図面 (/)

技術 発酵飲食品の製造方法

出願人 カゴメ株式会社
発明者 高見澤一裕深谷哲也坂本秀樹古田義也
出願日 1996年2月23日 (24年10ヶ月経過) 出願番号 1996-036872
公開日 1997年9月2日 (23年4ヶ月経過) 公開番号 1997-224650
状態 特許登録済
技術分野 調味料 微生物、その培養処理
主要キーワード 発酵原料液 発酵原液 初発菌数 ヘッドスペース法 対象菌 大豆蛋白加水分解物 発酵飲食品 パネラー全員
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1997年9月2日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

調味用ソース等の発酵飲食品をβ−フェネチルアルコール含量の高い香味のよい製品として製造する方法及びそれに用いるアルコール発酵に際して高いβ−フェネチルアルコール生産能を示す酵母を提供する。

解決手段

β−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母を、調味用ソースの発酵原料に作用させてアルコール発酵を行い、得られる発酵液を配合して調味用ソースを製造する。また、上記性質を有する酵母を発酵飲食品の発酵原料に作用させアルコール発酵を行う工程を含む発酵飲食品の製造方法において、前記酵母として、サッカロマイセスセレビジェ(Saccharomyces cerevisiae)KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003から選ばれる酵母を用いる。

概要

背景

酵母を用いた発酵飲食品の製造においては、酵母の酵素反応によるアルコール発酵過程エタノールとともにエタノール以外のアルコール類エステル類アルデヒド類のような様々の香味成分が生成されていることが知られている。発酵飲食品においては、この様なアルコール発酵の過程で生成される香味成分が製品中で重要な要素を占めている。このため、酵母を用いたアルコール発酵において香味成分を効率よく生産させようとする研究が数多くなされている。例えば、イソアミルアルコールイソブチルアルコール、β−フェネチルアルコールあるいは2−メチル−1−ブタノール等の生産能がそれぞれ高い酵母を用いた発酵飲食品の製造方法等が提案されている。

これらの中でも、芳香族アルコールのひとつで薔薇様の香りを有するβ−フェネチルアルコールを生産する能力が高い酵母については、これまでにサッカロマイセス属に属するフルオロフェニルアラニン耐性の酵母からサッカロマイセスセレビジェF44(FERM BP−2025)等が得られており、これが日本酒等の製造に用いられた例(特開平2−92265号公報)が知られている。

しかし、この様なβ−フェネチルアルコールを生産する能力が高い酵母を調味用ソースの製造に用いた例はこれまでに知られていない。つまり、調味用ソースの製造方法においては、アルコール発酵により得られる各種香味成分を含有する香味の高い調味用ソースを得ることを目的として、アルコール発酵が関与した製造方法、例えば、野菜処理物果実処理物、あるいは糖類等をアルコール発酵した発酵液とその他原料成分とを混合する方法が提案されてきた(特公昭57−28538号、特公昭57−42302号、特開昭56−169563号、特開昭58−5164号、特開昭58−5165号、特開昭63−116675号、特開平4−173071号)が、これらの方法では酵母として、香味成分、特にβ−フェネチルアルコールの生産能の高い酵母を用いているわけではなかった。そのため、アルコール発酵により生産される香味成分が十分でなく、したがって得られる調味用ソースの香味を十分に改善していないという問題があった。

さらに、上記の様なこれまでに知られているβ−フェネチルアルコール高生産性の酵母においても、それが有するβ−フェネチルアルコールの生産能は、発酵飲食品に香味を付与するという点でまだ満足のいくものではなかった。

そこで、β−フェネチルアルコールによる香味を十分に有する香味の高い発酵飲食品、特に、調味用ソースの製造方法や、それに用いるアルコール発酵時のβ−フェネチルアルコール生産能が十分に高い新規な酵母についての研究、開発が望まれていた。

概要

調味用ソース等の発酵飲食品をβ−フェネチルアルコール含量の高い香味のよい製品として製造する方法及びそれに用いるアルコール発酵に際して高いβ−フェネチルアルコール生産能を示す酵母を提供する。

β−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母を、調味用ソースの発酵原料に作用させてアルコール発酵を行い、得られる発酵液を配合して調味用ソースを製造する。また、上記性質を有する酵母を発酵飲食品の発酵原料に作用させアルコール発酵を行う工程を含む発酵飲食品の製造方法において、前記酵母として、サッカロマイセスセレビジェ(Saccharomyces cerevisiae)KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003から選ばれる酵母を用いる。

目的

本発明は上記観点からなされたものであり、調味用ソース等の発酵飲食品をβ−フェネチルアルコール含量の高い香味のよい製品として製造する方法及びそれに用いるアルコール発酵に際して高いβ−フェネチルアルコール生産能を示す酵母を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

β−フェネチルアルコール生産する能力を有する酵母を、調味用ソース発酵原料に作用させてアルコール発酵を行い、得られる発酵液を配合することを特徴とする調味用ソースの製造方法。

請求項2

前記酵母が、サッカロマイセス属に属し、フルオロフェニルアラニン耐性を有する酵母である請求項1記載の調味用ソースの製造方法。

請求項3

サッカロマイセス属に属し、フルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母を、発酵飲食品の発酵原料に作用させアルコール発酵を行う工程を含む発酵飲食品の製造方法において、前記酵母として、サッカロマイセスセレビジェ(Saccharomycescerevisiae)KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003から選ばれる酵母を用いることを特徴とする発酵飲食品の製造方法。

請求項4

発酵飲食品が調味用ソースである請求項3記載の製造方法。

請求項5

フルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有するサッカロマイセスセレビジェ KGM−96001。

請求項6

フルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有するサッカロマイセスセレビジェ KGM−96002。

請求項7

フルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有するサッカロマイセスセレビジェ KGM−96003。

技術分野

0001

本発明は、発酵飲食品の製造方法及び新規酵母に関し、詳しくは、調味用ソース等の発酵飲食品をβ−フェネチルアルコール含量の高い香味のよい製品として製造する方法及びアルコール発酵に用いた際に高いβ−フェネチルアルコール生産能を示す新規酵母に関する。

背景技術

0002

酵母を用いた発酵飲食品の製造においては、酵母の酵素反応によるアルコール発酵の過程エタノールとともにエタノール以外のアルコール類エステル類アルデヒド類のような様々の香味成分が生成されていることが知られている。発酵飲食品においては、この様なアルコール発酵の過程で生成される香味成分が製品中で重要な要素を占めている。このため、酵母を用いたアルコール発酵において香味成分を効率よく生産させようとする研究が数多くなされている。例えば、イソアミルアルコールイソブチルアルコール、β−フェネチルアルコールあるいは2−メチル−1−ブタノール等の生産能がそれぞれ高い酵母を用いた発酵飲食品の製造方法等が提案されている。

0003

これらの中でも、芳香族アルコールのひとつで薔薇様の香りを有するβ−フェネチルアルコールを生産する能力が高い酵母については、これまでにサッカロマイセス属に属するフルオロフェニルアラニン耐性の酵母からサッカロマイセスセレビジェF44(FERM BP−2025)等が得られており、これが日本酒等の製造に用いられた例(特開平2−92265号公報)が知られている。

0004

しかし、この様なβ−フェネチルアルコールを生産する能力が高い酵母を調味用ソースの製造に用いた例はこれまでに知られていない。つまり、調味用ソースの製造方法においては、アルコール発酵により得られる各種香味成分を含有する香味の高い調味用ソースを得ることを目的として、アルコール発酵が関与した製造方法、例えば、野菜処理物果実処理物、あるいは糖類等をアルコール発酵した発酵液とその他原料成分とを混合する方法が提案されてきた(特公昭57−28538号、特公昭57−42302号、特開昭56−169563号、特開昭58−5164号、特開昭58−5165号、特開昭63−116675号、特開平4−173071号)が、これらの方法では酵母として、香味成分、特にβ−フェネチルアルコールの生産能の高い酵母を用いているわけではなかった。そのため、アルコール発酵により生産される香味成分が十分でなく、したがって得られる調味用ソースの香味を十分に改善していないという問題があった。

0005

さらに、上記の様なこれまでに知られているβ−フェネチルアルコール高生産性の酵母においても、それが有するβ−フェネチルアルコールの生産能は、発酵飲食品に香味を付与するという点でまだ満足のいくものではなかった。

0006

そこで、β−フェネチルアルコールによる香味を十分に有する香味の高い発酵飲食品、特に、調味用ソースの製造方法や、それに用いるアルコール発酵時のβ−フェネチルアルコール生産能が十分に高い新規な酵母についての研究、開発が望まれていた。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は上記観点からなされたものであり、調味用ソース等の発酵飲食品をβ−フェネチルアルコール含量の高い香味のよい製品として製造する方法及びそれに用いるアルコール発酵に際して高いβ−フェネチルアルコール生産能を示す酵母を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、調味用ソースの製造の際に、β−フェネチルアルコール生産能を有する酵母を用いてアルコール発酵を行い得られる発酵液を用いることにより、香味のよい調味用ソースが得られることを見出し、さらに、調味用ソースを含むより香味のよい発酵飲食品を得るために高いβ−フェネチルアルコール生産能を有する酵母を求めて鋭意研究を重ねた結果、サッカロマイセス属に属する酵母の突然変異株より上記性質を示す新規酵母を取得することに成功し、本発明を完成させた。

0009

すなわち本発明は、β−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母を、調味用ソースの発酵原料に作用させてアルコール発酵を行い、得られる発酵液を配合することを特徴とする調味用ソースの製造方法である。

0010

また、本発明はサッカロマイセス属に属し、フルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母を、発酵飲食品の発酵原料に作用させアルコール発酵させる工程を含む発酵飲食品の製造方法において、前記酵母として、サッカロマイセスセレビジェ(Saccharomyces cerevisiae)KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003から選ばれる酵母を用いることを特徴とする発酵飲食品の製造方法を提供する。

0011

さらに、本発明はフルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有するサッカロマイセスセレビジェ KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003を新規菌株として提供するものである。

0012

以下、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明の調味用ソースの製造方法
本発明の調味用ソースの製造方法に用いる酵母は、β−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母であれば特に制限されない。酵母としては、サッカロマイセス属やチゴサッカロマイセス属に属する酵母が挙げられる。サッカロマイセス属に属する酵母として、具体的には、後述するサッカロマイセスセレビジェの各菌株が、また、チゴサッカロマイセス属に属する酵母として、具体的には、チゴサッカロマイセス ルーキシ、より具体的には、チゴサッカロマイセスルーキシFPA69(アクリカチャアント゛ ハ゛イオロシ゛カルケミストリー, 54巻, 273〜274頁に記載)等が挙げられる。

0013

本発明の調味用ソースの製造方法に用いるβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母として、好ましくは、サッカロマイセス属に属し、フルオロフェニルアラニン耐性を有する酵母から、β−フェネチルアルコール生産能を指標として選択された酵母等を挙げることができる。さらに、これらの酵母のうちでもより好ましくは、後述の様にして得られたサッカロマイセスセレビジェKGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96003等のβ−フェネチルアルコール生産能の高い酵母を挙げることができる。

0014

これらの酵母は、従来知られているサッカロマイセス属に属し、フルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコール生産能を有する酵母、例えば、サッカロマイセスセレビジェ F44(FERM BP−2025)等に比べて、特に調味用ソースの製造に用いた場合に、高いβ−フェネチルアルコール生産能を示す酵母である。

0015

なお、調味用ソースの製造において、香味の改善を目的としてβ−フェネチルアルコール生産能を有する酵母を用いた例はないが、上記の公知の酵母であっても、これを調味用ソースの製造に用いることにより、調味用ソースの香味の改善を行うことが可能である。

0016

また、上記サッカロマイセスセレビジェ KGM−96001等の菌株は、高いβ−フェネチルアルコール生産能を有する菌株を得るために、サッカロマイセス セレビジェに属する酵母をフルオロフェニルアラニン耐性を指標としてスクリーニングして得られた菌株であるが、本発明の調味用ソースの製造方法に用いる酵母は、必ずしもフルオロフェニルアラニン耐性を有している必要はなく、上述の様にβ−フェネチルアルコール生産能を有していればよい。そのようなサッカロマイセス セレビジェとして、具体的には、サッカロマイセス セレビジェ K901−T12(日本醸造学会誌, 86巻, 616〜618頁に記載)等が挙げられる。

0017

本発明の調味用ソース、具体的には、ウスターソース、とんかつソース、中濃ソース、こいくちソース等の製造方法においては、まず、上記酵母の少なくとも1種を調味用ソースの発酵原料に作用させる。調味用ソースの発酵原料としては、前記ソースの種類に関係なく、通常アルコール発酵による発酵液を含有する調味用ソースの製造の際に発酵原料として用いられる発酵原料、具体的には、野菜処理物、果実処理物、糖類、アミノ酸液等から適宜選択される1種又は2種以上を挙げることができる。また、発酵原料には発酵原料以外の調味用ソースの原料成分、例えば、食塩食酢香辛料カラメル糊料等を発酵阻害を与えない程度の分量で添加しておくことも可能である。アルコール発酵は、通常調味用ソースに配合される発酵液を得る場合と同様に、10〜40℃程度、好ましくは10〜30℃程度の温度で、発酵液中エタノール濃度が約1〜3%になるまで行われる。得られる発酵液は必要に応じて除菌された後、通常のアルコール発酵による発酵液を含有する調味用ソースと同様に、発酵液以外の各種原料成分と混合されて調味用ソースとなる。

0018

(2)本発明の発酵飲食品の製造方法
本発明の発酵飲食品の製造方法においては、酵母としてサッカロマイセスセレビジェ KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003から選ばれる酵母を用いるが、これら酵母と同様にアルコール発酵を行う際に上記3菌株と同程度にβ−フェネチルアルコールを生産する能力が高い酵母であれば、上記3菌株と同様に本発明の発酵飲食品の製造方法に用いることが可能である。

0019

上記の様なβ−フェネチルアルコールを生産する能力が高いサッカロマイセスセレビジェの菌株を得るには、まず、サッカロマイセス セレビジェを常法に従って突然変異処理する。用いる親株としてはサッカロマイセス セレビジェであれば特に制限されないが、例えば、サッカロマイセス セレビジェ OC−2(IFO 2260)、サッカロマイセス セレビジェ IFO 0251、サッカロマイセス セレビジェ 日本醸造協会901号酵母等を挙げることができる。突然変異の方法としては、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジンエチルメタンスルフォネート等の変異剤を作用させる方法や紫外線照射による方法、遺伝子組換え手法による部位特異的変異法等を挙げることができる。

0020

この様にして得られる突然変異株のそれぞれについてo−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン、p−フルオロフェニルアラニンに対する耐性を調べる。これらのフルオロフェニルアラニンのいずれかに耐性を示す菌株全てについて、さらに、これを適当な原料に作用させアルコール発酵を行い、この際、生成されるβ−フェネチルアルコールの量を測定する。このβ−フェネチルアルコール生成量が、親株のサッカロマイセスセレビジェを用いて同様にアルコール発酵を行ったときに生成されるβ−フェネチルアルコールの量より多い菌株が、本発明の発酵飲食品の製造方法に用いることが可能な菌株である。

0021

サッカロマイセスセレビジェ KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003は、上記スクリーニング法に従い後述の実施例で取得された新規菌株であるが、このうちサッカロマイセス セレビジェ KGM−96001は、o−フルオロフェニルアラニン耐性菌から選択された菌株であり、サッカロマイセスセレビジェ KGM−96002は、m−フルオロフェニルアラニン耐性菌から選択された菌株であり、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96003は、p−フルオロフェニルアラニン耐性菌から選択された菌株である。これらは、平成8年2月20日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所郵便番号305 日本国県つくば市東一丁目1番3号)に、サッカロマイセス セレビジェKGM−96001、KGM−96002、KGM−96003の順にそれぞれ微生物受託番号第FERM P−15461、FERM P−15462、FERM P−15463として寄託されている。

0022

本発明の製造方法が適用される発酵飲食品としては、酵母によるアルコール発酵が関与する発酵飲食品であれば特に制限されない。この様な発酵飲食品としては、パンアルコール飲料調味料等が挙げられるが、本発明の製造方法は、調味用ソースに用いたときにより高い香味の改善効果が得られる。

0023

本発明の発酵飲食品の製造方法においては、発酵飲食品の発酵原料に酵母を作用させアルコール発酵させる工程で、酵母として上記サッカロマイセスセレビジェ KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003等から選ばれる酵母を用いる以外は、通常の発酵飲食品の製造方法と同様の製造方法を取ることが可能である。

0024

例えば、調味用ソースについては上述の様に製造されるが、その他の発酵飲食品に関しても、それぞれの発酵飲食品に用いる原料成分と同様の原料成分を用い、その発酵飲食品を製造する時と同様のアルコール発酵条件やその他製造条件をとる等により製造することが可能である。

0025

本発明の調味用ソースの製造方法によれば、香味成分の1種であるβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母を用いてアルコール発酵を行い得られる発酵液を配合することにより、従来の調味用ソースに比べて香味のよい調味用ソースが得られる。さらに、アルコール発酵の際に高いβ−フェネチルアルコール生産能を示す新規酵母、すなわち、サッカロマイセスセレビジェ KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96003等を用いてアルコール発酵を行うことにより、香味成分であるβ−フェネチルアルコール含有量の多い香味の高い調味用ソース等の発酵飲食品が得られる。

発明を実施するための最良の形態

0026

以下に本発明の実施の形態を説明する。
(1)本発明の調味用ソースの製造方法
まず、本発明の調味用ソースの製造方法の実施の形態を以下に説明する。

0027

本発明の調味用ソースの製造方法においては、これに配合する発酵液を得るために、上述の様なβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母、好ましくは、サッカロマイセス属に属し、フルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコールを生産する能力を有する酵母の少なくとも1種を調味用ソースの発酵原料に作用させてアルコール発酵を行う。調味用ソースの発酵原料としては、野菜処理物、果実処理物、糖類、アミノ酸液等から適宜選択される1種又は2種以上を挙げることができる。また、発酵原料には発酵原料以外の調味用ソースの原料成分、例えば、食塩、食酢、香辛料、カラメル、糊料等を発酵に阻害を与えない程度の分量で添加しておくことも可能である。

0028

上記野菜処理物、果実処理物として具体的には、トマトタマネギニンジンセロリレタスキャベツ等の野菜リンゴミカンブドウ等の果実の搾汁液等が挙げられる。また、糖類として具体的には、ショ糖ブドウ糖等の精製糖の他に、液糖異性化液糖、ブドウ糖シラップ等のシラップ類、糖蜜等が挙げられる。アミノ酸として具体的には、ロイシンイソロイシンバリンスレオニンフェニルアラニン等の精製アミノ酸や大豆蛋白加水分解物等が挙げられる。香辛料として具体的には、ケイヒニクズクセージタイムクロコショウ等が挙げられる。さらに、糊料として具体的には、キサンタンガムタマリンド等を挙げることが可能である。

0029

アルコール発酵による発酵液を配合して調味用ソースを製造する際のアルコール発酵の方法等に関しては、従来公知の方法、例えば、野菜処理物や果実処理物をアルコール発酵させ、得られる発酵液に他の原料成分を添加混合する方法(特開昭56−169563号公報、特開昭58−5165号公報等を参照)、糖類のみをアルコール発酵させ、得られた発酵液を他の成分に添加混合する方法(特開平4−173071号公報を参照)、また、食酢を除く全原料成分を用いてアルコール発酵を行いその後食酢を添加する方法(特開平6−169732号公報を参照)等に従えばよい。

0030

具体的には、アルコール発酵を行う際には、発酵原料を適当な濃度、例えば、可溶性固形分については20〜50重量%濃度程度、食塩を含有する場合の食塩については1重量%濃度程度の水性液とし、これを必要に応じて公知の中和剤でpH5.0〜7.0程度に調製し、さらに90〜130℃達温程度で加熱殺菌し冷却して得られる発酵原液を用いる。アルコール発酵の形態は、静置又は振盪によるバッチ発酵、あるいはバイオリアクターを用いた連続発酵の何れでもよいが、バイオリアクターを用いた連続発酵が作業性及び生産性からいって好ましい。

0031

バッチで発酵を行う場合は、上記のように調製した発酵原液に、上記酵母の1種を予め馴養しておいたものを102〜106個/ml程度となるように加えて発酵を行う。バイオリアクターを用いて連続発酵を行う場合には、上記酵母の1種を予め馴養化し、固定化しておいたバイオリアクター中に上記のように調製した発酵原液を送液することで発酵が行われる。なお、何れの場合もアルコール発酵中は雑菌による汚染を防止する措置を取ることが好ましい。また、アルコール発酵を行う際の温度は、10〜40℃程度であることが好ましく、さらに好ましくは10〜30℃程度である。発酵温度が40℃を越えると得られる発酵液の香味が悪くなることがあり、また10℃未満であると発酵液が所望のエタノール濃度に達するまでに要する時間が長くなる。

0032

調味用ソースの場合、発酵液中のエタノール濃度が1〜3%となったところで、適当な方法により、例えば95℃達温程度での加熱殺菌等により発酵を停止させる。その後、発酵液は必要に応じて遠心分離濾過等で除菌され、得られた発酵液に調味用ソースに用いられるその他原料成分、例えば、食塩、食酢、香辛料、カラメル、糊料等が適宜添加、混合されて調味用ソースとなる。

0033

(2)本発明の発酵飲食品の製造方法
本発明の発酵飲食品の製造方法は、酵母としてサッカロマイセスセレビジェKGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003等のサッカロマイセス セレビジェに分類され、フルオロフェニルアラニン耐性を有し、且つβ−フェネチルアルコール生産能力の高い菌株を用いることに特徴がある。この様な特性を有する上記サッカロマイセス セレビジェ KGM−96001等は、具体的には、以下の様にして取得することができる。

0034

サッカロマイセスセレビジェ、例えば、サッカロマイセス セレビジェ OC−2を菌株保存用培地、例えば、PDA培地(組成を実施例に示す)等に接種し、25〜35℃で24〜72時間程度培養する。この菌体の一白金耳を菌体調製用培地、例えば、YPD培地(組成を実施例に示す)等に無菌的に接種し、25〜35℃で振盪培養を行い、対数増殖期培養開始からおよそ15〜30時間後)に培養を停止して変異対象菌体を調製する。これを適当な濃度に希釈し、予め調製された突然変異操作用培地、例えば、PDA培地等に接種し表面を乾燥させた後、10〜500μw/cm2の強度の紫外線を15〜60秒間照射する。

0035

その後、これを25〜35℃で24〜72時間培養してコロニーを形成する菌体を分離し、得られた全ての菌体について、それぞれo−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン、p−フルオロフェニルアラニンを適当な濃度で添加した選択培地、例えば、バークホルダー(Burkholder)−寒天培地(組成を実施例に示す)等に植菌し、なおも生育する菌体を分離する。これらの菌体をそれぞれ菌体調製用培地(YPD培地等)で前培養した後、アルコール発酵原料液、例えば、ソース用発酵原料液等に接種し、25〜35℃で24〜72時間振盪培養し、得られる発酵液中のβ−フェネチルアルコール含有量をガスクロマトグラフィー等で測定し、サッカロマイセスセレビジェ OC−2を用いて同様のアルコール発酵を行った場合の発酵液中のβ−フェネチルアルコール含有量と比較してその量の多いものを選択することにより得られる。

0036

本発明の発酵飲食品の製造方法は、酵母として上記サッカロマイセスセレビジェ KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセス セレビジェ KGM−96003等を用いる以外は、全てそれぞれの発酵飲食品の製造において従来公知の製造方法、例えば、調味用ソースにおいては上記(1)の様な製造方法、に従って製造することが可能である。

0037

以下に本発明の実施例を説明する。まず、本発明の製造方法に用いるβ−フェネチルアルコール高生産能を有する新規酵母について説明する。

0038

PDA培地(表1に組成を示す)を用いて30℃で48時間培養したサッカロマイセスセレビジェ OC−2(IFO 2260)の一白金耳を、YPD培地(表2に組成を示す)に無菌的に接種した。これを30℃で振盪培養し培養開始から21時間後に培養を停止して、変異対象菌体を調製した。得られた変異対象菌体を1ml当たりの菌体個数が104オーダーとなるように無菌水で希釈しこの50μlを予め調製されたPDA培地に接種し、表面を乾燥させた後、200μw/cm2の強度の紫外線を30秒間照射した。その後、これを30℃で48時間培養した後、コロニーを形成する菌株を分離した。分離された全ての菌株のそれぞれを、DL−o−フルオロフェニルアラニンを2.0mg/ml濃度で、DL−m−フルオロフェニルアラニンを5.0mg/ml濃度で、DL−p−フルオロフェニルアラニンを1.5mg/ml濃度でそれぞれ添加したバークホルダー−寒天培地(表3に組成を示す)に植菌し、なおも生育する菌株を分離した。

0039

分離したフルオロフェニルアラニン耐性菌をYPD培地を用いて30℃で48時間培養した後、これについて発酵原液に添加したときの1ml当たりの初発菌数が105オーダーとなるように、無菌水で希釈した菌体懸濁液を、予め121℃で15分間殺菌処理された調味用ソース発酵原液(表6に組成を示す)に1容量%接種し、30℃で48時間振盪培養した。得られた発酵液のβ−フェネチルアルコール含有量を、ヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで測定した。また、サッカロマイセスセレビジェ OC−2を用いて上記同様のアルコール発酵を行い、発酵液中のβ−フェネチルアルコール含有量を測定した。

0040

サッカロマイセスセレビジェ OC−2を用いた場合の発酵液中のβ−フェネチルアルコール含有量に比べ、得られた発酵液中のβ−フェネチルアルコール含有量が多かったフルオロフェニルアラニン耐性菌を選択したところ、DL−o−フルオロフェニルアラニン耐性菌、DL−m−フルオロフェニルアラニン耐性菌、DL−p−フルオロフェニルアラニン耐性菌のそれぞれから1株ずつが選択された。これらは、それぞれサッカロマイセス セレビジェ KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002及びサッカロマイセスセレビジェ KGM−96003である。この3株をPDA培地に保存した。

0041

比較のために、特開平2−92265号公報記載の方法に従ってサッカロマイセスセレビジェ 日本醸造協会901号酵母をエチルメタンスルフォネート処理して得られた変異株からフルオロフェニルアラニン耐性菌を取得した。これらのフルオロフェニルアラニン耐性菌を上記調味用ソース発酵原液に上記と同様にして接種し上記と同様のアルコール発酵を行わせ、得られた発酵液中のβ−フェネチルアルコール含有量を測定して、β−フェネチルアルコール生産能を有する菌株を選択した。選択された菌株1株をPDA培地に保存した。

0042

上記各種菌株を用いて行われたアルコール発酵で得られた発酵液中のβ−フェネチルアルコール含有量を表7に示す。

0043

0044

0045

0046

0047

0048

ID=000007HE=080 WI=089 LX=0605 LY=1850
*1:アミノ酸混合液として大豆蛋白加水分解物(三陽商事(株)製)を使用した。

0049

*2:ソース用糖液としては、可溶性固形分70%、全糖分60%(ショ糖45%、ブドウ糖5%、果糖5%)の糖蜜様の液糖を使用した。

0050

0051

この結果から明らかなように、本発明の新規菌株はこれまでにβ−フェネチルアルコールの生産能がよいことで知られている菌株と比べて、よりβ−フェネチルアルコールを生産する能力が高い。

0052

調味用ソースの製造
上記で得られたサッカロマイセスセレビジェ KGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002、サッカロマイセス セレビジェKGM−96003及びサッカロマイセス セレビジェ 日本醸造協会901号酵母をエチルメタンスルフォネート処理した変異株から得られたフルオロフェニルアラニン耐性で且つβ−フェネチルアルコール生産能を有する菌株を用いて調味用ソースの製造を行った。また、比較のために調味用ソースの製造に従来用いられていたサッカロマイセス セレビジェ OC−2(IFO 2260)を酵母として用いて調味用ソースを製造した。

0053

発酵原液に添加したときの1ml当たりの初発菌数が105オーダーとなるように、無菌水で希釈した上記各菌株の菌体懸濁液を、予め121℃で15分間殺菌処理された調味用ソース発酵原液(上記表6に組成を示す)に1容量%ずつ接種し、それぞれ回分発酵(30℃で48時間の振盪培養)し、発酵を停止させた。

0054

得られた各発酵液を発酵に用いた菌株毎に、サッカロマイセスセレビジェKGM−96001、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96002、サッカロマイセス セレビジェ KGM−96003及びサッカロマイセス セレビジェ 日本醸造協会901号酵母をエチルメタンスルフォネート処理した変異株から得られたフルオロフェニルアラニン耐性で且つβ−フェネチルアルコール生産能を有する菌株、サッカロマイセス セレビジェ OC−2(IFO 2260)の順に、ソース用発酵液1、ソース用発酵液2、ソース用発酵液3、ソース用発酵液4、ソース用発酵液5とし、これらを含有する調味用ソースを作製した。すなわち、表8に示す各成分を十分に混合し、95℃の加熱殺菌を行って調味用ソースとした。

0055

ID=000009HE=100 WI=108 LX=0510 LY=0300
*:香辛料として、ケイヒ、ニクズク、セージ、タイム、クロコショウの等量
(重量)混合物を使用した。

0056

<本発明の製造方法による調味用ソースの評価>上記各実施例及び比較例で得られた調味用ソースについて30名のパネラー官能評価を行った。評価は、パネラー全員に全ての調味用ソースを味見してもらい、各実施例の調味用ソースをそれぞれ比較例の調味用ソースと比較してどちらを嗜好するか答えてもらう方法で行った。また、得られた結果をもとに有意差検定を行った。結果を表9に示す。なお、表中の有意差検定の結果では、Aが5%の危険率で、Bが1%の危険率で、Cが0.1%の危険率で有意差があることを表している。

0057

0058

この結果から明らかなように、本発明の調味用ソースの製造方法によれば、従来の発酵を利用した製造方法により得られる調味用ソースに比べて、嗜好性のよい調味用ソースが得られる。特に、本発明の高いβ−フェネチルアルコール生産能を有する新規酵母を用いて製造された調味用ソースにおいては、嗜好性を改善する効果がより高いことがわかる。

発明の効果

0059

本発明の製造方法により、調味用ソース等の発酵飲食品をβ−フェネチルアルコール含量の高い香味のよい製品として製造することが可能となる。また、本発明のアルコール発酵に際して高いβ−フェネチルアルコール生産能を示す酵母は、発酵飲食品の製造に有効に利用できる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 国立研究開発法人理化学研究所の「 網膜組織の製造方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題・解決手段】本発明は、視細胞前駆細胞及び/又は視細胞を含む神経網膜組織における神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞、及び/又は双極細胞の分化抑制方法等を提供することを課題とする。神経網膜前駆細胞... 詳細

  • 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「 香料組成物、及びその製造方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】香料成分の香気及び/又は香味の保留性に優れた香料組成物、例えば、加熱調理等の加熱工程後や長期保管後等においても香料成分の香気及び/又は香味の保留性に優れた香料組成物及び、それを用いた食品組成物... 詳細

  • 国立大学法人鳥取大学の「 抗炎症活性を有するシソ科植物の葉の発酵物」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】炎症抑制効果が大きく、かつ安全性の高い食品組成物、医薬組成物、化粧品および医薬部外品を得る。【解決手段】シソ科植物の葉の糸状菌発酵物またはその抽出物、それを含む食品組成物、医薬組成物、化粧品お... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ