図面 (/)
課題
解決手段
請求項1
受信したシリアルデータ信号から、既知のパターンたるユニークワードを検出する第1ステップと、ユニークワードに関する規格と照合することにより上記検出したユニークワード中のビット誤りを検出する第2ステップと、逐次検出されるビット誤りの発生頻度に基づき上記シリアルデータ信号におけるビット誤り率を推定する第3ステップと、を有することを特徴とするビット誤り率測定方法。
請求項2
請求項1記載のビット誤り率測定方法において、単一の測定位置にて受信した複数のシリアルデータ信号に関し上記第1及び第2ステップを実行した上で上記第3ステップを実行することにより、当該測定位置における上記ビット誤り率を推定することを特徴とするビット誤り率測定方法。
技術分野
0002
固定的に配設された基地局と、車両その他の移動体に搭載され又は人間により携帯された移動局との間で無線通信を行う移動無線システムを運用する際には、基地局と移動局が正常にかつ高品質な信号にて通信できるよう、運用者が基地局のサービスエリア(移動局と正常に無線通信可能な範囲)を把握する必要がある。ある地点が基地局のサービスエリアに属するか否かを知る方法の一つとしてあげられるのは、その地点にて基地局から無線受信したシリアルデータ信号におけるビット誤り(ビットエラー)の発生率(ビット誤り率)を測定する、という方法である。従来の方法では、まず通常通信には使用しないPN(擬似雑音)コードを図4に示される基地局100から無線送信し、移動局200と同様に移動可能な構成を有する測定器300にてそのPNコードを受信し、受信したPNコードのビット誤り率を評価する、という方法が用いられていた。この方法の代表的な欠点は、PNコードを発生させるためのPN発生器100Aを基地局100に設けなければならないことである。これは、基地局100の構成の複雑化を招いていた。さらに、測定器300にてビット誤り率の測定・評価を実行するときには、通常通信には使用しないPN発生器100Aを動作させねばならない。これは、運用者には負担となっていた。
0003
本発明の第1の目的は、通常通信時のシリアルデータ信号の一部をビット誤り率測定に利用することにより、サービスエリアの調査時等のようにビット誤り率を測定する必要があるときに、シリアルデータ信号の送信元(上の例では基地局100)にて特別の装置(上の例ではPN発生器100A)を動作させる必要がないビット誤り率測定方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、第1の目的の達成を通じ、上記シリアルデータ信号の送信元の装置構成を簡素化しシステムを安価に実施可能にすると共に、システムの運用者の負担を軽減しひいては運用コストを低減することにある。
0004
このような目的を達成するために、本発明の第1の構成に係るビット誤り率測定方法は、受信したシリアルデータ信号から、既知のパターンたるユニークワード(UW)を検出する第1ステップと、UWに関する規格と照合することにより上記検出したUW中のビット誤りを検出する第2ステップと、逐次検出されるビット誤りの発生頻度に基づき上記シリアルデータ信号におけるビット誤り率を推定する第3ステップと、を有することを特徴とする。本構成によれば、通常通信時に信号タイミング捕捉等のため用いられているUWからビット誤りを検出し、これに基づきシリアルデータ信号におけるビット誤り率を推定するようにしたため、ビット誤り率測定時にシリアルデータ信号の送信元にて特別の装置を動作させる必要がない。これにより、シリアルデータ信号の送信元の装置構成を簡素化できシステムを安価に実施できると共に、システムの運用者の負担を軽減できひいては運用コストを低減できる。
0005
本発明の第2の構成に係るビット誤り率測定方法は、第1の構成において、単一の測定位置にて受信した複数のシリアルデータ信号に関し上記第1及び第2ステップを実行した上で上記第3ステップを実行することにより、当該測定位置における上記ビット誤り率を推定することを特徴とする。本構成によれば、複数のシリアルデータ信号に関しUWのビット誤りを検出しその結果に基づきビット誤り率を求めているため、上述のシリアルデータ信号の一部にすぎないUWを用いているにも関わらず、高い精度で、ビット誤り率を測定できる。
発明を実施するための最良の形態
0006
以下、本発明の好適な実施形態に関し図面に基づき説明する。なお、図4に示される従来技術と同様の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
0007
図1には、本発明の一実施形態に係る移動無線システムの構成が示されている。この実施形態では、基地局100にPN信号発生器100Aが設けられていない。すなわち、通常通信には使用しないPNコードを基地局100から無線送信することなく、測定器300Aを用いたビット誤り率測定(例えばサービスエリアの特定業務)を実行可能にした点に、本実施形態の特徴がある。従って、本実施形態では、基地局100の構成が簡素化されると共に、従来は測定時にPN発生器100Aを動作させねばならなかったシステム運用者の負担が軽減される。
0008
図2には、本実施形態における測定器300Aの一例構成が示されている。この図に示される測定器300Aは、基地局100から移動局200へ送信される下り信号及び/又は移動局200から基地局100へ送信される上り信号を傍受するためのアンテナ10及び受信回路12を備えている。受信回路12はアンテナ10により受信した信号を復調し、その後段のUW検出回路14は復調された信号中の任意のスロットのUW(図3参照)を検出する。さらにその後段のビットエラー検出回路16は、検出されたUW中に発生しているビット誤りを、STD−28等に規定されているUW情報、すなわちUWとして予め定められている符号系列と比較することにより、検出する。CPU18は、所定スロット数に亘り、これらUW検出及びビット誤り検出動作を繰り返し実行させ、その結果に基づき、受信信号におけるビット誤り率を推定する。パソコン20は、推定されたビット誤り率を所定の判定基準と比較する。その結果、判定基準に比べ良好なビット誤り率であると判定された場合、パソコン20は、現在測定器300Aが存在している位置が基地局100のサービスエリア内であると見なす。逆に、判定基準に比べ悪いビット誤り率であると判定された場合、パソコン20は、現在測定器300Aが存在している位置が基地局100のサービスエリア外であると見なす。パソコン20は、この判定結果を、別途生成される位置情報と対応付けることにより、ビット誤り率の分布を求め、基地局100のサービスエリアを特定する(エリアマッピング)。
0009
なお、図3に示されているのはシリアルデータ信号の1スロットの一般的な構成である。図中、“ビット同期”は送受信間の動作を同期させるためのクロックであり、“キーワード”は受信側に対するコマンドに相当し、“誤り検出”はそのスロットにおける誤り発生を検出ための符号である。また、UWは、通常、移動局200にてスロットの捕捉に用いられている。従って移動局200でも通常はUW検出回路が用いられている。本実施形態に係る測定器300Aを実現する際には、移動局200にて使用しているUW検出回路を転用することができる。
0010
以上の説明は、PHS(パーソナルハンディホンシステム)等の移動無線システムを想定して行ったが、本発明は、シリアルデータ信号を送受信するシステムであれば無線有線の区別なしに適用できる。
図面の簡単な説明
0011
図1本発明の一実施形態に係る移動無線システムの構成を示す配置図である。
図2測定器の構成を示すブロック図である。
図3基地局移動局間で無線伝送されるシリアルデータ信号の構成を示す概念図である。
図4一従来技術に係る移動無線システムの構成を示す配置図である。
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0012
10アンテナ、12受信回路、14 UW検出回路、16ビットエラー検出回路、18 CPU、20パソコン(パーソナルコンピュータ)、100基地局、200移動局、300A測定器。