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技術 コートした食物

出願人 ハーキュリーズインコーポレイテッド
発明者 ヒールケティエールドドヴリースジョンアーサーラプレウィリアムトーマスマックナボラヤンヴェーンストラ
出願日 1996年6月20日 (24年5ヶ月経過) 出願番号 1996-159380
公開日 1997年1月7日 (23年10ヶ月経過) 公開番号 1997-000172
状態 未査定
技術分野 果実または野菜の調製 食品の着色及び栄養改善 穀類誘導製品 穀類誘導体・合成クリーム 食品の調整及び処理一般 ゼリ-、ジャム、シロップ 穀類誘導製品3(麺類) 食品の成形及び加工 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬
主要キーワード パスタ状 米穀粒 初期傾斜 食物片 特殊型 米試料 定温器 角切り
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

炭水化物含有食物の血糖応答を低下させるためのカチオン架橋した多糖コーティングの使用を提供する。

解決手段

カルシウム架橋したペクチン又はペクチナート等で、カチオン架橋した多糖のコーティングを形成する。炭水化物含有食物は米穀粒パスタ状小麦粉デンプン、又は朝食用シリアル片等である。

概要

背景

ヒトの消化系において、食物物理的にすり砕かれ、かつ化学的に分解されて、人体使用可能な低分子になる。唾液腺胃液膵液腺、及び腸腺由来消化酵素は、タンパク質加水分解してアミノ酸とし、デンプンを単純な糖とし、脂肪グリセロール及び脂肪酸にする。消化系は、実質的に口、食道小腸及び大腸からなる。胃は、小腸に食物を緩やかに放出する貯蔵器として作用する。消化は、食物が血流又はリンパ管に吸収される小腸で完了する。小腸は長さ約5メートルであり、食物が大腸に到達する前に小腸を通過するのに通常約4〜5時間を要する。

ヒトの食事において、炭水化物エネルギーをもたらし、生合成経路炭素原子を供給する。炭水化物は自然界において大部分の種類の細胞及び組織の構成要素として見出される。炭水化物は、含有するモノマー単位の数に基づいて、単糖類二糖類オリゴ糖類(3〜10単糖類単位の鎖)、又は多糖類分類される。デンプンは、最も一般的な天然由来の多糖類の1つである。デンプンのモノマー単位はグルコースである。他の一般的な多糖類にはグリコーゲン及びセルロースがある。これらは各々動物がエネルギーを貯蔵するために使用する炭化水素及び植物の構造の骨格を形成する物質である。これらの多糖類のモノマー単位もいずれもグルコースである。デンプンは、リン脂質膜内に包含された離散した顕微鏡的なグラニュールとして植物細胞中に存在する。グラニュールの寸法及び形状は、植物の起源特徴付けることが多い。各グラニュール内において、アミロペクチンは、線状アミロースがアミロペクチン構造内に分散した枝分かれらせん状の結晶系の形態をとる。生のデンプンの消化性は、そのグラニュールの利用の容易性及び結晶構造に依存する。グラニュールは調理の間にゼラチン化し、調理直後のデンプン性食物は容易に消化可能である。

西洋では、消費される炭水化物の約60%をデンプンが構成する。デンプンは腸路内でオリゴ糖類、二糖類及び単糖類に加水分解される。デンプン等の多糖類のオリゴ糖類への酵素的な分解は、実際には唾液において開始する。しかしながら、デンプン塊の分解は小腸で起きる。ここで、低分子量であり、従って吸収可能なグルコース等の単糖類への多糖類及びオリゴ糖類の酵素的分解が起きる。小腸中でのデンプンの分解はかなり迅速な工程でありうるため、大部分のデンプンは胃から小腸に入ってから1時間以内に分解される。食物の全デンプン(TS)含量は、100 ℃でデンプンを完全にゼラチン化し、デンプンが無定形で消化可能な形態に完全に分散することを確実にするために水酸化カリウムで処理し、次いでパンクレアチン及びアミログルコシダーゼで酵素的に消化した食物の微細粉砕又は均質化した試料からのグルコースの収量として測定される。

デンプンは、予め分散助剤曝すことなく酵素と共に温置した場合の挙動により、異なる多種の分画に分類することが可能である。均質化した及び均質化していない食物試料の酵素的消化の制御された期間に対していかに反応するかにより、3種のデンプンを特定することが可能である。第1は、主として無定形で分散したデンプンからなる迅速消化性デンプン(RDS)である。RDSは、一般には、パン及びポテト等の湿熱で調理したデンプン性食物中に多量に見出される。RDSは、20分以内の酵素消化で構成グルコース分子に転化するデンプンとして、化学的に測定される。第2の種類は緩慢消化性デンプン(SDS)であり、これはRDSと同様に、通常の環境では小腸内で完全に消化される。しかしながら、SDSの消化はRDSよりもゆっくりと進行する。この分画は、例えば、物理的に利用不可能な無定形のデンプンを含む。SDSは、更に100 分の酵素消化でグルコースに転化するデンプンとして、化学的に測定される。第3のデンプンの種類は抵抗性デンプン(RS)であり、これは小腸内での消化に抵抗しうる。RSは、均質化し化学処理した試料から得られるTSと、均質化していない食物試料から酵素消化により得られるRDSとSDSとの合計との差として、化学的に測定される。

RSは更に3種の特殊型細分化できる。これらは、部分的に微粉砕した穀物及び種子等のように物理的に利用不可能な形態であることにより消化に抵抗しうるデンプンであるRS1 、酵素消化に対し特に抵抗性を有するグラニュール形態を有するRS2 、及び消化に対し最も抵抗性を有するデンプン分画であって、ゼラチン化したデンプンを冷却する際に形成される戻りアミロースから主としてなるRS3 である。小腸内で消化されないRSは大腸に送られ、そこで結腸バクテリアにより発酵して短鎖脂肪酸二酸化炭素及びメタンを生成する。デンプン性食物が消化される速度は、デンプンが含有するRDS、SDS及び異なるRS特殊型の相対比率に依存すると考えられることは明らかである。

食物中のRDS、SDS及びRSの量及び相対量は、非常に多様である。それらは部分的にはデンプンの起源に依存するが、食物が受ける加工の種類及び程度にも依存する。次の表に、様々な食物におけるデンプンの試験管内での消化性に関するデータを示す。各値は、上記の手法による検定を行うことにより得られる。

概要

炭水化物含有食物の血糖応答を低下させるためのカチオン架橋した多糖コーティングの使用を提供する。

カルシウム架橋したペクチン又はペクチナート等で、カチオン架橋した多糖のコーティングを形成する。炭水化物含有食物は米穀粒パスタ状小麦粉、デンプン、又は朝食用シリアル片等である。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
5件
牽制数
2件

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請求項1

炭水化物含有食物の血糖応答を低下させるための、カチオン架橋した多糖コーティングの使用。

請求項2

食物の血糖応答を低下させるための、炭水化物含有食物のコーティングへのカチオン架橋した多糖の使用。

請求項3

前記多糖がアルギネートアルギン酸ペクチン、ペクチニン酸、ペクチナート、ペクタート、ポリガラクツロン酸カラジーナン架橋性セルロース又はその誘導体キサンタンガム寒天、架橋性デンプン又は架橋性グアーガムである、請求項1又は2記載の使用。

請求項4

前記多糖をカルシウムカチオン又はマグネシウムカチオン架橋する、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。

請求項5

前記架橋した多糖のコーティングが食物を完全に包むように取り巻く、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。

請求項6

前記コートした食物が(乾燥重量基準で)0.01〜5重量%のカチオン架橋した多糖を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。

請求項7

前記コートした食物が(乾燥重量基準で)1〜3重量%のカチオン架橋した多糖を含む、請求項6記載の使用。

請求項8

前記炭水化物含有食物がペプチドグリカン類、多糖類オリゴ糖類二糖類単糖類又は糖アルコール、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の使用。

請求項9

前記炭水化物がデンプン、デキストリンスクロースマンノースマルトースグルコースフルクトースラクチトールキシリトールラクトースソルビトール及びマンニトールの1種又は2種以上である、請求項1〜8のいずれか1項記載の使用。

請求項10

前記食物が米穀粒パスタ状野菜又はその部分、小麦粉グラニュール、デンプングラニュール、又は朝食用シリアル片である、請求項1〜9のいずれか1項記載の使用。

請求項11

前記食物が3cm未満の最長寸法を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載の使用。

請求項12

前記食物が1cm2 以下の断面積細長い形状を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載の使用。

請求項13

前記コートした食物が、1種又は2種以上の他の食品製造用成分と組み合わせて使用する食物成分である、請求項1〜12のいずれか1項記載の使用。

請求項14

前記食品が10重量%以上の前記コートした食物を含む、請求項13記載の使用。

請求項15

前記コートした食物の血糖応答が、試験管内のイングリスト検定法に基づいて、消化後30分のコートしていない食物と比較して20%以上低下する、請求項1〜14のいずれか1項記載の使用。

請求項16

前記コートした食物の血糖応答が、試験管内のイングリスト検定法に基づいて、消化後60分のコートしていない食物と比較して20%以上低下する、請求項1〜15のいずれか1項記載の使用。

請求項17

炭水化物を含有する水和した食物の中心部と、熱湯不溶のカチオン架橋した多糖を含有するコーティング層とを含む、コートした食物。

請求項18

水和した食物の中心部が調理した米穀粒又はパスタ状である、請求項17記載のコートした食物。

請求項19

(i)架橋性多糖コーティングでコートした炭水化物を含有する食物の中心部、及び(ii)該多糖を架橋するための架橋用カチオン源を含み、成分(i)及び(ii)が分離しているか又は物理的に混合されている、調理用食物。

請求項20

前記架橋性多糖の量に基づいて0.01〜20重量%の架橋用カチオンを含む、請求項19記載の食物。

請求項21

前記中心部が湯通しした米穀粒である、請求項19又は20記載の食物。

請求項22

(i)架橋性多糖を水和性の炭水化物を含有する食物の中心部の上にコートする工程、及び(ii)コートした食物の中心部を架橋用カチオンの水溶液中で調理することにより、該食物の中心部を水和し、同時にそれによりコーティングを架橋する工程を含む、カチオン架橋した多糖でコートした炭水化物含有食物の製造方法。

請求項23

前記コーティング工程が、温度40〜100 ℃で前記食物の中心部に架橋性多糖の水溶液をスプレーし、あるいは該中心部を該水溶液中に浸漬することを含む、請求項22記載の方法。

請求項24

前記架橋性多糖が濃度0.01〜10重量%の水溶液として存在する、請求項23記載の方法。

請求項25

水和工程(ii)に先立ち、コートした水和性の中心部を乾燥する工程を更に含む、請求項22〜24のいずれか1項記載の方法。

請求項26

糖尿病低血糖症又は糖原病患者用の食物としての、カチオン架橋した多糖でコートした炭水化物含有栄養剤の使用。

請求項27

食欲抑制剤としての、又は継続的な肉体的活動を行う際の補給のための、カチオン架橋した多糖でコートした炭水化物含有食物の使用。

技術分野

0001

本発明は、コートした食物、特にコーティングが個体の食物に対する血糖応答を低下させる効果を有するコートした炭水化物含有食物に関する。本発明はまた、該コートした食物の製造方法、及びコーティングを有しない他は同一の食物と比較して改良された消化特性を有する食物としてのその使用に関する。

背景技術

0002

ヒトの消化系において、食物は物理的にすり砕かれ、かつ化学的に分解されて、人体使用可能な低分子になる。唾液腺胃液膵液腺、及び腸腺由来消化酵素は、タンパク質加水分解してアミノ酸とし、デンプンを単純な糖とし、脂肪グリセロール及び脂肪酸にする。消化系は、実質的に口、食道小腸及び大腸からなる。胃は、小腸に食物を緩やかに放出する貯蔵器として作用する。消化は、食物が血流又はリンパ管に吸収される小腸で完了する。小腸は長さ約5メートルであり、食物が大腸に到達する前に小腸を通過するのに通常約4〜5時間を要する。

0003

ヒトの食事において、炭水化物エネルギーをもたらし、生合成経路炭素原子を供給する。炭水化物は自然界において大部分の種類の細胞及び組織の構成要素として見出される。炭水化物は、含有するモノマー単位の数に基づいて、単糖類二糖類オリゴ糖類(3〜10単糖類単位の鎖)、又は多糖類分類される。デンプンは、最も一般的な天然由来の多糖類の1つである。デンプンのモノマー単位はグルコースである。他の一般的な多糖類にはグリコーゲン及びセルロースがある。これらは各々動物がエネルギーを貯蔵するために使用する炭化水素及び植物の構造の骨格を形成する物質である。これらの多糖類のモノマー単位もいずれもグルコースである。デンプンは、リン脂質膜内に包含された離散した顕微鏡的なグラニュールとして植物細胞中に存在する。グラニュールの寸法及び形状は、植物の起源特徴付けることが多い。各グラニュール内において、アミロペクチンは、線状アミロースがアミロペクチン構造内に分散した枝分かれらせん状の結晶系の形態をとる。生のデンプンの消化性は、そのグラニュールの利用の容易性及び結晶構造に依存する。グラニュールは調理の間にゼラチン化し、調理直後のデンプン性食物は容易に消化可能である。

0004

西洋では、消費される炭水化物の約60%をデンプンが構成する。デンプンは腸路内でオリゴ糖類、二糖類及び単糖類に加水分解される。デンプン等の多糖類のオリゴ糖類への酵素的な分解は、実際には唾液において開始する。しかしながら、デンプン塊の分解は小腸で起きる。ここで、低分子量であり、従って吸収可能なグルコース等の単糖類への多糖類及びオリゴ糖類の酵素的分解が起きる。小腸中でのデンプンの分解はかなり迅速な工程でありうるため、大部分のデンプンは胃から小腸に入ってから1時間以内に分解される。食物の全デンプン(TS)含量は、100 ℃でデンプンを完全にゼラチン化し、デンプンが無定形で消化可能な形態に完全に分散することを確実にするために水酸化カリウムで処理し、次いでパンクレアチン及びアミログルコシダーゼで酵素的に消化した食物の微細粉砕又は均質化した試料からのグルコースの収量として測定される。

0005

デンプンは、予め分散助剤曝すことなく酵素と共に温置した場合の挙動により、異なる多種の分画に分類することが可能である。均質化した及び均質化していない食物試料の酵素的消化の制御された期間に対していかに反応するかにより、3種のデンプンを特定することが可能である。第1は、主として無定形で分散したデンプンからなる迅速消化性デンプン(RDS)である。RDSは、一般には、パン及びポテト等の湿熱で調理したデンプン性食物中に多量に見出される。RDSは、20分以内の酵素消化で構成グルコース分子に転化するデンプンとして、化学的に測定される。第2の種類は緩慢消化性デンプン(SDS)であり、これはRDSと同様に、通常の環境では小腸内で完全に消化される。しかしながら、SDSの消化はRDSよりもゆっくりと進行する。この分画は、例えば、物理的に利用不可能な無定形のデンプンを含む。SDSは、更に100 分の酵素消化でグルコースに転化するデンプンとして、化学的に測定される。第3のデンプンの種類は抵抗性デンプン(RS)であり、これは小腸内での消化に抵抗しうる。RSは、均質化し化学処理した試料から得られるTSと、均質化していない食物試料から酵素消化により得られるRDSとSDSとの合計との差として、化学的に測定される。

0006

RSは更に3種の特殊型細分化できる。これらは、部分的に微粉砕した穀物及び種子等のように物理的に利用不可能な形態であることにより消化に抵抗しうるデンプンであるRS1 、酵素消化に対し特に抵抗性を有するグラニュール形態を有するRS2 、及び消化に対し最も抵抗性を有するデンプン分画であって、ゼラチン化したデンプンを冷却する際に形成される戻りアミロースから主としてなるRS3 である。小腸内で消化されないRSは大腸に送られ、そこで結腸バクテリアにより発酵して短鎖脂肪酸二酸化炭素及びメタンを生成する。デンプン性食物が消化される速度は、デンプンが含有するRDS、SDS及び異なるRS特殊型の相対比率に依存すると考えられることは明らかである。

0007

食物中のRDS、SDS及びRSの量及び相対量は、非常に多様である。それらは部分的にはデンプンの起源に依存するが、食物が受ける加工の種類及び程度にも依存する。次の表に、様々な食物におけるデンプンの試験管内での消化性に関するデータを示す。各値は、上記の手法による検定を行うことにより得られる。

0008

様々な食物におけるデンプンの試験管内での消化性
%RDS %SDS RS1 RS2 RS3
小麦粉、白色 38 59 − 3 t
ショートブレッド 56 43 − − t
パン、白色 94 4 − − 2
パン、ホールミール90 8 − − 2
スパゲティ、白色 55 36 8 − 1
50%の生バナナ粉から 34 27 − 38 t
つくったビスケット
50%の生ポテト粉から 36 29 − 35 t
つくったビスケット
エンドウ豆、チキン缶詰56 24 5 − 14
ソラマメ、乾燥、調理直後37 45 11 t 6
ソラマメ、赤キドニー、缶詰 60 25 − − 15

0009

上記の表において、値は食物中に存在する全デンプンの百分率として示されている。指標“t”は、痕跡量の特定の種類のデンプンのみが検出可能であったことを意味する。上記の表に記載されているデータから、食物が異なると、異なる種類のデンプンの相対比率はかなり異なったものとなることが明らかである。デンプンが小腸内で消化される場合には、それにより血中に存在するグルコースのレベルが上昇する。健康な個体における血中グルコースのレベルは、通常75〜125mg/100ミリリットルの範囲にある。グルコースレベルが高いことは、心臓循環系、目及び腎臓の問題に結びつく可能性がある。グルコースレベルが低いことは、疲労、失神及び低血糖性ショックに結びつく可能性がある。

0010

炭水化物を含有する食物が消費されると、約3時間に渡って血中グルコースレベルの特徴的な上昇及びそれに続く降下が起きる。これを図1に示す。食物は小腸に入る前にまず胃を通過しなければならないので、血中グルコースレベルは急激には上昇しない。これには0.5 〜1時間程度を要する。食物が一旦胃から小腸に入ると、血中グルコースレベルはその空腹時レベルである約100mg/100ミリリットルから上昇する。これは、デンプン等の多糖類が消化されてグルコースとなり、次いでこれが腸及び肝臓から末梢血管に入ることによりもたらされる。これに続く空腹時レベルへの降下は、グルコースを含む様々な食事関連刺激応答して膵臓により分泌されるインシュリンの作用によるものである。インシュリンは、インシュリン感応細胞中の血液からのグルコースの膜輸送、利用及び貯蔵を増加させることにより、血中グルコースレベルの降下をもたらす。インシュリンは、多くの種類の細胞、特に筋細胞及び脂肪細胞原形質膜内のグルコースに関して存在する特定の輸送部位に作用する。

0011

GRと表示した図1中の曲線の高さを、本願明細書中では食物の『血糖応答』であると定義する。食物の正確な血糖応答は、摂取した食物の量により異なり、また消化系の効率等の因子に依存して個体間で相違し、更に糖尿病を患っているか否かによって異なる。しかしながら、本発明との関係においては、食物の血糖応答の絶対値は重要ではない。むしろ、重要なことは、本発明により提供されるコートされた形態と、通常の(コートされていない)形態との間で、食物の血糖応答はいかに変化するかである。しかしながら、食物の血糖応答については、多くの基本原則が存在する。例えば、RDSを高含有率で含む食物は、重量対重量で、実質的にSDSからなる食物よりも高い血糖応答を有すると考えられる。一方、そのようなSDS含有食物は、専らRSからなる食物よりも大きな血糖応答をもたらすと考えられる。一般に、ゆっくりと消化される食物は平坦な血糖応答をもたらす。このような食物は『貧炭水化物食物』と呼ばれている。

0012

他のいくつかの食物の特性が、その血糖応答に影響を及ぼしうる。これには、粒径及びテクスチャー、及び細胞壁構造にもたらされた任意の崩壊が含まれる。従って、調理した米穀粉は調理した小麦粉よりも小さな血糖応答をもたらす。穀粉を挽き又は微粉砕して著しく崩壊させかつ微細な粒径とすることにより、血糖応答値が増加する。コンシステンシーの粗い食物は、噛まずに飲み込んだ場合に小さな血糖応答値を有し、これは粒径の重要性を強調するものである。上記のように、血中グルコースを特定の範囲に制御することは、個体にとって重要である。この制御を可能とする2つの重要な因子は、肝臓の活動とホルモンバランスである。肝臓はある自律性を有する。最近では、肝臓が、血中グルコースレベルを監視するセンサーを有することが明らかになっている。レベルが高い場合には、肝臓は血液からグルコースを除去し、レベルが低い場合には、肝臓は血液にグルコースを放出する。血中グルコースのホルモン調節においては、インシュリンとグルカゴンとのバランスが最も重要である。これら2種類のホルモンは、主として血中グルコースの有効濃度に依存して、様々な比率で膵臓から分泌される。血中グルコースレベルが少しでも上昇すると増加したインシュリンの分泌が刺激されるのに対し、血中グルコースレベルが低下するとグルカゴンの分泌が刺激される。個体の中には、自己の自然に産生されるインシュリンによる血中グルコースレベルの制御が不可能なものもいる。これは糖尿病に結びつく。この疾病は、通常よりも高い血中グルコース濃度により特徴付けられる。糖尿病は、最近では米国における死亡原因の第3位であって、年間300,000 人が糖尿病で死亡する。1950年には米国内の糖尿病患者は1.2 百万人であり、1975年には糖尿病患者は5百万人であったが、1991年には糖尿病患者は11百万人であった。従って、この疾病の有効な治療法を提供することはますます重要となってきている。

0013

根源的な原因の異なる2種類の糖尿病がある。1型又はインシュリン依存性糖尿病では、インシュリンが完全に欠乏しており、患者は定期的にインシュリンを注射して血糖調節を維持する必要がある。インシュリンに加え、ダイエット及び運動注意深く調整し、良好な血液−糖制御を維持しなければならない。これに対して、1型又は非インシュリン依存性糖尿病では、通常のレベルではないにしても膵臓はインシュリンを産生している。インシュリンは存在するが、体が応答しないため、血中グルコースレベルはなお異常である。しかしながら、このインシュリン抵抗性の原因は、現在のところ不明である。この型の糖尿病を患っていると診断された人々のうち、80%は体重過多である。非インシュリン依存性糖尿病患者の中には、ダイエット及び運動のみにより体調を制御することが可能な人もいる。その他の糖尿病患者には、ダイエット、運動及び投薬が必要であると考えられる。この型の糖尿病への投薬には、非インシュリン依存性糖尿病患者の血中グルコースの良好な利用を助ける、経口血糖降下剤と呼ばれる種類の医薬が含まれる。

0014

関連する疾病である低血糖症は、過剰なインシュリンの循環によりもたらされる。これは通常糖尿病患者が過失によりインシュリンを過剰に投与したことに起因する。この過剰のインシュリンは、血中グルコースレベルの低下につながる。これは、グルコースを主要なエネルギー源とする脳に特に影響を及ぼす。軽度の低血糖症は、協調欠落につながる可能性がある。インシュリンが著しく過剰である場合には、痙攣が起き、次いで昏睡することがある。

発明が解決しようとする課題

0015

炭水化物は、糖尿病患者のダイエットの重要な部分である。糖尿病患者は、通常は、高血糖応答を有する食物、即ち、消化直後に血中グルコースのレベルが比較的高くなる原因となる食物を避けるべきであることは明らかである。代わりに、糖尿病患者には、比較的遅い速度で血液にグルコースを放出する比較的低い血糖応答を有する食物が必要である。血液へのグルコースの放出速度を遅くすることは、高血糖症及び低血糖症の両方の危険性を低下させる。血液へのグルコースの放出速度を遅くすることは、食物の消化速度を遅くすることにより達成可能である。従って、消化速度を遅くすることができれば、RDS由来のグルコースの初期急増を避けることができ、代わりに、血流へのグルコースの緩やかな放出につながる、小腸の全長に沿った制御され長期化された消化で置き換えることが可能となる。血流にグルコースを緩やかにのみ放出する食物は、個体の食欲の抑制、及び個体が継続的に肉体的活動を行う際の補助に関して有用であると考えられる。前者の場合、個体の血流中に通常よりも高いレベルのグルコースが存在することにより、満足感が得られ、間食欲求喪失させることになる。後者の場合、血流へのグルコースの継続的な放出は、容易に利用可能な形態の働いている筋肉のための燃料としてグルコースが作用することにより、個体が激しい運動を行うのを補助する。

0016

米国特許第2517595 号明細書及び米国特許第2611708 号明細書は、ペクチナート又はペクタートのフィルム中に食品封入することを開示している。そのようなフィルムは柔らかく、可食性であり、食物自体と一緒に食べることが可能であるとしている。該フィルムは熱湯に溶解する。これは、コートした食物は調理したものでなく、熱湯に入れた場合に水和により膨脹することによりコーティング層が脱離し、明らかに溶解することによるものと考えられる。米国特許第5360614 号明細書は、遅延放出層でコートした代謝可能な炭水化物からなる食物コアを開示している。この層は消化系への炭水化物の放出を遅らせることにより、食物の血糖応答を低下させる。該コーティング層は、ステアリン酸綿実油大豆油又はナタネ油等の水素化され又は部分的に水素化され油、ステアリン酸カルシウム又はステアリルアルコールからなる。該コーティング層は、それらの成分をコーティングパン中でエタノール等の有機溶媒に溶解し、次いでコートすべき食物を加えることにより形成する。

0017

米国特許第5360614 号明細書に記載のコートした食物には、多くの問題点がある。まず、開示されているコーティング剤の多くは脂肪質の物質であり、これはダイエットの際には大部分の人々が避けたいものである。次に、それらのコーティング剤は非水系有機溶媒を用いてコートされ、そのため高価であり、家庭内では不適当である。水系のコーティング法が開発されることが望ましいと考えられる。脂肪質の物質をベースとするコーティングは熱安定性ではなく、約60℃以上の加熱で分解する。従って、この文献に記載のコートした食物を、脂肪質のコーティングを失うことなく熱湯中で調理することは不可能である。最後に、該コーティング法によると、比較的大量のコーティング材料が食物上に付着することになる。例えば、該文献の実施例6の食品は、100 gのコーンスターチ(食物)、及び140 gの水素化タロー及びエチルセルロース(コーティング)から形成される。従って、最終的なコートした食物のうち約58重量%がコーティングである。

課題を解決するための手段

0018

本願明細書において、『食物』の語は食用であるか又は調理等の任意の形態の加工により可食性とすることが可能な任意の物質であると定義される。従って、『食物』の語は、小麦粉グラニュール(a flour granule or granules )、デンプングラニュール及び生野菜等の食物成分を意味する。一方、本願明細書において、『食品』の語は、調理した米等の食べられる可食性形態にある食物を意味する。本発明の目的は、炭水化物含有食物の血糖応答を低下させるためのコーティングの使用を提供することにある。本発明の目的は、更に、コートしていない食物よりも低い血糖応答を有する食物となる、炭水化物含有食物の中心部とコーティング層とを含むコートした食物を提供することにある。本発明の目的は、更に、炭水化物含有食物の中心部、及び調理の間その表面上にコーティングを形成する成分を含む、調理に好適な食物を提供することにある。

0019

他の目的によれば、本発明は、コーティング系の第1成分を水和可能な炭水化物含有食物の中心部の上にコートし、次いで、第1成分と反応して最終コートを生成するコーティング系の第2成分を含有する水溶液中で該コートした食物の中心部を調理して食物の中心部を水和することによる、コートした炭水化物含有食物の製造方法の提供を模索するものである。本発明の目的は、更に、糖尿病、低血糖症又は糖原病患者用の食物としてのコートした炭水化物含有栄養剤を提供することにある。本発明の最後の目的によれば、食欲抑制剤としての、又は継続的な肉体的活動を行う際の補給のための、コートした炭水化物含有食物の使用が提供される。

発明を実施するための最良の形態

0020

第1の観点によれば、炭水化物含有食物の血糖応答を低下させるための、カチオン架橋した多糖のコーティングの使用が提供される。そのような使用により、食欲抑制、及び継続的な肉体的活動を行う際の補給等の非治療効果が得られうる。そのような効果は、コーティングの存在により小腸における炭水化物の消化速度が低下することに起因して達成される。通常の種類の食物では、全てのRDS及びSDSの一部の消化に続いて、グルコースの血流への比較的急速な放出が起きる。これに対し、本発明に従ってカチオン架橋した多糖のコーティングで食物をコーティングすると、胃中で起きる消化が実質上完全に回避され、次いで、食物が小腸を通過する際の消化速度を低下させることにより、グルコースの血流への放出速度を低下させる。これにより、コートされた食物は、比較的低い血糖応答をもたらすこととなる。

0021

上記本発明の効果を、図2に示す。該図において、食物がカチオン架橋した多糖のコーティングでコートされていることを除き、図1の場合と同様の炭水化物含有の食事を時間(t) =−1/2 で摂取する。このコーティングにより、コートされていない食物に関して見出される血中グルコースの初期の急増が回避される。代わりに、該コーティングが食物の消化を遅延させることにより、グルコースは比較的遅い速度で長時間に渡って血流に放出されることとなる。従って、図1及び2における曲線の下の面積は実質的に等しいはずである。本発明に従って食物の周囲に設けられたカチオン架橋した多糖のコーティングは、食物のRDS及びSDSをRS1 型に転化したかのように見える。RS1 は物理的に利用不可能な形態であるため、消化に対し抵抗性があることが想起される。実際には、多糖コーティングの機能は、炭水化物含有食物が該コーティングにより利用不可能とされることにより、小腸の消化系での炭水化物含有食物中に存在するRDS及びSDSの急速な消化を回避することにある。

0022

本発明の他の観点においては、食物の血糖応答を低下させるための、炭水化物含有食物のコーティングへのカチオン架橋した多糖の使用が提供される。そのような使用により、上記の全ての非治療効果が得られ、更に糖尿病、低血糖症又は糖原病の患者用の食物としての治療効果が得られうる。そのようなコートした食物は、摂取後に血中グルコースレベルの初期の急増をもたらさず、代わりに比較的遅い速度での長時間に渡るグルコースの放出をもたらすため、これらの疾病を患っている人々に有用である。本発明におけるコーティングの成分として使用される多糖は、好ましくはアルギネートアルギン酸ペクチン、ペクチニン酸、ペクチナート、ペクタート、ポリガラクツロン酸カラジーナン架橋性セルロース又はその誘導体キサンタンガム寒天、架橋性デンプン又は架橋性グアーガムである。多糖がアルギネート、アルギン酸、ペクチン、ペクチニン酸、ペクチナート又はペクタートであるのが特に好ましい。上記多糖は、任意の好適なカチオン架橋されていてよい。該カチオンにはカルシウムカチオン及び/又はマグネシウムカチオンが含まれる。

0023

コーティングは、好ましくは、食物の表面積の50%以上に渡るべきである。食物がコートされていない部分がある場合には、小腸におけるその部分の食物の消化は通常の速度で進行しうることは明らかである。この場合、食物の残りの表面をコーティングしている効果は低下する。従って、架橋した多糖のコーティングが食物を完全に包囲するように包み込むのが最も好ましい。食物の周囲の多糖コーティングは比較的薄く、コーティングの重量はコートした食品のほんの僅かな部分をなす程度である。コートした食物は、(乾燥重量基準で)0.01〜5重量%程度のカチオン架橋した多糖を含む。更に好ましくは、該コートした食物は0.1 〜4重量%、最も好ましくは1〜3重量%(乾燥重量基準)のカチオン架橋した多糖を含む。前記食物中に含まれる炭水化物には、1種又は2種以上のペプチドグリカン、多糖、オリゴ糖二糖単糖又は糖アルコールが含まれていてよい。特に、該炭水化物は、デンプン、デキストリンスクロースマンノースマルトース、グルコース、フルクトースラクチトール(lactitol)、キシリトール(xylitol)、ソルビトールラクトース及びマンニトールの1種又は2種以上であってよい。最も好ましくは、該炭水化物は少なくともデンプンを含む。

0024

前記食物自体は任意の炭水化物含有食物であってよい。そのような食物には、例えば米穀粒、管状、らせん状及び貝殻状等のパスタ状、又は野菜又はその部分が含まれる。そのような野菜の部分には、角切りダイス切りスライス又はチップが含まれる。該食物はまた、コーンフレーク、米あられ又は小麦せんべい等の朝食用シリアル片であってよい。該食物は更に、小麦粉グラニュール又はデンプングラニュール等の、他の成分と組み合わせる食物成分であってもよい。そのような食物成分は、プディングキャンディーバー、食物バー中に、又はスープ又はデザートミックス等のインスタント食品中に含まれていてもよい。

0025

コートした食物片が比較的大きい場合には、口内で咀嚼することが好ましいと考えられる。この場合、咀嚼運動により、コーティングの一部が剥離され、食物の内部からコートしていない部分が露出するため、コーティングの効果は低下すると予想される。咀嚼されるべき食物のこの傾向は、茹でた野菜の角切りやスライス等のように、表面が比較的湿った食物の場合には軽減される。これは、そのような湿った食物は比較的容易に飲み込むことができ、殆ど咀嚼の必要がないからである。咀嚼されるべき食物の感受性はまた、言うまでもなくその大きさに依存する。食物片が小さいほど、咀嚼する傾向は低下する。従って、前記食物は3cm未満、好ましくは1cm未満の最長寸法を有する。そのような食物には米穀粉が含まれ、これは著しくは咀嚼されない傾向にあるので、咀嚼の間に露出する米穀粉の内部はほんの僅かである。前記食物は、他に、断面積の比較的小さい細長い形状を有していてもよい。そのような食物の場合、咀嚼しても露出する内部は比較的少ない。従って、前記食物が1cm2 以下、好ましくは0.1 cm2 未満の断面積の細長い形状を有するのもまた好ましい。そのような細長い食物には、スパゲティ及びフレンチフライが含まれる。上記のように、コートした食物は、既に食用形態にあってよい。あるいは、該食物は、小麦粉グラニュール又はデンプングラニュール等の食物成分であってもよい。そのような食物成分を、次いで他の食物成分と組み合わせて食品を製造してもよい。この場合、該食品は10重量%以上、好ましくは25重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは75重量%以上の1種又は2種以上のコートした食品成分を含んでいてよい。

0026

イングリスト(Englyst )らは、ヨーロピアン・ジャーナルオブクリニカルニュートリション(1992年)、46巻(Suppl. 2)、33〜50頁に掲載された論文栄養学的に重要なデンプン分画の分類と測定』中で、デンプン分画の測定法について記載している。特に、イングリストらは、自然の消化を模倣するよう試みた試験管内での温置を行った試料において、自由グルコース(FG)をいかに測定しうるかを開示している。本発明によるコートした食物について試験管内のイングリスト検定法を行う場合には、試験管内での消化開始後30分のコーティングを有しない他は同一のコートしていない食物と比較して、コートした食物の血糖応答が20%以上低下しているのが好ましい。従って、コートした食物から放出されたFGの量は、30分の試験管内での消化後にコートしていない食物から放出されたFGよりも20%以上少なくなければならない。更に、試験管内での消化開始後60分のコートしていない食物と比較して、コートした食物の血糖応答が20%以上低下しているのが好ましい。試験管内での消化開始後30分及び60分での検定が、いずれもコートしていない食物と比較して30%以上低下しているのが更に好ましく、40%以上低下しているのが最も好ましい。同様の試験管内のイングリスト検定法を行って、1時間後に、食物中に存在する多糖のうち80%未満が放出されるのが好ましい。更に好ましくは60%未満、最も好ましくは50%未満の多糖が放出される。放出される炭水化物の割合は、コーティングの厚さにより変動する。従って、カチオン架橋した多糖のコーティングが厚いほど、食物から検定系へのグルコースの放出速度は遅くなる。

0027

他の観点によれば、本発明は、炭水化物を含有する水和した食物の中心部と、熱湯に不溶のカチオン架橋した多糖を含有するコーティング層とを含む、コートした食物を提供する。このような観点においては、水和した食物は例えば調理した米穀粒又はパスタ状であってよい。該コートした食物は、例えば2重量%のペクチン又はアルギネートを含有する水溶液中で10〜20分程度米を茹でることにより調製することができる。茹でた米を次いで乾燥し、いわゆる湯通しした米を形成する。次に、これを、塩化カルシウム等の任意の好適なカルシウム塩を約0.5 〜3%含有する水溶液中で2〜10分間調理する。得られる食物は、水和した米穀粒の中心部と、カルシウム架橋したペクチン又はアルギニンを含有するコーティング層とを含む。米が調理されている間にカチオン架橋した多糖のコーティングが形成されるため、架橋したコーティングが完全に形成される前に米穀粒が水和し膨脹する機会がある。多糖の架橋が起きる間に、多糖はいくらか弾性を有し、よって米穀粒が水和により膨脹するに伴ってある程度伸長することが可能である。従って、米穀粒を包み込むカチオン架橋した多糖のコーティングが熱湯により除去されることはない。このような方法は、調理していない米穀粒のまわりにカチオン架橋した多糖のコーティングを形成することと対照されるべきである。米国特許第2517595 号明細書及び米国特許第2611708 号明細書に記載されているように、熱湯中で調理する際に、そのような米穀粒は水和するに従って膨脹し、それによってコーティング層が脱離し、明らかに溶解する。

0028

他の観点によれば、(i)架橋性多糖コーティングでコートした炭水化物を含有する食物の中心部、及び(ii)該多糖を架橋するための架橋用カチオン源を含み、成分(i)及び(ii)が分離しているか又は物理的に混合されている、調理用食物が提供される。該食物においては、架橋用カチオンの量は、好ましくは炭水化物を含有する食物に最初にコートされる架橋性多糖の量に基づいて0.01〜20重量%である。該食物は、湯通しした米穀粒であってよい。前記架橋用カチオン源は、塩化カルシウム、硫酸カルシウム塩化マグネシウム又は硫酸マグネシウム等の、好適な架橋用カチオン源として作用しうる任意の好適な可食性の塩であってよい。この観点によれば、前記食物は1段階の調理手順により食べる準備ができる形態で販売される。従って、成分(i)及び(ii)を単に一緒に混合し、例えば茹でるか又は煮ることにより調理する。成分をこのように混合することにより、架橋用カチオンが架橋性多糖と架橋し、よって食物の中心部のまわりにカチオン架橋した多糖のコーティングが形成される。前記のように、食物の中心部が水和されるまでは多糖コーティングは完全には架橋しないため、得られるカチオン架橋した多糖のコーティングは熱湯に対し抵抗性を有する。従って、食物が水中で水和している間は、食物の周囲の架橋性多糖は十分な弾性を有し、よって食物が水和により膨脹することにより剥離することはない。

0029

上記調理方法は本発明の他の観点を形成し、これはカチオン架橋した多糖でコートした炭水化物含有食物の製造方法である。該方法は、(i)架橋性多糖を水和性の炭水化物を含有する食物の中心部の上にコートする工程、及び(ii)コートした食物の中心部を架橋用カチオンの水溶液中で調理することにより、該食物の中心部を水和し、同時にそれによりコーティングを架橋する工程を含む。前記架橋性多糖は、温度40〜100 ℃で前記食物の中心部に架橋性多糖の水溶液をスプレーし、あるいは該中心部を該水溶液中に浸漬することにより、食物の中心部の上にコートすることが可能である。該水溶液は、架橋性多糖を好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.1 〜5重量%含む。コーティングに続いて、食物の中心部を架橋用カチオンの存在下で調理する水和工程に先立ち、前記水和性の中心部を乾燥するのが好ましい。該食物の中心部が米穀粒である場合、架橋性多糖でコートした米穀粒を乾燥させることにより、いわゆる湯通しした米が製造される。

0030

上記のように、本発明は、糖尿病、低血糖症又は糖原病の患者用の食物としての、カチオン架橋した多糖でコートした炭水化物含有栄養剤の使用を提供する。糖尿病の場合におけるそのような使用の効果を図3グラフに示す。線“A”は、0、3.5 及び8.5 時間において従来の(コートしていない)炭水化物含有食物を摂取した健康なヒトの血中グルコースレベルを表す。該個体の血中グルコースレベルは、通常好ましい範囲である75〜125mg/100ミリリットルにあることが観察される。各食事の後に、食物の炭水化物成分が消化されるに従って血中グルコースが上昇し、その後インシュリンの放出に従って低下している。線“B”は、同じ食物を摂取した糖尿病患者の血中グルコースレベルを表す。血中グルコースレベルがほとんど制御されず、個体がインシュリンを用いて制御することができないことにより、各食事の後に急増していることが観察される。食事後に全てのグルコースが食物から放出された後に、自然代謝により又は尿への排出のために血流からグルコースが除去されるに従って、血中グルコースレベルは低下している。最後に、線“C”は、上記“A”及び“B”で使用したのと同じ食物であって、カチオン架橋した多糖でコートしたものを摂取した糖尿病患者の血中グルコースレベルを表す。該コートした食物は、該食物に含まれる炭水化物が小腸内で比較的ゆっくりと消化されることにより、グルコースが血流にゆっくりと放出されることから、各食事後の著しいグルコースピークをもたらすことはない。このグルコースの緩やかな放出はインシュリンによる抑制を必要とせず、よって糖尿病患者が血中グルコースレベルを制御するのを補助する。

0031

低血糖症患者に対する前記コートした食物の効果を図4に示す。図中、線“A”は、100mg/100ミリリットルの理想的な血中グルコースレベルを表す。線“B”は、8時、12時及び6時に食事を摂った場合の低血糖症患者の一日の血中グルコースレベルを表す。該血中グルコースレベルは、理想的な範囲である75〜125mg/100 ミリリットル を上回り、また下回っていることが観察される。血中グルコースレベルが下限である75mg/100ミリリットルを下回ると、個体は非常に過酷な場合のある低血糖性ショックに悩まされることがある。これに対し、線“C”は、“B”の場合と同じ食物であるが、本発明に従って炭水化物を含有する部分をカチオン架橋した多糖でコートしたものを摂取した場合の個体の血中グルコースレベルを表す。ここでも、個体の小腸内での前記食物の多糖含有成分の消化が遅いことから、該コーティングによる血中グルコースレベルの平坦化が観察される。

0032

以上のように、本発明により提供される使用及び製品は、従来入手可能であった食物と比較して多くの利点を有する。第1に、アルギネート、アルギン酸、ペクチン、ペクチニン酸、ペクチナート又はペクタート等の架橋した多糖コーティング材料は、水の中で茹でるか又は煮る等の通常の調理手法により食物に容易にコートすることができる。従って、コーティングとして脂肪を使用すること、及び食物コーティングを適用するために非水系有機溶媒を使用する必要性のいずれをも回避することができる。

0033

本発明の使用及び食物の実際的な利点は多岐にわたる。従って、本発明は、炭水化物を含有する食物からのグルコースの放出を制御するための食物をベースとする計画を提供する。得られる食物は、風味及び味わいの点ではコートしていない食物と著しい相違はない。従って、糖尿病等を患っている個体とそうでない個体がともに同一の食物を摂取することが可能である。糖尿病を患っている人々にとっては、該食物は、血中グルコースレベルの制御を改善することを可能とする。健康な個体においては、該食物はまた、満足感が延長された感じを与え、食事の合間の間食を避ける補助をする。更に、コートした食物は小腸内で消化されるのに長時間を要するため、通常の食物と比較して延長された血流へのグルコースの放出をもたらす。従って、該コートした食物は、筋肉のためのエネルギー源としてグルコースが定常的に必要とされる長時間の運動を個体が行う間、個体を補助することが可能である。ここで、本発明の好ましい態様を表す具体的な実施例に言及して本発明について記載する。しかしながら、特許請求の範囲に記載の発明の範囲が、これらの実施例に限定されるものであると解釈してはならない。

0034

実施例1 −米穀粒の2段階コーティング
(a)架橋性ペクタートによるコーティング
10gの長穀粒白米研ぎ、次いで100ミリリットルの2%のハーキュリーズ社製のペクタートLM1912CSZ水溶液(100 ミリリットル当たり2gの溶液)に添加した。ペクタートLM1912CSZ は、エステル化度が3%程度であり、相対粘度に基づく分子量が70,000〜90,000である、低メトキシルペクチンである。該溶液を約16分間煮沸し、次いで過剰の溶液を流して捨てた。次に、得られた米を90℃の定温器中で一晩乾燥した。この工程により、架橋性ペクタートコティングでコートした湯通しした米穀粒を製造した。実際には、米がいくらかの天然のカルシウムカチオン成分を含有することにより、比較的少量のペクタートはこの初期の段階で既に架橋している。しかしながら、ペクタートの大部分は架橋しておらず、従ってこの段階ではコーティングはかなり弾性を有する。

0035

(b) ペクタートコーティングの架橋
1重量%の塩化カルシウムを含有する水溶液25ミリリットルを、100 ℃まで加熱した。上記手順(a)に従って製造した半乾燥米製品5gを、該溶液に添加し、次いでこれを5分間煮沸した。この煮沸の間に湯通しした米穀粒は完全に調理された状態となり、その表面の架橋性ペクタートコーティングは、該溶液中に存在するカルシウムカチオンにより架橋した状態となった。該溶液を5分間煮沸した後、過剰の液体を流して捨てて、食べられる状態の最終的なコートした米製品を得た。この米製品は約1.6 重量%の架橋したペクタートコーティングを含有していることが明らかとなった。工程(a)におけるペクタートLM1912CSZ の濃度が1重量%、3重量%及び5重量%となるよう変化させたことを除き、上記工程(a)及び(b)に従って、更に米製品を得た。工程(a)で使用する溶液中にペクタートが含まれない場合について、対照実験をも行った。従って、工程(a)におけるペクタートの開始濃度が0%、1%、2%、3%及び5%である5種類の異なる米製品が得られた。

0036

(c) 米製品の試験管内のグルコース放出特性
前記のようにして得た5種類の米製品の各々について、試験管内の消化検定を行い、該製品がグルコースを放出する速度を決定した。使用した試験管内の検定法は次の通りである。
酵素溶液アミログルコシダーゼ活性13AGU/ミリリットル、インベルターゼ活性200 EU/ミリリットル、パンクレアチン、アミラーゼ活性3800BPU/ミリリットル
酵素溶液II アミログルコシダーゼ活性50AGU/ミリリットル。
グルコースオキシダーゼ比色キットグルコースGOD-PAPベーリンガーマンハイム、Cat. no. 166391 。
グルコース標準溶液50ミリリットルの蒸留水に50mgのグルコースを溶解(1mg/ミリリットル)、濃度0〜0.8 mg/ミリリットルの標準溶液/試料50マイクロリットルに、1000マイクロリットルのグルコースオキシダーゼ比色キットの試薬混合物を添加。
酢酸ナトリウム緩衝液(0.1 M) 13.6gの酢酸ナトリウムの酸水塩を250 ミリリットルの飽和安息香酸溶液に溶解、pHを5.2 に調整、4ミリリットルの1M塩化カルシウムを添加し、蒸留水で1リットルとした。

0037

5種類の米製品の各々について、約5gの調理した米を正確に量した。次いでこの米を90℃のオーブン中で一晩乾燥し、次の日に秤量して乾燥物を決定した。各米の更に他の試料を、英国ノッティンガムブーツで販売されているキッチンベーシックレンジから入手した、直径0.9cm の孔を有するプレート装備した切断機混練した。次に、正確に秤量した約2.5 gの5種類の混練した米の各々を、5本の別々の50ミリリットルのファルコン管に入った酢酸ナトリウム緩衝液20ミリリットルに添加した。次いで、5個のガラス玉を入れた。この管を、37℃の振盪している水浴中で5分間予備温置した。次に、5ミリリットルの酵素溶液Iを用いて、消化を開始した。次いで、5、10、15、20、30、60、90、120 及び180 分後に0.5 ミリリットルの試料を取り出し、1.0ミリリットルの96%メタノールピペットで添加した。これを次に毎分3000回転で2分間遠心分離した。得られた溶液50マイクロリットルを、次に1000マイクロリットルの蒸留水で希釈した。次いで、グルコース標準溶液を使用し、次式に従ってグルコース含有量を測定した:
FG=〔DF×(V+A)〕/Z
(式中、FGはmg/乾燥gで表した自由グルコースであり、DFは希釈係数(1.05/0.05 ×1.5/0.5 )であり、Vは温置中に残存した体積(5分後では25ミリリットル、10分後では24.5ミリリットル等)であり、Aは温置中の調理した米の量(ミリリットル)(例えば、2.5 g=2.5 ミリリットル)であり、Zは乾燥状態で測定した温置中の調理した米の量(g)である。)

0038

180 分後に、5個の試料は各々20.5ミリリットルの溶液及び調理した米を含んでいた。前記管を次いで激しく振盪し、熱湯浴中に30分間静置した。次に該管を0℃まで冷却し、10ミリリットルの7M水酸化カリウムを添加した。次いで該管を入りの水浴中に30分間静置した。予め、50ミリリットルの0.1 M酢酸の入ったファルコン管を準備した。次に、1.0 ミリリットルのアルカリ溶液をピペットで酢酸溶液に添加し、次いで0.2ミリリットルの酵素溶液IIを添加した。該管を振盪し、60℃の水浴中に静置した。30分後、該管を熱湯浴中に10分間静置し、次いで冷却し、1500gで5分間遠心分離して沈殿物を除去した。次に、50マイクロリットルの得られた溶液を、1000マイクロリットルのグルコースオキシダーゼ比色キットと標準曲線に対して測定したグルコースの試薬混合物にピペットで添加して、全グルコースを決定した。全グルコースは次式で定義される:
TG=〔DF×{(V2 +A)/(V1 +A)}×(V+A)〕/Z
(式中、TGは全グルコース(mg/乾燥g)であり、V1 は20.5ミリリットル、V2 は30.5ミリリットル、Vは25ミリリットルであり、Aは温置中の調理した米の量(ミリリットル)(例えば、2.5 g=2.5 ミリリットル)であり、Zは乾燥状態で測定した温置中の調理した米の量(g)である。)
放出されたグルコースの百分率は、式 (FG×100 )/TG で定義される。

0039

様々な検定の結果を、図5のグラフに示す。米穀粒のコーティングの間に工程(a)において使用するペクタートの濃度が高い程、試験管内での検定における時間経過に対するグルコースの放出は遅くなることは明らかである。従って、ペクタートを使用しなかった対照においては、約60分後にほとんど全てのグルコースが放出された。1%のペクタート溶液を使用した場合、グルコース放出はわずかに遅くなり、おそらく約90分後に完了するものと考えられる。これに対し、当初ペクタート溶液が2重量%以上のペクタートを含有する場合、60分後に放出されるグルコースは60%以下である。更に、グルコースの放出は120 〜150 分前後まで定常的に継続する。従って、グルコースの放出速度は、図5に示した曲線の初期傾斜に概ね対応し、米穀粒をコーティングするペクタートの相対量が増加するにつれて低下する。この効果は、60分後に放出されたグルコースの百分率を5種類の米試料の各々について棒グラフとして示した図6に明確に示されている。このグラフについてのデータは、試験管内の温置時間60分後の図5中に示したデータからとったものである。

0040

次の実施例2〜11は、本発明の1つの観点として提供されるコーティング手順により、試験管内の消化系におけるグルコース放出速度を遅くする生成物が得られることを示す。実施例11は、米国特許第5360614 号明細書第2欄38行に記載のステアリン酸カルシウムのコーティングが、生理的濃度胆汁酸に対して耐性がないことを示している。実施例2〜11の各々において、試験管内のイングリスト検定法に従ってグルコースの放出を測定した。イングリスト検定法による試験管内での2時間の温置は、一般に小腸での4〜5時間程度の時間に対応する消化の程度をもたらす。従って、イングリスト検定法による温置条件は、生体内での消化と比較して加速された食物からのグルコースの放出となると考えることが可能である。

0041

実施例2
100 gの研いだ長穀粒の白米を227ミリリットルの1%(重量/体積)のアルギン酸ナトリウムシグマ化学)の蒸留水溶液中で10分間調理した(全ての水が吸収された)。次に、該米を50℃の乾燥定温器中で一晩乾燥した。次いで、20gの乾燥した米を、100 ミリリットルの1%(重量/体積)の塩化カルシウム溶液中に室温で1時間浸漬した。一晩乾燥した後(55℃)、25ミリリットルの1%の塩化カルシウム溶液中で3分間5gの該米を調理した。過剰の水を流して捨てた後、該調理した米について、前記の試験管内のイングリスト検定法に従って消化を行った。対照の米については、最初の調理工程においてアルギン酸ナトリウムが存在しない他は同一の手法を適用した。

0042

グルコース放出(全体の%)
時間(分)対照の米 Ca−アルギネートコートした米
0 0 0
5 12 9
20 37 25
30 55 36
60 88 67
90 92 97
180 101 98

0043

実施例3
200 gの研いだ長穀粒の白米を450ミリリットルの2%(重量/体積)のアルギン酸ナトリウム(シグマ化学)の蒸留水溶液中で13分間調理した(全ての水が吸収された)。該米を70℃の乾燥定温器中で一晩乾燥した。5gの乾燥した米を、25ミリリットルの1%(重量/体積)の塩化カルシウム溶液中で3分間調理した。過剰の水を流して捨てた後、該調理した米について、イングリスト法に従って試験管内の消化を行った。対照の米については、最初の調理工程においてアルギン酸ナトリウムが存在しない他は同一の手法を適用した。

0044

グルコース放出(全体の%)
時間(分)対照の米 Ca−アルギネートコートした米
0 0 0
5 8 4
20 25 12
30 37 17
60 68 30
90 88 46
120 94 60
180 90 89

0045

実施例4
20gの乾燥し調理した米を、1%(重量/体積)の塩化カルシウム溶液中に室温で1時間浸漬したことを除き、実施例3と同一の手順を繰り返した。一晩乾燥した後(70℃)、5gの米を25ミリリットルの1%塩化カルシウム溶液中で3分間調理した。得られた調理した米を、実施例3で用いたものと同一の方法論を用いて解析した。

0046

グルコース放出(全体の%)
時間(分)対照の米 Ca−アルギネートコートした米
0 0 0
5 16 5
20 43 14
30 60 20
60 84 40
90 92 58
120 98 75
180 91 107

0047

実施例5
米を25ミリリットルの1%塩化カルシウム溶液中で、実施例4では3分間であったところ5分間調理したことを除き、実施例4の手順を繰り返した。

0048

グルコース放出(全体の%)
時間(分)対照の米 Ca−アルギネートコートした米
0 0 0
5 16 7
20 52 19
30 68 28
60 88 56
90 98 78
120 102 82
180 98 89

0049

実施例6
75gの研いだ長穀粒の米を168ミリリットルのポリマーの蒸留水溶液中で20分間調理した(全ての水が吸収された)。調理した米を70℃の乾燥定温器中で一晩乾燥した。5gの乾燥した米を、25ミリリットルの1%(重量/体積)の塩化カルシウム溶液中で5分間調理した。過剰の水を流して捨てた後、該調理した米について、イングリスト法に従って試験管内の消化を行った。対照の米については、ポリマーを使用しなかった他は同一の手法を適用した。次のポリマーを使用した。ペクチンX-4912(デンマーク、CPF )1%(重量/体積)、アルギン酸ナトリウム(シグマ化学)2%(重量/体積)、アルギン酸ナトリウム(プロノババイオポリマー社)1%(重量/体積)、及びペクチンLM1912CSZ (ハーキュリーズ社)1%(重量/体積)。

0050

グルコース放出(全体の%)
時間対照X-4912 LM1912CSZアルギネートアルギネート
(分) (シグマ) (プロノバ)
0 0 0 0 0 0
5 19 16 9 7 10
20 47 42 22 18 25
30 60 58 31 26 33
60 82 84 59 51 63
90 90 89 74 70 82
120 92 89 88 84 85
180 89 92 84 91 92

0051

実施例7
10gの研いだ長穀粒の白米を、100ミリリットルのペクチンLM1912CSZ の蒸留水溶液(2%重量/体積)中で16分間調理した。過剰の水を流して捨てた後、調理した米を90℃の乾燥定温器中で一晩乾燥した。3gの乾燥した米を、15ミリリットルの1%(重量/体積)の塩化カルシウムの蒸留水溶液中で5分間調理した。過剰の水を流して捨てた後、該調理した米について、イングリスト法に従って、又はマーブルを使用せずに該法に従って、試験管内の消化を行った。対照の米については、ペクチンを使用しなかった他は同一の手法を適用した。

0052

グルコース放出(全体の%)
時間(分) 20 120
−マーブル/−Ca
対照56 108
ペクチン26 77
+マーブル/−Ca
対照 81 118
ペクチン 31 106
−マーブル/+Ca
対照 55 107
ペクチン 32 87
+マーブル/+Ca
対照 78 116
ペクチン 38 117

0053

実施例8
10gの研いだ長穀粒の米を25ミリリットルのペクチンLM1912CSZ の蒸留水溶液(2%重量/体積)中で15分間調理した(全ての水が吸収された)。次いで、実施例7で用いたものと同一の手法を適用した。

0054

グルコース放出(全体の%)
時間(分) 20 120
−マーブル/−Ca
対照41 107
ペクチン21 82
+マーブル/−Ca
対照 63 116
ペクチン 26 103
−マーブル/+Ca
対照 41 100
ペクチン 22 78
+マーブル/+Ca
対照 53 109
ペクチン 25 103

0055

実施例9
10gの研いだ長穀粒の白米を、100ミリリットルのペクチンLM1912CSZ 又はアルギネート(プロノバ)の蒸留水溶液(2%重量/体積)中で16分間調理した。過剰の水を流して捨てた後、調理した米を90℃の乾燥定温器中で一晩乾燥した。3gの乾燥した米を、15ミリリットルの1%(重量/体積)の塩化カルシウムの蒸留水溶液中で5分間調理した。過剰の水を流して捨てた後、該調理した米について、イングリスト法に従って、又はマーブルを使用せずに該法に従って、試験管内の消化を行った。対照の米については、ペクチン又はアルギネートを使用しなかった他は同一の手法を適用した。アルギネートに関する以外は、全体の実験を3回繰り返した。

0056

全体の%としてのグルコース放出(±標準偏差
時間(分) 対 照 LM1912CSZアルギネート
(−マーブル) (−マーブル) (−マーブル)
0 0 0 0
5 18(1) 11(1) 10
20 42(2) 27(1) 23
30 55(5) 35(1) 32
60 77(2) 57(3) 48
90 91(2) 70(1) 62
120 94(4) 81(3) 65
180 98(5) 90(1) 92

0057

全体の%としてのグルコース放出(±標準偏差)
時間(分) 対 照 LM1912CSZアルギネート
(+マーブル) (+マーブル) (+マーブル)
0 0 0 0
5 20(1) 12(1) 12
20 52(1) 29(1) 37
30 69(2) 38(3) 47
60 92(1) 66(9) 84
90 97(1) 84(2) 106
120 98(2) 89(9) 95
180 96(1) 89(8) 101

0058

実施例10
蒸留水中での調理工程を伴う実施例7に従って、米を調理した。該米の半分を、直径0.9cm の孔を有するプレートを装備した切断機(英国ノッティンガム、ブーツ、キッチン・ベーシック・レンジ)で混練した。イングリスト法に従って、試験管内の消化を行った。使用したコーティング材料は、ペクチンLM1912CSZ 及びアルギネート(プロノバ)である。

0059

混練しない場合の全体の%としてのグルコース放出
時間(分) 対 照 LM1912CSZアルギネート
0 0 0 0
5 16 11 10
20 40 30 26
30 52 36 35
60 76 59 55
90 88 69 69
120 93 81 76
180 93 87 91

0060

混練した場合の全体の%としてのグルコース放出
時間(分) 対 照 LM1912CSZアルギネート
0 0 0 0
5 23 14 14
20 52 33 35
30 63 43 45
60 83 63 70
90 87 70 80
120 90 82 83
180 95 88 94

0061

実施例11
コーンスターチをCa−ペクタート又はCa−ステアレートでコートし、イングリスト法に従って、40mMの胆汁酸(コール酸)を用いた場合及び用いない場合について、試験管内の消化を行った。Ca−ステアレートでのコーティングは次のように行った。5gのコーンスターチをメタノール中に懸濁した。0.75gの塩化カルシウム二水塩を含有するメタノール溶液を添加した。しばらく攪拌した後、1.55gのステアリン酸ナトリウムを含有するメタノール溶液を添加した。混合後、該懸濁液を濾過し、乾燥した。

0062

胆汁酸を用いない場合の全体の%としてのグルコース放出
時間(分) 対 照 Ca-ペクタート Ca-ステアレート
0 0 0 0
5 63 27 13
20 109 52 14
30 110 61 22
60 112 86 45
90 108 92 68
120 107 102 80
180 106 96 85

0063

胆汁酸を用いた場合の全体の%としてのグルコース放出
時間(分) 対 照 Ca-ペクタート Ca-ステアレート
0 0 0 0
5 43 25 21
20 67 48 43
30 80 66 60
60 108 83 97
90 102 97 97
120 99 95 108
180 99 94 101

0064

図面の簡単な説明

0065

図1通常の(コートしていない)食物に対する個体の血糖応答を示すと仮定される図である。
図2本発明によるコートした食物に対する個体の血糖応答を示すと仮定される図である。
図3コートしていない食物を摂取した健康なヒト及び糖尿病患者、及び本発明によるコートした食物を摂取した糖尿病患者の、血中グルコースレベルの変化を仮定した図である。
図4コートしていない食物及びコートした食物を摂取した場合の、低血糖症患者の血中グルコースレベルを示すと仮定される図である。
図5食物の周囲に適用されたコーティングの量に伴い、コートした食物から放出されるグルコースの百分率がいかに変化するかを示すグラフである。
図6様々な厚さのコーティングでコートした食物からのグルコース放出を示すグラフである。

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