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技術 電子源基板および画像形成装置ならびにそれらの製造方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 高松修
出願日 1995年8月8日 (25年3ヶ月経過) 出願番号 1995-202431
公開日 1997年2月18日 (23年9ヶ月経過) 公開番号 1997-050760
状態 特許登録済
技術分野 電子管及び放電灯用電極の製造 陰極線管用電極 電子管または放電ランプの共通細部 各種表示用陰極線管と蛍光面 冷陰極の製造 冷陰極
主要キーワード ポーラス状態 パルス形 梯子形状 通電処理後 上下層間 通電処理前 方向パターン 接続形成
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図面 (12)

課題

配線形成時に素子電極短絡を防止して、それを画像形成装置に用いた場合に画素欠陥を低減させ、高い画質の画像を得る。

解決手段

上下の配線絶縁層を介して配列し、その交差部に電子放出素子を配置した単純マトリクス型配置の電子源基板を作製する際に、両配線の交差部以外は中央部が開口している帯状絶縁層上に上側の配線を形成する。

概要

背景

従来、電子放出素子として熱電子源冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には電界放出型(以下、FEと称する)、金属/絶縁層金属型(以下、MIMと称する)や、表面伝導型電子放出素子等がある。

FE型の例としては、Dykeらの報告(W. P. Dyke and W. W. Dolan, "Field emission", Advance in Electron Physics, 8, 89(1956))に記載のもの、Spindtの報告(C. A. Spindt, "Physical Properties of thin-film field emission cathodes with molybdenium cones", J. Appl. Phys., 47, 5248(1976))に記載のもの等が知られている。

MIM型の例としては、Meadの報告(C. A. Mead, "The tunnel-emission amplifier", J. Appl. Phys., 32, 646(1961))に記載のもの等が知られている。

表面伝導型電子放出素子の例としては、エリンソンの報告(M. I. Elinson, Radio Eng. Electron Phys., 10(1965))に記載のもの等がある。

表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。

この表面伝導型電子放出素子としては、前記のエリンソンの報告に記載のSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの(G. Dittmer,"Thin Solid Films",9, 317(1972))、In2O3/SnO2薄膜によるもの(M. Hartwell and C. G. Fonstad,"IEEE Trans. ED Conf.", 519(1975))、カーボン薄膜によるもの(荒木ら,真空,第26巻,第1号,22頁(1983))などが報告されている。

これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成として前述のハートウェル(Hartwell)の素子の構成を図5に示す。同図において、1は基板である。2は電子放出部形成用薄膜で、スパッタリングで形成されたH型形状の金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部3が形成される。なお、図中の素子電極間隔L1は、0.5〜1.0mm、W’は、0.1mmで設定されている。なお、電子放出部3の位置および形状については不明であるので模式図として表わした。

従来、これらの表面伝導型電子放出素子においては、電子放出をおこなう前に電子放出部形成用薄膜2を予めフォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部3を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミングとは、前記電子放出部形成用薄膜2の両端に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧、例えば1V/分程度を印加通電し、導電性薄膜局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部3を形成することである。なお、電子放出部3は電子放出部形成用薄膜2の一部に亀裂が発生し、その亀裂付近から電子放出が行われる。以下、フォーミングにより発生した電子放出部を含む電子放出部形成用薄膜を電子放出部を含む薄膜(図中4)と呼ぶ。前記フォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、上述の電子放出部を含む薄膜4に電圧を印加し、素子表面に電流を流すことにより、上述の電子放出部3より電子を放出せしめるものである。

さらに、通常はフォーミング工程の終了後に、「活性化」と呼ばれる工程が導入されている。この目的は、フォーミングにより高抵抗化された表面伝導型電子放出素子に一定の電圧を一定時間通電しつづけることによって、電子放出量を増加せしめることである。

上述の表面伝導型放出素子は構造が単純で製造も容易であることから、それを大面積にわたり多数配列形成できるという利点を有している。そこでこの特徴を生かすべく各種の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、画像形成装置等の表示装置等への応用があげられる。

配線絶縁膜の形成には、スクリーン印刷法が用いられることがある。これは導電性ペースト絶縁性ペーストスクリーンを通して直接パターン印刷した後、焼成して電極配線パターンや絶縁膜を形成する方法であり、この印刷法によるパターニング大面積基板に対応可能であり、1基板当りの処理時間もホトリソ技術に比べて短く、低コストにできる。

概要

配線形成時に素子電極短絡を防止して、それを画像形成装置に用いた場合に画素欠陥を低減させ、高い画質の画像を得る。

上下の配線を絶縁層を介して配列し、その交差部に電子放出素子を配置した単純マトリクス型配置の電子源基板を作製する際に、両配線の交差部以外は中央部が開口している帯状絶縁層上に上側の配線を形成する。

目的

従って、本発明は上記の課題を解決すべく行われたものであって、その目的とするところは、電子源基板形成において、配線形成時の素子電極との短絡を低減して電気的接続部分の信頼性向上を実現し、その電子源基板を用いる画像形成装置において、より高密度画素配列による高品位な画像を得られるようにすることにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

基板上に一対の素子電極を含む電子放出素子複数個を、絶縁層を介して直交する複数の第1層の配線と複数の第2層の配線の交差する位置に配設する電子源基板の製造方法において、1)基板上に複数の素子電極対を形成する工程、2)第1層の配線を形成する工程、3)該第1層の配線と前記素子電極対の一方の素子電極(第1の素子電極)を接続する工程、4)帯状絶縁層であって前記第1層の配線と交差する部分(連結部)およびその近傍以外の中央部分が開口している絶縁層を、第2層の配線を形成する位置に形成する工程、5)前記帯状絶縁層上に該絶縁層の幅以下の幅を有する第2層の配線を形成する工程、6)前記第2層の配線と、前記第1の素子電極に対向する素子電極(第2の素子電極)とを接続する工程、7)前記素子電極対に基づいて電子放出素子を形成する工程を含むことを特徴とする電子源基板の製造方法。

請求項2

前記帯状絶縁層を形成した後に、該絶縁層の前記連結部上にさらに絶縁層を形成する請求項1記載の製造方法。

請求項3

前記第1層の配線と第1の素子電極との接続を、該配線の形成と同時に行う請求項1または2記載の製造方法。

請求項4

前記第2層の配線と第2の素子電極との接続を、該配線の形成と同時に行う請求項1または2記載の製造方法。

請求項5

前記帯状絶縁層の各開口部に前記第2の素子電極の一端が位置するように該帯状絶縁層を形成してから、前記第2層の配線の形成を行う請求項4記載の製造方法。

請求項6

前記素子対間に導電性薄膜を形成し、通電処理によって該薄膜の一部に電子放出部を形成して、電子放出素子として表面伝導型電子放出素子を形成する請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方法。

請求項7

前記各層の形成を印刷法で行う請求項1ないし6のいずれかに記載の電子源基板の製造方法。

請求項8

請求項1ないし7のいずれかに記載の方法で製造される電子源基板。

請求項9

請求項1ないし7のいずれかに記載の方法で製造される電子源基板と、画像が形成される領域を備えた基板とを対向させ、支持枠を介して接合する工程、両基板の間の空間を減圧状態とする工程、前記電子源基板に画像形成用駆動回路を接続する工程を含む画像形成装置の製造方法。

請求項10

請求項9記載の方法で製造される画像形成装置。

技術分野

0001

本発明は、電子源およびその応用である表示装置等の画像形成装置に関する。

背景技術

0002

従来、電子放出素子として熱電子源冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には電界放出型(以下、FEと称する)、金属/絶縁層金属型(以下、MIMと称する)や、表面伝導型電子放出素子等がある。

0003

FE型の例としては、Dykeらの報告(W. P. Dyke and W. W. Dolan, "Field emission", Advance in Electron Physics, 8, 89(1956))に記載のもの、Spindtの報告(C. A. Spindt, "Physical Properties of thin-film field emission cathodes with molybdenium cones", J. Appl. Phys., 47, 5248(1976))に記載のもの等が知られている。

0004

MIM型の例としては、Meadの報告(C. A. Mead, "The tunnel-emission amplifier", J. Appl. Phys., 32, 646(1961))に記載のもの等が知られている。

0005

表面伝導型電子放出素子の例としては、エリンソンの報告(M. I. Elinson, Radio Eng. Electron Phys., 10(1965))に記載のもの等がある。

0006

表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。

0007

この表面伝導型電子放出素子としては、前記のエリンソンの報告に記載のSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの(G. Dittmer,"Thin Solid Films",9, 317(1972))、In2O3/SnO2薄膜によるもの(M. Hartwell and C. G. Fonstad,"IEEE Trans. ED Conf.", 519(1975))、カーボン薄膜によるもの(荒木ら,真空,第26巻,第1号,22頁(1983))などが報告されている。

0008

これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成として前述のハートウェル(Hartwell)の素子の構成を図5に示す。同図において、1は基板である。2は電子放出部形成用薄膜で、スパッタリングで形成されたH型形状の金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部3が形成される。なお、図中の素子電極間隔L1は、0.5〜1.0mm、W’は、0.1mmで設定されている。なお、電子放出部3の位置および形状については不明であるので模式図として表わした。

0009

従来、これらの表面伝導型電子放出素子においては、電子放出をおこなう前に電子放出部形成用薄膜2を予めフォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部3を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミングとは、前記電子放出部形成用薄膜2の両端に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧、例えば1V/分程度を印加通電し、導電性薄膜局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部3を形成することである。なお、電子放出部3は電子放出部形成用薄膜2の一部に亀裂が発生し、その亀裂付近から電子放出が行われる。以下、フォーミングにより発生した電子放出部を含む電子放出部形成用薄膜を電子放出部を含む薄膜(図中4)と呼ぶ。前記フォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、上述の電子放出部を含む薄膜4に電圧を印加し、素子表面に電流を流すことにより、上述の電子放出部3より電子を放出せしめるものである。

0010

さらに、通常はフォーミング工程の終了後に、「活性化」と呼ばれる工程が導入されている。この目的は、フォーミングにより高抵抗化された表面伝導型電子放出素子に一定の電圧を一定時間通電しつづけることによって、電子放出量を増加せしめることである。

0011

上述の表面伝導型放出素子は構造が単純で製造も容易であることから、それを大面積にわたり多数配列形成できるという利点を有している。そこでこの特徴を生かすべく各種の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、画像形成装置等の表示装置等への応用があげられる。

0012

配線絶縁膜の形成には、スクリーン印刷法が用いられることがある。これは導電性ペースト絶縁性ペーストスクリーンを通して直接パターン印刷した後、焼成して電極配線パターンや絶縁膜を形成する方法であり、この印刷法によるパターニング大面積基板に対応可能であり、1基板当りの処理時間もホトリソ技術に比べて短く、低コストにできる。

発明が解決しようとする課題

0013

しかしながら、以上説明したような表面伝導型電子放出素子を画像形成装置として大面積化するには以下のような問題点がある。

0014

上記のような印刷法を用いてレジストインクや導電性ペースト、絶縁性ペーストの流動性転写性等に起因して印刷パターンが変形しやすいことから、パターンの寸法精度が低かった。そのため、場合によっては第2層目配線パターン位置ずれダレにより、素子電極短絡を生じてしまっていた。また、そのために、画像形成装置としては欠陥の生じることがあった。

0015

従って、本発明は上記の課題を解決すべく行われたものであって、その目的とするところは、電子源基板形成において、配線形成時の素子電極との短絡を低減して電気的接続部分の信頼性向上を実現し、その電子源基板を用いる画像形成装置において、より高密度画素配列による高品位な画像を得られるようにすることにある。

課題を解決するための手段

0016

本発明は、基板上に一対の素子電極を含む電子放出素子複数個を、絶縁層を介して直交する複数の第1層の配線と複数の第2層の配線の交差する位置に配設する電子源基板の製造方法において、
1)基板上に複数の素子電極対を形成する工程、
2)第1層の配線を形成する工程、
3)該第1層の配線と前記素子電極対の一方の素子電極(第1の素子電極)を接続する工程、
4)帯状絶縁層であって前記第1層の配線と交差する部分(連結部)およびその近傍以外の中央部分が開口している絶縁層を、第2層の配線を形成する位置に形成する工程、
5)前記帯状絶縁層上に該絶縁層の幅以下の幅を有する第2層の配線を形成する工程、
6)前記第2層の配線と、前記第1の素子電極に対向する素子電極(第2の素子電極)とを接続する工程、
7)前記素子電極対に基づいて電子放出素子を形成する工程
を含むことを特徴とする電子源基板の製造方法、ならびにその方法で製造される電子源基板、さらにはその電子源基板と、画像が形成される領域を備えた基板とを対向させ、支持枠を介して接合する工程、両基板の間の空間を減圧状態とする工程、前記電子源基板に画像形成用駆動回路を接続する工程を含む画像形成装置の製造方法ならびにその方法で製造される画像形成装置を提供する。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。

0018

図1に、本発明の方法で製造される電子源基板の代表的な素子構造を示す。

0019

図2に、本発明の電子源基板の製造方法の手順を示した。この図2では、不図示の基板上に電子放出素子を3個×3個の計9個、マトリクス状に配線と共に形成した例を示した。図中、11および12は一対の素子電極、13は第1層の配線、14は第1層の層間絶縁膜、15は第2層の層間絶縁膜、16は第2層の配線、17は電子放出部形成用薄膜である。

0020

以下、図2に従って本発明の電子源基板製造方法を詳細に説明する。

0021

まず、あらかじめ洗浄された基板に、素子電極の印刷・焼成を行い、素子電極11・12からなる素子電極対を形成する(図2(a))。本電極は電子放出部薄膜と配線とのオーム接触を良好にするために設けられるものである。通常、電子放出部薄膜は、配線用導体層と比ベて著しく薄い膜であるために「ヌレ性」、「段差保持性」等の問題を回避するために設けているものである。従って、スパッタリング法等によって配線用の導体層を薄膜にて構成する場合は、電子放出部薄膜の形成は必ずしも別個に行う必要はなく、配線導体と同時に形成することが可能である。

0022

電極の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等の真空系を用いる方法や、触媒に金属成分およびガラス成分を混合した厚膜ペーストを印刷、焼成することにより形成する厚膜印刷法がある。

0023

本発明の製造方法では、フォトリソエ程を必要としない厚膜印刷法を用いる場合に工程の短縮が最も顕著である。しかしながら、電子放出部近傍の電極は膜厚が小さいことが望ましい。そこで、厚膜印刷法を用いる場合はその際使用するペーストとして有機金属化合物を含有するMODペーストを使用することが好ましい。もちろん、これ以外の成膜方法を用いてもさしつかえなく、また、構成材料としては、電気伝導性のある材料であれば特に限定されるものではない。

0024

次に、第1層の配線13を形成する(図2(b))。配線の形成は、素子電極11および12の形成と同様の方法を適用して行うことが可能であるが、配線の場合には、電極部分と異なり、膜厚は厚い方が電気抵抗を低減できて有利である。そこで、厚膜印刷法を用いるのが有利である。当然のことながら、薄膜配線の適用も可能であるが、膜厚を厚くするには時間が必要となり、不利である。

0025

次に、帯状の第1層の層間絶縁膜14を形成する(図2(c))。この層間絶縁膜は、図2(c)のように第1層の配線に直交する形で形成され、第1層の配線との交差部にあるX方向のパターン(交差部において第1層の配線を完全にカバーする必要があるため、その交差部およびその近傍を含めた大きさを持ったパターンとする)で連結された2本のY方向パターンから成る梯子形状とする。この絶縁膜は、絶縁性を保てる材料からなるものであればよい。例えば、SiO2薄膜、金属成分を含まない厚膜ペーストによる膜等が挙げられる。

0026

次に、第2層の層間絶縁膜15を、前記の第1層の層間絶縁膜上に形成して、絶縁性を確実とする(図2(d))。

0027

次に第2層の配線16を形成する(図2(e))。このとき、配線16の形成は、前記第1層の層間絶縁層14の梯子型状の2本のY方向パターンの間の領域で、前記の第2層の層間絶縁膜15を介して行う。さらに、その第2層の配線16の形成と同時に素子電極11とその配線16との接続も行う。形成方法は、第1層の配線と同様の方法が適用可能である。このように、第1層の絶縁膜の2本のY方向パターンの中に第2層の配線を設けることにより、絶縁層が土手役割を果して、第2層の配線形成時にだれによる素子電極との短絡が防止される。また、このような方法によれば、第2層の配線形成と同時に、その配線と素子電極との接続が行われることから、接続パターンを設ける必要がなく、工程数の低減が可能である。

0028

最後に電子放出部の膜17を形成して、電子源用の電子放出素子(3個×3個の計9個)が完成する(図2(f))。成膜方法および電子放出部(表面伝導型電子放出素子)の形成方法は、従来の方法をそのまま適用することが可能である(後述)。

0029

本図では、9素子部分のみを図示したが、これを複数個、同時に形成するようにすることで、単純マトリクス構成の電子源を作製することができる。

0030

本発明は、画像形成装置の中でも、表面伝導型電子放出素子を用いた単純マトリクス方式の画像形成装置において優れた効果をもたらすものであり、また厚膜印刷法を用いた画像形成装置の製造方法において優れた効果をもたらすものである。

0031

以下に、本発明に関わる表面伝導型電子放出素子の基本的な構成、その製造方法および特徴(例えば、特開平2−56822等を参考にして)について概説する。

0032

本発明に関わる表面伝導型電子放出素子においては、
1)フォーミングと呼ばれる通電処理前の電子放出部形成用薄膜は、微粒子分散体を分散し形成された微粒子からなる薄膜、あるいは有機金属等を加熱焼成し形成された微粒子からなる薄膜等、基本的には、微粒子より構成され、
2)フォーミングと呼ばれる通電処理後の電子放出部を含む薄膜は、電子放出部、電子放出部を含む薄膜とも基本的には微粒子より構成される。

0033

図6(a)および(b)は、それぞれ、本発明にかかわる基本的な表面伝導型電子放出素子の構成を示す平面図および断面図である。図6を用いて、本発明にかかわる素子の基本的な構成を説明するが、本発明の電子源および画像形成装置では後述するように、この表面伝導型電子放出素子を多数個、同一基体上に配線電極と共に形成しているものである。

0034

図6において1は絶縁性基板、5と6は素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出部である。

0035

絶縁性基板1としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2(絶縁体層)を積層したガラス基板等およびアルミナ等のセラミックス等があげられる。

0036

対向する素子電極5および6の材料としては一般的な導電体が用いられ、例えば、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd、Ag、Ru、Ta、Pb、Zr、Hf、Sb、La等の金属、あるいはこれらの金属の合金、ならびにPd、Ag、Au、RuO2、Pd−Ag等の金属または金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In2O3−SnO2等の透明導電体およびポリシリコン等の半導体材料等が挙げられる。

0037

素子電極間隔L1は、数Å〜数百μmであり、素子電極の製法の基本となるフォトリソグラフィー技術、即ち、露光機の性能とエッチング方法等や、素子電極間に印加する電圧と電子放出し得る電界強度等により設定されるが、好ましくは、数μm〜より数十μmである。素子電極長さW1、素子電極5および6の膜厚dは、電極の抵抗値、後述するX、Y配線との結線、多数配置された電子源の配置上の間題より適宜設計され、通常は、素子電極長さW1は、数μm〜数百μmであり、素子電極5および6の膜厚dは、数百Å〜数千Åである。

0038

絶縁性基板1上に設けられた対向する素子電極対5・6間および素子電極対5・6上に設けられた電子放出部を含む薄膜4は、電子放出部3を含むが、図7(b)に示された場合だけでなく、素子電極5および6上には設けられない場合もある。すなわち、絶縁性基板1上に、先述した電子放出部形成用薄膜、対向する素子電極対5・6の順に積層される場合もあり得る。また、製法によっては、対向する素子電極対5・6間の間隔部全体が電子放出部として機能する場合もある。この電子放出部を含む薄膜4の膜厚は、数Å〜数千Åであり、素子電極5および6へのステップカバレージ、電子放出部3と素子電極5・6間の抵抗値および電子放出部3の導電性微粒子粒径、後述する通電処理条件等によって適宜設定される。その抵抗値は、103〜107Ω/□のシート抵抗値を示す。

0039

電子放出部を含む薄膜4を構成する材料としては、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属;PdO、SnO2、In2O3、PbO、Sb2O3等の酸化物;HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GdB4等の硼化物;TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WC等の炭化物;TiN、ZrN、HfN等の窒化物;Si、Ge等の半導体カーボン等を挙げることができる。

0040

なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜を指しており、微粒子の粒径は、数Å〜数千Å、好ましくは10Å〜200Åである。

0041

電子放出部3は電子放出部を含む薄膜4の一部に形成された高抵抗の亀裂であり、通電フォーミング等により形成される。また、亀裂内には数Å〜数百Åの粒径の導電性微粒子を有することもある。この導電性微粒子は電子放出部を含む薄膜4を構成する物質の少なくとも一部の元素を含んでいる。また、電子放出部3およびその近傍の電子放出部を含む薄膜4は炭素または炭素化合物を有することもある。

0042

電子放出部3を有する電子放出素子の製造方法としては様々な方法が考えられるが、その1例を図7に示す。2は電子放出部形成用薄膜で例えば微粒子膜が挙げられる。

0043

以下、順を追ってこの素子の製造方法の説明を図6および図7に基づいて説明する。

0044

1)絶縁性基板1を洗剤、純水および有機溶剤により十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術により、その絶縁性基板1の面上に素子電極5および6を形成する(図7(a))。

0045

2)絶縁性基板1上に設けられた素子電極5と6の間に有機金属溶液を塗布して放置することにより、有機金属薄膜を形成する。なおここで言う有機金属溶液とは、前記Pd,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属を構成元素とする有機化合物溶液である。この後、有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフエッチング等によりパターニングし、電子放出部形成用薄膜2を形成する(図7(b))。

0046

なお、ここでは有機金属の塗布法により説明したが、これに限るものではなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法分散塗布法、ディッピング法スピナー法等によって形成される場合もある。

0047

3)続いて、フォーミングと呼ばれる通電処理を行う。通電フォーミングは素子電極5・6間に不図示の電源により通電を行い、電子放出部形成用薄膜2を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造を変化させた部位を形成させるものである。この局所的に構造変化させた部位を電子放出部3と呼ぶ(図7(c))。先に説明したように、電子放出部3は導電性微粒子で構成されていることを本発明者は観察している。

0048

次に上記フォーミング処理の電圧波形の1例を図8に示す。

0049

電圧波形は特にパルス形状が好ましく、パルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合(図8(a))と、パルス波高値を増加させながら電圧パルスを印加する場合(図8(b))とがある。まず、パルス波高値を一定電圧とした場合(図8(a))について説明する。

0050

図8(a)におけるT1およびT2は電圧波形のパルス幅パルス間隔であり、T1を1μ秒〜10ミリ秒、T2を10μ秒〜100ミリ秒とし、三角波波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選択し、適当な真空度、例えば1×10-5Torr程度の真空雰囲気下で、数秒〜数十分印加する。なお、素子の電極間に印加する波形は三角波に限定する必要はなく、矩形波など所望の波形を用いてもよい。また、その波高値およびパルス幅・パルス間隔等についても上述の値に限ることなく、電子放出部が良好に形成されれば所望の値を選択することができる。

0051

図8(b)におけるT1およびT2は、図8(a)の場合と同様であり、三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させ適当な真空雰囲気下で印加する。

0052

なお、この場合の通電フォーミング処理は、パルス間隔T2中に、電子放出部形成用薄膜2を局所的に破壊・変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧で、素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば1MΩ以上の抵抗を示した時に通電フォーミング終了とする。

0053

次に通電フォーミングが終了した素子に活性化工程と呼ぶ処理を施すことが望ましい。

0054

活性化工程とは、例えば、10-4〜10-5Torr程度の真空度で、通電フォーミング同様、パルス波高値が一定の電圧パルスを繰返し印加する処理のことであり、真空中に存在する有機物質に起因する炭素もしくは炭素化合物を薄膜上に堆積させ素子電流If、放出電流Ieを著しく変化させる処理である。活性化工程は素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、例えば、放出電流Ieが飽和した時点で終了する。また、印加する電圧パルスは動作駆動電圧で行うことが好ましい。

0055

なお、ここで炭素もしくは炭素化合物とは、グラファイト(単結晶および多結晶の両方を指す。)、非晶質カーボン(非晶質カーボンおよび多結晶グラファイトの混合物を指す)であり、その膜厚は500Å以下が好ましく、より好ましくは300Å以下である。

0056

こうして作製した電子放出素子は、通電フォーミング工程、活性化工程における真空度よりも高い真空度の雰囲気下に置いて動作駆動させるのがよい。また、さらに高い真空度の雰囲気下で、80℃〜150℃の加熱後に動作駆動させることが望ましい。

0057

なお、通電フォーミング工程、活性化処理した真空度より高い真空度とは、例えば約10-6Torr以上の真空度であり、より好ましくは超高真空系であり、新たに炭素もしくは炭素化合物が導電薄膜上にほとんど堆積しない真空度である。こうすることによって、素子電流If、放出電流Ieを安定化させることが可能となる。

0058

次に上述のような素子構成と製造方法によって作成された本発明に関わる電子放出素子の基本特性について図9および図10を用いて説明する。

0059

図9図6で示した構成を有する素子の電子放出特性を測定するための測定評価装置概略構成図である。図9において、1は絶縁性基板、5および6は素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出部を示す。また、91は素子に素子電圧Vfを印加するための電源、90は素子電極5・6間の電子放出部を含む薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、94は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、93はアノード電極94に電圧を印加するための高圧電源、92は素子の電子放出部3より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。電子放出素子の上記素子電流Ifおよび放出電流Ieの測定にあたっては、素子電極5および6に電源91と電流計90とを接続し、その電子放出素子の上方に高圧電源93と電流計92とを接続したアノード電極94を配置している。また、本電子放出素子およびアノード電極94は真空装置内に配置され、その真空装置には排気ポンプおよび真空計等の真空装置に必要な機器具備されており、所望の真空下にて本素子の測定評価を行えるようになっている。なお、アノード電極の電圧は1〜10kV、アノード電極と電子放出素子との距離Hは3〜8mmの範囲で測定した。

0060

図9に示した測定評価装置により測定された放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典型的な例を図10に示す。なお、図10任意単位で示されており、放出電流Ieは素子電流Ifのおよそ1000分の1程度である。図からも明らかなように、本電子放出素子は放出電流Ieに対して3つの特性を有する。

0061

第1に、本素子では、ある電圧(閾値電圧と呼ぶ。図10中のVth)以上の素子電圧を印加すると、急激に放出電流Ieが増加する。一方、閾値電圧より低い電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。すなわち、放出電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。

0062

第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。

0063

第3に、アノード電極94に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。

0064

以上のような特性を有するため、本発明に関わる電子放出素子は、他方面への応用が期待される。また、素子電流Ifは素子電圧Vfに対して単調に増加する(M1)特性の例を図10に示したが、この他にも、素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗VCNR)特性を示す場合もある。この場合も電子放出素子は上述した3つの特性を有する。なお、予め導電性微粒子を分散して構成した表面伝導型電子放出素子においては、前記本発明の基本的な素子構成の基本的な製造方法の一部を変更しても作製できる。

0065

次に、本発明の電子源および画像形成装置について述ベる。

0066

画像形成装置に用いられる電子源基板は複数の表面伝導型電子放出素子を基板上に配列することにより形成される。表面伝導型電子放出素子の配列の方式には表面伝導型電子放出素子を並列に配置し、個々の素子の両端を配線で接続する梯子型配置や、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極にそれぞれX方向配線、Y方向配線を接続した単純マトリクス配置(以下、マトリクス型配置電子源基板と呼ぶ)があげられるが、本発明はマトリクス型配置電子源基板に関するものである。

0067

以下、この原理に基づき構成した電子源基板の構成について図11を用いて説明する。111は絶縁性基板、112はX方向配線、113はY方向配線、114は表面伝導型電子放出素子、115は結線である。同図において、絶縁性基板111は、前述したガラス等であり、その大きさおよび厚みは、表面伝導型電子放出素子の個数および個々の素子の設計上の形状、さらには電子源の使用時に容器の一部を構成する場合には、その容器を真空に保持するための条件等に依存して適宜設定される。m本のX方向配線112はDx1、Dx2・・・Dxmからなり、絶縁性基板111上に、所定の形状にパターニングされた導電性金属等からなり、多数の表面伝導型電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線幅等が設定される。Y方向配線113は、Dy1、Dy2・・・Dynのn本の配線よりなり、X方向配線112と同様に所定の形状にパターニングされた導電性金属等からなり、多数の表面伝導型電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線幅等が設定される。

0068

これらm本のX方向配線112とn本のY方向配線113の間には、不図示の層間絶縁層が設置され、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成する。なお、このm、nは共に正の整数である。不図示の層間絶縁層は、SiO2等からなる層であり、X方向配線112を形成した絶縁性基板111の全面または一部に所定の形状で形成され、特にX方向配線112とY方向配線113の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材料、製法が適宜設定される。また、X方向配線112とY方向配線113は、それぞれ外部端子として引き出されている。

0069

なおここでは、m本のX方向配線112の上にn本のY方向配線113を層間絶縁層を介して設置した例で説明しているが、n本のY方向配線113の上にm本のX方向配線112を層間絶縁層を介して設置することもできる。

0070

さらに、前述と同様にして、表面伝導型電子放出素子114の対向する素子電極(不図示)がDx1、Dx2・・・Dxmのm本のX方向配線112と、Dy1、Dy2・・・Dynのn本のY方向配線113と結線115によって電気的に接続されているものである。

0071

なお、m本のX方向配線112とn本のY方向配線113と結線115と素子電極の導電性金属は、その構成元素の一部または全部が同一であっても異なってもよく、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属またはそれらの合金;Pd、Ag、Au、RuO2、Pd−Ag等の金属または金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体;In2O3−SnO2等の透明導体およびポリシリコン等の半導体材料等より適宜選択される。また表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板111あるいは不図示の層間絶縁層上のどちらに形成してもよい。

0072

また、前記X方向配線112には、X方向に配列する表面伝導型電子放出素子114の行を任意に走査するための走査信号を印加するための不図示の走査信号発生手段が電気的に接続されている。一方Y方向配線113には、Y方向に配列する表面伝導型電子放出素子114の列の各列を任意に変調するための変調信号を印加するための不図示の変調信号発生手段が電気的に接続されている。

0073

さらに、各表面伝導型電子放出素子に印加される駆動電圧は、その素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給されるものである。上記の構成において単純なマトリクス配線だけで個別の素子を選択して独立に駆動可能になる。

0074

次に、以上のようにして作製される単純マトリクス配置の電子源を用いた画像形成装置について、図3および図4を用いて説明する。図3は画像形成装置の基本構成図であり、図4はその画像形成装置に用いられる蛍光膜のパターンである。

0075

図3において31は上述のようにして電子放出素子を基板上に作成した電子源基板、34は電子放出素子に相当し、35および36は表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線およbびY方向配線である。32は電子源基板31を固定したリアプレート、40はガラス基板37の内面の蛍光膜38とメタルバック39等が形成されたフェースプレート、33は支持枠であり、リアプレート32、支持枠33およびフェースプレート40にフリットガラス等を塗布し、大気中あるいは窒素中で400〜500℃で10分以上焼成することで封着して外囲器41を構成する。

0076

外囲器41は、上述の如くフェースプレート40、支持枠33、リアプレート32で構成されるが、リアプレート32は主に電子源基板31の強度を補強する目的で設けられることから、電子源基板31自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート32は不要であり、電子源基板31に直接、支持枠33を封着し、フェースプレート40、支持枠33および電子源基板31で外囲器41を構成しても良い。さらには、フェースプレート40とリアプレート32の間にスペーサーと呼ばれる耐大気圧支持部材を設置することで大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器41にすることもできる。

0077

図3中、38は蛍光膜である。蛍光膜38はモノクロームの場合は蛍光体のみからなるが、カラーの蛍光膜38の場合は、図4に示されるように、蛍光体43の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色部材42と蛍光体43とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体43間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜38における外光反射によるコントラストの低下を抑制することである。ブラックストライプの材料としては通常、良く用いられている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、光の透過および反射が少ない材料であればこれに限るものではない。

0078

ガラス基板37に蛍光体43を塗布する方法は、モノクロームかカラーかによらず、沈殿法や印刷法が用いられる。

0079

また、蛍光膜38の内面側には通常メタルバック39が設けられる。メタルバック39の目的は、蛍光体43に照射された電子が帯電するのを防止すること、蛍光体43の発光のうち内面側への光をフェースプレート40側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させること、外囲器内で発生した負イオン衝突によるダメージからの蛍光体43の保護等である。メタルバック39は、蛍光膜38作製後に蛍光膜38の内面側表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着等で堆積することで作製できる。フェースプレート40には、さらに蛍光膜38の導電性を高めるため、蛍光膜38の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。

0080

前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行う必要がある。

0081

外囲器41は不図示の排気管を通じ、10-7Torr程度の真空度にされ、封止が行われる。また、外囲器41の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行う場合もある。これは、外囲器41の封止を行う直前、あるいは封止後に抵抗加熱高周波加熱等の加熱法により、外囲器41内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常、Ba等が主成分であり、その蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5〜1×10-7Torrの真空度を維持するものである。なお、表面伝導型電子放出素子のフォーミング以降の工程は適宜設定される。

0082

以上のようにして作製される本発明の画像形成装置において、各電子放出素子には、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、電圧を印加することにより電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバック39あるいは透明電極(不図示)に数kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜38に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示することができる。

0083

以上述べた構成は、画像表示等に用いられる好適な画像形成装置を作成する上で必要な概略構成であり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよう適宜選択する。

0084

本発明によれば、テレビジョン放送の表示装置のみならずテレビ会議システムコンピュータ等の表示装置に適した画像形成装置を提供することができる。さらには本発明の電子源を、感光性ドラム等で構成された光プリンタとしての画像形成装置として用いることもできる。

0085

次に本発明の実施例を説明する。

0086

(実施例1)本実施例では、図1に示したような構成を有する電子源基板およびそれを用いる画像形成装置の作製について、図2に基づいて説明する。図2に示すように、本例では、不図示の基板上に対して電子放出素子を、配線とともに3×3個の計9個のマトリクス状に形成した。

0087

まず、清浄されたガラス基板(ここでは、ソーダライムガラス基板を使用)に、一対の素子電極11および12を形成した。本実施例では、膜の成膜方法として厚膜印刷法を使用した。ここで使用した厚膜ペースト材料はMODペーストで、金属成分はAuである。

0088

印刷の方法はスクリーン印刷法である。印刷の後、70℃で10分乾燥し、次に本焼成を実施した。焼成温度は550℃で、ピーク保持時間は約8分である。印刷、焼成後のパターンは350×150μm、厚みは約0.3μmであった(図2(a))。

0089

次に、第1層の配線13を素子電極12の片側に各々接続形成する。ここでは第1層配線13の形成方法として、厚膜スクリーン印刷法を用いた。使用した厚膜ペースト材料はAgペーストで、金属部分はAgである。所定のパターンでスクリーン印刷を行った後、110℃で20分の乾燥を行い、550℃でピーク保持時間15分の焼成を行って、幅100μm、厚み12μmの第1層の配線13を形成した(図2(b))。

0090

次に、第1層の層間絶縁膜14を形成した。この層間絶縁膜14は、X方向とY方向の両パターンからなる梯子型形状とした。本実施例では厚膜スクリーン印刷法を用いて形成した。ペースト材料は、PdOを主成分としてガラスバインダーを混合したペ−ストである。焼成温度は550℃で、ピーク保持時間は約15分である。所定のパターンでバインダーをスクリーン印刷した後、焼成を行ったところ、焼成後のパターン幅はX方向が500μm、Y方向が60μmの2本のパターンで梯子形状となっており、厚みは約15μmの層であった。なおその際、第1層の配線13上に第1層の層間絶縁膜14のX方向パターンが位置するように形成を行った(図2(c))。

0091

次に、第2層の層間絶縁膜15を形成した。通常、絶縁層は上下層間の絶縁性を確保するために、印刷と焼成を2回ずつ実施する。これは、厚膜ペーストにより形成される膜は通常ポーラスな膜であるからである。そのため、1回の印刷・焼成の後、再度印刷を行って、1回目の膜のポーラス状態を埋め込むようにして2回目の膜を印刷、焼成する。これにより、絶縁性が確保されることになる。本実施例では、絶縁性を必要とする第1層の配線13と後に形成する第2層の配線の交差部近傍のみに第2層の層間絶縁膜15を形成した。形成方法、ペースト材料は第1層の層間絶縁膜14と同じで、厚膜スクリーン印刷法、ガラスペースト法を用いた。焼成温度は550℃、ピーク保持時間は約15分であった。所定のパターンにスクリーン印刷・焼成後のパターンは、500×500μm、厚み約15μmであった。なお、交差部の絶縁層のトータルの厚みは、約30μmであった(図2(d))。

0092

次に、第2層の配線16を形成した。このとき、配線16の形成は、前記第1層の層間絶縁層14の梯子型状の2本のY方向パターンの間に第1層の配線13と第2層の配線16の交差部に形成した第2層の層間絶縁膜15を介して行われている。さらに、第2層の配線16の形成と同時に素子電極11とその配線16との接続も行われた。形成方法としては、厚膜スクリーン印刷法を用いた。使用した厚膜ペースト材料はAgペーストで、金属部分はAgである。所定のパターンでスクリーン印刷の後、110℃で20分の乾燥を行った後、550℃でピーク保持時間15分の焼成を行って幅300μm、厚み10μmの第2層の配線16を得た(図2(e))。

0093

マトリクス配線完成後、電子放出部を形成した。まず、上記印刷法で形成された、電子放出部への通電用の素子電極11および12の上層有機パラジウム(CCP4230;奥野製薬工業(株)製)をスピナーにより回転塗布後、300℃で10分間の加熱処理を行い、Pdからなる電子放出部形成用薄膜17を形成した。このようにして形成された電子放出部形成用薄膜17は、Pdを主元素とする微粒子から構成され、その、膜厚は10nm、シート抵抗値は5×104Ω/□であった。なお、ここで述べる微粒子膜は、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造としては微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をもさし、その粒径とは、前記状態で粒子形状が認識可能な微粒子についての径をいう。

0094

このパラジウム膜フォトリソグラフィー法を用いて、パターニングすることにより、フォーミング前までの素子の製造工程が完了した(図2(f))。

0095

以上のようにして作製した電子源基板を作製したところ、第2層の配線形成時のだれによる素子電極との短絡は生じなかった。

0096

(実施例2)本実施例では、実施例1で作製した電子源を使用して画像形成装置を得た。これについて図3図4および図8を用いて説明する。

0097

図3に示したように、多数の表面伝導型電子放出素子を形成した電子源基板31をリアプレート32上に固定した後、基板31の5mm上方に、フェースプレート40(ガラス基板37の内面に蛍光膜38とメタルバック39が形成されて構成される)を支持枠33を介し配置し、フェースプレート40、支持枠33、リアプレート32の接合部にフリットガラスを塗布し、450℃で10分間焼成することで封着した(図3参照)。また、リアプレート32への基板31の固定もフリットガラスで行った。

0098

図3において、34は電子放出素子、35および36はそれぞれX方向およびY方向の配線である。

0099

蛍光膜38は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成るが、本実施例では蛍光体はストライプ形状図4参照)を採用し、先にブラックストライプを形成し、その間隙部に各蛍光体を塗布し、蛍光膜38を作製した。ブラックストライプの材料は、通常良く用いられている黒鉛を主成分とする材料を用いた。

0100

ガラス基板37に蛍光体を塗布する方法はスラリー法を用いた。

0101

また、蛍光膜38の内面側には通常、メタルバック39が設けられる。本例では、メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる)を行ない、その後、Alを真空蒸着することで作製した。

0102

フェースプレート40には、更に蛍光膜38の導電性を高めるため、蛍光膜38の外面側に透明電極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施例では、メタルバックのみで十分な導電性が得られたので省略した。

0103

前述の封着を行なう際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行なった。

0104

以上のようにして完成したガラス容器内の雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通じ、電子放出素子34の素子電極間に電圧を印加し、電子放出部形成用薄膜2を通電処理(フォーミング処理)することにより、電子放出部3を作成した。フォーミング処理の電圧波形を図8に示す。

0105

図8中、T1およびT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は14Vとし、フォーミング処理は約1×10-6Torrの真空雰囲気下で60秒間行なった。

0106

このように作成された電子放出部3はパラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状態となり、その微粒子の平均粒径は30Åであった。

0107

次に、1×10-6Torr程度の真空度で不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し、外囲器の封止を行なった。

0108

最後に封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なった。ゲッター処理とは、封止を行なう直前、あるいは封止後に抵抗加熱、あるいは高周波加熱等の加熱法により、画像形成装置内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、その蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5〜1×10-7Torrの真空度を維持するものである。

0109

以上のようにして作製した本発明の画像形成装置において、各表面伝導型電子放出素子には、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、走査信号および変調信号を不図示の信号発生手段によりそれぞれ印加することにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じて、メタルバック39に5kVの高圧を印加し、電子ビームを加速して、蛍光膜38に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示した。その結果、欠陥のない良好な画質の画像が得られた。

0110

なお、上記実施例に示した電子源基板の作製方法に従って、アレイ状発光素子を作製し、それを感光性ドラム上に配置することにより、良好な電子写真記録装置を構成することができた。

0111

加えて、電子写真記録装置にアレイ状発光素子を作成した場合においても同様の効果を得ることができる。

発明の効果

0112

以上の説明から明らかなように、本発明によれば、電子源基板の配線形成時に素子電極の短絡を防止できることから、それを画像形成装置に用いた場合に画素欠陥が低減して、高い画質の画像を得ることができる。さらに、本発明の方法によれば、基板上にX−Yマトリクス状に多数の表面伝導型電子放出素子を配置することが容易で、大画面の画像形成装置に好適な電子源基板を得ることができる。

図面の簡単な説明

0113

図1本発明の電子源基板の代表的な素子構成を示す模式的平面図である。
図2本発明の電子源基板の製造手順の1例を示す工程図である。
図3本発明の画像形成装置の1例の構成を示す部分切り欠き斜視図である。
図4蛍光膜の構成を示す模式的部分図であり、(a)はブラックストライプの設けられたもの、(b)はブラックマトリクスの設けられたものの図である。
図5表面伝導型電子放出素子の1例の構成を示す模式的平面図である。
図6本発明の電子源に設けられる表面伝導型電子放出素子の1例の構成を示す示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図7図6の素子の形成手順を示す工程図である。
図8本発明の電子源における表面伝導型電子放出素子製造時の通電フォーミングにおける電圧波形を示すグラフであり、(a)はパルス波高値が一定の場合、(b)はパルス波高値が増加する場合である。
図9表面伝導型電子放出素子の電子放出特性の測定評価装置の概略構成図である。
図10表面伝導型電子放出素子の電流—電圧特性を示す図である。
図11多数の表面伝導型電子放出素子を単純マトリクス配線して構成した電子源基板の概略図である。

--

0114

1絶縁性基板
2電子放出部形成用薄膜
3電子放出部
4 電子放出部を含む薄膜
5素子電極
6 素子電極
11 素子電極
12 素子電極
13 第1層の配線
14 第1層の層間絶縁層
15 第2層の層間絶縁膜
16 第2層の配線
17 電子放出部形成用薄膜
31電子源基板
32リアプレート
33支持枠
34電子放出素子
35 X方向配線
36 Y方向配線
37ガラス基板
38蛍光膜
39メタルバック
40フェースプレート
41外囲器
42黒色部材
43蛍光体
90電流計
91電源
92 電流計
93高圧電源
94アノード電極
111 絶縁性基板
112 X方向配線
113 Y方向配線
114 表面伝導型電子放出素子

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