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技術 高強度−高靱性ワッシャーの製造方法

出願人 大同特殊鋼株式会社
発明者 吉田広明河野正道五十川幸宏
出願日 1995年12月16日 (24年6ヶ月経過) 出願番号 1995-347950
公開日 1997年6月30日 (23年0ヶ月経過) 公開番号 1997-170018
状態 未査定
技術分野 線材加工 鍛造 鋼の加工熱処理 物品の熱処理 ストリップ・線材の熱処理
主要キーワード ワッシャー形状 所要コスト 拘束試験 歩留り率 棒状材 Mf点 軟化熱処理 焼戻し材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1997年6月30日)のものです。
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図面 (14)

解決課題

従来の焼入−焼戻材にて得られるワッシャーに比べて特性が同等以上で且つ製造コストが安価な高強度−高靱性ワッシャーの製造方法を提供する。

解決手段

重量%で、0.02≦C≦0.15%(マルテンサイト型の場合)又は0.10≦C≦0.25%(ベイナイト型の場合),0.08≦Si≦1.0%,N≦0.03%であって下記式で表される焼入れ性指数Hが、H=Cr+Mn+Ni+Mo+5(Cu+W+Zr+V+Ti)+XB+20Nb+0.5Si-5Al≧3.5(マルテンサイト型の場合)又は3.0(ベイナイト型の場合)(但しMn≦3.0%,Cr≦3.0%,Ni≦5.0%,Cu≦1.0%,Mo≦2.0%,W≦0.5%,Zr≦0.5%,B≦0.01%,V≦0.5%,Nb≦0.08%,Al≦0.2%,Ti≦0.06%とし、またBが0.0008以上0.005%以下含まれる場合にはXB=0.5とする)であり、残部実質的にFeから成る組成素材を830℃以上に加熱してオーステナイト化させた後、550〜900℃まで冷却して純安定オーステナイト領域ワッシャー形状鍛造加工し、その後に所定速度で冷却してマルテンサイト変態若しくはベイナイト変態させる。

概要

背景

概要

従来の焼入−焼戻材にて得られるワッシャーに比べて特性が同等以上で且つ製造コストが安価な高強度−高靱性ワッシャーの製造方法を提供する。

重量%で、0.02≦C≦0.15%(マルテンサイト型の場合)又は0.10≦C≦0.25%(ベイナイト型の場合),0.08≦Si≦1.0%,N≦0.03%であって下記式で表される焼入れ性指数Hが、H=Cr+Mn+Ni+Mo+5(Cu+W+Zr+V+Ti)+XB+20Nb+0.5Si-5Al≧3.5(マルテンサイト型の場合)又は3.0(ベイナイト型の場合)(但しMn≦3.0%,Cr≦3.0%,Ni≦5.0%,Cu≦1.0%,Mo≦2.0%,W≦0.5%,Zr≦0.5%,B≦0.01%,V≦0.5%,Nb≦0.08%,Al≦0.2%,Ti≦0.06%とし、またBが0.0008以上0.005%以下含まれる場合にはXB=0.5とする)であり、残部実質的にFeから成る組成素材を830℃以上に加熱してオーステナイト化させた後、550〜900℃まで冷却して純安定オーステナイト領域ワッシャー形状鍛造加工し、その後に所定速度で冷却してマルテンサイト変態若しくはベイナイト変態させる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

重量%で、0.02≦C≦0.15%,0.08≦Si≦1.0%,N≦0.03%であって下記式で表される焼入れ性指数HがH=Cr+Mn+Ni+Mo+5(Cu+W+Zr+V+Ti)+XB+20Nb+0.5Si−5Al≧3.5(但しMn≦3.0%,Cr≦3.0%,Ni≦5.0%,Cu≦1.0%,Mo≦2.0%,W≦0.5%,Zr≦0.5%,B≦0.01%,V≦0.5%,Nb≦0.08%,Al≦0.2%,Ti≦0.06%とし、またBが0.0008以上0.005以下含まれる場合にはXB=0.5とする)であり、且つ残部実質的にFeから成る組成の線・棒状材を一旦830℃以上に加熱してオーステナイト化させた後、30℃/分以上の平均冷却速度で550〜900℃の範囲まで冷却した上、線・棒状材から切断された材料をワッシャー形状鍛造加工し、しかる後100℃/分以上の平均冷却速度でMf点である300℃以下に冷却してマルテンサイト変態させることを特徴とする高強度−高靱性ワッシャーの製造方法。

請求項2

重量%で、0.10≦C≦0.25%,0.08≦Si≦1.0%,N≦0.03%であって下記式で表される焼入れ性指数HがH=Cr+Mn+Ni+Mo+5(Cu+W+Zr+V+Ti)+XB+20Nb+0.5Si−5Al≧3.0(但しMn≦3.0%,Cr≦3.0%,Ni≦5.0%,Cu≦1.0%,Mo≦2.0%,W≦0.5%,Zr≦0.5%,B≦0.01%,V≦0.5%,Nb≦0.08%,Al≦0.2%,Ti≦0.06%とし、またBが0.0008以上0.005以下含まれる場合にはXB=0.5とする)であり、且つ残部実質的にFeから成る組成の線・棒状材を一旦830℃以上に加熱してオーステナイト化した後に、20℃/分以上の平均冷却速度で550〜900℃の範囲まで冷却した上、線・棒状材から切断された材料をワッシャー形状に鍛造加工し、しかる後20℃/分以上の平均冷却速度でBs点である500℃以下に冷却し、その後室温まで冷却するか又はBs点とBf点との間となる300〜500℃の間で恒温保持してベイナイト変態させることを特徴とする高強度−高靱性ワッシャーの製造方法。

請求項3

請求項1又は2において、更に快削成分としてS,Ca,Pb,Te,Biの一種若しくは二種以上をS≦0.1%,Ca≦0.05%,Pb≦0.1%,Te≦0.05%,Bi≦0.05%で含有する線・棒状材を用いることを特徴とする高強度−高靱性ワッシャーの製造方法。

請求項4

請求項1,2,3の何れかにおいて、前記冷却によるマルテンサイト変態又はベイナイト変態後において600℃以下の範囲で再加熱処理を行うことを特徴とする高強度−高靱性ワッシャーの製造方法。

技術分野

0001

この発明は高強度−高靱性ワッシャーの製造方法に関する。

0002

従来、ワッシャーは主にJIS−S45Cを用いて予め板圧延にて所定の厚みまで加工を行い、そしてその後に板の打抜きによって製品形状に加工し、その後所定の硬さ,靱性を確保するために焼入れ焼戻し処理を行って製造していた。

0003

しかしながらかかる従来の製造方法の場合、板の打抜きによってワッシャーを製造することから材料の無駄が多く、歩留りが悪いといった問題(歩留りは6割程度)があるのに加えて、製品製造に際してリードタイムが長く、これらに起因して製造コストが高くなる問題があった。

0004

他方、線・棒状材熱間鍛造加工によりワッシャー形状とする方法も一部行われているが、この場合にもその後において焼入れ−焼戻し処理が必要であり、リードタイムが長く、製造コストが高い問題を内包していた。

0005

尤も、非調質鋼を用いた場合には加工後における焼入れ−焼戻し処理を省略し得、リードタイムを短くすることができるものの、従来知られている非調質鋼は強度−靱性において焼入れ−焼戻し材に比べて劣っており、最終的に強度−靱性バランスの優れた、即ち特性的に優れたワッシャーを得ることができないという問題があった。

課題を解決するための手段

0006

本願の発明のワッシャーの製造方法はこのような課題を解決するために案出されたものである。而して本願の発明の製造方法は、重量%で、0.02≦C≦0.15%,0.08≦Si≦1.0%,N≦0.03%であって下記式で表される焼入れ性指数Hが、H=Cr+Mn+Ni+Mo+5(Cu+W+Zr+V+Ti)+XB+20Nb+0.5Si−5Al≧3.5(但しMn≦3.0%,Cr≦3.0%,Ni≦5.0%,Cu≦1.0%,Mo≦2.0%,W≦0.5%,Zr≦0.5%,B≦0.01%,V≦0.5%,Nb≦0.08%,Al≦0.2%,Ti≦0.06%とし、またBが0.0008以上0.005以下含まれる場合にはXB=0.5とする)であり、且つ残部実質的にFeから成る組成の線・棒状材を一旦830℃以上に加熱してオーステナイト化させた後、30℃/分以上の平均冷却速度で550〜900℃の範囲まで冷却した上、線・棒状材から切断された材料をワッシャー形状に鍛造加工し、しかる後100℃/分以上の平均冷却速度でMf点である300℃以下に冷却してマルテンサイト変態させることを特徴とする(請求項1)。

0007

本願の別の製造方法は、重量%で、0.10≦C≦0.25%,0.08≦Si≦1.0%,N≦0.03%であって下記式で表される焼入れ性指数Hが、H=Cr+Mn+Ni+Mo+5(Cu+W+Zr+V+Ti)+XB+20Nb+0.5Si−5Al≧3.0(但しMn≦3.0%,Cr≦3.0%,Ni≦5.0%,Cu≦1.0%,Mo≦2.0%,W≦0.5%,Zr≦0.5%,B≦0.01%,V≦0.5%,Nb≦0.08%,Al≦0.2%,Ti≦0.06%とし、またBが0.0008以上0.005以下含まれる場合にはXB=0.5とする)であり、且つ残部実質的にFeから成る組成の線・棒状材を一旦830℃以上に加熱してオーステナイト化した後に、20℃/分以上の平均冷却速度で550〜900℃の範囲まで冷却した上、線・棒状材から切断された材料をワッシャー形状に鍛造加工し、しかる後20℃/分以上の平均冷却速度でBs点である500℃以下に冷却し、その後室温まで冷却するか又はBs点とBf点との間となる300〜500℃の間で恒温保持してベイナイト変態させることを特徴とする(請求項2)。

0008

請求項3の製造方法は、請求項1又は2において、更に快削成分としてS,Ca,Pb,Te,Biの一種若しくは二種以上を、S≦0.1%,Ca≦0.05%,Pb≦0.1%,Te≦0.05%,Bi≦0.05%で含有する線・棒状材を用いることを特徴とする。

0009

更に請求項4の製造方法は、請求項1,2,3の何れかにおいて、前記冷却によるマルテンサイト変態又はベイナイト変態後において600℃以下の範囲で再加熱処理を行うことを特徴とする。

0010

上記の本発明は、オースフォーミング加工熱処理)手法を適用してワッシャーを製造することを特徴とするものである。而してこのオースフォーミングを適用するためには材料の焼入れ性を高めておく必要がある。

0011

そこで本発明者らはそのための研究を行う中で、鋼の組成を上記組成とし且つ焼入れ性を示す指数として
H=Cr+Mn+Ni+Mo+5(Cu+W+Zr+V+Ti)+XB+20Nb+0.5Si−5Al
を導き出し、そしてその指数Hが3.0以上であれば上記オースフォーミングを安定的に適用できることを知得した。

0012

而して本発明ではこのような鋼素材を予め線・棒状材としておいて先ず一旦これを830℃以上に加熱してオーステナイト化し、その後に30℃/分以上(マルテンサイト変態させる場合)又は20℃/分以上(ベイナイト変態させる場合)の平均冷却速度で550〜900℃の温度範囲まで冷却してその温度範囲内において、即ち準安定オーステナイト領域で鍛造加工を施してワッシャー形状となし、しかる後に連続して水焼入れ油冷衝風冷却或いは空冷等によって再び100℃/分以上(マルテンサイト変態させる場合)又は20℃/分以上(ベイナイト変態させる場合)の平均冷却速度でMf点である300℃以下に冷却してマルテンサイト変態せるか、又はベイナイト変態点(Bs点)である500℃以下に冷却した上でその後に室温までの冷却若しくは300〜500℃に恒温保持してベイナイト変態させる。

0013

かかる本発明の製造方法によれば、ワッシャーの鍛造加工及び引き続く冷却後において焼入れ−焼戻し処理を行わなくても、従来の焼入れ−焼戻し材によるワッシャーに比べて同等以上の優れた強度,靱性が得られる。

0014

而して本発明によればワッシャー製造過程における焼入れ−焼戻し処理を不要化できるため、製品製造に際してリードタイムを短くでき、また焼入れ−焼戻し処理のための熱処理費を削減することができる。

0015

加えて本発明は線・棒状材の鍛造によってワッシャーを成形するため、材料の歩留り率が高く(8割程度)、これらによって製品製造に際しての製造コストを大幅に低減することができる。

0016

また得られたワッシャーは強度,靱性バランスに優れたものとなる。即ち本発明によればコスト又は特性の何れをも犠牲にすることなく、ワッシャーを製造することができる。

0017

本発明においては、必要に応じてS,Ca,Pb,Te,Bi等の快削成分の一種若しくは二種以上を上記の範囲で添加することができ、この場合には材料の切削性及び鍛造時の打抜き性が高まって製品の製造性が良好となる利点が得られる。

0018

本発明においては、材料を準安定オーステナイト状態、即ち軟らかい状態で鍛造加工するために、鍛造加工に先立って変形抵抗を少なくするために予め軟化熱処理を施す必要がなく、加工を容易に行うことができるとともに、軟化熱処理費を削減し得て所要コストを低減することができる。

0019

尤も、本発明においてはワッシャーの鍛造加工,冷却後においてこれを660℃以下の温度に再加熱処理することができ、この場合には材料の靱性を一層高めることができる。これにより強度と靱性のバランスを最適化することができ、適用する部品要求特性に見合ったものを製造することができる。

0020

次に本発明における化学成分等の限定理由を詳述する。
C:0.02〜0.15%(マルテンサイト変態させる場合)
C:0.10〜0.25%(ベイナイト変態させる場合)
Cはワッシャーとしての硬さの上限値である500Hvを超えないようにするため、上限を0.15%(マルテンサイト型の場合),0.25%(ベイナイト型の場合)とした。ここで材料の組織を、マルテンサイトとする場合とベイナイトとする場合とで必要な焼入れ性指数が異なり、またCはその焼入れ性に対して影響を及ぼすことから、マルテンサイト型の場合とベイナイト型の場合とで異なった範囲とする必要がある。

0021

Si:0.08〜1.0%
Siは焼入れ性を高める作用があるが、加工性を害するため上限を1.0%とした。

0022

N:0.03%以下
Nは変形抵抗を抑えるため、上限を0.03%とした。

0023

Mn:3.0%以下
Mnは焼入れ性を高める元素であるが、溶解時に炉壁を傷めるため上限を3.0%とした。

0024

Cr:3.0%以下
Mo:2.0%以下
W :0.5%以下
Zr:0.5%以下
V :0.5%以下
Nb:0.08%以下
これら成分は強力な炭化物を生成させるとともに焼入れ性を高める元素であるが、多量に入れ過ぎると未固溶炭化物により鍛造性が悪化するため、それぞれの上限を上記値に規定した。

0025

B :0.01%以下
Bは焼入れ性向上のため添加する。0.01%でその効果は飽和する。0.001%以上で焼入れ性効果は現れる。

0026

Ti:0.06%以下
Tiは、BがBNを形成すると焼入れ性効果が減少するため、NをTiNとして固定するため添加する。0.06%を超えると鋼の清浄度を害する。

0027

Ni:5.0%以下
Cu:1.0%以下
Ni,Cuはオーステナイト安定化元素であり、焼入れ性を向上させる作用があるが、Cuを入れ過ぎると熱間加工性が悪化するため上限を1.0%とした。またNiは多量に入れた場合、焼入れ性の向上効果収束してしまうことから上限を5.0%とした。

0028

Al:0.2%以下
Alは焼入れ性を阻害する元素であり、焼入れ性指数の計算式においてマイナス要素となるため上限を0.2%に限定した。

0029

S:0.1%以下,Ca:0.05%以下,Pb:0.1%以下,Te:0.05%以下,Bi:0.05%以下
これら成分は材料の被削性を高める成分であって、それぞれ上記範囲内で含有させることにより材料の被削性が高まり、部品製造の際の製造性が高まる。

0030

H=Cr+Mn+Ni+Mo+5(Cu+W+Zr+V+Ti)+XB+20Nb+0.5Si−5Al:3.5以上(マルテンサイト型の場合)又は3.0以上(ベイナイト型の場合)
このHは焼入れ性を表す指数であってHを上記値とすることにより安定してオースフォーミング手法を適用可能となり、その後の冷却において組織をマルテンサイト化又はベイナイト化することができる。

0031

830℃以上の加熱によるオーステナイト化及び550〜900℃での鍛造加工
本発明の製造方法は素材を830℃以上に加熱し、その後550〜900℃に冷却して準安定オーステナイト状態で鍛造加工を施すもので、この温度範囲で加工を行うことによりマルテンサイト変態又はベイナイト変態まで存続できる転位加工誘起析出炭化物を生成させることができ、これにより非常に緻密な組織が得られ、その結果高強度と高靱性化が同時に達成できる。而して加工後の組織はマルテンサイト又はベイナイトを主体としたものとなる。

0032

尚この手法において、十分な焼入れ性,鍛造性が必要となるため、焼入れ性を表す指数H及びC量を上記値とした材料を使用しなければならない。何故なら低温オーステナイト領域での鍛造は拡散的に変態析出するフェライトの生成を著しく促進させてしまうため、所定の強度と靱性が得られなくなってしまい、またCは低温オーステナイト時の変形抵抗を増加させる主因であることから極力これを抑えなければならないからである。

0033

次に本発明の実施例を以下に詳述する。表1に示す各種組成の鋼種について、それぞれを各オーステナイト化(γ化)温度(830℃以上)で加熱した後これを冷却して鍛造温度750℃,減面率60%の条件下で鍛造加工し、その後水冷を行って組織をマルテンサイト化し、その硬さを測定して焼入れ性を示す指数Hと硬さとの関係を求めた。結果が図1に示してある。

0034

0035

一方表2に示す各種組成の鋼種について、それぞれを各オーステナイト化温度(830℃以上)で加熱した後これを冷却して鍛造温度750℃,減面率60%の条件下で鍛造加工した後、空冷を行って組織をベイナイト化し、その硬さを測定して焼入れ性を示す指数Hと硬さとの関係を求めた。結果が図2に示してある。

0036

0037

これらの図より、オーステナイト化加熱温度が830℃以上、焼入れ性指数が3.5以上(マルテンサイト型の場合)又は3.0以上(ベイナイト型の場合)である場合において、硬さ300以上(マルテンサイト型の場合)又は280以上(ベイナイト型の場合)を確保でき、本発明のオースフォーミング手法が適用できることが分かる。

0038

一方JIS鋼種であるSCR420,SCM420等は焼入れ性指数Hが1.8〜2.0であり、またSNCM420で3.1程度であって、安定して加工熱処理(オースフォーミング)が適用できるレベルにはない。

0039

これらの現象の理由は次の通りである。低温オーステナイト領域で塑性加工を加えると、加工により導入された転位が完全に消滅できず、拡散変態となるフェライト変態或いはパーライト変態を著しく促進してしまう。その結果焼入れ性指数の小さい(焼入れ性の低い)材料では、いくら鍛造後急冷を施しても相当な割合でアシキュラーフェライトと呼ばれる組織や上部ベイナイト,等軸フェライトパーライト等を生成させてしまい、硬さを大幅に下げてしまう。

0040

次に図3に表1の鋼種Gについてオーステナイト化加熱温度1000℃における鍛造−水冷後の鍛造温度と硬さ及びシャルピー衝撃値の関係を示した。この図よりマルテンサイトが主体となる場合、鍛造温度が550〜900℃の範囲で明確な効果が確認できる。

0041

また図4に表2の鋼種Oについてオーステナイト化加熱温度1000℃における鍛造−空冷後の鍛造温度と硬さ及びシャルピー衝撃値の関係を示した。この図よりベイナイトが主体となる場合、鍛造温度が550〜900℃の範囲で明確な効果が確認できる。

0042

次に鋼種Gについて図5に示すプロセスAに従って材料を1000℃に1分間加熱した後700〜800℃に冷却し、端面拘束試験法による変形抵抗を測定した。また比較のためにJIS−SCM420について図5のプロセスBに従って700〜800℃に1分間加熱保持後、端面拘束試験法による変形抵抗を測定した。結果が図6に示してある。

0043

この試験熱間圧延ままの組織のものを試験したものである。この結果から両鋼種とも多量のベイナイトを含んだ状態であるため、通常の温間鍛造であるプロセスBでは変形抵抗が非常に高くなっている。一方、加工熱処理であるプロセスAに従った場合、熱間圧延後に生成するベイナイト組織等はオーステナイト化加熱時に全て消滅し、鍛造時にはC量の少ない変形能に富んだ柔らかいオーステナイト単相となるため、加工性は良くなっている。

0044

従って本発明の製造プロセスに従って鍛造加工した場合、供給される材料が加工性の悪い圧延ままの組織を有するものであっても十分な加工性を確保できることが確認できる。

0045

次に図7図8は現状の非調質鋼とJIS−構造用鋼の焼入れ−焼戻し材及び本発明例材(マルテンサイト型非調質鋼(図7)及びベイナイト型非調質鋼(図8))の強度−靱性バランスを示した図である。

0046

この図から本発明例に従うマルテンサイト型非調質鋼が通常のマルテンサイト型非調質鋼だけでなくJIS−構造用鋼の焼入れ−焼戻し材をもしのぐ特性を有していることを、また本発明例に従うベイナイト型非調質鋼が通常のベイナイト型非調質鋼をしのぐ特性を有し、しかもJIS−構造用鋼の焼入れ−焼戻し材と同等の強度−靱性バランスを有していることを明らかに見てとることができる。

0047

次に快削成分を含有させた表3及び表4に示す化学組成の鋼種X,Yについて鍛造温度と硬さ及び衝撃値との関係を求めた。結果が図9及び図10に示してある。図から分かるように快削成分のない場合と比較して靱性は若干低下するものの、550〜900℃の鍛造−焼入れにより靱性の向上がはっきりと確認できる。尚、製造条件は加熱温度:1000℃,鍛造温度までの冷却方法:空冷,加工度:45%,鍛造後の冷却方法:水冷(鋼種Xの場合)又は空冷(鋼種Yの場合)とした。

0048

0049

0050

<具体的ワッシャー製造例>表5に示す化学組成の線・棒状材より表6に示す条件の下で図11に示すワッシャー10を図12の工程に従い製造した。そして図11中A,B,Cで示す部分より試験片切り出して硬さ測定を行った。結果が図13図14に示してある。

0051

0052

0053

図から明らかなように強加工が加わるワッシャー10製造工程では、プロセス2,3のように低温オーステナイト領域或いは加工熱処理領域となる準安定オーステナイト領域で鍛造し焼き入れた場合、焼入れ性を示すHの値が低い場合(鋼種Qの場合)には十分な製品硬さが得られないのに対し、Hの値を十分高くしておくことによって(鋼種Rの場合)、十分な製品硬さの得られることが分かる。

0054

因みにプロセス1を用いた場合、硬さは出るものの表面肌が非常に悪く、鍛造のままでの使用はできないものであった。

0055

以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において、種々変更を加えた態様において実施可能である。

図面の簡単な説明

0056

図1本発明の実施例において得られたマルテンサイト型非調質鋼における焼入れ性指数と硬さとの関係を表す図である。
図2本発明の実施例において得られたベイナイト型非調質鋼における焼入れ性指数と硬さとの関係を表す図である。
図3本発明の実施例において得られたマルテンサイト型非調質鋼における鍛造温度と硬さとシャルピー衝撃値との関係を表す図である。
図4本発明の実施例において得られたベイナイト型非調質鋼における鍛造温度と硬さとシャルピー衝撃値との関係を表す図である。
図5本発明の製造プロセスの一例を従来の製造プロセスとの比較においてパターン化して表す図である。
図6図3に示すパターンに従って処理した場合の鍛造加工時の変形抵抗を表す図である。
図7本発明例に従って製造したマルテンサイト型非調質鋼における鋼材の引張強さと衝撃値とのバランスを従来材との比較において表す図である。
図8本発明例に従って製造したベイナイト型非調質鋼における鋼材の引張強さと衝撃値とのバランスを従来材との比較において表す図である。
図9本発明の実施例(マルテンサイト型非調質鋼)において快削成分を含有させた場合の鍛造温度と硬さとの関係を表す図である。
図10本発明の実施例(ベイナイト型非調質鋼)において快削成分を含有させた場合の鍛造温度と硬さとの関係を表す図である。
図11本発明の実施例に従って製造したワッシャーを示す図である。
図12図11のワッシャーの製造工程を示す図である。
図13鋼種Qを用いて図11に示すワッシャーの製造実験を行った場合において得られる硬さを示した図である。
図14鋼種Rを用いて図11に示すワッシャーを製造した場合に得られる硬さを表した図である。

--

0057

10 ワッシャー

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