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図面 (11)

課題

単色の電子線を発生できる電子線源を提供する。

解決手段

先端のった陰極とこれに空間を隔てて対向する陽極14より成り、陰極に負の電圧印加陰極先端部分に電界集中させることにより電子線を発生する電子線源で、陰極の電子放出表面の近傍には基材10と表面との間に少なくとも一組のp型半導体もしくは半金属領域15とn型半導体もしくは半金属領域17を設ける。

概要

背景

電子顕微鏡高分解能化には、エネルギの揃った単色の電子線が必要となる。この目的で、狭エネルギ幅をねらった従来の電子線源は、特開平7−21953号公報の電子線源がある。図2に構造とエネルギ図を示す。n型GaAsの針21の表面に薄いAlAsの障壁層22とGaAsの量子井戸層23を備え、対向するアノード25に対し負の電圧印加して真空準位曲げた結果、図2(b)のような薄い三角形ポテンシャル障壁固体中の量子井戸層23及び障壁層22の組み合わせによる共鳴トンネル効果により電子線を真空中に放出させていた。

一方、p−n接合を用いた電子線源は、フィリップステクカルジャーナル第43巻1987年49ページから57ページ(G.G.P.van Gorkom and A. M.E. Hoeberechts, Philips Technical Review,Vol.43,No3(1987)p49−57)記載の装置がある。図3に構造とエネルギ図を示す。この場合、p型基板31と表面のn型領域33によりp−n接合が形成され、両者にダイオード電圧Vdを印加することで基板31中の価電子帯の電子を禁制帯中のトンネル効果により表面のn型領域33の伝導帯に引き出し、このとき、電子の運動エネルギ仕事関数φbを越える程度に高くなるようにダイオード電圧Vdを大きなものとすることによって、真空中に電子を放出させていた。

概要

単色の電子線を発生できる電子線源を提供する。

先端のった陰極とこれに空間を隔てて対向する陽極14より成り、陰極に負の電圧を印加し陰極先端部分に電界集中させることにより電子線を発生する電子線源で、陰極の電子放出表面の近傍には基材10と表面との間に少なくとも一組のp型半導体もしくは半金属領域15とn型半導体もしくは半金属領域17を設ける。

目的

効果

実績

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牽制数
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請求項1

先端のった陰極とこれに空間を隔てて対向する陽極より成り、上記陰極に負の電圧印加し上記陰極の先端部分に電界集中させることにより電子線を発生する電子線源において、上記陰極の電子放出表面の近傍には基材と表面との間に少なくとも一組のp型半導体もしくは半金属領域とn型半導体もしくは半金属領域を設けたことを特徴とする電子線装置

請求項2

上記陰極の先端の内部に電位差を発生させるための電極を持たない電子線装置。

請求項3

上記陰極の先端部分の表面層は、n型半導体もしくは半金属領域である電子線装置。

請求項4

上記p型半導体領域及び上記n型半導体領域の両者の内部の少なくとも一部には、縮退半導体領域を含み、両者の間の空乏領域の厚みを10nm以下とした請求項1,2または3に記載の電子線源。

請求項5

上記p型半導体もしくは上記半金属領域は単結晶体であり、上記n型半導体もしくは上記半金属領域は上記p型半導体もしくは半金属領域の材料の結晶の上にエピタクシャル成長したものである請求項1,2,3または4に記載の電子線源。

請求項6

請求項1,2,3,4または5において、上記電子線源のうちの少なくとも1種類の電子線源が、複数個同一基板上に形成された電子線源。

請求項7

請求項6に記載された上記複数個の電子線源に対応する陽極も同一基板上に形成された電子線源。

請求項8

上記p型半導体もしくは上記半金属領域及び上記n型半導体もしくは上記半金属領域の材料を基板上に積層被覆し、その後、溶液ガスプラズマなどを用いてエッチングにより、全体構造を針状に形成した請求項1,2,3,4,5,6、または7に記載の電子線源。

請求項9

針状に形成された材料の上に、上記p型半導体もしくは上記半金属領域及び上記n型半導体もしくは半金属領域の材料よりなる薄膜を層状に形成した請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の電子線源。

請求項10

上記p型半導体もしくは上記半金属領域及び上記n型半導体もしくは上記半金属領域の材料として、GaAs,AlAs,GaSb,InAsGaPなどのIII−V族化合物半導体を用いた請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載の電子線源。

請求項11

上記p型半導体もしくは上記半金属領域及び上記n型半導体もしくは上記半金属領域の材料として、ZnS,ZnSe,ZnTe,HgCd−TeなどのII−VI族の化合物半導体を用いた請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載の電子線源。

請求項12

上記p型半導体もしくは上記半金属領域及び上記n型半導体もしくは上記半金属領域の材料として、Si,Ge,C,SiCなどのIV族の化合物半導体を用いた請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載の電子線源。

請求項13

上記p型半導体もしくは上記半金属領域と上記n型半導体もしくは上記半金属領域の材料の組み合わせとして、p−ZnTeとn−ZnSe,p−ZnTeとn−ZnS,p−Si−Geとn−Si等のタイプIIの超格子を用いた請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12に記載の電子線源。

請求項14

上記p型半導体もしくは上記半金属領域と上記n型半導体もしくは上記半金属領域の材料の組み合わせとして、GaSbとInAs等のタイプIII の超格子を用いた請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12に記載の電子線源。

請求項15

上記陰極の先端表面に形成されるバンドギャップ中の表面準位を低減するために、針状構造の先端表面に設けられた表面準位低減手段を有する請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13または14に記載の電子線源。

請求項16

請求項15において、上記表面準位低減手段は、表面パッシベーション層である電子線源。

請求項17

請求項16において、上記表面パッシベーション層は、カルコゲン元素水素又はカルコゲン元素と水素の化合物パッシベーション層である電子線源。

請求項18

請求項1から17のいずれかにおいて、上記陰極先端付近の表面上に、CsO,CsF,Cs、或いはNa,K等のアルカリ金属、或いはMg等のアルカリ土類金属、或いはTi,Zr,Hf,Sc,Y、或いはそれら元素酸化物ハロゲン化物など、表面の仕事関数を低下させる表面吸着層が設けられた電子線源。

技術分野

0001

本発明は電子線源及び電子線応用装置係り、特に、電子顕微鏡装置に好適な、電子線応用装置に関する。

背景技術

0002

電子顕微鏡高分解能化には、エネルギの揃った単色の電子線が必要となる。この目的で、狭エネルギ幅をねらった従来の電子線源は、特開平7−21953号公報の電子線源がある。図2に構造とエネルギ図を示す。n型GaAsの針21の表面に薄いAlAsの障壁層22とGaAsの量子井戸層23を備え、対向するアノード25に対し負の電圧印加して真空準位曲げた結果、図2(b)のような薄い三角形ポテンシャル障壁固体中の量子井戸層23及び障壁層22の組み合わせによる共鳴トンネル効果により電子線を真空中に放出させていた。

0003

一方、p−n接合を用いた電子線源は、フィリップステクカルジャーナル第43巻1987年49ページから57ページ(G.G.P.van Gorkom and A. M.E. Hoeberechts, Philips Technical Review,Vol.43,No3(1987)p49−57)記載の装置がある。図3に構造とエネルギ図を示す。この場合、p型基板31と表面のn型領域33によりp−n接合が形成され、両者にダイオード電圧Vdを印加することで基板31中の価電子帯の電子を禁制帯中のトンネル効果により表面のn型領域33の伝導帯に引き出し、このとき、電子の運動エネルギ仕事関数φbを越える程度に高くなるようにダイオード電圧Vdを大きなものとすることによって、真空中に電子を放出させていた。

発明が解決しようとする課題

0004

特開平7−21953号公報の電子線源では、量子井戸層23中の量子準位24に一致或いは極めて近いエネルギの電子のみが共鳴トンネル条件を満たして放出されるため、理想的な条件では極めて単色の電子線が得られるが、伝導帯の電子は量が少なく、さらにエネルギフィルタをかけるため、電子の量が少ないという問題があった。また、多くの電子を放出させようと引き出し電圧Veを高くした場合、室温以上の温度では、固体中の障壁層22及び量子井戸層23を透過する際に散乱により共鳴トンネル条件からはずれる確率が増しこの結果、電子線のエネルギ幅が拡がるという問題があった。

0005

p−n接合を用いた電子線源の場合、固体中でダイオード電圧Vdにより加速して、運動エネルギの高い電子を形成することが必須であるが、固体中の散乱により真空中に放出されずにダイオード電流Idとして流れるものが多く、さらには、運動エネルギの高い電子が新たに電子正孔対を生み出すアバランシェ効果により電子線源が劣化するという問題があった。また、放出電流を増加させようとしてダイオード電圧Vdを増加させた場合、放出電子のエネルギ幅が数eVまで拡がるという問題があった。

課題を解決するための手段

0006

上記課題解決のために、本発明では、先端のった陰極とこれに空間を隔てて対向する陽極より成り、既陰極に負の電圧を印加し既陰極先端部分に電界集中させることにより電子線を発生する電子線源で、既陰極の電子放出表面近傍に少なくとも一組のp型半導体もしくは半金属領域とn型半導体もしくは半金属領域を設ける。

0007

先端の尖った陰極を用いる電子線源の場合、先端に電界集中することにより薄くなった真空準位中を電子がトンネル効果により透過し、電子線を発生させる。単色の電子を得るには特定のエネルギの電子のみを選択的に取り出すようにすればよい。

0008

p−n接合の空乏層を薄くした場合、禁制帯中をフェルミ準位付近の電子がトンネル効果により透過し易くなる。必要とする空乏層の薄さはバンドギャップエネルギや電子の有効質量によって異なるが、通常SiやGaAs等の半導体の場合、数十nm程度以下である。よりバンドギャップエネルギの大きいダイヤモンドなどの場合、数nm以下となる。空乏層を薄くするには、p,n型領域共に高濃度不純物をドープし、デバイ長さを小さくすることで達成される。このようなp−n接合は順方向,逆方向によらず極めて低い印加電圧でも電流が流れ、その時流れる電子のエネルギ分布J(E)は、p型領域の価電子帯中の電子の状態密度関数ρv(E)とフェルミ分布関数fv(E),n型領域の伝導帯中の電子の状態密度関数ρc(E)とフェルミ分布関数fc(E)及び、禁制帯中のトンネル確率D1(E)を用いて近似的に次式で表される。

0009

J(E)=|fc(E)−fv(E)|・D1(E)・ρc(E)・ρv(E)
…(数1)
流れる電流は、価電子帯から伝導帯にトンネルする電子と、伝導帯から価電子帯にトンネルする電子から成り、両者の平衡で決まることを示している。p−n接合がゼロバイアスの時、すなわち、pとn領域フェルミレベルが一致しているときは、式1中のfc(E)−fv(E)が0となるため電流は流れない。

0010

一方、図1(a)の様に陰極−陽極間に電圧を印加した場合、図1(b)の様に真空中に高電界が発生しその一部が空乏層16中にも侵入し、両者のフェルミレベルにわずかな電位差Vrが発生する。

0011

この結果、図4(a)の様に、|fc(E)−fv(E)|はピークを持つ。また、ρc(E)・ρv(E)は、図4(b)の様な分布となる。一方、禁制帯中のトンネル確率D1(E)はこのエネルギ域ではほとんどエネルギ依存性がないため、流れる電子のエネルギ分布J(E)は|fc(E)−fv(E)|とρc(E)・ρv(E)の積で決まり、その半値幅は電位差Vr程度以下となる。さらに、表面のn領域17の厚さが数十nm以下の場合は、流れ込んだ電子はほとんど散乱せずに真空準位による障壁層18まで達するため、真空中に放出される電子線のエネルギ分布は、図4(c)中のAの様な真空準位中のトンネル確率D2(E)と、p−n接合を流れる電子のエネルギ分布J(E)との積で決まる。従って、電位差Vr以下のエネルギ半値幅の電子線が得られる。

0012

ここで、電位差Vrは、放出電流によっても異なるが、真空中の電界により誘起されると期待される電圧よりもはるかに小さい。これは、電子が空乏層中をトンネル効果により行き来し、常に誘起される電圧を緩和するように働くためである。この結果、電子線のエネルギ幅は、室温でGaAsを用いた場合、図4に示した値(0.1V )程度以下となる。エネルギ幅の下限は、熱エネルギで決まるため、室温で30meV程度となる。

0013

したがって、本発明を用いると30m〜100meVの単色性の良い電子線が得られる。これは図3に示した従来のp−n接合を有する電子源と比べて、ダイオード電圧Vdをかけることがなく、また、ダイオード電流Idにより放出電流が減ることもない点で単色化に優れており、かつ、固体中で電子の運動エネルギを大きくする必要がなく、ダイオード電流Idも流れないため、劣化しにくい電子線源を提供することができる。

0014

表面のn領域をさらに薄く、数nm以下とすることにより、n領域中の準位が量子化し、共鳴トンネル効果が現れる。この場合トンネル確率は図4(c)中のBとなり、鋭いエネルギフィルタが得られるため、室温で30meV程度のエネルギ密度の高い単色電子線が得られる。さらに冷却することにより熱エネルギを下げ、数eV程度の極単色電子線が得られる。

0015

図2に示した従来の共鳴トンネル効果を用いた単色電子線源と比較すると、従来はAlAs/GaAs超格子構造による伝導帯内でのトンネル効果という温度の影響を受けやすい現象を用いていたのに対して、本発明では、禁制帯をトンネルするいわゆるバンド間トンネル効果を用いているため、室温でも十分に共鳴トンネル効果が得られ、単色の電子線を発生することができるという利点がある。

0016

(実施例1)図1に本発明の実施例の一つを示す。(111)B方向にのびたp+ 型GaAs単結晶の針を基材10とし、分子線エピタキシー(MBE)法により、この先端付近に5nmのアンドープGaAs膜11を成長し、次にSiを1平方cm当たり5〜10×1012個程度蒸着Si原子層12を形成する。この上に、アンドープGaAs表面層13を2nm程度成長する。これを硫化アンモニウム硫黄過剰な水溶液)中に1分間浸け、窒素ガス吹き付けで乾燥させた後、真空装置に導入し、200℃2時間の加熱を行う。この結果、針先端付近には図1(b)に示されるように、n+ 領域17が形成され、基材10のp型領域15との間のアンドープGaAs膜11付近には、空乏領域16が形成される。対向する陽極14に対して先端付近の電界が2〜10V/nm程度になるまで負の電圧をかけると、真空準位の障壁層18が薄くなると同時に、n型領域17とp型領域15の間に電位差Vrが生じる。この結果、p型領域15の価電子帯中の電子は空乏領域16の禁制帯中をトンネル効果により通過して表面のn型領域17の伝導帯に入り、さらに真空準位18中をトンネル効果により透過して、電子線として真空中に放出される。

0017

このとき、n+ 領域17は、5nm以下と極めて薄いため、真空準位18と空乏領域16のエネルギ障壁で囲まれた領域に量子準位が形成される。この量子準位中を散乱なしに通過する電子は、共鳴トンネル効果により、真空中に放出される確率が桁違いに増加する。しかも、電子の透過率図4(c)の曲線Bのような鋭いエネルギ依存性を持つため、極めてエネルギ幅の狭い電子線が得られる。室温で30mV程度の幅となる。さらに、この電子線源にクライオスタット等を装着して冷却することによって、液体窒素温度(77K)で10mV,液体ヘリウム温度(4K)で5mV程度のエネルギ幅の電子線が得られる。

0018

ここでは、仕事関数の低いGaAsの(111)B面を電子放出面として選んだが、他の面を選んでも同様の効果がある。(100)面を電子放出面とした場合、比較的安価なGaAs(100)基板上に針を形成して用いることができる。これは、一度の工程で多数の電子放出源が得られるという利点がある。なお、ここでは、GaAsのp−n接合におけるバンド間トンネル効果を用いたが、その他にもSi,Ge,C,SiC,Si−Ge,AlAs,GaSb,GaPInP,ZnS,ZnSe,ZnTe,HgCd−Te等の半導体材料を用いてp−n接合を形成しても同様の効果がある。

0019

同じ材料どうしのp−n接合のみならず、異種材料どうしの接合、すなわち、ヘテロ接合があってもp−n接合ができれば、バンド間トンネル効果があるので同様の効果がある。例えば、針表面に1立方cm当たり1020程度以上の窒素をドープした単結晶ZnTeを基材10として設け、その上に1立方cm当たり1018程度以上の塩素をドープした単結晶ZnSe膜を厚さ2nm程度成長すると、図10に示すように、タイプIIの超格子と呼ばれるポテンシャルの不連続な接合が形成されると同時に、p−n接合が形成される。このヘテロ接合では、基材のZnTeに比べて表面層のZnSeの方が伝導帯が0.59eV 程度低いため、同じ材料どうしのp−n接合に比べてより少ない不純物ドーピングで、十分薄い空乏領域が得られ、かつ十分量子準位の離れた量子井戸が得られる。この結果、電子の不純物散乱が少なくなり、かつ共鳴トンネル効果が得られるため、より単色化に有利となる。さらに、図10に示すように、価電子帯は基材のZnTeに比べて表面層のZnSeの方が1eV程度低いため、大きな電界強度の時にも価電子帯からの電子放出を抑え、単色の高電流密度電子源を形成することができる。

0020

なお、表面層としてZnSeの代わりにZnSを用いると、価電子帯のエネルギは基材のZnTeより1.6eV 程度低くなるため、より一層効果がある。また、材料はこの他に、Si−Geを基材として表面にSi膜を形成しても同様のタイプII超格子を形成できるので同様の効果がある。

0021

また、禁制帯のエネルギが全く一致しないヘテロ接合、例えば、図5(a)のような、尖ったGaSb51とInAs52の表面薄膜の組み合わせを用いても、図5(b)に示すように価電子帯から伝導帯に電子が遷移し、かつInAs層中に量子準位が形成されるために同様に単色な電子線源が得られる。GaSb/InAs超格子では各膜厚が12nm以下になると特別な不純物ドープなしでも半金属状態となり、タイプIII の超格子と呼ばれる構造となる。従って、InAl層52は、1〜10nmの厚さが好適であり、またGaSb/InAs多層膜の超格子としても同様に単色の電子線が得られる。図5(c)のように、GaSb51とInAs52の間に1分子層から10分子層程度のAlSb層を形成すると禁制帯幅が広がるため、室温やより高い温度でも単色の電子線が得られる。

0022

なお、本実施例では表面の仕事関数の特別な低下手段は用いていないが、表面に単分子層以下のCsOを吸着させると表面の仕事関数が減少し、トンネル確率D2(E)のエネルギ依存性が大きくなるため、より単色な電子線を得ることができる。なお、CsO以外でもCsF,Cs、或いはNa,K等のアルカリ金属、或いはMg等のアルカリ土類金属、或いはTi,Zr,Hf,Sc,Y、或いはそれら元素酸化物ハロゲン化物など、表面の仕事関数を低下させるものであれば、同様にエネルギ幅の狭い電子線が得られる。

0023

なお、本実施例では表面のn型領域17を薄く形成することで、量子準位を形成して共鳴トンネル効果を利用しているが、エネルギ幅100meV程度の単色電子線であれば、共鳴トンネル効果を用いなくとも達成することができる。この場合、表面のn型領域17をより厚いものとすれば良く、また膜厚が多少変わっても大きな影響はないため、製造が容易になるという利点がある。

0024

本実施例で材料は半導体の性質を示す例として単結晶を用いているが、その他に、多結晶半導体あるいは非晶質半導体を用いてもバンド間トンネル効果があるので同様の効果がある。

0025

(実施例2)図6に本発明の実施例の一つを示す。単結晶p+ Si(100)上に厚さ1μmのSiO2 膜61をCVD(chemical vapour deposition)法で堆積し、その後、ホトエッチング法によりSiO2 膜61を直径5μmの円形に加工する。次にこのSiO2 膜61をマスクとして等方性エッチング液でSiをエッチングする(図6(a))。エッチング液の組成は、HFとHNO3 の混合水溶液である。エッチングが進み、SiO2 膜61がとれたところでエッチングを停止する(図6(b))。SiO2 膜61がとれる前でも先端が所望の形状になった時点で停止し、その後HF水溶液によりSiO2 膜61を除去しても良い。HF水溶液に浸し表面酸化膜を除去した後、真空中で厚さ1μm程度のSb層62を蒸着する。これを炉の中に入れ900℃10秒間加熱すると、Si表面からSb原子拡散し、表面に厚さ数十nm以下のn型Si領域が形成される(図6(c))。この様にして得られたものを陰極として用いると、図1(b)に示すような、単色電子線が得られる。

0026

また、図7(a)に示すように、加工前にn型Si層70とp型Si層71をMBE(分子線エピタキシー)法で交互に積層しておくことにより、図7(b)の様に平行な積層構造を持つ陰極が得られる。この場合、電子の経路に空乏層16が三カ所現れ、より一層単色化の効果がある。また、この様に多層構造にした場合、針形状形成時のエッチングでエッチングの停止が多少遅れても少なくとも一組のp−n接合が残っていれば十分な機能を果たすため、作成が容易になるという利点がある。エッチング停止時の最表面層がn型でなく、p型となった場合でも同様に単色化の効果がある。なお、電子線の伝搬方向にn型−空乏領域−p型となる、いわゆる、順方向接合が少なくとも一組ある場合、両端の電位差Vrの増加に対してトンネル電流が減少する領域が存在するため、過電流を防ぐという特徴がある。

0027

また、この場合基板図8に示すようにn型基板80を用いても、内部のポテンシャル構造が図8(b),(c)のようにp−n接合が形成できるため、同様の効果がある。

0028

図9(d)の様に陰極のある同一基板上に陽極14を設けても同様の効果がある。作成工程は以下の通りである。p型Si基板60上にCVD法とホトエッチング法により直径5μm程度厚さ1μm程度の円形の窒化Si膜90を形成し、これを熱酸化して窒化Si膜90以外の部分に厚さ3μm程度のSiO2 膜91を形成する(図9(a))。この表面にスパッタ蒸着法により厚さ1μm程度のTa膜92を形成する(図9(b))。Arイオンミリング法によりTaを削る。窒化Si膜90とSiO2 膜91の段差にある薄いTaがなくなる時点でミリングを停止し、残ったTaをマスクとしてHFを含む水溶液により窒化Si膜90周辺のSiO2 を除去する(図9(c))。その後、図6の工程と同様にSiのエッチングにより針形状を形成し、不純物拡散によりn型Si領域63を形成して図9(d)の構造が得られる。この場合、陽極14も同時に形成されるため、電子線源装置が小型になるという利点がある。また、基板上に多数の電子線源を形成することができ、複数の電子線が得られるという特徴がある。さらに陰極と陽極が数μmと近いため、小さな引き出し電圧Veで単色電子線が得られるという利点がある。

0029

本実施例では材料の例としてSiを用いたが、同様の構造を形成すれば、実施例1で示したような他の材料系を用いても同様の効果がある。

0030

また、本実施例で用いた形成工程以外の方法、を用いても同様の構造が得られれば、同様の効果がある。

0031

なお、本実施例の、基板上に多数形成された電子線源を用いると、単色電子線のマルチビームが得られ、電子線描画装置高スループット化,CRTディスプレー高速化あるいは高精細化あるいは小型化等に効果がある。

発明の効果

0032

本発明を用いることによって単色性の良い電子線を得ることができ、高分解能の電子顕微鏡を提供することができる。

図面の簡単な説明

0033

図1本発明の実施例1の電子線源の説明図。
図2従来の電子線源の説明図。
図3従来の電子線源の説明図。
図4本発明の原理の説明図。
図5本発明の実施例1の電子線源装置の説明図。
図6本発明の実施例2の電子線源装置の断面図。
図7本発明の実施例2の電子線源装置の説明図。
図8本発明の実施例3の電子線源装置の説明図。
図9本発明の実施例3の電子線源装置の断面図。
図10本発明の実施例4の電子線装置の説明図。

--

0034

10…基材、11…アンドープGaAs層、12…Si原子層、13…アンドープGaAs表面層、14…陽極、15…p型領域、16…空乏領域、17…n型領域、18…真空準位の障壁層。

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