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技術 ソフトな高密度防水織物の製造方法

出願人 ユニチカ株式会社
発明者 赤崎久仁夫高橋妻木
出願日 1995年8月30日 (25年2ヶ月経過) 出願番号 1995-221509
公開日 1997年3月11日 (23年8ヶ月経過) 公開番号 1997-067737
状態 未査定
技術分野 合成繊維 糸;糸またはロープの機械的な仕上げ 織物
主要キーワード 防水性向上 ミクロポーラス構造 最大熱応力 透湿性素材 プレテンション 初期ヤング率 部分延伸 応答領域
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1997年3月11日)のものです。
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図面 (3)

課題

防水性を向上するために高密度化しても織物が粗硬にならず、しかも、天然繊維様の外観風合を有するソフトな高密度防水織物の製造方法を提供する。

解決手段

主たる繰り返し単位エチレンテレフタレートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条であって、荷重伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率標準偏差が2.0以上である糸条Aと、熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4g/d以上のマルチフィラメント糸条Bとを混繊した複合混繊糸使い製織し、通常の仕上げ加工を行い経緯のカバーファクターの和が2500以上とする。

概要

背景

従来、特にスポーツ用の雨衣用素材としては、布帛上にポリウレタンミクロポーラス構造被膜を形成して、水蒸気は通すが雨の水滴は通さない高性能防水透湿性素材が使われている。

しかし、ミクロポーラス構造では通気性が乏しいという欠点がある。この点を解決する方法として、コーティングラミネートによらずに、織物自体で防水・透湿性能を有する高収縮糸を使用したノンコーティングの高密度織物が知られている。

しかし、高収縮糸を使用して織物を高密度化し、防水性を向上させる方法は、織物が粗硬になり商品価値がなくなる欠点があり、高密度化による防水性向上には限界がある。したがって、従来方法で製造したノンコーティングの防水・透湿性を有する高密度織物は、通気性に優れていても防水性に劣り満足な物が得られていないのが現状である。

例えば、特公昭63−36381号公報に、1.2デニール以下のマルチフィラメントを含む布帛の表面に緻密な長さが数μ〜数百μの微細繊維ループを有し、経緯のカバーファクターの合計が1400〜3400の範囲である高密度撥水布帛が開示されている。すなわち、布帛の表面の緻密な微細繊維ループによって撥水効果を得るものであるが、より防水性を上げるためには布帛を高密度にする必要がある。しかし、この方法では高密度にすると布帛表面ペーパーライクになり、風合いが粗硬になる欠点がある。また、微細繊維ループの発生も不良となり高性能防水が得られ難く不満足である。

特公平3−1417号公報には、高収縮ポリエステルAと単糸デニールが1.5デニール以下のポリエステル捲縮糸Bとを混繊した糸を使用して、撥水性を有する通気性防水布が開示されている。

この方法は、高収縮ポリエステルAの収縮を利用して高密度化を図り、単糸デニールが1.5デニール以下のポリエステル捲縮糸Bの効果で布帛のソフト化を狙ったものであるが、高収縮ポリエステルAの収縮率が10〜20%と少ないために高密度の布帛をが得るのが難しく、また、高収縮ポリエステルAの収縮率を大きくすると、ポリエステル捲縮糸Bの捲縮効果が減少して布帛の風合いが粗硬になる欠点が有り満足な物が得られない。さらに、混繊糸の一方に使用する捲縮糸の捲縮加工も必要となり工程の煩雑さとコストアップは否めない。

特公平4−2696号公報には糸長差を有する2種以上のポリアミド繊維からなり、部に単糸繊度が1.5デニール以下の糸を使用した芯鞘タイプ二層構造縮加工糸を用いて、経緯のカバーファクターの和が1800〜3200の範囲にあるソフトな撥水性高密度織物が開示されている。

しかし、この方法では捲縮繊維による微細凹凸で撥水性は得られても、捲縮繊維による捲縮のふくらみで織物に空間が生じて高密度化が難しく、防水性に劣る欠点がある。無理に高密度化を図ると糸のバルキー性嵩高性が低下して、織物が硬くなり柔軟性に欠ける点で不満足である。さらに、二層構造捲縮加工糸を製造する工程も必要で煩雑さとコスト面からも不満である。

概要

防水性を向上するために高密度化しても織物が粗硬にならず、しかも、天然繊維様の外観と風合を有するソフトな高密度防水織物の製造方法を提供する。

主たる繰り返し単位エチレンテレフタレートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条であって、荷重伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率標準偏差が2.0以上である糸条Aと、熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4g/d以上のマルチフィラメント糸条Bとを混繊した複合混繊糸使い製織し、通常の仕上げ加工を行い経緯のカバーファクターの和が2500以上とする。

目的

本発明は、上記の問題を解決するもので、防水性を向上するために高密度化しても織物が粗硬にならず、しかも、天然繊維様の外観と風合を有するソフトな高密度防水織物の製造方法を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

主たる繰り返し単位エチレンテレフタレートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条であって、荷重伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率標準偏差が2.0以上である糸条Aと、熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4g/d以上のマルチフィラメント糸条Bとを混繊した複合混繊糸を使用して製織し、仕上加工を施して経緯のカバーファクターの和が2500以上の織物とすることを特徴とするソフトな高密度防水織物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、天然繊維様の外観風合を有するソフトな高密度防水織物の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、特にスポーツ用の雨衣用素材としては、布帛上にポリウレタンミクロポーラス構造被膜を形成して、水蒸気は通すが雨の水滴は通さない高性能防水透湿性素材が使われている。

0003

しかし、ミクロポーラス構造では通気性が乏しいという欠点がある。この点を解決する方法として、コーティングラミネートによらずに、織物自体で防水・透湿性能を有する高収縮糸を使用したノンコーティングの高密度織物が知られている。

0004

しかし、高収縮糸を使用して織物を高密度化し、防水性を向上させる方法は、織物が粗硬になり商品価値がなくなる欠点があり、高密度化による防水性向上には限界がある。したがって、従来方法で製造したノンコーティングの防水・透湿性を有する高密度織物は、通気性に優れていても防水性に劣り満足な物が得られていないのが現状である。

0005

例えば、特公昭63−36381号公報に、1.2デニール以下のマルチフィラメントを含む布帛の表面に緻密な長さが数μ〜数百μの微細繊維ループを有し、経緯のカバーファクターの合計が1400〜3400の範囲である高密度撥水布帛が開示されている。すなわち、布帛の表面の緻密な微細繊維ループによって撥水効果を得るものであるが、より防水性を上げるためには布帛を高密度にする必要がある。しかし、この方法では高密度にすると布帛表面ペーパーライクになり、風合いが粗硬になる欠点がある。また、微細繊維ループの発生も不良となり高性能防水が得られ難く不満足である。

0006

特公平3−1417号公報には、高収縮ポリエステルAと単糸デニールが1.5デニール以下のポリエステル捲縮糸Bとを混繊した糸を使用して、撥水性を有する通気性防水布が開示されている。

0007

この方法は、高収縮ポリエステルAの収縮を利用して高密度化を図り、単糸デニールが1.5デニール以下のポリエステル捲縮糸Bの効果で布帛のソフト化を狙ったものであるが、高収縮ポリエステルAの収縮率が10〜20%と少ないために高密度の布帛をが得るのが難しく、また、高収縮ポリエステルAの収縮率を大きくすると、ポリエステル捲縮糸Bの捲縮効果が減少して布帛の風合いが粗硬になる欠点が有り満足な物が得られない。さらに、混繊糸の一方に使用する捲縮糸の捲縮加工も必要となり工程の煩雑さとコストアップは否めない。

0008

特公平4−2696号公報には糸長差を有する2種以上のポリアミド繊維からなり、部に単糸繊度が1.5デニール以下の糸を使用した芯鞘タイプ二層構造縮加工糸を用いて、経緯のカバーファクターの和が1800〜3200の範囲にあるソフトな撥水性高密度織物が開示されている。

0009

しかし、この方法では捲縮繊維による微細凹凸で撥水性は得られても、捲縮繊維による捲縮のふくらみで織物に空間が生じて高密度化が難しく、防水性に劣る欠点がある。無理に高密度化を図ると糸のバルキー性嵩高性が低下して、織物が硬くなり柔軟性に欠ける点で不満足である。さらに、二層構造捲縮加工糸を製造する工程も必要で煩雑さとコスト面からも不満である。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、上記の問題を解決するもので、防水性を向上するために高密度化しても織物が粗硬にならず、しかも、天然繊維様の外観と風合を有するソフトな高密度防水織物の製造方法を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、上記の課題を解決するものであり、主たる繰り返し単位エチレンテレフタレートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条であって、荷重伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率標準偏差が2.0以上である糸条Aと熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4g/d以上のマルチフィラメント糸条Bとを混繊した複合混繊糸を使用して製織し、仕上加工を施して経緯のカバーファクターの和が2500以上の織物とすることを特徴とするソフトな高密度防水織物の製造方法を要旨とするものである。

発明を実施するための最良の形態

0012

以下、本発明について詳細に説明する。一般的に荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示す合成繊維よりなる糸条としては、例えば、未延伸糸部分延伸したシックアンドシンヤーンがある。定伸長領域が生じるのは、繊維内部に完全に延伸されていない未延伸領域があり、結晶部を結ぶ非晶鎖の配向が十分でなく結晶部に対する非晶鎖の応答領域を持たないからである。このような糸条は張力によって伸び易く、加工工程でヒケが生じたり、染斑の原因になるなど取扱いが難しく従来から敬遠されていた。

0013

しかし、本発明者等は定伸長領域を示す繊維構造を持つ糸条を高密度防水織物に使用した場合に、外観品位、風合い等に良好な影響を及ぼす重要な因子があり、このような糸条をうまく利用すれば、ランダム太細斑発現でき、従来法では得られない天然繊維様の外観とソフトな新規風合の高密度防水織物が得られることを見いだした。

0014

すなわち、本発明の高密度防水織物は、天然繊維のようなランダムな太細斑のある、ナチュラルな外観と新規なソフト風合いを兼ね備えるものであるが、本発明を満足するには複合混繊糸を構成する糸条Aは、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなる高配向未延伸糸を、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条であって、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、切断伸度70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率の標準偏差が2%以上のマルチフィラメント糸であることが必要である。

0015

本発明においては、ランダムな太細斑を発現させる未延伸領域は、染色などの後加工熱処理を受けた時に熱硬化が生じ難い繊維構造であること、未延伸領域以外の延伸領域も、熱処理による熱硬化が少なく柔らかい繊維構造の糸条であることが必要である。

0016

そのためには、高配向未延伸糸の構造一体性パラメーターが重要であり、構造一体性パラメーターは繊維の結晶化度配向度総合的に示す指標となる。構造一体性パラメーター(ε0.2 )は、糸条を沸水中で処理した場合の伸長率を表すものであり、以下の方法で測定するものである。

0017

試料長20cmの糸条を東洋紡エンジニアリング社製εメーターを用い、測定温度99℃、処理時間2分で処理し、0.2g/デニールの荷重をかけて測定する。

0018

構造一体性パラメーター=(M−L)×100/L
ただし、L:処理前の長さ,M:処理後の長さである。

0019

この構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15%未満であると、高配向度、高結晶化度の糸条となり、自然延伸倍率以下で延伸した場合に太細が発生し難い。さらに、繊維内部の構造が強固なものとなっているため、延伸後に15%以上の弛緩熱処理を施すことが出来なくなる。

0020

構造一体性パラメーター(ε0.2 )が45%を超えて大きくなると、低結晶化度、低配向度の糸条となり、延伸すると延伸部と未延伸部との差が大きくなり、得られた糸条に染色加工や熱処理を行うと染色斑が過大となったり、残された未延伸部が脆くなって、切断するので好ましくない。

0021

以上のごとく、本発明を達成するには、上記の主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の高配向未延伸糸を使用する必要がある。

0022

続いて上記の高配向未延伸糸を、その高配向未延伸糸のガラス転移温度以下の温度で、かつ、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、伸度70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上のマルチフィラメント糸条を得る。

0023

高配向未延伸糸の延伸と弛緩熱処理は、例えば図1に示す装置で行うことができる。図1において、高配向未延伸糸1は、供給ロール2によりボビンから引き出され、第1ロール3との間でプレテンション掛けられ、第1ロール3と第2ロール4との間で延伸され、第2ロール4と第3ロール5との間でオーバーフィードされると共にヒータ6で熱処理され、捲取部に供給されてリング撚糸方式で捲取ボビン7に捲取られる。

0024

高配向未延伸糸の延伸における延伸倍率は、供給するポリエステル高配向未延伸糸の自然倍率以下にする必要がある。自然延伸倍率を超えると均一な延伸糸となり、繊維の長さ方向の太細斑や収縮斑がなくなる。

0025

なお、自然延伸倍率は、定速伸長引張試験機を用い図2に示す荷重−伸長曲線を描いた時に実質的に発現する定伸長領域Aの伸度(%)を100で除して1を足した値を自然延伸倍率とするものである。定伸長領域とは市販の定速伸長形引張試験機を用い図2に示す荷重−伸長曲線を描いた時に実質的に発現する領域Aを定伸長領域とするものである。

0026

次に、延伸した糸条に施す弛緩熱処理は、高配向未延伸糸のガラス転移温度より10℃以上高い温度で行うのが好ましい。弛緩熱処理温度が前記温度より低いと、得られた糸条の熱収縮率が高くなりすぎて、染色加工などの熱処理を受けた時に縮み過ぎて、風合いの硬い高密度防水織物となってしまう可能性がある。

0027

また、弛緩熱処理時の弛緩率は15%以上にするのが好ましく、弛緩熱処理時の糸切れなどのトラブル発生を防止し操業性を考慮すれば、弛緩熱処理時の弛緩率は50%以下とするのが好ましい。弛緩率が15%未満であると、単糸間の収縮率のバラツキが小さく、後工程で熱処理をしても嵩高性を発現させることができなくなってしまう恐れがある。

0028

なお、弛緩熱処理後の荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示さない糸条は、ランダムな太細斑と収縮斑を発現させる未延伸領域が、高配向で高結晶化した繊維構造となりランダムな太細斑と収縮斑が発現しない。また、高配向で高結晶化した繊維構造になると糸条全体のヤング率が高くなり、風合が硬くなって本発明のようなソフトな高密度防水織物が得られない。

0029

弛緩熱処理後の切断伸度が70%未満の糸条になると未延伸領域および延伸領域の配向度が高くなり、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示さない糸条となり、太細斑と収縮斑が減少して本発明の目的とする外観のものが得られない。また、配向度が高くなると糸条全体のヤング率が大きくなり、糸条が硬くなってソフトな風合いが得られ難い。

0030

本発明の目的とするソフトな風合いの高密度防水織物を得るには、弛緩熱処理後の切断伸度は90〜120%のものがより好ましい。

0031

弛緩熱処理後の糸条の微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率は、荷重−伸長曲線における初期のヤング率を示すものであり、第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニールを越えると風合いが硬く成り満足なものは得られ難い。微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率は40〜60g/デニールであるのがより好ましい。

0032

微分ヤング率とは、定速伸長形引張試験機を用いて、試料長30cm、引張りスピード30cm/min で測定した、図2に示すがごとき荷重−伸長曲線の各点の応力を伸度で微分して得たもので、この微分ヤング率(g/デニール)を経軸に、引張り時の応力(g/デニール)を横軸にしてプロットしたものが図3に示すごとき微分ヤング率曲線であって、第一次変曲点Y1のヤング率は初期ヤング率を示すものである。

0033

熱水収縮率の標準偏差が2.0未満であると天然繊維のようなランダムな収縮斑が減少して、本発明の目的とするナチュラルな外観が得られない。熱水収縮率の標準偏差は2.0〜6.0がより好ましい。

0034

熱水収縮率の標準偏差は、東洋紡エンジニアリング社製εメーターを用い、測定温度99℃試料長10cm、処理時間30秒、処理時の荷重1/1000g/デニールで長さ方向に連続して50回測定し、その標準偏差を計算する。

0035

上記の糸条Aは、染色工程等で熱処理を受けると繊維の長さ方向に混在する未延伸部と延伸部の収縮差で細かなクリンプが発現するので嵩高性が得られ、しかも繊維自身が柔らかいのでソフトな風合いが得られるようになる。

0036

一方、本発明でいう糸条Bは、高密度の織物を得るために、熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4g/d以上のマルチフィラメント糸を、1種または2種以上混繊して使用することが必要であり、熱水収縮率が20%未満、最大熱応力値が0.4g/d未満のマルチフィラメント糸では収縮性能不足して高密度の織物を得ることができない。このような糸条Bとしては、共重合体連鎖中の85モル%以上の構造単位ポリエチレンテレフタレートであり、残りの15モル%未満の構造単位が他のポリエステル単位である共重合ポリエステルからなるフィラメント糸であるのが、熱水収縮率と最大熱応力の共に大きいものが得られて大きく好適である。

0037

本発明では、上記の糸条Aと糸条Bを混繊した複合混繊糸を織物の経緯糸に使用して製織する。糸条Aと糸条Bの混繊方式としては、引き揃え状態あるいは芯糸鞘糸に糸長差をつけた芯鞘構造にて空気処理交絡させる方法を用いることができる。その場合に、糸条Bを芯に糸条Aを鞘にした芯鞘構造としたものが好ましい。混繊した後に追撚や合撚をして使用してもよい。織物の組織は、特に限定するものではないが、平織綾織等のプレーンな組織が一般に用いられる。

0038

また、本発明では、製織された織物を糸条Bの高収縮性能を発揮させ、経緯のカバーファクターの和が2500以上となるように仕上加工する。こうして高性能の防水性を有する本発明の高密度防水織物を得る。経緯のカバーファクターの和が3000〜4200の範囲のものとするのがより好ましい。仕上加工は、通常の精錬、染色、仕上樹脂処理、仕上セット等の工程で行えばよいが、糸条Bの高収縮性能を充分に発揮させるために、特に経糸方向に大きな張力がかからない条件を選定するのが好ましい。

0039

本発明の高密度防水織物においては、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の高配向未延伸糸を、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条であって、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、切断伸度70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上のマルチフィラメント糸条Aによって、天然繊維のようなナチュラルな外観と新規なソフト風合いが付与され、熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4g/d以上のマルチフィラメント糸条Bを1種または2種以上組み合わせることによって、従来方法では得られなかった、良好な防水性能を任意に得られるものである。

0040

以下、本発明を実施例により具体的に説明する。実施例において、織物の性能評価は下記の方法によって行った。

0041

(1)織物のソフト感ナチュラル感
官能検査により、◎:非常に良好、○:良好、×:劣るの3段階で評価した。
(2)撥水度
JIS−L−1092(スプレー法)に準拠して測定。

0042

(3)耐水圧
JIS−L−1092(A法)に準拠して測定。

0043

(4)通気度
JIS−L−1096(A法)に準拠して測定。

0044

実施例1〜3、比較例1〜5
極限粘度0.70、ガラス転移温度71℃、融点256℃のポリエチレンテレフタレートを通常の紡糸装置を用い、紡糸温度295℃とし、紡糸速度吐出量を変更して紡糸して、5種の75デニール/96フィラメントの高配向未延伸糸を得た。このときの紡糸速度、吐出量、高配向未延伸糸の構造一体性パラメーター(ε0.2 )および自然延伸倍率を測定した結果を表1に併せて示す。

0045

0046

次に、この未延伸糸を用い図1に示した装置を用いて表2に示した条件で延伸及び弛緩熱処理を行ない、実施例用の3種の糸条Aと比較例用の5種の糸条Aを得た。得られた糸条の糸質物性を表2に示す。

0047

0048

実施例用の3種の糸条Aと比較例1〜4用の糸条Aについては、糸条Bとしてのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸30デニール/12フィラメント(熱水収縮率が28%、最大熱応力値が0.45g/d)と、比較例5用の糸条Aについては糸条Bとしての30デニール/12フィラメント(熱水収縮率が15%、最大熱応力値が0.3g/d)と下記の条件でそれぞれ空気交絡処理し、交絡数60個/mの複合混繊糸を得た。

0049

混繊条件は、糸速:800m/分、インターレーサーデュポン社製JD−1(直径1.2mm) 、空気圧: 2.0kg/cm2 、糸条Aのオーバーフィード率:0.3%、糸条Bのオーバーフィード率:0.6%とした。

0050

この複合混繊糸(105d/108f)に300回/mの追撚を行い、経緯糸に使用して平織物を製織し、次いで、この生機経密度153本/吋、緯密度80本/吋)を120℃×30分で高圧リラックスし、180℃×30秒でプレセットし、カセイソーダ減量率18%の減量処理を行った後、Foron Yellow SE-CTL2%owf 、Rubine SE-CTL 0.2%owf 、DarkBlue S-CTL 0.3%owfの3種の染料配合で液流染色機を用いて染色し、170℃×30秒の仕上げセットをした。その後アサガードLS−317 6%、スミテックスレジン0.3%、スミテックスアリセレタACX 0.3%の処方の通常のフッ素樹脂による撥水加工を行った。撥水加工上りの織物の経密度183本/吋、緯密度111本/吋で経緯のトータルカバーファクターは3012であった。

0051

得られた実施例1〜3及び比較例1〜5の織物の性能評価結果を表3に示した。

0052

0053

表3の織物の防水性能、ソフト感、ナチュラル感の評価結果から明かなごとく実施例1〜3の本発明織物においては、良好な防水性能、ソフト感と天然繊維様外観の織物が得られ、満足する結果を示している。これに対して、比較例1は、糸条Aとして構造一体性パラメーター(ε0.2 )が45%以上の高配向未延伸糸を、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施した糸条を用いた織物であり、未延伸部と延伸部の太細差が大きすぎナチュラル感に劣るものであり、比較例2は、糸条Aとして構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15%以下の高配向未延伸糸を、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施した糸条を使用した織物で、ソフト感、ナチュラル感共に不満足なものであった。また、比較例3は、糸条Aとして高延伸倍率で延伸した後弛緩熱処理をして定伸長領域がなくなった糸条を用いた織物で、熱収縮率のバラツキが減少して特にナチュラル感に劣るものであった。比較例4は、糸条Aとして自然延伸倍率より高い延伸倍率で延伸した後弛緩熱処理をして、切断伸度が低く、ヤング率が高く、収縮斑が減少した糸条を使用した織物で、ソフト感がなくなりナチュラル感も不満足なものであった。比較例5は、糸条Bとして熱水収縮率が20%以下、最大熱応力値が0.4g/d以下の糸を使用したもので、熱収縮熱応力が少なく染色時の入が悪く高密度の織物が得られず不満足であった。

発明の効果

0054

以上のように本発明の高密度防水織物は、従来から合成繊維を使用して製造した方法では具備し得なかった防水性能と天然繊維のようなランダムな太細斑のある、ナチュラルな外観と新規なソフト風合いの高密度防水織物で商品価値の優れたものである。

図面の簡単な説明

0055

図1本発明における高配向未延伸糸の延伸と弛緩熱処理を行う装置の例である。
図2定伸長領域を示す荷重−伸長曲線の具体例を模式的に示したものである。
図3微分ヤング率曲線の具体例を模式的に示したものである。

--

0056

1高配向未延伸糸
2供給ロール
3 第1ロール
4 第2ロール
5 第3ロール
6ヒータ
7 捲取ボビン

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