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技術 不織布を用いた画布

出願人 日本画材工業株式会社マルオカ工業株式会社カネボウ株式会社光陽プラスチック株式会社
発明者 正木丈船岡廣正湯川泰征増田雄五郎永田万亀男
出願日 1995年8月30日 (22年3ヶ月経過) 出願番号 1995-221293
公開日 1997年3月4日 (20年9ヶ月経過) 公開番号 1997-058200
状態 拒絶査定
技術分野 繊維材料の処理 繊維製品への有機化合物の付着処理 複合繊維 紡糸方法及び装置 不織物 他類に属さない塗装・絵画 繊維製品の化学的、物理的処理 装飾技術
主要キーワード 編目模様 織目模様 アルギン酸ソーダー 細目網 うすめ液 熱可塑性高分子繊維 テープテスト法 固着度

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課題

従来の麻布画布のもつ問題点を解決し、簡便かつ安価に製造でき、寸法安定性に優れるため、下地処理表面仕上処理を迅速に施すことができ、さらには木枠への展張に際しても従来ほどに多大の張力を要しない画布を提供する。

解決手段

熱可塑性高分子繊維からなる不織布に、麻布の織目模様である細目中目又は荒目をエンボス加工する。熱可塑性高分子繊維からなる不織布としては、ポリエステル繊維と、鞘成分芯成分より30℃以上低い融点を有するポリエステル芯鞘型複合繊維とを配合してなる不織布が好ましい。エンボス加工した不織布には、水分散顔料および水分散樹脂液からなる繊維処理液塗布又は浸漬することにより、色に着色ができ、同時に毛羽立ち防止と剛性付与が行える。表面仕上処理には、従来と同様な油絵用又は水彩画用の表面仕上剤を塗工する。

背景

従来から慣用されている麻布製の画布製造方法を以下に説明する。先ず、麻糸主体とし、必要に応じて綿やビニロン等を混糸混織して、画布の表面要求パターン即ち細目中目または荒目に編織して麻布を作成した後、麻布特有の水分による伸び乾燥時の収縮、さらにはこれらに起因するシワを制御するために伸子張りを行う。この伸子張り過程で、麻糸の節を除去したり、かけ継ぎ等を行って布目を調整する作業も行う。次いで、麻布の毛羽立ち抑制と糸ズレ防止のため、さらには次工程の表面仕上処理で用いる表面仕上剤の麻布による吸収を防止するために、麻布表面にニカワポリビニルアルコール澱粉ガゼイン等の下地処理用の水溶液を塗工して乾固膜を形成せしめる。

このようにして下地処理を施した麻布の描画面に、油絵用あるいは水彩画用やアクリル水彩画用の表面仕上剤を塗工して表面仕上処理を行う。油絵用画布の表面仕上剤としては、チタン白亜鉛華鉛白等の白色顔料、およびリトポンタルクアルミナ炭酸カルシウム硫酸カルシウム等の体質顔料を、亜麻仁油ケシ油テレピン油等の乾性油練合した白色塗料が使用される。また水彩画用およびアクリル水彩画用画布の表面仕上剤としては、上記した白色顔料および体質顔料に、必要に応じて胡粉白亜石膏等の親水性の強い白色顔料を加え、カゼイン、ニカワ等の動物性蛋白質水溶液、カルボキシメチルセルロースカルボキシエチルセルロース等のセルロース系水溶液、あるいはポリビニルアルコール、水性アクリルエマルジョン等の親水性樹脂水溶液で混練した親水性塗料が使用される。

かような麻布からなる画布は最終的には描画号数に合わせ木枠展張される。木枠への画布の展張に際しては、麻布の有する吸湿や乾燥による寸法変化を防止するため、長手方向および幅方向に多大の張力をかけて木枠に等で画布を打付けて展張状態に保持する。

概要

従来の麻布製画布のもつ問題点を解決し、簡便かつ安価に製造でき、寸法安定性に優れるため、下地処理や表面仕上処理を迅速に施すことができ、さらには木枠への展張に際しても従来ほどに多大の張力を要しない画布を提供する。

熱可塑性高分子繊維からなる不織布に、麻布の織目模様である細目、中目又は荒目をエンボス加工する。熱可塑性高分子繊維からなる不織布としては、ポリエステル繊維と、鞘成分芯成分より30℃以上低い融点を有するポリエステル芯鞘型複合繊維とを配合してなる不織布が好ましい。エンボス加工した不織布には、水分散顔料および水分散樹脂液からなる繊維処理液塗布又は浸漬することにより、色に着色ができ、同時に毛羽立ち防止と剛性付与が行える。表面仕上処理には、従来と同様な油絵用又は水彩画用の表面仕上剤を塗工する。

目的

そこで本発明は、従来の麻布製画布のもつ上述したような問題点を解決し、簡便かつ安価に製造でき、寸法安定性に優れるため、下地処理や表面仕上処理を迅速に施すことができ、さらには木枠への展張に際しても従来ほどに多大の張力を要しない、新規かつ改良された画布を提供することを目的としてなされたものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

熱可塑性高分子繊維からなる不織布に、麻布織目模様である細目中目または荒目をエンボス加工してなることを特徴とする不織布を用いた画布

請求項2

前記熱可塑性高分子繊維からなる不織布が、ポリエステル繊維(A)と、鞘成分芯成分より30℃以上低い融点を有するポリエステル芯鞘型複合繊維(B)とを、配合比が5〜95:95〜5(重量比)で配合してなる不織布であることを特徴とする請求項1記載の画布。

請求項3

前記ポリエステル繊維(A)の繊度が0.1〜15デニール、前記ポリエステル芯鞘型複合繊維(B)の繊度が1.0〜15デニールであり、(A)、(B)それぞれの繊維長が5mm〜67mmの短繊維であることを特徴とする請求項2記載の画布。

請求項4

前記不織布の面密度が100〜400g/m2 であり、エンボス加工後の厚さが0.5〜2mmであることを特徴とする請求項1記載の画布。

請求項5

請求項1の画布を、水分散顔料および水分散樹脂液からなる繊維処理液を塗工または浸漬したことを特徴とする画布。

請求項6

請求項5の画布に、樹脂揮発性溶剤溶解した樹脂液を塗工して下地処理を施したことを特徴とする画布。

請求項7

請求項5または請求項6の画布の描画面に、白色顔料および体質顔料乾性油練合した塗料を塗工して表面仕上処理を施したことを特徴とする油絵用画布。

請求項8

請求項5または請求項6の画布の描画面を、白色顔料および体質顔料を親水性樹脂水溶液動物性蛋白質水溶液またはセルロース系水溶液混練した塗料を塗工して表面仕上処理を施したことを特徴とする水彩画およびアクリル水彩画用画布。

技術分野

0001

本発明は、麻糸を編織した麻布からなる従来から慣用されている画布代替可能な、大量生産に適した安価な画布に関するものである。

背景技術

0002

従来から慣用されている麻布製の画布の製造方法を以下に説明する。先ず、麻糸を主体とし、必要に応じて綿やビニロン等を混糸混織して、画布の表面要求パターン即ち細目中目または荒目に編織して麻布を作成した後、麻布特有の水分による伸び乾燥時の収縮、さらにはこれらに起因するシワを制御するために伸子張りを行う。この伸子張り過程で、麻糸の節を除去したり、かけ継ぎ等を行って布目を調整する作業も行う。次いで、麻布の毛羽立ち抑制と糸ズレ防止のため、さらには次工程の表面仕上処理で用いる表面仕上剤の麻布による吸収を防止するために、麻布表面にニカワポリビニルアルコール澱粉ガゼイン等の下地処理用の水溶液を塗工して乾固膜を形成せしめる。

0003

このようにして下地処理を施した麻布の描画面に、油絵用あるいは水彩画用やアクリル水彩画用の表面仕上剤を塗工して表面仕上処理を行う。油絵用画布の表面仕上剤としては、チタン白亜鉛華鉛白等の白色顔料、およびリトポンタルクアルミナ炭酸カルシウム硫酸カルシウム等の体質顔料を、亜麻仁油ケシ油テレピン油等の乾性油練合した白色塗料が使用される。また水彩画用およびアクリル水彩画用画布の表面仕上剤としては、上記した白色顔料および体質顔料に、必要に応じて胡粉白亜石膏等の親水性の強い白色顔料を加え、カゼイン、ニカワ等の動物性蛋白質水溶液、カルボキシメチルセルロースカルボキシエチルセルロース等のセルロース系水溶液、あるいはポリビニルアルコール、水性アクリルエマルジョン等の親水性樹脂水溶液で混練した親水性塗料が使用される。

0004

かような麻布からなる画布は最終的には描画号数に合わせ木枠展張される。木枠への画布の展張に際しては、麻布の有する吸湿や乾燥による寸法変化を防止するため、長手方向および幅方向に多大の張力をかけて木枠に等で画布を打付けて展張状態に保持する。

発明が解決しようとする課題

0005

上述したごとき従来の麻布製画布は、天然の麻糸を主材料とするため材料均質化が難しく、布に編織した後も、節の除去、かけ継ぎ、布目の調整といった手間がかかるだけでなく、吸水・乾燥にともなう寸法変化が大きいため、手作業による伸子張りを施して寸法安定性付与する必要があり、さらには下地処理用の水溶液を塗工して乾固膜を形成させる際にも乾燥に長時間を要するため、連続生産性に難があり、大量生産に適さない。

0006

また、麻布に下地処理用の水溶液や表面仕上処理剤を塗工するに際しては、麻布の寸法変化が大きいことを考慮して、長手方向と幅方向の張力バランス取りながら塗工する必要があり、ロール塗工による連続生産を行う場合にも二軸伸長機構を有するロールコーター等を設置しなければならない。

0007

さらに、これらの画布を描画号数に合わせた木枠に展張する場合には、吸湿・乾燥による寸法変化を防止するために多大の張力をかけて画布を展張状態に保持しなければならないため、これに耐え得る木枠を必要とする。例えば、強固な針葉樹材(主としてウエスタンレッドシダー等)の柾目の木枠を用いてF−6号の41.0cm×31.8cmの張キャンバスとする場合には、4cm×2cmの太さの断面木枠を用い、長手方向で60kg、幅方向で44kgの張力をかけて画布を展張する。かような展張状態を保持するには強固な木枠が必要となるため、木枠のコストが高くなり、さらには木枠自体も比較的重くならざるを得ず、張キャンバスの運搬室内壁面への展示が不便となる。

0008

そこで本発明は、従来の麻布製画布のもつ上述したような問題点を解決し、簡便かつ安価に製造でき、寸法安定性に優れるため、下地処理や表面仕上処理を迅速に施すことができ、さらには木枠への展張に際しても従来ほどに多大の張力を要しない、新規かつ改良された画布を提供することを目的としてなされたものである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性高分子繊維製の不織布が通気性もあり、表面に麻布様の織目模様エンボス加工できるため、麻布に替わる画布素材として好ましく使用できること、さらにはかような不織布は麻布に比べて均質性に優れ、自然条件下や加工条件下において寸法安定性に優れることを見いだし、本発明を完成させるに至った。

0010

すなわち本発明の画布は、熱可塑性高分子繊維からなる不織布に、麻布の織目模様である細目、中目または荒目をエンボス加工してなることを特徴とするものである。

発明を実施するための最良の形態

0011

本発明における熱可塑性高分子繊維からなる不織布としては、ポリエステル繊維(A)と、鞘成分芯成分より30℃以上低い融点を有するポリエステル芯鞘型複合繊維(B)とを配合して不織布としたものが特に好ましく使用できる。鞘成分が芯成分より30℃以上低い融点を有する芯鞘型複合繊維を用いるのは、ウエブ状配列した繊維を互いに熱融着させて不織布とする際に、あるいは不織布に織目模様を加熱加圧下でエンボス加工する際に、鞘成分が容易に溶融して繊維相互間に効果的な接合がなされ、さらには効果的なエンボス加工がなされるようにするためである。

0012

熱可塑性高分子繊維(A)としては、ポリエステル共重合ポリエステルポリアミド共重合ポリアミドポリアクリロニトリルポリオレフィンポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等が挙げられ、その単一系または複合系割繊性繊維が使用される。更に必要に応じて、レーヨンをはじめ綿、羊毛などの天然繊維の単独あるいは2種以上を熱可塑性高分子繊維(A)に混合して用いてもよい。

0013

ポリエステル芯鞘型複合繊維(B)は、芯成分がポリエステル繊維からなり、鞘成分が芯成分より30℃以上低い融点を有するポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系などのポリマーからなる複合繊維であって、その断面形状は芯鞘型の他にサイドバイサイド型偏心形等も使用できる。本明細書中の“芯鞘型複合繊維”とは、サイドバイサイド型偏心形等も包含する用語として用いている。

0014

不織布の製造に使用されるポリエステル繊維(A)の繊度は0.1〜15デニール、ポリエステル芯鞘型複合繊維(B)の繊度は1.0〜15デニールが好ましい。またこれら(A)および(B)いずれの繊維も繊維長は5〜67mm程度の短繊維が使用できるが、画布として特に好ましい繊維長は32〜51mm程度の短繊維である。またポリエステル繊維(A)とポリエステル芯鞘型複合繊維(B)との配合比は、一般的には5〜95:95〜5、好ましくは50:50(重量比)である。

0015

不織布の製造方法としては、慣用的方法が採用できる。例えば、ポリエステル繊維(A)とポリエステル芯鞘型複合繊維(B)とを所定の配合比で配合した繊維配合物混綿開繊した後、カーディングにより平行配列ウエブとし、これをクロスラッパーを用いて所望面密度交差配列ウエブとする。次いで、ニードルパンチングを施すか、又はウォーターニードリングを施してウエブ内の繊維を互いに接合させて不織布とする。繊維の接合方法としては上記のニードルパンチング法又はウォーターニードリング法の他に、熱処理により繊維を熱融着させるサーマルボンディング法、合成樹脂溶液バインダーとしてウエブに浸漬又はスプレー等により付着せしめた後、熱処理により繊維を互いに接着させる方法等を用いることができる。さらには抄紙機を利用したウエトレイド法により不織布を製造することもできる。

0016

本発明による画布は、上記したような不織布に対して、従来の麻布製の画布と同様の織目模様をエンボス加工により施したものである。エンボス加工の方法としては、細目・中目・荒目などの編目模様パターンを予め彫刻した金属ロールの間に不織布を加圧通過せしめる方法や、同様の網目模様のパターンを彫刻した金属板間加熱・加圧する平面プレス加工法等が採用できる。エンボス加工によって、一般的には、面密度100〜400g/m2 の不織布が、厚さ0.5〜2mm程度とされる。

0017

網目模様をエンボス加工した不織布は、不織布そのままの色であり、不織布特有の毛羽立ちが起こりやすく、画布としての剛性が十分でない。そこで本発明では、網目模様をエンボス加工した不織布に、水分散顔料水分散樹脂液からなる繊維処理液をスプレー等により塗工するか、あるいはこの繊維処理液にパディング設備を用いて浸漬せしめた後、乾固させることによって、麻色様に着色するとともに、毛羽立ちを抑制し、さらには画布としての剛性を付与する。水分散顔料としては、麻色に着色するためにベージュ系の顔料が使用できる。また水分散樹脂液としては、アクリル樹脂エマルジョンポリウレタン樹脂エマルジョン酢酸ビニル水性塗料といった、一般に水性インクや水性塗料に用いられる樹脂液を使用することができる。

0018

繊維処理液により処理された不織布に対しては、油絵用あるいは水彩画用・アクリル水彩画用といった目的に応じた表面仕上剤を塗工して表面仕上処理(ファンデーション加工)を施す点は従来と同じである。すなわち、油絵用画布の表面仕上剤としては、白色顔料および体質顔料を乾性油で練合した白色塗料をロールコーター、ドクターナイフコーターフローコータースプレイガン等を用いて塗工する。また水彩画用・アクリル水彩画用画布の表面仕上剤としては、上記の白色顔料および体質顔料を親水性樹脂水溶液、動物性蛋白質水溶液またはセルロース系水溶液で混練した塗料を塗工する。

0019

なお表面仕上剤の種類によっては、表面仕上剤を塗工するに先立って、繊維処理した不織布に表面仕上剤と親和性を有する下地処理を施すことが望ましい場合もある。本発明におけるかような下地処理は、従来の麻布製画布における下地処理で用いていたような、カビが発生しやすいニカワ、カゼイン、澱粉等の水溶液や、乾固に時間がかかるポリビニルアルコール水溶液を用いずに、ニトロセルロース環化ゴム変性ポリアミドポリウレタン、アクリル等の樹脂トルエン酢酸エチルアルコール等の揮発性溶剤溶解せしめた樹脂液を用いることができる。かような樹脂液は、通常ポリオレフィンフィルム印刷に用いる印刷インクベヒクルと同様なものである。この樹脂液をグラビア印刷機オフセット印刷機捺染機、スプレー等生産性の高い連続的塗工設備を用いて塗工することができる。また本発明で用いる上記のような下地処理用樹脂液は、従来の麻布製画布で用いられていた下地処理用の水溶液に比べて短時間で乾固させることができる。

0020

以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されることはない。なお実施例中の%はいずれも重量%を表わす。

0021

実施例1
繊度2デニール、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維60%と、繊度2デニール、繊維長51mmのポリエステル芯鞘型複合繊維(芯成分:PET、鞘成分:融点110℃の共重合ポリエステル)40%とを混綿した後、カーディング工程、クロスレイング工程およびニードルパンチング工程を通過せしめて、面密度150g/m2 の不織布を得た。

0022

この不織布を、細目網目模様に彫刻された上/下金属ロール(上ロール温度:130℃、下ロール温度:170℃)の間にロール圧30kg/cm2 の加圧条件にて加工速度1.5m/分で通過させてエンボス加工を施した。

0023

次いでこの不織布を、下記組成の繊維処理液に1パッド・1ピックアップ絞り条件100%で浸漬処理した。
アクリルエマルジョン1.0%
(新中化学社製、商品名NKバインダーP370)
水分散顔料(顔料濃度20%) 0.2%
(山陽色素製、商品名サンダイカラー・ベージュ色
アルギン酸ソーダー2%水溶液2.5%
水 96.5%。

0024

浸漬処理後の不織布を120℃に設定したエアーオーブントンネルに2分間かけて通過せしめて乾燥した後、130℃熱シリンダーに2秒接触させて、着色および繊維処理を行った。

0025

かくして得られた画布に、3本ロールで練合した下記組成の油絵用表面仕上剤を、ドクターナイフコーターを用いて湿時膜厚平均0.3mmとなるように塗工した。
チタン白(石原産業社製、商品名R−820) 10.0%
炭酸カルシウム11.5%
クレー3.9%
乾燥剤ナフテン酸マンガン) 1.0%
亜麻仁油7.0%
ミネラルターペン66.6%。

0026

上記表面仕上剤を塗工した画布を、110℃エアーオーブン中に5分間滞留させる速度条件で通過せしめた後、24時間風乾して、細目パターンを有する油絵用画布を作成した。

0027

実施例2
繊度1.5デニール、繊維長38mmのPET繊維95%と、繊度2デニール、繊維長38mmのポリエステル芯鞘型複合繊維(芯成分:PET、鞘成分:融点130℃の共重合ポリエステル)5%とを混綿した後、カーディング工程、クロスレイング工程を通過せしめた後、ウォーターニードリングを行なって乾燥させ、面密度200g/m2 の不織布を得た。

0028

この不織布を、中目網目模様に彫刻された上/下の金属ロール(上ロール温度:150℃、下ロール温度:170℃)の間にロール圧30kg/cm2 の加圧条件にて加工速度1.5m/分で通過させてエンボス加工を施した。

0029

次いでこの不織布を、下記組成の繊維処理液を用い、実施例1と同様の条件で浸漬処理および乾燥処理を施して、着色および繊維処理を行った。
アクリルエマルジョン2.5%
(東洋インク社製、商品名パディングバインダ−712 )
水分散顔料(顔料濃度20%) 0.5%
(山陽色素社製、商品名サンダイスーパー・ベージュ#5)
アルギン酸ソーダー2%水溶液2.5%
水 94.5%。

0030

かくして得られた画布に、ディスパーを用いて混練した下記組成のアクリル水彩画・油絵兼用表面仕上剤を、スプレーガンを用いて4方向塗工を行なった。
亜鉛等(白色化学社製、亜鉛華1号) 6.0%
チタン白(商品名R−820) 5.0%
リトポン11.0%
水 47.0%
水性アクリルエマルジョン
ジョンソン社製、商品名ジョンクリル61J) 31.0%。

0031

上記表面仕上剤を塗工した画布を、110℃エアーオーブン中に4分間滞留させる速度条件で通過せしめ、アクリル水彩画・油絵兼用画布を作成した。

0032

実施例3
繊度3デニール、繊維長31mmのPET繊維70%と、繊度4デニール、繊維長51mmのポリエステル芯鞘型複合繊維(芯成分:PET、鞘成分:融点110℃の共重合ポリエステル)30%とを混綿した後、カーディング工程、クロスレイング工程を通過せしめた後、150℃の熱風乾燥機を通して面密度230g/m2 の不織布を得た。

0033

この不織布を、荒目の網目模様を彫刻した上/下の金属板温度130℃)の間で面圧力10kg/cm2 にて30秒間プレスしてエンボス加工を施した。

0034

次いでこの不織布を、実施例2と同様の繊維処理液で同様の条件で浸漬処理および乾燥処理を施して、着色および繊維処理を行った。

0035

かくして得られた画布に、ディスパーを用い混練した下記組成の樹脂液をスプレーコートし、80℃エアーオーブン中を4m/分の速度で通過せしめることにより下地処理を施した。
ニトロセルローズ20.0%
カチオン系界面活性剤4.0%
酢酸エチル29.0%
トルエン29.0%
イソプロピルアルコール18.0%。

0036

下地処理した画布に、下記組成のアクリル水彩画・油絵兼用表面仕上剤を、グラビア印刷機を用いて3ロール通過でコーティング印刷を行なった。
ニトロセルロース系白色グラビア印刷インク84.5%
(サカタインクス社製、商品名DX−60#110白環化ゴム含有
インクうすめ液(主成分トルエン) 15.5%。

0037

上記表面仕上剤を塗工した画布を、80℃の熱風乾燥機に4m/分の速度で通過せしめて、油絵・アクリル水彩画・油絵兼用画布を作成した。

0038

実施例4
実施例2の不織布に実施例2の繊維処理を行った画布に、ディスパーを用いて混練した下記組成の水彩画用表面仕上剤を、フローコーターを用いて湿時膜厚平均0.3mmとなるように塗工した。
チタン白(商品名R−820) 20.0%
リトポン7.0%
炭酸カルシウム4.0%
カルボキシメチルセルロース5.0%
非イオン系界面活性剤3.0%
ポリビニルアルコール30%水溶液61.0%。

0039

上記表面仕上剤を塗工した画布を、110℃エアーオーブン中に5分間滞留させる条件で通過せしめ、水彩画用画布を得た。

0040

試験例1:張枠への画布の展張時張力
従来の麻布製画布を張枠へ展張するに際しては、麻布の吸湿・乾燥による寸法変化を防止するために展張時の張力は
描画号数4号の場合で長手方向に43kg
6号の場合で長手方向に60kg
8号の場合で長手方向に65kg
がそれぞれ必要であった。そのため、張枠を構成する木材は剛性の高い針葉樹材であるウエスタンレッドシーダーを用いた場合でも、枠の一面の断面積が40mm×30mmの太さの枠材を必要とした。

0041

これに対して本発明の不織布を用いた画布は寸法安定性が優れているため、張枠への展張に際して、描画号数4号から8号までいずれも15kg程度の張力で展張しても、描画時や保管中の吸湿による伸びがなく、また張枠は過度緊張による変形がないため、枠材の太さを従来の約半分の40mm×18mm程度で十分であった。

0042

試験例2:画布上の油絵具の乾固速度および剥離試験
従来の麻布製画布と本発明の画布について、画布上に描いた油絵具の乾固速度および乾固後の油絵具のセロテープによる剥離程度を比較した。乾固速度の測定は下記の方法により行った。塗布面積および塗布量を一定にした画布上の絵具所定日数乾燥させた後、一定荷重ガラス板で絵具を圧着したときの画布上での絵具の圧着拡散面積を測定し、塗布直後の絵具の圧着拡散面積に対する割合を拡散面積率(%)として表わした。従って乾燥日数が一定の場合、拡散面積率が小さいほど乾固速度が早いことになる。

0043

また乾固後の絵具のセロテープによる剥離試験は、JIS−K−5400のごばんテープテスト法に準じた方法により行った。すなわち、絵具を画布上に0.5mmの厚さでヘラ塗工後、120時間放置乾燥を行い、その後2mm角の100マスカッターで深さ0.5mmで切目入れ、セロテープをこの100マス目上に貼り付けて5分放置後にセロテープを剥離せしめ、残存したマスの数をもって固着度数とした。

0044

実際に用いた油絵具の種類は、白色としてパーマネントホワイト:赤色としてチャニーズレッド、青色としてウルトラマリンブルーデープ、黒色としてアイボリーブラックを用いた。

0045

試験の結果、乾固速度においては本発明の画布の方がわずかに早い乾固速度を示した。これは、本発明の画布の基材となる不織布の含気率が、麻布の約2倍近い値を示すためと考えられる。一方、乾固後の剥離試験においては両者に差は認められなかった。

発明の効果

0046

以上の説明からわかるように、本発明による画布は不織布を用いるため、天然の麻布に比較して材質の均質化が可能であるため、節の除去、かけ継ぎ、布目調整といった煩雑な手作業が不要となり、大幅な省力化が図れる。

0047

また不織布は麻布に比べて寸法安定性に優れているため、麻布製画布のように伸子張りを施さずともよく、表面塗工操作に際しても二軸伸長機構を有する塗工設備も不要となり、その結果、生産性が向上するため安価に大量生産が可能となる。

0048

さらに、画布を木枠に展張して張キャンバスとするに際しても、麻布製画布に比較して吸湿・乾燥による寸法変化が小さいため、展張時の張力も麻布製画布より少なくてすむ。その結果、強固で高価な材質の木枠を使用しなくても、間伐材のような比較的小口径の安価な木材を木枠として利用できるため、森林資源の有効利用の見地からも望ましい。また木枠の重量も従来よりも軽量化できる結果、屋外スケッチ等に際しての運搬が容易になり、室内展示時の壁面取付金具簡易化も可能となる。

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さらにまた、画布描画面に表面仕上剤を塗工するに先立って、下地処理を施す場合には、樹脂を揮発性溶剤に溶解した樹脂液を使用できるため、従来の下地処理に使用していた水溶液に比較して迅速な乾固速度が得られる利点がある。

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