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課題
解決手段
数1
数2
概要
背景
従来、ストリップの連続溶融金属めっきにおけるめっき付着量の調整は、図1に示すように溶融金属めっき浴2の上方に一対のワイピングノズル3,4を設置して、めっき浴を通過して浴上方に連続的に走行するストリップ1に前記ワイピングノズル3,4からガスを噴射し、ストリップ面に付着した余剰の溶融めっき金属を掻き落とすことにより行われている。
このような連続溶融金属めっきにおけるめっき付着量の制御方法として、例えば特開平6−116696号公報には、めっき付着量Wをストリップのライン速度V、ワイピングノズルのガス噴射圧力P、ノズル−ストリップ間距離Bを因子とした関係式に基づいて制御する方法が開示されている。従来、このような因子を用いた関係式は多数発表されており、その中の1つとして例えば次のような関係式が知られている。
概要
溶融金属めっきにおいて、薄目付めっきから厚目付めっきまでのめっき付着量を常に高精度に制御すること
溶融金属めっき浴を通過して浴上方に連続的に走行するストリップに、めっき浴の上方位置においてワイピングノズルからガスを噴射することによりめっき付着量を制御する方法において、下記(1)式好ましくは下記(2)式を満足する条件(但し、Cw:めっき付着量、P:ワイピングノズルのガス噴射圧力、V:ライン速度、B:ノズル−ストリップ間距離(mm)、k1〜k4:重回帰計算により決定される定数、m1,m2:ワイピングノズル形状に基づく定数)でワイピングノズルからガスを噴射し、めっき付着量の制御を行う。
目的
一方、片面当り約30g/m2程度の薄目付から片面当り120g/m2程度の厚目付までの範囲のめっき付着量を得るためには、採用されるワイピングノズルのガス噴射圧力やノズル−ストリップ間距離等の操業条件も相当程度に広範なものとなる。したがって、このような広範な操業条件下において常に高精度にめっき付着量を制御するためには、上述しためっき付着量関係式が相当程度に高精度であることが必要となるが、上述した従来法ではこのような広範な操業条件の下でめっき付着量を常に高精度に制御することは困難であることが判った。したがって本発明の目的は、薄目付めっきから厚目付めっきまでのめっき付着量を常に高精度に制御することができるめっき付着量制御方法を提供することにある。
効果
実績
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
溶融金属めっき浴を通過して浴上方に連続的に走行するストリップに、めっき浴の上方位置においてワイピングノズルからガスを噴射することによりめっき付着量を制御する方法において、下記(1)式を満足する条件でワイピングノズルからガスを噴射し、めっき付着量の制御を行うことを特徴とする溶融金属めっきにおけるめっき付着量制御方法。
請求項
ID=000004HE=040 WI=096 LX=0570 LY=0550
請求項2
溶融金属めっき浴を通過して浴上方に連続的に走行するストリップに、めっき浴の上方位置においてワイピングノズルからガスを噴射することによりめっき付着量を制御する方法において、下記(2)式を満足する条件でワイピングノズルからガスを噴射し、めっき付着量の制御を行うことを特徴とする溶融金属めっきにおけるめっき付着量制御方法。
請求項
ID=000005HE=050 WI=100 LX=0550 LY=1150
--
0001
本発明は、鋼帯の連続溶融亜鉛めっき等の連続溶融金属めっきにおいて、めっき浴を通過して浴上方に連続的に走行するストリップに、めっき浴の上方位置においてワイピングノズルからガスを噴射し、めっき付着量を調整する際のめっき付着量制御方法に関する。
背景技術
0002
従来、ストリップの連続溶融金属めっきにおけるめっき付着量の調整は、図1に示すように溶融金属めっき浴2の上方に一対のワイピングノズル3,4を設置して、めっき浴を通過して浴上方に連続的に走行するストリップ1に前記ワイピングノズル3,4からガスを噴射し、ストリップ面に付着した余剰の溶融めっき金属を掻き落とすことにより行われている。
0003
このような連続溶融金属めっきにおけるめっき付着量の制御方法として、例えば特開平6−116696号公報には、めっき付着量Wをストリップのライン速度V、ワイピングノズルのガス噴射圧力P、ノズル−ストリップ間距離Bを因子とした関係式に基づいて制御する方法が開示されている。従来、このような因子を用いた関係式は多数発表されており、その中の1つとして例えば次のような関係式が知られている。
0004
また、特開平5−171395号公報には、めっき付着量に対するストリップ板厚の影響も考慮して上記の3つの制御因子(ライン速度V、ワイピングノズルのガス噴射圧力P、ノズル−ストリップ間距離B)に板厚tを組み合わせ、めっき付着量を次のような関係式で制御するめっき付着量制御方法が開示されている。
0005
さらに、特開平6−296923号公報には、ワイピングノズルからのガス噴流がノズル−ストリップ間距離によって展開領域と完全発達領域とに分けられ、これらの領域ではノズル−ストリップ間距離がめっき付着量に及ぼす影響が異なることを考慮し、展開領域と完全発達領域で次のような別々の関係式を用いてめっき付着量を制御する方法が開示されている。
0006
上記のような各付着量制御方法では、それぞれの関係式を用いてフィードフォワード制御またはフィードバック制御を行い、めっき付着量を制御するものである。したがって、めっき付着量を精度良く制御するためには、これらめっき付着量関係式の精度自体が重要な要素となる。
発明が解決しようとする課題
0007
しかしながら本発明者らが検討したところによれば、連続溶融金属めっきにおいてめっき付着量を高精度に制御するためには、上述した従来技術が用いている因子以外にも様々な要因や因子を考慮する必要があることが判った。すなわち、これらの要因や因子としては、例えばワイピングノズルからのガス噴流の領域を厳密に区別した場合、展開領域と完全発達領域の間に遷移領域と呼ばれる領域が存在することや、めっき浴温度、めっき浴成分、めっき浴への侵入板温度、ストリップの鋼種等の因子が挙げられる。
0008
一方、片面当り約30g/m2程度の薄目付から片面当り120g/m2程度の厚目付までの範囲のめっき付着量を得るためには、採用されるワイピングノズルのガス噴射圧力やノズル−ストリップ間距離等の操業条件も相当程度に広範なものとなる。したがって、このような広範な操業条件下において常に高精度にめっき付着量を制御するためには、上述しためっき付着量関係式が相当程度に高精度であることが必要となるが、上述した従来法ではこのような広範な操業条件の下でめっき付着量を常に高精度に制御することは困難であることが判った。したがって本発明の目的は、薄目付めっきから厚目付めっきまでのめっき付着量を常に高精度に制御することができるめっき付着量制御方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0009
このような課題を解決するため、本発明のめっき付着量制御方法は以下のような特徴を有する。
[1]溶融金属めっき浴を通過して浴上方に連続的に走行するストリップに、めっき浴の上方位置においてワイピングノズルからガスを噴射することによりめっき付着量を制御する方法において、下記(1)式を満足する条件でワイピングノズルからガスを噴射し、めっき付着量の制御を行うことを特徴とする溶融金属めっきにおけるめっき付着量制御方法。
0010
[2]溶融金属めっき浴を通過して浴上方に連続的に走行するストリップに、めっき浴の上方位置においてワイピングノズルからガスを噴射することによりめっき付着量を制御する方法において、下記(2)式を満足する条件でワイピングノズルからガスを噴射し、めっき付着量の制御を行うことを特徴とする溶融金属めっきにおけるめっき付着量制御方法。
発明を実施するための最良の形態
0011
溶融金属めっきされたストリップ面にワイピングノズルからガスを噴射し、ストリップ面に付着した余剰の溶融金属を掻き落す場合、溶融金属を掻き落とす力としては、ワイピングノズルからのガス噴流の衝突圧が支配的である。ここで、ガス噴流の衝突圧Psとガス噴流の流速u及び噴流ガスの密度ρの間には下記(3)式の関係があり、したがってガス噴流の速度uが掻き落とし力に多大な影響を与えている。
0012
ガス噴流の最大流速umは、ワイピングノズル出口からの距離yの関数で表わすことができるが、この最大流速umは図2に示すように距離yによって3つの領域に分けることができる。まず、図2に示すy≦l1の領域(展開領域)では、ガス流速が衰えないポテンシャルコアが存在し、最大流速umは下記(4)式で表わすことができる。
0013
次に、y≧l2の領域(完全発達領域)では、ガス噴流外部の影響が噴流中心部まで到達するためポテンシャルコアは完全に消滅し、最大流速umは下記(5)式のように距離yのある乗数に比例して減少していく。
0014
以上の点から、厳密に言えばめっき付着量は上記の3つの領域についてそれぞれ異なるめっき付着量関係式により制御する必要があるということになるが、実操業ではほとんどの場合、鋼板とワイピングノズルとの間隔は遷移領域内で使用され、また、遷移領域外で操業を行う場合も遷移領域から大きく外れることはないため、上記(6)式で十分に良い一致が得られることが判った。そして、このようにめっき付着量に深く関係しているガス流速に対するノズル−ストリップ間距離の影響をより厳密に表わしている上記(6)式を付着量関係式に取り込むこと、つまりノズル−ストリップ間距離の項を上記(6)式の形式にすることにより、従来よりも高精度なめっき付着量制御が可能になることを見い出した。すなわち、下記(1)式を満足する条件でワイピングノズルからガスを噴射することにより、めっき付着量を高精度に制御できることが判った。
0015
さらに、上記(1)式で用いたライン速度V、ワイピングノズルのガス噴射圧力P、ノズル−ストリップ間距離Bという因子の他に、ストリップ板厚tとめっき浴への侵入板温Tがストリップに付着した溶融金属の粘度に大きな影響を与え、これによってめっき付着量が影響されることが判った。したがって、これらの因子を付着量関係式に取り込んだ下記(2)式を満足する条件でワイピングノズルからガスを噴射することにより、めっき付着量をより高精度に制御できることが判った。
0016
なお、先に述べたようにめっき浴温度も溶融金属の粘度に影響を与えるが、めっき浴温度は定常操業では変化しない因子であるため、本発明では付着量関係式には含めていない。以上のような(1)式,(2)式を用いてめっき付着量を制御する具体的な制御法としては、ワイピング後のめっき付着量を計測して、所定のめっき付着量が得られるようにガス噴射圧力Pまたはノズル−ストリップ間距離Bを上記(1)式または(2)式に基づき制御する。例えば、制御因子としてガス噴射圧力Pを選んだ場合には、この因子以外の値と所定のめっき付着量の値を上記(1)式または(2)式に代入してガス噴射圧力Pを算出し、その値に制御することにより所定のめっき付着量を得ることが可能になる。
0017
〔実施例1〕先に述べた従来法で用いられている(a)式について、5≦B/D≦16の範囲(B:ノズル−ストリップ間距離[mm]、D:ワイピングノズルのスリットギャップ[mm])で行った実操業データとめっき付着量の実績値から重回帰計算により各係数を求め、(a)式に基づいた計算値とめっき付着量の実測値とを比較した。その結果を図3に示す。これによれば従来法では相関係数r=0.921であり、±10g/m2以内のバラツキがあった。
0018
これに対して本発明の実施例として、上記と同様の実操業データとめっき付着量の実績値から上記(1)式中のk1〜k4の値を重回帰計算により求め、また、m1,m2の値をガス噴流の流速測定の結果に基づいて求めた。k1〜k4,m1,m2の値は以下の通りである。
k1=3.89
k2=−0.447
k3=0.187
k4=0.375
m1=0.272
m2=3.65
これらの定数を用い、上記(1)式に従って計算しためっき付着量とめっき付着量の実績値とを比較した。その結果を図4に示す。これによれば(1)式を用いた本発明法では相関係数r=0.967となり、±4g/m2以内のバラツキに収めることができ、めっき付着量制御の精度を大幅に向上させることができる。
0019
次に、上記と同様の実操業データとめっき付着量の実績値から上記(2)式中のk1〜k6の値を重回帰計算により求め、また、m1,m2の値をガス噴流の流速測定の結果に基づいて求めた。k1〜k6,m1,m2の値は以下の通りである。
k1=26.9
k2=−0.443
k3=0.196
k4=0.326
k5=−0.0507
k6=−0.277
m1=0.272
m2=3.65
これらの定数を用い、上記(2)式に従って計算しためっき付着量とめっき付着量の実績値とを比較した。その結果を図5に示す。これによれば上記(2)式は溶融金属の粘度をも考慮したものであるため、上記(1)式を用いた場合よりもさらに精度が向上し、相関係数r=0.974となり、±3g/m2以内のバラツキに抑えることができる。
発明の効果
0020
以上述べたように本発明法によれば、広範囲の操業条件において常に高精度のめっき付着量制御を行うことができる。また、本願の請求項2の発明法によれば、溶融金属の粘度をも考慮した関係式を用いて制御を行うため、特に高精度のめっき付着量制御を行うことができる。
図面の簡単な説明
0021
図1連続溶融金属めっきラインにおけるめっき付着量制御部を示す概念図
図2ワイピングノズルからのガス噴流の最大流速とワイピングノズル出口からの距離との関係を示すグラフ
図3従来法で採用しているめっき付着量関係式に基づくめっき付着量の計算値とめっき付着量の実測値との関係を示すグラフ
図4本発明が規定する(1)式に基づくめっき付着量の計算値とめっき付着量の実測値との関係を示すグラフ
図5本発明が規定する(2)式に基づくめっき付着量の計算値とめっき付着量の実測値との関係を示すグラフ
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0022
1…ストリップ、2…溶融金属めっき浴、3,4…ワイピングノズル、5…シンクロール