、還元性の低pH環境、すなわち硫酸硫化水素を多く含む環境下での耐食性をより一段と向上させる作用を有している。また、Vは、Wとの複合添加によった場合、耐隙間腐食性をより一段と向上させる作用を有している。よって、これらの効果を得たい場合には、上記各元素のうちから選択した1種または2種以上を添加含有させることができる。

0054

しかし、その含有量が、Cuについては0.1%未満、Vについては0.05%未満、TiおよびNbについてはいずれも0.01%未満では、上記の効果が得られない。一方、Cuについては、その含有量が2%を超えると熱間加工性が低下する。また、Vについては、その含有量が1.5%を超えるとフェライト量が増加し、逆に耐食性が低下するのみならず、靱性が低下する。さらに、TiおよびNbについては、いずれもその含有量が0.5%を超えると靱性が低下する。

0055

従って、これらの元素を添加含有させる場合の含有量は、Cuについては0.1〜2%、Vについては0.05〜1.5%、TiおよびNbについてはいずれも0.01〜0.5%とするのが望ましい。

0056

(素材ビレトの加熱について)本発明においては、上記したような1.5重量%超、5重量%以下のWを多く含む高Wの二相ステンレス鋼からなる素材ビレットを、その穿孔圧延に先立ってそのフェライト含有量が40〜80体積%になる温度域で均一加熱する必要がある。

0057

これは、フェライト含有量が40体積%未満では、熱間加工性が悪く、穿孔圧延時に管外面に深さの深い被れ疵が多発するためである。また、逆にフェライト含有量が80体積%を超えると、穿孔圧延時にフェライト粒の不均一変形に起因するリジング現象が発生し、管外面にしわ疵が発生するためである。

0058

よって、素材ビレットの加熱は、フェライト含有量が40〜80体積%になる温度域で行う必要があるのである。

0059

(穿孔圧延と傾斜ロール式の管圧延機による延伸圧延について)本発明においては、上記のようにフェライト含有量が40〜80体積%の範囲内になる温度域で均一加熱された素材ビレットは、穿孔圧延機に供して穿孔圧延されて中空ホローシェル成形される。また、このホローシェルは、穿孔圧延に引き続く傾斜ロール式の管圧延機による延伸圧延を介するか、もしくは介さずに孔型ロールを有する管圧延機によってさらに延伸圧延され、しかる後に定径圧延を経て所定の寸法に仕上げられる。

0060

ここで、上記穿孔圧延機としては、傾斜ロール式の2ロールピアサー、3ロールピアサーさらには2個一対の対向孔型ロールを備えるプレスピアシングミルなどの圧延機を用いることができる。また、上記傾斜ロール式の管圧延機としては、傾斜ロール式の2ロールエロンゲータ、3ロールエロンゲータ、アッセルミルなどの圧延機を用いることができる。

0061

さらに、圧延ライン構成方式としては、継目無鋼管製造用の各圧延機が、ピアサー→(エロンゲータ)→プラグミル→リーラ→サイザの順に配置された所謂マンスマン−プラグミル方式、あるいはピアサー→(エロンゲータ)→マンドレルミルの順に配置された所謂マンネスマン−マンドレルミル方式などを用いることができる。

0062

本発明では、上記のピアサーによる穿孔圧延および傾斜ロール式の管圧延機による延伸圧延の際、その加工度を延伸比(加工前の材料長さ/加工後の材料長さ)で3.0以下にして行う必要がある。これは、前述したように、管外面に被れ疵としわ疵が発生しないように40〜80体積%のフェライト含有量になる温度域で均一加熱した状態では、これらの圧延時における加工度が延伸比で3.0を超えると、管内面の温度が被加工材料の高温延性の急激に低下する温度域に上昇し、被加工材料が破断して管内面に被れ疵が発生するためである。このことは、後述の実施例に示す結果からも明らかである。なお、上記の加工度は、延伸比で2.0以下とするのがより好ましい。

0063

また、管内面の被れ疵と管外面のしわ疵の発生を確実に防止する観点からは、上記素材ビレットの加熱温度を40〜80体積%のフェライト含有量が得られる温度域内においてできるだけ低くするのが好ましい。

0064

しかし、素材ビレットの加熱温度を低くすると、フェライト含有量が少なくなって熱間加工性が低下し、管外面に被れ疵が発生しやすくなる。このため、加熱後の素材ビレットは、できるだけ速やかに穿孔圧延機に供することが必要であるが、これだけでは不十分である。

0065

すなわち、ピアサーによる穿孔圧延時および傾斜ロール式の管圧延機による延伸圧延時には、その圧延機の圧延ロールが冷却水によって強制冷却されており、その表面温度はせいぜい200℃程度と低い。このため、この圧延ロールに接触する被加工材料の外面側は否応無しに冷却される結果、この外面側の温度が低下し、この部分のフェライト含有量が少なくなって管外面に被れ疵がますます発生しやすくなる。

0066

この被加工材料外面側の温度低下に起因して発生しやすくなる管外面の被れ疵は、前述した特開平1−319947号公報に示されると同様の方法を採用することによって防ぐことができる。

0067

すなわち、ピアサーによる穿孔圧延中と傾斜ロール式の管圧延機による延伸圧延中、圧延機の圧延ロールを冷却すべく供給される冷却水が被圧延材料にかからないようにすることである。さらに好ましくは、その両圧延中、圧延ロールへの冷却水の供給を停止することである。

0068

従って、本発明においては、ピアサーによる穿孔圧延中と傾斜ロール式の管圧延機による延伸圧延中、圧延機の圧延ロールを冷却すべく供給される冷却水が被圧延材料にかからないように圧延ロールの表面から冷却水を除去するか、もしくは圧延ロールへの冷却水の供給を停止するのが好ましい。

0069

ところで、上記圧延ロールへの冷却水の供給を停止する方法は、穿孔圧延ピッチ間の間隔が長く、そのピッチ間中にのみに冷却水を供給して圧延ロールを十分に冷却できる場合には適用できるが、生産性を上げるために穿孔圧延ピッチ間の間隔を短くした場合には適さない。また、圧延中の圧延ロールへの冷却水の供給を停止すると、圧延ロールが被加工材料の熱によって温度上昇し、圧延ロールの表層部分の強度が低下して表面が損傷しやすくなる。さらに、圧延ロールが焼きばめスリーブ式である場合には、スリーブロール部分が熱膨張して軸部に対して滑りだすといった重大事故を引き起こすことになる。

0070

このため、実際には、冷却水の供給を停止することなく圧延ロールへ供給された冷却水が被加工材料にかからないようにするのが好ましく、そのためには次のような手段を講じればよい。

0071

図3は、その具体的な方法を、穿孔圧延機に適用する場合の一例を示す図であり、図中、1、1’は圧延ロール、2はプラグ、3、3’はガイドシュー、4、4’は冷却水供給用ノズル、5、5’はエアースプレーノズル、6、6’はワイパーである。

0072

図3において、圧延ロール1、1’は、それぞれその軸長方向の中間部に直径が最大となるゴージ部を備えたバレル型であり、素材ビレット、ホローシェルHのパスラインの両側にあって、それぞれ所定の傾斜角(または傾斜角と交叉角)に設定してその傾きが互いに逆になるように対向配置されており、図示しない駆動源によってそれぞれ矢符方向に回転せしめられるようになっている。

0073

また、プラグ2は、圧延ロール1、1’のゴージ部間の近傍のパスラン上にその軸芯が位置するように図示しないマンドレルにより支持されている。またさらに、ガイドシュー3、3’は、パスラインの周りに圧延ロール1、1’の対向方向とは位相を90°異ならせて所定の間隔を隔てて対向配置されている。

0074

このように構成された穿孔圧延機による穿孔圧延においては、パスラインに沿って搬送されてきた素材ビレットの先端が圧延ロール1、1’間に噛み込まれて回転しつつその軸長方向に進行し、その軸心部にプラグ2が貫入せしめられることによってホローシェルHが製造される。

0075

一方、その圧延中、各圧延ロール1、1’を強制冷却するとともに、供給された冷却水をロール表面から除去する、冷却水供給用ノズル4、4’エアースプレーノズル5、5’およびワイパー6、6’は、それぞれ各圧延ロール1、1’の外周を臨む位置に配設されている。

0076

すなわち、冷却水供給用ノズル4、4’は、圧延ロール1、1’の回転方向において、パスラインから離れた位置であって、供給された冷却水が素材ビレットおよびホローシェルHに飛散付着しない位置に設定配置されている。なお、この冷却水供給用ノズル4、4’から供給する冷却水の噴射量や噴射角度などは、圧延ロール1、1’の寸法や材質などに応じて設定されている。

0077

エアースプレーノズル5、5’は、圧延ロール1、1’の回転方向において、冷却水供給用ノズル4、4’と、圧延ロール1、1’と素材ビレットおよびホローシェルHとの接触点との中間部にあって、エアーを圧延ロール1、1’の回転方向とは逆方向に噴射するように設定配置されている。なお、このエアースプレーノズル5、5’から噴射するエアーの圧力や噴射角度などは、冷却水供給用ノズル4、4’から供給する冷却水の噴射量などに応じて設定されている。

0078

ワイパー6、6’は、圧延ロール1、1’の回転方向において、エアースプレーノズル5、5’と、圧延ロール1、1’と素材ビレットおよびホローシェルHとの接触点との中間部にあって、圧延ロール1、1’の軸長方向の全長摺接してロール表面に付着した冷却水を除去するように設定配置されている。

0079

図4は、ワイパー6、6’の具体的な構成例を示す模式図である。図に示すように、ワイパー6は、例えば耐熱性ゴムなどの耐熱性を有する弾性材料を用い、その一方縁が圧延ロール1の平面視外郭形状に一致する凹形状に形成されており、他方縁を図示しないシリンダーなどの進退動機構に連結された支持部材6aに固定装着されている。

0080

なお、圧延ピッチ間の間隔の長短に係わらず、圧延を繰り返すと圧延ロール1、1’の温度が高くなり、冷却水が水のみである場合にはその冷却能が相対的に低下する。従って、冷却水としては、水のみに比べてその冷却能が優れたエアーと水とを混合した気液混合冷却水(ミスト水)を用いるのが好ましい。

0081

上記したように、圧延ロール1、1’の外周所定位置に、エアースプレーノズル5、5’とワイパー6、6’を配設し、その圧延中、冷却水供給用ノズル4、4’から噴射供給される冷却水を圧延ロール1、1’の表面から除去する場合には、素材ビレットおよびホローシェルHの外面側の温度低下が効果的に抑制される。この結果、被加工材料の表層部分のフェライト含有量低下による熱間加工性低下が抑制され、管外面の被れ疵発生を抑制することが可能になる。

0082

(実施例1)前述の表1に示す鋼のうち、No. A、BおよびCの3種類の二相ステンレス鋼製であって、外径213mm、長さ3000mmの丸ビレットを3時間均熱保持して種々の温度(1150℃、1230℃、1270℃、1310℃、1320℃、1340℃)に加熱した。

0083

次いで、これらの丸ビレットを直ちに傾斜ロール式の2ロールピアサーに搬送し、延伸比1.8で穿孔圧延して外径223mm、肉厚37mm、長さ4930mmのホローシェルに成形した。

0084

しかる後、ホローシェルを、上記ピアサーと同様構造の傾斜ロール式の2ロールエロンゲータで外径250mm、肉厚20mm、長さ7400mmに延伸圧延(延伸比:1.5)し、さらにプラグミルで外径238mm、肉厚18mm、長さ8600mmに延伸圧延した後、リラーで磨管圧延し、サイザで外径173mm、肉厚18mm、長さ12200mmの製品寸法に仕上げた。

0085

この際、ピアサーおよびエロンゲターによる圧延時に、その圧延ロールに供給する冷却水の種類を種々変えて圧延ロールを強制冷却する一方、圧延ロール表面に付着した冷却水をエアースプレーノズルとワイパーにより除去する場合と除去しない場合の3通りと、その圧延中に圧延ロールへの冷却水供給を停止した場合の合計4通りの圧延を行った。

0086

なお、圧延ロールに対する冷却水の供給は、いずれの圧延機も、圧延ロールの表面からノズル先端までの離間距離が200mmであり、圧延ロールの軸長方向に100mmピッチの等間隔で配置した7個のノズルを用い、表2に示す条件で行った。

0087

また、圧延ロール表面に付着する冷却水の除去は、圧延ロールの表面からノズル先端までの離間距離が100mmであり、圧延ロールの軸長方向に300mmピッチの等間隔で配置した3個のエアーノズルと、厚さ15mmの耐熱ゴム製ワイパーとを用い、表3に示す条件で行った。

0088

0089

0090

さらに、用いたピアサーは、ゴージ部直径1100mm、長さ850mmで、入側端と出側端の直径がそれぞれ1060mmと1040mmのバレル型の圧延ロールを備え、圧延ロールの傾斜角度が10゜のピアサーであり、圧延ロールを83rpmで回転させながら穿孔圧延した。

0091

また、用いたエロンゲターは、ゴージ部直径1150mm、長さ950mmで、入側端と出側端の直径がそれぞれ1120mmと1075mmのバレル型の圧延ロールを備え、圧延ロールの傾斜角度が8゜のエロンゲータであり、圧延ロールを117rpmで回転させながら穿孔圧延した。

0092

そして、サイザ圧延後の製品を対象に、その外面に平均粒径2mmの鋼球を吹き付けエアー圧力10kgf/cm2 で吹き付けるショットブラスト処理硝酸濃度が10%の弗硝酸水溶液中に5時間浸漬する酸洗処理を施して酸化スケールを完全に除去した後、管外面の疵の発生状況を調査した。

0093

調査は、JIS−G0565に規定された磁粉探傷検査法を用いて疵の発生を確認し、疵の種類と疵深さとを調べた。そして、疵の深さが0.1mm未満の場合を○、0.1mm以上、0.3mm未満の場合を△、0.3mm以上の場合を×とし、その総合判定を次の基準によって行った。その結果を、製管条件とともに、表4に示した。

0094

総合判定基準:
○:全てのしわ疵と被れ疵の疵深さが0.1mm未満。

0095

△:しわ疵と被れ疵のいずれか一方の疵深さが0.1mm以上、0.3mm未満。

0096

×:しわ疵と被れ疵のいずれか一方の疵深さが0.3mm以上。

0097

0098

表4に示す結果から明らかなように、いずれの鋼も、そのフェライト含有量が80体積%を超える温度に素材ビレットを加熱し、その圧延中、圧延ロールに対して冷却水を供給し、圧延ロールの表面に付着した冷却水を除去することなく穿孔圧延を行ったにもかかわらず、管外面に深さが0.3mm以上の深いしわ疵が発生した。(試験No. 11、22、23、33〜35参照)なお、これらの管内面には、延伸比が1.8であるにもかかわらず、被れ疵が発生していた。

0099

また、フェライト含有量が40体積%未満になる温度に素材ビレットを加熱して穿孔圧延を行った場合には、その圧延中、圧延ロールに対する冷却水の供給を停止したにもかかわらず、管外面に深さが0.3mm以上の深い被れ疵が発生し、かつ工具(ガイドシュー)との焼付き疵や後工程の圧延時に発生するロール疵が多く発生した(試験No. 12、24、36参照)。

0100

これに対し、フェライト含有量が本発明で定める範囲内になる温度に素材ビレットを加熱して穿孔圧延を行った場合には、その圧延中、圧延ロールに供給付着した冷却水を除去しない場合において管外面に深さの若干深い被れ疵が発生するのみであった。

0101

(実施例2)実施例1における試験No. 32を基本条件とし、長さ2000mmの素材ビレットを用いてピアサーとエロンゲターでの延伸比を種々変化させて穿孔圧延とこれに引き続く延伸圧延を行った。そして、それぞれの圧延機による圧延後の管内面の被れ疵の発生状況を目視検査により調べ、管内面の何処にも被れ疵の発生が認められなかった場合を○、管内面の一部でも被れ疵の発生が認められた場合を×として評価した。その結果を、表5に示した。

0102

0103

表5に示す結果から明らかなように、ピアサーもしくはエロンゲータのいずれか一方の延伸比を3.0を超える値に設定して圧延を行った場合には、管内面に被れ疵が発生した。これに対し、ピアサーとエロンゲータの延伸比をともに3.0以下に設定して圧延を行った場合には、管内面に被れ疵は全く発生しなかった。

0104

なお、この場合、いずれの条件においても、管外面にしわ疵と被れ疵の発生は認められなかった。

0105

(実施例3)実施例2と同様の圧延試験を、所謂マンネスマン−マンドレルミル方式を用いて行った。すなわち、ピアサー圧延後のホローシェルをエロンゲータで延伸圧延することなく、非傾斜ロール式の管圧延機であるマンドレルミルに供して延伸圧延を行うに当たり、ピアサーでの延伸比とマンドレルミルでの延伸比を種々変えて圧延を行い、管内面の被れ疵の発生状況を実施例2と同じ方法によって調べた。

0106

なお、穿孔圧延は、ゴージ部直径1150mm、長さ700mmで、入側端と出側端の直径がそれぞれ1113mmと1107mmのバレル型の圧延ロールを備え、圧延ロールの傾斜角度が12゜のピアサーを用い、圧延ロールを95rpmで回転させ、その圧延中、圧延ロールに対する冷却水の供給を停止して行った。 また、延伸圧延は8スタンドの2ロール式マンドレルミルを用いて行った。

0107

さらに、素材ビレットとしては、実施例1における試験No. 32と同様のビレットを1270℃に3時間均熱加熱してから穿孔圧延に供した。

0108

管内面の被れ疵の調査結果を、表6に示した。

0109

0110

表6に示す結果から明らかなように、ピアサーでの延伸比が3.0を超える場合には管内面に被れ疵が発生したが、3.0以下の延伸比では管内面に被れ疵は発生しなかった。

0111

また、マンドレルミルでの延伸比が3.0を超えても、管内面に被れ疵は発生しなかった。これは、ピアサーおよび傾斜ロール式の管圧延機(エロンゲータ)以外の管圧延機においては、その加工度が管内面の被れ疵の発生に何らの影響も及ぼさないことを示している。すなわち、マンドレルミルによる延伸圧延は、長さが素管よりも長く、温度が常温あるいは高くても200℃までのマンドレルバーを管内に挿入して行われるので、管内面側の温度が上昇することはなく、むしろ低下するためである。

0112

なお、この場合も、上記実施例2と同様に、いずれの条件においても、管外面にしわ疵と被れ疵の発生は認められなかった。

発明の効果

0113

本発明の方法によれば、Wを1.5%超、5%以下と多く含むことからより高耐食であり、かつ管外面のしわ疵と被れ疵は勿論、管内面の被れ疵のない高品質な二相ステンレス鋼製の継目無鋼管を得ることができる。

図面の簡単な説明

0114

図1加熱温度とフェライト含有量との関係を示す図である。
図2加熱温度と高温延性との関係を示す図である。
図3圧延ロールの冷却態様と冷却水の除去態様の一例を示す図である。
図4ワイパーの具体的構成例を示す図である。

--

0115

1、1’:圧延ロール、
2 :プラグ、
3、3’:ガイドシュー、
4、4’:冷却水供給用ノズル、
5、5’:エアースプレーノズル、
6、6’:ワイパー、
H :ホローシェル。

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