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技術 半導体レーザ素子

出願人 三井化学株式会社
発明者 大枝靖雄藤本毅渋谷博内藤由美
出願日 1996年7月11日 (24年5ヶ月経過) 出願番号 1996-182491
公開日 1997年3月28日 (23年8ヶ月経過) 公開番号 1997-083070
状態 特許登録済
技術分野 ナノ構造物 半導体レーザ 半導体レーザ
主要キーワード 実効厚み マルチモ 連続発振状態 熱飽和 最隣接 レーザ医療 特性温度 型導波層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

特性温度および連続発振状態最大出力を大幅に向上できる半導体レーザ素子を提供する。

解決手段

n型GaAsから成る基板上に、n型クラッド層(Al組成X=0.48)11、n型導波層(X=0.31)12、n型キャリアブロック層13(X=0.5)、活性層20、p型キャリアブロック層(X=0.5)17、p型導波層(X=0.31)18、およびp型クラッド層(X=0.48)19を順次形成している。また、活性層20はバリア層(X=0.37)16と、2本の量子井戸層15と、量子井戸層15の外側で各キャリアブロック層13、17に最隣接するサイドバリア層14(X=0.37)とで構成される。サイドバリア層14のエネルギーギャップEG1、キャリアブロック層13、17のエネルギーギャップEG2、導波層12、18のエネルギーギャップEG3は、EG2≧EG1>EG3が成立する。

概要

背景

従来から、半導体レーザ高出力化が望まれているが、高出力化を妨げる要因の一つとして瞬時光学損傷COD)があり、これは半導体レーザの端面が自らのレーザビームによって溶融する現象である。こうしたCODが発生しないように高出力化を図った半導体レーザとして、完全分離閉じ込めヘテロ構造(PSCH)が本出願人によって提案されている(特願平5−505542号)。

図8(a)はAlGaAs系を用いたPSCH構造の半導体レーザ素子の一例を示す構成図であり、図8(b)は活性層近傍の拡大図である。図8の縦軸膜厚を示し、横軸アルミニウム(Al)組成を示し、Al組成が大きいほどエネルギーギャップも大きくなる。

半導体レーザ素子は、バリア層46、バリア層46を挟む量子井戸層45、および量子井戸層45を挟むサイドバリア層44から成る活性層50と、活性層50の両側に設けられたn型キャリアブロック層43およびp型キャリアブロック層47と、n型キャリアブロック層43およびp型キャリアブロック層47の外側にそれぞれ設けられたn型導波層42およびp型導波層48と、n型導波層42およびp型導波層48の外側にそれぞれ設けられたn型クラッド層41およびp型クラッド層49とで構成されている。

PSCH構造では、導波層42、48とクラッド層41、49の特性で決定されるレーザ光導波モードを乱さない程度に、活性層50近傍を両側から挟むように2つのキャリアブロック層43、47を形成している。キャリアブロック層43、47は活性層50内の電子正孔閉じ込め発振効率を向上させる機能を有し、しかも導波モードを理想的なガウス型に改善できるため、半導体レーザ端面でのレーザビームのピーク強度を低減化でき、端面溶融が起こる出力レベル、すなわちCODレベルを大幅に向上させることができる。

概要

特性温度および連続発振状態最大出力を大幅に向上できる半導体レーザ素子を提供する。

n型GaAsから成る基板上に、n型クラッド層(Al組成X=0.48)11、n型導波層(X=0.31)12、n型キャリアブロック層13(X=0.5)、活性層20、p型キャリアブロック層(X=0.5)17、p型導波層(X=0.31)18、およびp型クラッド層(X=0.48)19を順次形成している。また、活性層20はバリア層(X=0.37)16と、2本の量子井戸層15と、量子井戸層15の外側で各キャリアブロック層13、17に最隣接するサイドバリア層14(X=0.37)とで構成される。サイドバリア層14のエネルギーギャップEG1、キャリアブロック層13、17のエネルギーギャップEG2、導波層12、18のエネルギーギャップEG3は、EG2≧EG1>EG3が成立する。

目的

本発明の目的は、発振効率を維持しつつ特性温度を向上させ、たとえば連続発振状態での最大出力を決定している熱飽和出力を向上させた半導体レーザ素子を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

量子井戸層バリア層およびサイドバリア層から成る活性層と、前記活性層の両側に設けられ、前記バリア層よりもエネルギーギャップが大きく屈折率が小さいキャリアブロック層と、前記キャリアブロック層に対して活性層と反対側に設けられ、キャリアブロック層よりもエネルギーギャップが小さく屈折率が大きい導波層と、前記導波層に対して活性層と反対側に設けられ、導波層よりもエネルギーギャップが大きく屈折率が小さいクラッド層とを備えた半導体レーザにおいて、前記キャリアブロック層に最隣接する前記量子井戸層との間のサイドバリア層のエネルギーギャップEG1、前記キャリアブロック層のエネルギーギャップEG2、および前記導波層のエネルギーギャップEG3が、EG2≧EG1>EG3の関係式を満たすことを特徴とする半導体レーザ素子

請求項2

活性層、キャリアブロック層、導波層およびクラッド層は、III−V属化合物半導体で形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。

請求項3

活性層、キャリアブロック層、導波層およびクラッド層は、AlXGa1-XAs(0≦X<1)で形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ素子。

請求項4

量子井戸層は、InYGa1-YAs(0<Y<1)で形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ素子。

請求項5

導波層は、AlZGa1-ZAs(0≦Z≦0.20)で形成されていることを特徴とする請求項4記載の半導体レーザ素子。

請求項6

πを円周率とし、λを発振波長とし、導波層の最大屈折率をN1とし、クラッド層の屈折率をN2とし、クラッド層間の実効厚みをd1とし、規格化周波数VをV=(π・d1/λ)・(N12 −N22 )0.5と定義したとき、V>π/3となることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の半導体レーザ素子。

技術分野

0001

本発明は、光通信光情報処理レーザ加工レーザ医療などに好適に用いられる半導体レーザ素子に関する。

背景技術

0002

従来から、半導体レーザ高出力化が望まれているが、高出力化を妨げる要因の一つとして瞬時光学損傷COD)があり、これは半導体レーザの端面が自らのレーザビームによって溶融する現象である。こうしたCODが発生しないように高出力化を図った半導体レーザとして、完全分離閉じ込めヘテロ構造(PSCH)が本出願人によって提案されている(特願平5−505542号)。

0003

図8(a)はAlGaAs系を用いたPSCH構造の半導体レーザ素子の一例を示す構成図であり、図8(b)は活性層近傍の拡大図である。図8縦軸膜厚を示し、横軸アルミニウム(Al)組成を示し、Al組成が大きいほどエネルギーギャップも大きくなる。

0004

半導体レーザ素子は、バリア層46、バリア層46を挟む量子井戸層45、および量子井戸層45を挟むサイドバリア層44から成る活性層50と、活性層50の両側に設けられたn型キャリアブロック層43およびp型キャリアブロック層47と、n型キャリアブロック層43およびp型キャリアブロック層47の外側にそれぞれ設けられたn型導波層42およびp型導波層48と、n型導波層42およびp型導波層48の外側にそれぞれ設けられたn型クラッド層41およびp型クラッド層49とで構成されている。

0005

PSCH構造では、導波層42、48とクラッド層41、49の特性で決定されるレーザ光導波モードを乱さない程度に、活性層50近傍を両側から挟むように2つのキャリアブロック層43、47を形成している。キャリアブロック層43、47は活性層50内の電子正孔閉じ込め発振効率を向上させる機能を有し、しかも導波モードを理想的なガウス型に改善できるため、半導体レーザ端面でのレーザビームのピーク強度を低減化でき、端面溶融が起こる出力レベル、すなわちCODレベルを大幅に向上させることができる。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、従来のPSCH構造を持つ半導体レーザ素子では、CODレベルが向上して得られる出力が増大すると、熱的な負荷が厳しくなる連続発振状態においては、最大出力熱飽和現象によって制限を受けてしまう。この熱飽和現象はPSCH構造をもつ半導体レーザ素子特有の現象ではなく、半導体レーザ素子一般におこり得る現象である。すなわち半導体レーザ素子を連続発振させると活性層の温度が上昇する。特に高出力にするため注入電流を増大させていくにしたがい、温度上昇が大きくなり出力が飽和して最大出力が制限される現象である。

0007

半導体レーザの熱飽和出力を高める手法として、1)共振器長を長くする。2)量子井戸数を増やす。などが一般に考えられる。共振器長尺化および多重量子井戸化によってレーザ発振時の量子井戸1本当りキャリア密度を低減化できるため、しきい電流温度依存性を規定する特性温度が向上する。また共振器を長くすると各層の面積が大きくなるため、素子熱抵抗が小さくなる。こうした手法によって熱飽和出力を高くすることができるが、何れも発振効率の低下を招いてしまう。

0008

本発明の目的は、発振効率を維持しつつ特性温度を向上させ、たとえば連続発振状態での最大出力を決定している熱飽和出力を向上させた半導体レーザ素子を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、量子井戸層、バリア層およびサイドバリア層から成る活性層と、前記活性層の両側に設けられ、前記バリア層よりもエネルギーギャップが大きく屈折率が小さいキャリアブロック層と、前記キャリアブロック層に対して活性層と反対側に設けられ、キャリアブロック層よりもエネルギーギャップが小さく屈折率が大きい導波層と、前記導波層に対して活性層と反対側に設けられ、導波層よりもエネルギーギャップが大きく屈折率が小さいクラッド層とを備えた半導体レーザにおいて、前記キャリアブロック層に最隣接する前記量子井戸層との間のサイドバリア層のエネルギーギャップEG1、前記キャリアブロック層のエネルギーギャップEG2、および前記導波層のエネルギーギャップEG3が、
EG2≧EG1>EG3
関係式を満たすことを特徴とする半導体レーザ素子である。
本発明に従えば、活性層内のサイドバリア層のエネルギーギャップEG1を導波層のエネルギーギャップEG3よりも大きくし、かつキャリアブロック層のエネルギーギャップEG2以下に形成することによって、素子の温度が上昇したとき量子井戸層内のキャリアが熱励起によってサイドバリア層に蒸発する割合を減らすことができる。その結果、半導体レーザの特性温度が向上し、連続発振状態での熱飽和出力を上昇させることができる。その際、共振器長や量子井戸数を変えることなく実現できるため、発振効率の低下をもたらさない。さらに、クラッド層および導波層のエネルギーギャップを大きくする必要がないため、素子の熱抵抗や電気抵抗の上昇もなく、素子内の発熱量の増加もない。したがって、高い発振効率で高出力の半導体レーザ素子を得ることができる。

0010

また本発明は、活性層、キャリアブロック層、導波層およびクラッド層は、III−V属化合物半導体で形成されていることを特徴とする。
また本発明は、活性層、キャリアブロック層、導波層およびクラッド層は、AlXGa1-XAs(0≦X<1)で形成されていることを特徴とする。
本発明に従えば、活性層、キャリアブロック層、導波層およびクラッド層は、III−V属化合物半導体、好ましくはAlXGa1-XAs(0≦X<1)で形成されていることによって、組成の変化によるエネルギーギャップの制御が容易で、しかも高い信頼性の半導体レーザ素子を実現することができる。

0011

また本発明は、量子井戸層は、InYGa1-YAs(0<Y<1)で形成されていることを特徴とする。
本発明に従えば、量子井戸層がInYGa1-YAs(0<Y<1)で形成されていることによって、サイドバリア層、キャリアブロック層および導波層の各エネルギーギャップの関係式EG2≧EG1>EG3とした場合の上述した効果が充分に得られる。
また、AlGaAs系と比べて量子井戸層のエネルギーギャップをより小さく設定できるため、量子井戸層でのキャリア存在確率が増加するとともに、量子井戸層からサイドバリア層へのキャリア蒸発を有効に抑制できる。

0012

また本発明は、導波層は、AlZGa1-ZAs(0≦Z≦0.20)で形成されていることを特徴とする。
本発明に従えば、量子井戸層をInGaAs系で形成する場合、導波層のAl組成を0.2以下と比較的小さく形成することが可能になり、これによって導波層の熱抵抗および電気抵抗を低減でき、素子全体の熱抵抗および電気抵抗の低減化に寄与する。

0013

また本発明は、πを円周率とし、λを発振波長とし、導波層の最大屈折率をN1とし、クラッド層の屈折率をN2とし、クラッド層間の実効厚みをd1とし、規格化周波数Vを
V=(π・d1/λ)・(N12 −N22 )0.5
と定義したとき、
V>π/3
となることを特徴とする。
ここで、導波層の屈折率が一定の場合は最大屈折率N1はその一定値をとるが、導波層の中で屈折率が分布を持つ場合はその最大値を意味する。また実効厚みd1は、前記両クラッド層間の任意の位置(α)における屈折率をNw(α)とし、n型クラッド層の活性層に近い界面の位置をα1、およびp型クラッド層の活性層に近い界面の位置をα2とすると、次式で求められる。

0014

0015

本発明に従えば、上下のクラッド層に挟まれる活性層、キャリアブロック層、導波層から成る光導波路の規格化周波数Vをπ/3より大きく設定することによって、導波モードを理想的なガウス型に近付けることが可能となる。また、活性層領域での導波モードのピーク強度が減少して、半導体レーザ素子の出射端面での光学損傷ベルをより高くすることが可能になる。また横モードマルチモード化しないためには、規格化周波数Vは2π以下であることが望ましい。

0016

(第1実施形態)図1(a)は本発明の第1実施形態を示す構成図であり、図1(b)は活性層近傍の拡大図である。図1の縦軸は膜厚を示し、横軸はアルミニウム(Al)組成を示し、Al組成が大きいほどエネルギーギャップも大きくなる。

0017

この半導体レーザ素子は、MOCVD有機金属化学気相成長)やMBE(分子ビーム成長)等の薄膜製造方法を用いて、III−V属化合物半導体であるAlXGa1-XAsのAl組成Xや膜厚を制御しながら製造することができる。

0018

図1(a)において、n型GaAsから成る基板(不図示)の上に、n型クラッド層(X=0.48)11、n型導波層(X=0.31)12、n型キャリアブロック層13(X=0.5)、活性層20、p型キャリアブロック層(X=0.5)17、p型導波層(X=0.31)18、およびp型クラッド層(X=0.48)19を順次形成している。

0019

また図1(b)に示すように、活性層20は2重量子井戸構造を有し、バリア層(X=0.37)16と、バリア層16を挟むGaAsから成る2本の量子井戸層15と、量子井戸層15の外側で各キャリアブロック層13、17に最隣接するサイドバリア層14(X=0.37)とで構成される。

0020

ここで、n型ドーパントとしてSe(セレン)、p型ドーパントとしてC(炭素)をそれぞれ使用している。ドーピング量に関しては、n型およびp型ともにクラッド層11、19および導波層12、18で約3×1017cm-3、キャリアブロック層13、17で約1×1018cm-3である。また、活性層20内のバリア層16、量子井戸層15、サイドバリア層14は何れもノンドープである。

0021

こうした構成において、サイドバリア層14のエネルギーギャップEG1、キャリアブロック層13、17のエネルギーギャップEG2、導波層12、18のエネルギーギャップEG3は、EG2≧EG1>EG3という関係式を満たしている。すなわち、活性層20内のサイドバリア層14のエネルギーギャップEG1を従来よりも大きく、すなわちキャリアブロック層13、17のエネルギーギャップEG2を上限として導波層12、18のエネルギーギャップEG3よりも大きくなるように形成している。

0022

これによって量子井戸層15が相対的に深くなり、素子温度が上昇したとき量子井戸層15内のキャリアが熱励起によって外側のサイドバリア層14に蒸発する割合を減らすことができる。その結果、半導体レーザの特性温度が向上し、連続発振状態での熱飽和出力を上昇させることができる。

0023

図2は、半導体レーザの電流光出力特性を示すグラフである。図8の従来例および図1の第1実施形態ともに、ストライプ幅は50μm、共振器長は900μm、各端面には反射率4%と96%のコーティングを形成している。図2に示すように、従来のものは電流1.6Aあたりから次第に飽和が始まって、電流3Aで完全に飽和状態になり、最大レーザ出力は約2.2Wである。一方、実施例のものは電流2.4Aあたりまで直線性が保たれ、最大レーザ出力は約2.6Wを達成している。

0024

図3は、各種共振器長に対する特性温度の変化を示すグラフである。なお、従来例および第1実施形態ともに、ストライプ幅は50μm、共振器長は300μm、500μm、700μm、900μmで、何れも端面コーティング無しで測定している。図3に示すように、何れも共振器長が長くなるほど特性温度が高くなる傾向があるが、同一共振器長で比較すると実施例の方が30〜40K程度改善されていることが判る。

0025

このように活性層20内のサイドバリア層14のエネルギーギャップEG1を導波層のエネルギーギャップEG3よりも大きく形成することによって、半導体レーザの特性温度が向上し、連続発振状態での熱飽和出力を上昇させることができる。その際、共振器長や量子井戸数を変えることなく実現できるため、発振効率の低下をもたらさない。さらに、クラッド層および導波層のエネルギーギャップを大きくする必要がないため、素子の熱抵抗や電気抵抗の上昇もなく、素子内の発熱量の増加もない。

0026

(第2実施形態)図4は本発明の第2実施形態を示す構成図であり、図5はその比較例である。縦軸は膜厚を示し、横軸の正軸でアルミニウム(Al)組成を示し、横軸の負軸でインジウム(In)組成を示し、Al組成が大きいほどエネルギーギャップも大きくなり、逆にIn組成が大きいほどエネルギーギャップは小さくなる。

0027

この半導体レーザ素子は、MOCVD(有機金属化学気相成長)やMBE(分子ビーム成長)等の薄膜製造方法を用いて、III−V属化合物半導体であるAlXGa1-XAsのAl組成X、InYGa1-YAsのIn組成Yや膜厚を制御しながら製造することができる。

0028

図4において、n型GaAsから成る基板(不図示)の上に、n型クラッド層(X=0.16)11、n型導波層(X=0)12、n型キャリアブロック層13(X=0.4)、活性層20、p型キャリアブロック層(X=0.4)17、p型導波層(X=0)18、およびp型クラッド層(X=0.16)19を順次形成している。

0029

また、図1(b)と同様に、活性層20は2重量子井戸構造を有し、バリア層(X=0)と、バリア層を挟むIn0.18Ga0.82As(Y=0.18)から成る2本の量子井戸層と、量子井戸層の外側で各キャリアブロック層13、17に最隣接するサイドバリア層(X=0.1)とで構成される。

0030

ここで、n型ドーパントとしてSe(セレン)、p型ドーパントとしてC(炭素)をそれぞれ使用している。ドーピング量に関しては、n型およびp型ともにクラッド層11、19および導波層12、18で約3×1017cm-3、キャリアブロック層13、17で約1×1018cm-3である。また、活性層20内のバリア層、量子井戸層、サイドバリア層は何れもノンドープである。

0031

こうした構成において、サイドバリア層のエネルギーギャップEG1、キャリアブロック層13、17のエネルギーギャップEG2、導波層12、18のエネルギーギャップEG3は、EG2≧EG1>EG3という関係式を満たしている。すなわち、活性層20内のサイドバリア層のエネルギーギャップEG1を従来よりも大きく、すなわちキャリアブロック層13、17のエネルギーギャップEG2を上限として導波層12、18のエネルギーギャップEG3よりも大きくなるように形成している。

0032

これによって量子井戸層が相対的に深くなり、素子温度が上昇したとき量子井戸層内のキャリアが熱励起によって外側のサイドバリア層に蒸発する割合を減らすことができる。その結果、半導体レーザの特性温度が向上し、連続発振状態での熱飽和出力を上昇させることができる。

0033

一方、図5に示す比較例において、活性層20は2重量子井戸構造を有し、バリア層およびサイドバリア層のAl組成をX=0で形成してn型導波層12およびp型導波層18のエネルギーギャップに一致させており、その他の層に関しては図4同一組成である。

0034

図6は、半導体レーザの電流−光出力特性を示すグラフである。図4の第2実施形態および図5の比較例ともに、ストライプ幅は50μm、共振器長は1500μm、前側端面には反射率4%、後側端面には反射率96%のコーティングを形成している。

0035

図6に示すように、第2実施形態および比較例ともに注入電流10Aであっても完全な熱飽和が現れず、何れも良好な特性を示している。しかし、全体の傾向として、注入電流を徐々に増加する場合、第2実施形態の出力の増加割合が比較例のものと比べて大きいことが判る。これは比較例の方が熱飽和に早く到達してしまうということを意味し、逆に第2実施形態の熱飽和レベルがより高いことを意味する。

0036

図7は、各種共振器長に対する特性温度の変化を示すグラフである。なお、第2実施形態および比較例ともに、ストライプ幅は50μmで何れも端面コーティング無しで測定している。図7に示すように、何れも共振器長が長くなるほど特性温度が高くなる傾向があるが、同一共振器長で比較すると第2実施形態の方が40〜80K程度改善されていることが判る。

0037

このように活性層20内のサイドバリア層14のエネルギーギャップEG1を導波層のエネルギーギャップEG3より大きく形成することによって、半導体レーザの特性温度が向上し、熱飽和出力を上昇させることができる。その際、共振器長や量子井戸数を変えることなく実現できるため、発振効率の低下をもたらさない。さらに、クラッド層および導波層のエネルギーギャップを大きくする必要がないため、素子の熱抵抗や電気抵抗の上昇もなく、素子内の発熱量の増加もない。

0038

以上説明した各実施形態において、量子井戸層15によって挟まれたバリア層16のエネルギーギャップは、サイドバリア層14のエネルギーギャップEG1以下に形成した場合でも、本発明と同様な効果が得られる。

0039

また、各実施形態では活性層に対して対称となる構造を示したが、非対称となる構造でも構わない。

0040

また、各実施形態ではクラッド層、導波層、キャリアブロック層、サイドバリア層が均一層である例を示したが、層厚方向にAl組成が変化したグレーデッド層であっても構わない。

0041

また、各実施形態では量子井戸数が2本である例を示したが、3本以上でも本発明と同様な効果が得られる。

0042

なお、本発明はAlGaInP系やGaInAsP系などの4元系にも同様に適用できる。

発明の効果

0043

以上詳説したように本発明によれば、素子の温度が上昇したとき量子井戸層内のキャリアが熱励起によってサイドバリア層に蒸発する割合を減らすことができる。そのため、特性温度が向上し、連続発振状態での熱飽和出力を上昇させることができる。したがって、高い発振効率で高出力の半導体レーザ素子を得ることができる。

図面の簡単な説明

0044

図1図1(a)は本発明の第1実施形態を示す構成図であり、図1(b)は活性層近傍の拡大図である。
図2半導体レーザの電流−光出力特性を示すグラフである。
図3各種共振器長に対する特性温度の変化を示すグラフである。
図4本発明の第2実施形態を示す構成図である。
図5図4に対する比較例を示す構成図である。
図6半導体レーザの電流−光出力特性を示すグラフである。
図7各種共振器長に対する特性温度の変化を示すグラフである。
図8図8(a)はAlGaAs系を用いたPSCH構造の半導体レーザ素子の一例を示す構成図であり、図8(b)は活性層近傍の拡大図である。

--

0045

11 n型クラッド層
12 n型導波層
13 n型キャリアブロック層
14サイドバリア層
15量子井戸層
16バリア層
17 p型キャリアブロック層
18 p型導波層
19 p型クラッド層
20 活性層

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