図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
火災に遭遇したときに、火炎が貫通して延焼するのを抑制する開口部用ガラス板においては、昭和44年建設省告示第2999号に規定する防火戸加熱試験方法により特定時間加熱し、平成2年建設省告示第1125号に規定する遮炎性能、遮煙性能、構造安定性能を満足する必要がある。かかるガラス板、すなわち甲種あるいは乙種防火戸として好適に採用し得るガラス板については従来各種の提案が為されている。
例えば熱膨張率が低く軟化点の高いボロシリケート系ガラスや含リチウム珪酸系ガラス、あるいは透明結晶化ガラスを提唱した例があるが、きわめて特殊な組成であり、高温下における高度の製造技術を必要とし、コストも高価であり、広く普及するうえでは難がある。
また水性ゲルを一対のガラス板で挟着した複層ガラスタイプの防火ガラスも提唱されており、火災による加熱に際しては水性ゲルの発泡による熱絶縁により、火炎の進出を防止することができるとされている。これは前記熱絶縁作用により被加熱側の過熱を防ぐという点において優れたものであるが、その製造に際して複雑な工程、高度の技術を要し、コストも多大となること、全体厚みが厚く、大サイズとすると重量が増大し取扱施工も容易でないこと、前記加熱に際しての水性ゲルの発泡により透視性を損なって消火活動に支障を来すこと等の理由により広く採用され難い。
これら公知技術の課題を解消すべく特公昭58−52929 号には、ソーダ石灰系ガラス板を全面にわたってほぼ均一に熱強化処理せしめたもので、その表面圧縮応力が26Kg/mm2 以上とした防火窓ガラス板が開示されている。
概要
従来技術においては、ガラス板を軟化点付近まで加熱し、さらに厳しいエアーブラスティングその他の急冷手段を採用して過度の強化を強いることにより、ガラス板に波、うねり、歪等の欠陥が生じ、透視窓用ガラス板としての基本的性能が損なわれる。
ソーダ石灰系ガラス板を徐冷点以上に加熱し、急冷により強化する熱強化処理によるところの防火ガラスであって、前記熱強化に際してガラス板の粘度が109ポイズに相当する温度、またはそれ以下に加熱し、エアーブラスティングにより急冷することにより、ガラス板の表面圧縮応力が1700〜2400Kg/cm2 の範囲となるべく調製した防火ガラス。
目的
本発明は上記課題を解消し、強化が比較的容易で所望の防火性能を有し、かつ上気歪等の欠陥が生ずることのない防火ガラスを提供するものである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 10件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
- 特殊ウィング
- ガラスの再成形、後処理、切断、輸送等
- ガラスの表面処理
- ガラスの接着
- ガラス組成物(第三版)
請求項1
ソーダ石灰系ガラス板を徐冷点以上に加熱し、急冷により強化する熱強化処理によるところの防火ガラスであって、前記熱強化に際してガラス板の粘度が109ポイズに相当する温度、またはそれ以下に加熱し、エアーブラスティングにより急冷することにより、ガラス板の表面圧縮応力が1700〜2400Kg/cm2 の範囲となるべく調製したことを特徴とする防火ガラス。
請求項2
請求項3
フロート法、または機械的研磨法によるところの磨き板ガラスの組成が、SiO2 68 〜 71 wt%、 Al2O3 1.6〜 3 wt%、CaO 8.5〜 11 wt%、 MgO 2 〜 4 wt%、Na2O 12.5〜 16 wt%、 K2O 0.9〜 3 wt%、以上の和が97wt%以上であり、かつSiO2+Al2O3 70 〜 73 wt%、 CaO +MgO 12 〜 15 wt%、Na20+K20 13.5〜 17 wt%、からなることを特徴とする請求項2記載の防火ガラス。
請求項4
請求項5
ガラス板端縁における研磨仕上げ部の最大粗さを20μm 以下としたことを特徴とする請求項4記載の防火ガラス。
請求項6
技術分野
0001
本発明は建築物などの扉、窓等の開口部に適用されるガラス板であって、火災に遭遇したときに火炎を遮断し、かつ透視性を維持して消火活動を妨げることがなく、いわゆる乙種防火戸として適用し得る防火ガラスに関する。
背景技術
0002
火災に遭遇したときに、火炎が貫通して延焼するのを抑制する開口部用ガラス板においては、昭和44年建設省告示第2999号に規定する防火戸加熱試験方法により特定時間加熱し、平成2年建設省告示第1125号に規定する遮炎性能、遮煙性能、構造安定性能を満足する必要がある。かかるガラス板、すなわち甲種あるいは乙種防火戸として好適に採用し得るガラス板については従来各種の提案が為されている。
0003
例えば熱膨張率が低く軟化点の高いボロシリケート系ガラスや含リチウム珪酸系ガラス、あるいは透明結晶化ガラスを提唱した例があるが、きわめて特殊な組成であり、高温下における高度の製造技術を必要とし、コストも高価であり、広く普及するうえでは難がある。
0004
また水性ゲルを一対のガラス板で挟着した複層ガラスタイプの防火ガラスも提唱されており、火災による加熱に際しては水性ゲルの発泡による熱絶縁により、火炎の進出を防止することができるとされている。これは前記熱絶縁作用により被加熱側の過熱を防ぐという点において優れたものであるが、その製造に際して複雑な工程、高度の技術を要し、コストも多大となること、全体厚みが厚く、大サイズとすると重量が増大し取扱施工も容易でないこと、前記加熱に際しての水性ゲルの発泡により透視性を損なって消火活動に支障を来すこと等の理由により広く採用され難い。
0005
これら公知技術の課題を解消すべく特公昭58−52929 号には、ソーダ石灰系ガラス板を全面にわたってほぼ均一に熱強化処理せしめたもので、その表面圧縮応力が26Kg/mm2 以上とした防火窓ガラス板が開示されている。
発明が解決しようとする課題
0006
しかし上記開示例は、ガラス板を軟化点付近まで加熱し、さらに厳しいエアーブラスティングその他の急冷手段を採用して過度の強化を強いることにより、ガラス板に波、うねり、歪等の欠陥が生じ、透視窓用ガラス板としての基本的機能が損なわれる。
0007
本発明は上記課題を解消し、強化が比較的容易で所望の防火性能を有し、かつ上気歪等の欠陥が生ずることのない防火ガラスを提供するものである。
課題を解決するための手段
0008
本発明は、ソーダ石灰系ガラス板を徐冷点以上に加熱し、急冷により強化する熱強化処理によるところの防火ガラスであって、前記熱強化に際してガラス板の粘度が109ポイズに相当する温度、またはそれ以下に加熱し、エアーブラスティングにより急冷することにより、ガラス板の表面圧縮応力が1700〜2400Kg/cm2 の範囲となるべく調製した防火ガラス、前記防火ガラスにおけるガラス板がフロート法,または機械的研磨法によるところの磨きガラス板であること、前記フロート法、または機械的研磨法によるところの磨き板ガラスの組成が、
SiO2 68 〜 71 wt%、 Al2O3 1.6〜 3 wt%、
CaO 8.5〜 11 wt%、 MgO 2 〜 4 wt%、
Na2O 12.5〜 16 wt%、 K2O 0.9〜 3 wt%、
以上の和が97wt%以上であり、かつSiO2+Al2O3 70 〜 73 wt%、 CaO +MgO 12 〜 15 wt%、Na20+K20 13.5〜 17 wt%、からなること、さらにガラス板を、熱強化処理に先立って端縁部全周にわたり研磨仕上げしたこと、前記ガラス板端縁における研磨仕上げ部の最大粗さを20μm 以下としたこと、加えてガラス板の両面に熱線反射性物質を被膜したこと、からなる。
発明を実施するための最良の形態
0011
なお、通常のクリアーなソーダ石灰系ガラスは組成範囲が特定されているわけではないが、大略以下の範囲、すなわち、SiO2 70wt%オーダー、 Al2O3 0〜2wt%前後、CaO +MgO 10〜20wt% (通常MgO は4wt%前後含まれる) 、Na20+K20 10〜20wt% (通常Na2Oは13wt%以下程度含まれる) 、その他若干量のFe2O3 、TiO2、SO3 等を含む。
0012
これに対し本出願人は特に熱強化容易なガラスとして、上記成分組成に対し組成範囲を限定したいわゆる易強化ガラス組成物を提唱しており(特願昭61−87196 号)、該組成物を採用すれば溶融成形性、耐候性等も優れるので好都合である。なお、成分組成は以下の範囲、すなわち、
SiO2 68 〜 71 wt%、 Al2O3 1.6〜 3 wt%、
CaO 8.5〜 11 wt%、 MgO 2 〜 4 wt%、
Na2O 12.5〜 16 wt%、 K2O 0.9〜 3 wt%、
以上の和が97wt%以上であり、かつSiO2+Al2O3 70 〜 73 wt%、 CaO +MgO 12 〜 15 wt%、Na20+K20 13.5〜 17 wt%、からなる。
0014
ガラス板のサイズは特定するものではなく、熱強化処理手段の処理可能なサイズの範囲において各種サイズのものが採用でき、通常数百mm□程度から数千mm□の範囲において適宜採用できる。
0015
ガラス板の厚みは、高厚であるほど熱強化処理が容易であるのはいうまでもないが、厚み十数mm程度のものから6mmないしその前後のものまで熱強化処理が可能である。取扱施工性を考慮すれば6mm前後〜8mm前後のものを採用するのが好ましい。
0016
熱強化処理手段も特定するものではないが、例えばガラス板を鉛直状態に保持しつつ熱強化する装置では、ガラス板懸垂手段等にもとづくガラス板への局部的な凹状痕跡が生じ、強化の均一性を損なうので好ましくない。これに対しガスハース、ローラーハース等のいわゆる水平強化装置によればそのような弊害を排除できるので好適に採用し得る。
0017
ガラス板は熱強化に先立ち、その端縁部を研削、研磨することにより、ともすれば起点となり易い該部からの亀裂の発生を極力防ぐことができ、また、ばらつきの少ない安定した再現性のよい防火性能を得ることができる。
0018
図1はガラス板の端縁部を研削、研磨した断面図を示すもので、例えばガラス板1の表面と斜断面Xとの為す角θは30〜60°とし、斜断面Xの巾Cは1〜3mm程度とすべく、端縁部の研削、研磨処理を施す。この場合、木端面および糸面の最大粗さは20μm 以下とするもので、上記上限を越えると加熱に際して該部を起点とする亀裂が発生し易い。より好適には10μm 以下とするのが望ましい。なお最大粗さの下限は限定するものではないが、2μm 以下程度に研磨しても防火性能を向上できるわけではなく、却って加工コストを増大するので、得策とはいえない。
0019
あるいは端面を円弧状、いわゆるカマボコ型としてもよく、円弧状端面の最大粗さは上記同様な理由により20μm 以下、より好ましくは10μm 以下とするものである。但し、加工の容易さを考慮すれば前記糸面取り加工の方が容易であり、研磨傷等の防火性能を阻害するような欠陥の発生もない。
0020
さらにガラス板の両面に熱線反射性膜、すなわち熱線反射膜、低放射率膜等と称される金属酸化物膜、金属膜、それらの積層膜などを被膜することにより、輻射熱を効果的に反射し、加熱に際するガラス板自体の著しい昇温を抑制できる。ガラス板中央部と、端面部の温度差は加熱後10〜13分で最大となり、熱線反射性膜のない場合は 350℃を越えるが、熱線反射性膜を被膜したものは 270℃ないし300℃以下となり、その分ガラス板の耐加熱性能を向上できる。
0021
ソーダ石灰系ガラス板の熱強化処理に際して、ガラス板はその粘度が109ポイズに相当する温度、またはそれ以下の温度に加熱することを必須とする。当該温度はソーダ石灰系ガラスの組成により若干の違いはあるが、通常のソーダ石灰系ガラスにおいてほぼ 650℃ないし 660℃となる。ガラス板が109 ポイズより低い粘度、すなわちより高い加熱温度とすると、ガラス板が軟化し過ぎエアーブラスティングに際しての板面の波、うねり等の歪が目立つ傾向にある。なお熱強化に際する粘度の上限は特定しないが1010ポイズ程度、加熱温度において 620℃ないし 630℃程度とするもので、それ以上ではガラス板における所望の表面圧縮応力が得られ難い。なお、易強化組成においてはより低い温度で所望の表面圧縮応力を得ることができ、その分強化が容易となる。
0022
エアーブラスティングは冷風圧力を上昇しても直線比例してガラス板の表面圧縮応力が向上するわけではなく、高い表面圧縮応力を得るにはより著しい冷風圧力が必要となる。
0023
これら熱強化処理条件を勘案すると、実操上、ガラス板の加熱温度を該ガラスの粘度が109ポイズに相当する温度、またはそれ以下の温度であって、ガラス板の表面圧縮応力は2400Kg/cm2 以下とするのが適正である。なお表面圧縮応力が1700Kg/cm2 未満では耐火安定性、再現性を考慮すれば乙種防火戸用として推奨し難い。
0024
得られた防火ガラスは、運送、保管、施工に際してその表面や端面に傷が生ずると防火性能が損なわれることになる。従って表面の保護、端面の保護を施すのが望ましい。表面の保護についてはガラス板相互を重ね積みした際の擦り傷等の発生が懸念されるが、通常行われている合紙の挿入、または粉末スペーサーの介在、あるいは更に板表面への有機質膜の張着(当業界においては養生膜と称する) 等の処置を施すことにより、板面保護することができる。
0025
特に周辺の物品、機器との接触により傷を生じ易い端面の保護については、該端面への樹脂系テープ(無機粉剤、金属粉剤の混在を含む) 、無機系テープ (例えばガラスクロステープ、炭素繊維テープなどの無機繊維編組テープ等) 、金属質テープ (例えばアルミニウムテープ、スチールテ−プ、亜鉛テープ、それらの細孔穿設テープ、細線編組テ−プ等) などの巻着、前記同様な樹脂系、無機系等の塗料の塗布や、いわゆるエンキャプシュレーションと称する端面部被覆層形成手段等により端面保護を容易に行える。
0026
このようにして製造された防火ガラスは、そのまま単板として使用することができるが、複層ガラスや合せガラスとして、例えば一方のガラス板を本発明におけるガラス板とし、他方のガラス板を通常のガラス板、または従来の強化法によるガラス板、あるいは本発明におけるガラス板としてもよい。なお合せガラスとする場合はポリメタロシロキサン等の耐熱、耐火性の中間膜を採用するのが好ましい。
0028
−通常のガラス組成からなるる防火ガラスの例−
〔防火ガラス試料の製作〕サイズ 610mm□×8mm(厚) 、および 610mm□×6mm(厚) の板厚の異なる2種のフロート法で製板した通常のソーダ石灰系の無色透明ガラス板を多数準備し、その周縁部をダブルエッジャーにより図1に示す如く研削、研磨した。なお糸面の巾tは2mmで砥粒サイズを各種換えたものについて糸面−木端面にわたりポリッシャー仕上げ(ガラス表面最大粗さは数μm ないし20μm ) した。
0029
ガラス組成は以下の組成、すなわち、
SiO2 71.6 wt%、 Al2O3 2.0 wt %、
Fe2O3 0.1 wt%、 CaO 8.3 wt %、
MgO 3.7 wt%、 Na2O 12.9 wt %、
K2O 1.1 wt%、 からなる。
0030
次に、これをローラーハース炉に投入し、加熱ゾーンで各種設定温度にガラス板を昇温保持後、風冷ゾーンにおいてガラス板に近接して配置した多数のブラストヘッドより冷却空気を設定圧力(風圧) で噴射し、ガラス板を急冷強化し、防火ガラス試料とした。
0033
上記各種条件、結果、すなわち防火ガラス試料の厚み、端縁部 (糸面および木端面) 最大粗さ、熱強化条件 (ローラーハース炉加熱ゾーン通過時における試料温度、ブラストヘッドにおける冷風圧力) 等の条件および表面圧縮応力の測定結果を表1に示す。
0034
〔各種試験〕
(歪検査)各防火ガラス試料については、公知のゼブラボード法により歪検査した。すなわちゼブラボードをガラス板面に反射させその反射映像を肉眼観察する歪検査法であり、通常の正常なガラス板を基準として判別し、通常のガラス板並=良、上記より稍劣るが使用可能=可、歪が甚だしく使用困難=不可、 に区分し表1に併せて示した。
0035
(防火試験)各ガラス試料を昭和44年建設省告示第2999号に規定する防火戸加熱試験方法に基づき添付図2に示す炉の加熱温度曲線に従って20分加熱し、平成2年建設省告示第1125号に規定する遮炎性能、遮煙性能、構造安定性能について試験した。なお前記20分加熱は乙種防火戸に適用されるものである。
0036
防火ガラス試料は鋼製アングル間にかかり代8mmで、試料縁部域周囲にはセラミックウール製バックアップ材、シリコーン製シーリング材により、また試料端面は珪酸カルシウム製セッティングブロックにより支持し固定する。
0037
図3は加熱試験炉の部分側断面図であり、加熱試験炉2の開口部に防火ガラス試料(ガラス板) 1を図示のごとく配置し、加熱試験に供する。しかして上記の如く20分加熱し、加熱後、裏面側 (炉外側) での炎の発生の有無、加熱面において隙間、亀裂の発生の有無、加熱に際し裏面側での煙の発生の有無を肉眼観察し、さらに加熱終了後防火ガラス試料の裏面側上方よりロープで吊下げられた重量3kgの砂袋(図3において符号3で示す) を鉛直距離50cmの高さから落下させて衝撃を与え、試料の破壊、脱落の有無を肉眼観察した。これらの結果は表2に示す。
0038
また、幾つかの防火ガラス試料については、ガラス板中央部表裏面の温度、および端面部温度を測定した。うち一部の試料についてガラス板中央部温度 (表裏面の平均温度) と端面部温度の温度差が最大となったときの加熱温度(分) 、その温度差を表2に併せて示す。
0039
〔結果〕防火ガラス試料NO.1は表面圧縮応力が低く加熱開始後10分以下で亀裂、破損が発生し、防火ガラスとして適用し得ない。
0040
試料NO.11 は加熱温度が高く表面圧縮応力は2400Kg/cm2 を越え防火性能上は問題ないが、歪が著しく使用し難い。試料NO.2〜10およびNO.12 〜14は、歪検査においても良ないし可と判断され、また防火試験においてもいずれも良好であり、防火ガラスとして好適である。なお表示のごとく熱線反射膜(ステンレススチ−ル膜、窒化チタン膜のガラス板両面への積層) を被膜したガラスと被膜しないガラスとでは、前者の最大温度差(ガラス板中央部温度と端部温度との差の最も大きかった値) は後者の最大温度差に比べ多分に低く、従ってガラスへの被膜の積層により防火性能を付与せしめ得ることが明白である。
0041
0042
0043
−易強化ガラス組成からなる防火ガラスの例−
〔防火ガラス試料の製作〕サイズ 610mm□×8mm(厚) 、および 610mm□×6mm(厚) の板厚の異なる2種のガラス板であって、機械的研磨手段により製板・研磨(両面同時研磨:いわゆるデュープレックス法) した強化の容易なソーダ石灰系の無色透明ガラス板を多数準備した。
0044
ガラス組成は以下のとおりである。----A組成
SiO2 70.4 wt%、 Al2O3 2.0 wt %、
Fe2O3 0.1 wt%、 CaO 11.0 wt %、
MgO 2.0 wt%、 Na2O 13.2 wt %、
K2O 1.1 wt%。
0045
一部の試料については以下の組成のものを採用した。----B組成
SiO2 69.5 wt%、 Al2O3 2.0 wt %、
Fe2O3 0.1 wt%、 CaO 10.5 wt %、
MgO 2.5 wt%、 Na2O 13.5 wt %、
K2O 1.0 wt%。
0047
上記試料について実施例1同様に周縁部を研削、研磨した。なお糸面の巾tは2mmで砥粒サイズを各種換えたものについて糸面−木端面にわたりポリッシャー仕上げ(ガラス表面最大粗さは数μm ないし20μm ) した。
0048
次に、これらをローラーハース炉に投入し、加熱ゾーンで各種設定温度にガラス板を昇温保持後、風冷ゾーンにおいてガラス板に近接して配置した多数のブラストヘッドより冷却空気を設定圧力(風圧) で噴射し、ガラス板を急冷強化し、防火ガラス試料とした。
0050
上記各種条件、結果、すなわち防火ガラス試料の厚み、端縁部 (糸面および木端面) 最大粗さ、熱強化条件 (ローラーハース炉加熱ゾーン通過時における試料温度、ブラストヘッドにおける冷風圧力) 等の条件および表面圧縮応力の測定結果を表3に示す。
0051
〔各種試験〕
(歪検査)実施1と同様のゼブラボード法により歪検査し、評価した。結果は表3に示す。
0052
(防火試験)実施例1と同様の防火戸加熱試験方法に基づき加熱試験し、実施例1同様に評価した。結果は表4に示す。
0053
〔結果〕機械的研磨法により製板し、かつ易強化組成のガラス板を素板ガラスとするところの防火ガラス試料NO.1a 〜NO.6a は強化が容易であり、また機械的研磨により板表面が予めきわめて平坦に成形されたこと、および熱膨張係数が高くかつ熱伝導係数の低い易強化組成のガラスを採用したことにより、熱処理強化に際するガラス板温度が実施例1のガラスのそれに比べ5℃以上低温で済むことから、強化後の板表面の波、うねり等の歪も実施例1の防火ガラスに比べ低い。
0054
0055
発明の効果
0056
本発明によれば、強化が比較的容易で乙種防火戸として所望の防火性能を有し、かつ歪等の欠陥が生ずることもないという効果を奏する。
図面の簡単な説明
--
0058
1----ガラス板(防火ガラス試料) . 2----加熱試験炉
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