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技術 エンジンの空燃比制御装置

出願人 日産自動車株式会社
発明者 風間勇松本幹雄
出願日 1995年9月29日 (23年11ヶ月経過) 出願番号 1995-253383
公開日 1997年3月31日 (22年5ヶ月経過) 公開番号 1997-088684
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の複合的制御 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御 排気の後処理 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 高排気量 交換直前 応答周期 移動直後 更新幅 基本供給量 未学習領域 燃料噴射インジェクタ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

三元触媒履歴に応じた学習値を保存しておき、三元触媒の交換に対しても、直ちに適正な学習値でもって対応できるようにする。

解決手段

下流側酸素センサ出力に応じてフィードバック制御定数補正値を学習しかつこの学習値を更新する手段59と、上流酸素センサ出力反転回数に対する下流側酸素センサ出力の反転回数の反転回数比を算出する手段60と、運転条件から定まる複数の学習領域をこの反転回数比に応じて複数に区分けしかつ区分けした学習領域に対応して前記フィードバック制御定数の学習値を格納する手段60とを備える。三元触媒の履歴に応じて学習値を保存し、三元触媒の交換時にも即座に要求学習値に基づいての制御を開始する。

概要

背景

エンジン排気系に三元触媒を設置し、酸素センサにより検出した空燃比が、三元触媒の転換効率最良となる理論空燃比となるようにエンジンに供給する燃料フィードバック制御することは良く知られており、この場合、空燃比制御精度を高めるために、三元触媒の上流と下流にそれぞれ酸素センサを設け、上流の酸素センサの出力に基づく空燃比のフィードバック制御を、下流の酸素センサの出力に基づく学習制御により補うようにした装置が提案されている(特開平5−156994号公報)。

三元触媒の上流の排気空燃比は、フィードバック制御の特性にしたがって理論空燃比を中心とする狭い空燃比範囲周期的に変動するが、下流の空燃比は三元触媒による酸素ストレージ能力により、ほぼ理論空燃比で一定化する。

しかし上流側酸素センサの性能が劣化してきたりすると、フィードバック制御の制御精度が不安定となり、この場合には、三元触媒を通過した後の空燃比も理論空燃比には収まらず、理論空燃比を中心に変動幅が大きくなり、排気組成も悪化する。

そこで、下流側酸素センサの出力に基づいて、空燃比フィードバック制御定数のうち比例分について学習制御し、空燃比の収束性を高めるようにしている。つまり、三元触媒の下流側における空燃比の変動幅に応じて、フィードバック制御定数補正することにより、例えば、空燃比が理論空燃比よりも薄い側に大きく変動したときは、この変動幅に対応して空燃比を濃い側に戻す方向に学習値演算し、この学習値により上流側酸素センサによるフィードバック制御定数を修正するのである。

概要

三元触媒の履歴に応じた学習値を保存しておき、三元触媒の交換に対しても、直ちに適正な学習値でもって対応できるようにする。

下流側酸素センサ出力に応じてフィードバック制御定数の補正値を学習しかつこの学習値を更新する手段59と、上流側酸素センサ出力反転回数に対する下流側酸素センサ出力の反転回数の反転回数比を算出する手段60と、運転条件から定まる複数の学習領域をこの反転回数比に応じて複数に区分けしかつ区分けした学習領域に対応して前記フィードバック制御定数の学習値を格納する手段60とを備える。三元触媒の履歴に応じて学習値を保存し、三元触媒の交換時にも即座に要求学習値に基づいての制御を開始する。

目的

本発明はこのような問題を解決するために、三元触媒の履歴に応じた学習値を保存しておき、三元触媒の交換に対しても、直ちに適正な学習値でもって対応できるようにした空燃比制御装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

エンジン負荷回転数などの運転条件を検出する手段と、この運転条件に応じて基本燃料供給量を制御する手段と、排気系に設置した三元触媒と、三元触媒の上流側と下流側にそれぞれ設けた酸素センサと、上流側の酸素センサの出力を所定値と比較して空燃比理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段と、この上流側酸素センサの出力に基づいて空燃比が理論空燃比となるようにフィードバック制御定数を算出する手段と、下流側の酸素センサの出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段と、この下流側酸素センサ出力に応じて前記フィードバック制御定数の補正値を学習しかつこの学習値更新する手段と、前記上流側酸素センサ出力反転回数に対する下流側酸素センサ出力の反転回数の反転回数比を算出する手段と、運転条件から定まる複数の学習領域をこの反転回数比に応じて複数に区分けしかつ区分けした学習領域に対応して前記フィードバック制御定数の学習値を格納する手段と、前記運転条件と反転回数比に応じて判定した学習領域から学習値を読み出す手段と、この読み出した学習値に基づいて修正したフィードバック制御定数により基本燃料供給量補正する手段とを備えることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置

請求項2

反転回数比が小さい学習領域での学習値の更新時に、それよりも反転回数比の大きいすべての学習領域の学習値も同一値だけ更新する手段を備える請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。

請求項3

反転回数比が大きい学習領域から小さい学習領域に移動したときは、その移った領域よりも大きいすべての領域の学習値を移った領域の学習値と一致させるように更新する手段を備える請求項1または2に記載のエンジン空燃比制御装置

技術分野

0001

本発明は学習機能を備えるエンジン空燃比フィードバック制御装置に関する。

背景技術

0002

エンジンの排気系に三元触媒を設置し、酸素センサにより検出した空燃比が、三元触媒の転換効率最良となる理論空燃比となるようにエンジンに供給する燃料フィードバック制御することは良く知られており、この場合、空燃比制御精度を高めるために、三元触媒の上流と下流にそれぞれ酸素センサを設け、上流の酸素センサの出力に基づく空燃比のフィードバック制御を、下流の酸素センサの出力に基づく学習制御により補うようにした装置が提案されている(特開平5−156994号公報)。

0003

三元触媒の上流の排気空燃比は、フィードバック制御の特性にしたがって理論空燃比を中心とする狭い空燃比範囲周期的に変動するが、下流の空燃比は三元触媒による酸素ストレージ能力により、ほぼ理論空燃比で一定化する。

0004

しかし上流側酸素センサの性能が劣化してきたりすると、フィードバック制御の制御精度が不安定となり、この場合には、三元触媒を通過した後の空燃比も理論空燃比には収まらず、理論空燃比を中心に変動幅が大きくなり、排気組成も悪化する。

0005

そこで、下流側酸素センサの出力に基づいて、空燃比フィードバック制御定数のうち比例分について学習制御し、空燃比の収束性を高めるようにしている。つまり、三元触媒の下流側における空燃比の変動幅に応じて、フィードバック制御定数補正することにより、例えば、空燃比が理論空燃比よりも薄い側に大きく変動したときは、この変動幅に対応して空燃比を濃い側に戻す方向に学習値演算し、この学習値により上流側酸素センサによるフィードバック制御定数を修正するのである。

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、この空燃比制御装置にあっては、学習制御のための学習領域を、運転条件、例えば車速エンジン回転数負荷などに応じて設定し、このため当然のことながら現在の三元触媒の特性にあった学習値となっている。

0007

三元触媒の性能は期間の経過に伴って次第に劣化し、これにともなって排気浄化機能が低下するため、劣化の状況によっては交換が必要となることもある。

0008

ところが、このように三元触媒を新品と交換すると、三元触媒の酸素ストレージ能力の相違から、それまでの学習値が、新品の三元触媒の要求値と大きく相違する結果となり、このため、交換後の学習が終了するまでの間は、フィードバック制御される空燃比が、三元触媒の要求する空燃比と一致せず、排気組成が悪化するという傾向があった。

0009

空燃比の学習は所定の運転条件に沿って行われるので、運転条件に対応して全ての学習領域で、交換後の三元触媒にマッチした学習が完了するまでの間は、未学習領域移行する度に空燃比が要求値から大きくずれ、その分だけ排気浄化効率も低下してしまうのである。

0010

三元触媒の交換直後の要求値に短期間のうちに対応させるため、学習値の更新幅を大きくとることも考えられるが、この場合には、三元触媒の酸素ストレージ能力による下流側酸素センサの応答遅れの影響で、実際に制御される空燃比の波形オーバシュートアンダーシュートを生じ、HC,COとNOxとの排出量が交互に増加してしまう。

0011

本発明はこのような問題を解決するために、三元触媒の履歴に応じた学習値を保存しておき、三元触媒の交換に対しても、直ちに適正な学習値でもって対応できるようにした空燃比制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

第1の発明は、図12に示すように、エンジンの負荷と回転数などの運転条件を検出する手段51と、この運転条件に応じて基本燃料供給量を制御する手段52と、排気系に設置した三元触媒53と、三元触媒53の上流側と下流側にそれぞれ設けた酸素センサ54、55と、上流側の酸素センサ54の出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段56と、この上流側酸素センサ54の出力に基づいて空燃比が理論空燃比となるようにフィードバック制御定数を算出する手段57と、下流側の酸素センサ55の出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段58と、この下流側酸素センサ出力に応じて前記フィードバック制御定数の補正値を学習しかつこの学習値を更新する手段59と、前記上流側酸素センサ出力反転回数に対する下流側酸素センサ出力の反転回数の反転回数比を算出する手段60と、運転条件から定まる複数の学習領域をこの反転回数比に応じて複数に区分けしかつ区分けした学習領域に対応して前記フィードバック制御定数の学習値を格納する手段61と、前記運転条件と反転回数比に応じて判定した学習領域から学習値を読み出す手段62と、この読み出した学習値に基づいて修正したフィードバック制御定数により基本燃料供給量を補正する手段63とを備える。

0013

第2の発明は、第1の発明において、反転回数比が小さい学習領域での学習値の更新時に、それよりも反転回数比の大きいすべての学習領域の学習値も同一値だけ更新する手段64を備える。

0014

第3の発明は、第1または第2の発明において、反転回数比が大きい学習領域から小さい学習領域に移動したときは、その移った領域よりも大きいすべての領域の学習値を移った領域の学習値と一致させるように更新する手段65を備える。

0015

第1の発明において、空燃比フィードバック制御定数の学習値を格納するための学習領域は、エンジンの運転条件、例えばエンジン負荷と回転数から区分けした領域が、三元触媒の上流側と下流側の酸素センサ出力の反転回数比に応じてさらに複数に区分けされる。

0016

この上流側と下流側の酸素センサ出力の反転回数比は、三元触媒の劣化度合いに密接に関連し、新しい三元触媒では反転回数比は小さく、劣化が進むにしたがって触媒の酸素ストレージ能力が低下することにより、反転回数比は大きくなり(最大値=1)、したがって、この反転回数比に応じて区分けされた学習領域に格納されている学習値は、三元触媒の履歴に対応したものとなる。

0017

空燃比のフィードバック制御定数の学習値は、下流側酸素センサの出力に基づいて算出され、かつ更新されていく。三元触媒の劣化が進むと、酸素ストレージ能力の低下により、上流側の空燃比の変動が、そのまま下流側の空燃比変動として現れるようになる。この下流側の空燃比変動を受けて、下流側酸素センサの出力も変化し、したがって、この酸素センサの出力に基づいて算出された学習値は、この劣化した三元触媒に適した学習値となる。

0018

新しい三元触媒は酸素ストレージ能力が高く、下流側の空燃比の変動周期は、劣化した触媒に比較して非常に長くなる。このため、劣化した三元触媒を新品と交換したにもかかわらず、劣化時の学習値により空燃比のフィードバック制御定数を補正すると、空燃比が短い周期で大きく変動し、理論空燃比よりもリッチ及びリーン側にオーバシュートを起こす。

0019

しかし、本発明では、三元触媒の履歴に相当する、上流と下流の酸素センサ出力の反転回数比に応じて、学習値を格納保存しているので、劣化した三元触媒を新しいものと交換したときに、その交換直後から、新しい触媒に対応した学習値を選び出し、空燃比フィードバック制御定数を補正するので、直ちに最適な空燃比フィードバック制御が行えることになり、空燃比の変動による排気組成の悪化を未然に防止することができる。

0020

第2の発明では、反転回数比の小さい学習領域での学習値、すなわち、履歴の浅い三元触媒の学習値が更新されると、そのまま反転回数比の大きい領域の学習値も同一値だけ更新されるので、時間の経過に伴って学習領域が反転回数比の大きい領域へと移動したときに、それまでの学習値との間に大幅な差異がなく、このため、移動直後から精度のよい空燃比のフィードバック制御を行える。

0021

新しい学習領域に移行したときに、最初から学習を行い、学習値を算出するのでは、学習値が実際の三元触媒の要求値に一致するまでの間、空燃比の変動が避けられないが、このように履歴の浅い領域での学習結果から、予め学習値を格納しておくことにより、領域の移動後即座に三元触媒の要求値に対応した学習値による制御が行えるのである。

0022

第3の発明では、反転回数比が大きい学習領域から小さい学習領域に移動したとき、すなわち、履歴の古い劣化が進んだ三元触媒から新しい三元触媒に切換わったときは、保存されている履歴の浅い学習値を利用して、フィードバック制御が行われると共に、このとき残存している履歴の古い学習値は、履歴の浅い学習値に切換られるので、そのまま、新しい三元触媒のもとで学習を続けていけば、反転回数比の大きい領域についても、新規な状態から学習値を蓄積していくことができる。したがって、学習領域が移行したときにも、学習値の変動がなく、円滑なフィードバック制御が継続される。

発明を実施するための最良の形態

0023

以下本発明の実施の形態を説明すると、図1において、エンジン1の吸気通路3には吸気絞弁8が設けられ、この絞弁開度に応じてエンジン1に吸入される空気量が制御される。吸気絞弁8の下流の吸気通路3には燃料噴射インジェクタ4が設けられる。エンジン1の排気通路5には、排気中のHC,COを酸化すると共にNOxを還元する三元触媒6が設置される。

0024

エンジン1から排出される排気の空燃比を三元触媒6の転換効率が最良となる理論空燃比に制御するために、コントローラ20には、吸入空気量を測定するエアフローメータ7、吸気絞弁8の開度を検出する絞弁開度センサ9、エンジン回転数を検出するクランク角度センサ10、エンジン冷却水温を検出する水温センサ11、車両速度を検出する車速センサ14からの各信号と共に、三元触媒6の上流の排気中の酸素濃度を検出する酸素センサ12Aと、下流側の酸素濃度を検出する酸素センサ12Bからの信号が入力し、これらに基づいてコントローラ20は後述するように、前記燃料噴射インジェクタ4からの燃料供給量を理論空燃比となるようにフィードバック制御する。

0025

図2は、上流側酸素センサ12Aの出力に基づいて燃料供給量をフィードバック制御する基本制御ルーチンである。

0026

なお、この図及び以下の説明において、前O2センサとは、上流側酸素センサ12A、後O2センサとは下流側酸素センサ12Bを意味する。

0027

まず、ステップ51で空燃比のフィードバック制御中かどうかを判断し、フィードバック制御中ならば、ステップ52で前O2センサの出力が理論空燃比相当スライスレベルを境にしてリッチかどうかを判断し、リッチのときはステップ53で前回もリッチであったかどうか、また、リッチでないとき、つまりリーンのときは、ステップ54で前回もリーンであったかどうかをそれぞれ判断してから、フィードバック制御定数の設定に移行する。(なお、フィードバック制御中でないときは、ステップ71に移行し、フィードバック補正係数αを固定する。)空燃比がリッチのときはリーンに、またリーンのときはリッチに向けて空燃比を修正するのであり、このためのフィードバック制御定数としては、比例分Pと積分分Iとがあり、それぞれ前回値と同一のときは積分分I、異なるときは比例分Pが選択される。

0028

したがって、ステップ55、60、63、68ではそれぞれ、比例分PR、PLと積分分IR、ILとを、予め設定されたマップから読み出す。なお、これらは空燃比フィードバック制御の基本制御定数である。

0029

このうち、積分分IRとILについては、それぞれ、そのときに負荷に応じて補正され(ステップ61と69)、フィードバック補正係数αが、前回もリッチのときは、α=α−IRとして算出され(ステップ62)、また前回もリーンときはα=α+ILとして算出される。

0030

これらにより、前回リッチのときは、空燃比をリーン側に向けて修正し、リーンのときはリッチ側に向けて修正するのである。

0031

これに対して、前回リーンからリッチに、またリッチからリーンに変換したときの比例分PRとPLについては、後述するように、それぞれ後O2センサの出力の学習値に基づいて修正する。

0032

なお、ステップ56と64では、学習条件成立したかどうかを運転条件から判断し、学習条件が成立したときに、後述する図7のようにして、後O2センサの出力に基づいて学習値PHOSAを算出し、かつこれを更新する。

0033

なお学習は、前、後O2センサ、三元触媒の活性後において、一定の運転条件、例えば負荷と回転数に応じて分割した領域で、かつその状態が継続してその範囲に収まっているときに、後述するように、前O2センサと後O2センサの反転回数比に応じて分割、つまり三元触媒の履歴(劣化の程度)に応じて分割した領域毎に行われる。

0034

そして、ステップ57と65において、後述する図8図9のように、学習領域を判定すると共に、この領域に格納されている学習値PHOSAを読み出し、これに基づいてそれぞれ、PRとPLを、PR=PR−PHOSA、またPL=PL+PHOSAとして算出する。ただし学習中ならば、後述する学習補正値PHOSにより、PR=PR−PHOS、またPL=PL+PHOSとして算出する。(ステップ58と66)。

0035

この後、ステップ59と67において、フィードバック補正係数αが、それぞれα=α−PR、またα=α+PLとして算出される。

0036

このようにして、求められたフィードバック補正係数αにより、燃料の基本供給量がフィードバック制御され、これにより、空燃比を目標とする空燃比に精度よく一致させるのであるが、本発明では、上記した学習値PHOSAを格納する学習領域を、エンジン回転数と負荷の運転条件だけではなく、前O2センサと後O2センサとの反転回数の比率、つまり、三元触媒の履歴、換言すると劣化の程度に応じて区分けし、三元触媒の変化する特性に応じても、学習値PHOSAを選択し、劣化の進んだ三元触媒が新品に交換されたときでも、直ぐに適正な学習値を与えることができるようになっている。

0037

図7にしたがって、この学習値PHOSAの演算、更新について説明する。

0038

学習値の演算、更新は、前O2センサの出力が反転する毎に実行され、図10にも示すように、ステップ11で後O2センサの出力を理論空燃比に相当するスライスレベルRSLと比較し、リッチかリーンかを判断し、さらにステップ12と13においては、前回の後O2センサの出力がRSLよりも大であったか小であったかを判断する。

0039

後O2センサの出力がリッチのときは今回リッチになったか、前回もリッチであったかを判断し、それにより、ステップ14に進むか、ステップ15、16に進むかが選択され、また、リーンのときは、前回もリーンか、今回リーンになったかを判断し、それぞれステップ17に進むか、ステップ18、19に進むかが選択される。

0040

前回もリッチであったとき(空燃比が切換ってないとき)はステップ14で、補正値PHOSとして、PHOS=PHOS−DPHOSとして、前回の補正値PHOSから積分分DPHOSを差し引く(ただし図10を参照)。

0041

これに対して、それまでのリーンから今回リッチに切換ったときは、ステップ15で、PHOS=PHOS−PHPRとして、前回の補正値PHOSから比例分PHPRを差し引く。そして、ステップ16において、学習値PHOSAを次式により算出する。

0042

PHOSA[n]=(XU+XL)/2×GPHOS+PHOSA[n−1
]×(1−GPHOS)…(1)
ただし、XUはその周期のPHOSの最大値、XLは同じく最小値、GPHOSは学習更新割合(0<GPHOS<1)を示す。

0043

なお、学習値PHOSAは、前回までの学習値と今回の補正値の中間値との加重平均値となり、この場合、学習更新割合が大きくなるほど学習値に占める今回の補正値の比率が高くなる。

0044

次に、前回もリーンときは、ステップ17で、PHOS=PHOS−DPHOSとして、前回の補正値PHOSに積分分DPHOSを加算する。

0045

これに対して、前回はリーンでなく、今回リーンに切換ったときは、ステップ18で、PHOS=PHOS+PHPLとして、比例分PHPLを加算し、ステップ19で、ステップ16と同じようにして、学習値PHOSAを算出する(上記(1)式参照)。

0046

三元触媒が劣化していないときは、酸素ストレージ能力が高く、このため三元触媒に流入する前には、理論空燃比を境にリッチ・リーンに振れている排気空燃比も、三元触媒を通過することにより、ほとんどリッチ・リーンに振れることなく一定値に近づく。しかし、三元触媒が劣化すると、酸素ストレージ能力が失われ、三元触媒の通過の前後において、排気空燃比がほぼ同じ周期でリッチ・リーンに変動する。

0047

このため、前O2センサの出力が理論空燃比に相当するスライスレベルを境にして反転する回数と、後O2センサの同じく反転回数とを比較することにより、三元触媒の劣化の程度が判断でき、すなわち、図11にも示すように、前O2センサと後O2センサの反転回数比HZRATE(HZRATE=後O2センサ/前O2センサ)は、図3のように、三元触媒が新品のときに「0」、劣化したときに「1」に限りなく近づく。

0048

なお、このHZRATEは、図4にも示すように、例えば新品触媒のときでも、エンジン負荷(燃料噴射パルス幅Tp)によっても変化し、負荷の大きいときほど「1」に近づき、劣化したときと同じような傾向を示す。燃料噴射量の大きい高排気量運転領域では、三元触媒の容量との関係で余裕が無くなり、それだけ見かけ上の触媒性能が低下するためである。

0049

そこで、図5に示すように、フィードバック制御定数の学習値を格納する学習領域について、単に運転条件、つまりエンジン回転数Neと負荷だけではなく、この反転回数比HZRATEに基づいて、複数の領域に区分し、例えばHZRATE=SL1、SL2により、領域A、領域B、領域Cに区分し、各領域にそれぞれ学習値PHOSAを格納し、これにより、三元触媒の履歴(劣化の状態)に応じて、最適な学習値に修正、更新している。

0050

こうすると、劣化した三元触媒から新しいものに交換したときなど、反転回数比から三元触媒の履歴状況を判断し、予め保存されている、それにあった学習値を直ちに選定することができる。

0051

図8は前記した反転回数比HZRATEに応じて学習領域を区分し、この学習領域A〜Cに格納した学習値PHOSAを更新するルーチンを示す。

0052

まずステップ21、23で学習領域A〜Cのいずれにあるかを判断する。

0053

なお、この学習領域A〜Cの判定は、図9に示すようにして行われるので、先にこれを説明する。

0054

ステップ41で学習条件が成立しているときは、ステップ42、43に進み、反転回数比HZRATEの境界SL1及びSL2との大小を判定する。

0055

図5にもあるように、SL1以下ならば、三元触媒が劣化していない新品状態の領域Aであると判定され、SL1とSL2の間にあるときは劣化については正常範囲の領域Bであり、さらにSL2よりも大きいときは、やや劣化が進んでいる領域Cであると判定される(ステップ44〜46)。

0056

なお、学習が許可されていないときは、ステップ47で学習値PHOSAは固定される。

0057

このようにして学習領域A〜Cの判定が行われるのであるが、図8に戻って、領域Aのときは、ステップ22で前回も領域Aにあったかどうか判断し、そうならば、ステップ27で領域Aの学習値として、それまでの学習値を今回演算された学習値PHOSAに更新する。なお、この更新は、前回のPHOSAと今回のPHOSAとの差分、つまりΔPHOSAを、それまで格納されていたPHOSAに加算することにより行う。同時に、このとき領域Bと領域Cの学習値PHOSAにも、このΔPHOSAを加算しておく。

0058

これは、その後に三元触媒の特性の変化により、領域Bあるいは領域Cに移行したときに、学習値を継続的(連続的)に更新することができ、領域移動直後の学習値の変動幅をできるだけ小さくするためである。

0059

なお、前回が領域Aでないときは、領域BあるいはCから領域Aに戻ったときなので、このときは学習値として、それまでの領域Aの学習値を保持し、同時に他の領域BとCの学習値も領域Aの学習値と一致させる(ステップ28)。

0060

これは、後述するように、三元触媒の交換時など、領域B、Cに残存している古い学習値を、三元触媒の劣化していない状態に相当する領域Aの学習値と一致させ、そのまま学習を継続できるようにするためである。

0061

次に、ステップ23で領域Bにあることが判断されたときは、ステップ24に進み、前回も領域Bにあったかを判断する。もしそうならば、ステップ29で学習値を前記と同じようにして更新するのであり、さらに同時に領域Cの学習値にもΔPHOSAを加算し、新たな学習値に更新する。

0062

ただし、この場合、領域Aの学習値はそのまま保存され、領域BとCのみが更新されることになる。

0063

ステップ24で前回は領域Bではないと判断されたときは、ステップ26に移行して、前回が領域Aであったかどうかを判断する。

0064

もし、そうならば、領域AからBに移行したのであるから、ステップ30でそれぞれの領域A〜Cの学習値は、そのままの学習値PHOSAが保持される。

0065

これに対して前回が領域Aでないときは、領域Cであったことを意味するので、このときはステップ31において、領域BとCの学習値PHOSAは、領域Bの学習値に一致させる。

0066

ステップ23で領域Bでないと判断されたときは、領域Aでもなく、領域Bでもない、つまり領域Cであるから、ステップ25で前回も領域Cかどうかを判断し、もし、そうならば、ステップ32においてその学習値PHOSAにΔPHOSAを加算して、領域Cの学習値を更新する。

0067

ただし、この場合には、領域AとBの学習値は更新されることなく、そのまま保存される。

0068

これに対して、前回が領域Cでないときは、領域AまたはBから領域Cに移行したのであるから、各領域A〜Cの学習値は、そのままの学習値PHOSAが保存されることになる。

0069

以上のことを、図6を参照しながらまとめると、三元触媒が新しいうちは、前O2センサと後O2センサの出力の反転回数比HZRATEが、SL1以下の領域Aで学習が行われ、このそれまでの学習値PHOSAにΔPHOSAが加算されて、学習値が更新されると、同時に、領域BとCの学習値にもΔPHOSAが加算されていく(図6の点a〜b)。

0070

その後、反転回数比HZRATEが、SL1とSL2の間になると、学習領域が領域Bに移行し、領域Aの学習値はその時点の学習値(図6の点bの値)が保持され、その代わりに領域Bの学習値PHOSAが読み出される。なお、この移行直後は、領域AとBのPHOSAは同値である。

0071

領域Bでの学習が開始されると、領域Bの学習値PHOSAにΔPHOSAが加算され、同時に領域Cの学習値にもこのΔPHOSAが加算される(図6の点b〜c)。

0072

三元触媒が少しづつ劣化し、反転回数比HZRATEが大きくなり、SL2よりも大きくなると、学習領域が領域Cに移行する。このとき、領域Bの学習値PHOSAはその時点での学習値(図6の点cの値)が保持される。

0073

そして、領域Cでの学習制御のために、領域Cの学習値が読み出されるが、移行直後の学習値は、領域BのPHOSAと同値である。この領域Cにおいて学習が進めば、これに応じて学習値PHOSAが更新されていくが(図6の点c〜d)、この領域Cでの学習結果は、領域AとBには反映されず、領域A、Bにはそれまでの学習値が保存、格納されている。

0074

このようにして、現在の領域の学習値が更新されると、その領域よりもHZRATEの大きい領域の学習値も同じだけ更新され、この結果、学習領域が移動したときにも、学習値PHOSAを連続的、継続的に更新することができ、領域移動時に学習値が大幅に変動することがなく、制御の混乱が回避される。

0075

また、図4にもあるように、エンジン負荷が大きい領域では、三元触媒が劣化していなくても、HZRATEからは、見かけ上、劣化したのと同じような状況となるが、この場合にHZRATEの小さい学習領域に飛ぶことがあっても、予め学習値が更新されているので、同じく学習制御の混乱が回避できる。

0076

そして学習領域がHZRATEの大きい領域から小さい領域へ移動するときは、そのときの学習値PHOSAは、移った側の領域の学習値が選択され、つまり、例えば領域Cから領域Aに移動したときは、領域Aに記憶保存されている学習値が選択されることになる。

0077

これにより、三元触媒が劣化して新しいものと交換されても、前O2センサと後O2センサの反転回数比HZRATEから学習領域が選び出されるので、交換直後には、領域Aに保存した学習値PHOSAが読み出され、これに基づいてフィードバック制御定数が補正され、交換直後から三元触媒の特性に合致した適正なフィードバック制御が行えるのである。

0078

つまり、新しい三元触媒に交換されると、触媒の酸素ストレージ能力がアップして、後O2センサの応答周期が著しく長引くため、交換直前の短い応答周期に基づいて算出された学習値PHOSAでは、必要以上に空燃比がリッチまたはリーンにオーバシュートすることになるが、新しい触媒の酸素ストレージ能力に対応した長い応答周期に対応した学習値PHOSAに切換えられることにより、このような空燃比の変動を回避できるのである。

0079

また、このように、学習領域Cから領域Aに戻ったときは、領域Bと領域Cの学習値は、それぞれ領域Aの学習値と一致するように更新されるので、交換後に領域Aでの学習が行われているときは、領域BとCの学習値も領域Aでの学習値と同じ状態から更新されていくので、次に領域Aから領域Bへと移動するときにも、学習値が大幅に変動することなく、そのまま継続的な学習値を利用でき、フィードバック制御に混乱を来すこともない。

0080

つまり、三元触媒の交換により学習領域が領域Aに戻ったときに、もしも領域B、領域Cの学習値を元のままに保存しておくと、領域Aでの学習が進む間に、領域BとCの学習値にその値が加算されるので、領域Aから領域B(あるいは領域Bから領域C)に移るときに、大きな偏差が生じてしまい空燃比フィードバック制御が適正に行われなくなるが、領域Aに戻ったときに、領域B、Cの学習値をキャンセルすることにより、このような問題を生じることもない。

発明の効果

0081

第1の発明によれば、三元触媒の履歴に相当する、上流と下流の酸素センサ出力の反転回数比に応じて、学習値を格納保存しているので、劣化した三元触媒を新しいものと交換したときに、その交換直後から、新しい触媒に対応した学習値を選び出し、空燃比フィードバック制御定数を補正するので、直ちに最適な空燃比フィードバック制御が行えることになり、空燃比の変動による排気組成の悪化を未然に防止することができる。

0082

第2の発明によれば、反転回数比の小さい学習領域での学習値、すなわち、履歴の浅い三元触媒での学習値が更新されると、そのまま反転回数比の大きい領域の学習値も同一値だけ更新されるので、時間の経過に伴って学習領域が反転回数比の大きい領域へと移動したときに、それまでの学習値との間に大幅な偏差がなく、移動直後から精度のよい空燃比のフィードバック制御を行える。

0083

第3の発明では、反転回数比が大きい学習領域から小さい学習領域に移動したとき、すなわち、履歴の古い劣化が進んだ三元触媒から新しい三元触媒に切換わったときは、保存されている履歴の浅いときの学習値を利用して、フィードバック制御が行われると共に、このとき残存している履歴の古い学習値は、履歴の浅い学習値に切換られるので、そのまま、新しい三元触媒のもとで学習を続けていけば、反転回数比の大きい領域についても、新規な状態から学習値を蓄積していくことができ、このため学習領域が移行したときにも、学習値の変動がなく、円滑なフィードバック制御が継続される。

図面の簡単な説明

0084

図1本発明の実施の形態を示す概略構成図である。
図2空燃比のフィードバック制御動作を示すフローチャートである。
図3三元触媒の履歴と上流、下流の酸素センサ出力の反転回数比との関係を示す説明図である。
図4三元触媒が新しいものと劣化の進んだものとについて、エンジンの負荷(燃料供給量)と上流、下流の酸素センサ出力の反転回数比との関係を示す説明図である。
図5エンジン負荷と回転数に応じて設定した学習領域を、上流、下流の酸素センサ出力の反転回数比に基づいて分割したモデル図である。
図6各学習領域での学習値の推移を示す説明図である。
図7学習値の演算動作を示すフローチャートである。
図8学習値の更新動作を示すフローチャートである。
図9学習領域の判定動作を示すフローチャートである。
図10下流側酸素センサの出力特性と学習値の関係を示す説明図である。
図11上流側酸素センサと下流側酸素センサの出力特性を示す説明図である。
図12本発明の構成図である。

--

0085

51エンジン運転条件検出手段
53三元触媒
54酸素センサ
55 酸素センサ
57空燃比フィードバック制御定数演算手段
59フィードバック制御定数の補正値の学習・更新手段
60上流、下流側酸素センサ出力の反転回数比算出手段
61学習値の格納手段
62 学習値の読出手段
63燃料供給量の補正手段

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