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概要
背景
近年、ポリグリセリン脂肪酸エステルは食品添加物として認可され、使用量も次第に増加している。一般に、このエステルは、原料として重合度の異なるポリグリセリンと鎖長の異なる脂肪酸とを組合わせることにより広い範囲のHLB値のエステルが得られ、また酸性領域で高い安定性を示すことから、特に食品分野において、乳化剤や粘度調整剤として広く用いられている。このポリグリセリン脂肪酸エステルの製造法としては、(1)ポリグリセリンと脂肪酸のエステル化反応、(2)ポリグリセリンと脂肪酸エステルとのエステル交換反応、(3)ポリグリセリンと油脂とのエステル交換反応、(4)グリシドールと脂肪酸モノグリセライドとの付加重合反応、(5)グリシドールと脂肪酸との付加重合反応などがある。このうち、(2)〜(3)の方法については反応性、生成したポリグリセリン脂肪酸エステルの品質、純度、などから制約の多い方法である。
(1)の方法はJAOCS(Journal of American 0il Chemists’ Society)第58巻、第878頁(198l年)に記載され、ポリグリセリンと脂肪酸とをアルカリ触媒の存在下にエステル化反応を行ってポリグリセリン脂肪酸エステルを得る方法が開示されている。また特開平6ー41007号公報にも同様の方法が開示されている。(4)の方法については、USP4,515,775に記載されている。(5)の方法については、今までに、グリセリンのモノ脂肪酸エステルに関しては特開昭51−65705号公報に記載されている。しかしながら、この公報に開示された技術によれば、不活性な溶剤の存在下で高度百分比率のカルボン酸−1−モノグリセライド(後記化学式[1]においてnの値が平均で1である。)を製造する方法で、グリセリンの重合度が平均で1のものであり、ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルに関しては、全く言及されておらず、実際の検討がなされていない。
なお、グリシドールの付加重合反応を使用した技術としては、(1)〜(3)の方法で使用するポリグリセリンを製造する際のグリセリンとグリシドールの付加重合反応(特公平1−55254号公報、特公平4−11532号公報、特公平5−1291号公報)または脂肪酸とグリシドールの付加重合反応後、加水分解反応を経たポリグリセリンの製造(特公平4−69621号公報)、ポリグリセリンモノアルキルエーテル、ポリグリセリンモノアルキルチオエーテルの製造(USP3,821,372、USP3,966,398、USP4,087,466等)等が開示されている。
しかしながら、特公平4−69621号公報に記載されている脂肪酸とグリシドールの付加重合反応後、加水分解反応を経由したポリグリセリンの製造では、用いる脂肪酸が低級(炭素数2〜6)脂肪酸であり、かつ、目的はポリグリセリンの製造であり、ポリグリセリン脂肪酸エステルについては全く言及されていない。
概要
モノ脂肪酸エステル体を従来品に比べ高純度で含有するポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤に関する。
カラムクロマト分析法で溶離し、紫外線吸収検出器を用いて検出される下記一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体のピーク面積比で表した含有率が70%以上であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 3件
- 牽制数
- 9件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
カラムクロマト分析法で溶離し、紫外線吸収検出器を用いて検出される下記一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体のピーク面積比で表した含有率が70%以上であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤。
請求項
ID=000004HE=020 WI=108 LX=0510 LY=0500
請求項2
アルコール系溶媒及び/又は蒸留水を溶離液とするオクタデシルシリル基結合シリカゲルカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーで分離し紫外線吸収検出器を用いて検出される一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体のピーク面積比で表した含有率が70%以上であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤。
請求項
ID=000005HE=020 WI=114 LX=0480 LY=0900
請求項3
請求項
ID=000006HE=025 WI=112 LX=0490 LY=1250
請求項4
Rの炭素数が7以上である請求項1〜3の何れかに記載のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤。
請求項5
請求項6
請求項7
請求項8
食品添加剤が、水産練り製品の添加剤である請求項1〜4の何れかに記載の食品添加剤。
請求項9
食品添加剤が、水中油型乳化油脂組成物用乳化剤である請求項1〜4の何れかに記載の食品添加剤。
請求項10
請求項11
請求項12
請求項13
食品添加剤が、コーヒークリーム用乳化剤である請求項1〜4の何れかに記載の食品添加剤。
技術分野
0001
本発明は、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル及びそれからなる食品添加剤に関する。更に詳しくは、モノ脂肪酸エステル体を従来品に比べ高純度で含有するポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤に関する。
背景技術
0002
近年、ポリグリセリン脂肪酸エステルは食品添加物として認可され、使用量も次第に増加している。一般に、このエステルは、原料として重合度の異なるポリグリセリンと鎖長の異なる脂肪酸とを組合わせることにより広い範囲のHLB値のエステルが得られ、また酸性領域で高い安定性を示すことから、特に食品分野において、乳化剤や粘度調整剤として広く用いられている。このポリグリセリン脂肪酸エステルの製造法としては、(1)ポリグリセリンと脂肪酸のエステル化反応、(2)ポリグリセリンと脂肪酸エステルとのエステル交換反応、(3)ポリグリセリンと油脂とのエステル交換反応、(4)グリシドールと脂肪酸モノグリセライドとの付加重合反応、(5)グリシドールと脂肪酸との付加重合反応などがある。このうち、(2)〜(3)の方法については反応性、生成したポリグリセリン脂肪酸エステルの品質、純度、などから制約の多い方法である。
0003
(1)の方法はJAOCS(Journal of American 0il Chemists’ Society)第58巻、第878頁(198l年)に記載され、ポリグリセリンと脂肪酸とをアルカリ触媒の存在下にエステル化反応を行ってポリグリセリン脂肪酸エステルを得る方法が開示されている。また特開平6ー41007号公報にも同様の方法が開示されている。(4)の方法については、USP4,515,775に記載されている。(5)の方法については、今までに、グリセリンのモノ脂肪酸エステルに関しては特開昭51−65705号公報に記載されている。しかしながら、この公報に開示された技術によれば、不活性な溶剤の存在下で高度百分比率のカルボン酸−1−モノグリセライド(後記化学式[1]においてnの値が平均で1である。)を製造する方法で、グリセリンの重合度が平均で1のものであり、ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルに関しては、全く言及されておらず、実際の検討がなされていない。
0004
なお、グリシドールの付加重合反応を使用した技術としては、(1)〜(3)の方法で使用するポリグリセリンを製造する際のグリセリンとグリシドールの付加重合反応(特公平1−55254号公報、特公平4−11532号公報、特公平5−1291号公報)または脂肪酸とグリシドールの付加重合反応後、加水分解反応を経たポリグリセリンの製造(特公平4−69621号公報)、ポリグリセリンモノアルキルエーテル、ポリグリセリンモノアルキルチオエーテルの製造(USP3,821,372、USP3,966,398、USP4,087,466等)等が開示されている。
0005
しかしながら、特公平4−69621号公報に記載されている脂肪酸とグリシドールの付加重合反応後、加水分解反応を経由したポリグリセリンの製造では、用いる脂肪酸が低級(炭素数2〜6)脂肪酸であり、かつ、目的はポリグリセリンの製造であり、ポリグリセリン脂肪酸エステルについては全く言及されていない。
0006
従来、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する場合は、前記(1)の方法で製造されている。この方法では、一般に、原料のポリグリセリンとしては、反応活性水酸基が平均で4〜10のものが使用され、モノ置換の脂肪酸エステル体を製造しようとしても、使用する脂肪酸の当量に対し、反応活性水酸基の割合が多く、生成したポリグリセリンモノ脂肪酸エステル中には、目的とするモノ脂肪酸エステル体のみならず、未反応のポリグリセリン、ジエステル、トリエステル、テトラエステル等の多置換エステル化物が残存していることが指摘されている(N.Garti,et al,J. of Am. Oil Chem. Soc.,59,317-319(1982))。
0007
また、(4)の脂肪酸モノグリセライドにグリシドールを付加重合反応させる場合でも、原料の脂肪酸モノグリセライドの精製の度合により、反応生成物の純度が大きく作用される。特に、グリセリンと脂肪酸との反応により得られる、脂肪酸モノグリセライドを原料に使用した場合には、前記の(1)と同様に、原料中にグリセリン成分の残存が認められ、グリシドールの付加重合反応で得られたポリグリセリンモノ脂肪酸エステル中のモノ脂肪酸エステル体含有率は約40%であり、残りの60%程度は未反応のグリセリンおよび2置換以上のエステルとなることが認められている(津田滋、モノグリセリド、P67(1985)、槙書店)。
0008
このように、従来使用されているポリグリセリンモノ脂肪酸エステルには、未置換のポリグリセリンおよび2置換以上のエステル化物が多く残存し、それらを界面活性剤、乳化安定剤等の食品添加剤に応用した場合に、表面張力の低下、分散力の低下、起泡力の低下、乳化安定性の低下が危惧されている。
0009
一方、未置換のポリグリセリンの除去方法としては、水溶性有機溶剤及び水の中から選ばれた少なくとも1種と、非水溶性有機溶剤の中から選ばれた少なくとも1種とを併用した混合溶剤で未反応ポリグリセリンを分液除去する方法(特開昭63−23837号公報)、エステル化反応生成物の溶液をアルキルシリル化シリカゲルと接触、吸着させ未反応ポリグリセリンを除去する方法(特開平3−81252号公報)、水溶性有機溶剤及び水または塩析剤を含む水溶液を併用して未反応ポリグリセリンを抽出除去する方法(特開平6−41007号公報)が提案されている。
0010
しかしながら、特開昭63−23837号公報記載の方法では、非水溶性有機溶剤として述べられているベンゼン、トルエン等の芳香族系炭化水素は、その安全性に疑問が持たれ、食品用途に関しては問題がある。また、この方法に於ては、ポリグリセリンに対する脂肪酸の反応モル比が1以下に限定されており、1を越えるモル比の場合の有効性については記載されていない。また、反応モル比が1以下の場合でも、トルエン/メタノール系などでは、含水メタノール相にかなりの量の高HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルが移行することが認められ、さらに、トルエン/メタノール系などでは、未反応ポリグリセリンの分離が極めて不十分であるなど工業的に実施するにはいくつもの問題点がある。また特開平3−81252号公報記載のアルキルシリル化シリカゲルによって分割する方法は、運転コストが高く、また操作も煩雑であるという欠点がある。さらに、これらの先行技術は特開平6−41007号公報記載方法も含め未反応ポリグリセリンは除去できるが、2置換以上のエステル化物の除去は不可能であるという欠点を有している。
0011
そこで、界面活性剤、乳化安定剤等の食品添加剤に応用した場合に、表面張力の向上、分散力の向上、起泡力の向上、乳化安定性の向上が期待される、モノ脂肪酸エステル体含有率の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステルおよびその製造方法が求められていた。
課題を解決するための手段
0012
本発明は、上記問題を解決するものであって、特定の方法によりモノ脂肪酸エステル体含有率の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが得られるとの知見に基づき、その方法で得られる前記ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤を提供するものである。すなわち本発明の第1によれば、カラムクロマト分析法で溶離し、紫外線吸収検出器を用いて検出される下記一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体のピーク面積比で表した含有率が70%以上であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤が提供される。
0013
0014
また本発明の第2によれば、一般式[2]で示される脂肪酸とグリシドールをリン酸系酸性触媒の存在下で反応させて得られた下記一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体を含むポリグリセリンモノ脂肪酸エステルからなる食品添加剤が提供される。
0015
0016
前記ピーク面積比が70%未満であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルでは、界面活性剤、乳化安定剤等の食品添加剤に応用した場合に、表面張力の低下、分散力の低下、起泡力の低下、乳化安定性の低下が観測される。
発明を実施するための最良の形態
0017
本発明で用いるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する際に、グリシドールと脂肪酸との付加重合反応で用いられる一般式[2]で示される脂肪酸としては、炭素数7〜22の脂肪酸が用いられ、好ましくは炭素数8以上のものであり、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも側鎖をもつ脂肪酸でも、更には炭素鎖がヒドロキシル基で置換された置換脂肪酸でもよい。これらの脂肪酸としては、例えばカプロン酸、カプリル酸、2一エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸などがある。これらは各単独で使用できるほか、2種以上を任意に混合して反応に用いてもよい。前記脂肪酸の中では、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸が好ましい。
0018
前記脂肪酸とグリシドールの反応はリン酸系酸性触媒の存在下で反応させることが必要である。ここで言うリン酸系酸性触媒としては、リン酸類またはリン酸のエステル類であり、具体的には、リン酸、無水リン酸、ポリリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸などのリン酸類または、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類などを用いることができる。なお、これらの酸性リン酸エステルはモノエステル体、ジエステル体、及びそれらの混合物のいずれも使用することができる。以上の中では、リン酸および酸性リン酸エステルを用いることが好ましい。
0019
なお、上記触媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。触媒の添加量は脂肪酸に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。0.01量%未満では反応速度が小さく、10重量%を越えると、効果の向上は期待できず、使用する触媒によっては、触媒が開始剤となるグリシドールの付加重合体が多く生成し、好ましくない。
0020
反応方法は、反応容器中に脂肪酸をとり、これに前記の触媒を添加し、グリシドールを少量ずつ添加しながら反応を行う。反応温度は50〜180℃、好ましくは70〜160℃であり、より好ましくは120〜140℃である。50℃未満では反応速度が小さく、また180℃を越えると着色が激しくなり、230℃以上ではグリシドールが分解して副反応を起こし好ましくない。この場合、反応温度の上昇を防止するために、グリシドールと反応しない低沸点化合物を添加してもよい。また反応は窒素ガス雰囲気下で行うことが望ましく、必要に応じて加圧してもよい。
0021
以上の反応により脂肪酸にグリシドールが付加重合してより高重合度のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが生成する。生成するポリグリセリンモノ脂肪酸エステルに高濃度で含まれる一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体のnはグリセリンの平均量体数であり、反応させる脂肪酸とグリシドールのモル比と略同じであり、容易に変えることができる。生成物は、モノ脂肪酸エステル体含有率の高い、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルである。すなわち、前記方法で得られ本発明に用いるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、カラムクロマト分析法で溶離し、紫外線吸収検出器を用いて検出される前記一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体のピーク面積比で表した含有率が70%以上である。ここでカラムクロマト分析法とは、官能基としてオクタデシルシリル基、オクチルシリル基、ブチルシリル基、トリメチルシリル基、フェニルシリル基を結合したシリカゲルを担体として用いる逆相分配カラム分析法、官能基としてシアノプロピル基、アミノプロピル基を有するシリカゲルを担体として用いる順相分配カラム分析法、官能基として4級アンモニウム基、フェニルスルホン酸基を有するイオン交換カラム分析法、多孔性シリカゲルの吸着カラム分析法が挙げられる。これらの分析法において、好ましくはオクタデシルシリル(ODS)基が結合したシリカゲルを担体として用いる逆相分配カラム分析法が使用される。また分離性能を向上させるため、カラムサイズは4.6mmφ×250mm以上が好ましく、カラムを直列に繋ぐと分離能を向上させることができるので、より好ましい。前記モノ脂肪酸エステル体のピーク面積比が70%以上とは、具体的には下記HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の分析条件において、モノ脂肪酸エステルに帰属されるピーク面積比が全ピーク面積に対し70%以上であることを意味する。
0022
逆相分配カラム分析法により分析する場合を以下に説明する。展開溶媒は、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの脂肪酸の種類やグリシドールの付加モル数により異なるため、被検体の溶解性および分離性から展開溶媒を決定することが好ましい。具体的には、被検体の溶解性および分離性に優れた具体的な展開溶媒としては、アルコール系の溶媒および/または蒸留水が好ましく、具体的には、ポリグリセリンモノラウリン酸エステルにはメタノールを、ポリグリセリンモノステアリン酸エステルにはエタノールを使用することが好ましい。
0023
展開溶媒の流速は、使用するカラムの耐圧及び得られるクロマトグラムの分離度合により選択し、通常0.05〜1.0ml/minの範囲、より好ましくは、0.1〜0.8ml/minの範囲である。カラム温度は、好ましくは30〜60℃の範囲である。なお、紫外線吸収検出器の波長は210nmを用いる。
0024
HPLCに供する試料は、使用する展開液を溶媒として用いることが好ましく、濃度及び注入量は被検体の溶解性および分離性に優れた量を選択する。具体的には、試料の濃度は1〜50%が好ましく、注入量は0.1〜20μlが好ましい。
0025
含有量の測定は、以下に従う。ODSカラムによるHPLC分析では、一般に極性の順に溶離される。従って、ポリグリセリン同士であれば、まず極性の高い無置換ポリグリセリンが溶離され、次いでポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリンジ脂肪酸エステルが検出される。一方、グリセリンモノ脂肪酸エステル同士であれば、極性の高いポリグリセリンモノエステルが最初に溶離され、最後にグリセリンモノエステルが溶離される。従ってポリグリセリンとグリセリンモノ脂肪酸エステルの標準品を同条件でHPLC分析し、標準品と検体との保持時間を比較検討し、グリセリンモノエステルの溶離以降に溶離されるものをジエステル以上の多置換エステ成分とした。モノ脂肪酸エステル体の含有率(%)は、以下に従いピーク面積比で表すこととした。分析チャートから、ポリグリセリンのピーク面積、ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステル(「ポリグリセリン」とあるが、本発明においてはグリセリン部分はポリグリセリンからモノグリセリンまでを含む。)のピーク面積、およびジエステル以上の多置換エステル成分のピーク面積を求めた。次いで、下記式に従い算出した。なお、溶媒は、ピーク位置がポリグリセリン、モノ脂肪酸エステル、ジエステル以上の多置換エステルのいずれのピークとも重複しないものを選択した。また下記式は、溶媒の保持時間がジエステルの溶離以降であることを前提とする。実施例で用いたもの以外のHPLCの典型的な分析条件は、下記の通りである。
0026
式:ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステル体の含有率(%)={ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステル体のピーク面積/(ポリグリセリンのピーク面積+ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルのピーク面積+ジエステル以上の多置換エステルのピーク面積)}×100(%)
0027
<HPLCの分析条件(1)>
カラム:Wakosil 5C18×2(和光純薬工業(株)製:逆相分配カラムであるオクタデシルシリル基を官能基として持つカラム、サイズ:4.6mmφ×250mm)、展開溶媒:メタノール、流速:0.75ml/min.、カラムオーブン温度:40℃、検出方法:紫外線吸収法(λ=210nm)、試料濃度:10%(溶媒:メタノール)、注入量:5μl。各成分のリテンションタイムは、例えばポリグリセリンモノラウリン酸エステルの場合、ポリグリセリン:8分以前、モノラウリン酸エステル体:8分〜12分、ジラウリン酸エステル体以上:12分以降である。
0028
<HPLCの分析条件(2)>
カラム:Wakosil II 5C18HG(和光純薬工業(株)製:逆相分配カラムであるオクタデシルシリル基を官能基として持つカラム、サイズ:4.6mmφ×250mm)、展開溶媒:メタノール、流速:0.2ml/min.、カラムオーブン温度:40℃、検出方法:紫外線吸収法(λ=210nm)、試料濃度:5%(溶媒:メタノール)、注入量:10μl、各成分のリテンションタイムは、ポリグリセリン:14分以前、モノエステル体:14分〜16.5分、ジエステル体以上:16.5分以降、メタノ−ル成分:18分。
0029
<HPLCの分析条件(3)>
カラム:Wakosil 5C18とWakosil II 5C18HG(いずれも和光純薬工業(株)製:逆相分配カラムであるオクタデシルシリル基を官能基として持つカラム、サイズ:4.6mmφ×250mm)を直列につないだ。展開溶媒:エタノール、流速:0.2ml/min.、カラムオーブン温度:40℃、検出方法:紫外線吸収法(λ=210nm)、試料濃度:5%(溶媒:EtOH)、注入量:10μl。各成分のリテンションタイムは、ポリグリセリン:28.5分以前、モノエステル体:28.5分〜34分、ジエステル体以上:34分以降、エタノ−ル成分:39分。
0030
また、前記で得られるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、必要に応じて種々の精製工程を経て更に精製したのち本発明の食品添加剤に使用することも可能であり、また好ましい。具体的な精製方法としては、(イ)減圧下に飽和加熱水蒸気を吹き込んで水蒸気脱臭を行う脱臭方法、(ロ)次亜燐酸ソーダまたは過酸化水素による漂白等の脱色方法等がある。また別の方法(ハ)としては、水を添加し、加熱した後に脱水する方法がある。加熱温度としては60〜200℃、加熱時間は、温度にもよるが0.5〜15時間、特に好ましくは1〜7時間である。脱水は蒸留、共沸蒸留、減圧蒸留などに依ることができ、蒸留する際の加熱温度は、100〜200℃の範囲である。添加する水の量はポリグリセリンモノ脂肪酸エステルに対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。例えば、上記(ハ)の方法を実施した場合、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル中のオキシラン酸素濃度は500ppm(0.05%)程度から100ppm未満にまで低下する。なお、オキシラン酸素濃度は前記J. of Am. Oil Chem. Soc.のCd.9-57に規定された滴定法、またはプロトンNMRを用いてポリグリセリンに由来するメチレンプロトンとメチンプロトンによって帰属される3.4ppmと4.4ppmとの間のケミカルシフトのピーク面積値に対するオキシラン基由来のメチレンプロトンによって帰属される2.7ppmと2.8ppmとのケミカルシフトのピーク面積値の比を測定することによって測定することができる。
0031
以上の通り、本発明においては、純度の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、特にはグリシドールと脂肪酸との付加重合反応により、モノ脂肪酸エステル体の前記ピーク面積で表した含有率が70%以上であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを界面活性剤や乳化安定剤等の食品添加剤として使用するので、表面張力の向上、分散力の向上、起泡力の向上、乳化安定性の向上などの効果がある。
0032
従って、本発明で用いる一般式[1]で示されるモノ脂肪酸エステル体含量の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステル(以下、高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルという。)は、従来からポリグリセリンモノ脂肪酸エステル等が使用されている食品添加剤としての種々の用途に用いられ、その目的とする機能を十分に発揮することができる。以下、これらを例示する。
0033
(1)本発明で用いる高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、パン、ケーキ、菓子類の製造時に用いられる油脂組成物の乳化剤として用いることができる。例えば、特開平6−22690号公報に記載されているように、小麦粉などからなるパン生地を焼成する際に、小麦粉中の各成分は物理的、化学的、生化学的反応変化を受けるが、品質の良いパン製造には焼成工程を厳密に管理する必要があり、安定した品質のものを得るため、大豆油、綿実油、ナタネ油等の油脂、必要に応じて呈味剤を含む水相分からなる油脂組成物が用いられる。その油脂組成物には乳化剤が用いられるが、このようなパン製造用油脂組成物の乳化剤として前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを用いることができる。同様に特開平6−53号公報にはバターケーキ類をオールインミックス方式にて製造するに際し、油中水型油脂組成物を使用する方法が記載されている。その際、油脂組成物全体に対し0.2〜10重量%の範囲で乳化剤が使用されるが、前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルはこのバターケーキ類等の製菓用油脂組成物の乳化剤としても有用である。また特開平6−269244号公報には、スポンジケーキ、スナックケーキ、シーフォンケーキ、半生菓子等のケーキ類の製造に際して、生地の安定、釜落ちがしにくく、ボリュームのあるケーキとするため、水、ソルビトール、液糖などの水相に乳化剤、乳清タンパク質等を加えた起泡性乳化油脂組成物が使用される。このような乳化剤としても、前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することができる。さらにまた特開平6−78672号公報には、パンに適用した場合には生地のべたつきも少なく良好な風味、食感を与えるもので、水、油脂、糖質、乳化剤を含有する水中油型乳化組成物において、油脂の含有率が35〜75重量%、糖質が少なくともソルビトールを含み10〜50重量%であり、前記乳化剤の含有率が水相に対して5〜25重量%である高油分水中油型乳化組成物が記載されている。そして前記乳化剤として、HLB値7〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルが使用されている。このような用途に対しても前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを同様に使用することができる。
0034
(2)特開平6−125711号公報には、ココア飲料を保存したときに起こる油脂浮上やココア粉末の沈澱を防ぐため、ショ糖油脂酸エステル1〜25重量%、グリセリン脂肪酸エステル3〜36重量%、ソルビタン脂肪酸エステル1〜11重量%、結晶セルロース26〜90重量%、およびκ−カラギーナン2〜5重量%からなるココア飲料用乳化安定剤が開示されているが、前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは前記グリセリン脂肪酸エステルの代りに、あるいはそれと共に、ココア飲料用乳化安定剤配合剤として用いることができる。また、特開平6−38682号公報には、ココア成分、乳成分、甘味料および水からなる混合液に、該混合液に含まれる脂肪分に対して親油性ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.2〜5.0重量%の割合で添加してなるココア飲料が開示されている。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは前記親油性ポリグリセリン脂肪酸エステルの代りに使用することができる。
0035
(3)前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、以下のようにでん粉食品の添加剤として使用することができる。特開平6−276972号公報には、ゆで上がりの早い麺類とするため、鶏卵を0.5〜40重量部およびリゾリン油質を0.01〜0.5部含有する麺類品質改良剤が開示されている。また必要に応じて食品用界面活性剤を0.1〜10重量部配合してもよい旨が記載されている。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルをこのような麺類品質改良剤配合用界面活性剤として使用することができる。また特開平6−197717号公報には茹で、蒸し麺類を製造する際に緑豆加工澱粉またはそれと乳化剤を併用することにより麺類のほぐれ性が極めて良好になること、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル等が使用されることが記載されている。乳化剤は製めん原料に対して0.1〜20重量%使用されるが、前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルをこのような乳化剤として用いることができる。更に特開平6−225684号公報には、食用油脂0〜20重量%、グリセリン有機酸脂肪酸エステル及びステアリル乳酸塩0.05〜20重量%、HLBが12以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び又はショ糖脂肪酸エステル0.01〜5重量%、水分50〜90重量%からなる10℃で流動性のあるでん粉食品の品質改良用組成物が開示されている。この組成物をパン、ドーナッツ、饅頭、団子、麺、スパゲティ等の食品に使用すると、製造時における生地同士ないし機械への付着を防ぎ、体積の増加や食感の改良、製造後のでん粉の経時的変化による食感の低下防止作用を発揮するとされている。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルに代えてこのようなでん粉食品の品質改良用組成物の配合物として使用することができる。
0036
(4)前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、以下のように水産ねり製品の添加剤として使用することができる。特開平6−22730号公報には、水産ねり製品にポリグリセリン脂肪酸エステルを含む品質改良剤を添加する冷凍すりみの製造法が開示されている。すなわち、冷凍すり身のあし形成能保持効果および白度改善効果があることが明らかにされている。添加量としては、すり身に対して1重量%以下、好ましくは0.1〜0.5重量%である。また特開平6−90713号公報には、ほたて貝の卵巣およびまたは精巣を含む魚介物のすり身に、水分、油脂分、還元澱粉糖化物と共に0.1〜2重量%のHLB13以上のポリグリセリン脂肪酸エステル乳化剤を添加して、食塩と共に混練し、成形後加熱処理する練り製品の製造法が記載されている。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、ポリグリセリン脂肪酸エステルに代わり、これらのような水産練り製品の添加剤として使用することができる。更に特開平6−113727号公報には、魚肉中に、卵白およびカラギーナンを含有する水中油滴型乳化液を注入することにより、魚肉と油脂との結着性を改良する技術が記載されている。これにより、魚の食感、風味を損なうことなく、適度な固さを保ち、バサつくことのない食感の優れた魚肉ハムが得られると記載されている。またこの乳化液に添加する乳化剤の一つにグリセリン脂肪酸エステルが挙げられている。このような魚肉ハム製造用水中油滴型乳化液用乳化剤としても、前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを用いることができる。
0037
(5)特開平6−209704号公報には、コーヒーや紅茶に添加したときにもフェザリングやオイルオフがなく、あるいは料理等に使用でき、動植物油脂および乳化剤としてエステル化度3以下のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルを含有する水中油型乳化油脂組成物が開示されている。そして溶解した油脂に乳化剤としてを0.1〜1.5重量%配合することが開示されている。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルも同じ用途に使用することができる。
0038
(6)特開平6−253718号公報には、小麦粉に0.1重量%以下の炭酸カルシウム、0.5重量%以下のグリセリン脂肪酸エステル、及び0.5重量%以下の卵白から選ばれた一種を添加配合して、常温長時間中種法製パン用小麦粉配合物が記載されている。これにより、中種の発酵時間を延長しても品質の良いパンを製造することができるとされている。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、前記グリセリン脂肪酸エステルの代替として、用いることができる。
0039
(7)特開平6−113799号公報には、ナチュラルチーズ、水分および脱脂粉乳を均質化してなるチーズ均質液に乳酸菌を接種して乳酸発酵せしめてpH3.6〜4.5の乳酸チーズ発酵液を得、これに約5〜50%の糖質を加えてなるサワーチーズ飲料が記載されている。さらに脱脂粉乳以外に脂肪の分散乳化促進剤として、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤を使用してもよい旨が記載されている。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルも、このようなサワーチーズ飲料用脂肪分散乳化促進剤として使用することができる。
0040
(8)特開平6−153884号公報には、柿の葉抽出物(フラボノイド類)とトコフェロール、または柿の葉抽出物とトコフェロール及び没食子酸とを有効成分とすることを特徴とする、食品用鮮度保持剤が開示されている。またこの鮮度保持剤は、親油性の乳化物に調製されているのが使用上便利であるが、その際に乳化剤(界面活性剤)として、ポリグリセリン脂肪酸エステルが例示されている。本発明で提供される高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルはこの界面活性剤としても使用することができる。
0041
(9)特開平6−62734号公報には、脂肪を含む酸乳飲料において、キトサンとポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する脂肪含有酸乳飲料が開示されている。これにより、好ましい酸味感である酸性下での脂肪球の安定性が改良されるとされているが、前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは前記ポリグリセリン脂肪酸エステルに代えて、このような脂肪含有乳酸飲料用添加剤として使用することができる。
0042
(10)特開平6−189682号公報には、ロール掛け、コンチング処理したチョコレート生地、水性成分、高HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルおよび低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを混合して、油中水型に乳化した水分含量が2重量%以上50重量%以下の含水チョコレート類が記載されている。前記低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルとしては好ましくはHLB2〜4、高HLBのものとしては、好ましくはHLB11〜13のポリグリセリン脂肪酸エステルである。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを前記何れかのポリグリセリン脂肪酸エステルとして用いることができる。
0043
(11)特開平6−90663号公報には、油脂含有量が10重量%から40重量%であり、乳化剤としてリゾレシチンを含有する酵素処理レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル含有量が50重量%から70重量%である中純度モノグリセリン脂肪酸エステル、こはく酸モノグリセライド及びレシチンを含有するコーヒークリームが開示されている。これにより、常温で安定な乳化を保ち、かつ、0℃以下で保存した後、解凍しても乳化破壊を起こさない凍結耐性を有するコーヒークリームが得られると記載されている。また実施例には、油相部を構成するパーム核油25.5重量部に対して、他の乳化剤とともに前記中純度モノグリセライドを0.2部使用している。前記高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは前記のようなコーヒークリーム用乳化剤として用いることができる。
0044
以下、本発明で使用される高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造および得られた高純度ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを界面活性剤や乳化剤等の食品添加剤としての使用効果を評価した評価結果を具体的に実施例等により説明する。なお、実施例および比較例を通じて、HPLCの分析条件は下記の通りである。
0045
(HPLCの分析条件)
カラム:Wakosil 5C18×2(和光純薬工業(株)製:逆相分配カラムであるオクタデシルシリル基を官能基として持つカラム、サイズ:4.6mmφ×250mm)、展開溶媒:メタノール、流速:0.75ml/min.、カラムオーブン温度:40℃、検出方法:紫外線吸収法(λ=210nm)、試料濃度:10%(溶媒:メタノール)、注入量:5μl。各成分のリテンションタイムは、例えばポリグリセリンモノラウリン酸エステルの場合、ポリグリセリン:8分以前、モノラウリン酸エステル体:8分〜12分、ジラウリン酸エステル体以上:12分以降である。
0046
(実施例1)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.16g)とリン酸(85%品)0.0622gを加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール3.0mol(222.24g)を5時間かけて滴下し、系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ポリグリセリンモノラウリン酸エステル(ヘキサグリセリンモノラウレート)を約300g得た。 得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルを前記したHPLCの分析条件で評価した。また、乳化剤や界面活性剤等の添加剤として各種食品用途への使用効果を評価するための共通かつ基礎的評価方法として、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。またHPLCにより得られたチャートを図1に示した。更に、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0047
(実施例2)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.16g)とリン酸(85%品)0.0810gを加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール3.0mol(222.24g)を5時間かけて滴下し、系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ポリグリセリンモノラウリン酸エステル(ヘキサグリセリンモノラウレート)を約300g得た。得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルをHPLCで評価した。また、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。HPLCにより得られたチャートを図2に示した。また、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0048
(実施例3)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.16g)とリン酸(85%品)0.0810gを加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール4.0mol(296.32g)を5時間かけて滴下し、系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ポリグリセリンモノラウリン酸エステル(オクタグリセリンモノラウレート)を約400g得た。得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルをHPLCで評価した。また、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。HPLCにより得られたチャートを図3に示した。また、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0049
(実施例4)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.16g)とリン酸(85%品)0.118gを加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール5.0mol(370.40g)を5時間かけて滴下し、系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ポリグリセリンモノラウリン酸エステル(デカグリセリンモノラウレート)を約470g得た。得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルをHPLCで評価した。また、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。HPLCにより得られたチャートを図4に示した。また、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0050
(実施例5)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.16g)とEAP(モノエチルアシッドホスフェートとジエチルアシッドホスフェートの混合物、日本化学工業(株)製)0.105gを加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール5.0mol(370.40g)を5時間かけて滴下し、系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ポリグリセリンモノラウリン酸エステル(デカグリセリンモノラウレート)を約470g得た。得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルをHPLCで評価した。また、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。HPLCで得られたチャートを図5に示した。また、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0051
(比較例1:触媒を使用しない場合)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.16g)を加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール3.0mol(222.24g)を5時間かけて滴下し、系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ポリグリセリンモノラウリン酸エステルを約300g得た。得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルをHPLCで評価した。また、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。HPLC分析で得られたチャートを図6に示した。また、HPLC分析からの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0052
(比較例2:触媒にパラトルエンスルホン酸(PTS)を使用した場合)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.16g)とPTS0.371gを加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール3.0mol(222.24g)を5時間かけて滴下し、系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ポリグリセリンモノラウリン酸エステルを約300g得た。得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルをHPLCで評価した。また、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。HPLCで得られたチャートを図7に示した。また、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0053
(比較例3:脂肪酸モノグリセリドとグリシドールの反応の場合)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸モノグリセリド0.5mol(137g)を加え、触媒としてナトリウムメチラート(NaOCH3:28%メターノール溶液)0.45gを添加し、90℃に加熱した。次いで、反応温度を90℃に保ちながらグリシドール2.5mol(185.2g)を5時間かけて滴下し、系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ポリグリセリンモノラウリン酸エステルを約300g得た。得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルをHPLCで評価した。また、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。HPLC分析で得られたチャートを図8に示した。また、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0054
(比較例4:脂肪酸とポリグリセリンとの反応の場合)窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにポリグリセリン(ダイセル化学工業(株)製PGL06:ヘキサグリセリン、水酸基価960)175.3g(0.5mol)を取り、80℃に加熱し、反応温度を80℃に保ちながらラウリン酸0.5mol(100.16g)を加え溶解させた。次いで、炭酸ナトリウム0.75gと亜硫酸水素ナトリウム0.25gを加え、210℃でエステル化反応を行った。2時間の反応で、酸価が0.89となり、100℃に冷却後反応生成物を取り出した。得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルをHPLCで評価した。また、得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルの10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。HPLC分析で得られたチャートを図9に示した。また、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−1に示した。
0055
0056
(比較例5〜14:市販品ポリグリセリン脂肪酸エステルの評価結果)ポリグリセリンと脂肪酸の反応より製造される市販品ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、SYグリスター(阪本薬品工業製)の5品番(MO−310、MO−750、ML−310、ML−500、ML−750)、ポエム(理研ビタミン製)の2品番(J−6021、J−0021)、ユニグリ(日本油脂製)の2品番(GO−106、GL−106)およびサンソフトQ12S(太陽化学製)を選択し、それぞれのポリグリセリン脂肪酸エステルに関し10%水溶液を調製し、30秒間振動(手動)させ、泡立ち性および状態を目視で観察した。また、HPLC分析で得られたチャートを図10から図19に示した。また、HPLCからの解析による成分分析結果および泡立ち性および状態の評価結果を表−2に示した。
0057
0058
(製造例1:ヘキサグリセリンモノステアレートの製造例)窒素導入管、撹拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの四ツ口フラスコにステアリン酸0.5mol(142g)とリン酸(85%品)0.3gを加え、140℃に加熱した。次いで反応温度を140℃に保ちながらグリシドール3.0mol(222g)を5時間かけて滴下し系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出しヘキサグリセリンモノステアレートを得た。得られたヘキサグリセリンモノステアレートを前記したHPLCを用いてモノエステル体含量を測定したところ、75%であった。
0059
(製造例2:デカグリセリンモノパルミテートの製造例)窒素導入管、撹拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの四ツ口フラスコに、パルミチン酸0.5mol(128g)とリン酸(85%品)0.2gを加え、140℃に加熱した。次いで反応温度を140℃に保ちながらグリシドール5.0mol(370g)を7時間かけて滴下し系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出しデカグリセリンモノパルミテートを得た。得られたデカグリセリンモノパルミテートを前記したHPLCを用いてモノエステル体含量を測定したところ、72%であった。
0060
(製造例3:デカグリセリンモノオレートの製造例)窒素導入管、撹拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの四ツ口フラスコに、オレイン酸0.5mol(141g)とリン酸(85%品)0.3gを加え、140℃に加熱した。次いで反応温度を140℃に保ちながらグリシドール5.0mol(370g)を7時間かけて滴下し系中のオキシラン濃度が0.1%未満になるまで反応を続けた。冷却後反応物を取り出しデカグリセリンモノオレートを得た。得られたデカグリセリンモノオレートを前記したHPLCを用いてモノエステル体含量を測定したところ、75%であった。
0061
(製造例4:ヘキサグリセリンモノステアレートの製造例)窒素導入管、撹拌機、冷却管、温度調節器を備えた5リットルの四ツ口フラスコにグリセリン3000gと水酸化ナトリウムを30g入れ、窒素気流下150mmHgの減圧下で生成水を除去しながら240℃まで加熱し24時間保持し、ヘキサグリセリンの反応物を得た。得られたヘキサグリセリンをイオン交換樹脂を使用し脱NaOHを行った。得られたものの水酸基価は970であった。窒素導入管、撹拌機、冷却管、温度調節器を備えた1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸0.5mol(142g)を入れ、水酸化ナトリウム0.4gを入れ、上記で得たヘキサグリセリン0.5mol(231g)を仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してヘキサグリセリンモノステアレートを得た。得られたヘキサグリセリンモノステアレートを前記したHPLCを用いて、モノエステル体含量を測定したところ、56%であった。
0062
(製造例5:デカグリセリンモノパルミテートの製造例)窒素導入管、撹拌機、冷却管、温度調節器を備えた5リットルの四ツ口フラスコにグリセリン3000gと水酸化ナトリウムを30g入れ、窒素気流下150mmHgの減圧下で生成水を除去しながら240℃まで加熱し35時間保持し、デカグリセリンの反応物を得た。得られたデカグリセリンをイオン交換樹脂を使用し脱NaOHを行った。得られたものの水酸基価は890であった。1リットル四ツ口フラスコに、パルミチン酸0.6mol(153.6g)を入れ、水酸化ナトリウム0.4gを入れ、上記で得たデカグリセリン0.6mol(454.8g)を仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してデカグリセリンモノパルミテートを得た。得られたデカグリセリンモノパルミテートを前記したHPLCを用いて、モノエステル体含量を測定したところ、63%であった。
0063
(製造例6:デカグリセリンモノオレートの製造例)1リットル四ツ口フラスコに、オレイン酸0.6mol(153.6g)を入れ、水酸化ナトリウム0.5gを入れ、製造例5で得られたデカグリセリン0.6mol(454.8g)を仕込み窒素気流下で生成水を除去しながら、250℃で反応してデカグリセリンモノオレートを得た。得られたデカグリセリンモノオレートを前記したHPLCを用いて、モノエステル体含量を測定したところ、59%であった。
0064
(実施例6:バターケーキ類用油脂組成物の製造)融点35℃の魚油硬化油60重量部と精製大豆油15重量部、ステアリン酸モノグリセライド(モノエステル体含量90%)5重量部を加熱溶解し、油相部とした。次に水14重量部に製造例1より得られたヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル6重量部を添加分散し、加温し水相部とした。油相部を撹拌しながら水相部を徐々に加えて乳化、混合後、急冷可塑化機(コンビネーター)を通し、油脂組成物を得た。
0065
(比較例15)融点35℃の魚油硬化油60重量部と精製大豆油15重量部、ステアリン酸モノグリセライド(モノエステル体含量90%)5重量部を加熱溶解し、油相部とした。次に水14重量部に市販品のポリグリセリンラウリン酸エステル6重量部を添加分散し、加温し水相部とした。油相部を撹拌しながら水相部を徐々に加えて乳化、混合後、急冷可塑化機(コンビネーター)を通し、油脂組成物を得た。
0066
(試験例1)実施例6及び比較例15で得られた油脂組成物を用い表−3に記載した配合でバターケーキ生地をオールインミックス式にて、生地比重が0.8となるまでホイップした後、得られた生地400gを180℃オーブンにて焼成した。得られたバターケーキについて、生地状態及び食感について官能評価を行った。結果を表−4に示した。
0067
0068
0069
表−4に示したように、実施例6で得られたバターケーキは、比較例15で得られたものに比して、生地の状態及び食感とも良好なものであった。
0070
(実施例7:ココア飲料)ココアパウダー(カカオバター10重量%含有)1重量部、牛乳15重量部、ショ糖5重量部、製造例2より得られたデカグリセリンモノパルミテート1重量部及び温水78重量部を混合し、70℃に加熱した後、高速ミキサーで5分間撹拌し、ホモジナイザーにて均質化した後、缶に充填した。
0071
(比較例16)ココアパウダー(カカオバター10重量%含有)1重量部、牛乳15重量部、ショ糖5重量部、製造例5より得られたデカグリセリンモノパルミチン酸エステル1重量部及び温水78重量部を混合し、70℃に加熱した後、高速ミキサーで5分間撹拌し、ホモジナイザーにて均質化した後、充填した。
0073
0074
実施例7で得られたココア飲料は、5日目で浮遊物が認められず比較例16で得られたココア飲料は5日目で浮遊物を認められた。
0075
(実施例8)準強力粉1000gに対し、製造例3より得られたデカグリセリンモノオレート3gに粉末かんすい7g、食塩10g、水300gを配合し、ミキサーで15分間混合し、定法により圧延、切り出し(最終めん帯1.5mm、切り歯#20角)を行って得られためんを蒸し器で7分間蒸し、流水で30秒間水洗を行った。水切り後、ポリエチレン袋に蒸しめんを170gずつ充填密封した。
0076
(比較例17)準強力粉1000gに対し、製造例6より得られたデカグリセリンモノオレート3gに粉末かんすい7g、食塩10g、水300gを配合し、ミキサーで15分間混合し、定法により圧延、切り出し(最終めん帯1.5mm、切り歯#20角)を行って得られためんを蒸し器で7分間蒸し、流水で30秒間水洗を行った。水切り後、ポリエチレン袋に蒸しめんを170gずつ充填密封した。
0077
(試験例3)実施例8及び比較例17で調製された蒸しめんを5℃の冷蔵庫で5日間保存した後、フライパンに油をひき、蒸しめんを炒め、パネラー20名にてめん線のほぐれ性、食味・食感について評価した。めん線のほぐれ評価は箸を用いて試食する際に、めん線のほぐれ具合について、極めてよいものを10点、極めて悪いものを1点とする10段階評価を行いパネラー20名の平均値で示した。食味・食感の評価は、極めてよいものを10点、極めて悪いものを1点とする10段階評価を行いパネラー20名の平均値で示した。結果を表−6に示した。
0078
0079
実施例8で得られた蒸しめんは、比較例17で得られた蒸しめんに比べて、ほぐれ、食感、食味ともに良好であった。
0080
(実施例9)ソルビット粉末750gを105℃に加熱して溶融し、これに製造例3により得られたデカグリセリンモノオレート100gを80℃に加熱したものを加え、90℃以上に保ちながらホモミキサーで5分間激しく撹拌した。80℃付近に保ったジャケット付ニーダーに分散液を移し、粒径80メッシュ以下のソルビット微粉末130gを加え10分間混合した。混合物を冷却した後粉砕し、16メッシュのふるいを通し、粉末状の冷凍すり身添加用品質改良剤を得た。
0081
(比較例18)ソルビット粉末750gを105℃に加熱して溶融し、これに製造例6により得られたデカグリセリンモノオレート100gを80℃に加熱したものを加え、90℃以上に保ちながらホモミキサーで5分間激しく撹拌した。80℃付近に保ったジャケット付ニーダーに分散液を移し、粒径80メッシュ以下のソルビット微粉末130gを加え10分間混合した。混合物を冷却した後粉砕し、16メッシュのふるいを通し、粉末状の冷凍すり身添加用品質改良剤を得た。
0082
(試験例4)スケトウダラから定法により得られた脱水肉5kgに、実施例9又は比較例18の改良剤125gにしょ糖200g、ピロリン酸及びポリリン酸ナトリウム各5gを加え小型サイレントカッターで5分間混合し、均一とした。このすり身をポリエチレン製の袋に2.5kgずつ充填した後ー30℃で凍結し、3週間後に一夜冷蔵庫(5℃)に放置し自然解凍した。このすり身2kgをサイレントカッターに入れ、すり身に対して食塩3%及びばれいしょ澱粉5%を添加して13分間練り上げ、折径48mmの塩化ビニリデン製フィルムに充填し、結糸した後90℃の熱湯中で30分間加熱して蒲鉾を製造した。ハンター白度及び蒲鉾の弾力を測定した。結果は表−7に示した。
0083
0084
実施例9は比較例18に比して白度及び弾力の点で優れたものであった。
0085
(実施例10)サラダ油40重量部、酢酸15重量部、食塩2.0重量部、キサンタンガム0.2重量部、水41.8重量部、製造例1で得られたヘキサグリセリンモノステアレート1重量部を添加し、ホモミキサーを使用して、10000rpm、2分間の乳化を行いドレッシングを調製した。得られたドレッシングのpHは、4.0であった。
0086
(比較例19)サラダ油40重量部、酢酸15重量部、食塩2.0重量部、キサンタンガム0.2重量部、水41.8重量部、製造例4で得られたヘキサグリセリンモノステアレート1重量部を添加し、ホモミキサーを使用して、10000rpm、2分間の乳化を行いドレッシングを調製した。得られたドレッシングのpHは、4.0であった。
0087
(試験例5)実施例10及び比較例19より得られた乳化ドレッシングを40℃で10日保存した。その結果実施例10では油層分離が全く見られなかったのに対し、比較例19より得られた乳化ドレッシングでは、サラダ油の10重量%が分離を生じていた。
0088
(実施例11)醤油88.8重量部、サラダ油10重量部、キサンタンガム0.2重量部に製造例1で得られたヘキサグリセリンモノステアレート1重量部を添加し、ホモミキサーを使用して10000rpm、2分間の乳化を行いたれを調製した。
0089
(比較例20)醤油88.8重量部、サラダ油10重量部、キサンタンガム0.2重量部に、製造例4で得られたヘキサグリセリンモノステアレート1重量部を添加し、ホモミキサーを使用して10000rpm、2分間の乳化を行いたれを調製した。
0090
(試験例6)実施例11又は比較例20により得られたたれを40℃、4日間保存した。その結果実施例11のたれは、油層分離を起こさないのに対し、比較例20のたれは、サラダ油の20重量%が分離を起こしていた。
0091
(実施例12)ヤシ硬化油20.0重量部、脱脂粉乳2.5重量部、カゼインナトリウム2.5重量部、水74重量部に製造例1で得られたヘキサグリセリンモノステレート1重量部を添加し、ホモミキサーを使用して10,000rpm、2分間の乳化処理を行いコーヒークリームを調製した。
0092
(比較例21)ヤシ硬化油20.0重量部、脱脂粉乳2.5重量部、カゼインナトリウム2.5重量部、水74重量部に製造例4で得られたヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル1重量部を添加し、ホモミキサーを使用して10,000rpm、2分間の乳化処理を行いコーヒークリームを調製した。
0093
(試験例7)実施例12及び比較例21より得られたコーヒークリームを40℃、4日間保存した。目視による状態変化を表−8に示した。
0094
0095
実施例12で得られたコーヒークリームは比較例21で得られたコーヒークリームに比べて、乳化が安定であった。
発明の効果
0096
以上、実施例、比較例および試験例等による具体的説明により明らかなように、本発明により、モノ脂肪酸エステル体含有率の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを界面活性剤、乳化安定剤等の食品添加剤に応用した場合に、表面張力の向上、分散力の向上、起泡力の向上、乳化安定性の著しい向上が達成される。
図面の簡単な説明
0097
図1実施例1で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図2実施例2で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図3実施例3で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図4実施例4で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図5実施例5で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図6比較例1で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図7比較例2で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図8比較例3で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図9比較例4で得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図10比較例5で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図11比較例6で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図12比較例7で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図13比較例8で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図14比較例9で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図15比較例10で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図16比較例11で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図17比較例12で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図18比較例13で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
図19比較例14で用いた市販のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHPLCによるチャートである。
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