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技術 大空間火災の消火放水条件設定方法

出願人 株式会社立売堀製作所サンテクノ株式会社
発明者 辻則男酒井正人橋本篤
出願日 1995年11月15日 (25年1ヶ月経過) 出願番号 1995-296802
公開日 1997年5月27日 (23年6ヶ月経過) 公開番号 1997-135916
状態 特許登録済
技術分野 消防;防火 防災
主要キーワード CO検出器 高温区域 現場操作盤 水平方向距離 バケットクレーン 貯留レベル ゴミ表面 放水銃
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1997年5月27日)のものです。
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図面 (9)

課題

従来の消火装置とその放水銃制御における問題点を解決し、自動消火装置としての放水精度が高くかつ低コスト化が可能な、大空間火災消火放水条件設定方法を提供すること。

解決手段

放水銃口の垂直方向位置を放水銃身の俯仰角として設定するにあたり、予め設定された放水銃身の俯仰角可変範囲の両端の俯仰角によって得られる2本の放水曲線と、俯仰角可変範囲を2分の1に分割する俯仰角によって得られる1本の放水曲線から決まる2つの俯仰角制御範囲から始まり、火災発生点が存在する側の俯仰角制御範囲の両端の放水曲線を与える俯仰角範囲を2分の1に分割する俯仰角から得られる放水曲線によって順次俯仰角制御範囲を狭めていき、火災発生点に最も接近するか又は一致する放水曲線を与える俯仰角として、放水のための放水銃身の俯仰角を決定すること。

概要

背景

例えばゴミピットにおいては、大空間内に大量の可燃物貯留されることになり、メタンガス等の可燃性ガスの発生によって火災発生頻度が比較的高いのが現状である。従ってゴミピットの建設においては、火災発生を迅速に発見しかつ確実に消火できるシステムの設置が望まれる。そして、このようなゴミピットの消火装置については、特開平3−73172号等がその代表例として既に提案されている。この特開平3−73172号に記載のものは、赤外線カメラによってゴミピット内ゴミ表面を常時走査し、その一部に表面温度の高い部分があると自動放水銃装置によってゴミ表面の高温区域に向かって自動的に放水するものである。そして消火に当たっては、放水銃口を高温区域に向けて放水を行うことを特徴としている。

概要

従来の消火装置とその放水銃制御における問題点を解決し、自動消火装置としての放水精度が高くかつ低コスト化が可能な、大空間火災の消火放水条件設定方法を提供すること。

放水銃口の垂直方向位置を放水銃身の俯仰角として設定するにあたり、予め設定された放水銃身の俯仰角可変範囲の両端の俯仰角によって得られる2本の放水曲線と、俯仰角可変範囲を2分の1に分割する俯仰角によって得られる1本の放水曲線から決まる2つの俯仰角制御範囲から始まり、火災発生点が存在する側の俯仰角制御範囲の両端の放水曲線を与える俯仰角範囲を2分の1に分割する俯仰角から得られる放水曲線によって順次俯仰角制御範囲を狭めていき、火災発生点に最も接近するか又は一致する放水曲線を与える俯仰角として、放水のための放水銃身の俯仰角を決定すること。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
4件

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請求項1

大空間の所定位置に設けられた消火用放水銃から火災発生点に向けて放水を行う際の放水銃銃口位置を、火災発生点の座標に対する放水銃口の水平方向位置を放水銃身の水平方旋回角として、また放水銃口の垂直方向位置を放水銃身の俯仰角としてそれぞれ設定するにあたり、予め設定された放水銃身の俯仰角可変範囲の両端の俯仰角によって得られる2本の放水曲線と、俯仰角可変範囲を2分の1に分割する俯仰角によって得られる1本の放水曲線から決まる2つの俯仰角制御範囲から始まり、火災発生点が存在する側の俯仰角制御範囲の両端の放水曲線を与える俯仰角範囲を2分の1に分割する俯仰角から得られる放水曲線によって順次俯仰角制御範囲を狭めていき、火災発生点に最も接近するか又は一致する放水曲線を与える俯仰角として、放水のための放水銃身の俯仰角を決定する、大空間火災消火放水条件設定方法

請求項2

予め設定された放水銃身の俯仰角可変範囲を2分の1に分割する俯仰角による放水曲線から、放水銃からの水平距離が火災発生点と同一距離となる第1番目の放水到達点を求めて、この第1番目の放水到達点と火災発生点との位置関係を比較し、当該第1番目の放水到達点に対して火災発生点が存在する側の前記俯仰角制御範囲において、当該俯仰角制御範囲の両端の放水曲線を与える俯仰角範囲を2分の1に分割する俯仰角から得られる放水曲線により、放水銃からの水平距離が火災発生点と同一距離となる第2番目の放水到達点を求め、これ以降同様に、火災発生点との位置関係を比較して順次火災発生点の存在する側の俯仰角制御範囲をその俯仰角範囲を2分の1に分割して狭めることにより、最終的に火災発生点と最も接近するか又は、一致する最新の第n番目の放水到達点を与える俯仰角を、放水のための放水銃身の俯仰角として決定する、請求項1記載の大空間火災の消火放水条件設定方法。

請求項3

放水曲線を、放水銃から放水された水の運動に基づいた、空気抵抗のある放物運動の運動方程式として近似する請求項1または2記載の大空間火災の消火放水条件設定方法。

技術分野

0001

本発明は、ゴミピット等の大空間における火災消火に際し、任意の火災発生点に対する放水条件の決定方法とそれを用いた大空間の自動消火装置に関するものである。

背景技術

0002

例えばゴミピットにおいては、大空間内に大量の可燃物貯留されることになり、メタンガス等の可燃性ガスの発生によって火災の発生頻度が比較的高いのが現状である。従ってゴミピットの建設においては、火災発生を迅速に発見しかつ確実に消火できるシステムの設置が望まれる。そして、このようなゴミピットの消火装置については、特開平3−73172号等がその代表例として既に提案されている。この特開平3−73172号に記載のものは、赤外線カメラによってゴミピット内ゴミ表面を常時走査し、その一部に表面温度の高い部分があると自動放水銃装置によってゴミ表面の高温区域に向かって自動的に放水するものである。そして消火に当たっては、放水銃口を高温区域に向けて放水を行うことを特徴としている。

発明が解決しようとする課題

0003

上記のような従来のゴミピットの消火装置については、その放水銃口の位置決定の方法に起因する以下の問題点があった。具体的には、火災発生点に対して消火用水を放水する際の放水銃制御に伴うデータ処理と、その精度の問題が挙げられる。すなわち、消火の際に図8に示しているように紙面の前後・左右・上下方向の三次元座標(x,y,z)によって決まるゴミ表面50の火災発生点Fに向かって放水銃52の銃口を向けて放水することに起因する問題である。上記従来の消火装置は、火災発生点Fに放水銃52の銃口を向けて消火することを前提にしており、放水銃52から発射された消火用水は、図のように直線の軌跡Pを描いて火災発生点Fに到達することを前提にしていると考えられる。しかしながら実際の消火用水は放物線の軌跡を描くことは明らかであり、その結果として放水銃52から火災発生点Fまでの距離が長くなるほど誤差が大きくなるという点が問題となる。そこでこの誤差を小さくするためには、火点検知対象領域全体を複数の単位領域に分割し、個々の単位領域に消火用水が到達するような放水銃の位置を個々の単位領域それぞれに対して予めデータとして与えておくことも考えられるが、データの量が膨大になることからシステムが大掛かりになったり、特定データの検索に時間が掛かったり、あるいはコストアップを招いてしまうことになり、実現性は小さい。従って、従来の消火装置においては消火用水の軌跡を直線として扱わざるを得ない。

課題を解決するための手段

0004

本発明は上述した従来の消火装置とその放水銃制御における問題点を解決し、自動消火装置としての放水精度が高くかつ低コスト化が可能な、大空間火災の消火放水条件設定方法を提供するものである。上記課題は、大空間の所定位置に設けられた消火用放水銃から火災発生点に向けて放水を行う際の放水銃の銃口位置を、火災発生点の座標に対する放水銃口の水平方向位置を放水銃身の水平方旋回角として、また放水銃口の垂直方向位置を放水銃身の俯仰角としてそれぞれ設定するにあたり、予め設定された放水銃身の俯仰角可変範囲の両端の俯仰角によって得られる2本の放水曲線と、俯仰角可変範囲を2分の1に分割する俯仰角によって得られる1本の放水曲線から決まる2つの俯仰角制御範囲から始まり、火災発生点が存在する側の俯仰角制御範囲の両端の放水曲線を与える俯仰角範囲を2分の1に分割する俯仰角から得られる放水曲線によって順次俯仰角制御範囲を狭めていき、火災発生点に最も接近するか又は一致する放水曲線を与える俯仰角として、放水のための放水銃身の俯仰角を決定する、大空間火災の消火放水条件設定方法とすることで解決できる。この方法をさらに詳細に説明すると以下のようになる。放水銃身の一つの俯仰角を与えると一つの放水曲線が決定され、一つの放水到達点が求まる。そして上記方法では、火災発生点と一致、又は最も接近する放水到達点が得られる俯仰角を求めるに当たり、放水銃身の俯仰角可動範囲を先ず2分の1に分割する放水曲線の放水到達点が、火災発生点と一致するか否か比較する。一致しなければ、次にこの俯仰角可動範囲を2分の1に分割した前記放水曲線の放水到達点と、火災発生点が存在する側における放水銃身の俯仰角可動端との間を2分の1に分割する新たな放水曲線の放水到達点が、火災発生点と一致するか否か比較する。このようにして、2つの放水曲線に挟まれた俯仰角制御範囲の両端に相当する俯仰角範囲を、順次2分の1に分割して俯仰角制御範囲を狭めていき、最終的に火災発生点に最も接近するか又は、一致する放水到達点を与える俯仰角を、放水のための放水銃身の俯仰角として決定する。

0005

そしてより具体的には、予め設定された放水銃身の俯仰角可変範囲を2分の1に分割する俯仰角による放水曲線から、放水銃からの水平距離が火災発生点と同一距離となる第1番目の放水到達点を求めて、この第1番目の放水到達点と火災発生点との位置関係を比較し、当該第1番目の放水到達点に対して火災発生点が存在する側の前記俯仰角制御範囲において、当該俯仰角制御範囲の両端の放水曲線を与える俯仰角範囲を2分の1に分割する俯仰角から得られる放水曲線により、放水銃からの水平距離が火災発生点と同一距離となる第2番目の放水到達点を求め、これ以降同様に、火災発生点との位置関係を比較して順次火災発生点の存在する側の俯仰角制御範囲をその俯仰角範囲を2分の1に分割して狭めることにより、最終的に火災発生点と最も接近するか又は、一致する最新の第n番目の放水到達点を与える俯仰角を、放水のための放水銃身の俯仰角として決定する方法を取ればよい。

0006

そして俯仰角から放水曲線を求める際には、放水銃から放水された水の運動に基づいた、空気抵抗のある放物運動の運動方程式として近似すると、誤差を少なくすることができる。この運動方程式は、空気抵抗成分に対応する定数を含むものであり、予め実際に対象となる大空間とほぼ同一規模での放水実験を行い、放水の軌跡からこの定数を求める方法等が例示できる。

発明を実施するための最良の形態

0007

本発明による火災の検知から消火までの流れは、概ね以下のような実施形態となる。ゴミピット等の大空間の天井や壁面の適所に設けた固定赤外線カメラにより、火点検知対象領域を監視する。この時には後述するように火災発生点を三次元座標として特定するため、必要に応じて赤外線カメラを複数台設置しておく。そして火点検知対象領域内において火災発生の高温に対応する赤外線放射が認められると、画像データ処理装置によって例えば2台の赤外線カメラからの画像信号演算処理して、火災発生点を三次元座標として特定する。火災発生点の座標が特定されると、例えば特定された火災発生点の座標と放水銃とを通る鉛直平面(Y,Z成分)を想定する。そしてこの鉛直平面の基準位置からの水平方向旋回角によって、放水銃口の水平方向位置を設定する。さらに放水銃口の垂直方向位置については、この鉛直平面内で下記の方法によって放水銃身の俯仰角として設定する。以下図1を参照し、この銃身の俯仰角の設定について詳細に説明する。

0008

図1は、放水銃と火災発生点を通る鉛直平面1を表しており、図中A点は放水銃、F点は火災発生点、Cxは、予め設定された、放水銃身の俯仰角可動範囲の上方端の俯仰角から求まる放水曲線で、本例では最遠方の放水到達点Lx を与えるもの、Cn は、同俯仰角可動範囲の下方端の俯仰角から求まる放水曲線で、本例では最至近の放水到達点Ln を与えるもの、Cm は、同俯仰角可動範囲の中間点の俯仰角から求まる放水曲線で、Lx とLn の間の放水到達点Lm を与えるもの、をそれぞれ表している。これより、先ず2つの俯仰角制御範囲θ1 ,θ2 が構成される。そして、火災発生点を通り放水銃からの水平距離(YA )が同一となる点線a−b上に最終的な放水到達点が存在するとして、以下の方法によって最終的な俯仰角が求められる。いまF点で発火が確認されると、先ず俯仰角可動範囲を2分の1に分割する中間点の俯仰角に基づいて、空気抵抗を考慮した放物運動の運動方程式から、放水到達点Lm を求める。ここで、放水用水の初速度V0 と放水銃身の俯仰角λはそれぞれ決まっているので、初速度のY成分VY0とZ成分VZ0は、下式
VY0=V0 cosλ … (1)
VZ0=V0 sinλ … (2)
で与えられる。そして、これら2式により求められた初速度V0 のY成分VY0とZ成分VZ0を基に、以下の放物運動の運動方程式(3) ,(4) より、放水到達点Lm のZ座標を求める。なお、YA とは、前述のように、想定された鉛直平面1内における放水銃口と火災発生点との間のY方向距離を表すものである。またX,Y,Z座標の取り方と特定方法については後述する。
YA =VY0(1−e-kt )/k … (3)
Z=−gt/k+{(VZ0+g/k)(1−e-kt )}/k … (4)
ここで、式中の定数kは空気抵抗成分に対応するものであるが、その詳細についても後述する。

0009

以下、(3) ,(4) 式から一つの俯仰角に対応するZ座標を求める方法について詳細に説明する。火災発生点の座標(X,Y,Z)が後述の方法によって求められると、放水銃身の水平方向旋回角tは、図2に示すように、X,Yの座標より、下式(5)
t=tan-1(X´/Y) …(5)
で求められる。次に、図1図2に示すように、鉛直平面1内での放水銃口から火災発生点までの水平方向距離YA を求め、(3) ,(4) 式から放水銃身の俯仰角λに対応する放水到達点のZ座標を求める。すなわち、放水銃口から火災発生点までの水平方向距離YA は、図2より、下式(6)
YA =√{Y2 +(X´)2 } …(6)
によって求められ、YA が求まると、式(3) をtの式に変形した下式(7)
t=−〔log{1−(YA k/V0 cosλ)}〕/k …(7)
を、式(4) に代入し、下式(8)
Z=〔log{1−(YA k/V0 cosλ)}g/k
+sinλYA k/cosλ+YA g/V0 cosλ〕/k…(8)
により、一つの俯仰角λに対応するZ座標が演算される。なお、前述のようにこのZ座標は、放水銃からの水平距離が火災発生点と同一距離となっている。

0010

このようにして、先ず俯仰角可動範囲の中間点(2分の1に分割する点)の俯仰角から求まる放水曲線Cm によって与えられる放水到達点Lm のZ座標を演算し、火災発生点Fが2つの俯仰角制御範囲θ1 ,θ2 のいずれに存在しているかを判定する。そして図示するように、仮に火災発生点Fが、俯仰角制御範囲θ1側に存在している場合は、次に上記放水到達点Lm を与えるところの、俯仰角可動範囲の中間点の俯仰角と、同俯仰角可動範囲の下方端(すなわち最至近の放水到達点Ln を与える俯仰角)との中間点の俯仰角から求まる放水曲線Cm1から与えられる放水到達点Lm1のZ座標を演算し、同様に2つの俯仰角制御範囲θ3 ,θ4 のいずれに火災発生点Fが存在しているかを判定する。そして、火災発生点Fがθ4 に存在しているとすると、今度は放水到達点Lm と同Lm1をそれぞれ与える俯仰角制御範囲θ4 を2分の1に分割する俯仰角から求まるところの、放水到達点Lm2を与える放水曲線Cm2により、俯仰角制御範囲θ4 を同θ5 ,θ6 に分割し、同様に火災発生点Fがθ5 ,θ6 のどちらの俯仰角制御範囲に存在するかを判定する。このように、順次俯仰角制御範囲を狭めていくと、最終的には、火災発生点Fに最も接近するか、又は一致する放水曲線を与える最適俯仰角が見つかるので、この最適俯仰角を放水のための放水銃身の俯仰角(放水銃口の垂直方向位置)として決定し、先に求めた水平方向位置とともに放水銃の駆動制御データとして与え、放水銃を当該火災発生点Fを狙えるよう制御し、放水する。

0011

この一連演算フローを、図3アルゴリズムとして表している。図から明らかなように、常に最新の放水到達点と火災発生点Fとの位置座標を比較し、火災発生点側に俯仰角を繰り返し2分の1に分割していき、最終的な火災発生点に最も接近するか又は一致する放水到達点を与える俯仰角を決定する。なお、図のアルゴリズムは、俯仰角可動範囲を水平に対して+10°の仰角(上向き)から−90°の俯角(下向き)まで(100°の範囲)としたものである。

0012

次に、定数kについて説明する。この定数kは空気抵抗成分に対応するものであり、実際の放水実験によって予め決定されるものである。この放水実験は、図4に示すように、本発明の消火対象領域となる大空間に相当する大きさを有する放水対象領域で実際に放水を行い、その放水軌跡を写真撮影して理論式からのズレを測定し、kの値を決定した。図中3は放水銃5が先端に設置される放水塔であり、C1 ,C2 …は放水銃身7の俯仰角λ1 ,λ2 …に対応する放水軌跡を表している。またGは地表面を表し、L1 ,L2 …は上記放水軌跡C1 ,C2 …の地表到達点を表している。そしてkを変化させ、地表到達点L1 ,L2 …と放水銃5との間の水平距離Dを計算し、実際の放水実験から観測された水平距離Dとの誤差を評価し、最適なkの値を決定した。そして、kを最適化することで、放水銃5の高さ25m、最遠到達点40m程度の規模において、±3m以内の到達点誤差が得られた。この±3m程度の誤差であれば、後述するように、放水時に放水銃口を振ることによって十分カバーすることができる。

0013

また、図4で説明した放水実験の際には、放水銃身7の俯仰角によっては、放水が地表(到達点)に達する前に霧状に散乱してしまうという現象が見られた。これは空気抵抗の影響によるものと思われ、実際に本発明による大空間の自動消火装置を設計する際の重要な指針となる。すなわち、実際の大空間においては、放水実験における放水塔3の高さに相当する放水銃5の取り付け高さは分かっているので、当該高さから放水した場合、どの程度の到達点距離までは霧状にならずに明確な放水軌跡を描くかを、予め設計要素として考慮することができる。そして、大空間の大きさが、明確な放水軌跡でカバーできないような大きさの場合は、放水銃5を複数本設置しておけばよい。

0014

以上に説明した放水曲線および放水到達点の演算は、空気抵抗に基づくk値と放水の初速度V0 を定数として扱っており、設置場所の環境や水圧が異なることによってこれら2つの値が変化すると、精度の高い放水ができなくなることが考えられる。すなわち、水圧が変われば初速度V0 とkの値も変わるので、放水銃5が決まると、予め放水実験から設定される各種の水圧に対応する初速度V0 とk値の最適値を、放水銃5の設置現場において選択するようにしておけばよい。また、放水銃5を設置した後にも水圧をモニターしておき、火災発生時にその水圧に基づいて初速度V0 とk値を決定し、これに基づいて上述の一連の演算を行うことで、高い精度を維持することができる。

0015

以下、本発明の実施例として、本発明を用いた大空間の自動消火装置について説明する。図5は、本発明を用いたゴミピットの自動消火装置の概要図である。図のようにゴミピット9の上部A点に設置した放水銃より、貯留されているゴミ11の表面における火災発生点Fに向かって、放水曲線13として示す軌跡で消火用水が放水される。この時は、火災発生点Fの座標と放水銃、すなわちA点とを通る鉛直平面1を想定する。そしてこの鉛直平面1をどの方向に向けるかについてが、鉛直平面1と基準方向Bとの間の角度t、すなわち放水銃の旋回角として決定される。一方、鉛直平面1内の各座標に対する放水曲線13の決定も、前述のようにA点に設置される放水銃の俯仰角によって与えられる。なお図1も含め、本図例では、鉛直平面1にマス目が入っているが、これは放水銃身の俯仰角の決定に要する時間をより短縮する場合のために設定される単位領域15を表している。すなわち、自動消火装置を構成する際のハード上の制約等により、前記図1図3で示した演算過程で位置の特定に時間を要する場合、火災発生点が含まれる単位領域15を通過する放水曲線を与える俯仰角をもって、放水のための俯仰角として決定することで、俯仰角の決定に要する演算回数が少なくなり、一層の時間短縮となる。そして実際の放水時においては、この単位領域全体をカバーできるように放水銃を振れば、確実に消火することができる。ここで、この単位領域15の大きさは、少なくとも従来のように放水銃口を火災発生点に向けて放水する場合の誤差範囲より、小さくしておく必要があることは言うまでもない。

0016

ここで上記図5の例は放水銃を一か所に設置した例であるが、図例では一つの鉛直平面1でゴミピット9内の全領域をカバーすることはできないし、また前述のように、ゴミピットの大きさが、放水到達点で霧状になってしまう距離以上の場合もあるので、ゴミピット9の形状や大きさによっては2か所またはそれ以上の設置数とすればよい。そして放水銃を複数箇所に設置すると、ゴミ11の表面凹凸によって放水銃からの放水が妨げられる場合でも、凹凸の陰にならない側の放水銃から放水すると確実な消火が可能になるという効果もある。そして複数箇所に設置する場合でも、一つの放水銃に対しては一つの鉛直平面1が想定されることになる。また図1では放水銃をゴミピット9の最上部に取り付けた例を用いているが、ゴミ11の最大貯留レベルを考慮してゴミピット9の最上部ではなく高さ方向適所に設置することもできる。

0017

またゴミピット9内においては、メタンガス等の可燃性ガスの存在により、火災発生に伴う赤外線の検出から消火用水の放水までの短時間の間に火が周囲に広がることが予想され、しかも火の広がる方向も予想しづらいのが現状である。従って、前述の誤差の吸収と併せ、消火時に放水銃を前後左右に振ったり、円運動させれば良い。

0018

次に、赤外線カメラによる火災発生点の座標の特定について説明する。ここでは、赤外線カメラの駆動トラブルの防止とコストダウンを図るため、火点検知対象領域全体がおさまる全視野を有する固定赤外線カメラによって赤外線を検出する構成が提案される。これには例えば広角レンズを用いればよいが、一般に視野角広角になる程、視野上下左右端の歪みが増加してしまう。そこで、赤外線カメラから得られる赤外線画像データの各画素と、実際の視野における各画素との関係を予め調査して補正する方法が採用されうる。そして火災発生点の三次元座標の決定に当たっては、1台の固定赤外線カメラから得られる2次元画像とゴミピット上部に設置されるゴミピットクレーンのゴミ高さ情報を用いてもよいし、2台の固定赤外線カメラを用いて演算処理してもよい。ここで、2台の固定赤外線カメラを用いた演算処理は、およそ以下のようになる。図6には、2台の固定赤外線カメラを用いて火災発生点の3次元座標を求める場合の原理図を、図5に基づいて表している。図例のものは、図5にも示すようにゴミピット9の相対向する短辺の中央に1台ずつ計2台の固定赤外線カメラD、Eを設置し、F点で示される火災発生点を検出することを想定している。そして本図は、図5における矢印イ方向から見た平面図を(イ)として、また矢印ロ方向から見た側面図を(ロ)としたものである。いま仮に図5におけるS点を3次元座標の原点とすると、火災発生点Fの座標(X,Y,Z)は、以下の式で与えられる。
X=Y/tanθD … (9)
Y=btanθD /{1+(tanθD /tanθE )}…(10)
Z=XtanθJ …(11)
なおこれら式(9) 〜(11)による演算は、固定赤外線カメラに接続した画像データ処理装置によって行えばよい。

0019

続いて図7には、本発明による自動消火装置の実施例を、ブロック図として表している。図例のものは前述のZ座標に相当するゴミの高さ情報を、ゴミバケットクレーン20の情報からゴミクレーンコンピュータ22を通して得るものである。図中21は広角赤外線カメラを用いた固定赤外線カメラ、23は固定赤外線カメラ21からの情報に基づいて、火災を検知とその座標を特定する画像データ処理装置、25は放水銃制御手段をそれぞれ表している。ここで、固定赤外線カメラ21は赤外線受光素子を用いるので、この素子ペルチェ効果等を用いた電子冷却によって冷却すればよい。また、ゴミピット9内には腐食性ガスが存在しているので、一例として固定赤外線カメラ21をゴミピット9の天井付近に設置し、カメラ21の収容空間からゴミピット9の天井の外部に配管を貫通し、外気が前記収容空間内循環するようにしておけばよい。このようにすることでカメラパージを簡便な構造で行うことができる。また本例では現場作業者による手動火災操作も兼用できるよう、この放水銃制御手段25を、図示するように「放水銃制御操作部」として放水銃駆動手段を一体的に構成する(内部機能的には分離されている)一方、放水銃26の手動操作のための指示を現場操作盤28に出力できるような構成となっている。その他ポンプ27、ポンプ自動制御部29、CO検出器31、建築火災報知器33、システム監視部35等の付帯装置は、ゴミピット9の火災検知、消火を円滑に行うためのものであり、本図例に何ら限定されるものではない。

発明の効果

0020

以上のように本発明は、火災発生点への放水条件の設定に当たり、放水銃口の垂直方向位置を、放水銃身の俯仰角を変えてその場で放水到達点を演算し、火災発生点に最も接近するか又は、一致する放水到達点を与える俯仰角として設定するものである。具体的には、従来のように火災発生点に放水銃口を向けて放水するものではなく、空気抵抗を考慮にいれた放物運動の運動方程式から放水曲線を近似する。さらにこの時には、実際の放水実験から空気抵抗に関する定数kが決定され、この定数kの項を含めた運動方程式が用いられる。従って、消火用水の放水軌跡を、従来のような直線として考えるのではなく、実放水に極めて近似する放物線として捕らえているため、精度が大幅に向上する。特に本実施例で取り上げたゴミピットの場合、最終的には焼却することから消火用水をできるだけ少なくしたい為、本発明は極めて有用である。これは、従来のように大きな誤差を含んでいる場合には、確実に消火するために放水銃を振り、火災発生点の周囲のより広範囲に消火用水を放水する必要があるところ、本発明ではこの誤差が非常に小さいため、放水銃を振る範囲が従来に比べて大幅に小さくなるからである。このように本発明では、従来のようにコンピュータ処理において膨大な座標データから特定のデータを検索する方法と異なり、俯仰角が演算によって決定されるため、その処理速度が極めて速くなるとともに、データファイル等に要する周辺機器も少なくなり、機器の小型化、低コスト化も実現できる。

図面の簡単な説明

0021

図1本発明における俯仰角の決定方法を表すための説明用図。
図2本発明における俯仰角の決定方法を表すための説明用図。
図3本発明における演算フローを表す説明用アルゴリズム。
図4定数kを決定するための放水実験の実施態様を表す説明図。
図5本発明を用いたゴミピットの自動消火装置の概要図。
図6二台の固定赤外線カメラを用いて火災発生点の三次元座標を求める場合の原理図。
図7本発明による自動消火装置の実施例を表す説明用ブロック図。
図8従来の放水銃制御を説明するための概略図。

--

0022

1 鉛直平面
3放水塔
5,26,52放水銃
7 放水銃身
9ゴミピット
11ゴミ
13放水曲線
15単位領域
20 ゴミバケットクレーン
21 固定赤外線カメラ
22 ゴミクレーンコンピュータ
23画像データ処理装置
25 放水銃制御手段
27ポンプ
28現場操作盤
29 ポンプ自動制御部
31CO検出器
33建築火災報知器
35システム監視部
50 ゴミ表面

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