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技術 調質圧延方法

出願人 住友金属工業株式会社
発明者 松浦征浩伊澤真也
出願日 1996年3月19日 (24年9ヶ月経過) 出願番号 1996-062592
公開日 1997年9月30日 (23年2ヶ月経過) 公開番号 1997-253707
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 圧延ロール・圧延スタンド・圧延機の駆動 圧延機に特に連結された素材の表面処理装置
主要キーワード 超高速度 目標合 導入液 噴射用ノズル 外側ノズル 内側ノズル 油膜厚 目標光沢度
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重要な関連分野

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図面 (6)

課題

タンデム式圧延機により調質圧延する際、潤滑状態切り替えが極めて容易で、しかも高伸び率圧延でも光沢度に優れた鋼帯を安定して製造することのできる調質圧延方法を提供する。

解決手段

焼鈍した冷延鋼帯をタンデム式圧延機で調質圧延する方法であって、調質圧延油気体と混合して平均粒径で30μm以下の液滴として霧状に噴射するためのノズル各圧延機入り側に設置し、各圧延機のノズル毎に噴射量を調整して圧延することを特徴とする調質圧延方法。

概要

背景

冷間圧延されたステンレス鋼帯には、焼鈍した後必要により酸洗処理を行い、伸び率0.5〜1.5%程度の調質圧延が施される。調質圧延の目的は焼鈍後のステンレス鋼帯の降伏点伸びの低減、形状矯正、光沢の付与等であるが、ステンレス鋼帯では特に光沢の付与に主眼がおかれている。

また、飲料缶食缶に用いられるブリキ原板低炭素鋼板)は、焼鈍した冷延鋼帯を調質圧延により目標硬度表面光沢仕上げられる。しかし、これらの表面性状には厳しい要求がなされる。特に表面の硬度に対しては、JISによりロックウエル硬さが規定されているため、調質圧延において低伸び率から高伸び率圧延が必要となり、2スタンドタンデム式圧延機により調質圧延がなされている。

ステンレス鋼帯の調質圧延には、圧延時に圧延油を用いないドライ圧延方式が採用されている。潤滑剤として圧延油を用いるウェット圧延方式では、圧延後のステンレス鋼帯表面の光沢度が低下するためである。ドライ圧延方式では、ロール表面摩耗粉異物が付き易く、それを除去し易い大径ロールを用いた2Hiの圧延機が多く用いられている。このドライ圧延は、非常に平滑にロール表面を研磨した大径のワークロールでステンレス鋼帯に0.5〜1.0%程度の伸び率となる圧延を施し、ロール表面の平滑面を鋼帯転写し、かつ大径ロールによる長い接触弧長でより一層光沢を向上させるものである。

ところが、ドライ圧延方式によって調質圧延を行うと、完全なドライ圧延方式では、ロールとステンレス鋼帯との摩擦係数が高くなりすぎ高伸び率圧延が不可能になる。ドライ圧延方式では、ウエット圧延方式のような圧延油によるロールおよびステンレス鋼帯の清浄効果が期待できないため、ロール疵が発生し易く歩留まりを低下させる、等の問題がある。

そのため、現状のドライ圧延方式では、1パス当たりの圧下量を少なくした調質圧延が行われており、生産性の低下を余儀なくされている。

そこで、ドライ圧延方式での問題点を解消するために、圧延油を使用するウェット圧延方式の適用が検討されている。ウェット圧延方式は、潤滑剤として圧延油を用いるため、圧延性が向上すると共に圧延油による清浄機能が働き、ロールや材料に付着している汚れ、異物を取り除くことで疵の発生を防止することができるという利点がある。

特公昭57-39842 号公報には、調質圧延の第1パスを伸び率0.1〜 0.5%のドライ圧延後、第2パス以降をウェット圧延を行うステンレス鋼帯の調質圧延方法が、特開平4-333303号公報には、調質圧延の第1パスをウェット圧延、第2パス以降をドライ圧延とするステンレス鋼帯の調質圧延方法が開示されている。

しかし、上記2件の発明は、単に従来からのドライ圧延方式とウェット圧延方式を組み合わせた複数パスでの調質圧延を前提としており、生産性の低下は避けられない。また、一つの圧延機で複数パスの圧延を行う場合はドライ圧延方式とウェット圧延方式の切り替えが困難である。

大きな問題として、従来から普通鋼に適用されているウェット圧延方式を適用した場合に、上述したようなドライ圧延方式による光沢向上のメカニズム阻害され、光沢が著しく劣化することである。

特開昭56ー74303号公報には、ワークロールの後面において、上下のワークロールとバックアップロールとの間に圧延油を噴射し、さらに上部圧延油噴射ヘッダーから噴射した圧延油を、水切り片を持った水切りによってワークロールの両サイドに流出させる鋼帯のウェット調質圧延方法が開示されている。

しかし、水切り片をワークロールに押圧するので疵が付き易い。また、ロール振動等で水切り片とワークロール間に隙間が生じ易く、部分的に潤滑過多不足が生じる。その結果、鋼帯表面油膜厚さが変動して光沢ムラとなり、商品価値が低下するといった問題がある。さらに、ステンレス鋼帯の調質圧延機は一般に上下にワークロールのみを有する2Hiミルが多く、この方法は適用できない。

前記ブリキ原板の調質圧延では、伸び率が1、2%の軽圧下率から20数%の高圧下率の圧延が必要であるため、2スタンドのタンデム式圧延機が用いられており、目標伸び率によって潤滑状態を変える必要がある。具体的には、低伸び率の調質圧延ではドライ圧延とし、中間の伸び率の調質圧延では、摩擦係数の比較的高い潤滑油または低濃度の潤滑油を用い、20%以上の最も高い伸び率での調質圧延では、摩擦係数の低い潤滑油または高濃度の潤滑油を用いなければならない。そのため、ドライとウエットの切り替え、潤滑油の油質や濃度の切り替えが必要となる。この切り替えには、洗浄装置や二つのタンクと二系統配管が必要となり、大がかりな設備となるうえ、ロール替えも必要となり、生産性の低下の原因になっていた。

概要

タンデム式圧延機により調質圧延する際、潤滑状態の切り替えが極めて容易で、しかも高伸び率圧延でも光沢度に優れた鋼帯を安定して製造することのできる調質圧延方法を提供する。

焼鈍した冷延鋼帯をタンデム式圧延機で調質圧延する方法であって、調質圧延油気体と混合して平均粒径で30μm以下の液滴として霧状に噴射するためのノズル各圧延機入り側に設置し、各圧延機のノズル毎に噴射量を調整して圧延することを特徴とする調質圧延方法。

目的

本発明は、タンデム式圧延機で調質圧延する際、潤滑状態の切り替えが極めて容易で、しかも表面の光沢度に優れた鋼帯を安定して効率よく製造することのできる調質圧延方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

焼鈍した冷延鋼帯タンデム式圧延機調質圧延する方法であって、調質圧延油気体と混合して平均粒径で30μm以下の液滴として霧状に噴射するためのノズル各圧延機入り側に設置し、各圧延機のノズル毎に噴射量を調整して圧延することを特徴とする調質圧延方法

技術分野

0001

この発明は、冷延鋼板降伏点伸びの低減、形状矯正表面光沢の付与を目的として行われる調質圧延方法に関する。

背景技術

0002

冷間圧延されたステンレス鋼帯には、焼鈍した後必要により酸洗処理を行い、伸び率0.5〜1.5%程度の調質圧延が施される。調質圧延の目的は焼鈍後のステンレス鋼帯の降伏点伸びの低減、形状矯正、光沢の付与等であるが、ステンレス鋼帯では特に光沢の付与に主眼がおかれている。

0003

また、飲料缶食缶に用いられるブリキ原板低炭素鋼板)は、焼鈍した冷延鋼帯を調質圧延により目標硬度、表面光沢に仕上げられる。しかし、これらの表面性状には厳しい要求がなされる。特に表面の硬度に対しては、JISによりロックウエル硬さが規定されているため、調質圧延において低伸び率から高伸び率圧延が必要となり、2スタンドタンデム式圧延機により調質圧延がなされている。

0004

ステンレス鋼帯の調質圧延には、圧延時に圧延油を用いないドライ圧延方式が採用されている。潤滑剤として圧延油を用いるウェット圧延方式では、圧延後のステンレス鋼帯表面の光沢度が低下するためである。ドライ圧延方式では、ロール表面摩耗粉異物が付き易く、それを除去し易い大径ロールを用いた2Hiの圧延機が多く用いられている。このドライ圧延は、非常に平滑にロール表面を研磨した大径のワークロールでステンレス鋼帯に0.5〜1.0%程度の伸び率となる圧延を施し、ロール表面の平滑面を鋼帯転写し、かつ大径ロールによる長い接触弧長でより一層光沢を向上させるものである。

0005

ところが、ドライ圧延方式によって調質圧延を行うと、完全なドライ圧延方式では、ロールとステンレス鋼帯との摩擦係数が高くなりすぎ高伸び率圧延が不可能になる。ドライ圧延方式では、ウエット圧延方式のような圧延油によるロールおよびステンレス鋼帯の清浄効果が期待できないため、ロール疵が発生し易く歩留まりを低下させる、等の問題がある。

0006

そのため、現状のドライ圧延方式では、1パス当たりの圧下量を少なくした調質圧延が行われており、生産性の低下を余儀なくされている。

0007

そこで、ドライ圧延方式での問題点を解消するために、圧延油を使用するウェット圧延方式の適用が検討されている。ウェット圧延方式は、潤滑剤として圧延油を用いるため、圧延性が向上すると共に圧延油による清浄機能が働き、ロールや材料に付着している汚れ、異物を取り除くことで疵の発生を防止することができるという利点がある。

0008

特公昭57-39842 号公報には、調質圧延の第1パスを伸び率0.1〜 0.5%のドライ圧延後、第2パス以降をウェット圧延を行うステンレス鋼帯の調質圧延方法が、特開平4-333303号公報には、調質圧延の第1パスをウェット圧延、第2パス以降をドライ圧延とするステンレス鋼帯の調質圧延方法が開示されている。

0009

しかし、上記2件の発明は、単に従来からのドライ圧延方式とウェット圧延方式を組み合わせた複数パスでの調質圧延を前提としており、生産性の低下は避けられない。また、一つの圧延機で複数パスの圧延を行う場合はドライ圧延方式とウェット圧延方式の切り替えが困難である。

0010

大きな問題として、従来から普通鋼に適用されているウェット圧延方式を適用した場合に、上述したようなドライ圧延方式による光沢向上のメカニズム阻害され、光沢が著しく劣化することである。

0011

特開昭56ー74303号公報には、ワークロールの後面において、上下のワークロールとバックアップロールとの間に圧延油を噴射し、さらに上部圧延油噴射ヘッダーから噴射した圧延油を、水切り片を持った水切りによってワークロールの両サイドに流出させる鋼帯のウェット調質圧延方法が開示されている。

0012

しかし、水切り片をワークロールに押圧するので疵が付き易い。また、ロール振動等で水切り片とワークロール間に隙間が生じ易く、部分的に潤滑過多不足が生じる。その結果、鋼帯表面油膜厚さが変動して光沢ムラとなり、商品価値が低下するといった問題がある。さらに、ステンレス鋼帯の調質圧延機は一般に上下にワークロールのみを有する2Hiミルが多く、この方法は適用できない。

0013

前記ブリキ原板の調質圧延では、伸び率が1、2%の軽圧下率から20数%の高圧下率の圧延が必要であるため、2スタンドのタンデム式圧延機が用いられており、目標伸び率によって潤滑状態を変える必要がある。具体的には、低伸び率の調質圧延ではドライ圧延とし、中間の伸び率の調質圧延では、摩擦係数の比較的高い潤滑油または低濃度の潤滑油を用い、20%以上の最も高い伸び率での調質圧延では、摩擦係数の低い潤滑油または高濃度の潤滑油を用いなければならない。そのため、ドライとウエットの切り替え、潤滑油の油質や濃度の切り替えが必要となる。この切り替えには、洗浄装置や二つのタンクと二系統配管が必要となり、大がかりな設備となるうえ、ロール替えも必要となり、生産性の低下の原因になっていた。

発明が解決しようとする課題

0014

本発明は、タンデム式圧延機で調質圧延する際、潤滑状態の切り替えが極めて容易で、しかも表面の光沢度に優れた鋼帯を安定して効率よく製造することのできる調質圧延方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明者らは、ドライ圧延に伴う疵の発生を防止し、かつウェット圧延に伴う光沢不良を改善するため種々実験、検討を重ねた結果、下記の知見を得た。

0016

通常のウェット圧延方式ではロールバイト部に液溜まりができるため、調質圧延油(以下圧延油と記す)の種類や圧延条件の変更でロールと鋼帯の間の液膜厚さを調整することはできないので、ウエット圧延方式では表面光沢の改善は困難である。

0017

従来のドライ圧延方式に代えて極少量の圧延油を供給することにより、ロールと鋼帯間の油膜極薄にするとドライ圧延方式並みの高光沢が得られる。

0018

さらに、圧延油を霧状とし、かつその液滴径を規定することで均一な極薄油膜とすることができ高光沢が得られる。

0019

タンデム式圧延機での調質圧延で、圧延油を霧状にして上記極薄油膜を得るためのノズル各圧延機入り側に設置し、噴射量を各圧延機毎に制御するだけで、圧延油の質、濃度の切り替えが必要でなくなり、低伸び率から高伸び率の圧延が可能となる。

0020

本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は、「焼鈍した冷延鋼帯をタンデム式圧延機で調質圧延する方法であって、調質圧延油を気体と混合して平均粒径で30μm以下の液滴として霧状に噴射するためのノズルを各圧延機の入り側に設置し、各圧延機のノズル毎に噴射量を調整して圧延することを特徴とする調質圧延方法」にある

発明を実施するための最良の形態

0021

従来の調質圧延に適用されていたドライ圧延方式をウェット圧延方式に変更することにより、ロールとステンレス鋼帯との摩擦係数が低下し、1パス当たりの圧下量を大きくすることができる。しかし、前記のようにウェット圧延方式では光沢度が低下する。

0022

そこで、光沢を維持し、かつ生産性を向上させるためには、ワークロールと鋼帯間の圧延油膜厚さを制御することが必要である。しかし、通常のウェット圧延方式ではロールバイト入口部に液溜まりができるため、圧延油の種類や圧延条件の変更でロールと鋼帯の間の液膜厚さを調整することができない。その理由を以下に説明する。

0023

図2は、通常のウェット圧延中における圧延油の状態を示す側面断面図である。同図に示すように、圧延機入り側に設けたノズル4から圧延油5が鋼帯表面に噴射され、ロールバイト8入口部のワークロール1と鋼帯3で形作られる楔状になった部分に圧延油の油溜まり9が形成され、ワークロール1と鋼帯3の間で絞られた圧延油が実際のロールバイト内に導入される。

0024

「冷間圧延に関する実験」(塑性と加工、vol.7、No.66(1966)、p383)にも記載されているように、ロールバイト内に導入される圧延油の量は、流体力学的に、ワークロールと鋼帯の速度、ワークロール径、圧延油の粘度に支配されており、入口での膜厚パラメーターtd で表すと下記(1)式となる。

0025

td ={η(UR +US )}/ αP (1)
ここで、td :圧延油の膜厚パラメーター
η :圧延油の粘度
UR :ワークロールの周速
US :鋼帯の速度
α :咬み込み角度で、下式で求まる(α=(Δh/R)1/2 、Δh:圧下量、R:ロール径
P :鋼帯の変形抵抗
これから、圧延油の粘度以外は圧延条件によって決まってしまい、圧延油の量を調節しても膜厚には影響しない。

0026

ところで、調質圧延に使用される圧延油は、通常の冷間圧延に用いられる圧延油に比べ極端に粘度が低いものが用いられている。一般的には圧延油を数%含む水溶液として使用されるため、実際の粘度は水と変わらない程度となっており、圧延油の粘度を調整して膜厚(膜厚パラメーターtd )を制御することもできない。したがって、通常のウェット圧延方式を調質圧延に適用する限り圧延油の膜厚の調整は事実上不可能といえる。

0027

鋼帯の調質圧延にウェット圧延方式を適用した場合に生じる光沢不良の解決には、極薄い圧延油の液膜を形成して調質圧延を行うことが有効である。しかし、ロールバイト入口部に液溜まりができると上記のように液膜の厚さ制御は不可能になる。そこで、流体力学的に支配される導入液量より少ない液量で圧延油を供給することで極薄液膜を形成することができる。

0028

しかし、通常の圧延油をスプレーする方法では、仮に流量を絞って供給しても板幅方向にむらなく圧延油を塗布するためには、相当量の圧延油を供給することが必要なため、ロールバイト入口部に液溜まりが発生するのを避けることはできなかった。

0029

図3は、通常のスプレー法で圧延油を供給した場合の圧延油の分布状況を示す斜視図である。同図は圧延機の入側から見た図であるが、ワークロール1と鋼帯3の間で絞られた圧延油5が調質圧延時に流体力学的にロールバイト内に導入される時の液膜厚さは数μm程度である。これより薄い液膜厚さを鋼帯全幅で形成するためには、ロールバイト入口部で数μm以下の液膜を鋼帯全幅に亘って均一に形成しなければならない。しかし、通常の圧延油を直接スプレーする方法では、圧延油5は(a)のようにロール入り側に油溜まりができ液状で広がり、板幅端部から一部が流れ落ちる。そのため、過不足なく板幅方向に均一厚みを達成することは不可能である。また、薄油膜化するため極端に圧延油の液量を少なくすれば、(b)のように板幅方向で圧延油5が供給されない部分が発生し、かえって製品品質や生産性を損ねる結果となる。

0030

それに対して、本発明者らは極薄液膜を形成する圧延油の供給方法について種々検討した結果、圧延油を気体と混合し、液滴径を規定した圧延液を霧状に噴射することで、鋼帯表面に極薄油膜を形成できることを確認した。

0031

図4は、本発明方法に使用するノズルの例を示す断面図である。内部に圧延油5を噴射する内側ノズル11、その外周に気体を噴射する外側ノズル12を有する2重構造のノズルで、圧延油と気体をノズル内で混合し、霧状の圧延油液滴6を噴射させることができる。

0032

圧延油と気体は各々流量および圧力調整が可能なポンプにより供給される。このような2重構造を持ったノズルを用いて圧延油と気体を同時に噴射すると、圧延油は気体圧液圧、すなわちノズル径が一定の場合は、気体流量液流量に応じた大きさの微細な球形の液滴からなる圧延油液滴となり、大気中に霧状に噴射される。

0033

ここで、圧延油とは、調質圧延時のロールと鋼帯との潤滑に用いられる液であり、通常は有機系潤滑剤を数%の濃度で水と混合させた水溶液が用いられる。また、圧延油と混合される気体には通常は空気が用いられる。

0034

図5は、気体流量と圧延油の流量を変化させた時の液滴径の変化を示す図である。この図から、気体流量と圧延油の流量を変更して、気体圧と液圧を調整することにより液滴の大きさを自由に制御することができる。極端に液流量を絞ればサブミクロンの大きさまで調節が可能である。霧状に噴射された液滴は、一定の付着効率のもとで鋼帯表面に点々と付着して各々一定面積に広がる。広がった液滴は、圧延中に更にロールと鋼帯の間で絞られ、当初の液滴径の数分の1〜数十分の1の厚さの液膜となる。

0035

また、圧延中の圧延油の流量や液滴径の調整は、基本的に液圧と気体圧の調整により行うが、これ以外の流量の調整方法として、鋼帯−ノズル間距離、ノズルの迎え角を変化させる方法がある。これは、霧状に噴射した圧延液は微細な液滴となり、一定の付着効率で鋼帯上に付着するが、その付着効率を変化させることにより制御するものである。付着効率とは、ノズルから噴射された液滴の量と、実際に鋼帯上に付着した液滴の量の比を表すものである。ノズルから噴射された液滴は一定の速度を持っているが、ノズルからの距離に応じてその速度を減じ、液滴の付着性は液滴径と鋼帯への衝突速度に影響されるため、鋼帯−ノズル間距離により付着効率が変化する。

0036

さらに、圧延中は鋼帯も速度を持ち、ノズルの迎え角を変化させると液滴と鋼帯との相対速度も変化する。したがって、ノズルの迎え角も鋼帯への付着性を支配している。しかし、これらの鋼帯−ノズル間距離やノズルの迎え角は付着量制御方法としては、応答性が遅く圧延中の鋼帯の速度変化等には追随できない場合が多いため、これらの制御方法補助的に用いるのが適当である。

0037

図1は、本発明の調質圧延方法を説明するための側面図である。これは、上下にワークロール1とバックアップロール2を有する4Hi圧延機の2スタンドタンデム式圧延機を用いた例である。各圧延機の入側にノズル4を設置し、各々のノズル4に、液流量と気体流量を調整できるポンプにより圧延油及び気体を供給して霧状の圧延液を鋼帯の表面および裏面に噴射する。

0038

圧延油の液流量は、ノズル径の他に液圧や気体圧によって制御可能であり、圧延速度や目標とする潤滑状態に応じて適正に選択する。噴射された液滴の鋼帯表面への広がりは、ノズル4の開口角度および鋼帯3とノズル4との距離により決まるが、板幅方向の分布ムラを避けるためには、板幅方向に複数のノズル4を設置し、広がった圧延液が隣接するノズルからの圧延油と一部ラップする程度に、鋼帯とノズルの距離、ノズル開口角度やノズル個数を決めるのがよい。

0039

また、ロールバイト入口部に液溜まりが形成されない条件は、圧延速度等の圧延条件に応じて圧延油の流量(鋼帯への圧延油の付着量)を調整することで達成されるが、表面性状を美麗に保つためにはこれだけでは不十分である。圧延油の付着量が一定の場合を考えると、液滴径が小さければ液滴の数が多くなり、薄くかつ均一な液膜を形成することができるが、液滴径が大きくなると液滴同士の間隔が広くなりすぎ、液滴がロールと鋼帯の間で絞られても完全に板面全体には圧延油が広がらない。すなわち、ある一部に非常に液膜の厚いところができそのまわりには全く圧延油の行きわたらない部分ができてしまう。このような状態のまま圧延すると圧延油の有るところは、液膜が厚すぎてオイルピット状の欠陥ができ、製品自体斑模様ができてしまうことになる。

0040

すなわち、後の実施例で説明するが、液滴の平均径が30μmより大きい場合に、ロールバイト入口部で液溜まりができないように液流量を調整して調質圧延を行った場合は、鋼帯上に斑模様が発生してしまった。したがって、このような斑模様をなくし美麗な表面性状を得るためには、圧延油を気体と混合して霧状に噴射する圧延油液の液滴は、平均粒径で30μm以下にする必要がある。

0041

また、特に液滴が平均径で20μm以下の時には、ロールバイト入口部で液溜まりができないように圧延油の液流量を調整する範囲が広くなるため、より安定した調質圧延が可能である。

0042

なお、圧延油液滴の平均粒径を求める方法は、圧延油を空気中に噴射し、空気中を飛行している状態を超高速度(約25万分の1秒)で写真撮影し、写真上の粒子径を測定するか、画像処理装置等を使用し、自動的に測定して粒径分布を得る等の方法がある。空気の圧力と流量及び圧延油の圧力と流量とを一定にしたときに生成できる粒の平均粒径は一定となるので、ノズル毎に噴射条件と平均粒径をあらかじめ求めておくのがよい。

0043

圧延油と気体を混合して平均径で30μm以下の液滴とした圧延液を鋼帯に霧状に吹き付ける位置は、調質圧延機入側の鋼帯表面やロール表面とするのがよい。鋼帯表面に微細な液滴を均一に吹き付けることで、圧延液がロールと鋼帯との間で絞られても均一で薄い液膜を形成することができる。一方、圧延液をワークロール表面に吹き付けた場合は、吹き付ける位置によっては、液滴がロールと鋼帯がかみ合う部分に到達する時点でロールに吹き付けた微細な液滴が凝集して大きな液滴となる。したがって、均一で薄い液膜とならない場合もあり、微細な液滴として極薄液膜を鋼帯表面に均一に形成させるという効果が低下するおそれがある。そのため、圧延液を吹き付ける位置を調質圧延機入側の鋼帯表面とするのが好ましい。

0044

このように、圧延油流量を制御可能な圧延油噴射装置(ノズル)をタンデム式圧延機の各圧延機入側に配置することにより、スタンド毎の最適な伸び率、圧延荷重、表面性状を選択することが可能となる。疵の減少と高光沢を両立させるためには、第1スタンドでは流量をやや多くし、鋼帯により持ち込まれた異物を洗浄し、第2スタンド以降では全く圧延油を供給しないで、鋼帯表面に残った油のみで圧延することもできる。

0045

通常、同一設備で異なったサイズ、材質の鋼帯を圧延することが多く、従来の潤滑方法では、過剰にロールに付着した圧延油のため、材質変更に際し、ロール替えを伴うことがあった。しかし、本発明の方法によれば、必要最小限度の圧延油しか供給しておらず、ロールに余剰な油が残ることはない。しかし、極端に強圧下するため十分な流量を供給した後に、極少量の圧延油で高光沢圧延を連続して実施する場合もあり、このようなスケジュールの場合には、ロール表面の余剰な圧延油を除去する方法として真空吸引装置を内蔵したロールをワークロールに圧接して使用することが有効である。また、ハウジング等に飛散した油が出側において鋼帯上に落下するような場合にはスタンド間で真空吸引装置を内蔵したロールを鋼帯に圧接させることもできる。逆に、表面性状より強圧下が必要な材質の場合は、第1スタンドから十分な圧延油を供給すると、第2スタンド以降で更に強圧下することができる。

0046

なお、本発明は、鋼帯の高光沢圧延を主としたものであり、特に高い光沢を要求される2パス以上の圧延に適用するもので、タンデム式圧延機を用いることにより高能率で圧延ができる。したがって、スタンド数は必要パス回数で決めればよい。なお、ミル形式は特に限定するものでなく、2Hi圧延機や4Hi以上のロールを持つ圧延機でよい。ステンレス鋼の調質圧延機としては大径2Hi圧延機が主流であり、また高圧下率の圧延が必要なブリキ原板の製造には4Hiまたは6Hiが適している。

0047

(実施例1)図1に示すような4Hi圧延機の2スタンドタンデム式の調質圧延機を用いて、板厚0.6mm、板幅1000mmのフェライト系ステンレスSUS430の焼鈍材を以下に示す条件で調質圧延した。

0048

ワークロール直径 : 500mm
ロール表面粗度: Ra0.01μm
圧延速度: 150m/min
ノズル口径: 0.5mm
圧延油圧 : 1.2kgf/cm2、
空気圧: 2.5kgf/cm2
圧延油流量: 120cc/min
ノズルは、図4に示す構造のものを用い、圧延油は有機系調質圧延油を10%含む水溶液を用いた。

0049

第1スタンド直前で上記条件で圧延油を噴射し、0.5%の伸び率で圧延し、第2スタンドでは圧延油を噴射しないで、鋼帯表面に僅かに残った圧延油で1.0%の伸び率で圧延した。

0050

比較例として、第1スタンド入り側で通常のスプレーで上記と同じ圧延油を20l/minで塗布し、第2スタンドでは圧延油を供給せずに圧延した。さらに、第1スタンド、第2スタンドとも圧延油を使用しないドライ圧延も行った。

0051

圧延は、各条件とも第1スタンドのみでの圧延と、第1、第2スタンドでの圧延との2工程にし、各圧延後の鋼帯の表面の光沢度をそれぞれ測定した。

0052

本発明の方法で調質圧延した場合、圧延前の鋼帯表面光沢度(長さ方向に対し45°の方向での光沢度)は450であったものが、第1スタンドのみで圧延した鋼帯の光沢度は650となり、第1、第2スタンドで圧延した鋼帯の光沢度は720に向上した。

0053

また、比較例の場合では、光沢度は第1スタンドのみで圧延した場合は380と圧延前より低下し、第1、第2スタンドで圧延した場合でも520までしか向上しなかった。また、ドライ圧延では光沢度は各々670、750と向上したが、1コイルの圧延中に材料に疵が多発し、不良品となった。

0054

(実施例2)板厚が0.3mm、板幅1200mmのフェライト系ステンレス鋼SUS430の鋼帯を焼鈍後、第1スタンド、第2スタンド共直径600mmのワークロールを有する2スタンドダンデム圧延機を用いて、圧延速度200m/min、ロール粗度Ra0.02μmの鏡面研磨ロールにて表1に示す条件で圧延を行った。目標合計伸び率を4%、光沢度を45°方向で600とした。

0055


ID=000003HE=090 WI=139 LX=0355 LY=0700

0056

圧延油噴射用ノズルは、実施例1と同じものを使用した。

0057

本発明方法として、第1、第2スタンドとも圧延油を供給した場合、第1スタンドのみ圧延油を供給した場合、および第2スタンドのみ圧延油を供給した場合の3種類実施した。

0058

また、比較例としては、第1スタンドでは通常のスプレイで圧延油を供給し、第2スタンドでは圧延油を供給しない場合と、0.3l/minと少量にした場合、および第1、第2スタンドともドライ圧延の場合について調質圧延を行った。また、圧延油の平均液滴が30μmを超えた状態での圧延も行った。

0059

なお、第1スタンドで圧延油を供給し、第2スタンドでは供給しないで圧延した場合の第2スタンドでの圧延は、第1スタンドで圧延後の鋼帯表面に圧延油が残存した状態で圧延したものである。

0060

第1、第2スタンドで2パス圧延した各鋼帯について、伸び率、光沢度を測定するとともに、表面疵目視により観察した。結果を表1に示す。

0061

同表より明らかなように、本発明の方法では、2スタンドで目標伸び率4%が得られ、かつ光沢度も600を超え、目的の表面性状が得られた。しかし、比較例では、どの場合も疵の発生、光沢不良、伸び率不足等何らかの不具合が生じる結果となった。

発明の効果

0062

本発明方法によれば、圧延油を空気と混合し、微細な霧状に噴射するノズルを複数スタンドの各圧延機の入り側に設置して、各圧延機毎に圧延油の流量を調整することにより、疵の発生が無く、ドライ圧延並の高光沢の鋼帯の製造が可能となる。また、異なる鋼種目標光沢度製品に対して最適の伸び率、光沢を付与することができ、潤滑条件を変える場合に油質、濃度を変える必要がないため、連続して、直ちに目標潤滑状態に変更ができ生産性が向上する。

図面の簡単な説明

0063

図1本発明の調質圧延方法を説明するための圧延状態の側断面概要図である。
図2通常のウエット圧延の圧延機入口部の圧延油導入のメカニズムを示す図である。
図3通常のスプレー法で圧延油を供給した場合の圧延油の状態を示す図である。
図4本発明の方法に使用するノズルの構造を示す縦断面図である。
図5液圧と気圧を変化させて噴射したときの圧延油の平均液滴径と流量との関係を示す図である。
符号の簡単な説明
1:ワークロール2:バックアップロール3:鋼帯4:ノズル5:圧延油11:内側ノズル12:外側ノズル

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