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課題

刺激性傷治癒遅延をもたらすことなく抗微生物作用を有効に発揮できる抗微生物物質を得ること。

解決手段

抗微生物作用を有する複合物架橋ポリビニルピロリドンヨウ素からなり、水不溶性であるが、水吸収性であり水膨張性である。複合物又はこれを含む傷手当用品を傷に使用すると、複合物は水和し、複合物と傷の界面において複合物と傷の間に平衡確立する。傷体液中遊離ヨウ素濃度の減少に対応する放散コントロール過程により、ヨウ素は複合物から放出される。傷でのヨウ素の減少速度が速くなるほど、複合物からのヨウ素の放出速度は速くなる。このコントロール過程により、傷刺激性又は治癒遅れをもたらす濃度以下の濃度を保ちながら、抗微生物学的に有効な量のヨウ素を傷に運ぶことができる。さらに水和した複合物は複合物と傷の界面を湿らせ物理的保護(クッション)を付与し傷の治癒を促進する。

概要

背景

現在の殺菌剤は一般にインビトロでは微生物数を減少させるのに効果的であるが、その多くは抗微生物スペクトルにおいて本来的な限界があり、傷体液(fluid)/血清により容易に不活性化される。現在使用されている殺菌剤の他の主な欠点は、抗微生物効果細胞障害性の間の相対的なバランスである。適当な抗微生物活性を発揮する環境で使用すると、それらは一般に様々な程度に傷刺激性でありかつ/又は傷の治癒をかなり遅らせる。反対に、傷刺激性又は傷治癒遅れを最少にするか又は避ける濃度で使用すると、第一に抗微生物活性が不十分となり、抗微生物活性が早急に不適当なレベルまで消失する。

局所抗微生物物質とそれを含む製剤は、無傷の皮膚及び/又は傷の殺菌に重要な役割を果たすと、長い間認識されてきた。この目的に使用する抗微生物物質には、フェノールハロゲンペルオキシド,4級アンモニウム化合物及び抗生物質を含む多様な化学組成物がある。これらの抗微生物剤は、皮膚又は傷が晒される様々の種類の微生物に対し効果が非常に異なる。また、これらは、pH又はイオン環境の変化、さらに血液、血清又は傷体液との接触による不活性化され易さに関しても非常に異なる。殺菌活性の広い有効範囲を有する多くの抗微生物剤が、堅い表面や器具等の無生命物体の殺菌のために使用されるが、微生物と哺乳類組織に対する殺菌作用に大きな違いが無いため、皮膚特に傷に効果的に使用することができない。

ヨウ素は、グラム陽性及びグラム陰性菌マイコバクテリア真菌原生動物ビールスを含む広い範囲の微生物に対して際立った効果を有する抗微生物剤として長い間認識されてきた。これは、広いpH範囲で有効であり、他の殆どの抗微生物剤と違って、傷体液/血清中蛋白によって容易に不活性化されない。ヨウ素は微生物の細胞壁を容易に通過し、以下の作用を含む多くの相互作用を通じて殺菌作用を発揮すると考えられている。
1)酵素と蛋白のメルカプト基酸化
2)アミノ酸及び蛋白のフェノール基ヨウ素化による不活性化
3) 重要な水素結合位置として機能するアミノ酸及びヌクレオチド塩基性NH基のヨウ素化
4) 膜固定化をもたらす不飽和脂質脂肪酸のヨウ素化

この分野で使用されているように、「有効ヨウ素」とは酸化能力を有するあらゆる形態のヨウ素をいう。このような形態はチオ硫酸ナトリウム滴定可能であり、元素状態のヨウ素,トリヨウ化物イオン次亜ヨウ素酸イオン,ヨウ素酸イオン等がある。

代表的な水性ヨウ素溶液、例えば2%w/vヨウ素(I2 )と2.4%w/vヨウ化ナトリウム(NaI)を含む溶液には、有効ヨウ素が互いに平衡して幾つかの種類で存在する。これらの種類には、元素状態のヨウ素(I2 ),次亜ヨウ素酸(HOI),次亜ヨウ素酸イオン(OI- ),水和ヨウ素カチオン(H2 OI+ ),ヨウ素酸イオン[IO3 ]- 及びトリヨウ化物イオン[I3 ]+ 等がある。殆どの殺菌剤及びそれらが使用される傷の水性環境はpHの範囲が3〜9である。3〜9のpH範囲では、水和ヨウ素カチオン,次亜ヨウ素酸イオン及びヨウ素酸イオンの濃度は、それらをほとんど無視できる程低い。トリヨウ化物イオンは高希釈溶液において容易に元素ヨウ素及びヨウ化物イオン解離する。従って、高希釈水性ヨウ素溶液の主要な活性種は、平衡状態にある元素ヨウ素(即ち、I2 )及び次亜ヨウ素酸(即ち、HOI)である。この2つの種類の相対的な割合はpHと有効ヨウ素含有量によって決まる。0.5〜2ppmと低い遊離ヨウ素濃度は抗微生物効果を示す。「遊離ヨウ素」の用語は、ポリマー又は界面活性剤等の他の化学物質に結合してない有効ヨウ素を意味する。

元素ヨウ素(I2 )及びヨウ化ナトリウム(NaI)の水アルコール溶液であるヨードチンキは、病原菌を除去する殺菌剤としてよく認識されており、皮膚の手術前の準備のために100年に亘って使用されている。しかしながら、体腔粘膜又は傷に接触すると、これは非常に刺激性,腐蝕性,毒性である。また、ヨードチンキを傷処理に不適とするような他の望ましくない副作用も有する。例えば、ときたま生じる過敏反応,皮膚への染み及び不快な臭い等である。

組織毒性と他の好ましくない副作用を最少としながら、ヨウ素の抗微生物効果を利用することにおける主な進歩は、ヨウ素担体出現による。ヨウ素担体は容易に解離し、トリヨウ化物又はヨウ素とポリマー又は界面活性剤との複合物を放出する。ヨウ素担体は水性媒体中のヨウ素の溶解性を増加させるだけでなく、その化学能力及び蒸気圧を減少させるので、望ましくない副作用が減少する。ヨウ素担体はヨウ素の貯蔵体として機能し、使用部位においてヨウ素を徐々に放出させる。周知で広く使用されているヨウ素担体はポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物であり、PVP−ヨウ素として知られている。「ポビドン」はこの分野で知られているポリビニルピロリドンの別名であり、「ポビドン−ヨウ素」はポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物の別名である。その有効ヨウ素含有量は9%〜12%の範囲である。J.Pharm.Sci.,68,1505〜1509頁,1979の「ポリビニルピロリドン−ヨウ素の構造」に報告されたスチェンク(Schenck)等のスペクトル研究によれば、ポビドン−ヨウ素は隣り合うピロリドンユニットが、元素ヨウ素ではなく水素トリヨウ化物と複合物を形成して構成される。従って、全体のヨウ素含有量の2/3だけが有効ヨウ素である。複合物における全体のヨウ素含有量の1/3は非有効ヨウ素の形態である。

ポビドン−ヨウ素は、ベタジン商標),イソジン(商標)等の市販の殺菌製品に使用されている。これら殺菌製品は、手術前に皮膚を準備するために、又は手術前の手洗い及びヘルスケアに係わる人の手を洗うためのハンド洗浄液として、病院で広く使用されている。

これらは無傷の皮膚に使用するのに適しているが、4級アンモニウム塩又はクロルヘキシジン(chlorhexidine)塩をベースとする大部分の他の局所抗微生物製剤と同様に、ヨウ素担体溶液も傷に使用するのに適していない。この製剤では、抗微生物活性含有量の全ては溶液中にあり、傷に直接接触する。さらに、長期間有効であるためには、活性剤の濃度が、最少禁止濃度を数オーダーの単位ではるかに越えなくてはならない。この濃度で、活性剤は、傷治癒過程に係わる繊維芽細胞等の細胞さらに傷組織に細胞毒性細胞変性細胞増殖抑制作用を及ぼす。その結果、傷治癒過程はかなり遅れる。リネァウェバー(Lineaweaver)等はヒトの繊維芽細胞の組織培養研究で、1%ポビドン−ヨウ素,3%過酸化水素又は0.5%塩化水素ナトリウムに15分晒した後24時間生存する繊維芽細胞は無いことを見出だした(局所抗微生物剤の毒性,Arch.Surgery.120,267〜270頁,1985)。この研究は、可溶性ポビドン−ヨウ素の細胞毒性閾値が0.01%以下で0.001%以上であることも示している。さらに、この研究は、ラットの背中の厚さ全体の皮膚の傷の再上皮化は、1%ポビドン−ヨウ素又は0.5%次亜塩素酸ナトリウムで最初に刺激した後8日で、実質的に統計的にかなり阻害されることを示している。

米国特許第4,323,557号で、ロッソ(Rosso)は、ポリマーバックボーンにおいてN−ビニルピロリドンを含む粘着剤を示している。この粘着剤では、ヨウ素と複合物を形成するビニルピロリドンのモノマーユニットは、他の粘着コモノマーと共重合する。従って、このポリマー粘着剤中のヨウ素と複合物を形成するNービニルピロリドンは、水不溶性となる。ヨウ素が徐々に放出されるために、そのような粘着剤を含む感圧フィルムがヨウ素と複合物を形成できる。この組成物は抗微生物外科用布として使用できる。しかしながら、粘着剤と直接接触するので傷治癒組織を再度物理的に傷つける危険があるため、これは傷表面には使用できない。

米国特許第5,242,985号で、シフ(Shih)は、非常に膨脹可能な緩く架橋しているポリビニルピロリドンとヨウ素の複合物を示している。この組成物は水の存在下6時間に亘ってヨウ素をほぼ均一に放出できる。シフの複合物は、彼の先の米国特許第5,073,614号に記載されている特別の種類の架橋ポリビニルピロリドンを用いた方法により、製造する。シフはヨウ素複合物に必要な特性(水性ゲル容積,B形粘度,架橋剤濃度)について狭い範囲を定義している。シフのヨウ素複合物は、特定の粉末架橋ポリビニルピロリドンを少量のイソプロパノール又はイソプロパノール/水混合物で湿らせ、湿った架橋ポリビニルピロリドンと、PVPポリマーの重量の約20%のヨウ素とを室温で混ぜ、その後45°Cで2時間さらに90°Cで16時間加熱して、製造する。得られるPVP/ヨウ素複合物は、薄い黄色で、約10%の有効ヨウ素と約5%のヨウ化物を含む自由に流れる(自由流性)微粉末である。シフ複合物は有効ヨウ素を一定の速度で6時間に亘って放出する。放出の速度が一定であることから、傷部位の可溶性な有効ヨウ素の濃度は、シフ複合物を傷に使用した後比較的短時間、例えば数時間で細胞毒性レベルを越える。このことは、シフ複合物を使用すると、ある時点において傷刺激性及び/又は傷治癒の遅れをもたらすことを意味する。当業者は、シフ等による複合物の製造に使用するヨウ素の1/4近くは説明されてなく、他の1/4はヨウ化物に還元されることにも気付くであろう。これは、出発ポリマー、即ち架橋ポリビニルピロリドンが複合物の製造過程でヨウ素化の処理条件下でヨウ素により一部酸化されることを強く示唆する。特別の理論と結び付くことは望まないが、水性環境への有効ヨウ素の一定放出パターンは、この一部酸化によるものかもしれない。シフの米国特許第5,242,985号の組成物は従来のポビドン−ヨウ素より低い初期ヨウ素レベルで傷に晒されるが、この低い初期レベルは比較的短時間持続し、上述したように、数時間で細胞毒性レベルに到達することが予想できる。

概要

傷刺激性と傷治癒の遅延をもたらすことなく抗微生物作用を有効に発揮できる抗微生物物質を得ること。

抗微生物作用を有する複合物は架橋ポリビニルピロリドンとヨウ素からなり、水不溶性であるが、水吸収性であり水膨張性である。複合物又はこれを含む傷手当用品を傷に使用すると、複合物は水和し、複合物と傷の界面において複合物と傷の間に平衡が確立する。傷体液中の遊離ヨウ素濃度の減少に対応する放散コントロール過程により、ヨウ素は複合物から放出される。傷でのヨウ素の減少速度が速くなるほど、複合物からのヨウ素の放出速度は速くなる。このコントロール過程により、傷刺激性又は治癒の遅れをもたらす濃度以下の濃度を保ちながら、抗微生物学的に有効な量のヨウ素を傷に運ぶことができる。さらに水和した複合物は複合物と傷の界面を湿らせ物理的保護(クッション)を付与し傷の治癒を促進する。

目的

従来の抗微生物物質には、傷に使用するとき、抗微生物作用を有効に発揮できても、傷刺激性があり傷の治癒が遅れるなどの課題があった。この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、傷刺激性と傷治癒の遅延をもたらすことなく抗微生物作用を有効に発揮できる抗微生物物質を得ることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

架橋ポリビニルピロリドンヨウ素を含み、傷に接触すると平衡コントロール放散過程によりヨウ素を放出する水不溶性,水膨脹性複合物

請求項2

A)ヨウ素とヨウ化物イオンを含み、前記ヨウ化物イオンの前記ヨウ素に対するモル比が1:1を越える水性ヨウ素化溶液を作製する工程、B)架橋ポリビニルピロリドンを前記ヨウ素化溶液に添加する工程及び、C)前記架橋ポリビニルピロリドンを前記ヨウ素化溶液と大気温度で反応させる工程、とを含む架橋ポリビニルピロリドンとヨウ素の複合物の製造方法。

技術分野

0001

この発明は、感染を防止し治癒を速めるために、小さな傷,切り傷擦り傷火傷に使用できる抗微生物物質に関する。特に、本発明はポリビニルピロリドンPVP)とヨウ素の複合物に関する。特に、本発明は傷刺激性が無く及び傷の治癒を遅延させない、抗微生物活性のある安定な架橋ポリビニルピロリドンとヨウ素の複合物に関する。また、本発明はこのような架橋PVPとヨウ素の複合物の製造方法に関する。さらに、本発明はこのような複合物を含む粉末ゲル等の製造方法に関する。

背景技術

0002

現在の殺菌剤は一般にインビトロでは微生物数を減少させるのに効果的であるが、その多くは抗微生物スペクトルにおいて本来的な限界があり、傷体液(fluid)/血清により容易に不活性化される。現在使用されている殺菌剤の他の主な欠点は、抗微生物効果細胞障害性の間の相対的なバランスである。適当な抗微生物活性を発揮する環境で使用すると、それらは一般に様々な程度に傷刺激性でありかつ/又は傷の治癒をかなり遅らせる。反対に、傷刺激性又は傷治癒遅れを最少にするか又は避ける濃度で使用すると、第一に抗微生物活性が不十分となり、抗微生物活性が早急に不適当なレベルまで消失する。

0003

局所抗微生物物質とそれを含む製剤は、無傷の皮膚及び/又は傷の殺菌に重要な役割を果たすと、長い間認識されてきた。この目的に使用する抗微生物物質には、フェノールハロゲンペルオキシド,4級アンモニウム化合物及び抗生物質を含む多様な化学組成物がある。これらの抗微生物剤は、皮膚又は傷が晒される様々の種類の微生物に対し効果が非常に異なる。また、これらは、pH又はイオン環境の変化、さらに血液、血清又は傷体液との接触による不活性化され易さに関しても非常に異なる。殺菌活性の広い有効範囲を有する多くの抗微生物剤が、堅い表面や器具等の無生命物体の殺菌のために使用されるが、微生物と哺乳類組織に対する殺菌作用に大きな違いが無いため、皮膚特に傷に効果的に使用することができない。

0004

ヨウ素は、グラム陽性及びグラム陰性菌マイコバクテリア真菌原生動物ビールスを含む広い範囲の微生物に対して際立った効果を有する抗微生物剤として長い間認識されてきた。これは、広いpH範囲で有効であり、他の殆どの抗微生物剤と違って、傷体液/血清中蛋白によって容易に不活性化されない。ヨウ素は微生物の細胞壁を容易に通過し、以下の作用を含む多くの相互作用を通じて殺菌作用を発揮すると考えられている。
1)酵素と蛋白のメルカプト基酸化
2)アミノ酸及び蛋白のフェノール基ヨウ素化による不活性化
3) 重要な水素結合位置として機能するアミノ酸及びヌクレオチド塩基性NH基のヨウ素化
4) 膜固定化をもたらす不飽和脂質脂肪酸のヨウ素化

0005

この分野で使用されているように、「有効ヨウ素」とは酸化能力を有するあらゆる形態のヨウ素をいう。このような形態はチオ硫酸ナトリウム滴定可能であり、元素状態のヨウ素,トリヨウ化物イオン次亜ヨウ素酸イオン,ヨウ素酸イオン等がある。

0006

代表的な水性ヨウ素溶液、例えば2%w/vヨウ素(I2 )と2.4%w/vヨウ化ナトリウム(NaI)を含む溶液には、有効ヨウ素が互いに平衡して幾つかの種類で存在する。これらの種類には、元素状態のヨウ素(I2 ),次亜ヨウ素酸(HOI),次亜ヨウ素酸イオン(OI- ),水和ヨウ素カチオン(H2 OI+ ),ヨウ素酸イオン[IO3 ]- 及びトリヨウ化物イオン[I3 ]+ 等がある。殆どの殺菌剤及びそれらが使用される傷の水性環境はpHの範囲が3〜9である。3〜9のpH範囲では、水和ヨウ素カチオン,次亜ヨウ素酸イオン及びヨウ素酸イオンの濃度は、それらをほとんど無視できる程低い。トリヨウ化物イオンは高希釈溶液において容易に元素ヨウ素及びヨウ化物イオン解離する。従って、高希釈水性ヨウ素溶液の主要な活性種は、平衡状態にある元素ヨウ素(即ち、I2 )及び次亜ヨウ素酸(即ち、HOI)である。この2つの種類の相対的な割合はpHと有効ヨウ素含有量によって決まる。0.5〜2ppmと低い遊離ヨウ素濃度は抗微生物効果を示す。「遊離ヨウ素」の用語は、ポリマー又は界面活性剤等の他の化学物質に結合してない有効ヨウ素を意味する。

0007

元素ヨウ素(I2 )及びヨウ化ナトリウム(NaI)の水アルコール溶液であるヨードチンキは、病原菌を除去する殺菌剤としてよく認識されており、皮膚の手術前の準備のために100年に亘って使用されている。しかしながら、体腔粘膜又は傷に接触すると、これは非常に刺激性,腐蝕性,毒性である。また、ヨードチンキを傷処理に不適とするような他の望ましくない副作用も有する。例えば、ときたま生じる過敏反応,皮膚への染み及び不快な臭い等である。

0008

組織毒性と他の好ましくない副作用を最少としながら、ヨウ素の抗微生物効果を利用することにおける主な進歩は、ヨウ素担体出現による。ヨウ素担体は容易に解離し、トリヨウ化物又はヨウ素とポリマー又は界面活性剤との複合物を放出する。ヨウ素担体は水性媒体中のヨウ素の溶解性を増加させるだけでなく、その化学能力及び蒸気圧を減少させるので、望ましくない副作用が減少する。ヨウ素担体はヨウ素の貯蔵体として機能し、使用部位においてヨウ素を徐々に放出させる。周知で広く使用されているヨウ素担体はポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物であり、PVP−ヨウ素として知られている。「ポビドン」はこの分野で知られているポリビニルピロリドンの別名であり、「ポビドン−ヨウ素」はポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物の別名である。その有効ヨウ素含有量は9%〜12%の範囲である。J.Pharm.Sci.,68,1505〜1509頁,1979の「ポリビニルピロリドン−ヨウ素の構造」に報告されたスチェンク(Schenck)等のスペクトル研究によれば、ポビドン−ヨウ素は隣り合うピロリドンユニットが、元素ヨウ素ではなく水素トリヨウ化物と複合物を形成して構成される。従って、全体のヨウ素含有量の2/3だけが有効ヨウ素である。複合物における全体のヨウ素含有量の1/3は非有効ヨウ素の形態である。

0009

ポビドン−ヨウ素は、ベタジン商標),イソジン(商標)等の市販の殺菌製品に使用されている。これら殺菌製品は、手術前に皮膚を準備するために、又は手術前の手洗い及びヘルスケアに係わる人の手を洗うためのハンド洗浄液として、病院で広く使用されている。

0010

これらは無傷の皮膚に使用するのに適しているが、4級アンモニウム塩又はクロルヘキシジン(chlorhexidine)塩をベースとする大部分の他の局所抗微生物製剤と同様に、ヨウ素担体溶液も傷に使用するのに適していない。この製剤では、抗微生物活性含有量の全ては溶液中にあり、傷に直接接触する。さらに、長期間有効であるためには、活性剤の濃度が、最少禁止濃度を数オーダーの単位ではるかに越えなくてはならない。この濃度で、活性剤は、傷治癒過程に係わる繊維芽細胞等の細胞さらに傷組織に細胞毒性細胞変性細胞増殖抑制作用を及ぼす。その結果、傷治癒過程はかなり遅れる。リネァウェバー(Lineaweaver)等はヒトの繊維芽細胞の組織培養研究で、1%ポビドン−ヨウ素,3%過酸化水素又は0.5%塩化水素ナトリウムに15分晒した後24時間生存する繊維芽細胞は無いことを見出だした(局所抗微生物剤の毒性,Arch.Surgery.120,267〜270頁,1985)。この研究は、可溶性ポビドン−ヨウ素の細胞毒性閾値が0.01%以下で0.001%以上であることも示している。さらに、この研究は、ラットの背中の厚さ全体の皮膚の傷の再上皮化は、1%ポビドン−ヨウ素又は0.5%次亜塩素酸ナトリウムで最初に刺激した後8日で、実質的に統計的にかなり阻害されることを示している。

0011

米国特許第4,323,557号で、ロッソ(Rosso)は、ポリマーバックボーンにおいてN−ビニルピロリドンを含む粘着剤を示している。この粘着剤では、ヨウ素と複合物を形成するビニルピロリドンのモノマーユニットは、他の粘着コモノマーと共重合する。従って、このポリマー粘着剤中のヨウ素と複合物を形成するNービニルピロリドンは、水不溶性となる。ヨウ素が徐々に放出されるために、そのような粘着剤を含む感圧フィルムがヨウ素と複合物を形成できる。この組成物は抗微生物外科用布として使用できる。しかしながら、粘着剤と直接接触するので傷治癒組織を再度物理的に傷つける危険があるため、これは傷表面には使用できない。

0012

米国特許第5,242,985号で、シフ(Shih)は、非常に膨脹可能な緩く架橋しているポリビニルピロリドンとヨウ素の複合物を示している。この組成物は水の存在下6時間に亘ってヨウ素をほぼ均一に放出できる。シフの複合物は、彼の先の米国特許第5,073,614号に記載されている特別の種類の架橋ポリビニルピロリドンを用いた方法により、製造する。シフはヨウ素複合物に必要な特性(水性ゲル容積,B形粘度,架橋剤濃度)について狭い範囲を定義している。シフのヨウ素複合物は、特定の粉末架橋ポリビニルピロリドンを少量のイソプロパノール又はイソプロパノール/水混合物で湿らせ、湿った架橋ポリビニルピロリドンと、PVPポリマーの重量の約20%のヨウ素とを室温で混ぜ、その後45°Cで2時間さらに90°Cで16時間加熱して、製造する。得られるPVP/ヨウ素複合物は、薄い黄色で、約10%の有効ヨウ素と約5%のヨウ化物を含む自由に流れる(自由流性)微粉末である。シフ複合物は有効ヨウ素を一定の速度で6時間に亘って放出する。放出の速度が一定であることから、傷部位の可溶性な有効ヨウ素の濃度は、シフ複合物を傷に使用した後比較的短時間、例えば数時間で細胞毒性レベルを越える。このことは、シフ複合物を使用すると、ある時点において傷刺激性及び/又は傷治癒の遅れをもたらすことを意味する。当業者は、シフ等による複合物の製造に使用するヨウ素の1/4近くは説明されてなく、他の1/4はヨウ化物に還元されることにも気付くであろう。これは、出発ポリマー、即ち架橋ポリビニルピロリドンが複合物の製造過程でヨウ素化の処理条件下でヨウ素により一部酸化されることを強く示唆する。特別の理論と結び付くことは望まないが、水性環境への有効ヨウ素の一定放出パターンは、この一部酸化によるものかもしれない。シフの米国特許第5,242,985号の組成物は従来のポビドン−ヨウ素より低い初期ヨウ素レベルで傷に晒されるが、この低い初期レベルは比較的短時間持続し、上述したように、数時間で細胞毒性レベルに到達することが予想できる。

発明が解決しようとする課題

0013

従来の抗微生物物質には、傷に使用するとき、抗微生物作用を有効に発揮できても、傷刺激性があり傷の治癒が遅れるなどの課題があった。この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、傷刺激性と傷治癒の遅延をもたらすことなく抗微生物作用を有効に発揮できる抗微生物物質を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

米国特許第5,242,985号のシフが開示したヨウ素化方法とは異なるヨウ素化方法により製造した安定で水不溶性,水膨脹性の架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物が、皮膚と傷に有効な抗微生物活性を示し、同時に傷の刺激と傷治癒の遅れを避けることが、予期せず見出だされた。さらに、本発明の複合物を含む組成物は、恐らくその非細胞毒性特性を水和し膨脹したポリマーによる物理的な保護/クッション性及び湿気/非乾燥環境で補って、実際には傷の治癒を促進することが予期せず見出だされた。

0015

本発明の架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物は水不溶性であるが水膨脹性であり、組成物が使用された傷体液中の遊離ヨウ素濃度により決定される平衡コントロール放散過程によりヨウ素を放出できる。傷に接触する遊離ヨウ素濃度は、傷を刺激し治癒過程をかなり遅らせる細胞毒性能力より、低く維持される。このポリマー複合物は傷体液と接触すると、水和し、膨脹し、ヨウ素が複合物から傷へ分散できるようになる。傷体液中の有効ヨウ素濃度が傷と複合物の界面で増えると、複合物に接触する傷体液中のヨウ素とポリマー複合物中のヨウ素間が平衡に達するまで、ヨウ素放出速度が減少する。さらに、ポリマー複合物から傷体液への有効ヨウ素の放出は、複合物に接触する傷体液中のヨウ素の消耗速度によって決まる。

0016

本発明のヨウ素複合物の製造に使用できる出発ポリマーとして、国定処方集で「クロスポビドン」と称する架橋ポリビニルピロリドンがあり、これは例えばGAF社のISP支部からポリプラスドンXL(商標)として市販されている。このポリマーは、大気温度で元素ヨウ素と可溶性ヨウ化物塩水性溶液(ヨウ化物イオンのヨウ素に対するモル比は1:1を越える)によりヨウ素化されると、強くヨウ素と結合し、安定な水不溶性,水膨脹性複合物を形成する。このヨウ素化過程により、出発ポリマーに悪影響を及ぼすこと無く、本発明のポリマー−ヨウ化物複合物が製造される。傷面における抗微生物活性は、分散がコントロールされたヨウ素の複合物から傷面への放出によりもたらされる。本発明の架橋PVPヨウ素複合物は、ヨウ素及びポビドンーヨウ素の抗微生物活性特性の幅広いスペクトルを有し、傷体液により容易に不活性化されない。本発明の架橋ポビドンーヨウ素複合物は、多くの局所抗微生物製品に、粉末,エアゾールスプレー,ゲル,クリーム軟膏及び水感フィルムとして使用できる。本発明の架橋PVPーヨウ素複合物はまた水虫等の皮膚の他の微生物感染にも使用できる。

0017

実施例1
本発明による架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物は、GAF社のISP支部からポリプラスドンXL(商標)として市販されている水不溶性,水膨脹性架橋ポリビニルピロリドンから、製造した。ポリプラスドンXLは、N−ビニル−2−ピロリドンの水不溶性,水膨脹性合成架橋ホモポリマーである。無水ベースで計算して12.8%〜11.0%の窒素(N)を含み、国定処方集第18版の「クロスポビドン」の基準に合う。「クロスポビドン」は国定処方集が1−ビニル2−ピロリドンの架橋ホモポリマーに用いる名称である。水1500gと、1.27重量%のヨウ素(I2 )と3.0重量%のヨウ化ナトリウムを含む水性ヨウ素化溶液1433gとを、4リットルビーカーで混ぜた。ヨウ素化溶液は、ヨウ素については0.05M、ヨウ化物イオンについては0.2Mであり、ヨウ化物イオンのヨウ素に対するモル比は4:1であった。ポリプラスドンXL120.8gを撹拌しながら室温でビーカーの内容物に加えた。得られた混合液を5分間激しく撹拌し、その間に架橋ポビドン−ヨウ素複合物が形成された。架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物は真空濾過ユニットを用いて湿った形で回収された。少量の水ですすいだ後、湿ったフィルターケーキを一晩55°C±5°Cで乾燥し、自由流性粉末に砕き、さらに一定の重量まで55°C±5°Cで乾燥した。架橋ポビドン−ヨウ素複合物の有効ヨウ素含有量を以下の方法で測定した、即ち、正確に重量を測定した複合物を、約5重量%のヨウ化カリウムを含むがヨウ素を含まない過剰の溶液に分散させて、0.02規定のチオ硫酸ナトリウムで滴定した。複合物は17%の有効ヨウ素を含むことが見出だされた。本発明による架橋ポビドンーヨウ素複合物の有効ヨウ素含有量は、ヨウ素化溶液中のヨウ素の濃度を変えることにより及びヨウ素化溶液の量に対する出発ポリマーの量の比を変えることによって、変えることができる。

0018

ヨウ化カリウム及びヨウ化アンモニウム等の他の水溶性ヨウ化物塩を、ヨウ素化溶液のヨウ化ナトリウムの代わりに使用できる。全ての場合において、ヨウ素化溶液におけるヨウ化物のヨウ素に対するモル比は、1:1を越えなくてはならない。ヨウ化物イオンのヨウ素に対するモル比は、好ましくは3:2以上であり、最も好ましくは3:1以上である。本発明の抗微生物効果のある非刺激性架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物は、有効ヨウ素含有量が約0.2重量%から約50重量%の範囲でよい。好ましい有効ヨウ素含有量は、約2重量%から約30重量%の範囲であり、より好ましくは約8重量%から約20重量%である。

0019

実施例2−6
さらに追加して、本発明の架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物が、上記の実施例1の方法に従って、製造された。各試料の、架橋ポビドン(「ポビドン」はポリビニルピロリドンの製薬業界における名称である),水,ヨウ素化溶液の量は、表Iに示す。表Iには、各試料の有効ヨウ素含有量と共にヨウ素化溶液のモル濃度も示される。
表 I
ヨウ素化溶液
モル濃度
水 量 ヨウ素ヨウ化物架橋ポビドン 有効ヨウ素
g g I2イオンg含有量
実施例2 300 300 0.05 M 0.2 M 48.16 8.3 %
実施例3 250 50 0.05 M 0.1 M 19.13 4.5 %
実施例4 445 94.56 0.05 M 0.2 M 60 2.18 %
実施例5 493 47.28 0.05 M 0.2 M 60 1.07 %
実施例6 516 23.64 0.05 M 0.2 M 60 0.50 %

0020

実施例1〜6に示されるデータは実験条件分析結果を表す。本発明の架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物は流動床式方法によっても製造できる。流動床式方法では、架橋ポビドンポリマー粒子ガス流に懸濁し、その中にヨウ素化溶液を注入ポリマー物質と反応させる。

0021

実施例7
実施例1により製造した架橋ポビドンーヨウ素複合物(粉末状)89.895gを、5mgのエアロゾルOTB(商標)(ジオクチルスルホスクシン酸ナトリウム安息香酸ナトリウム),100mgのカブ−オ−シル(Cab−O−Sil)M−5(商標)(燻蒸シリカパウダー)及び10gのナトロソル250H(商標)(60メッシュでふるいにかけられたヒドロキシエチルセルロース)と、広口円筒ガラスジャーで混ぜて、抗微生物粉末を製造した。次に、この混合物を5分間ローラーブレンダーで混合して、自由流性殺菌粉末を得た。この粉末は殺菌剤として傷部位にふりかけ、傷の治癒を促進する。

0022

ジオクチルスルホスクシン酸ナトリウム/安息香酸ナトリウム,非刺激性界面活性剤は、クロスポリドンーヨウ素複合物が傷体液により湿るのを促進し、ヨウ素を傷体液に放出させる。ジオクチルスルホスクシン酸ナトリウム/安息香酸ナトリウムの濃度は1ppm〜5重量%の範囲である。好ましい範囲は、抗微生物粉末の10ppm〜1重量%であり、最も好ましい範囲は、抗微生物粉末の20ppm〜200ppmである。

0023

カブ−オ−シルM−5(燻蒸シリカ)は、粉末の流性特性を改善し、使用し易さと均一な使用をもたらす。カブ−オ−シルM−5の濃度は0.0001体積%(w/w)〜2%w/wの範囲でよい。好ましい範囲は、0.001%w/w〜0.5%w/wであり、より好ましい範囲は0.005%w/w〜0.2%w/wである。燻蒸シリカの代わりに、沈澱シリカリン酸二カルシウム等の他の流性添加物を使用できる。

0024

ナトロソル250H(ヒドロキシエチルセルロース)と同様な親水性ポリマーは、傷に使用する架橋ポビドンーヨウ素の粘着性をより高め、軟らかくして、傷表面で湿り続けるのを助けることにより、その粘稠度を改善する。親水性ポリマーの濃度は75%w/wまででよい。好ましい範囲は4%w/w〜40%w/wであり、最も好ましい範囲は8%w/w〜20%w/wである。

0025

実施例8
実施例7の方法によって、抗微生物粉末を製造した。実施例8の粉末は以下の組成を有していた、実施例2の架橋ポビドンーヨウ素複合物が89.9g,エアロゾルOTBが5mg,カブ−オ−シルM−5が100mg及びナトロゾル250Hが10g。表Iに示されるように、実施例2の複合物の有効ヨウ素含有量は7.5%であった。

0026

実施例9
実施例1の架橋ポビドンーヨウ素複合物を11.4g,ポリエチレングリコールを200g,メチルパラベンを1g,カルボポール−974P NFを10g,NaOHを1g及び水を776.6g含む抗微生物ゲル分散液を、製造した。メチルパラベンとカルボポール−974P NFとを、ポリエチレングリコールに、20分間混合して分散した。次いで水450gを分散液に添加して、均一な分散液が得られるまで30分間混合し続けた。実施例1の複合物11.4gを徐々に撹拌しながら分散液に添加して、30分間撹拌し続けた。pHは0.1NのNaOH溶液を250ml添加して調整した。残りの水を添加して、最終重量が1000gとなるように調整し、撹拌を30分間続けた。最終pHは約5.0であった。先に述べたように、実施例1の複合物の有効ヨウ素含有量は17%であった。この実施例9の抗微生物ゲル分散液の有効ヨウ素含有量は0.2重量%であった。

0027

実施例2の架橋ポリビニルピロリドンーヨウ素複合物,実施例7と8の抗微生物粉末及び実施例9のゲル分散液を、救急殺菌剤のためのFDA/OTC仮最終モノグラフに記載されているテスト方法を変更して、微生物学的テストした。これらは、3つの特別テスト微生物全てに対して有効であった。テストでは、血清の存在下で10分間接触した後、Staph.aureus(ATCC6538),Pseudomonas aerug.(ATCC9027)及びEscherichia coli(ATCC8739)の生存数が少なくとも99.9%減少することが必要である。テストの結果は、実施例2の複合物と実施例7,8,9の製造物が有効な殺菌作用を有することを示す。

0028

また、実施例7と8の抗微生物粉末及び実施例9のゲル分散液をテストして、傷刺激性と傷治癒特性を調べた。テストは以下のように実施した。
動物の処理)テストは6〜8匹の雌の交雑種ブタで実施した。ゼロ日目に、動物をイソフルオラン吸入により殺菌した。皮膚は毛を切り次いで剃刀で残りを剃った。手術部位脊柱傍域)を抗微生物石鹸洗い水すすぎ最後はアルコールで洗った。適当な殺菌技術を施し、外因性感染の可能性を最少とした。

0029

(傷の処理)準備した部位において、カストロ−ビエジョ皮膚採取器を用いて脊柱傍域の左右に、20〜30の厚みの一部の傷を形成した。傷の大きさは約1cm ×1cm×0.5nmであった。傷は各々10〜14の傷からなる4つの四分円を形成した。傷処置を各四分円に割り当て、ラテン方陣デザインを用いて4つの四分円を回転し、各処置が2匹の動物で同じ四分円となるようにした。止血の後、実施例7,8,9の抗微生物製造物を、所定のフォーマットで各四分円の傷に使用した。傷を粘着包帯で覆い、毎日交換した。このテスト方法では、以下の対照を用いた、粘着包帯(A),0.13%塩化ベンズアルコニウム含有市販殺菌液(B),1%ポビドンーヨウ素含有市販水溶性軟膏(C)。テストする製造物を連続して2日適用した(0日目と1日目)。傷に当てた粘着包帯だけは2,3,4日目に交換した。

0030

(観察と評価)処理の後5日間毎日観察したが、傷はいずれも炎症,浮腫,感染又は皮膚浸軟を示さなかった。5日目、評価の後、代表的な試料を生検し、残りの傷と周囲の皮膚を外科的に採取した。皮膚片は0.5MのNaBr溶液で24時間37°Cでインキュベートして、表皮から真皮を分離し易くした。表皮から真皮を分離した後、傷の上皮化を測定した。完全に上皮化された傷のパーセンティジを計算して、この研究の他の処置と比較した。結果を以下に示す。
対 照 対 照 対 照 実施例 実施例 実施例
A B C 7 8 9
傷治癒10% 0% 4% 77% 61% 16%
この結果から分かるように、実施例7,8,9の抗微生物製造物は、どの対照よりも傷の上皮化が速い。

0031

実施例10
実施例1の架橋ポビドンーヨウ素複合物を含む水分散可能重合フィルムを以下のように製造した。実施例1の複合物40gを、カルボワックス8000(市販ポリエチレングリコール)20g,ポルヨックスWSR N−80(同じく、市販ポリエチレングリコール)20g及びメソセルA−15C(市販メチルセルロース)20gに、十分に混合した。混合物を100°Cの熱金属プレートプレスして熱可塑性フィルムを形成した。このフィルムは殺菌パッチとして、単独でも、粘着パッド又は吸収性手当用品と組み合わせても使用できる。上記の実施例は本発明の幅広い用途を示すことを意図しているが、本発明における限定ではない。多くの追加の用途が、特に傷手当や皮膚手当の分野で、当業者に自明であろう。

0032

図1は、従来のポビドンーヨウ素溶液(A),米国特許第5,242,985号による組成物(B)及び本発明による組成物(C)の時間に関するヨウ素放出特性グラフによる概念的比較を示す。傷面と、傷に使用したA,B,C等のヨウ素含有物質との界面における濃度を測定することは事実上不可能である。しかしながら、従来のポリビニルピロリドンーヨウ素溶液(A)の使用によりもたらされる傷体液中のヨウ素濃度は、溶液の傷への使用の最初から、細胞毒性の閾値をかなり越える。これは、傷刺激性と傷治癒の遅延をもたらす。米国特許第5,242,985号の組成物の使用によりもたらされる傷体液中のヨウ素濃度は、組成物を傷に適用した直後で、抗微生物効力閾値より低い。一定時間後、ヨウ素濃度は抗微生物効力閾値を越えるが、細胞毒性閾値より低い。さらに時間が経過すると、ヨウ素濃度は増加し、ついに細胞毒性閾値を越える。これも同じように傷刺激性と傷治癒の遅延をもたらすことが予想される。前述したように、本発明の組成物からのヨウ素の放出は平衡でコントロールされる。従って、本発明の架橋ポリビニルピロリドンーヨウ素複合物の使用による傷体液中のヨウ素濃度は、適用後短時間で、抗微生物効力閾値より高く細胞毒性閾値より低い濃度レベルに達する。このことは、本発明の組成物が有効な抗微生物作用を有するが、傷を刺激せず傷の治癒を遅らせないことを意味する。

0033

好適な実施態様を以下に示す。
(1)有効ヨウ素含有量が約0.5重量%〜約50重量%である請求項1記載の複合物。
(2)有効ヨウ素含有量が約2重量%〜約30重量%である請求項1記載の複合物。
(3)有効ヨウ素含有量が約8重量%〜約20重量%である請求項1記載の複合物。
(4)前記モル比が3:2を越える請求項5記載の方法。
(5)前記モル比が3:1を越える請求項5記載の方法。
(6)さらに前記架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物を回収する工程とそれを乾燥して自由流性粉末とする工程とを有する上記実施態様(4)記載の方法。
(7)請求項5記載の方法により製造された架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物。

発明の効果

0034

以上のように、本発明によれば、傷刺激性と傷治癒の遅延をもたらすことなく抗微生物作用を有効に発揮できる架橋ポリビニルピロリドン−ヨウ素複合物が得ることができる効果がある。

図面の簡単な説明

0035

図1従来のポビドンーヨウ素溶液(A),米国特許第5,242,985号による組成物(B)及び本発明による組成物(C)の時間に関するヨウ素放出特性の概念的比較を示すグラフ図である。

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