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技術 耐熱性高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法

出願人 三井化学株式会社
発明者 成澤宏彰金子昌弘河田充生山口修一浅井真一染田誠
出願日 1996年12月11日 (24年0ヶ月経過) 出願番号 1996-330806
公開日 1997年8月26日 (23年3ヶ月経過) 公開番号 1997-221527
状態 特許登録済
技術分野 グラフト、ブロック重合体
主要キーワード 棒状成形物 付属資料 熱可塑性重合体材料 初期添加量 熱イオン化検出器 包装容器材 垂直落 グラフト用単量体
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課題

耐熱性向上成分として使用するマレイミド系単量体残留濃度低位にある、耐熱性、安全衛生性が共に改良された高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法を提供する。

解決手段

共役ジエン単量体単位50重量%以上を含む共役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下に、不飽和ニトリル系単量体50〜80重量%、マレイミド系単量体5〜25重量%、芳香族ビニル系単量体5〜25重量%、及びこれら単量体と共重合可能な単量体1〜10重量%を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合して得られる耐熱性高ニトリル系重合体組成物であって、該重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度が200重量ppm以下である耐熱性高ニトリル系重合体組成物、及びその製造方法である。

概要

背景

ゴム変性高ニトリル系重合体組成物は、高ニトリル系重合体組成物が本来有する優れたガスバリアー性耐薬品性薬効成分や臭気非吸着性等に耐衝撃性を付与した熱可塑性重合体組成物であり、食品、農医薬品、化粧品等の分野における包装材料容器材料等として使用されている。

かかる高ニトリル系重合体組成物の代表例として、特公昭46−25005号公報には、共役ジエン系ゴムの存在下で不飽和ニトリル及びアクリル酸エステルグラフト共重合させる高ニトリル系重合体組成物の製造方法が開示されている。かかる重合体組成物は、ガスバリアー性、耐衝撃性に優れ、公知の成形方法により任意の包装容器材料に成形できるが、荷重たわみ温度等で表される耐熱性が低いために用途が限定されていた。

熱可塑性重合体組成物の耐熱性を向上させる方法としては、マレイミド系単量体等を共重合により導入する方法が知られている。例えば、特公昭45−14549号公報には、アクリロニトリル、N−アリール置換マレイミド及びオレフィン系不飽和炭化水素を共重合させる高ニトリル系重合体組成物の製造方法が開示され、共重合に際し、これら単量体の混合物が最初に一括して重合系に添加される方法が例示されている。

また、特開昭60−79019号公報には、不飽和ニトリル系単量体、マレイミド系単量体及びスチレン系単量体を共重合させる重合体組成物の製造方法が開示され、共重合に際し、これら単量体の混合物が最初に一括して重合系に添加される高ニトリル系重合体組成物の製造方法が例示されている。しかし、これらの方法は、ゴムの存在下でのグラフト共重合を採用していないため、得られる重合体組成物の耐衝撃性が劣る他、マレイミド系単量体及び不飽和ニトリル系単量体のどちらとも共重合性の良いオレフィン系不飽和炭化水素やスチレン系単量体が、最初に一括して重合系に添加されるため、これらが反応の比較的前半で重合反応により消費され尽くしてしまい、得られる重合体組成物に大きな組成分布が生じ、耐熱性、透明性等の改良が不十分であった。

特に、マレイミド系単量体と共重合性の悪い不飽和ニトリル系単量体を多量に使用する高ニトリル系重合体組成物の場合には、不飽和ニトリル系単量体及びマレイミド系単量体の転化率が十分に上がらず、得られる重合体組成物中にこれら単量体が高い濃度で残留してしまい、安全衛生上満足し得るものではなかった。

一方、一般に共重合させる不飽和ニトリル系単量体の使用割合が低いアクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂ABS樹脂)等でマレイミド系単量体を共重合させた低ニトリル系重合体組成物においては、組成物中に残留するマレイミド系単量体濃度の低減方法がいくつか知られている。

例えば、特開平3−205411号公報には、重合後の反応液を、生成した重合体組成物の溶融温度以上に加温し、減圧下で滞留させることにより未反応単量体を除去する方法が開示されている。しかし、この方法を高ニトリル系重合体組成物に適用した場合、残留濃度を低下させようと滞留時間を十分長く取ると、重合体組成物の黄色度が著しく増加し、また、アイゾッド衝撃強度が低下するという問題点があった。

また、特開平1−62315号公報には、生成した重合体組成物をアルコール等の溶媒で抽出・洗浄することにより未反応単量体を除去する方法が開示されている。しかし、この方法を高ニトリル系重合体組成物に適用した場合、該重合体組成物が有する優れた耐薬品性のため、アルコール等の一般的溶媒では抽出・除去効果が小さく、マレイミド系単量体の残留濃度を低減させるには不十分であった。一方、該重合体組成物を溶解するようなN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒を使用すると、貧溶媒再沈殿させる操作が更に必要になり、工程が複雑化するという工業的に不利な点がある他、逆に溶媒が僅かに残留してしまうという問題点があった。

また、特開昭63−268712号公報には、芳香族ビニル系単量体添加比率を段階的に高くする重合体組成物の製造方法が開示され、重合系に残存するマレイミド系単量体を低減する方法が例示されている。しかし、この方法では不飽和ニトリル系単量体単位を極めて低い割合で含有する重合体が生成して広い組成分布が生じ、得られる重合体組成物の耐薬品性が劣るという問題点があった。

概要

耐熱性向上成分として使用するマレイミド系単量体の残留濃度が低位にある、耐熱性、安全衛生性が共に改良された高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法を提供する。

共役ジエン単量体単位50重量%以上を含む共役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下に、不飽和ニトリル系単量体50〜80重量%、マレイミド系単量体5〜25重量%、芳香族ビニル系単量体5〜25重量%、及びこれら単量体と共重合可能な単量体1〜10重量%を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合して得られる耐熱性高ニトリル系重合体組成物であって、該重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度が200重量ppm以下である耐熱性高ニトリル系重合体組成物、及びその製造方法である。

目的

本発明の目的は、上記問題を解決し、耐熱性の改良された高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法を提供することにある。具体的には、耐熱性を向上させる成分として使用するマレイミド系単量体が、共重合により重合体組成物中に導入され、未反応単量体として残留する濃度が低位にある、耐熱性、安全衛生性が共に改良された高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

共役ジエン単量体単位50重量%以上を含む共役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下に、不飽和ニトリル系単量体(A)50〜80重量%、マレイミド系単量体(B)5〜25重量%、芳香族ビニル系単量体(C)5〜25重量%(但し、(B)≦(C))、及び単量体(A)、(B)及び(C)と共重合可能な単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合して得られる耐熱性高ニトリル系重合体組成物であって、該重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度が200重量ppm以下であることを特徴とする耐熱性高ニトリル系重合体組成物。

請求項2

黄色度が20〜120であることを特徴とする請求項1記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物。

請求項3

アイゾッド衝撃強度が2〜20kg・cm/cmであることを特徴とする請求項1記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物。

請求項4

酸素透過係数が1×10-13 〜5×10-12 cm3 (STP)・cm/cm2 ・sec・cmHgであることを特徴とする請求項1記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物。

請求項5

ブロー成形により中空成形体が得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物。

請求項6

共役ジエン単量体単位50重量%以上を含む共役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下に、不飽和ニトリル系単量体(A)50〜80重量%、マレイミド系単量体(B)5〜25重量%、芳香族ビニル系単量体(C)5〜25重量%(但し、(B)≦(C))、及び、単量体(A)、(B)及び(C)と共重合可能な単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合して得られる耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法であって、(1)先ず、初期添加単量体として単量体(A)65〜99重量%、単量体(B)0〜30重量%及び単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物15〜35重量部並びに重合開始剤を反応系に添加して重合反応を開始し、(2)単量体の総転化率が1〜5重量%に到った時点で残部の単量体65〜85重量部及び分子量調節剤の継続的添加を開始し、その際、(なお、単量体の総転化率とは最終的に重合系に添加されるグラフト単量体合物の総量を基準とした転化率を意味する)(i)単量体(A)はほぼ一定の速度で単量体の総転化率が70〜80重量%に到る時点まで継続的に添加し、(ii)単量体(D)はほぼ一定の速度で単量体の総転化率が70〜80重量%に到る時点まで継続的に添加し、(iii)単量体(B)は、これを残部の単量体として添加する場合は総転化率5〜80重量%に到る時点まで継続的に添加し、(iv)分子量調節剤はほぼ一定の速度で単量体の総転化率が80〜90重量%に到る時点まで継続的に添加し、(v)単量体(C)は、単量体の総転化率が15〜30重量%に到る時点までに(C)の全量の10〜25%、単量体の総転化率が15〜30重量%に到った時点から単量体(A)、(B)及び(D)全ての添加終了時点までに(C)の全量の35〜55%、単量体(A)、(B)及び(D)全ての添加終了時点から単量体の総転化率が80〜90重量%に到る時点までに(C)の全量の25〜45%を継続的に添加し、且つ、(vi)単量体(C)の添加終了時点以降総転化率が少なくとも更に2重量%増加した時点で重合反応を終了することを特徴とする耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法。

請求項7

単量体(B)を初期添加単量体として使用せず、その全量を残部の単量体として使用することを特徴とする請求項6記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法。

請求項8

単量体(B)を初期添加単量体及び残部の単量体として使用することを特徴とする請求項6記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法。

請求項9

単量体(B)が、単量体混合物100重量部中5〜10重量%である場合に、その全量を初期添加単量体として使用し、残部の単量体として使用しないことを特徴とする請求項6記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法。

請求項10

重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度を200重量ppm以下に制御することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法。

請求項11

黄色度が20〜120であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法。

請求項12

アイゾッド衝撃強度が2〜20kg・cm/cmであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法。

請求項13

酸素透過係数が1×10-13 〜5×10-12 cm3 (STP)・cm/cm2 ・sec・cmHgであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、荷重たわみ温度等で表される耐熱性の改良された高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法に関する。詳しくは、耐熱性を向上させる成分として使用するマレイミド系単量体が、共重合により重合体組成物中に導入され、未反応単量体として残留する濃度が低位に制御された耐熱性高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

ゴム変性高ニトリル系重合体組成物は、高ニトリル系重合体組成物が本来有する優れたガスバリアー性耐薬品性薬効成分や臭気非吸着性等に耐衝撃性を付与した熱可塑性重合体組成物であり、食品、農医薬品、化粧品等の分野における包装材料容器材料等として使用されている。

0003

かかる高ニトリル系重合体組成物の代表例として、特公昭46−25005号公報には、共役ジエン系ゴムの存在下で不飽和ニトリル及びアクリル酸エステルグラフト共重合させる高ニトリル系重合体組成物の製造方法が開示されている。かかる重合体組成物は、ガスバリアー性、耐衝撃性に優れ、公知の成形方法により任意の包装容器材料に成形できるが、荷重たわみ温度等で表される耐熱性が低いために用途が限定されていた。

0004

熱可塑性重合体組成物の耐熱性を向上させる方法としては、マレイミド系単量体等を共重合により導入する方法が知られている。例えば、特公昭45−14549号公報には、アクリロニトリル、N−アリール置換マレイミド及びオレフィン系不飽和炭化水素を共重合させる高ニトリル系重合体組成物の製造方法が開示され、共重合に際し、これら単量体の混合物が最初に一括して重合系に添加される方法が例示されている。

0005

また、特開昭60−79019号公報には、不飽和ニトリル系単量体、マレイミド系単量体及びスチレン系単量体を共重合させる重合体組成物の製造方法が開示され、共重合に際し、これら単量体の混合物が最初に一括して重合系に添加される高ニトリル系重合体組成物の製造方法が例示されている。しかし、これらの方法は、ゴムの存在下でのグラフト共重合を採用していないため、得られる重合体組成物の耐衝撃性が劣る他、マレイミド系単量体及び不飽和ニトリル系単量体のどちらとも共重合性の良いオレフィン系不飽和炭化水素やスチレン系単量体が、最初に一括して重合系に添加されるため、これらが反応の比較的前半で重合反応により消費され尽くしてしまい、得られる重合体組成物に大きな組成分布が生じ、耐熱性、透明性等の改良が不十分であった。

0006

特に、マレイミド系単量体と共重合性の悪い不飽和ニトリル系単量体を多量に使用する高ニトリル系重合体組成物の場合には、不飽和ニトリル系単量体及びマレイミド系単量体の転化率が十分に上がらず、得られる重合体組成物中にこれら単量体が高い濃度で残留してしまい、安全衛生上満足し得るものではなかった。

0007

一方、一般に共重合させる不飽和ニトリル系単量体の使用割合が低いアクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂ABS樹脂)等でマレイミド系単量体を共重合させた低ニトリル系重合体組成物においては、組成物中に残留するマレイミド系単量体濃度の低減方法がいくつか知られている。

0008

例えば、特開平3−205411号公報には、重合後の反応液を、生成した重合体組成物の溶融温度以上に加温し、減圧下で滞留させることにより未反応単量体を除去する方法が開示されている。しかし、この方法を高ニトリル系重合体組成物に適用した場合、残留濃度を低下させようと滞留時間を十分長く取ると、重合体組成物の黄色度が著しく増加し、また、アイゾッド衝撃強度が低下するという問題点があった。

0009

また、特開平1−62315号公報には、生成した重合体組成物をアルコール等の溶媒で抽出・洗浄することにより未反応単量体を除去する方法が開示されている。しかし、この方法を高ニトリル系重合体組成物に適用した場合、該重合体組成物が有する優れた耐薬品性のため、アルコール等の一般的溶媒では抽出・除去効果が小さく、マレイミド系単量体の残留濃度を低減させるには不十分であった。一方、該重合体組成物を溶解するようなN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒を使用すると、貧溶媒再沈殿させる操作が更に必要になり、工程が複雑化するという工業的に不利な点がある他、逆に溶媒が僅かに残留してしまうという問題点があった。

0010

また、特開昭63−268712号公報には、芳香族ビニル系単量体添加比率を段階的に高くする重合体組成物の製造方法が開示され、重合系に残存するマレイミド系単量体を低減する方法が例示されている。しかし、この方法では不飽和ニトリル系単量体単位を極めて低い割合で含有する重合体が生成して広い組成分布が生じ、得られる重合体組成物の耐薬品性が劣るという問題点があった。

発明が解決しようとする課題

0011

本発明の目的は、上記問題を解決し、耐熱性の改良された高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法を提供することにある。具体的には、耐熱性を向上させる成分として使用するマレイミド系単量体が、共重合により重合体組成物中に導入され、未反応単量体として残留する濃度が低位にある、耐熱性、安全衛生性が共に改良された高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、鋭意研究した結果、共役ジエン系合成ゴムの存在下で、特定量の不飽和ニトリル系単量体、マレイミド系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な単量体を含む単量体混合物をグラフト共重合するに際し、先ず初期添加単量体として特定の組成、特定量の単量体混合物及び重合開始剤を反応系に添加して重合反応を開始し、その後、残部の各単量体及び分子量調節剤を特定の方法で重合系内に添加することにより、重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度を特定の値以下に制御し得ることを見出し、本発明に到った。

0013

即ち、本発明の第1発明は、共役ジエン単量体単位50重量%以上を含む共役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下に、不飽和ニトリル系単量体(A)50〜80重量%、マレイミド系単量体(B)5〜25重量%、芳香族ビニル系単量体(C)5〜25重量%(但し、(B)≦(C))、及び単量体(A)、(B)及び(C)と共重合可能な単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合して得られる耐熱性高ニトリル系重合体組成物であって、該重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度が200重量ppm以下であることを特徴とする耐熱性高ニトリル系重合体組成物である。

0014

第1発明の特徴は、共役ジエン系合成ゴム変性高ニトリル系重合体組成物の耐熱性を向上させる成分として、特定量のマレイミド系単量体を使用し、該単量体が重合体組成物中に共重合により導入されるように該単量体と同量もしくはそれ以上の芳香族ビニル系単量体を使用して、未反応単量体として残留するマレイミド系単量体濃度が特定の範囲に制御されていることにある。

0015

また、本発明の第2発明は、共役ジエン単量体単位50重量%以上を含む共役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下に、不飽和ニトリル系単量体(A)50〜80重量%、マレイミド系単量体(B)5〜25重量%、芳香族ビニル系単量体(C)5〜25重量%(但し、(B)≦(C))、及び、単量体(A)、(B)及び(C)と共重合可能な単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合して得られる耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法であって、
(1)先ず、初期添加単量体として単量体(A)65〜99重量%、単量体(B)0〜30重量%及び単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物15〜35重量部並びに重合開始剤を反応系に添加して重合反応を開始し、
(2)単量体の総転化率が1〜5重量%に到った時点で残部の単量体65〜85重量部及び分子量調節剤の継続的添加を開始し、その際、(なお、単量体の総転化率とは最終的に重合系に添加されるグラフト単量体混合物の総量を基準とした転化率を意味する。以下同様)
(i)単量体(A)はほぼ一定の速度で単量体の総転化率が70〜80重量%に到る時点まで継続的に添加し、
(ii)単量体(D)はほぼ一定の速度で単量体の総転化率が70〜80重量%に到る時点まで継続的に添加し、
(iii)単量体(B)は、これを残部の単量体として添加する場合は総転化率5〜80重量%に到る時点まで継続的に添加し、
(iv)分子量調節剤はほぼ一定の速度で単量体の総転化率が80〜90重量%に到る時点まで継続的に添加し、
(v)単量体(C)は、
単量体の総転化率が15〜30重量%に到る時点までに(C)の全量の10〜25%、
単量体の総転化率が15〜30重量%に到った時点から単量体(A)、(B)及び(D)全ての添加終了時点までに(C)の全量の35〜55%、
単量体(A)、(B)及び(D)全ての添加終了時点から単量体の総転化率が80〜90重量%に到る時点までに(C)の全量の25〜45%を継続的に添加し、且つ、
(vi)単量体(C)の添加終了時点以降総転化率が少なくとも更に2重量%増加した時点で重合反応を終了することを特徴とする耐熱性高ニトリル系重合体組成物の製造方法である。

0016

第2発明に係わるこの製造方法は3種類の態様を含んでいる。即ち、第1の態様は、単量体(B)を初期添加単量体として使用しないことを特徴とする製造方法であり、この場合、初期添加単量体として単量体(A)90〜99重量%、単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物15〜35重量部を反応系に添加し、単量体(B)はその全量を残部の単量体として継続的に添加する。

0017

また、第2の態様は、単量体(B)を初期添加単量体及び残部の単量体として使用することを特徴とする製造方法であり、この場合、初期添加単量体として単量体(A)65〜98重量%、単量体(B)1〜30重量%及び単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物15〜35重量部を反応系に添加し、単量体(B)はその全量から初期添加単量体として添加した量を差し引いた量を残部の単量体として継続的に添加する。

0018

また、第3の態様は単量体(B)が単量体混合物100重量部中5〜10重量部であり、単量体(B)の全量を初期添加単量体として使用し、残部の単量体として使用しないことを特徴とする製造方法であり、この場合、初期添加単量体として単量体(A)65〜85重量%、単量体(B)14〜30重量%及び単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物15〜35重量部を反応系に添加し、単量体(B)は残部の単量体としての継続的添加は実施しない。

0019

上記第2発明の特徴は、共役ジエン系合成ゴムへのグラフト用単量体として、特定量の不飽和ニトリル系単量体、マレイミド系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な単量体を含む単量体混合物を用い、先ず、初期添加単量体として特定の組成、特定量の単量体混合物を反応系に添加して重合反応を開始し、次いで、残部の各単量体及び分子量調節剤を重合系へ継続的に添加してグラフト重合を行うに際し、各単量体等の添加を開始するタイミングと終了するタイミングを特定の時期に限定し、更に、芳香族ビニル系単量体の添加速度を変化させることにある。

0020

かかる方法によってゴム変性高ニトリル系重合体組成物製造することにより、ゴム変性高ニトリル系重合体組成物の特性を維持しつつ、耐熱性を付与し、重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度を特定の値以下に制御することが可能となり、耐熱性、安全衛生性が共に改良された耐熱性高ニトリル系重合体組成物が得られるものである。

0021

具体的には、重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度が、200重量ppm以下に制御されており、且つ、成形物の黄色度が20〜120、アイゾッド衝撃強度が2〜20kg・cm/cm、酸素透過係数が1×10-13 〜5×10-12 cm3 (STP)・cm/cm2 ・sec・cmHgの特性を有している。上記重合体組成物は射出成形押出成形にも使用できるが、特に、ブロー成形によるボトル等の製造に適している。

発明を実施するための最良の形態

0022

以下、本発明について詳細に説明する。本発明の耐熱性高ニトリル系重合体組成物は、特定の組成を有する共役ジエン系合成ゴムの存在下、特定量の不飽和ニトリル系単量体、マレイミド系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な単量体の各単量体、及び、分子量調節剤を特定の方法で重合系に添加し、グラフト共重合することにより製造される。

0023

グラフト重合方法は、乳化重合溶液重合懸濁重合塊状重合、またはこれらの組合せ法等、公知の重合方法が適用できる。しかし、重合熱の除去や重合後の後処理の容易さ、有機溶媒回収再生等の付帯設備簡易化、等を考慮すると乳化重合法が好ましく適用される。乳化重合法の場合は、重合体生成物ラテックス状で得られるので、従来公知の方法、例えば、電解質または溶媒による凝集法、または凍結法等により重合体を凝固、分離、水洗の後、乾燥して重合体を得る方法が挙げられる。

0024

本発明に用いる共役ジエン系合成ゴムは、共役ジエン系単量体50重量%以上を含むものである。好ましくは共役ジエン系単量体50重量%以上、及びこれと共重合性の単量体、例えば、不飽和ニトリル、芳香族ビニル化合物不飽和カルボン酸エステル等から選ばれた少なくとも一種の単量体との共重合体である。

0025

共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエンの他、イソプレンクロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン等が例示される。入手の容易さや重合性が良い等の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。

0026

共役ジエンと共重合する不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリニトリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。

0027

又、共役ジエンと共重合する芳香族ビニル化合物としては、スチレンα−メチルスチレンビニルトルエン類、ビニルキシレン類等が挙げられ、好ましいものはスチレンである。

0028

共役ジエンと共重合する不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸又はメタクリル酸メチルエチルプロピルブチル等のアルキルエステルを挙げることができ、好ましいものはアクリル酸メチルアクリル酸エチルメタクリル酸メチルメタクリル酸エチルである。

0029

具体的には、共役ジエン系合成ゴムとしては、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル及びメタクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル及びスチレン共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン共重合体が好ましく挙げられる。より好ましくは1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン共重合体である。

0030

これらの共役ジエン系合成ゴムに含まれる共役ジエンの量は、得られるゴム変性耐熱性高ニトリル系重合体組成物の耐衝撃性に関係する。かかる点を考慮すると、共役ジエンを50重量%以上含むことが好ましい。さらに好ましくは60〜90重量%である。

0031

また、耐熱性高ニトリル系重合体組成物全体に占める共役ジエン系合成ゴム量は、耐衝撃性、成形加工性に影響を及ぼす。共役ジエン系合成ゴムの量が少ないと耐衝撃性が低下し、逆に多いと成形加工性が低下する。かかる点を考慮すると、耐熱性高ニトリル系重合体組成物全体に占める共役ジエン系合成ゴムの量は、1〜40重量%であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜30重量%である。本発明の具体的な製造方法は、共役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下で後述するグラフト単量体混合物100重量部を共重合する。

0032

共役ジエン系合成ゴムは、公知の方法によって製造できるが、乳化重合法が好適である。また、重合温度には特に制限はないが、重合速度、生産性等を考慮すると、40〜70℃の温度範囲が好ましい。

0033

本発明では、グラフト単量体として、特定量の不飽和ニトリル系単量体、マレイミド系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な単量体を含む単量体混合物が用いられる。

0034

グラフト単量体として用いる不飽和ニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。ゴム変性高ニトリル系重合体組成物の特性は、ゴム成分を除く重合体部分マトリックス部)に含まれる不飽和ニトリルの量に影響される。即ち、不飽和ニトリルの量が少ないと、耐薬品性、ガスバリアー性等の特性が低下する。逆に多過ぎると、成形加工性、耐衝撃性が低下する他、成形物が黄色に変色して黄色度が増加し、色調等が低下する。かかる点を考慮すると、グラフト単量体混合物中に50〜80重量%の不飽和ニトリルを含むことが好ましい。

0035

グラフト単量体として用いるマレイミド系単量体は、下記一般式(1)(化1)

0036

ID=000002HE=035 WI=041 LX=0395 LY=1100
(式中、R1 、R2 及びR3 は各々独立に水素ハロゲン炭素数1〜20の置換または非置換アルキル基アリール基を示す)で表される化合物である。

0037

マレイミド系単量体の例としては、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド等のN−置換マレイミドが挙げられ、好ましくはN−フェニルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミドである。

0038

マレイミド系単量体の使用量は、5〜25重量%が好ましい。更に好ましくは5〜20重量%である。25重量%を超えると、得られる重合体組成物のメルトインデックスが低下し、加工性が悪くなる他、着色が濃くなり、残留するマレイミド系単量体濃度の低減が困難になる。また、5重量%未満であると耐熱性の向上度が低下する。

0039

グラフト単量体として用いる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン類、ビニルキシレン類等が挙げられ、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンである。芳香族ビニル系単量体の使用量は、得られる耐熱性高ニトリル系重合体組成物の耐熱性、ガスバリアー性、安全衛生性等に影響を及ぼす。

0040

これは、不飽和ニトリル系単量体とマレイミド系単量体の共重合性が悪く、これら両単量体のどちらとも共重合性が良い芳香族ビニル系単量体が介在する形で重合が進行するため、芳香族ビニル系単量体の量が少ないと、マレイミド系単量体の転化率が十分に上がらず、耐熱性向上効果が不十分で残留濃度が高くなる。逆に多過ぎると、相対的に不飽和ニトリル系単量体の量が低下するため、ガスバリアー性等の特性が低下する。かかる点を考慮すると、グラフト単量体混合物中に5〜25重量%、好ましくは10〜25重量%であって、且つ、マレイミド系単量体と同量またはそれ以上の芳香族ビニル系単量体を含むことが好ましい。

0041

グラフト単量体として用いる不飽和ニトリル系単量体、マレイミド系単量体及び芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体としては、不飽和カルボン酸エステル、α−オレフィンビニルエステルビニルエーテル等が挙げられ、特に、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステルが好ましい。これらは、得られるグルフト共重合体の内部可塑化を促進するために用いる共重合用単量体である。

0042

不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル類、アクリル酸ブチル類、アクリル酸アミル類、アクリル酸ヘキシル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル類、メタクリル酸ブチル類、メタクリル酸アミル類、メタクリル酸ヘキシル類、α−クロロアクリル酸メチル、α−クロロアクリル酸エチル等が挙げられる。好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルである。ビニルエステルとしては、酢酸ビニルプロピオン酸ビニル酪酸ビニル等が挙げられる。好ましくは酢酸ビニルである。

0043

α−オレフィンとしては、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン2−エチル−1−ブテン、2−プロピル−1−ペンテン等が挙げられる。好ましくはイソブチレンである。

0044

ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテルエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル類ブチルビニルエーテル類、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル等が挙げられる。好ましくはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル類、ブチルビニルエーテル類である。

0045

上記共重合可能な単量体の使用量は、得られる共重合体組成物の成形加工性、耐熱性等に影響を及ぼす。その使用量が多過ぎると、共重合体組成物のガラス転移点が低下し、成形加工性は向上するが耐熱性は低下する。これらの点を考慮すると、上記共重合可能な単量体の使用量は1〜10重量%が好ましい。

0046

耐熱性高ニトリル系重合体組成物を成形し、食品、農医薬品、化粧品等の包装材料、容器材料として使用する場合、重合体組成物中に残留する未反応の単量体が、抽出等により成形体の表面にブリードアウトし、内容物に接触することのないよう安全衛生性の配慮が必要である。特に、マレイミド系単量体は沸点が高く、スチームストリッピング等による高温、減圧下における脱モノマー処理が有効でないため、重合の段階で転化率を十分に上げ、残留濃度を低減することが好ましい。

0047

ポリオレフィン等衛生協議会『ポジティブリスト作成基準(1992年3月版)』の付属資料2「PL物質溶出試験法」の区分使用温度、70℃を越え100℃以下、に規定される方法に従い、n−ヘプタン、20%エタノール、4%酢酸、水の4種類の溶媒について、40℃、10日間、及び90℃、30分間の条件下で重合体組成物の成形体の溶出試験を実施し、熱イオン化検出器(以下、FTDという)付きガスクロマトグラフを用いて溶出液分析をおこなった場合、本明細書の実施例の項に記載する重合体組成物中におけるマレイミド系単量体の残留濃度が200重量ppm以下であれば、マレイミド系単量体は上記PL溶出試験のいずれの条件下においても検出されず(検出限界50重量ppb)、成形体を例えば食品容器として用いても、安全衛生上問題とならないレベルに達する。

0048

マレイミド系単量体の残留濃度は小さい程好ましいが、分析で検出できるその下限は、高ニトリル系重合体組成物の溶媒への溶解性の関係から通常20重量ppm程度である。かかる観点より、安全衛生性を考慮した上で、重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度の実用的範囲は20〜200ppmで、好ましくは0〜200ppmである。

0049

本発明においては、グラフト共重合は、重合反応系に重合開始剤が添加された時点を以て重合開始時とする。本発明に用いる重合開始剤には特に制限はなく、公知のラジカル重合開始剤が用いられる。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の有機過酸化物アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物過硫酸カリウム過硫酸ナトリウム過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物、過酸化水素等が挙げられる。乳化重合法を適用する場合には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物、過酸化水素等が好ましい。重合開始剤の添加量は、グラフト単量体混合物に対して0.02〜0.2重量%が好ましい。

0050

本発明の耐熱性高ニトリル系重合体組成物は、共役ジエン系合成ゴムの存在下で、上記組成の単量体混合物をグラフト共重合することにより得られるゴム変性高ニトリル系重合体組成物であるが、重合体組成物中におけるマレイミド系単量体の残留濃度を上記範囲に制御するために、上記各単量体及び分子量調節剤を特定の方法により重合系に添加する。

0051

本発明に用いる分子量調節剤としては、アルキルメルカプタン類、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルチオールアセタートペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、リモネンジメルカプタン等が挙げられる。これらの内、好ましくはメルカプタン臭が実質的にないという点から分子内に2個以上のメルカプト基を含む有機メルカプト化合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、リモネンジメルカプタンが好ましく挙げられる。分子量調節剤の添加量は、共重合させる単量体混合物の総量の0.1〜10重量%が好ましい。

0052

重合体組成物中におけるマレイミド系単量体の残留濃度の制御方法は、単量体混合物の組成や共役ジエン系合成ゴムの量等により詳細は異なるが、上記各単量体、分子量調節剤等の重合系への添加時期、及び添加速度を制御することにより行う。これらの重合系への添加方法としては、一括添加、継続的添加、逐次添加またはこれらを併用する方法が例示できる。各単量体は、これを初期添加単量体と残部の単量体とに分ける。

0053

初期添加単量体とは、重合開始剤を重合反応系に添加する前に一括添加または継続的添加により重合反応系に添加する単量体を意味し、残部の単量体とは、最終的に使用する各単量体の総量から初期添加単量体を差し引いた量であり、重合開始剤を重合反応系に添加した後に重合反応系に添加する単量体を意味する。残部の単量体及び分子量調節剤は、重合開始剤の添加終了後、継続的に重合系に添加されるが、それらの添加開始と添加終了のタイミングは総転化率に基づいて決定する。すなわち、重合開始剤の添加が終了した後であって、総転化率が所定の範囲に到達した時点で添加を開始し、総転化率が所定の範囲に到達した時点で添加を終了する。

0054

本発明の方法において、継続的に添加するとは、総転化率が所定の範囲に到達した時点で単量体等の添加を開始し、総転化率が所定の範囲に到達した時点で単量体等の添加を終了するまでの間、連続的または間欠的に所定量の単量体を添加し続けることを意味するが、間欠的添加の場合はその間隔が15分間程度であれば継続的添加に包含する。連続的添加の好ましい方法として、遠心ポンププランジャーポンプ等を用いる添加方法が挙げられる。これらの方法において、単位時間当たりの添加量が少ない場合、ポンプ脈動等により不連続で添加される状態であっても差支えない。

0055

本発明の方法において、一定の速度で添加するとは、単量体の総転化率が所定値に到った時点で所定量の単量体等の添加を開始し、単量体の総転化率が所定値に到った時点で添加を終了する操作において、1分間当たりの添加量の変動が±50重量%程度以内で添加する方法を意味する。その変動は好ましくは±30重量%以内、さらに好ましくは±10重量%以内である。

0056

また、グラフト単量体混合物の総転化率(以下、単に転化率という)とは、単量体混合物の添加方法及び添加時期(初期添加又は残部の添加)に関係なく、最終的に重合系に添加されるグラフト単量体混合物の総量を基準とした転化率を意味する。なお、固体のマレイミド系単量体は、液体の他単量体に溶解して重合系に添加する方法が好ましい。

0057

初期添加単量体の添加は、大別して次の二つのうちいずれかの方法で行う。

0058

一方は、製造方法における前述の第1の態様であり、不飽和ニトリル系単量体(以下、単量体(A)という)90〜99重量%、単量体(A)、マレイミド系単量体(以下、単量体(B)という)及び芳香族ビニル系単量体(以下、単量体(C)という)と共重合可能な単量体(以下、単量体(D)という)1〜10重量%を含む単量体混合物15〜35重量部を反応系に添加する。主要原料である単量体(A)が90重量%未満である場合は、使用量の少ない単量体(D)が反応する割合が相対的に高くなり、得られる重合体に大きな組成分布が生じるので好ましくない。単量体(D)が1重量%未満である場合は、単量体(A)の最終転化率が低くなるので好ましくない。また、単量体混合物の初期添加量が15重量部未満である場合は、その分反応量が少なく効率的でないので好ましくなく、35重量部を超える場合は、反応速度が速く分子量の調節が困難になる他、乳化重合法を適用した場合、粒状に析出する重合体が多量に発生し、反応機壁等へ付着したりするので好ましくない。

0059

他方は、製造方法における前述の第2及び第3の態様であり、単量体(A)65〜98重量%、単量体(B)1〜30重量%、及び、単量体(D)1〜10重量%を含む単量体混合物15〜35重量部を反応系に添加する。使用する単量体(B)の単量体混合物中の組成が5〜10重量%である場合は、その全量を初期添加単量体としてもよく、この場合、後述する残部の単量体混合物には単量体(B)を含まないことになる。主要原料である単量体(A)が65重量%未満である場合は、他単量体が反応する割合が相対的に高くなり、得られる重合体に大きな組成分布が生じるので好ましくない。固体の単量体(B)が30重量%を超える場合は、単量体混合物中における単量体(B)の溶解度の関係から単量体混合物を40〜50℃程度に加温しないと、単量体(B)自体が析出し易くなる他、乳化重合法を適用した場合、反応系内での乳化定性も悪く、粒状に析出する重合体が多量に発生し、反応機壁等へ付着したりするので好ましくない。単量体(D)が10重量%を超える場合にも、得られる重合体に大きな組成分布が生じるので好ましくない。単量体(D)が1重量%未満である場合は、単量体(A)の最終転化率が低くなるので好ましくない。また、単量体混合物の初期添加量については、前記と同じ理由による。

0060

後添加する残部の単量体混合物65〜85重量部及び分子量調節剤については、重合開始剤の添加終了後、転化率が1〜5重量%に到った時点で重合系への添加を開始する。これらの添加開始時期が転化率5重量%を超えた場合は、得られる重合体に大きな組成分布が生じる他、分子量分布が広くなり、成形加工に際しダイスウェルが大きくなって成形性に問題が生じたり、耐衝撃性が低下したりするので好ましくない。

0061

単量体(A)及び(D)は、ほぼ一定の速度で総転化率が70〜80重量%に到る時点まで添加を行う。70重量%未満の時点までの添加の場合は、重合系への添加速度が過大となり、乳化重合法を適用した場合に乳化安定性が悪くなる他、反応機の除熱能力を高める必要性が生じるので好ましくない。通常、最終転化率が約90重量%程度でグラフト重合を終了するため、転化率が80重量%に到るまでに添加を終了して重合させることが好ましく、転化率が80重量%を超える時点までの添加の場合は、いたずらに重合時間が長くなるので好ましくない。

0062

単量体(B)は、使用する全量を初期添加単量体とした場合を除き、転化率が5〜80重量%に到る時点まで添加を行う。後添加を80重量%を超える時点まで継続する場合は、反応系に未反応のまま残存する単量体(B)が増え、得られる重合体組成物の耐熱性の向上度が低下する他、単量体(B)の残留濃度が高くなるので好ましくない。単量体(B)は、ほぼ一定の速度で添加しても良いが、2乃至3段階に分けて添加速度を変化させても良い。添加速度を変化させる場合には、添加期間の後半における添加速度が前半の速度より大きくならないことが好ましい。

0063

単量体(C)は、添加速度を3段階に変化させる。総転化率が15〜30重量%に到る時点までに単量体(C)の全量の10〜25%の添加を行い、総転化率が15〜30重量%に到った時点から単量体(A)、(B)及び(D)全ての添加が終了する時点までに全量の35〜55%の添加を行い、単量体(A)、(B)及び(D)全ての添加が終了した時点から総転化率が80〜90重量%に到る時点まで全量の25〜45%の添加を行う。1段目の添加量が10%未満である場合は、重合速度が著しく小さくなるので好ましくない。25%を超える場合は、単量体(C)が単独で重合する割合が高くなり、マレイミド系単量体(B)の共重合に有効に消費される割合が低くなる他、組成分布が生じるので好ましくない。3段目の添加量が25%未満である場合は、残存するマレイミド系単量体を共重合により反応させるのに不十分であり、得られる重合体組成物の耐熱性の向上度が低下する他、残留濃度が高くなるので好ましくない。45%を超える場合は、大きな組成分布を生じる他、単量体(C)自体の残留濃度が高くなり、安全衛生上好ましくない。3段目の更に好ましい添加量は25〜35%である。2段目の添加量は、全量から1段目及び3段目の添加量を差し引いた量である。

0064

分子量調節剤は、ほぼ一定の速度で転化率が80〜90重量%に到る時点まで添加を行う。80重量%を大きく下回る時点までの添加の場合は、それ以降に高分子量の重合体が多量に生成して分子量分布が広くなり、ダイスウェルが大きくなって成形性に問題が生じるので好ましくない。また、転化率が約75重量%付近に到る時点までの添加の場合でも、得られる重合体組成物中における単量体(B)の残留濃度が高くなるので好ましくない。

0065

グラフト共重合反応の停止は、単量体(C)の継続的添加が終了した後、総転化率が少なくとも更に2重量%、好ましくは2〜5重量%増加した時点で行う。反応の停止方法には特に制限はなく、反応温度未満に急冷する方法、重合禁止剤を添加する方法、未反応単量体を系外に除去する方法等の公知の方法が適用できる。

0066

具体的重合方法は後述の実施例で説明するが、グラフト重合の温度には特に制限はなく、0〜100℃の任意の温度において実施できる。重合速度、単量体の総転化率、生産性等を考慮すると、50〜70℃の温度範囲が好ましい。重合温度が55〜60℃、重合開始剤量が単量体混合物の総量の0.05〜0.15重量%である場合、上記各総転化率を重合時間と対応させると、総転化率が1〜5重量%に到達する時期は重合開始時〜1時間後、同じく15〜30重量%に到達する時期は2時間後〜3時間後、同じく70〜80重量%に到達する時期は7時間後〜8時間後、同じく80〜90重量%に到達する時期は8時間後〜9時間後におよそ相当する。

0067

グラフト重合、特に、乳化重合を適用する場合には、この他に乳化剤分散剤、分子量調節剤の効果を高めるために添加する酸類等が使用されるが、その種類及び量は公知のものが適用される。その他、可塑剤、安定剤、潤滑剤、染料及び顔料充填剤等を必要に応じて重合後に反応系に添加することも可能である。

0068

グラフト重合方法には、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、またはこれらの組み合わせ方等、公知の重合方法が適用できる。

0069

乳化重合により得られたラテックスから重合体組成物を回収する方法としては、電解質物質、有機溶媒等の凝固剤を用いる凝集法、または凍結法等によって重合体を凝固し、分離、水洗した後、乾燥する方法、得られたラテックスを直接乾燥雰囲気中に噴霧する噴霧乾燥方法等が例示できる。消費熱量等を考慮すると前者の方法が好ましい。

0070

凝固剤を用いる凝集法により分離する方法として、固形分相当の重合体組成物100重量部に対し1〜10重量部の凝固剤を添加する方法が挙げられる。凝固剤として、硫酸アルミニウム硫酸マグネシウム塩化カルシウム等が挙げられる。

0071

ラテックスから分離された重合体組成物は、その1〜20重量倍の水で洗浄することが好ましい。洗浄水の温度は5〜90℃程度、洗浄時間は10分間〜2時間程度でよい。分離された重合体組成物はその後、乾燥される。乾燥方法としては、特に制限はないが、流動乾燥機等を用いて50〜100℃の雰囲気中に5〜30分間滞留させる方法が挙げられる。

0072

本発明に係わる高ニトリル系重合体組成物に対する未反応のマレイミド系単量体の濃度は、グラフト重合が終了した時点で200重量ppm以下である。従って、グラフト重合反応後の後処理方法に関係なく、未反応のマレイミド系単量体を200ppm以下しか含まない重合体組成物が得られる。因みに、噴霧乾燥法によりラテックスから重合体組成物を分離した場合は、得られた重合体組成物中に未反応のマレイミド系単量体の略全量が含まれる。

0073

一方、凝集法、凍結法等によって重合体を凝固し、分離、水洗した後、乾燥する方法で重合体組成物を分離した場合は、重合で得られたラテックス中の未反応のマレイミド系単量体の約10〜50重量%が重合体組成物に含まれる。

0074

高ニトリル系重合体組成物において、ガスバリアー性、耐薬品性等を考慮すると、不飽和ニトリル系単量体単位の組成割合が著しく低い重合体が含まれないことが好ましい。具体的には、グラフト共重合の際、単位時間当たりに生成する重合体(ゴムを除く)中の不飽和ニトリル系単量体単位の組成割合を、グラフト共重合終了後の全重合体(ゴムを除く)中の不飽和ニトリル系単量体単位の平均組成割合から引いた差が、25重量%以下であることが好ましい。更に好ましくは20重量%以下である。本発明の方法によれば、上記組成割合の差が25重量%以下、更に厳密には20重量%以下である重合体組成物が得られる。従って、本発明により製造される高ニトリル系重合体組成物は、不飽和ニトリル系単量体単位の組成割合が著しく低い重合体を含まず、優れたガスバリアー性、耐薬品性等を有する。

0075

上記方法により製造される重合体組成物は、既知熱可塑性重合体材料を使用する従来の成形法、例えば押出成形、射出成形、ブロー成形等により容易に熱成形し得る熱可塑性重合体組成物であり、高ニトリル系重合体が本来有する酸素窒素二酸化炭素フロン等のガスガソリン等の蒸気に対する高いバリアー性及び各種有機溶媒、酸、塩基等に対する優れた耐薬品性を備えているのみならず、耐熱性と安全衛生性が改良されるため極めて実用価値の高い新規な重合体組成物である。

0076

上記重合体組成物は、通常の樹脂の成形加工方法、例えば、中空成形、射出成形等によって加工することができる。特に、本発明の重合体組成物は、ボトル等の中空成形体として好ましく使用できる。中空成形体を得る成形方法としては、射出ブロー成形法、射出延伸ブロー成形法押出ブロー成形法、押出延伸ブロー成形法等が挙げられる。成形温度重合体組成等により多少異なるが、190〜220℃が好ましい。190℃未満の場合は、重合体組成物の溶融粘度が高く、成形機負荷が掛かるので好ましくない。220℃を超える場合は、重合体組成物の黄色への変色が進行し、劣化による焼けが生じるため好ましくない。中空成形体の成形に用いる本発明の耐熱性高ニトリル系重合体組成物は、ハンドリング等を考慮すると、ブロー成形前押出機等で予め混練溶融してペレット化し、乾燥しておくことが好ましい。

0077

上記方法により成形される中空成形体(例えばビン)は、既知の高ニトリル系重合体を成形して得られる中空成形体が本来有する酸素、窒素、二酸化炭素、フロン等のガス、ガソリン等の蒸気に対する高いバリアー性、及び各種有機溶媒、酸、塩基等に対する優れた耐薬品性を備えているのみならず、耐熱性と安全衛生性が改良されるため、極めて実用価値の高い新規な中空成形体である。

0078

以下、重合体組成物に関しては実施例及び比較例を示して、中空成形体に関しては成形例を示して本発明について更に詳細を説明する。本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」はいずれも重量基準を意味する。また、実施例及び比較例中に示した重合体組成物において、共役ジエン系合成ゴムにグラフトした共重合体を除いたマトリックス重合体重量平均分子量(以下、Mwという)及びMwを数平均分子量(以下、Mnという)で除した多分散度(以下、Mw/Mnという)、重合体組成物の荷重たわみ温度及びビカット軟化点、アイゾッド衝撃強度、メルトインデックス及びスウェル、黄色度、曇り度及び光線透過率、転化率及び重合体組成、重合体組成物中の残留マレイミド系単量体濃度、ラテックス中の残存マレイミド系単量体濃度、酸素透過係数、中空成形体の耐熱性及び落下強度は、下記の方法によって測定した。

0079

(1)マトリックス重合体のMw及びMw/Mn
得られた重合体組成物0.75gを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)70mlに撹拌、溶解し、アセトニトリル70mlを加えて更に撹拌した後、溶媒に不溶なグラフト部と可溶なマトリックス部とに遠心分離する。マトリックス部を分離、乾燥した後、DMFに再溶解し、その溶液ゲルパーミエーションクロマトグラフ(Waters社製、型式:GPC150−C)を用いて60℃において分離し、ポリスチレン換算のMw、Mn及びMw/Mnを求める。

0080

(2)荷重たわみ温度及びビカット軟化点〔℃〕
得られた重合体組成物を180℃においてロール混練した後、180℃で加圧成形して得た厚み3mmのシートより試験片を調製する。該試験片について、荷重たわみ温度については、JIS K−7207(B)法に規定される方法に従い、4.6kg/cm2荷重で、ビカット軟化点については、ASTMD−1525に規定される方法に従い、1kg/cm2 荷重で、荷重たわみ温度(HDT)、ビカット測定器〔(株)東洋精機製作所製〕を用いて測定する。

0081

(3)アイゾッド衝撃強度〔kg・cm/cm〕
ASTMD−256(ノッチ付)に規定される方法に従い、23℃においてアイゾッド衝撃試験機〔(株)東洋精機製作所製、量:20kgf−cm〕を用いて測定し、摩擦損失を見込まない計算式で算出する。試験片は前項と同様にして調製する。

0082

(4)メルトインデックス〔g/10min〕及びスウェル(%)
メルトインデックスについては、ASTMD−1238に規定される方法に従い、200℃、12.5kg/cm2荷重においてメルトインデクサー〔(株)東洋精機製作所製、型式:S−111〕を用いて測定する。得られる棒状成形物外径オリフィス内径で除した値を百分率で表し、スウェルとする。

0083

(5)黄色度
試験片は(2)項と同様にして調製し、これをJIS K−7103に規定される方法に従い、SMカラーコンピューター〔スガ試験機(株)製、型式:SM−3〕を用いて測定する。

0084

(6)曇り度及び光線透過率〔%〕
試験片は(2)項と同様にして調製し、これをJIS K−6714,6717及びASTMD−1003に規定される方法に従い、ヘイズメーター〔日本電色工業(株)製、型式:300A〕を用いて測定する。

0085

(7)総転化率及び重合体組成(重量%)
総転化率:重合系に最終的に添加されるグラフト重合用各単量体の総量に対する、所定の時点または重合終了時点までにグラフト重合により生成した重合体の累計量の割合(重量%)で示す。
重合体組成:グラフト重合により最終的に生成する重合体の組成、及びグラフト重合により単位時間に生成する重合体の組成を算出する。グラフト重合のa時点において重合系に存在するグラフト重合用各単量体の量と、a時点からb時点に到る期間に重合系に添加された各単量体の量の合計量から、b時点において重合系に存在する各単量体の量を差し引いた値(a時点からb時点に到る期間にグラフト重合により消費された各単量体の量)を各単量体単位が形成する重合体の量とする。得られた重合体を形成するグラフト重合用各単量体単位の重量比を重合体組成とする。尚、重合系に存在する各単量体の量は、当該時点における重合液をガスクロマトグラフ(島津製作所製、型式:GC−9A及びGC−14A)により分析して求める。

0086

(8)重合体組成物中の残留マレイミド系単量体濃度〔重量ppm〕
得られた重合体組成物2.5gを、アセトニトリル50mlに撹拌、溶解し、溶媒に不溶な部分を遠心分離にて除去した後、キャピラリーカラムを装着したガスクロマトグラフ(島津製作所製、型式:GC−14A)を用いてGC分析を行い、予め標準溶液で作成した検量線から算出する。

0087

(9)ラテックス中の残存マレイミド系単量体濃度(重合体ベース
重合終了後のラテックス中に残存するマレイミド系単量体の重合体当たりの濃度は、(7)に記載したガスクロマトグラフ分析により得られるマレイミド系単量体の残存濃度、及び全単量体の総転化率から算出する。但し、マレイミド系単量体がラテックスの分析で検出されない場合は、ラテックスから重合体を凝固して分離した水、及び重合体の洗浄に使用した水を濃縮し、キャピラリーカラムを装着したガスクロマトグラフ(島津製作所、形式GD−14A)を用いて分析を行い、予め標準溶液で作成した検量線から算出した水中の値と(8)の方法により算出した重合体組成物中の測定値の合計から算出した。

0088

(10)酸素透過係数〔cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg〕
得られた重合体組成物を50mmφ単軸押出機を用い、成形温度200℃で溶融、混練してペレット化した後、T型フラットダイを装着した30mmφ単軸押出機を用いて成形温度210℃で製膜し、厚さ30μmのフィルムを調製する。該フィルムについてJIS K−7126(A)法(差圧法)に規定される方法に従い、23℃、0%RHで気体透過率測定装置〔理化精機工業(株)製、型式:K−315−N−03〕を用いて酸素透過率を測定し、酸素透過係数を算出する。STPは標準状態、即ち0℃,1気圧を示す。

0089

(11)中空成形体の耐熱性(熱収縮率
後述の成形例で得られた丸型中空成形体(ボトル)10個を100℃のオーブンに1時間放置する加熱処理を行った後、胴径ノギス〔ミツトヨ(株)製〕を用いて測定し、未処理に対する変化率収縮率)の平均値を算出する。

0090

(12)中空成形体の落下強度(平均落下回数
後述の成形例で得られた丸型中空成形体(ボトル)に500mlの水を充填して蓋で密封後、20℃で1時間の状態調節を行った後、高さ1.2mの位置からコンクリート床面に底部が当たるようにして繰り返し垂直落下する。成形体が破損した時の落下回数(n)から1を引いた値(n−1)を落下強度とし、1種類につき20個の試料について試験し、その平均値を算出する。但し、落下回数の上限は20回とし、20回落下を繰り返しても破損しないものは不破壊とする。

0091

実施例1
(i)共役ジエン系合成ゴムラテックスの製造
ステンレス製重合反応器にアクリロニトリル30部、1,3−ブタジエン70部、脂肪酸石ケン2.4部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.5部及び水200部を装入して、窒素雰囲気下において、撹拌下、45℃で20時間重合反応を行い、転化率90%で重合を終了した。未反応の単量体を減圧ストリッピングにより除き、固形分濃度約30%の共役ジエン系合成ゴムラテックスを得た。また、ラテックスより固形分を回収し、乾燥後、元素分析によりゴム中の1,3−ブタジエン及びアクリロニトリル単位含有量を求めたところ、1,3−ブタジエン単位が71%、アクリロニトリル単位が29%であった。

0092

(ii)グラフト重合体の製造
ステンレス製重合反応器に上記(i)のラテックス(固形分量)10.5部、アクリロニトリル17.5部、アクリル酸メチル1.25部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.29部、ポリビニルピロリドン0.10部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.035部、及び、水150部を仕込み、撹拌下、窒素雰囲気下で58℃に昇温した。その後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.10部を含む水溶液の継続的添加を開始して重合を開始した。

0093

重合開始時より起算して30分後(総転化率2%)、重合開始剤の継続的添加を終了した後、重合系にリン酸を加えてpHを3.0とし、次いで、後添加単量体として、アクリロニトリル15部、N−フェニルマレイミド4.64部、スチレン2.6部及びアクリル酸メチル1.07部、並びに、分子量調節剤としてペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.61部を2時間かけて継続的に添加しながら、58℃で重合を続行した。

0094

次いで、重合開始時より起算して2時間30分後(総転化率27%)から、アクリロニトリル37.5部、N−フェニルマレイミド5.36部、スチレン8.04部、アクリル酸メチル2.68部及びペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)1.54部を5時間かけて継続的に添加しながら、58℃で重合を続行した。

0095

更に、重合開始時より起算して7時間30分後(総転化率78%)から、スチレン4.36部及びペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.31部を1時間かけて継続的に添加しながら、58℃で重合を継続した。尚、単量体とは別に、重合開始からジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.15部、ポリビニルピロリドン0.41部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.14部及び水85部をほぼ一定の速度で7時間30分かけて継続的に添加し、この間、重合開始時より起算して30分後から6時間後まではリン酸も継続的に添加して、重合系のpHを約3.0±0.3に保って重合を行った。重合開始から9時間が経過した時点で重合反応を停止した。

0096

得られたラテックスに、ラテックスに含まれる重合体100重量部に対し、硫酸アルミニウム3.7重量部を添加、混合して重合体組成物を凝集させ分離した。得られた重合体組成物を10重量倍の水を用いて80℃において100分間洗浄した。次いで、濾別し、流動乾燥機を用いて100℃において10分間乾燥して粉粒体状の重合体組成物を得た。主要な重合条件を〔表1〕に示す。また、得られた重合体組成物の特性を上記方法により測定し、その結果を〔表2〕に示す。他の実施例についても同様に、〔表1〕及び〔表2〕に示す。

0097

実施例2
N−フェニルマレイミド全量を、重合開始時より起算して30分後から6時間半後まで、ほぼ一定の速度で継続的に添加した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。以下、実施例1(ii)と同様な操作により、粉粒体状重合体組成物を得た。以降の実施例及び比較例も同様である。

0098

実施例3
N−フェニルマレイミド全量を、重合開始時より起算して30分後から3時間半後まで、ほぼ一定の速度で継続的に添加し、スチレンの添加を、重合開始より起算して30分後〜3時間30分後に4.21部、同じく3時間30分後〜7時間30分後に6.43部、同じく7時間30分後〜8時間30分後に4.36部とした以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0099

実施例4
N−フェニルマレイミド全量のうち、7.5部を重合開始前に仕込み、残りの2.5部を、重合開始時より起算して30分後から1時間30分後まで、ほぼ一定の速度で継続的に添加し、スチレンの添加を、重合開始より起算して30分後〜1時間30分後に1.3部、同じく1時間30分後〜7時間30分後に9.34部、同じく7時間30分後〜8時間30分後に4.36部とした以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0100

実施例5
N−フェニルマレイミド全量を、重合開始前に仕込んだ以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0101

実施例6
重合反応の停止を重合開始から9時間30分が経過した時点で行い、凝固剤を硫酸マグネシウムに変更した以外は、実施例5と同様に重合を行い、重合体組成物を得た。

0102

実施例7
実施例1(ii)の単量体添加方法を変更し、アクリロニトリル13.5部、アクリル酸メチル1.5部を重合開始前に仕込み、重合開始時より起算して、30分後〜2時間30分後までにアクリロニトリル10.4部、N−フェニルマレイミド9.3部、スチレン3.5部、アクリル酸メチル2.4部を継続的に添加し、同じく2時間30分後〜7時間30分後までにアクリロニトリル26.1部、N−フェニルマレイミド10.7部、スチレン10.7部、アクリル酸メチル6.1部を継続的に添加し、同じく7時間30分後〜8時間30分後までスチレン5.8部を継続的に添加した以外は実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0103

実施例8
実施例1(i)の単量体添加方法を変更し、アクリロニトリル20部、アクリル酸メチル0.5部を重合開始前に仕込み、重合開始時より起算して、30分後〜2時間30分後までにアクリロニトリル17.1部、N−フェニルマレイミド3.7部、スチレン1.7部、アクリル酸メチル0.4部を継続的に添加し、同じく2時間30分後〜7時間30分後までにアクリロニトリル42.9部、N−フェニルマレイミド4.3部、スチレン5.4部、アクリル酸メチル1.1部を継続的に添加し、同じく7時間30分後〜8時間30分後までスチレン2.9部を継続的に添加した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0104

実施例9
N−フェニルマレイミドの代わりにN−シクロヘキシルマレイミドを使用した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0105

実施例10
アクリル酸メチルの代わりに酢酸ビニルを使用した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0106

実施例11
実施例1(i)の合成ゴムラテックスの使用量(固形分量)を5部に変更し、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)の添加を重合開始時より起算して、30分後〜2時間30分後に0.54部、同じく2時間30分後〜7時間30分後に1.34部、同じく7時間30分後〜8時間30分後に0.27部とした以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0107

実施例12
実施例1(i)の合成ゴムラテックスの使用量(固形分量)を30部に、過硫酸カリウムを0.18部に変更し、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)の添加を重合開始時より起算して、30分後〜2時間30分後に0.88部、同じく2時間30分後〜7時間30分後に2.18部、同じく7時間30分後〜8時間30分後に0.44部とした以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0108

実施例13
残部の単量体及び分子量調節剤の添加を、重合開始時より起算して45分後から開始し、以降全体的に15分ずつ繰り下げて添加した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0109

実施例14
実施例1(ii)で、重合開始時より起算して7時間30分後から添加する単量体及び分子量調節剤を9時間後まで添加し、重合開始から10時間が経過した時点で反応を停止した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0110

実施例15
スチレンの添加を、重合開始時より起算して30分後〜2時間30分後に2.25部、同じく2時間30分後〜7時間30分後に6.75部、同じく7時間30分後〜8時間30分後に6部とした以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0111

比較例1
実施例1(ii)の単量体添加方法を変更し、アクリロニトリル13.5部、アクリル酸メチル1.5部を重合開始前に仕込み、重合開始時より起算して、30分後〜2時間30分後までにアクリロニトリル7.6部、N−フェニルマレイミド11.6部、スチレン4.4部、アクリル酸メチル2.4部を継続的に添加し、同じく2時間30分後〜7時間30分後までにアクリロニトリル18.9部、N−フェニルマレイミド13.4部、スチレン13.4部、アクリル酸メチル6.1部を継続的に添加し、同じく7時間30分後〜8時間30分後までスチレン7.2部を継続的に添加した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。主要な重合条件を〔表3〕に示す。また、得られた結果を〔表4〕に示す。他の比較例も同様に〔表3〕及び〔表4〕に示す。

0112

比較例2
実施例1(ii)の単量体添加方法を変更し、アクリロニトリル21.25部、アクリル酸メチル0.5部を重合開始前に仕込み、重合開始時より起算して、30分後〜2時間30分後までにアクリロニトリル18.21部、N−フェニルマレイミド2.3部、スチレン1.4部、アクリル酸メチル0.4部を継続的に添加し、同じく2時間30分後〜7時間30分後までにアクリロニトリル45.54部、N−フェニルマレイミド2.7部、スチレン4.3部、アクリル酸メチル1.1部を継続的に添加し、同じく7時間30分後〜8時間30分後までスチレン2.3部を継続的に添加した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0113

比較例3
実施例7の単量体添加方法を変更し、アクリロニトリル7.5部、N−フェニルマレイミド3部、スチレン3部、アクリル酸メチル1.5部を重合開始前に仕込み、重合開始時より起算して、30分後〜2時間30分後までにアクリロニトリル12.1部、N−フェニルマレイミド7.9部、スチレン3部、アクリル酸メチル2.4部を継続的に添加し、同じく2時間30分後〜7時間30分後までにアクリロニトリル30.4部、N−フェニルマレイミド9.1部、スチレン9.1部、アクリル酸メチル6.1部を継続的に添加し、同じく7時間30分後〜8時間30分後までスチレン4.9部を継続的に添加した以外は、実施例7と同様にして重合を行った。

0114

比較例4
N−フェニルマレイミド全量を、重合開始時より起算して30分後から8時間半後まで、ほぼ一定の速度で継続的に添加した以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0115

比較例5
N−フェニルマレイミドの添加を重合開始より起算して30分後〜2時間30分後に2.14部、同じく2時間30分後〜7時間30分後に7.86部、同じく7時間30分後〜8時間30分後に添加なしとし、且つ、スチレンの添加を、重合開始より起算して30分後〜2時間30分後に3.22部、同じく2時間30分後〜7時間30分後に11.78部、同じく7時間30分後〜8時間30分後に添加なしとした以外、実施例1(ii)と同様に重合を行った。

0116

比較例6
実施例1(ii)において、重合開始時より起算して7時間30分後から8時間30分後まで、分子量調節剤の添加を行わなかった以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0117

比較例7
スチレンの添加を、重合開始時より起算して30分後〜2時間30分後に2.5部、同じく2時間30分後〜7時間30分後に5.5部、同じく7時間30分後〜8時間30分後に2部とした以外は、実施例8と同様にして重合を行った。

0118

比較例8
残部の各単量体を、重合開始時より起算して30分後から7時間30分後までほぼ一定の速度で継続的に添加した以外、実施例1(ii)と同様に重合を行った。

0119

比較例9
全単量体を重合開始前に仕込んだ以外は、実施例1(ii)と同様にして重合を行った。

0120

比較例10
グラフト重合用単量体としてスチレンを全く使用せず、N−フェニルマレイミドを25部使用した以外は、比較例9と同様にして重合を行った。

0121

なお、実施例1〜5及び7並びに比較例3に関し、添加した単量体の重合時間毎の組成、及び単位時間当たりに生成した重合体のグラフト重合用単量体単位の組成を〔表5〕〜〔表11〕に示す。

0122

成形例1
実施例1、11及び12で得られた重合体組成物を、それぞれ50mmφ単軸押出機を用い、成形温度200℃で溶融、混練してペレット化した。次いで得られた各ペレット射出延伸ブロー成形機〔日精ASB(株)製、型式:ASB−50、口径32mm〕を用い、成形温度215℃、延伸倍率:縦2倍、横3倍の条件下で射出延伸ブロー成形して丸型中空成形体(ボトル,全長:185mm、胴径:70mm、容量:500ml、肉厚:0.5mm)を得た。

0123

成形例2
成形例1で得られた各ペレットを押出ブロー成形機〔(株)タハラ製、型式:TKVF−454H、口径45mm〕を用い、成形温度210℃、ブロー比3で押出ブロー成形して丸型中空成形体(ボトル,全長:190mm、胴径:70mm、容量:500ml、肉厚:0.8mm)を得た。

0124

成形例1及び2で得られた中空成形体の熱収縮率及び落下強度を上記方法により測定し、その結果を〔表12〕に示す。

0125

0126

0127

0128

0129

0130

0131

0132

0133

0134

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0137

〔表の簡単な説明〕〔表1〕及び〔表3〕は、それぞれ実施例、比較例に示した各重合体組成物及びその製造方法に関し、初期添加及び残部の単量体添加量、共役ジエン系合成ゴムの添加量、残部の各単量体と分子量調節剤の添加開始時間及び終了時間(重合開始剤添加開始(重合開始)時を0とする)、同添加開始時及び終了時の各総転化率、添加速度を変化させる単量体(C)の各段階における(C)全量に対する添加割合(単位:%)を示したものである。

0138

〔表2〕及び〔表4〕は、それぞれ実施例、比較例で得られた各重合体組成物に関し、グラフト重合用単量体総添加組成及び重合体組成、共役ジエン系合成ゴムの添加量、全単量体の最終転化率、マレイミド系単量体(B)の最終総転化率とラテックス中の残存濃度(重合体ベース)、及び重合体組成物中の残留濃度、重量平均分子量(Mw)、Mwを数平均分子量(Mn)で除した多分散度(分子量分布:Mw/Mn)、荷重たわみ温度(以下、HDTという)及びビカット軟化点、アイゾッド衝撃強度(Izod値)、メルトインデックス(以下、MI値という)及びスウェルを示している他、黄色度(YI値)、曇り度(Haze)及び光線透過率、酸素透過係数を示したものである。

0139

なお、各表において、ANはアクリロニトリル、NPMIはN−フェニルマレイミド、Stはスチレン、MAはアクリル酸メチル、CHMIはN−シクロヘキシルマレイミド、VAcは酢酸ビニルをそれぞれ表す。

0140

〔表5〕〜〔表11〕は、実施例1〜5及び7並びに比較例3に関し、添加した単量体の組成と単位時間当たりに生成した重合体のグラフト重合用単量体単位の組成を示したものである。

0141

〔表12〕は、実施例1、11及び12で得られた各重合体組成物を、射出延伸ブロー成形または押出ブロー成形して得た中空成形体の熱収縮率と落下強度を示したものである。

0142

〔実施例及び比較例の考察〕不飽和ニトリル系単量体50重量%以上を含む単量体混合物を重合して得られる高ニトリル系重合体組成物では、成形温度を上げると色相黄変して劣化が起こり、高温での成形は好ましくないため、MI値が高いことが好ましく、少なくともMI値が1g/10minを有することが好ましい。また、重合体組成物をブロー成形する等して、例えば、自動車等の内部に配設される容器部品等、熱充填が可能な包装容器等を製造する場合、耐熱性が高いことが好ましく、HDTが低くとも100℃を有することが好ましい。また、重合体組成物を成形して、食品や医薬品等と接触する機会のある包装材料等を製造する場合、重合体組成物中に残留する未反応のマレイミド系単量体が溶出しないことが重要であり、該残留濃度が低いことが好ましく、200重量ppm以下である必要がある。

0143

本発明によれば、従来の技術では不十分であった、ゴム変性高ニトリル系重合体組成物における、耐熱性と安全衛生性の改良が達成される。すなわち、グラフト用単量体混合物中に、50〜80重量%の不飽和ニトリル系単量体、5〜25重量%のマレイミド系単量体、5〜25重量%であってマレイミド系単量体と同量もしくはそれ以上の芳香族ビニル系単量体、及びこれらと共重合可能な単量体1〜10重量%を含み、各単量体及び分子量調節剤の添加方法が、本発明の範囲内である実施例1〜15で得られたゴム変性高ニトリル系重合体組成物は、1g/10minのMI値をほぼ確保した上で、HDTが100℃レベルの耐熱性、20〜120の黄色度、2〜20kg・cm/cmのアイゾッド衝撃強度、1×10-13 〜5×10-12 cm3 (STP)・cm/cm2 ・sec・cmHgの酸素透過係数を有し、且つ、残留するマレイミド系単量体の濃度が200重量ppm以下に制御され、該単量体が、溶出試験においても検出されないレベルに達している。

0144

また、本発明の重合体組成物をブロー成形した中空成形体に関しても、100℃レベルの耐熱性を有しており、落下強度についても実用レベルに達している。

0145

一方、グラフト用単量体混合物中のアクリロニトリルが50重量%未満である比較例1は、酸素透過係数が高くガスバリアー性が劣っている。逆にアクリロニトリルが80重量%を超えている比較例2は、MI値が1g/10minのレベルに達しておらず、加工流動性が劣っている他、黄色度が高く色調が低下している。初期添加単量体の組成が本発明の範囲外である比較例3は、〔表11〕に示すように、アクリロニトリルの組成が著しく低い重合体が生成しており、ガスバリアー性も低下している。後添加する残部の各単量体のうち、N−フェニルマレイミドの添加方法が本発明の範囲外である比較例4、N−フェニルマレイミドとスチレンのみ添加速度を段階的に大きくして添加し、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、アクリル酸メチルの添加終了後、スチレンの添加を行わなかった比較例5、及び残部の各単量体をほぼ一定の速度で添加し、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、アクリル酸メチルの添加終了後、スチレンの添加を行わなかった比較例8は、いずれもN−フェニルマレイミドの最終転化率が低く、残留濃度が高くて本発明の範囲外になっている。比較例5及び比較例8については透明性も劣っている。

0146

また、残部の各単量体の添加方法が本発明の範囲内であっても、分子量調節剤の添加方法が本発明の範囲外である比較例6、及びアクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、アクリル酸メチルの添加終了後に添加するスチレンの添加割合が本発明の範囲外である比較例7は、N−フェニルマレイミドの残留濃度の低減が不十分であり、本発明の範囲外になっている。更に、全単量体を初期に一括して添加した比較例9及び比較例10は、N−フェニルマレイミドの最終総転化率が低く、残留濃度も高くて本発明の範囲外になっている他、MI値がいずれも1g/10minのレベルに達しておらず、加工流動性が劣っていて、透明性も低下している。特に、スチレンを使用しなかった比較例10は、全単量体の最終総転化率も低く、N−フェニルマレイミドの残留濃度も一段と高い。

発明の効果

0147

本発明の耐熱性高ニトリル系重合体組成物は、ゴム変性高ニトリル系重合体組成物が本来有するガスバリアー性、耐薬品性等の特性を維持しつつ、耐熱性が改善され、且つ、重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度が低位に制御され、安全衛生性が改良された高ニトリル系重合体組成物である。

0148

具体的には、重合体組成物中に残留するマレイミド系単量体の濃度が、200重量ppm以下に制御されており、且つ、成形物の黄色度が20〜120、アイゾッド衝撃強度が2〜20kg・cm/cm、酸素透過係数が1×10-13 〜5×10-12 cm3 (STP)・cm/cm2 ・sec・cmHgの特性を有している。かかる重合体組成物は、ブロー成形、射出成形、押出成形等の原料として使用できる。特に、ブロー成形による中空成形体の製造に適している。

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